ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第六十八話

「何をするかは知らないが」

白髪の男の斬撃を受け止めると、タイマーからドラゴンの咆哮が聞こえ、

手の形をしたレバーを押した。

『ウォーター・ドラゴン!』

「なに!?」

その直後に白髪の背後から水色の魔法陣が出現し、

そこから水色の鎧を身に纏ったもう一人の俺が姿を現わし、

二人同時に剣を叩きこんでいく。

だが、腕の数が根本から違うために刃をあてることはできない。

「まかせた」

「ああ」

俺は水色の俺に白髪を任せ、残りの三人のところへ駆け出すと同時にドラゴンの咆哮が聞こえ、

レバーを押す――――――。

『ハリケーン・ドラゴン!』

「さ、三人!? 嘘でしょ!」

女の頭上に緑色の魔法陣が出現し、そこから風を纏った三人目の緑色の鎧を纏った俺が出現し、

逆手に持った剣を叩きこんでいく。

俺もそれに加勢しながらもガタイのでかい男と曹操に注意を向けている。

「あぁもう! めんどくさいから俺のミサイルで死ね!」

『ランド・ドラゴン!』

ヘラクレスが全身から突起物を生やし、爆発物を俺めがけて凄まじい数を放ってくるが、

レバーをもう一度押すと、俺達の前に黄色の魔法陣が地面に現れ、

そこから地面が壁のようになって盛り上がり、

爆発を防ぐと同時に黄色の鎧を身に纏った俺が出現した。

「俺もいたりして。はぁ!」

俺が曹操を、ウォーターが白髪野郎を、ハリケーンが女を、

ランドがヘラクレスを担当し、それぞれ乱戦を始めた。

「はっ!」

「うおっ!」

ウォーターが魔法陣から大量の水を放出し、

白髪を吹き飛ばすと同時に水浸しにし、ブリザードを発動させる。

『チョーイイネ! ブリザード! サイコー!』

「ジークフリート!」

水浸しになったせいもあり、普段よりも早い速度で全身が凍てついていき、

あっという間に氷の彫刻と化した。

これで残りは三人だ。

「はっ!」

「きゃぁ! な、なによこれ!」

『チョーイイネ! サンダー! サイコー!』

その場で一回転して巨大な竜巻を生み出し、それで女を捕らえた直後にサンダーを発動させて、

その竜巻へとぶち込むとドラゴンは竜巻の回転に合わせて回転していき、、

その速度が最大にまで上がった瞬間! 竜巻が一気に伸縮し、大爆発を起こした!

