ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第三十三話

「ほぅ。シトリーと対戦か……まあ、

俺としてはそれ以上にお前とリアスの会話にあったんだがな」

どうやらアザゼルもどこかであの対談を聞いていた、

もしくは内容を聞いたのかニヤニヤしながら俺達の方を見てきた。

あの発言はどこかから漏れだしたらしくすぐさまその日のテレビのニュースで一斉に報道され、

大勢のマスコミの集団が部長の家に突撃してきたらしいがその全てを門前払いにしたらしい。

まあ、あの髭のおっさんが外に漏らしたとは思うがな……。

「ま、そんなさておき。人間界では今は七月二十八日。

ゲーム開始日まであと二十日ほどある訳か」

「……修行か」

「そうだな。既にお前たちそれぞれにあったメニューは考えているさ。

ただ一人だけまだなんだが……まあ、大丈夫だろ」

恐らく向こうのチームにはレヴィアタン様がアドバイザーとしてつくだろうし、

こちらには堕天使総督兼オカルト研究部顧問のアザゼルが担当する……不公平は、

今のところなしか。

あとはどれだけゲームまでに己を高めることができるのかが重要だな。

すると、俺達のもとへグレイフィアさんが歩いてきた。

「皆様、温泉の準備が整いました」

グレイフィアさんからその言葉を聞き、俺たちはさっそく洗面用具など全てもって、

温泉へと向かうと本邸から少し離れた所に壁で分けられた露天風呂があった。

悪魔の社会もどうやら封鎖的なものではなく開放的で、

異種族の文化などを積極的に取り入れているのか……。

そんなことを思いながらも服を脱ぎ、裸になってお湯に浸かるとちょうど良い湯加減で、

温かさが足の先から全身を登ってきた。

……ん。やっぱり温泉は良いな。

「まあ、なんつうか。冥界に来たのは温泉が目当てだったんだよ!」

アザゼルはいつの間に持って来ていたのか酒が入ったお猪口をお湯に浮かべた木の板に乗せ、

調子よさそうに大きな声を上げながらガブガブと酒を飲み干していく。

……まさか、リアルにあんなことをする奴がいるとはな。

大きな壁を挟んで、向こう側には女湯。

温泉自体は中々のものだった。

下手をすれば人間界のよりも豪勢な作りになっているかもしれない。

だがやはり、人間界のをモチーフにしているのか、

そんな頭一つ分出ているような奇抜なデザインはない。

『イッセー君!』

『朱乃! 最近、ちょっと前に出過ぎじゃないの!?』

『女は出過ぎるのがちょうど良いのよ。リアス』

壁を挟んだ向こう側からやたらとバシャバシャというお湯をかけあう音が聞こえてくる。

「なあ、イッセー。お前、部員の女子たちの中なら誰を取る」

ニヤニヤしながらアザゼルが俺の肩に腕を回してくるが、

すぐにその腕を弾いて、少し距離を置く……が、すぐにまたずいずいっと、

こっちにやって来て先ほどと同じ質問をした。

「どういう奴がタイプだ?」

「あいつから聞いていないのか?」

「聞いてるさ~。感情が顔に出にくいってだけでちゃんと抱いてはいるんだろ? 

過去数百という数多のハーレムを築いた俺だ。女のことなら結構詳しいぜ? 

な、誰がタイプだ。ちなみに俺はお姉さんタイプの」

『コネクト、プリーズ』

アザゼルの背後に空間を繋げた魔法陣を展開し、

そこへアザゼルを押し込むと壁の向こう側……つまり、

女子風呂の方(地獄)へとアザゼルを飛ばしてやると向こうからキャー! ではなく、

滅びの魔力やら雷やら岩石が砕ける音やらブゥゥン! というデュランダルがオーラを放つ時に、

聞こえてくる音が聞こえ、数秒後には静かになった。

まあ、あいつらも殺しはしない。

ただ、二度と俺にあんな質問はしないと心に誓わせたことだろう。

「イッセー君って時々、むごいことをするよね」

「流石先輩ですぅぅ!」

「それが俺だ」

若干、ざまあみろと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の朝、グレモリー邸の中にある広い大広間に卷属全員が集められて、

