ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第三十七話

慌ただしく悪魔たちが動く中、俺――――アザゼルと、

副総督のシェムハザは用意された一室で待機していた。

裏切りのフェニックスが再び、こちらにやってきたそうだが……十中八九、

目的はイッセーだろう。

だから俺は敢えてサーゼクスに援軍を寄越すのを待たせ、

爆発なんかが収まってから援軍を送らせた。

サーゼクスはすぐにでも援軍を送らせたかったらしいがな。

だが、帰ってきたイッセーからの報告によれば、

他のカオス・ブリゲードのメンバーも来ていたらしい。

が、奴は頑なにそのメンバーの名前を明かさなかった。

それに小猫の呼び方も名字から名前に代わっていたし。

「まったく、悪魔の警備はどうなっているのやら」

俺は隣で小言を言うシェムハザを宥めながらも、今はすでに爆発が収まっている方向を見た。

なあ、イッセー。最近気づいたんだがお前は何か隠し事をしていると必ず、

いつも以上に寡黙になるんだよ。

俺が小猫に何かあったのかと聞くと、奴は『何も』とだけ言ってその後の質問には答えなかった。

血を受け入れたんだなと聞いても同じ反応。

恐らく、受け入れたんだろうとは思うが……ほかに奴を頑なにしゃべらせない何かが、

あったのか……それは奴しか知らないことか。

その時、部屋の中に異様な雰囲気が流れた。

入口の方へ視線を向けるとそこには、杖を持ち、質素なローブを着て、

白いひげを床につくくらいにまで伸ばしている爺がいた。

「……オーディン」

「ふん。老体のわしをもう少し労われんかのぅ」

「はっ。アースガルズの主神様は冗談がうまいこった」

アースガルズの主神―――――オーディン。

神の中でもトップクラスの実力を持つ爺。見た目は爺だがその力は絶大なもので、

若い頃は多方の組織から恐れられていたらしい。

「さっき、そこで魔法の小僧に会ったぞ。なんじゃあの雰囲気は。

下級悪魔とは思えんものを放っていたぞ」

オーディンのおっさんが言うんだ。奴の雰囲気、

実力ともに下級の中では異常っていうことか。

「あ奴も貴様が育てたのか?」

「いいや、すでに奴は完成している。基本的に俺は傍観だ」

「そうか。なら、主神として忠告しておこう。気をつけろ。

被害をこうむるのはお主たち自身じゃぞ」

ここまでまじめな雰囲気を放つ爺を見たのは初めてだ。

一体、あいつに……イッセーに何を見たって言うんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シトリー卷族との決戦前夜、翌日のゲームのミーティングを終えた俺は、

夜風に当たろうと本邸の外に出た。

冥界の夜の風はあんがい気持ち良く、風呂から上がった時などが一番心地いい。

ミーティング中、アザゼルからゲーム時、どのタイプなのかについて話された。

パワー、スピード、テクニック、ウィザード。

基本的にギャスパー、アーシア以外はパワーの要素が入っている。

無論、俺も入っているわけだがアザゼル曰く、

俺は全てのタイプを戦闘時に発揮できるタイプらしい。

「先輩」

後ろから声をかけられ、振り向くとそこには色取り取りの水玉模様が描かれたパジャマを、

着ている小猫が立っていた。無論、本来の姿で。

「そこ良いですか?」

「ああ、座れよ」

そう言うと、隣に座るのではなく何故か俺の膝の上に座ってきた。

そのまま小猫はリラックスしたように俺の胸を背もたれにしてもたれかかってきた。

「やはり、落ち着きます」

「何故、膝に座る」

「さっき、先輩が良いって言いました」

ふつう、さっきの質問文を聞いたら隣に座っていいですかっていう風に、

解釈するのが普通だと思うんだがな。

そんなことを思いながらも俺は小猫を膝に乗せたままにした。

夜風に当てられ、小猫の白い毛なみの尻尾が右に左に揺れ、彼女の白い髪の毛も揺れる。

「先輩は……猫は好きですか?」

「猫か……残念ながら動物にはあまり興味はない……が、

今膝の上にのっている猫なら興味大ありだ」

そう言い、俺は彼女の両脇に手を入れ、持ち上げ、

そのまま肩車をして立ち上がった。

「どうだ?」

「高いです……向こうの景色まで見えます」

「俺はお前の最後の希望であり、さらなる高みへとお前を補助する。

明日のゲーム、楽しみにしているぞ」

「はい」

肩車をしているせいで、彼女の表情は見えないが雰囲気から、

満面の笑みを浮かべているのだろうと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決戦の日、グレモリーの居城地下にゲーム会場へと転移される魔法陣が出現し、

