ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第八十話

難なく実技試験を終えた俺達はアザゼル向けに通信魔法陣を展開していた。

『今は酒の真っ盛りだ! で? どうだった?』

「圧倒的――――そんな言葉が似合う」

そう言うとアザゼルはニンマリと口角を上げた……と思う。

『そりゃそうだ。中級悪魔の試験を受ける奴らは強くて中級の上クラス。

でも、お前達は上級悪魔並みだ。加えてイッセーは裏切りのフェニックス、

ロキ、ヴァーリ、曹操なんかを撃退しているんだ。圧倒的じゃない方がおかしい。

木場、朱乃、ロスヴァイセはすでに上位の悪魔と遜色ないし、

仙術の使い方を覚え始めている小猫も直に上位クラスだ』

小猫は今は悩んでいるらしい。姉に仙術や妖術を習うか習わないか。

まあ、あいつの心の奥底ではおそらく決まっているだろうがな。

話は戻るが神をも屠ると言われているロンギヌスの中でも最強のロンギヌスと戦い、

自律稼働しているロンギヌスを持つ男と戦い、

神とも戦い……正直、普通の卷属だったら全滅だっあり得る話だ。

それを全員一人もかけずにここまで来れた時点で俺達は異常だな。

「俺の女が引き寄せたものは凄まじいメンツという訳か」

『そうだな……にしても公言したな』

「何をだ」

『リアス! イッセーがお前を俺の女って言ったぞー!』

向こうから何やら騒ぎ声が聞こえてくるが……まあ、この際どうでもいいだろう。

『ハハハハハ! リアスの奴顔真っ赤にしやがった! 畜生! 

お前が魔法の王を目指すなら俺は独り身の王になってやる! チクショ――――!』

独り身の哀れな叫び声が聞こえたところで回線が切れた。

「ふふふ。やっぱりイッセー様の傍にいると、

面白いことがいっぱい起こりますわ」

「そうですわね」

「じゃあ、帰ろうか。みんなも待ってるしね」

その一言で俺達は転移魔法陣でリアス達が待つホテルへと転移した。

 

 

 

 

 

 

「そんじゃ! リアスとイッセーが恋人同士になった……おいおい!

そんな物騒なもん見せるんじゃねえよ! ゴホン! 