修行内容が書かれたメニューを持ったアザゼルの近くに集まっていた。

肝心のアザゼルは顔中に湿布を貼っており、女子陣からは冷ややかな視線を向けられていた。

「まだ痛いし……ごっほん! では、それぞれにメニューを配る。まずはリアス」

部長が呼ばれ、メニューを配られる。

「お前はすでに全ての要素が最高水準クラスの悪魔だ。

このままいけば最上級悪魔候補には間違いなく上がるだろう……だが、

将来よりも今強くなりたいんだな?」

「ええ、もう負けるのは嫌だから」

部長は表情に凄みを含ませながらアザゼルにそう返答した。

だが、俺にはそれ以外の理由がある気がした……こう、

何かを自分から切り捨てたいような気持が……。

「そこでお前に渡したメニューだ。基礎トレーニングはもちろんだがお前には、

キングとしての資質を高めてもらう。キングは時には力ではなく頭を求められる場面もある。

現存している全ての記録、映像を片っ端から見ていけ。そして学べ、

王たる行動を、王たる支配を」

普段のアザゼルからは感じられない強い何かが感じられ、

部長もいつも以上に真剣な様子でその話を聞き、首を縦に振った。

「次は朱乃だ」

「……はい」

朱乃はまだ、アザゼルが嫌いらしい。

その根幹には堕天使……自分の父親のことが関係している。

協調体制になったとはいえ、全ての奴の心が協調体制になったわけじゃない。

未だに各地で協調体制に反発している集団がデモなどを起こしているらしく、

さらには政治家の中にも反対している奴らがいるらしい。

「お前は自分の血を受け入れろ。まずはそこからだ」

「…………」

「ライザー戦を見させてもらったが滑稽だった。なんだあの様は。

お前が持つ全ての力を開放さえしていればあの程度のクイーンは簡単に倒せたはずだ。

たとえ相手がフェニックスの涙を使おうともな。

ゲームの敗因が直接的にお前とは言わんが……少なくとも結末は変わってはいたはずだ。

自らの血を拒むな。血を拒むということはおのれ自身を拒み、

力をも拒むことになる。次、木場」

朱乃にメニューを渡し、下がらせた次に呼んだのは木場だった。

「お前はバランスブレイクを一日何もしない状態で保持できるようにしろ。

そこから実戦形式で一日持つようにできれば倍々に保てる日数を増やしていけ」

「はい」

「剣術に関してはお前に任せる。師匠に行くんだろ」

木場は何も言わず、アザゼルの言葉に首を縦に振った。

木場をここまで至らしめた師匠……どれほどの、強さの剣士なのか。一度、会ってみたい。

「次はゼノヴィアだ。お前はデュランダルを今以上に使えるようになれ。

後、もう一本の聖剣もな」

「もう一本?」

「ああ、次ギャスパーだ」

首を傾け、疑問を感じているゼノヴィアを下がらせ、次に呼んだのはギャスパー。

しかし、ギャスパーはアザゼルに名前を呼ばれただけで、段ボール箱の中で体をビクつかせ、

オロオロしながらアザゼルのもとへ行った。

「お前にはまず、その恐怖心を克服してもらう。

お前の力はいずれ卷族を護る面でも攻める面でも重宝する。

まずは俺が組んだプログラムをこなしていってもらう」

「は、はいぃぃぃぃ! 玉砕覚悟で頑張りますぅぅぅぅ!」

俺からすれば今のギャスパーではアザゼルが考えたプログラムとやらを受ければ、

玉砕覚悟ではなく玉砕することになると思う。

ギャスパーを下がらせ、次に呼んだのはアーシア。

「アーシア。お前も基本的に基礎トレだがお前は戦闘ではなく回復専門だ。

セイグリッドギアのことをもっと知ってもらう必要がある。

そこら辺に関しては後々、マンツーマンで教える」

「は、はい!」

「次、小猫」

呼ばれた塔城が一歩前に出るが、その表情はどこか暗かった。

