ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第六十五話

その日の夜、俺は畳六畳分のスペースがある和室で、

横になりながら今朝の襲撃について考えていた。

京都に入る際に必要なパスも持っているし、

なにも京都の外観を壊すようなことはしていない……それに母を返せ……また、

面倒なことが起きているのか。

そんなことを考えていると突然、部屋の角に魔法陣が現れ、

そこからアーシア、ゼノヴィア、イリナたちが転移してきた。

「イッセーさん!」

「おぉ」

俺の顔を見るや否や笑みを浮かべたアーシアが抱きついてきた。

「むっ! アーシアに先行を取られた!」

「私たちも突撃ー!」

ゼノヴィア、イリナが間髪入れずに俺に突っ込んできた。

女の子とはいえ、流石に人間三人に突撃されたら男の俺でも一人で受け止めるのはきつい。

「イッセーさん! なにしますか!?」

満面の笑みを浮かべるアーシアの両手にはトランプ、ウノが握りしめられていた。

ま、まさか……俺が超絶に運がないことを逆手に取ってカードゲームを提案してきたか。

「ああ、良いだろう。俺も負ける気はない」

そう言ったものの、俺はひたすら負け続けた。

ババ抜きをすれば一枚も同じカードを引くことはなく、

さらにウノに関してはドロー系のカードを連続で使われ、凄まじい手札になったり。

「お、やっぱりここにいたか」

「アザゼルが天使に見える」

「何言ってんだお前。お呼び出しだ、魔法少女から」

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっほー! こっちこっち!」

アザゼルに連れられ、ホテルの近くにある料亭の個室に入ると着物姿のレヴィアタン、

会長の卷族たちが座っていた。

魔王クラスがここに派遣されたとなると……また、厄介なことが起きたのか。

「簡潔に今起きていることを言っちゃえば、

妖怪さんのトップが誘拐されちゃったみたいでね」

これまためんどくさいことをやる輩がいるもんだ。

「帝釈天は知ってる?」

「ええ、若干は」

「その帝釈天と会談を行うために妖怪のトップである九尾が行方不明になったの」

なるほど。外で起きたことだから外交担当のレヴィアタン様が、

こっちに派遣されてきたってわけか。

となると、今朝襲ってきた獣耳少女は外からやってきた俺達を、

犯人だと勘違いして襲ったという訳か。

「また、すごいことに首を突っ込んでんのか、兵藤」

「好きで突っ込んでいるわけじゃないが……何をすればいい、アザゼル」

「取り敢えず、大人に任せてお前たちは旅行を楽しめ。最近、

何かとごたごたが多くて碌な休息がとれてないしな。安心しろ、

堕天使総督と魔王がいるんだぜ? お前達の力は最後の方で借りるさ」

……なるほど。顧問としての責任を果たすのか。

その後も俺たちはいくつか話しあった後、ホテルへと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

翌日、俺はアーシア達に付いていき、清水寺を観光していた。

松本達がまた、こいつかよっていう目をしていたか何とかアーシアに説得してもらい、

俺も観光に同行させてもらうことになった。

その後も銀閣寺を見に行けばゼノヴィアが『銀じゃない!』と軽く絶望したり、

金閣寺を見ると『金だ! ゴールデンテンプルだ!』とはしゃいだりと俺も、

その光景を楽しみながら、休憩として和菓子屋さんによった。

「……苦いです」

抹茶初体験のアーシアは顔をしかめながらチビチビと抹茶を飲んでいく。

俺も初めて飲んだ時はかなり苦いと感じた記憶がある。

それに加えて今まで外国で過ごしてきたアーシアには少し厳しい味…………まさか、

ここまで襲ってくるとはな。

突然、あたりの空気が一気にガラッと変わり、

バタバタと松本達がテーブルに突っ伏し、眠りについた。

そして、店員さんの方を向けばそこには獣耳を生やした女性がいた。

「ここまで来るとはな」

「待って下さい」

魔法を発動しようとしたときに突然、

声が聞こえそちらのほうを向くとロスヴァイセが立っていた。

「停戦です。というよりも誤解が解けました。九尾のご息女があいたいそうです」

ロスヴェイセの話を聞き、獣耳女の方を向くと俺たちに頭を深々と下げていた。

「私は九尾に仕える狐の妖怪です。先日のご無礼、申し訳ありませんでした。

九尾のご息女である九重様のもとへとご案内いたします」

雰囲気的にも先日のような敵意は感じられないし、

ロスヴァイセの反応を見る限りでは奴が言ったこともあっているようだな。

俺達は狐の妖怪の先導のもと、妖怪たちがすみかとしている場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達が入り込んだ場所はまさに異界と呼べる場所だった。