残りは二人だ。

『チョーイイネ! グラビティ! サイコー!』

「おぉぉ! か、体が!」

「ヘラクレス!」

「おっと、どこへ行く」

仲間を助けに行こうとした曹操を、俺自身が壁となって立ちはだかり、

その場で通行止めをしてやった。

『チョーイイネ! キックストライク! サイコー!』

「だぁ!」

「がっ!」

何倍にも膨れ上がった重力により、動けないでいるヘラクレスの腹部に、

エレメントを纏わせた鋭い蹴りをぶちこむと、鈍い音が響き渡り、

口から血反吐を吐いてヘラクレスは地面に突っ伏した。

「ちっ! まさか一人で三人を倒すとは」

『ファイナルタイム!』

その音声が聞こえ、四人同時に曹操に斬りかかっていく。

曹操も槍で四人分の剣を防いではいるが、徐々に余裕の表情は消え、

焦りが見え始めた頃には体にも傷はいくつも付いていた。

「悪いがこれで終わらせる」

『ドラゴン・フォーメーション!』

曹操が距離を取った直後にもう一度、

レバーを押すとそれぞれの俺の背後にエレメントに合った魔法陣が出現し、

そこからドラゴンの幻影が現れて俺達のスペシャルでの武装となった。

スペシャルフィナーレだ。

「はっ!」

胸のドラゴンの頭部の口から炎を吐きだすが奴は槍をぶつけて炎を聖なるオーラの爆発で、

かき消す……が、そこからウォーターの龍の尻尾の払いを受けて態勢を崩し、

そこに翼を生やしたハリケーンの暴風により吹き飛ばされた。

「ちっ! めんどく、ぐあぁ!」

曹操が喋ろうとしたときに地面からランドが出現し、クローで曹操を切り裂いた。

「「「「フィナーレだ」」」」

『フレイム』『ウォーター』『ハリケーン』『ランド』

『スラッシュストライク!』

「はぁ!」

四人全員集合し、同時にスラッシュストライクを発動させて、

四人分の属性を纏った斬撃を一気に飛ばした。

「ぐあぁぁ!」

曹操も槍で防ごうとするが、四人分全ての攻撃を完全に防げるはずもなく、

二発ほどその身に受けた。

一発は腹部に、そしてもう一発は奴の目にあたり目を潰した。

「曹操!」

「兵藤一誠っ! ぐあぁ!」

霧使いの男らしき人物が痛みと憎しみで暴れる曹操を何とか抑えつけていた。

「さて、向こうはと……」

匙の方を見ると九つの尾に首を絞められ、苦しそうにもがいていた。

『我が分身、力を入れろ』

『つっても、この状態じゃ!』

「はぁ……気合い入れろ匙!」

数年ぶりに声を張り上げ、叫ぶと匙は首を絞められながら眼だけをこちらに向けた。

「そんな、腰引けた状態で勝てるか! 

会長の卷族だって言うんだったらもっと気合い入れて戦え!」

『…………あぁ、そうさ! 俺はシトリー卷族のポーン! 匙元仕朗だ! ぬおぉ!』

黒い龍の全身から漆黒の炎が放出され、九尾の尾に引火し、

メラメラと炎を上げて燃え始めた。

ただの炎ではないらしく九尾の皮膚に何かしらの傷が付いているわけではないが、

徐々に首を締めあげていた尾の力が弱まっているのか拘束が緩くなっているように見える。

なるほど……力を奪うのか。

『喰らいやがれぇぇぇぇ!』

ドラゴンの口が大きく開かれ、そこから漆黒の炎の球体が放たれて九尾に直撃すると、

九尾の全身が漆黒の炎に覆われた。

『どうだ! これが俺の気合いの一撃! 名づけてヴリトラ砲だ!』

もう少しましなネーミングはなかったのかと言いたいところだが、

まあ本人が納得しているのであればよしとするか。

漆黒の炎に包まれた九尾は最初は激しく抵抗してはいたものの徐々に炎に力を奪われていき、

最終的には力が尽きたのか炎が消えると同時に地面に突っ伏して動かなくなってしまった。

「ぐっ! 九尾がやられたか……くそっ! 時間的にもうここにはいられない。ゲオルク!」

霧使いの男性が曹操の怒鳴り声にうなづくと俺が倒した奴らに霧をかぶせ、

己と曹操にも同じものを被せた。

曹操は霧に包まれながら鬼のような形相で俺を睨みつけてくる。

「兵藤一誠っ! 次に合う時を覚えていろ。その時は……必ず君を殺す!」

その言葉を残して曹操率いる英雄派のメンバーはこの場所から消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、どうしたものか」

