ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第七十九話

「ニャー!」

『『ワン!』』

狼と猫が向かい合って吠えあっている……俺は人生で初めて猫が、

狼に吠えるところを見た気がする。

他にもVIPルームにはやけに俺のことを見てくるオーフィスとルフェイ、

我関せずと言った態度の二匹の親でもあるフェンリルが横になって寝ていた。

「魔の王。我、魔法見たい」

「わ、私もみたいです!」

片方からは無言の期待を当てられ、もう片方は両目をキラキラさせて、

あからさまな期待を当ててくる。

……別に何も隠すほどのことじゃないから、

良いことは良いんだが……あいつを使わせてもらおう。

『コネクト・プリーズ』

寝ているフェンリルの頭上に魔法陣を展開し、後頭部に軽く凸ピンをして素早く、

魔法陣を消すと、フェンリルは何事かと起き上がって、周囲を見渡した。

「はぁぁ~! 凄いです!」

ルフェイは大層満、足そうな笑みを浮かべて喜びを全身で露わにしていたが、

オーフィスとやらは無表情でジッと俺を……というよりも俺じゃない何かを見つめていた。

「今代の赤龍帝、力使わない。ドライグ、天龍止める?」

その時、ドラゴンの声が俺の頭の中に直接、響いてきた。

“俺を外に出せと”

『ドラゴラーイズ・プリーズ』

俺はその声に従い、普段よりも遥かに小さい状態でドライグを……というよりも、

奴の魂を持った別のドラゴンを呼び出した。

「むっ。ドライグ、小さくなった」

『放っておけ。さっきの質問だが俺は天龍をやめる気はない』

「何故、力使わせない。ドライグ、過去の所有者に力使わせた。

でも今の赤龍帝。魔法使ってる。ドライグ、それ怒らない」

『さあな。俺の力を使うも使わないもこいつが決めること。

それにこいつは俺の力を別の方面から使用している。俺の力を使っているのと大差ない。

もともと、こいつの魔力は俺が生産したものだ』

「これまでの赤龍帝、ドライグの力で覇を求めた。

でも今の赤龍帝、魔法で覇を求めている」

『覇を求めているわけじゃない。こいつが勝手にそう呼ばれているだけだ。

それに俺は今もこいつは気に食わない。こいつが俺の力を使わないのであれば、

俺もこいつには力を貸さないだけだ。話は以上だ』

そう言ってドラゴンは魔法陣の中に入り込み、俺の中へと戻った。

気に食わないか……本当にそう思っているならば二度も、

俺に力を貸さないとは思うんだがな。

オーフィスもそれで満足したのか急に立ち上がって、

部屋の端で三角座りをしてボーっとどこかを見始めた。

「まあ、とにかくこいつらのことに関して頼めるか。イッセー、リアス」

「私はイッセーが良いと言うならばそれでいいわ」

「……別に構わん。こいつらが何もしないならな」

「悪いな、毎度毎度」

本当にな。毎度毎度、

面倒事が引き寄せられるかのようにいくつもやってくる。

だが……一番気になるのはあいつだな……前回の戦いから、

既に復調はしているだろうが……もう一度会ったときにどんな化け物に化けているか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その数日後、俺たちは試験当日の日を迎え、

