『フレイム・スラッシュストライク! ボーボーボー!』
アスカロンの刃に手を翳すと炎が、刃を包み込むようにして放出され、
横に振るうと炎を纏った斬撃がレッドめがけて放たれる。
だが、その斬撃はレッドの手から放たれたどす黒いオーラによって包み込まれると、
一瞬にして消滅した。
魔法すらも消滅させる滅びの魔力……なら。
『チョーイイネ! スペシャル、サイコー!』
アスカロンを投げ捨てて、手を翳すと赤色の魔法陣が背後に展開され、
そこから炎を纏ったドラゴンの幻影が現れ、
俺に突っ込んでくると鎧の胸にドラゴンの頭部が現れた。
「むっ!」
「はっ!」
ドラゴンの口から火炎が放射されると同時にレッドがその場から跳躍して上空に上がり、
地面に直撃した瞬間! 爆音とともに大量の砂埃が空中に舞い上がり、
レッドを包み込むようにして拡散した。
偶然だがこれもチャンス!
『ハリケーン・ドラゴン。ビュービュー! ビュービュービュー!』
『チョーイイネ! スペシャル! サイコー!』
『チョーイイネ! キックストライク! サイコー!』
フレイムからハリケーンへとエレメントを変えると鎧の色が赤から緑に変化し、
さらに俺の背中に二対の龍の翼が生えた。
「はぁぁぁ!」
翼を羽ばたかせ、宙へと舞って砂埃に視界を潰されているレッドめがけて、
風のエレメントを纏った蹴りを打ち込む!
直後に鈍い音が聞こえた!
「良いキックだ」
「っ! まさか俺の蹴りを腕だけで受け止めるとは」
蹴りが当たったことによって発生した暴風により砂埃が払われ、
視界がクリアになると俺の蹴りを十字に交差させた腕で防いだレッドの姿が現れた。
「ぬぅぅんん!」
足を掴まれ、ハンマー投げのように振り回されて投げ飛ばされるが翼を全開で羽ばたかせて、
俺の背後に風を生み出して、何とか勢いを殺して、態勢を立て直した。
『チョーイイネ! サンダー! サイコー!』
目の前に緑色の魔法陣を展開してそこに手を置いて魔力を注入すると、
ドラゴンの形をした雷が放たれて、レッドめがけて飛んでいく!
「素晴らしい魔法だ! だが!」
レッドがドラゴンの形を模した雷を滅びの魔力を手に纏わせた状態で片腕だけで受け止めた!
さらに、腕にあった滅びの魔力がドラゴンへと伝っていき徐々に雷の威力が消滅されていく!
魔法の攻撃すら滅びの魔力は喰らうか!
「今度は私から行くぞ!」
悪魔の翼を羽ばたかせ、ものすごい速度でサーゼクス様が俺に向かってくる。
俺も龍の翼を羽ばたかせて、サーゼクス様の攻撃を避けていくがどれも、
ギリギリかわせるような攻撃ばかり。
さらに、サーゼクス様から放たれた球体状の滅びも魔力は、
例え避けても俺を追いかけ続けてくる。
さっきの攻防で分かった。
恐らく、あの攻撃を防いでも逆に食われるだけだ……炎や、
雷が喰われるのであれば氷結させるだけだ!
『ウォーター・ドラゴン。ジャバジャババッシャーン、ザブーンザブーン!』
『チョーイイネ! ブリザード! サイコー!』
今まで俺を追いかけてきた滅びの魔力の球体が一つとなり、
その大きさを巨大に変えた直後に俺は地上に降りたって、ウォーターへとエレメントを変えて、
ブリザードを発動し、球体めがけて冷気を放っていく!
だが、そう簡単に凍りつくはずもなくところどころ凍りつかせながらも、
球体は俺めがけて落ちてくる!
「一発でダメならばもう一発だ!」
『コピー・プリーズ』
俺はブリザードを放つ魔法陣をコピーでもう一つ生み出し、
二つで球体へと冷気を放ち続けた結果、ようやく球体が完全に凍りついて地面へと落下し、
砕け散った。
「ハァ……ハァ」
だが、その代償もかなり大きく、かなり魔力を消費してしまった。
「素晴らしい。私の滅びの魔力を防ぐとは」
だが、レッドは一切、息も乱れず、未だに余裕のようだった。
…………まだだ、最後の希望は残っている!
