ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第六十六話

まさか、俺が兆候に気づけないとはな……これもロンギヌスの力の一端か。

魔力を完全に消しさるこの霧……面倒なセイグリッドギアを亡き神も作ったもんだな。

周りを見渡すとイリナ、九重、アーシア、ゼノヴィア、

そして遠くの方に木場の姿も見えた。

「無事か」

上を見上げると翼を生やしたアザゼルと、

それに抱きかかえられたロスヴァイセが地上に降り立った。

聞かなくてもロスヴァイセの状況は彼女から発せられている匂いで分かったが……教師が、

修学旅行の場所で酔ったら面目丸つぶれだろ。

「ディメンション・ロストか。まさか、

上位クラスのロンギヌスを敵として戦う日が来るとはな」

ディメンション・ロスト―――――ロンギヌスの中でも上位にあるセイグリッドギアで

その霧に包みこまれた者は二度と姿を現すことなく、消え去る。

攻撃力自体は皆無だが使い手によれば一国をも、

一人で破滅に導くことが可能なセイグリッドギアだったはず。

「……どうやらお客さんだ」

霧の向こうに複数の魔力を感じ、そちらを向くと霧の中に複数人、

こちらへと向かう様が見えた。

霧から完全に出てきたのは槍を持った男、白髪で剣を持った男、

幼い少年、残りは女性だった。

あれが英雄派とかいう派閥か……英雄の子孫が、

幹部を務めているらしいが所詮、そんなものはいくらでも偽造できる。

「俺の名前は曹操。その名の通り曹操の子孫であり、英雄派を纏めている。よろしく頼む」

「あいつが持っている槍には気をつけろよ」

珍しくアザゼルが冷や汗をかいていた。

無理はないか……なんせ、目の前には最強と詠われているセイグリッドギア、

トゥルー・ロンギヌスがあるからな。

イエスを貫いたとされている槍……まさか、

こうも早くに最強のセイグリッドギアにご対面する日が来るとはな。

俺はアーシアの視界を隠すように彼女の前に立った。

信仰心を持つ者があの槍をジッと見続ければその心を奪われると聞く。

ゼノヴィアはいけるだろうが信仰心が篤いアーシアが見れば心を奪われるだろう。

「ま、余計な話はめんどくさいから止めよう。どのみち、

君たちは俺達を犯人だと思っているだろうしね」

「そう思われることをしてきたんだろ」

「やあやあ、ウィザード。お会いできて光栄だ。

本当はあの姿の君と戦いたかったんだけどな。残念だよ」

こいつ、どこまで俺達の情報を掴んでいるんだ。

あの姿を知っているのはあの場にいた奴らだけだと思っていたんだがな。

「九尾で何をする気だ」

「少し、俺達の実験に使うだけさ。な~に、実験が終わればすぐに返す。

まあ、その時にまともな状態で居ればの話だけど」

「一つ言っておこう……子供から母親を取り上げてんじゃねえぞ」

「イッセー。とりあえず、曹操は俺に任せてもらいたい。あそこの他の奴らを頼むぞ。

曹操、俺と戦おうじゃねえか!」

一番手は金色の鎧を身に纏ったアザゼルで、

極太の光の槍を握り締めながら曹操とともに別の場所へと移動していった。

「すまないがイッセー。アスカロンを貸してくれ」

『コネクト、プリーズ』

魔法陣からアスカロンを取り出し、ゼノヴィアへと渡す。

「じゃ、僕たちも始めようか。レオナルド」

白髪の男がそう言った瞬間、幼い少年の影がウネウネと動き出し、

そこから大量の異形の姿をしたモンスターが現れた。

なるほど、アナイアレイションメーカーか。まさか、

四つの上位ロンギヌスのうち三つもテロリストが所有しているとはな……世界も、

物騒になったもんだ。

だが……この場では俺はあまり最前線で戦わない方が無難か。

俺が指示を飛ばして木場達を動かそう。

「木場、ゼノヴィア、イリナ。俺が指示を飛ばす」

「「了解!」」

二人はそう言い、一気に駆け出した。

まずは、後ろの奴を片付けるか……チマチマ片付けていくよりも、

一気に片付けた方が戦況にとっては良いか。

「ゼノヴィア、お前のお得意の破壊でそいつらを蹴散らせ」

「まかせろ! ハァァァァ!」

ゼノヴィアが気合いの叫びをあげながらアスカロンを振るうと刃から、

すさまじい量の聖なるオーラの衝撃波が放たれ、

大きなモンスターどもを複数体、同時に片付けていく。

相変わらずのパワーバカだ。

木場はもう少しテクニックの部分を鍛えて欲しいらしいがな。

「イッセー君、私は」

『ビッグ・プリーズ』

「魔法陣にとびっきりの槍を打ち込め」

俺はイリナの目の前にビッグの魔法陣を展開した。

イリナはそこへ、とびっきりの槍を打ち込むと、

槍がその大きさの一瞬にして倍ほどの大きさとなり、

モンスターどもの腹を貫通していく。

『ギャァッ!』

『ディフェンド・プリーズ』

モンスターの口から光が放たれ、魔法陣で防いだ。

そうか……こいつら、対悪魔用のモンスターか。となると、

一気に片付ける必要が出てきたな。あいつらがいっせいに光の攻撃をすれば、

いくら俺でも全員は防ぎきれない。

それに、少年の影から続々とモンスターは増えていく。

「木場、光を喰らう魔剣をゼノヴィアとアーシアに作れ」

「わかった!」

木場は剣を持った男と斬り合いながらも光を喰らう魔剣を創造し、ゼノヴィアに投げつけ、

