ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第六十四話

「そんな……イッセーさんが行けないなんて」

アーシアは玄関で今にも泣きそうな顔をしながら俺――――兵藤一誠に向かってそう言った。

今日から三泊四日の京都の修学旅行……だったのだが決められた日までに、

旅行金なるものを納めていなかったために学校側も新幹線の席やらなんやらを、

俺を除いた生徒分だけしかとっていなかった。

だから、俺は京都には行けないということになったのだ。

「アーシア、我慢するんだ。私だって寂しい。だが、これは主……いや、

ミカエルさまからの試練かもしれない」

「試練?」

「そうだ。私たちの心の強さを試しておられるのだ」

何故、そんな思考に至ったのかのプロセスを知りたいのだが生憎、

時間が差し迫っているためにアーシア達二年生メンバーが渋々、駅へと向かった。

ちなみに二年生メンバー(イリナ以外)が知らないだけで実は俺も……まあ、

そんなことよりも準備を始めますかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕――――木場祐斗は新幹線の座席で静かに本を読んで過ごしていた。

アーシアさんやゼノヴィアはどこか悲しそうだったけどまあ、どうにかして納得して今に至る。

新幹線は静かだっていうのをたびたび聞いていたけど、実際に静かだった。

でも中の静けさからは考えられないくらいの速度で、

窓の外の景色はすごいスピードで動いている。

「うぅ、木場さんは悲しくないんですか?」

「ん~まあ、悲しいことは悲しいけど仕方がないよ」

僕の前の座席にはアーシアさんとゼノヴィアがいた。

もともと、アーシアさんとゼノヴィア、紫藤さん達とはクラスは違うんだけど、

新幹線は自由席なこともあり、生徒達は先生に内緒で席を交代していた。

まあ、修学旅行だということもあり先生たちの中でも数人、

気づいていたようだけど黙認している。

そう言えば僕の隣の席は空いているけど欠席なのかな?

「す、すごいカッコイイ」

「げ、芸能人かな?」

すると、突然周りの席に座っていた女の子達が黄色い声を上げたのが聞こえた。

僕はそれを無視して本を読んでいると視界にジーパンの下の部分が入った。

「すいません、通してくれます?」

「あ、は…………」

僕は席を動こうとふと顔をあげるとそこには非常に見知った顔があった。

サングラスをかけ、ワックスか何かで髪も今テレビなんかでよく見る形にし、

下はジーパン、上は濃い青色の半そでを着てその上から、

黒い薄い上着を羽織っている男性……というよりも兵藤一誠その人だった。

イッセー君は僕の隣に開いている座席に何事もなく座った。

「え、えっとイッセー君?」

「……あ、私のことですか?」

「イッセーさんですよね?」

「イッセーだな」

アーシアさんとゼノヴィアからもそう言われ、観念したのかイッセー君らしき男性は、

サングラスをちょっと上に上ると確かに彼だった。

「ま、元々来る気はなかったんだがリアスにせっかくだから行って来いと言われてな。

慌てて新幹線の切符を買ったら偶然、この座席だ」

すると、今まで悲しそうな雰囲気だった二人が一気に明るいものに変わり、

今にも飛び跳ねそうなくらいのテンションにまで上がった。

「イ、イッセーさん! よかったら私達の班と一緒に行動しませんか?」

「そうしたいんだが生憎、この格好だからな。アザゼル達には通じるだろうが、

他の教員にはなぁ……ちなみにホテルもお前達が泊まるホテルと同じだ。

夜、俺の部屋に来い」

「はい!」

……彼の止まる階と僕たちは泊まる階は一緒なのか? というよりも仮に、

一緒だとしても先生達が見張っているだろうし、今の彼の恰好は一般人だから……まあ、

イッセー君の魔法なら気づかれることもないかな。

「スコルとハティはどうしたの?」

「あいつらは冥界の部長のお家にお泊まりだ」

まあ、流石にあの二匹を連れてくることは無理か。

京都につくまでの間、僕たちはいろいろと話を進めた。

有事の際の行動なんかを話し合っているとイッセー君は何やら、

銀色のグローブの手の甲の部分にタイマーのようなものをつけ、

さらにレバーのようなものが側面についた物を手に持って見ているのに気づいた。

「それは?」

「ドラゴタイマー。アザゼル曰くそう言うらしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、ようやく着いたか。

