ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第五十五話

ロキとの戦闘から数日経ち、

駆王学園の二年生たちの頭の中は全て修学旅行になっているある日。

俺はアザゼルとともに最上階のVipルームに居座っていた。

「で? 俺に相談があるなんざ珍しいじゃねえか」

「まあな……アザゼル。

どうやれば四属性のドラゴンの魔法をつなぎ合わせることができる」

一瞬、呆けたようなアザゼルだったがすぐに表情を変えた。

「前に言っていたヴァーリ対策の魔法か」

「ああ。以前、ディオドラ戦で試しにやってみたが反発が強すぎるし、

今にも崩壊しそうなほど脆かった」

「なるほどね。炎、水、風、土の魔法を重ねれば反発が起こると……」

アザゼルは腕を組んで、何かを考えているようだ。

正直、俺もかなり考えてみたが全く策が見つからなかった。

やはり、あの魔法はあのまま脆い状態で行くべきか……だが、

そんな状態で行けば確実にヴァーリの攻撃を受ければ一撃で砕け散るし、

魔力もほとんどを消失する。

すると、アザゼルは何かを思いついたかのように突然、目を開けた。

「お前、その四つの魔法をどんな感じで合わせた」

「こんな感じか」

俺は近くにあった紙を数枚取り、上から合わせるような感じで重ね合わせた。

「だったら、逆にしてみろよ」

「逆?」

アザゼルはおもむろに俺の紙を取ると、横に四枚の紙を並べた。

そうか……縦に合わせたらダメなら横に合わせてみろということか。

俺はすぐさま、四つの小さな魔法陣を出現させて、

横一列に並べてみると反発は一切起こらなかった。

「同じ軸に串ざしで並べるんじゃなくて同じ線上に横に並べるのか」

「……イッセー。コピーの魔法を使ってみろ」

「なぜかは知らんが……分かった」

『コピー、プリーズ』

コピーの魔法を使うと俺の隣に魔法陣が出現し、

そこからもう一人の俺がおなじ恰好で床に座っている状態で現れた。

その現れた方の俺をぺたぺたと何度か触り、何かを確かめたかったらしい。

「こいつは魔法を使って分身体を作った。だが、こいつにはお前の魔力はない。

仮にこいつにお前の魔力を付加することができれば……自らの意思で、

動く分身体ができるんじゃねえのか?」

「…………四つのドラゴンの魔法を独立した状態で使えるのか」

「ああ、恐らくな。イッセー、俺がそれを出来るような機械を作ってやる」

「出来るのか?」

「ふん。この俺を誰だと思っているんだ?」

自信満々な表情を浮かべてアザゼルはそう言った。

確かに……アザゼルなら出来るかもな。

「頼む」

「まかせやがれ!」

そう言ってアザゼルは転移用魔法陣を開いて、そのままどこかへと転移してしまった。

どうやらあいつの研究者気質がすぐに作れとあいつに問いかけたらしい。

四つのドラゴンの魔法が独立して動くか……つまり、

ドラゴンの魔法のバーゲンセールって感じか。

「だが、それよりも制する必要があるものがあるな」

俺は自分の手を見てそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ」

普通の人なら既に寝静まっている時間帯に僕――――木場祐斗は部員の皆と一緒に、

オカルト研究部室でいろいろと仕事をしていた。

悪魔に欲望をかなえて欲しい人のもとへと行き、

その欲望をかなえ代価を貰う。

一通りの仕事を終え、部室に帰ってきたときには朱乃さんと部長、

スコルとハティ、そしてイッセー君がいた。

どうやらほかのみんなはまだ、仕事中らしい。

「部長」

「っ! ど、どうかした?」

最近、疑問に感じていることがある。

あのロキ戦以降、イッセー君が部長に話しかければ部長は肩をビクつかせている。

それに部長がイッセー君と話しているときの部長の表情もどこか、

彼を恐れているように感じる時もある。

イッセー君もそれに気づいているようで、時折悲しそうな眼を見せる。

でも、それはいたしかたない部分もある。

以前、イッセー君が暴走した際に殺されかけ、

そしてイッセー君の姿をした違うものに襲われ……普通の人だったら、

ひきこもったっておかしくない。

「え、ええ。じゃあ、そんな感じでお願い」

「はい……部長」

「な、なに?」

「俺が怖いですか?」

「な、何を言ってるの? イッセー」

……部長の態度でこれから先の二人の関係が決まる。

僕はそう思いながら敢えて二人の会話に口を挟まないようにした。

「俺が……怖いですか?」

イッセー君が部長の手に触れるか触れないかの距離まで近づくと、

無意識か知らないが部長は数歩、後ずさった。

「イ、イッ」

「仕方がないですよ。俺は部長に恐がられるようなことをしましたから」