「母上! 母上!」

曹操達の束縛から解放されたはずの九尾だが戦いが終わってから十分ほど、

経っても意識を取り戻す気配なかった。

必死に九重が呼びかけるも反応は無し…………一度、

九尾の中に入って原因自体を取り除くしかないか。

「九重。おれと一緒に九尾の中へ入るぞ」

「じゃ、じゃがどうやって」

『エンゲージ・プリーズ』

俺は九尾の手を握ると九尾の腹部の上に大きな魔法陣が展開された。

九尾と同じように寝ている匙を木場達に任せ、

九重を抱きかかえて俺はその魔法陣へと飛びこむと、下へと落ちていく。

真っ暗で何も見えない中落ちていくこと数分、突然景色が白に変わったかと思えば、

速度が失われ、地面に着地した。

すると突然、地面から黒い煙が噴き出し、

うめき声とともに大量の黒い人の形をしたものが作り上げられて、こっちへと歩いてきた。

「成程、あれが原因か」

近づいてきた一体をアスカロンで切り裂くと黒色だったものが消え去り、

狐の妖怪が一瞬だけ姿を現して消え去った。

……つまり、あの中に九尾がいると。

「九重。あの中に九尾がいる。探しだせるか」

「……やってみせる!」

俺は九重が母親ではないと判断した奴らを切り裂いていく。

それらはタヌキだったりカラスだったりするが、

数ではあっちが圧倒的に上なほかにドラゴタイマーで魔力を消費したために、

あまり魔法を連発できない状態にあった。

「母上! どこですか!」

「九重! 伏せろ!」

『ビッグ・プリーズ』

「はぁぁぁ!」

ビッグでアスカロンの刀身を巨大化させて、

大きく振るうと九重に襲いかかろうとした奴らを一気に切り裂いた。

「九重! どうした!」

突然、九重が母を呼ばなくなってしまった。

「……もう、無理じゃ。母上の姿は見えない……」

「あきらめるな!」

切り裂きながら、本日二度目の怒声を上げて九重に喝を入れる。

「あきらめるのは簡単だがな! 母親を失ったときに取り戻そうとするのは無理なんだ! 

ここで諦めたら二度と九尾は! 母親は戻ってこない! 

母親が大好きだって言うんだったら! 取り戻してみろよ! その手で!」

『チョーイイネ! キックストライク! サイコー!』

「だぁぁぁ!」

足に炎を纏わせ、一体を蹴り飛ばして奥の方へと吹き飛ばして、

その爆発で複数体を道連れにした。

「俺にはもう母親はいねえんだ」

「え?」

「この前、病気でな。俺も最初は絶望した……毎日毎日母さんのこと考えてた。

でも、俺には仲間がいた。絶望から救ってくれた希望が。

九重、お前にだって仲間はいるはずだ。その仲間まで絶望させていいのか」

「…………母上」

「聞こえない」

「母上! どこですか! 母上―――――――!」

九重の叫びが頂点にまで達したとき、

一体だけ他の奴らとは雰囲気が違う奴がこちらへと歩いてきた。

「あ、あれじゃ! あれから母上の声が聞こえる!」

「走れ九重! 俺が護ってやる!」

魔力……持つといいんだけどな。

『ハリケーン・ドラゴン。ビュー・ビュー・ビュービュービュー!』

『チョーイイネ! サンダー! サイコー!』

走っている九重を避けて周りにいる黒い奴らをサンダーで一掃していく。

そして、九重が母親と言い張る黒い奴の目の前に立ち、その手を握った。

「母上! 見つけましたぞ!」

直後、その黒い奴が光輝き、徐々に黒いものがポロポロと落ちていき、

背後から九つの尻尾が生えた。

それに伴い、周りにいた黒い奴らも消滅していく。

『九……重』

「母上!」

母とようやく再開できた喜びからか、九重は涙を流しながら母親に抱きついた。

『九重……先に行っているぞ』

そう言って、九重の母親は光となってこの空間から消え去った。

そろそろ、この空間も用済みか。

「九重、帰るぞ」

「うむ!」

俺は九重を抱きかかえて傍に展開した魔法陣を通った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の朝、全てが解決した俺達は京都駅へと向かって歩き始めていた。

その後、九尾は順調に回復し、アザゼルの検査でも問題なしと判断された。

京都周辺を警戒していた部隊と交戦していた英雄派も曹操がやられたことを知れば、

速攻で帰っていったらしく、捕らえる事が出来たのは下っ端の奴らだけらしい。

「イッセー君。帰ってから鍛錬の相手を頼んでいいかな」

「良いぞ。徹底的に苛めてやる」

そう言うと、木場は苦笑いを浮かべながら一足先に京都駅へと向かった。

「ウィザード殿。京都を救ってくれたこと、感謝いたす」

「いえ。そんな大層なことは」

「そうじゃぞ! お主は京都の英雄じゃ! もっと胸を張れ!」

「そうだな……でも、母親を救ったのはお前だ。お前も胸張れよ」

「も、もちろんじゃ!」

九重が顔を赤くしたところで新幹線が発車するベルが鳴った。

「じゃあな、九重」

「うむ! また京都に来てくれるか!?」

「ああ、必ず」

そう言うと、九重は満面の笑みを浮かべた。

京都の英雄か…………一組の親子を救った英雄……の方が、

しっくりくると思うのは俺だけかもな。

俺はドアの窓から一瞬だけ見えた景色を見てそう考え、席へと向かった。




今回は区切り良く二話更新です。それでは。
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