「イッセーさんもホテルに行くんですか?」

「ああ、まあ一緒に行くか」

そう言うとアーシアは嬉しそうに笑みを浮かべた。

いやはや、サーゼクス様の息のかかったホテルの一室を取れて良かった。

アーシア、ゼノヴィア達と一緒に歩いているとメガネをかけた女子と松田、

浜本が俺のことをジーッと不思議そうに見てきた。

「アーシア、この人だれ?」

「実は外人さんで私たちと同じホテルに泊まるんですけど道が分からないらしくて」

「あ、そうなんだ」

そう言って、三人は俺のことを疑念を含ませた視線を送りながら歩き始めた。

いやはや、あの純真無垢で嘘をつくことを出来ないアーシアが、

人に誤魔化すことが出来るようになっているとは……やっぱり成長ってすごいな。

京都の駅から歩いて数分、駆王学園が宿泊することになっているホテルが見えてきた。

壁には遠くからでも見えるようにでかくサーゼクスホテル、

そしてそのホテルから少し離れた所にセラフォルーホテルもある。

アーシア達は入口のスタッフに生徒章を見せて中に入り、

俺は顔を少し見られるだけで入ることが出来た。

中に入ればそれはもう豪華絢爛な作りのホールが目に入った。

「す、すげえ。よく俺達の高校、金持ってたな」

そんなことを聞きながら、

俺は荷物を持ってチェックインをすまそうとしたときに急に後ろから両肩を掴まれ、

振り向かされた。

「イッセー、てめえ何してやがんだ」

「ひょ、兵藤君? 君は確かこれないはずでは」

「一般客として来ている。安心しろ、何もしない」

「いや、そういう問題じゃ……まあ、良いか。どうせ、

アーシアの傍にしかいないんだろうし。ところでお前、パスはあるのか?」

そう言われ、行く前にリアスから貰った一枚のカードを見せるとアザゼルは納得したようで、

そのままロスヴェイセとともに生徒達が集まっている場所へと戻った。

京都は強力なパワースポットでもあるが、

その管轄は妖怪なるものが担当しているので悪魔はパスが必要らしい。

チェックインも済ませ、部屋に荷物を置き、

ロビーにもどると既に準備が整った様子のアーシア達が立っていた。

「お前ら行かないのか?」

「元浜さんと松田さんがまだ来てなくて」

「そうか……夜、来いよ」

耳元でコソッと俺の部屋番号を言って、ホテルを出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんでそのまま平和に京都旅行を満喫した――――――その予定だったんだが……。

「京のものではないな」

伏見山の伏見稲荷へ行こうとしたんだが、何故か途中から道が何かしらの術で切り取られ、

この空間に閉じ込められてしまい、周りを妖怪たちに取り囲まれていた。

「ああ、京都の人間ではないが観光に来た。ちなみに悪魔だけどパスもちゃんとある。

何ら違法なことはしていないんだが」

「黙れ! 母様を返してもらうぞ!」

頭から獣耳を生やした金髪少女がそう言った瞬間に、

周りに待機していた妖怪たちが一斉に襲いかかってくる。

『グラビティ』

「うぐぉぉ! か、身体が!」

以前までの俺ならグラビティやブリザードなんかは、

それに対応したドラゴンのエレメントのスタイルにならなきゃ使えなかったんだが、

俺も成長したもんだ。

まあ、威力はドラゴンスタイル時に比べれば格段に小さくなるが。

「あれ? イッセー君何してるの?」

上から声が聞こえ、顔を上げてみれば白い翼を生やしたイリナが、

そして奥の方からはゼノヴィアとアーシアがこっちへ来ていた。

「あ! 妖怪さんです! 私初めて見ました!」

「う、うむ。だが、今は非常事態にも見えるが」

「くっ!」

状況が不利と感じたらしく金髪獣耳少女はかなり顔を歪めた。

それを見た俺は魔法を解除すると、

すぐさま金髪少女の指示で妖怪たちが奥の方へと消えていった。




あぁ、学校が始まるぜ。
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