ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第三十四話

数日後、俺―――――アザゼルは途中経過を見に行こうと、

イッセー達が向かった山へと足を運んでいた。

手にはイッセーのためにと火花(魔力)を迸らせながら、

女子軍団が気合いを入れて作った弁当が入っている。

にしてもあいつは無意識のうちにハーレムを形成したな。リアスもアーシアも、

朱乃もゼノヴィアもあいつに惚れているしな。

ほんと、俺も若い時は……やってるやってる。

『チョーイイネ! キックストライク! サイコー!』

そんな音声が聞こえた直後、上空からすさまじい爆音が鳴り響き、

周りの木々が強すぎる爆風によってギシギシと音をたてた。

『チョーイイネ! サンダー! サイコー!』

上空の方で緑色の魔法陣が展開され、

そこからタンニーンにめがけてドラゴンの形を模した雷の塊が放たれた。

タンニーンも負けじと火球を放ち、それらが直撃しあった瞬間、

先ほどよりも強い衝撃波が地上に降り注いできた。

「相変わらずの魔力量……それに、

既存の魔法を超える威力……ヴァーリがあいつの正体を秘密にしておくのも分かるわ」

以前、奴が召喚したドラゴンを見て確信した。

召喚された際の姿は以前、見た姿とは程遠く、力も大幅に制限されているようだが確実に、

あれは俺が今まで探し求めていたウェルシュ・ドラゴン―――――ドライグ。

そして、奴の中に眠るセイグリッドギアはトウワイス・クリティカルではなく、

ロンギヌスが一つ、ヴァーリのディバイン・ディバインディングとは対極に位置する力。

赤龍帝の籠手――――――ブーステッドギア。

奴が龍の魔法(ドラゴンズマジック)と名付けたのも頷ける。

それに、次も奴はイッセーと戦いたいがためにあいつの正体は出さず、

ただのおかしな魔法使いとして置いておくつもりか。

戦いにひと段落がつき、息も途切れ途切れの二人が地上に降りてきた。

「どうだ? 調子は」

「はぁ、はぁ。中々のものだ。なんせ、数日間、俺とやりあったんだ」

タンニーンは大きく呼吸し、

それに対しイッセーは背中をつけて寝転がって大きく息を吸っていた。

流石にこいつといえど、最上級悪魔と数日間戦えば魔力も尽きるか。

「ひとまず……飯食うか?」

イッセーの呼吸が整ってからそう言うと、何も言わずに弁当が入った袋を手にとって、

そのままガツガツ食いはじめた。

おぉ、食う速度早ぇぇ~。

「で? 何故、お前が来た」

「ああ、そうだった。イッセー、いったん戻ってこい。小猫がオーバーワークで倒れた」

「それのケアをしろと?」

「それもあるがな」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、そこでターン」

グレモリー本邸からそこそこ離れた位置にある別館の一室で俺は正装に着替えさせられ、

部長と社交界で踊るようなダンスの練習を行っていた。

ずっと考えているんだが何故俺だけがこんな教育をされているのかがさっぱり理解できなかった。

木場やギャスパーなんかは受けていない様子。

「そこで休憩しましょう」

部長のお母様に言われ、俺たちはいったん別々の場所へと分かれた。

部長はビデオの続きを、俺は部屋で休憩をする。

それとなく、本邸の方へ魔力探知をしてみると若干、

弱った塔城の魔力、そして同じ場所に朱乃の魔力を感じた。

だが若干、塔城の魔力が変質しているように感じる。

「イッセーさんは小猫さんが心配なのですね」

微笑を浮かべた部長のお母様がそう言う。

「……何故、そう感じるのですか」

「貴方の視線がずっと本邸の方を見ていましたから……彼女もまた

己の存在を受け入れなければならないのです」

己の存在を受け入れる……あいつも堕天使の血が体に流れている朱乃と同じように、

転生以前は別種族だったという訳か……人間以外の。

「彼女の過去を聞きますか?」

「……いえ、止めておきます」

