ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第三十九話

「はぁ!」

振るわれる長刀の一撃をアスカロンで防ぎ、

もう一本で斬ろうとするが相手は悪魔の翼を羽ばたかせ、距離を取って避ける。

既に広場は乱戦と化しており、あちらこちらから爆音、金属音などが響き渡っていた。

その中でも最も調子が良かったのは小猫と朱乃だった。

今までコンプレックスで使うのを拒んでいた力を俺の前で、

存分に発揮して相手を倒さんとしていた。

会長の下僕たちもこちらを倒そうと必死だ。

「はぁ!」

両手を広げ、風を身に纏いながら高速回転して副会長を切り刻もうとするが、

相手は長刀で俺の高速回転からの斬撃を防いでいた。

斬撃が長刀にぶつかるたびにギギィィ! という金属音と火花が散り、耳をつんざく。

「流石ですね! 魔法に関しては私たちを遥かに超えている!」

今の状況に楽しみを感じているのか、副会長は笑みを浮かべながら俺に斬りかかってくる。

『ソーナ・シトリー様のルーク一名、ナイト一名リタイア!』

二名の脱落がコールされるとともに副会長の斬撃にも熱がこもり、

さらに強くなってくる。

「はぁぁぁぁぁ!」

上空で雷撃が迸り、地面に大きな穴があく―――――拳の一撃で地面に大きな穴があく。

「喰らいなさい!」

副会長は全身から魔力を迸らせ、それを斬撃に乗せて俺に放った。

「おっ」

態勢を横にずらし、それを避けると壁にでも当たったのかピシィ! という音が耳に入り、

瓦礫がガラガラと落ちてゆく。

「きゃっ!」

「っ!?」

後ろ方アーシアの小さな叫び声が聞こえ、振り返ると瓦礫が落ちていく下に、

頭を抱えて伏せているアーシアがいた。

「はっ!」

体を一回転させると小さな竜巻が起こり、

それが上から降ってくる瓦礫を全て空の彼方へと吹き飛ばした。

ここでは危険すぎるか。

「木場。アーシアを」

そう言うと木場は首を縦に振り、アーシアを抱えてどこかへと消え去った。

数的には俺達の方が上、一人抜けても大丈夫か。

「ううぇぁ!」

「くっぅ!」

俺の蹴りを長刀で防いだ副会長だがそのまま力づくで蹴り飛ばすとちょうど朱乃の攻撃を避け、

下に降りてきた生徒会メンバーとぶつかり、一瞬動きが止まった。

『チョーイイネ! サンダー! サイコー!』

緑色の魔法陣を展開し、そこへ手を置いて魔力を注入するとドラゴンの形をした雷撃が放たれ、

さらに二人の上空から朱乃の雷光が同時の落ちてきた。

「副会長!」

上から降りてきた女子が副会長を押し飛ばし、俺と朱乃の放った雷撃に飲み込まれた。

「巴柄!」

二つに飲み込まれた女子は体からプスプスと煙をあげ、光に包まれ、転移された。

「はぁ!」

「がっ!」

小猫の声が聞こえ、

そちらを振り向くと打ち込まれた拳によって魔力が拡散した女子が蹲っていた。

『ソーナ・シトリー様のナイト一名、ビショップ一名リタイア』

これで残るは会長、副会長のみ。

屋上では先ほどから二人の魔力がぶつかり合っていた。

「流石はグレモリー卷族ですね。策を張ってもそれを超える力で策すら打ち壊してくる。

とても同期とは思えません」

まあ、そこらの同期よりも強い奴らと戦ってきたせいもあるがな。

「そろそろゲームも終わり……私は会長が負けない限り戦い続けます!」

長刀を握り締め、俺と朱乃、そして小猫を睨みつけながら立ち上がった。

「……決着をつけましょう。副会長」

二振りの剣を手に持ち、構えると副会長も両手で長刀を握り締め、

俺を強く睨みつけてきた。

屋上からの爆音が鳴り響く中、その爆音が消えた瞬間―――――俺達は同時に走り出した。

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

副会長は今もてる全ての魔力を斬撃に乗せ、

先ほどよりも数倍大きい斬撃を俺に向かってはなってきた。

副会長の会長に対する想い――――驚くばかりだ……だが、俺たちとて主である部長に、

勝利を届けたいという思いはおなじ!