『スペシャルラッシュ! フレイム・ウォーター・ハリケーン・ランド』
俺は前回よりも改良を重ねたスペシャル・ラッシュを発動し、
背後に四色の魔法陣が出現すると、俺の身体が勝手に浮かび上がり、
魔法陣から出てきたドラゴンの幻影が俺の身体を包み込んでいく。
だが、改良を加えたとはいえ、今にも崩壊しそうなのは前回となんら変わりはない。
「これが最後の希望だ! はっ!」
「受けて立つぞ!」
レッドも背中から翼を生やし、空中へと上がった。
「はぁ!」
クローでの攻撃をレッドにぶつけようとするが、レッドは上空へと上がり、
それを回避する。すぐさま、レッドの上空に黄色の魔法陣を展開させて、
グラビティを発動する。
「むぅぅ! これが重力を操る魔法か!」
「はぁぁぁぁ!」
クローに魔力を集め、クローを二度三度振ると爪から細長い線のようなものが何本も、
レッドに向かって放たれる!
全て滅びの魔力の壁によって防がれるが消滅する際の衝撃で少しずつ、
レッドを地面へと押し込んでいく!
「だぁぁぁぁ!」
全力で振るうとさっきの倍はあろう巨大なものが放たれ、
一気にレッドを地面へと叩きつけた!
今だ!
『チョーイイネ! ブリザード! サイコー!』
「むっ! 足が凍ったか!」
レッドが足に地面をつけた瞬間に彼の足もとに青色の魔法陣を出現させ、
足を地面に縫い付けるとともに重力をさらに重くし、レッドを拘束した。
この状態ももう長くはもたない……これが最後の一撃。
ドラゴンの頭部に今持っている全ての魔力を注ぎ込む。
『ビッグ・プリーズ』
さらに胸の頭部にビッグを発動し、頭部を倍ほどの大きさへと巨大化させた。
「はぁぁ!」
倍ほどの大きさになった頭部から火炎をレッドめがけて放つ!
放たれた巨大な火炎は地面を抉りながらレッドめがけて突き進んでいく!
火炎がいまにもレッドに直撃するかと思った次の瞬間!
レッドの全身から膨大な量の滅びの魔力が放出され、頭上にあったグラビティ、
足もとにあったブリザード、そして火炎が一瞬にしてかき消された。
……バカな…………あれを一瞬にしてかき消すなんて……。
直後、パリンとはかない音が響き渡って鎧が消え去った。
「兵藤君。その若さでこれほどの戦闘力は素晴らしい。だが、まだ若い。
若いゆえに攻撃にもまだ未熟さを感じる」
「…………負けました」
俺は初めて自ら降伏宣言をした。
「いや~凄かったよ。まさか、この神殿が半分吹き飛ぶとわね」
ベルゼブブ様は腕を組みながら、周りを見渡し、そう言った。
既にレッドの姿は見当たらず、
今この場にいるのは魔王様がたとグレイフィアさん、そして俺とリアスだった。
「今回の世代は十年、二十年すれば化けるというのもあながち間違ってはいないな。
今から何十年後が楽しみだよ。サイラオーグ・バアル、兵藤一誠。リアス・グレモリー、
ソーナ・シトリーは若手四強だね」
「うぅぅ~。眠いから僕は帰るね」
そう言って、アスモデウス様は転移魔法陣を使ってどこかへと転移された。
あれが冥界一の戦略家……人も悪魔も、
外見だけで判断してはいけないという良い例かもしれないな。
「もう! ファルビーったら。私もお仕事があるから帰ろっと!
またね! サーゼクスちゃん! そんでもってウィザードちゃん!」
相変わらずテンションの高いお方だ……。
「アジュカ。君は帰らなくていいのか?」
「そうだな。俺がいなくなるとゲームの運営に支障をきたすからな。
ウィザード君。身内の件、礼を言うよ。それではまた会おう」
そう言い、レヴィアタン様に続いてアジュカ様も転移した。
身内の件……ディオドラのことか。確かアジュカ様もアスタロト家の出身だったはず。
ディオドラの一件もあり、アスタロト家は魔王排出権利をはく奪されたと聞く。
あの様子では恨んではないようだが……まあ、良いか。
「邸でパーティーを開く予定なんだがまだ準備ができていなくてね。
我々は先に帰るが君たちはゆっくり帰ってきてくれたまえ。それと、
パーティーで発表することなんだが……サイラオーグとのゲームが決まったよ」
……そうか。若手四強は決まった……だが、まだ若手最強は決まっていない。
その最強の存在を決めるゲームが決まったのか……面白い。
御ふた方が転移された後、俺とリアスはトボトボと歩いていた。
別にスコルとハティを呼ぼうと思えば呼べるのだが、
なんとなく二人で歩きたかったから呼ばなかった。
「イッセー」
「どうした」
「…………ううん。なんでもない」
そう言いながらも、リアスは満面の笑みを浮かべ、俺の手を握ってきた。
俺も、何も言わずに彼女の手を握り返した。
最近、携帯がおかしい。アラームは設定した時間にならないし
通話中に相手の声は聞こえるのに僕の声が聞こえないという事態。
電波が悪いだけなのかな?