ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第六十二話

そんなわけで翌日、朝早くに転移魔法陣で冥界まで飛んだ俺はリアスの先導のもと、

その例の儀式とやらが行われるグレモリー領のはずれにある遺跡にいた。

その遺跡は例え、グレモリー卷属であったとしても立ちいることは許されておらず唯一、

俺とリアスだけが立ち入ることを許された。

眼前には岩肌があらわになり、石柱が何本も立っている。

その石柱の一本一本の間には、

これまでのグレモリー家の人間を模した石像が何体も置かれている。

「き、緊張するわ」

珍しくあのリアスがかなり緊張した面持ちで何度も鏡を見ながら身だしなみを整えている。

まあ、その手鏡が上下さかさまだということは何も言わないでおこう。

「とう!」

突然の声が聞こえ、空を見上げてみれば五人の人影がこちらに向かっているのが見え、

その影達は地面にスタッと降り立った。

何故か、その五人は赤、青、黄色、ピンク、グリーンのスーツとマスクを被っており、

その光景はどこかの特撮戦隊を思い出させる。

「誰?」

「我らこそ、かの魔王戦隊サタンレンジャー! 私はサタンレッド!」

「同じくブルー!」

「……めんどくさいけどグリーン」

「私はピンクよ♪」

「……わ、私はイエローです」

声と魔力で分かったがレッドがサーゼクス様、ブルーがアジュカ様、

グリーンがアスモデウス様、ピンクがレヴィアタン様、イエローがグレイフィアさんか。

現魔王は非常にノリが軽いとは聞いていたが……まさかここまで軽いとは。

「ハハハハ! 昨日、息子と一緒にポージングも考えたのだよ!」

どうやらミリキャス様もこの一件に噛んでいるらしい。

この中で一番、まともな反応を示しているのはイエローのグレイフィアさんだろう。

「魔王戦隊……魔王クラスが五人集まったとでもいうの!?」

俺は開いた口がふさがらないのと同時に呆れた。

時々、こいつは抜けている部分があるとは思っていたがまさか、

ここまで抜けているとは……というよりも声だけで分からないものか?

「我々はグレモリーに雇われた! この奥の神殿で三つの儀式をクリアし、

我々のもとに来るがいい!」

そう言うと、ボフン! という七色の煙がどこからともなく噴き出して彼らを包み込み、

数秒経つと何処からともなく風が吹き、煙が晴れるがその時にはすでに彼らの姿はなかった。

周囲を見渡して見るとほんの一瞬だけだが扇風機のようなものが見えたような気がしたが、

とりあえず放っておくことにした。

……随分と金のかかったセットを用意したもんだ。

「行くわよイッセー! 私たちがどれだけ深い仲かを彼らに見せつけるわよ!」

「…………はいはい」

俺は呆れながらもリアスについていき、遺跡の中へとはいっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

石造りの道を歩いていくと広い空間に出て、その空間に大きな装置が設置され、

その近くにピンク(レヴィアタン様)が立っていた。

チラッとリアスの方を見てみるが、

まだ気づいていないらしくその顔からはかなりの気合いが入っていることがうかがえる。

こいつも上級悪魔の中では強い部類なんだがな……戦いの中でしか、

発揮されない力もあるという訳か。

「さあさあ! 私の試練はダンスよ! 踊ってちょうだい!」

パチンとピンクが指を鳴らすと大きな装置から、

社交界でよく聞く優雅なクラシックが流れ始めた。

俺は仕方なくリアスの手を取り、ダンスを始めた。

夏休みに部長のお母様に徹底的に仕込まれたおかげか、

幼いころからダンスを学んでいるリアスにも余裕で付いていくことが出来た。

そして曲が終わり、ダンスを終える時のあいさつをすると俺たちに拍手が送られてきた。

「うんうん! 心配して損しちゃった♪ ささ! 奥へ行って!」

賛辞を貰うと、ゴゴゴと重い音を立てながら石の扉が開いて奥へと行く

道が示された。

俺たちは何も言わずに、その扉を潜り抜けて奥へと進んでいく。

少し歩いた先に開けた空間があるのか、俺達の歩く少し先が明るくなっていた。

「……ようこそ」

二度目の開けた空間の到着と同時にグリーンのだるそうな声が聞こえてくる。

その先にはメイド服を着た卷属らしき女性二人とアスモデウス様がおり、

テーブル一つとイス二つが用意されていた。

……あれが魔界一の戦略家といわれているアスモデウス様か……雰囲気を見る限りでは、

そんなに頭が切れる人とは思えないんだがな。

「ここではテーブルマナーを見るんだ。メイド達に観察されながら食事をしていってね。

後、採点方法は減点方式だから。じゃ、レッツゴー」

アスモデウス様のやる気のない声を合図として俺たちは食事を始めた。

夏休みの間にリアスのお母様からダンスだけではなく、

食事マナーなども徹底的に叩きこまれたからな。

……まさか、リアスのお母様はこのことを踏まえて、

俺に社交界のありとあらゆることを教えて下さったのか?

