ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第三十二話

翌日の朝、他の奴らが冥界の名所を回っている中、

俺はミリキャス様とともに朝から必死にペンを走らせ、講師の話をノートに書き写していく。

魔法書は全て冥界の言葉。

よって俺も冥界の言葉を覚える必要があったので覚えたが、それほど難しくはなかった。

「若様。悪魔の文字はご存知でしょうか?」

「魔法書を読める程度には」

「そうですか。では、古い言い回しなどを学んでいくとしましょう」

教育係は懇切丁寧に指導をしてくれる……それは嬉しいんだが若様ってのはなんだ?

昨日以来、会うメイドや執事全員に若様と呼ばれる。

「若様にはグレモリーの歴史を知ってもらわねばなりません」

「その若ってのはなんだ」

「………では、初期のグレモリー家について」

また、はぐらかされた。

どいつに尋ねてもこんな感じではぐらかされ、何故、

俺を若様と呼ぶのかは分からずじまいだった。

それにこんな教育を受けているのも部員の中では俺のみ。

「おばあさま!」

そんな声が聞こえ、頭をあげると部長のお母様が入ってきた。

部長のお母様は俺とミリキャス様のノートを見ると笑みを浮かべた。

「サーゼクスとグレイフィアの報告通りね。一を聞けば百まで理解する。本当に優秀ですね」

そこからいくつか話をし、次のスケジュールをこなすために俺は授業を抜けて、

部長のもとへと転移した。

 

 

 

 

 

 

 

都市ルシファード。俺が今いる場所はそんな名前だった。

旧魔王のルシファーがいたことにちなんでそう名付けられたらしい。

電車でここまで来たんだが長距離ジャンプ用の魔法陣を何度か、

潜り抜けても三時間くらいかかった。

「ここから地下鉄だよ。騒がれないためにね」

「キャーッッ! リアスお姉さまー!」

突然の黄色い声援に驚き、その方向へ向くと向かい側のホームにいた女性達が、

部長に憧れの眼差しを向けていた。

駆王学園の男女にも大人気だがやはり、冥界でも学校以上の人気を誇っているか。

どうやら木場がさっき言っていたことはこういうことらしい。

護衛に守られながらも地下鉄をいくつか乗り継ぎ、

たどり着いたのは都市で最も大きい建物の地下にあるホームだった。

なんでもお偉いさん方が集まる会場がこの建物にあるらしい。

俺達はエレベーター前で護衛と分かれた後、乗り込んで上へと向かった。

「みんな良い? これから私たちが合うのは将来のライバル。

みっともないところは見せられないわ。たとえ何があろうとも手は出さないこと。

良いわね。特にイッセーは絡まれると思うけどそこは、

貴方の持ち味の冷静さで乗り切ってちょうだい」

俺は何も言わずに腕を組んで壁にもたれながら、首を縦に振った。

奴――――ヴァーリによって命名された俺だけの魔法、ドラゴンズマジック。

それらはすでに奴によって流布されているかは知らんが、

おそらく敵対組織であるカオス・ブリゲートには知れ渡っているだろう。

悪魔側に流れているかは知らんがな。

エレベーターが止まり、扉が開いて外へ出ると道の一角に人が集まっていた。

「サイラオーグ!」

どうやら部長の知り合いらしく、部長が声を上げると一角にいたガタイの良い男が、

こちらを向くと歩いてきた。

二人は笑みを浮かべながら固い握手を交わした。

「紹介するわ。彼はサイラオーグ・バアル。母方の従兄弟に当たるわ」

「サイラオーグ・バアルだ。バアル家次期党首だ。よろしく頼む」

バアル家。確か魔王の次に地位が高い大王家だったはず。

つまりあそこで俺達を見ているやつらはこいつの卷族……つまり、

大王家の卷族か。魔王に大王……やはり、こいつの周りは異質だ。

「でも、どうしてここに?」

「つまらなかったからな」

疑問を抱く部長をよそに向こうのホールから爆音が鳴り響き、

こちらにドアが吹き飛んできた。

『ディフェンド、プリーズ』

俺と木場は同時に駆け出し、男と部長の前に立つと魔法陣を展開し、

木場は魔剣を出現させた。

魔法陣の壁が一枚防ぎ、木場の魔剣がもう片方の扉を切り裂いた。

「彼らが私の卷族よ」

「そうか」

爆音の方へと近付いてみるとホールの中央でいがみ合っている二人の悪魔がいた。

一人は化粧をして傍から見ても美人な女性悪魔、

もう一人は全身に魔術的なタトゥーを入れており、ライザー以上にチャラかった。

「ゼファードル。そんなに死にたいの?

繰り上がりで次期党首になった貴方が私を倒せるとでも思うの?」

「はっ! 女が調子こいてんじゃねえよ! 大体、

俺が隣の部屋で一発仕込んでやるっつうのにてめえが拒否したからだろうが!