アーシアには俺の魔法陣に放り投げることで渡した。

「アーシア、お前はこの剣を持って九重の前に立っておいてくれ」

「は、はい!」

九重はアーシアに任せて……俺も前線に行きますか。

「魔法使いは私達が!」

そこへ、武装をした女性達が俺に向かって何人もやってきた。

なるほど、あいつらも何かしらの理由で英雄派に入った人間か……となると、

あんまりサンダーはしない方が良いか。

『グラビティ』

「か、体が! 重く!」

あいつらが悪魔なら本気のグラビティを喰らわせるんだが相手は人間。

どれだけ鍛えていようが突然、自分たちの重力をかえられて、

体重を何倍にもされればあっという間に動けなくなってしまう。

「気絶で済ませてやる」

『サンダー』

黄色の魔法陣の真下に緑色の魔法陣が出現し、そこから電撃を纏ったドラゴンの幻影が、

黄色い魔法陣めがけて飛びだし、黄色い魔法陣にぶつかると同時に爆散した。

英雄派の少女たちは高圧電流が全身に流れたことによりバタバタと気を失って倒れていく。

……何故、奴が後ろに。

「あ~あ。だから、言ったのに」

後ろから声が聞こえ、

振り返るとそこにはアザゼルと戦っていたはずの曹操が俺の後ろに立っていた。

「総督殿ならモンスターに任せてきたよ。なんせ、

ここに来た理由は君と話すことが大部分を占めていたしね」

「闘う意思はないとでも言いたいのか?」

「もちろん」

どこまでが真意かは知らんが……こいつの情報を手に入れるチャンスではある。

「にしても君は末恐ろしいよ。戦闘面だけが逸脱していると思いきや状況を瞬時に把握、

そして仲間に的確な指示を送る。戦争で最も恐れられるものを知っているかい? 

それは凶悪な武器でもなく毒ガスでもない……強くて指示が飛ばせる人間だ。

最前線の状況を知り、それに合った作戦を立てる」

戦争はきっかけ一つで状況が一変する。

そんな戦争の中で大体の司令官は遠くから指示を飛ばす。

だが、最前線の状況を知らずに飛ばされたその指示は時には戦況を優勢から劣勢へと、

変えてしまうこともある。

最前線で戦いながらも指示を飛ばす……確かにある意味では恐ろしい存在だ。

「シャルバは君をただの障害としか思っていないようだが俺は君を、

組織全体の障害だと思っている。いずれ君はどの存在よりも厄介なものへと、

なりうる可能性を秘めている。未熟なうちに潰すに限る」

曹操が俺に槍を向けた瞬間、俺達の間を割るようにして、

見覚えのない文様が描かれた魔法陣が出現し、

そこからトンガリ帽子を被り、マントをはおった中学生ほどの少女が転移してきた。

「初めまして。ヴァーリチームの魔法使い、ルフェイ・ペンドラゴンです」

自己紹介をするや否や、ルフェイと名乗った少女はこちらを振り向き、

目をキラキラと輝かせながら俺に近寄って来て、勝手に握手してきた。

「はぁぁぁあ! ずっと会いたかったんです! 

あなたがドラゴンズマジックの兵藤一誠さんですよね!? お会いできて光栄です!」

……な、なんだこいつ。

「ヴァーリチームの魔法使いが何の用かな?」

「んっふん! ヴァーリ様からの伝言をお伝えに来たんです。

邪魔だけはするなと言ったはずだ、そうです」

そう言い、少女が指をパチンと鳴らした直後、

俺達のいる空間が突然、大きな揺れに襲われた。

直後、背後からバゴン! という何かが抜けるような音が聞こえるとともに、

俺を優に覆い尽くすほどの巨大な影が出来た。

俺の目線では大きな二つの意志があるように見えるが視線を上に持っていくと、

一体の巨大な人型の意志が立っていた。

「さあ、ゴッくん! 私たちに監視者を送った罰を英雄派の皆さまにやっちゃって! 

ゴッくんハンドクラッシャー!」

楽しそうに少女がそう言うと巨大な何かはその大きな腕を振り上げ、

英雄派がいる場所へとぶつけると巨大な揺れとともに嵐山名物の渡月橋が一瞬にして崩壊し、

ゼノヴィア達が片づけていたモンスターどもを一瞬にして叩き潰した。

さらに巨大な石の怪物は腕を振り子のように振り名がら地面を指で抉るように動かしていく。

英雄派の幹部どもは悠々と避けたが下っ端どもとまだ残っていた怪物たちが、

餌食となった。

「ちっ! ゴグマゴクか! 流石にこの空間でそいつの攻撃を、

何度も受けるわけにはいかないな……一旦引くとしようか!」

曹操は槍を巨大な何かに向けると、

槍の先端が一気に伸びて巨人の肩に突き刺さるとそのまま押し倒した。

『ビッグ・プリーズ』

俺はこちらに倒れてくる巨人を魔法で大きくした腕で止めて、

曹操達を見るがすでにそこにはいなかった。

『我々は二条城にて大きな実験をする』

何処からともなく声が聞こえてくるが、どこにも奴らの姿は見当たらない。

『君たちは特別に招待してあげるよ。それと、直にこの空間は元に戻る。

武装などを解除しておくことをお勧めしよう』

癪だが曹操の指示に従い、武装を解除したと同時に目の前が真っ白になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「帰ってきたのは良いが……本当に厄介なことになりやがった。クソったれ」




明日、気弱を一気に更新しようかな。
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