家の地下にある巨大な転移用魔法陣のもとに集まっていた。

恰好は学校の制服、持ち物は数年ぶりに使うこととなった高校のかばん。

その中には受験票やら筆記用具やらが入って入るが……まさか、

このかばんを押入れの奥から再び出すとはな。使わなすぎて埃だらけになっていたがな。

試験の会場となるセンターまで行くのが受験者の三人とマネージャーのレイヴェル、

他の奴らは一足先にお祝いパーティーをするというホテルへ、

転移してパーティーの準備を行うらしい。

「にしてもイッセーの制服姿もなかなかいいものね」

「ゲームのときに何度も見てるだろ」

「見るたびに変わっていくのよ……これは御呪いよ」

そう言い、俺の頬にキスを一つした。

「大丈夫だとは思うけど気は抜かないようにね」

「あぁ……行ってくる」

「いってらっしゃい」

リアス達の応援のもと、俺達は試験会場である場所へと転移するために、

まばゆい光を放ち始めた。

本来なら俺のテレポートでも行けると思うんだがそれだと色々と、

手続きが面倒なことになるらしいので公式のもので飛ぶことになった。

一応、サーゼクス様も俺のテレポートは認めてくれているとは思うが念のためだ。

輝きが収まると、俺達がいた場所は家の地下ではなくどこかの広いホールだった。

……市民センターのような場所だな。

すると俺達の姿を見つけたスーツを着た奴が早歩きで近寄ってきた。

「ようこそおいで下さいました。

お話は伺っておりますが何か証明できるものをご提示ください」

近づいてきた事務員らしき女性悪魔にそう言われ、

リアスから貰ったグレモリー家の文様が描かれたものと、

推薦状を担当者に渡すと確認が済んだのか、受付へと案内され始めた。

案内されている途中に気がついたんだがセンターにいる悪魔は数人程度。

戦争が勃発していた時代は勲章を上げることは、

そう難しくないことだったが三種族の間で和平を結ばれた今は、

なかなか勲章をあげるのはつらい。

「こちらで受付を済ませた後、上階の試験会場へ向かっていただいて結構です。

レポートもそこで担当のもにお渡しください。では、よい結果を期待しております」

そう言って、俺達を案内した悪魔はそのまま自分の持ち場へと帰っていった。

「受付用紙を取ってきますわ」

俺達が動くまでにレイヴェルが動き出し、受付まで取りに行った。

「イッセー君。ここまでこれたのは君のおかげだよ」

突然、木場が真剣な表情をしてそう言ってきた。

何を言ってんだか急に。

「…………俺は何もしていない。

ここまで来たのはお前自身がやってきたことが評価された結果だ」

「そうだね。でも、僕がやってきたことには必ずと言っていいほど、

君がその場所にいた。僕は君とともに戦ってきたからこそ、

今この場にいる。本当にありがとう……それとこれからもよろしく」

そう言い、木場は笑みを浮かべながら手を差し出してきた。

俺は何も言わず、その手を軽く握るとその上から朱乃も手を重ねてきた。

「ふふ、一緒に合格しましょう」

「皆さーん! 用紙を取ってきましたのであちらで記入しましょう!」

レイヴェルから用紙を受け取り、諸々のことを記入していく。

 

 

 

 

 

 

 

その後、レイヴェルとは別れて俺たちは試験会場へと向かった。

二階に上がるとすぐに悪魔の文字で『中級悪魔昇格試験会場』と、

書かれた立札が壁に立て掛けられているのが見え、

その部屋に入ると中は大きな講義室のような作りをしており、

ちらほらと座席が埋まっていた。

俺達の指定された座席へ座ると周囲からヒソヒソと声が聞こえてくる。

「あれが雷光の巫女、聖魔剣、そしてウィザード候補か」

「噂ではすでにウィザード確定らしいぞ」

「間近で未知の魔法を見れるのか!」

そんな声を聞きながらも周囲を見渡すと元人間の悪魔のほかに、獣人の悪魔、

魔物の姿をした悪魔など人間以外の転生者が四十名ほどいた。

大勢いる下級悪魔の中で推薦を貰ったのはたった四十名か……中級悪魔に上がる門は、

狭いものだとは聞いていたが……ここまでとはな。

サイラオーグは魔王になった暁には才能がある全ての悪魔に……地位など関係なしに、

このテストを受けさせてやりたいといっていたな。

その数分後、試験官らしき人物が入室してきてレポートの提出を促した。

俺たちは指示に従いながらレポートを提出し、

注意事項などを聞きながらも配られた試験用紙を見ていた。

ほんと、高校受験を思い出すな……いや、

あの時はかなり軽く考えていたからな。

それよりも、毎月の収入や家賃のことなどを考えていたっけ。

「では、始めてください」

その一言とともに試験が始められた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「屈辱だ……一生の屈辱だ」

