ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第四十四話

木場がフリードを倒したことにより、俺たちは最終ステージへと進んだ。

そこは今までの空間よりも倍ほども大きい場所で、奥には巨大な装置が設置されており、

壁には魔法陣が描かれており、その魔法陣の中央にアーシアが貼り付けにされていた。

「やあ、やっと来たんだね」

装置の奥から笑みを絶やさないディオドラが出てきた。

奴さえ……奴さえいなければ…………アーシアは。

「……イッセーさん?」

彼女の声が聞こえ、そちらを向くと目を真っ赤にはらしたアーシアが俺を見ていた。

「ディオドラ……話したのか」

「ああ、彼女の泣き叫ぶ声はどんな音楽よりも素晴らしかった!

録音して一生、聞きたいくらいだよ!」

「お前のせいで……アーシアは魔女なんて呼ばれたんだぞ」

「ああ、それも僕の計画の一つだった。だが、君が来たせいで破断だ。

君さえいなければ彼女も悲しむことはなかった」

直後、俺の周りの地面に大きな穴があき、

その穴から無数の小さなひびが放射線状に放たれていく。

俺は手と手を合わせ、四種類のドラゴンの魔法を一つに重ねていた。

それによる反発がこれだ。持って数分。普通に戦えば奴をリスクなしに倒せるだろう……だが、

それじゃダメだ。奴の精神を断ち切るほどの圧倒的な力でつぶさなければ。

「君の前で無理やり、アーシアを犯すのも」

『スペシャルラッシュ! フレイム・ウォーター・ハリケーン・ランド』

「ん?」

俺の背後に赤、青、黄、緑の魔法陣が現れ、

そこからそれぞれのエレメントを纏ったドラゴンの幻影が現れ、赤と青、

緑が俺の背後から、黄色が俺の周りを旋回し、

消滅すると赤い鎧を基調としてそれぞれのドラゴンスタイルでのスペシャルで、

発現する装備が全身に装備された。

だが、所々からバチバチと放電しており今にも崩壊しかかっていた。

「これが最後の希望だ!」

ディオドラは俺の姿を見て、六つの連続した魔法陣を真正面に展開させるが―――――――。

「がっ!」

展開された全ての魔法陣は体当たりで砕け、奴の腹部に俺の両方のクローが突き刺さり、

そのまま胸のドラゴンの頭部から炎を放ち、吹き飛ばした。

「ありえない……僕は旧ベルゼブブと同じ力を持っているのに!」

『チョーイイネ! ブリザード! サイコー!』

「今度こそ!」

青い魔法陣が出現し、冷気が放出されてディオドラが展開した魔法陣を全て一瞬で凍らし、

そこにドラゴンのクローから爪の形をした魔力の一撃を放って、

全ての凍り付いた魔法陣を粉砕した。

「こ、こんな」

奴が今の現状を逃避している間に翼を羽ばたかせ、奴が反応する前に至近距離まで近づいて、

ドラゴンの頭部から炎を噴射した。

「ぎゃぁ! 熱! ぁがぁ!」

至近距離で炎を喰らったディオドラは焼け焦げた部分を押さえて痛みにのたうち回った。

『チョーイイネ! サンダー! サイコー!』

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

奴の頭上に緑色の魔法陣を展開し、そこからドラゴンの形をした雷撃を放った。

雷撃はディオドラを飲み込み、奴の周りの地面を大きく抉り、奴の全身に人間が喰らえば即死、

悪魔でも意識は保てないほどの電撃を広げていく。

『チョーイイネ! グラビティ! サイコー!』

「があぁぁぁぁぁ!」

今度は黄色の魔法陣に入れ替え、奴の重力を何十倍にも変化させて地面にめり込ませ、

今度は体が浮くくらいにまで重力をなくし、一瞬で重力を何十倍にも跳ね上げ、

地面にたたきつけた。

これを数回やってやった……奴が叫びをあげようとも。

『チョーイイネ! ブリザード! サイコー!』

「あ、あぁ足が!」

重力を元の状態に戻し、奴が立ち上がったところに冷気をぶちこみ、

奴の両足を地面ごと凍らせた。

一歩ずつ奴へ近づいていくと、奴は表情をこわばらせ、

体をガタガタと小さく振るわせ始めた。

今頃、絶望し始めたか……もう少し、

貴様の自信と余裕が続いていればもっと面白いことになったんだがな。

「ディオドラ・アスタロト」

「ひっ!」

「知ってるか? 人間ってな、徐々に四肢を凍らされたら痛みを感じるんだが、

一瞬で四肢が凍った場合は神経が脳に伝えないんだよ。両足の感覚がないだろ?」

ディオドラは目に涙を一杯、溜めながら俺の質問に首を振った。

「んじゃ……砕くか」

「ま、待ってくれ! 二度と彼女には近づかない! 君の前にも近づかない!

そ、そうだ! これでも僕はアスタロト家の次期当首なんだ! お金だって大量にある! 