何ら困ることもなく食事を進めていき、俺が食べ終わるのと同時にリアスも食べ終わった。

「以上で終了でございます。第二の試練、無事合格でございます」

当たり前だ、俺を誰だと思ってんだ。

この程度の試練で不合格を言い渡されるようなやつが、

ウィザードなんて呼ばれる資格はないからな。

「おめおめ~。じゃあ、次に行っちゃいな~」

だるそうな声とともにゴゴ! という重い音が響いて次の試練へと向かう扉が開かれた。

「イッセー! この調子で行くわよ!」

「もちろん」

俺達は開かれた扉を潜り抜けて次のステージへと向かう。

今までの試練は社交ダンス、テーブルマナー……となると次の試練は知識でも問われるか?

「…………ねえ、イッセー。貴方は私をどう見てる?」

次なる場所へと向かっている最中、先ほどと比べて少し、

声のトーンを落としたリアスがそう尋ねてきた。

「どういう意味だ」

「良いから答えて」

「……皆を纏めている主だ。俺が集まったのも、ゼノヴィア、アーシアがここに集まったのは、

偶然かもしれない。だが、その偶然を引き当てたのはお前だ」

俺は褒め言葉としてそう言ったのだが何故か、リアスはあまり良い顔はしなかった。

……ま、無理もないか。こいつの兄は全ての悪魔の頂点に立っている男であり、

義理の姉は最強のクイーンとしてたたえられている。

自分の評価を気にするのも致し方がないか。

「そう……時々ね、考えるの。もしも、イッセーが他の高校の生徒だったら?

祐斗とあの時出会っていなかったら…………私は今、この場にはいないんじゃないかって。

イッセーは魔法の才能が、祐斗には剣の才能が……じゃあ、私には何の才能があるのかって」

「…………ふぅ」

「イッセー?」

俺は呆れ気味にため息をつきながら、リアスを後ろから抱き締めた。

才能がないと考えるか……違うな。確かにこいつには俺みたいに、

魔法の才能はないかもしれないし、木場のように剣の才能がないかもしれない――――だが。

「お前には俺達が持っていない才能があるだろ」

「私だけの……才能?」

「ああ。お前には運命を引き寄せる才能がある。俺に出会うという運命、

アーシアに、ゼノヴィアに、ロスヴァイセに、小猫に……下僕のみんなに出会う運命を、

お前は一度に、この時代に、この世界に引き寄せたんだ。

それは才能じゃないかもしれない……だがなリアス。サーゼクス様も、

グレイフィアさんも引当てず、お前だけが引き当てた。それも立派な才能だと思うがな」

「イッセー………ありがとう。最後の試練に行きましょ」

リアスに手をひかれ、最後の試練の部屋へと一緒に足を踏み入れた。

「やあ、待っていたよ」

最後の部屋に入るとそこには二組の机、そしてベルゼブブ様が待っていた。

「君たちにはテストを解いてもらうよ」

やはりか……問題的には悪魔関連の知識を確かめるものだな。

机に置かれているプリントを見てみると悪魔の言語で書かれた問題用紙と解答用紙だった。

「それじゃ、始めるよ」

俺達が座ったところでベルゼブブ様が魔力で生み出した大きな時計の針が動き出した。

毎日毎日、暇なだけあって本を読む時間は大量にあった。

そのおかげか悪魔関連の知識は純血の悪魔と大差ない。

ペンを走らせていき、全ての答えを埋めたところで時計を見てみると、

まだ時間的には四十分ほど余裕があった。

チラッと隣を見てみると既に部長も出来た様子だった。

「優秀だね。もう採点して欲しいのかい?」

その言葉に俺たちは同時に答案を差し出した。

「ん~。優秀なことは良いんだが……問題作成者としては、

もう少し悩んで欲しかったものだね」

ベルゼブブ様は苦笑いしながらも俺たちから答案を受け取り、

二つの答案を横にならべながら視線を交互に動かしていく。

「ん、二人とも満点合格だ。

まさか赤ペンも持たずにこれを言うとは思っていなかったよ。

さ、奥にレッドがいる。行きたまえ」

そう言われ、俺達はベルゼブブ様がいた部屋を後にして、

サーゼクス様がいるという奥の方へと歩いていき、

大きな扉を開けると太陽の光が差し込んできて視界に冥界の空が入った。

辺りを見渡してみると周りはまるで観客席のようになっており、

俺達がいるフィールドのような場所を囲うように観客席があった。

……なるほど、知識、マナーを調べた後は強さという訳か。

「とう!」

突然の声に頭を上げてみると観客席から赤いスーツを着た人物が、

俺達がいるフィールドへと降り立った。

「よくぞここまで来た! 最終試練としてこの私を倒してみろ!」

……魔王と戦えるのか……俺がどこまでの強さを持っているのか、

知ることのできる千載一遇のチャンスだな。

「リアス、下がれ」

「ええ、頑張って」

『フレイム・ドラゴン。ボー・ボー・ボーボーボー!』

赤色の魔法陣を展開すると、そこから炎を纏ったドラゴンの幻影が現れ、

俺の周りを旋回し、幻影が消えるとともに俺を鎧が包み込んでいた。

『コネクト、プリーズ』

俺は魔法陣に手を突っ込み、そこからアスカロンを取り出し、レッドに向けた。

「さあ、ショータイムだ」




もうすぐ学校だわいな
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