『ハリケーン、スラッシュストライク! ビュービュービュー!』

「はぁ!」

二本同時に発動させ、魔力を剣に纏わせて、二つを交差させて放たれた斬撃にぶつけると、

凄まじい爆音を響かせながら、副会長の斬撃が霧となって消滅した。

そのまま俺は刀二本を握り締め、副会長へとかけだし、そして―――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

辺りに静けさが戻る中、ピチャピチャと地面に水滴が滴り落ちるような音が聞こえてくる。

『ソーナ・シトリー様のクイーン一名。リタイア!』

『リザインを確認。リアス・グレモリー様の勝利です』

クイーンが脱落したことを知らせる放送の後、ゲームの勝敗がついたことを知らせる放送が流れ、

俺達の勝利が確定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲームが終わってから数時間後、

俺は自販機で飲み物を購入して設置されているベンチに座り、飲んでいた。

今回のゲーム、結果は俺達の勝ちだが評価の上がり幅でいえば会長の方が大きかった。

というよりも、お偉い方は最後の乱戦で盛り上がったらしく、

評価云々のことはすっかり忘れていたらしい。

さっき、アザゼルから聞いた話によるとだが。

「……どうした?」

目の前に誰かの足が見え、顔を上げずにそのまま尋ねると突然、

そいつは床にデコを付ける勢いで土下座をした。

「すまない! お前のおふくろさんのことを冗談なんて言って!」

そうか……会長から聞いたか。

根は悪くはないんだろうが……本質を見抜けないようじゃまだまだだな。

「俺の事情を知らないということを踏まえればお前の態度は至極当然のこと……それに、

謝ってくれればそれでいい」

「い、良いのか? 俺は」

「良いと言っている……そう言えばまだ、自己紹介していないな。

リアス・グレモリー卷族属ポーンの兵藤一誠だ」

「……ソーナ・シトリー卷属のポーン! 匙元士郎だ! 

いつか必ずお前を倒してみせる!」

そう言い放って匙はそのままどこかへと走り去った。

その直後、俺の隣に凄まじい何かを持った人物が座りこんだ。

「今回のゲーム、なかなか面白かったぞ。坊主」

「……アースガルズの主神様が一人でいいんですか?」

俺の隣に座りこんだ人物はアースガルズ主神、オーディンだった。

「構わんよ。今頃、ロスヴァイセは探しておるじゃろうがな。

さて、話を戻そうかの。先ほどのゲーム、見ておったが中々じゃったぞ」

「それはどうも」

「お主の中に眠るドラゴンとも仲良くな」

「……何故、それ……」

何故、知っているのか聞こうと振り向くが既に俺の隣には主神様はおらず、

あったのは飲みかけの紙コップだけだった。

「イッセー! そろそろ行くわよー!」

遠くから部長の声が聞こえ、紙コップをグシャッと潰してゴミ箱に入れてから、

部長のもとへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八月も後半に入り、俺達はグレモリー邸の前で列車が来るのを待っていた。

「あっという間だったわね、イッセー」

「ほんと。イッセー君とデートしたかったですわ」

とりあえず、俺の両腕に抱きついている二人は放っておくことにしよう。

そんなことを思っていると遠くの方から列車が来る音が聞こえ、

数分後に列車が俺達の前に止まり、停車した。

「また来てくれ。ここを我が家だと思って構わんからね」

「はい。また来ます」

荷物の搬入も終わり、列車に乗り込むと発車を知らせるベルが鳴り響き、

ドアが閉まって列車は動きだした。

ふと、窓の外を見るとグレイフィアさんとサーゼクス様、

そしてミリキャス様が集まっているのが見え、

その光景が俺の頭の中にある昔の幸せな映像とぴったりと一致した。

……なるほど。

俺は窓を閉めて、その光景から視線を外すと膝の上に猫耳、

尻尾のフル装備の小猫が乗っかってきた。

「にゃん♪」

満面の笑みを浮かべ、小猫は俺に抱きついてきた。

俺としては力を超えたことに嬉しさを感じるんだが周りの視線が痛いのでとりあえず、

俺の隣の席に座らせた。

「イッセーさん」

「ん?」

アーシアに呼ばれ、振り返るとそこには真剣そのものの表情をした彼女が立っていた。

めったに見せない彼女の真剣な表情に周りにいた全員が表情を硬くして、見守った。

「どうかしたのか」

「……わ、私はイッセーさんから卒業しようと思います!」

その瞬間、俺の中にある時間という時間がすべて停止した。

……そ、卒業…………お、俺から? つ、つまりアーシアは俺を頼らなくなる……のか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッセー君。イッセー君、着いたよ」

「あ、ああ」

木場に呼ばれ、ボーっとする頭で何とか列車から降りるとアーシアが、

見知らぬ男に絡まれているのが見えた。

男は胸の部分をアーシアに見せると、

アーシアは何かを思い出したかのように表情をはっとさせてその傷を見た。

「思いだしてくれたかい? あの時は迎えに行けなくてごめん。

アーシア、もう君の傍から離れない。僕と結婚しよう」

今度は時間が止まるどころか、全ての時間が粉砕されたような気がした。




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