流石に全部は無理だが半分くらいなら君に」

「ディオドラ。男がそんな真似をするな……死ね」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

体を反転させ、その勢いで尻尾をディオドラへと向かわせる。

凄まじい速度で近づいてくるドラゴンの尻尾にディオドラは眼から涙を流しながら、

死という恐怖により絶望し、狂ったように叫びを上げ始めた。

『私は彼を救ったことを後悔していません』

その時、ふとアーシアの声が頭の中に響いてきた。

もう尻尾は奴の脚に近くに向かっている……止めることはできないが方向を、

変えることくらいはできる……だが……それでいいのか。

俺は…………俺は!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――その時、何かが砕け散ったような音が聞こえた。

―――――氷が砕ければ小さな氷の粒が空気中にばら撒かれ、キラキラと光を浴びて輝く。

だが、砕け散った際に飛び散ったものは光が当たっても光も、何も反射なかった。

「い、生きてる? 生きてる! あ、足もなおってる!」

ディオドラが生きていることに喜びの声を上げながら飛び跳ねている最中、

俺はいまにも目の前の奴をクローでズタズタにしようとしていた。

だが、そのたびにアーシアの悲しそうな顔が思い浮かぶ。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

俺はかなりの魔力をこめた両方のクローを地面にぶっ刺すと地面が黄色に輝きだし、

神殿全体を大きく揺らした。

クロー自体、ぶっ刺した瞬間に砕け散り、

それに伴って崩壊しかかっていた全ての武装が完全に崩壊し、元の姿に戻った。

ディオドラは大きな揺れに腰を抜かして、地面にへたり込んでいた。

「もし、今度アーシアに近づいたら……さっきのをお前の身体に流し込んでやる……いいな」

俺の質問にディオドラは首を上下に振り、恐怖に顔を歪めながら承諾した。

俺はディオドラを放置してアーシアのもとへと駆け寄った。

「イッセーさん!」

「終わった……すべて終わったんだ。帰ろう」

そう言いながらアーシアの頭を一度、

優しく撫でた後に彼女を拘束している器具をはずそうとするが―――――――。

「……外せない」

「そんなバカな」

後ろからゼノヴィアも参戦して二人同時に拘束具をガチャガチャと動かすが一向に、

外れる気配を見せなかった。

どんなに強く殴ったり、剣で切っても傷一つつかなかった。

「それは外れないよ。設計上、発動すれば一度しか使えないが逆を言えば、

一度発動すれば条件を満たすまで解除されない」

「その条件は」

木場が怒気を含ませ、ディオドラに尋ねた。

「アーシアのセイグリッドギア……トワイライト・ヒーリングを発動すること。

ついでに言えば効力はこの空間にいる全ての存在に効果をリバースし、

何十倍にも高めたものを広げる」

もともと、俺たちごと現政権の重役達を消す算段か!

俺はすぐさま、壁に展開されている魔法陣に手を置き、

目を瞑ると魔法陣の情報が流れてくる。

結界にはどこか必ず、効力が薄い部分がある。そこへ、

外部から魔力を加えてやればどんなものでも…………ない。

ひと通り、魔法陣の情報を探ってみたが一切、綻びという点が存在しない

完璧な結界だった。どこの点も面も効力は均一。

本当に解除する方法は……発動するだけか。

「……全員、俺から離れてくれ」

「イ、イッセー君? 何を」

「木場。できるだけ、全員を俺から離れさせろ。

今からこの魔法陣に俺が今、持っている全ての魔力を注ぎ込んで破壊する。

その際に衝撃波が放出されることが予想される」

「わかった」

木場の先導のもと全員が俺から離れ始めるが、

部長だけはジッと俺を見るだけで離れようとしなかった。

「イッセー……本当のことを言って頂戴。貴方は今から何をするの」

「ですからこの結界を」

「貴方が目を瞑りながら喋っているときは嘘をついている……貴方のお母様から聞いたわ」

なるほど……母さんからの情報を知っていた部長だけが残ったという訳か。

「きゃっ!」

少々、手荒な方法だが俺は全身から魔の波動を放出して部長を軽く吹き飛ばすと俺とアーシア、

そして彼女を拘束している結界を覆うように俺特製の見えない結界を張った。

既存の結界に、外からの攻撃と同じ威力の衝撃を外へ放出する一品だ。

無論、外部からの音も遮断する。

だから、外で部長達が結界を叩きながら叫んでも一切、

その内容は入ってこないし音も聞こえない。

「イッセー……さん」

「さて、アーシア……使うんだ」

「嫌です! そんなことをしたらイッセーさんが」

「俺のことは良い。使うんだ」

それでもアーシアはセイグリッドギアを使おうとしなかった。

まったく……こいつの性格が今となっては憎いよ。

「アーシア……お前、俺から卒業したいって言っていたな」

「……はい」

「だったら卒業課題を出す。セイグリッドギアを今ここで使うんだ」

「ひどい……です! イッセーさんはひどすぎます!」

「ひどいのが俺だ。アーシア、お前は傷を癒せる。

使った後でまた俺を治してくれ。お前は俺の希望だ」

「イッセーさん…………イッセーさん!」

刹那、彼女の全身から優しい光が溢れ出てきた。

それの伴い、彼女の後ろに展開されている魔法陣が怪しい輝きを放ち始めた。

 

 

 

 

 

 

―――――そこで俺の意識はなくなった。




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