童話などでよく見る妖怪や、歩くタヌキなど多種多様の妖怪がそこには住んでおり皆、

部外者の俺達を好奇の視線で見ていた。

歩くこと数分、目の前に振るい大きなたたずまいの家屋が見え、

そこの前にある広い大きな広場にレヴィアタン様とアザゼル、そして以前、

襲撃された際に見た金髪の獣耳少女がいた。

少女は俺達を見るや否や、申し訳なさそうな顔をした。

「先日は申し訳なかった。お主たちの事情も知らずに……私は妖怪の主、

九尾の娘の九重と申す」

「良いさ。今度からはもう少し冷静にな」

そう言うと、彼女は素っ頓狂な表情を浮かべ、俺を見てきた。

なんだ……もっと、怒られるのかと思っていたのか。まあ、

本人はそうなるくらいのことをしでかしたと思っているんだろうが。

「話は聞いた。母親が目の前に居なくなったって状況なら俺も同じだ。

急にいなくなれば冷静じゃいられなくなる……俺も、みんなもお前を許すさ」

「……あ、ありがとう」

九重は頬を少し赤らめながらそう言い、頭を下げた。

「おぉ、早速最後の希望っぷりを見せてるな~。流石はイッセーだ」

アザゼルの小突きはまあ、無視するとして―――――。

「咎がある身なのは重々承知しておる……頼む! 母上を救ってくだされ!」

それから今起きている事態の詳細な話を聞いた。

須弥山の帝釈天からの使者と会談を行うためにこの屋敷を出た九尾だったが、

向こうサイドからまだ、来ていないとの連絡が入り、辺りをくまなく捜査すると、

瀕死の状態の九尾の御つきの妖怪が発見され、

九尾がさらわれたとの言葉を残して死んだらしい。

九尾は京都の中心であるため、長い時間、

離れていると京都が異変をきたすらしいがその兆候が見られないことから、

九尾とその犯人はまだ、京都にいる――――それがアザゼルの見解だった。

「カオス・ブリゲードか」

「おそらく、英雄派だろう」

最近、その動きを活発化させているカオス・ブリゲードの旧魔王派に次ぐ、

もう一つの大きな派伐、それが英雄の子孫である人間で構成された英雄派。

やっていることだけを見ればまだバカ正直に真正面から挑んできている旧魔王派の方がまだ、

優しいと感じるくらいのことをやってのけているらしい。

「頼む……母上を救うために力を貸してください。お願いします」

……娘に限ったことじゃないが、

子供から母親を取り上げるっていう行為は許せない……英雄派か……潰す。

「まかせろ」

俺は九重の頭にポンと手を置いた。

「お前の母親は必ず俺達が救いだしてみせる。俺が最後の希望だ」

「……よろしくお願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の朝、俺達がホテルから出て観光に向かおうとしたときに背後から呼ばれ、

振り返ってみると九重がいた。

「九重。どうした」

「う、うむ。京都を案内しようと思うてな。

京都のことは端から端まですべて網羅しておる!」

そう豪語する九重の提案を松本達にも話し、

承諾を得たところで彼女先導のもと京都の観光が始まった。

天竜寺、大方丈裏の庭園、などなど。京都に存在しているメジャーなスポットから、

現地の人間しか知らないようなマメ知識などを教えてもらいながら俺達は京都観光を続けた。

俺たちに誰かから習った知識を和気あいあいと話す九重の姿を見ていると、

どこか癒されるような気分になった。

「では、これからお勧めの湯豆腐屋へ行くぞ!」

九重がそう言い、歩き出そうとした瞬間――――――俺達をぬるりと生暖かい感触が包み込んだ。




最近は毎日更新ですが学校が始まれば土日更新になります。
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