ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第五十二話

最上階に設置されているVipルームにヴァーリチーム、グレモリー卷族、

シトリー卷属、バラキエルさん、紫藤さんが集まっていた。

ヴァーリが言った共同戦線――――目的はフェンリルと戦うことらしい。

先生は一定の疑念を抱きながらも話を先に進めた。

「フェンリルとロキの対策に関しては奴に聞く」

「スリーピングドラゴン――――ミドガルズオルムか」

ヴァーリの言った言葉に聞き覚えがあった。

確か五大龍王の一角で、

海の深い奥底で世界の終末まで眠っていると言われているドラゴンだったはず。

「ですが、どうやって呼ぶんですか?」

「アルビオン、ヴリトラ、タンニーン、

ファーブニルの力を使ってミドガルズオルムの意識をこちらへ呼ぶ」

そう言い、先生はヴァーリ、匙君と一緒に魔法陣でどこかへと転移してしまった。

どうやらミドガルズオルムの意識をこちらへ呼ぶには特別な場所で行わなければならないらしい。

取り残された僕たちは一言も話さず、部屋には沈黙が流れ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『バイバ~イ』

ミドガルズオルムからフェンリルとロキに対する対策を聞いた俺達は、

ミドガルズオルムの意識と別れた。

本来ならここにイッセーも居ればもっと長い間、話す事も出来たんだがな。

流石にあいつが居ない状態で発動した術では長く話せても三十分ほどしか話せないし、

まだ匙は悪魔になりたてだ。

「アザゼル。兵藤一誠はどうした」

タンニーンも匙も気になっていたのかヴァーリの一言に頷きながら、

俺の方を見てきた。

共同戦線を張る以上、このまま隠しているわけにはいかないか。

俺はヴァーリ達をイッセーが封印されている石柱がある場所へと案内した。

「…………まさか、封印したのか」

ヴァーリの言葉に俺は静かに頷いた。

その声には少し、怒りも含まれているように感じた。

そりゃ、当然か。あれほど、自分が倒すと息巻いていた奴を他人に封印されたんだ……しかも、

内部からは永遠に封印が解けないような方法で。

「ふ、封印? なんで兵藤がそんな」

「匙。イッセーは以前、ディオドラとのレーティングゲームに参加した際、

瀕死の重傷を負った。そして、旧魔王派のシャルバとの戦いに際にアーシアの叫びに、

呼応する形で暴走。俺、サーゼクス、レヴィアタン、

ヴァーリがいてもイッセーを止めることができなかったんだ。

ただでさえ、サーゼクスとレヴィアタンは旧魔王派以外の仕事もある。

もう一度、暴走を起こせば……今度こそ世界は終わる。そう判断した俺は封印したんだ」

話し終える頃には既に辺りには沈黙が流れていた。

ヴァーリはイッセーが封印されている石柱に近づき、ジッとそれを眺めていた。

二天龍という闘うことを宿命づけられた奴にしか分からない何か、

特別な感情でもあるのか。

「アザゼル。確か、奴は最後の希望だったな?」

「ああ」

そう言うと、ヴァーリはニンマリと口角を上げた。

「なら問題はない。奴は来る」

そう言い残して、ヴァーリは一足先に転移魔法陣を使って、

一時的な家になっているイッセーの自宅へと戻った。

二天龍としての感なのか、それともただ単にあいつ自身が直感で、

感じ取った曖昧なものなのか―――――――それは分からない。

だが……おそらくもう一度、アーシアがイッセーを呼べば確実にイッセーはあの姿となって、

アーシア以外をすべて破壊しつくすまで……動き続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「木場祐斗。少し話がある」

帰ってきたヴァーリに呼ばれた僕は彼と二人っきりになれる場所へ、

案内してそこで話を聞くことにした。

ヴァーリは部屋に置かれているソファに座り込んで、僕の方を見てくる。

「お前にとって兵藤一誠はなんだ?」

卷属にとって彼は最後の希望……でも、

僕のとって彼は何なのかということは今の今まで考えたこともなかった。

戦いをくぐる抜けてきた戦友? それとも下僕仲間? 同姓の友人?

そのどれもがしっくりこない中、唯一、一つだけしっくりくるものがあった。

「彼は僕の親友だ」

戦友でも仲間でもない。彼は僕の親友だ。

「ならば一つ聞く。もしも、ロキとの戦いの最中に暴走した奴が来ればどうする」

「……止める。何が何でも」

そう言うとヴァーリは微笑を浮かべた。

「なら良い。もしも、奴が来たときは俺も命をかけて止めよう。

奴が覇人ならば俺は覇龍として奴を止めて見せよう」

その時だけは僕は彼をテロリストだとは思わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後の夜。僕たちはオーディン様が会談をしているホテルの屋上にいた。

