ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第三十八話

「さあ、仕事の時間だ」

耳につけたイヤホンマイクから進めという合図が入り、

小猫と一緒にショッピングモールのある区画へと向かっている。

既に空は暗く、それに従ってモールの中も暗く、静かなものだった。

「……真正面からとわな」

歩いていると目の前に二人の人影が見え、立ち止った。

一人は陰からでも分かる男、もう一人は小猫と同じか少し大きい背丈の女。

「仁村。小猫ちゃんは頼んだ」

「まかせて下さい」

俺は何も言わず、小猫の方を見ると彼女は一度だけ首を縦に振って相手と一緒に、

離れた場所へと向かった。

「兵藤……俺はお前が嫌いだ」

「奇遇だな。俺もお前が嫌いだ」

「……頭が良いからってあまり調子に乗るなよ!」

そう言い、俺に向かって拳を突き出す格好をすると一本の黒い何かが、

俺に向かって伸びてきた。

『コネクト、プリーズ』

しかし、黒い線は魔法陣を貫通するとまったく別の方向へと向かい、

どっかの壁にぺたっとくっついた。

「ちっ! またそれかよ!」

プチンと音が聞こえ、魔法陣が消滅すると黒い線も強制的に切断されて、

壁にくっついていた先端は消滅した。

「俺はセイグリッドギアを持ってんだよ……でも、使わねえ」

「……」

「この体でてめえを倒す!」

そう言い、相手は俺に向かって殴りかかってくるが相手の拳を掴み、

そのまま俺自身が回転すると、相手も回転し、地面にたたき落とした。

「ぐっ! まだだ!」

相手は地面に倒れた体制のまま足払いをかけてくるが、

それを軽く飛んでかわしながら相手の顔面に蹴りを入れると男は鼻を押さえながらも、

俺に対する睨みだけはなくさず、いったん立ち上がって俺から距離を取った。

「魔法だけしか使えねえ奴かと思ったのに……くそ!」

相手は毒づきながら俺に殴りかかってくるが、

それを手のひらで別の方向で流すようにいなし、

そのまま相手の腹に一発、拳を打ち込んだ。

「げほっ! がっ! ごぼ!」

蹲った相手の後頭部に打撃を一発くらわし、

さらに下に落ちてきた相手の顔めがけてひざ蹴りを加え、

上を向いた瞬間に頭突きをかました。

ちょうど、相手のあごに俺の凸がぶつかり、相手は二三歩、後ずさった。

「どうして魔法を使わねえ!」

相手は叫びながら俺に蹴りを加えてきた。

それを片腕で防ぎながら相手の目を見た。

「お前が自身の力を使わないのなら俺も使わない。俺も体で貴様を倒す。それだけだ」

「ふざけるな!」

相手は連続で蹴りを加えてくるが、それらは全部、

ヤンキーが喧嘩なんかでやるような蹴りで、全て足と手で防いだ。

「俺が学校へ行かない理由知ってるか?」

「どうせ、頭良いから行かないんだろ!」

相手の蹴りを避け、俺は少し距離を取った。

「違う。俺の母親は車いす生活なんだよ。誰かの補助がないとダメなんだ。

ヘルパーさんを頼めばそれだけ金がかかる。だから、

俺は学校の制度を利用して朝から晩までバイトしてたんだ」

俺の話を聞いた生徒会の男は顔に驚きの表情を浮かべた。

「嘘じゃない。そう思うならこの戦いの後、会長に聞いてみろよ」

「そんな……そんな冗談で俺が迷うと思ったのかよぉぉぉぉぉ!」

その一言を聞いた瞬間、一瞬で頭に血が上り、

感情に任せたまま相手の顔面を殴り飛ばした。

「ぎゃ!」

思いのほかうまい具合に入ったらしく、相手は数秒痛みにのたうち回った。

「冗談だと……お前は徹底的に俺が潰す」

『ウォーター・ドラゴン。ジャバジャババッシャーン、ザブンザブン!』

「な、なんだ!?」

「かかってこい」

相手は俺の突然の変化に驚きを隠せないながらも殴りかかってくるが、

俺は相手の拳を手で弾き、相手の顔面に一発、拳を入れた後に蹴りを入れ、

さらに数歩後ずさった相手の後ろに転移し、水の魔力を纏わせた蹴りを背中に叩きこんで、

壁を突き破らない程度に吹き飛ばした。