試験はすでに終了し、第二部の実技試験を待機しているが……第一部の筆記試験で、

一つだけ空白があった。それは社会学というところで何故かは分からない……もしかしたら、

出題者の意図なのか、レヴィアタン様が主人公の番組、

『マジカル・レヴィアたん』という幼児向けの番組の敵幹部を書け、

とかいう問題だけが書けなかった。

「ま、まあまあ。イッセー君は転生してからまだ期間が浅いから」

「ふふ、私もあの問題はビックリしましたわ」

これまでどんなテストも満点を取ってきた俺からすれば圧倒的な敗北感だ。

「イッセー様が解けなかった問題ですか……いったいどんなものなんでしょう」

「かなり難しいよ……オタクなら一発でかける問題だ」

人間風にいえば小学生は解けるが大学生が解けない問題みたいな感じだ。

……今度から冥界で放送されている番組を随時チェックしていくか?

「次は実技だね」

「イッセー君は力を抜いていかないと」

「何故だ」

「何故って…………下手をすればこのセンターを凍りつかせたり、

燃やして会場をとかしてしまったり、

重力で会場をぺしゃんこにしちゃうかもしれませんもの」

流石に俺でも全力でやる場面と手を抜かないといけない場面が、

あることくらいわきまえている。

そうこうしているうちに実技試験の時間となり、

レイヴェルの見送りを受けながら更衣室でジャージに着替え、

第二部の会場である広いグラウンドで開始まで軽く体を動かすことにした。

とはいっても、俺が使うのは魔法。そうそう、体を動かすことはない。

ストレッチをしていると試験官から集合をかけられ、受験者が集まる。

「では、これより説明をいたします。まず、今から配りますバッジを皆さまには、

つけていただきます。バッジには番号が書かれており、

こちらの抽選によって選ばれた二人に戦ってもらいます。

勝ったから絶対に受かるという訳ではございませんので」

担当者から配られるバッジを受け取り、胸に貼り付ける。

「では、発表いたします。一番と二番、三番と四番の方。前に」

いきなり俺か……二人は二十六番と三十二番だから後半か……。

「頑張って」

「イッセー君ならできますわ」

二人の声援を受け、魔力で円形形作られているフィールドへと入る。

「尚、ポーンの方はプロモーションは可能です」

……おいおい、そんな話一度も聞いたことないぞ。

なんだよプロモーションって……別に今更、大きな影響があるとも思えんが。

「では……始めてください」

さてと……最近、ドラゴンスタイルばかり使っていたから久しぶりに、

下位互換の奴らを使ってみるか。

『ハリケーン・プリーズ。フー・フー・フーフーフー!』

「はっ!」

相手が手元に魔力を集め、そこから小さな火球をいくつも放ってきた。

それを風を纏って宙に浮かび、避けていく。

いつものようにアスカロンは使えないしな……とはいっても。

「勝たなくちゃいけないしな」

その時、相手の全身から冷気が放出され、宙に大きな鳥が出来上がった。

セイグリッドギア所有者か……面白い。

『チョーイイネ! サンダー! サイコー!』

「鳥には龍だ」

普段よりかは威力が下がったサンダーを放ち、

相手の巨大な鳥にぶつけると相手の氷の鳥が一瞬で砕け、

そのままサンダーが相手に向かっていく。

「くぅ!」

相手は防御用の魔法陣を展開するもサンダーが、

それを貫通して相手に直撃し、大爆発を上げた。

…………ま、まあ相手の魔力は感じられるから死んではいない。

やはり、普段からテロリストや上位の強さの奴らと戦ってきたせいか、

全力で出す癖がついてしまったらしい。

もしもハリケーンのドラゴンスタイルでサンダーを使っていれば……もしかしたら、

俺はヤバいことになっていたかもしれんな。

「四番! 兵藤一誠選手の勝利です!」

試験は呆気なく終わった。




とりあえず、今日はキリのいい三連投です。
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