このホテルの下には一般用の玄関口があるので真正面から来れば確実に止められて、

僕たちにすぐに連絡が行く。

それにロキはフェンリルという大きな存在まで持ってくるはず。

それら全ての可能性を考えて導き出されて結論はロキは屋上から侵入し、

オーディン様を狙うということで屋上に待機していた。

すると、ふと本を読んでいたヴァーリが本を捨てて立ち上がった。

「……奴風にいえばショータイムか」

直後、バジッ! バジッ! という音が聞こえ、振り返ってみれば空間が歪んでいた。

部長も立ち上がり、会長たちも転移の準備をしていた。

作戦は会長たちがロキ達を僕たち含めて今は使われていない広くて、

頑丈な採掘現場跡地に転移させ、そこでフェンリルをグレイプニルという鎖で拘束、

撃破した後にロキを撃破。こう言う内容だった。

「ふむ。準備は整っているのか」

ロキとフェンリルが空間のゆがみから出てきた瞬間、

会長たちが準備していたホテルを覆うほどの大きな魔法陣が光輝き、

この場にいた関係者全員をフィールドへと転移した。

「フェンリル……殺せ」

ロキがフェンリルに指示を出した瞬間、黒歌さんが手を上げ、

フェンリルの周りに魔法陣を展開すると、そこからグレイプニルが射出されて、

フェンリルを拘束した。

『オォォォォォォォォォォォン!』

「ほぅ。グレイプニルを強化したか」

僕はロキの表情に疑問を抱かざるを得なかった。

何故、フェンリルを封じられても焦り一つでないのかと。

「スペックは落ちるが…………貴殿達には地獄を見てもらう」

そう言った瞬間、ロキの左右の空間が歪んでいく。

そこから現われたのは月光に照らされ、

見えたのは灰色の毛なみに鋭い牙を持った二匹の狼。

「フェ、フェンリル!? でも、ここに!」

部長はかなり驚いていた。

部長以外の人達だって驚きている! フェンリルという存在は世界に一体しか存在していない! 

となるとあの二匹はフェンリルの子供なのか!

「「バランスブレイク」」

『Vasnishing Dragon Balance Breaker!』

僕とヴァーリが同時にバランスブレイクを発動し、僕は聖魔剣を、

ヴァーリは白い鎧を身に纏った。

「やれ! スコルッ! ハティッ!」

二匹の狼が姿が消えるほどの速度で一匹はヴァーリチームに、

もう一匹は僕達の方に襲いかかってくる!

「犬風情が!」

タンニーンさんが狼に向かって巨大な火球をぶつける!

でも、狼はダメージは喰らえど少ししか喰らっていないらしく、

速度を落とさずに僕たちに向かってくる!

タンニーンさんの炎を真正面から直撃してもちょっとの、

ダメージに抑えるなんてどういう体をしていたらそんな芸当ができるんだ。

「ちっ!」

「ハハハハハ! どうした白龍皇!」

ロキの笑い声が聞こえ、目の前の狼から注意を消さないように視線をそちらに向けると、

拘束されていたはずのフェンリルがヴァーリの腕をその牙で貫いていた!

強化したグレイプニルなのに……まさかそれををちぎるくらいにまで成長したのか!

まだ戦い始めてから三十分もたっていないのに!

「くっ!」

狼の脚の鋭い爪の攻撃を受け流しながらもなんとか、

ヴァーリの方へ行こうとするけど狼の攻撃が強く、そして重く、

早すぎるので自分のことで手いっぱいになってしまっている。

「仕方がないな……木場祐斗。俺は少し、俺の計画に従って動く。

ロキは頼んだ。黒歌!」

ヴァーリが叫んだかと思えばフェンリルと彼の足もとに大きな魔法陣が出現し、

そこから布のようなものが放出されて、二人を包み込むと同時に消え去った。

「はぁ!」

僕は氷の聖魔剣を生み出してから地面に突き刺し、周囲の地面を氷結していき、

二匹の足を凍らせようとするけど二匹は凄まじい速度でその場から消え去った。

凄い速度だ……でも、フェンリルのようにまったく見えないわけじゃない!

「そこだ!」

僕が聖魔剣を投げた場所に一匹が出現し、

聖魔剣が直撃するも薄らと血が滲みでるだけだった。

「ふむ。なかなか粘るな。なら、こいつらもだそう」

そんな中、さっきまで余裕の表情を浮かべていたロキが突然、

腕を上げると彼の影が伸びておき、そこから細長いドラゴンが……で、でか過ぎる!

タンニーンさんよりも数倍大きいドラゴンが五体も現れた!

「ミドガルズオルムまでも量産していたのか!」

五体のドラゴンが口から火を噴く!

「その程度で!」

タンニーンさんは口から大きな火球を一発吐き出し、全ての火球を飲み込んで、

一瞬にして辺りを炎の海に変えてしまった!

こ、これが元龍王の炎か!

「きゃっ!」

「ア、アーシア!」

ゼノヴィアの叫びが聞こえ、

振り返ってみると僕が戦っている一匹とは違うもう一匹がアーシアさんのすぐそばにいた。

ロキめ! アーシアさんが僕達の生命線だってことをしって狼にアーシアさんを!

「うおらぁぁ!」

美猴が大きな棒を狼に叩き落とそうとするけど、

狼は爆音ともいえる凄まじい咆哮を上げて近くにいたみんなを一気に吹き飛ばした!

咆哮だけでここまで威力が出るなんて!

「アーシアさん!」

狼がアーシアさんを切り裂こうとした瞬間!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ギャァアン!』

突然、夜空を切り裂いて流星のようなものが狼の横っ腹に直撃して大きく吹き飛ばした!

な、なんだ……隕石でも落ちてきたのか?

「ハァ……ハァ……」

「イ、イッセーさん!」

夜空を切り裂いて落ちてきたのは封印されたはずのイッセー君だった。




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