「がっ! 兵藤…………兵藤ぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

奴が叫ぶと同時に全身から黒いチューブのようなものが大量に出現し、

一気に俺に向かって飛んできた。

『チョーイイネ! ブリザード! サイコー!』

目の前に青い魔法陣を出現させ、そこに手を置いて魔力を注入すると冷気が放たれ、

俺に向かってくる黒いチューブどもを凍らせていった。

大量の黒いものは数分で、全て氷漬けにされ、さらに根元の奴の腕も凍りつき、

足も凍りついて動けなくなった。

「っ! こんの!」

必死に奴が手元の氷を砕こうと叩くのを見た俺はすぐさま、魔法陣を消失させて、

氷の塊を殴りつけ、砕いていきながら徐々に奴の元へと向かう。

砕くたびに周りに氷がばら撒かれていく。

『チョーイイネ! キックストライク! サイコー!』

「兵藤ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

奴は凍り付いた腕のまま、俺の鎧の顔の部分を殴りつけるのと、

俺の蹴りが奴の脇腹を蹴るのは同時だった。

「ぐっ!」

奴が口から血反吐を吐いた瞬間、奴の腕にあった黒い何かが消え去り、

徐々に奴の身体が光に包まれて、転移された

『ソーナ・シトリー様のポーン二名、リタイア』

俺が倒したのと同時に小猫の戦いも決着がついたのか、

放送で案内されたポーンは二名だった。

「イッセー先輩。行きましょう」

「…………ああ、行こうか」

俺は小猫とともに先へと急いだ。

少し走ると前方に集団が見えた。

俺達が走っている最中に木場達も集合し、その集団がいる場所で止まった。

あの集団がいる場所……実はショッピングモールの中には少し広い広間があり、

その広間には小さな子どもたちが遊べる場所になり、

さらに保護者は広間を囲う円形のベンチに座り、子供を見られる。

安心と安全を……そんなモットーで作られたのがこの広間だった。

ギャスパーとゼノヴィアがいないということはやられたか。

今、目の前には俺達の人数と同じ数の敵が並んでいた。

「それが噂の龍の魔法(ドラゴンズマジック)……凄まじいオーラですね」

会長がメガネ越しに俺の鎧を見てくる。

「ソーナらしくないわね。全員集合させるなんて。

それともこれも貴方の作戦のうちなのかしら?」

「いいえ、リアス。これは作戦ではありません。私の予想通りです。

私の作戦で倒せるのは多くても三人、下手すれば誰も倒せないと踏んでいましたから」

その作戦に俺たちはまんまとはまり、二人の駒を失ったわけか。

「兵藤君。匙はどうでしたか」

「……俺とはま逆の熱血野郎。そんな感じだった」

そう言うと、会長はうっすらと笑みを浮かべた。

「そうですか……ここからは乱戦。リアス、私たちは屋上でやりあいましょう」

「ええ」

そう言い、部長と会長は翼を広げて、屋上へと向かっていった。

キングが抜け、残りは下僕……この広間は下僕同士での乱戦会場になるって言う訳か。

「アーシア。下がっていろ」

「は、はい」

アーシアを下がらせ、一触即発の空気が流れる中、

長刀を持った副会長が一歩前に出た。

「兵藤一誠君。私はあなたに勝負を申し込みます」

「てっきり木場かと思ったんですが……いいか?」

木場の方を向き、そう尋ねると木場は何も言わずに首を縦に振った。

『ハリケーン・ドラゴン。ビュー! ビュー! ビュービュービュー!』

辺りに強風が吹き荒れるなか、音声が響き渡り、

青色だった鎧が風を纏ったドラゴンの幻影が消え去ったと同時に緑色へと変わった。

『コネクト、プリーズ』

『コピー、プリーズ』

アスカロンを呼び出し、それにコピーの魔法をかけると俺の手元にも、

う一本のアスカロンが現れ、それぞれを逆手に持って構えた。

「さあ、ショータイムだ」

その一言で俺と副会長が駆け出し、金属音を響かせた瞬間、

それが乱戦の開始の合図となった。




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