「お前も基本的に朱乃と同じだ」

その一言で、さらに塔城のオーラも表情を一層暗いものとなった。

どうやらこの卷族は全員、何かしらのコンプレックスを抱いたまま、

悪魔に転生した奴らが多いみたいだな。

「それでイッセー。お前なんだが……ない」

その言葉通り、メニューの紙が俺の分だけあらず、

奴の手の中には既に一枚の紙も残ってはいなかった。

「以前、お前の戦いを間近で見せて貰ったが転生して数か月の新人悪魔で、

ここまで完成された戦いをする奴は初めてだ。

ふつう、どんな新人悪魔も自らの戦い方は分からないもんだ。

主の、同じ下僕の戦い方を見て、参考にして長い年月をかけてようやく、

自らの戦い方を完成させる……が、お前はすでに完成している。

完成したものに手をつけるほど、俺はバカじゃない」

「なら、アザゼル。体術を鍛えさせれば」

「おれも思った。だがな、よくよく考えてもみろ。こいつの魔力は異常な量だぞ?

あの三連戦でも尽きなかった魔力だ。それに魔力に直接干渉することができるのは、

今確認されているものでロンギヌスの二天龍のセイグリッドギアだけだ。

その中で相手にという事で括ればヴァーリのみ。だが既にお前は対策を見つけているんだろ?」

さらなる力で奴を超え、触れさせる前に叩き潰す―――――それがもっとも近道で、

もっとも簡単な方法だった。だが、そうなると……。

「そこでだ。俺はこんなこともあろうかと準備はしてきた。もうすぐ来ると思うんだが」

アザゼルが窓の外を見ようと立ち上がった瞬間、突然、

何かが地面に不時着したようで、すさまじい音の地響きが鳴り響いた。

「ついて来い。お前の師匠だ」

アザゼルに言われ、奴についていき、

外へ出るとそこには俺の中に宿っているドラゴンのように赤い鱗を持ったドラゴンが座っていた。

「ブレイズ・ミーティア・ドラゴンのタンニーン。

元ドラゴンで今じゃ最上級悪魔だ」

「ふん。よくのこのこと悪魔の領地に入ってこれたもんだな。アザゼル」

「まあ、そう言うなよ。今俺がここにのこのこいられるのはこいつのおかげだ」

アザゼルが俺を指さすとタンニーンとやらがこちらを振り向き、その大きな目で俺を見ると、

どこか懐かしそうな表情をし、目を細めた。

「ほぅ。懐かしいオーラだ。随分と奥深くにいるな」

その一言が何を指しているのか、

この場でいる奴でそれを理解しているのは恐らくアザゼルと俺くらいだろう。

あの戦いの中でドラゴンを見たのはアザゼルのみ。

ああやって、ぶつぶつ何やら呟いているのが気付いているという証拠だ。

「で、このガキをどうすればいい」

「あ、ああ。とにかく、戦うだけでいい。全力でいってくれて構わない」

「ほぅ。お前がそこまで言うんだ。これは楽しそうな戦争(たたかい)ができそうだ」

絶対にこいつの中での戦いは、戦いではなく戦争と書いて戦いと読むに違いない。

「リアス嬢。あそこの山を借りる」

「ええ……イッセー」

部長は心配そうな表情を浮かべながら俺を見てきた。

……何故、そこまで心配そうな顔をする。別に大きな戦争に行くわけじゃないんだ。

「何も心配することはない。

俺が強くなることはお前にとってはプラスだろ……それに、俺は死なない」

「そうね……逆にあなたを心配する方がダメね。待ってるわ」

「ああ。背中、乗るぞ」

「ああ、構わん」

タンニーンの背中に飛び乗り、それを確認した奴はその大きな翼を羽ばたかせ、

向こうに見えている大きな山へと飛行を始めた。




とりあえず、ダッシュでISの二次を完結させてやる!
俺、頑張る!
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