辺りを明るく照らした。

俺達の背後には見送りとして部長のご両親、ミリキャス様、アザゼルが来ていた。

この場に居ないグレイフィアさんとサーゼクス様はすでに要人席へと移動し、

会場で待っているとのこと。

「取り敢えず、行って来い」

「頑張ってください! リアス姉様!」

ミリキャス様の応援の声が聞こえたと同時に魔法陣がその輝きを増し、

直に転移することを俺たちに知らせてきた。

その輝きは徐々に強くなっていく――――――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ほぅ」

輝きが消え、目を開けた先には見慣れた光景が広がっていた。

テーブルだらけのフードコート、周りには本屋、

文房具屋など幅広い種類のものの店が並んでいた。

少し、外へ出て回りを見てみるとやはり俺の記憶の中にある光景とズレ一つなく、

合致する光景が広がっている。

「学園近くのデパートが舞台とはね」

部長も今回のゲームの会場に関して驚いていた。

『皆様。今回、このゲームのアビター役を務めさせていただきますルシファー卷族、

女王のグレイフィアでございます』

店内アナウンスからグレイフィアさんの声がショッピングモール全体に広がり、こだました。

『両者の本陣はそれぞれの転移先となります。リアス様が二階東側。

ソーナ様が一階西側となります。なお、今回は特殊ルールとしまして両陣営に、

フェニックスの涙を一つずつ支給しております。陣営近くに置いてありますのでお確かめ下さい。

そして、作戦を練る時間は三十分です。

この間の両者の接触を禁じます。それでは作戦時間です』

部長は転送されてきた用紙に目を通し、時折眉間にしわを寄せたりした。

「特殊ルールとしてデパートは破壊しつくさないこと。若干は許してくれるでしょうけどね」

つまり、ゼノヴィア、部長、副部長なんかの全力の攻撃はまず、

屋内では防がれたということか。

俺に関しては景観にあたりそうになったらコネクトで、

外に空間をつなげて外部に放出すればいい。

「それと……ギャスパーのセイグリッドギア使用禁止。

理由は単純。暴走の危険性があるからよ」

その後、十五分ほど作戦会議が行われ、残りの十五分のうち、

十分間、各々の自由時間に当てられた。

特にやることもない俺は、

最初の本陣のフードコートでのんびりしていると隣に朱乃が座ってきた。

「……イッセー君。今日、貴方の前で力を使います」

なるほど……覚悟を決めたという訳か。

「そうか。楽しみにしている。お前の本当の姿を見せてくれ」

「はい♪」

朱乃は笑みを浮かべながら俺の腕に抱きついてきた。

直後、朱乃とは逆の方向に部長が座り込んできて、

無言のまま俺の空いているもう一方の腕に抱きついてきた。

「あらあら、嫉妬ですの?」

「ち、違うわ! こ、これは……イ、イッセー成分を貰っているのよ!」

とてつもなく言い訳にならないような言い訳を言っているな。

まあ……これで二人が落ち着くというのであれば俺は何も言わん。

ふと、時計を見てみると定刻の数分前になっていた。

「時間だ。さあ、相手方に見せてやろうじゃねえか。俺達の力を」

「ええ」

「もちろんですわ」

俺たちは立ち上がった。

数分後、全員が集合し、時計が試合開始時刻になった瞬間――――――。

『それでは開始です』

ゲーム開始の合図が響いた。




今日のスーパーヒーロー大戦見ました?
テレビ版だからカットされていましたけどやはり良かったです!
それだけに次作のZが残念でした。
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