そう言って、イッセー君は部室から出ていった。

「木場君。イッセー君を」

「了解です」

僕は朱乃さんに言われ、イッセー君を追って外に出ると外はポツポツと雨が降っていた。

校門を少し出た先にイッセー君の姿が見え、小走りで彼に近づいた。

「……木場か」

「うん。僕も帰ろうと思って」

彼の隣で歩く。

その間に互いに言葉は発さず、ただただ黙って家までの道のりを歩き続けた。

最初のころと比べてイッセー君はかなり、感情が表に出てくるようになったと僕は思う。

入りたての頃は本当に何を思っているのか分からなかったけど、

今は彼が悲しいって感じているのが感じられる。

「イッセー君は部長に恐れられて悲しい?」

「…………さあな」

夜空を眺めながらそう言う彼の横顔はかなり悲しそうなものだった。

……徐々に彼の心が部長に近づいているのかな……そうじゃなかったら、

そんな悲しそうな顔はしないよ。イッセー君。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、朱乃。今なんて」

「聞こえませんでしたの? このままだとイッセー君は私が貰いますわ」

私――――姫島朱乃がそう言うと、

リアスは全身から怒りのオーラをにじませながら睨みつけてきた。

「だって、イッセー君だって貴方みたいに自分を怖がっている人よりも、

自分を愛してくれている人の方に行きますわ」

「わ、私は」

「イッセーを怖がっていない? じゃあ、なんでさっきイッセー君が近づいてきたら、

後ろに下がりましたの?」

そう言うとリアスは痛いところを突かれたのか、何も言えずにそのままうつむいた。

「イ、イッセーは私の」

「イッセー君は貴方の物じゃないの!」

そのまま感情に任せてリアスの頬を叩くと、

不意に受けたからかうまく足で保てずに、そのままソファに寝転ぶ形で倒れ込んだ。

「貴方はいつだってそう! 自分の物に触れられただけで不機嫌になる!

自分のものが盗られるからってダダこねているだけよ!

今までは見逃されてきたのかもしれないけど、私はそれを見逃す気はない!

確かにあなたは恐ろしい経験をしたかもしれないけど、

あれは彼自身がそれを望んでしたことじゃないことくらいわかってるでしょ!」

初めてリアスに怒なった。

向こうも向こうで友人に怒鳴られたことに驚きを感じているのか、

目を見開いて怒鳴っている私のことをただただ見ていた。

「イッセー君が好きだって言うなら! 

あの人を愛しているって言うならもっと彼のことを信じてみなさいよ!」

そう言うと今まで呆けたような顔をしていたリアスの顔が変わり、

私を放って部室から出ていった。

「…………親友に敵なし……ですわね」

 

 

 

 

 

 

 

以前までならこんな感じはしなかった。

誰かに嫌われても何も思わなかったし、実際に学校の奴らに嫌われようが何も思わなかった……。

なのに、部長に嫌われたと思った瞬間、胸が締め付けられるような感覚に陥ってしまった。

「どうぞ」

その時、ドアをノックする音が聞こえ、

了承の意を示す返事をすると息を切らした部長が入ってきた。

会いたくないと思っている人程、

出会う確率が高くなるって言うのはガセネタでも何でもないんだな。

「ハァ……んなさい」

部長の声がよく聞こえず、顔を近づけた時、

うつむいている彼女から幾つもの水滴が落ちるのが見えた。

「ごめんなさい……私は貴方が怖かった」

……面向かって本人に言われるとかなり悲しいもんだな。

「貴方を見るとあの時の光景が見えるの……そのたびに体が震えて…………。

許してくれなくても良い……私のことを無視してくれたっていい……でも……でも、

私のことだけは忘れないで。

それだけでいい……貴方の頭の中に私の名前さえあれば私はんん!?」

気づいたら俺は部長にキスをしていた。

彼女が涙を流している様を見ているとずっと胸が締め付けられるような感覚になって、

彼女が泣いているのは見たくないと思った。

甘いかもしれない……キチガイだって言われるかもしれない。

それでも俺は……彼女が泣いているのは見たくなかった。

顔を離すと驚いた表情をした部長が俺を見ていた。

もう一度、彼女にキスをすると彼女は俺の手をギュッと握ってきた。

「部長」

「……名前で呼んで」

「リアス……俺は貴方に恐怖を植え付けた奴を倒しに行く」

俺の中にいる俺じゃないもの……放置しておくと、

今度こそ俺が取り返しのつかないことをすると思う。

「うん……イッセー」

リアスは目を瞑って、顔を近づけてきた。

だから俺も顔を近づけた。




ども
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