ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第五十話

イッセー君のお母様がお亡くなりになってから二週間ほど経った。

あれ以来、イッセーは部屋から出てこず、私――――リアス・グレモリーが、

彼を呼んでも一切応答せず、

ドアの前に置いているご飯にも手をつけていない日がかれこれ一週間は続いている。

「イッセー? 起きてる?」

ドアを軽くノックして、彼に呼び掛けるけど部屋からは物音すら聞こえてこなかった。

鍵自体は開いている……でも、全員が彼の部屋の中に入ることをしなかった。

「イッセー……入るわね」

私は意を決して彼の部屋の中に入ると彼はベッドの上で頭を抱えた状態で座っていた。

以前は頼もしいくらいに魔力のオーラを感じたのに今は、

嘘のように魔力のオーラが感じられない。

「イッセー?」

彼の手に軽く触れて呼びかけると少し顔を浮かせて眼だけを私に見せてきた。

「ねえ、イッんんんん!?」

突然、彼に手で口を塞がれて押し倒された。

驚きながらも彼の顔を見てみると醜悪な笑みを浮かべたイッセーが……いや、

イッセーの顔を借りた何かがいた。

「たっく、なんでこんないい女を抱かないかね~」

「んんんんん!」

「喋るな。斬るぞ」

魔法陣からアスカロンの刃を少しだけ出して私の首筋に軽く当てると、

聖なるオーラで皮膚に痛みが走った。

だ、誰!? 誰なの!?

「誰だって顔してるな。俺だよ。兵藤一誠。

お前が愛してやまない男だよ。分からねえか?」

そう言いながら彼は私の服に手をかけて胸の部分を無理やり、露出させた。

「騒ぐなよ? 首飛ぶぞ?」

本来なら愛している彼に押し倒されて嬉しいはずなのに……今は、

嫌悪感しかなかった。全身を嫌悪感が駆け巡り、鳥肌が立っている。

彼が私の胸を揉んでも、

気持ち良くなんかなくて吐くくらいに気持ち悪くて仕方がなかった。

「はは。俺に恐怖を抱いているか」

私は必死に首を左右の振ってそれを否定しようとした。

「いいや違うね。もし恐怖を抱いているなら……下にいる仲間が、

気づくくらいに魔力を開放したりしないよな?」

「部長!」

ドアを蹴飛ばしながら聖魔剣を握り締めた祐斗に続いて続々と皆が部屋の中に入って来て、

祐斗が彼に剣を振るうけどイッセーはそれをヒョイッと交わしてベッドの上に立った。

「お前は誰だ!」

「誰……そう聞かれたら難しいな。俺は俺であり、俺ではない」

そう言って、イッセーは目を瞑った。

「…………な、何をしてんだよ。お前ら」

「それはこっちのセリフです……どうして部長を」

突然、目の前に立っているイッセーの姿をした何かは周りを見渡してオドオドしだした。

「待って下さい! 彼はいつもの」

「下がっていてください朱乃さん!」

「まっ」

朱乃が祐斗の腕に抱きついて剣を降ろさせようとしたけど、

彼はそれを振り切ってイッセーの首筋の辺りに振り下ろすけどイッセーは、

戸惑いの表情を浮かべながらそれを避けた。

い、今の彼は本物の―――――――。

私が止めようとしたときに、

ゼノヴィアが割り込んで木刀をイッセーに向かって振り下ろす。

「っっ! な、なんで」

待ってみんな! 今の彼はイッセーなの! 

あの禍々しいオーラは違うイッセーが出していて!

「……ハハ」

そのことをみんなに叫ぼうとしたとき、

突然イッセーが額を押さえて軽く笑いだした。

「……そうか……全員、俺が怖いんだな……俺が怖いから!

皆、俺を殺そうとするぶっ!」

イッセーが叫んだかと思うと、突然彼の口から赤い血のようなものが吐き出され、

床に付着するかと思えば、意志があるかのようにウネウネト動き出し、

イッセーの体に付着すると徐々に彼の身体を、以前の暴走体に変えていく。

血のように赤い体色、徐々に出来上がりつつある仮面。

「ぐおあぁぁぁ!」

イッセーは顔を抑えつけて苦しみだし、そこでようやく皆が気付いた。

彼はいつも見ているイッセーだということに。

すると、床に魔法陣が展開され、

そこからアザゼルが現れてイッセーの服の首のところを掴んだ。

アザゼルは一瞬、私達の方を見て申し訳なさそうな表情を浮かべ、

そのままイッセーを連れて魔法陣の輝きの中へと消えていった。

「イッセー君!」

「朱乃!」

イッセーの後を追って魔法陣の輝きの中に消えた朱乃を追いかけ、

私たちも輝きの中に突っ込むと、

先ほどの魔法陣は転移用らしく私たちは見たこともない広い場所に出た。

建物も何もない未開発の土地。

「シェムハザ! 術式を起動させろ!」

アザゼルの怒鳴り声がきこたかと思えば、イッセーを挟み込むように上と下に魔法陣が展開され、

地面にある魔法陣から光輝く帯のようなものが幾重にも重なって排出され、

その帯がイッセーを雁字搦めに拘束していく。

「くそ! くそ!」

イッセーは必死に抵抗して帯を引きちぎろうとするけど、

その前に上から赤色の光の十字架が彼の肩を貫通して、地面に突き刺さった。

「すまん。イッセー…………今度、暴走されたら止められるか分からない。

だから…………お前を封印する」

悲しそうな表情を浮かべたアザゼルが地面に手を置いた瞬間、

イッセーの上に展開されていた魔法陣が下の魔法陣の磁力で引き寄せられるように近づいていき、

彼の頭に触れた瞬間、視界を潰すほどの輝きを放った。

「イッセー君! イッセー君!」

視界が輝きによってつぶされているのにもかかわらず、

必死に彼の名を呼びながら朱乃がイッセーのもとへ行こうとするのを祐斗と小猫、

ゼノヴィアが三人がかりで押さえた。

次第に輝きは消え、目が開けられるようになったので目を開くとそこには、

石柱が一本立っており、その石柱には大量の魔術的な言葉らしきものが刻まれていた。

「朱乃さん!」

「離して! あいつはイッセー君を! イッセー君を! 結局貴方もあの人と同じなのよ!」

騒ぎを聞き、振り返ると眼から涙を流し、鬼のような形相でアザゼルの睨みつけて、

いまにも襲いかかろうとしている朱乃の姿があった。

私は……怒りよりも一安心の感情があった。

私は…………私は!

彼を愛しているのに恐怖している―――――そんな矛盾した感情を抱えた私は涙を流して、

地面に膝をついた。

今、グレモリー卷族は―――――――バラバラだ。




るらら~
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