だからいつまでたっても処女なんだよ!」

あいつがペラペラと喋っていることを聞く限りではあの男が化粧をしている女に、

下な誘いをしたのだがバッサリと断られた……どうやらセクハラをしたらしい。

さっきのは訂正だ。ライザー以上に性格が出来上がっていない奴だ。

「本来はここは待合室で軽い茶でも振る舞う場所だったんだがな」

「ようはあいつを止めればいいわけか」

「そうなるな。やれるか? あんな性格といえど一応は上級の位にふさわしい強さだ」

『バインド、プリーズ』

俺は床に四つの魔法陣を出現させ、ゼファードルと呼ばれたやつへ向けて鎖を放ち、

雁字搦めに拘束した後に床にたたきつけた。

「がっ! 何しやがんだクズが! 俺は次期党首だぞ!」

「上級だろうがこの程度の奴に負ける気はしない。後、お前。近所迷惑だ。

暴れるなら外で暴れてくれ。今から軽いお茶会を開くらしいんでな」

「下級の癖して調子こいてんじゃねえよ!」

「その下級の鎖を解けない貴様は何級だ」

この程度の安い挑発だけで奴は額に青筋を立て、

俺を睨みつけながら鎖を引きちぎろうとするがその程度の力で砕かれることはなく、

余計に奴の魔力を吸収して強くなった。

塔城に引きちぎられて以来、修正に修正を重ねたものだ。

「これで良いのか?」

「ああ、助かる。会談が始まるまでそうしておいてくれ。

後、口もふさいでくれたらもっと助かるんだが」

『スリープ、プリーズ』

魔法陣を展開させ、奴に通すと床に突っ伏して眠りについた。

相変わらず、この魔法の睡眠効果は良い……広告でも出して、

不眠症の依頼者にでも呼んでもらうか。

壁際で待機していたこいつの卷族もいったい何が起きているのか、

うまく理解できていないらしく、動けないでいた。

「この有様だが軽いお茶会をしよう。久し振りにリアスと話したい」

「ええ、私も」

その後、担当の悪魔が来るまで部長とサイラオーグは思い出話に花を咲かせ、

俺たち下僕はせっせと周りの後片付けを行っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「一悶着あったみたいだが始めようか」

担当の悪魔に呼ばれ、連れていかれた場所は野球ドームのように俺達を中央に置いて、

その周りを囲うように席で覆われているんだが今は前の席だけ埋まっていた。

一番下の階には四代魔王が、その上の階には偉そうなおっさんたちが座っていた。

すると、それぞれの主が一歩前に出た。

「よく集まってくれた。君たちは今、

若手の中で最も注目がある者たちだと思ってくれて構わない」

おっさんが威厳のある声で淡々と話していく。

「早速やってくれた奴もいるがな」

嫌味ったらしく髭を生やしたおっさんがゼファードルとか言う今、

さっきまで寝ていた男を見た。

「君たちは家柄、強さも申し分ない。君たちの将来に期待しているよ」

それから五分ほど、サーゼクス様がお話をなされ、

最後にそれぞれの主が将来の目標などを言っていき、この会談が終盤へと近づいた時だった。

「時にリアス・グレモリーよ」

「はい」

突然、今にも終わろうとしていた時に髭を生やしたおっさんが部長に質問をした。

出来れば早く終わってほしい。

「貴様が下僕にしたポーンは魔法を使うと聞いたが」

「ええ、そうですが」

「それは未知の物だと聞いた。ここで見せてみろ」

「それは」

「申し訳ないがそれはお断りする」

部長が言い切る前に俺は髭のおっさんの申し出を断った。

「なんだと」

「俺の魔法はあんたらを楽しませるためにあるんじゃない。

誰かの希望を護るために……絶望から救うためにある。

見世物として魔法を使う気はさらさらございません」

もっと、きつい言葉で言ってやっても良かったのだが、

そうすれば部長が批判されてしまいかねない。

部長が批判されればこの先に活動において支障が出てしまう恐れが高くなる。

だから俺は懇切丁寧な言い方をした。

「フハハハハ! たかが魔法を見せるだけだろう。それともなんだ?

貴様の魔法は見せられない理由でもあるのか」

「魔法は俺の宝。貴方だって自らの宝、

またはそれに類するものは人にはなかなか見せないものでしょう」

「ふん、人間からの転生風情が」

「お言葉ですが」

その言葉を聞き、部長が急に立ち上がった。

その背中には怒りを感じた。

「貴方がいま転生風情と仰った彼の力がなければこれまでの戦いには、

勝利はできなかったでしょう。

彼がいたから今の協調体制がある……私はそう考えております」

「彼女の発言には一理あると思うがね」

突然の発言に会場が一瞬、どよめいた。

発現が聞こえた方へ顔を向けるとレヴィアタン様の隣に、

座っていた怪しげな雰囲気を醸し出している若い男性がいた。

「報告では彼は会場にて裏切りのフェニックス、旧魔王派の強力な使い魔、

そして白龍皇を一人で撃破している。彼がいなければ被害は甚大なものとなり、

とてもじゃないが和平など結んでいる暇はなかっただろう」

一人の魔王の発言に眉を潜め、嫌そうな顔で髭のおっさんは男性をみるがすぐに、

周りの空気に耐えられなかったのか顔を俯かせた。

「やはり今の若い子は面白い。そうだここで一つゲームをしよう。

圧倒的な破壊力を持つグレモリーと綿密な計画を立て、

ゲームを支配するシトリーでだ。破壊と戦略。

どちらが勝つか、見ものではないだろうか?」

サーゼクス様が周りを見渡し、肯定か否かを視線で尋ねるがどの人物も顔を横に振ることはなく、

サーゼクス様の方を見た。

ただ、レヴィアタン様だけはやたらとキラキラした様子で首を縦に振りまくっていた。

「決まりだな。他のゲームについても考えておくつもりだ。これにて閉会としよう」




一応、この物語だけ連載作品として残そうかなと思っています。
後は完結作品として残そうかと考えております。
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