そう言うと、部長のお母様は少し驚いたような表情を浮かべた。

てっきり、仲間の話は聞くものと思っていたらしい。

「過去が何であれ俺はあいつらの前で言いました……全員を俺が支えてやる。

心が崩れ、絶望したとき。俺はあいつらの支えになる」

そう言うと部長のお母様は笑みを浮かべ、急にポケットから手帳を取り出した。

「今日の二時間の練習を明日に回して今日は終わりにしましょう」

「……感謝します」

正直、感謝できるか微妙だったがとりあえずそう言っておいて、

塔城の魔力を感じるところを転移先へと決定し、魔法陣で転移した。

「イッセー君」

「よう……なるほど、それがお前か」

ベッドの上に頭から猫耳、そしてお尻のあたりから尻尾を生やした塔城がひどく、

落ち込んだ様子で俺の方を見てきた。

怪我自体はアーシアに治してもらったようだが……魔力と心の問題はそう回復することはないか。

俺は何かを話そうとする朱乃を止め、彼女の傍に腰を下ろした。

「……何か用ですか」

いつもよりも棘のある言い方だ。

「そこまで俺が羨ましいか」

そう言うと、肩をビクつかせ、俺から目線を反らした。

今の返答で分かった……こいつのコンプレックスは戦いに関する力。

朱乃と同じように自分の中に流れる血を、力を拒否して全力で戦うことのできない状態か。

「バタバタ敵を倒す強さを持ってる俺がそこまで羨ましいか」

「……強くなりたいです」

彼女は小さな眼から涙をぽろぽろ流しながら、シーツを強く握った。

「強くなって、皆のお役に立ちたい……何よりイッセーさんの隣で戦いたい。

護ってられるばっかりじゃ……嫌なんです」

「なら、その解決方法はもう見えているはずだ」

そう言うが、彼女は眼から涙を流したまま下に俯き、俺とは目を合わせなくなった。

そこまでして自らの血を否定するのか……もしくは、そこまで否定したい理由があるのか。

どのみち、こいつの過去を聞いていない俺にとってはここが限界か。

「血を受け入れたら…………あの人と同じになる気がするんです」

それから彼女の口から自らが血を、力を否定するわけを聞いた。

彼女は猫又―――――その中で最も強い種族の猫しょうと呼ばれる妖怪の生き残り。

彼女はもともとは姉とともに暮らしていたがその姉が上級悪魔に才能を見いだされ、

悪魔となり、共に過ごすこととなった。

だが、転生がきっかけとなり今まで姉の中にあった才能があふれ出し、

どんどん力をつけていき、最終的には力に飲み込まれ、主を殺し、妹から去った。

その後、姉と同じ力を持っていると推測した上層部によって殺されるところを、

リアスの下僕になることで回避した。

話し終える頃には嗚咽が聞こえるくらい、彼女は泣いていた。

姉の力に飲み込まれた姿がトラウマとなり、

自らの力を開放することに戸惑いが生じた……か。

「例え強くなってもあの人と同じになったら意味がないんです!」

俺は何も言わず、白い髪が生えている彼女の頭の後ろを軽く押して俺の胸に当てさせた。

「先……輩?」

「前に言ったな。心の支えになると……お前が絶望しかかっているなら俺は、

お前に手を差し伸べる。力に溺れそうになったのなら俺が引きずり上げてやる。

小猫。自分の力を否定するな。お前の姉が溺れたからと言って、

お前が100%溺れるというわけじゃない。受け入れろ、

そして前を見ろ。力に目を向けなければお前が望むことは達成されない」

「……助けて……くれますか?」

「ああ、助けてやる。お前がどんな存在になろうとも、俺はお前を助ける」

そう言いながら彼女の頭を優しく撫でてやると彼女は少し、

顔を赤らめ下から俺を見てきた。

「俺はそろそろ行く。今度のゲームでお前の本当の姿を見せてくれ。

それと朱乃。お前の本当の姿もな」

そう言い残して、俺は部屋から去った。

 




これからISの二次を書くぜ!
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