改めて今までお疲れ様! 今日はパーっと楽しみやがれ若人よ!」

並々と注がれたグラスを仰ぎながら既に出来上がっているアザゼルの大きな声で、

パーティーらしきものが行われた。

無論、あの三人もいるが三人とも黒歌の仙術で気配を消しているらしく、

端の方で甘いものを食べている。フェンリルはルフェイの影に潜んでいるらしい……。

もしかしたらあの二匹も俺の影に潜むことができるのかもな。

このホテルは残念ながらペット禁止のため、

二匹は今頃ミリキャスとともに楽しく遊んでいるだろう。

「これとこれも食べてください」

「…………別にそんな指示なくても」

「今、小猫さんは体調が不安定ですから。バランスよく食べて栄養を摂取しないと、

また体調不良を起こしてイッセーさんが心配しますわよ」

「……分かった」

どうやら、レイヴェルと小猫も仲良くやれている様子だった。

「どうだった? イッセー」

「一言で言うならば楽勝……だが、あまり思い出したくないな」

リアスはよく分からないといった様子だったが再び食事に向かった。

あの日以来、俺はリアスに尋ねられた際はできる限りのことを話すようにした。

恋人関係になったこともあり、俺も気兼ねなく全てのことを話せるようにはなったが……まあ、

月日を重ねていけばもっと深いことも話せるようにはなるだろう。

こればっかりは時が経つのに任せるしかないな。

「ところでイッセー。お前、ウィザードの件はどうする」

この世界でもっともすぐれた魔法を扱うものに対して贈られる最上の称号。

全ての魔法使いが一度はそれに憧れると言われている最も名誉あるもの。

正直、俺は称号や地位などにはあまり興味はないんだがな……。

「今はまだな。俺とてまだ未熟だ。ウィザードの件はもっと先の話だ」

「そうか……だが、魔法使いには気をつけろよ」

「……どういう意味だ」

「簡単な話さ。外の存在が自分たちの最も名誉ある称号を取られたら嫉妬、

憎しみなんかの感情を持つってことだよ。

過激な奴らなら襲いかかってくるかもしれん」

なるほどね……まだ、生まれて十数年しか経っていない、

ガキに取られたくはないという訳か。

「あぁ。心…………」

そこまで言いかけた時に俺はナイフとスプーンを置き、

立ち上がって周囲を見渡した。

どうやらアザゼルや他の連中も気づいたらしく、

同じように周囲を見渡した。

「どうやら俺達は…………熱狂的なファンに追われているらしい」

その直後に京都で感じたあの感覚が俺達を包み込んだ。

風景などは一切変わっていないがさっきの感覚からすれば……あの霧使いが、

作った空間に俺達が強制的に転移されたとみていいだろう。

俺はその人物を探しまわったがそれはすぐに見つかった。

京都で俺達を襲撃した派伐の頭と学生服の上からローブを着こんだ青年。

「曹操。またお前か」

「やあ、ウィザード。京都以来だな。サイラオーグ・バアルとの試合はなかなか良かったよ。

また、新たな力を使って新しい姿にもなったみたいだしね」

奴の片目は眼帯で覆われて見えなくなっていた。

……眼帯の下から何か別の存在の魔力を感じるが……今はどうでもいいだろう。

「用件は」

「俺達の用件は君たちが保護しているオーフィスの回収。

そしてこれは私事だが君たちにひと泡吹かせようと言う訳だ。

にしても面倒なことをしてくれたよ、ヴァーリも。

ただ単にオーフィスをさしだしてくれれば…………素晴らしい、

才能を持った人間が死なずに済んだものを」

ほぅ。俺達の中で誰かがお前に殺されると言う訳か……面白い。

京都戦からどれほどパワーアップを図ったかは知らんが、

ここでこいつを行動不能にしておかないと後々に影響が出るな。

そんなことを考えていると黒歌の目の前に一つの転移魔法陣が開かれた。

「べらべら喋ってくれたおかげで繋がったにゃ」

その魔法陣の中央にルフェイの影から出てきたフェンリルが位置すると、

光に包まれてフェンリルの姿が消え、

代わりにダークカラーが強めの銀髪の男が転移してきた。

「ふぅ。随分と舐めた真似をしてくれるな。曹操」

「やあ、ヴァーリ。俺は俺の魂に従って動くだけだ。

君に止められる権利なんかないよ……そろそろ時間だ。

ウィザード、白龍皇がいる。ゲオルク。喰らうぞ」

「ああ、無限はこれにて終了だ」

ローブを着た青年が曹操の指示により、手を合わせると床に大きな魔法陣が展開され、

そこからドブのような黒い液体がドバドバと吐きだされて、

綺麗だった床を真っ黒に汚していく。

その疑似的なドブから徐々に何かが姿を現していく。

その姿は十字架に貼り付けられ、体の至る所を拘束具によってしめられており、

尾、鱗、翼とかなりおかしな構図をしている。

例えるならば上半身が堕天使、下半身がドラゴン。

「おいおいおい、ふざけんなよっ! なんでこいつがこんなところにいやがるんだ! 

コキュートスの深い場所に封印されていたはず!

オリュンポスのハーデスはいったい何を…………まさか」

「流石は総督。そうさ、こいつはハーデスからレンタルしたものだ。

レンタル期間はたったの数分。延滞料金は凄まじい額になると思うけどな」

曹操は軽そうに言うがそんな軽い存在ではない。

俺も書物でしか見たことがないが……その昔、

アダムとイブに知恵の果実を与えたことにより、

存在をなかったことにされた最強にして最凶の存在!

「こいつの名前はサマエル。究極にして絶対のドラゴンイーターだ。

ウィザードの言葉を借りるならば……ショータイムだ。サマエル!」

曹操の叫びとともに拘束具から黒い何かが俺たちに向かって吐きだされた!

「ヴァーリとイッセーは絶対に避けろ!」

魔法で防ごうとしたときにアザゼルの怒号が聞こえ、

慌ててそれを避けるがその黒い何かはオーフィスを飲み込み、

ドクンドクンと鼓動を打つように動きだした。

「…………アーシア、レイヴェル、ルフェイ。一番後ろに下がれ。

リアス、朱乃、ゼノヴィアは三人に被害が出ないようにしてくれ」

「無茶よ! 私たちも」

「良いからそうしろ!」

俺の怒号を聞き、こっちへ来ようとしたリアスは驚きの余り動きを止めた。

こいつは本当にやばい……そんなヤバい奴と戦わせるはずがないだろ。

「ヴァーリ。とりあえず曹操を潰すぞ」

「ああ、相当ヤバい状況だ。バランスブレイク」

『フレイム・ドラゴン。ボー・ボー・ボーボーボー!』

ヴァーリが白い鎧を身に纏うと同時に俺も赤い鎧を身に纏い、

コネクトを用いて別空間に収納してあったアスカロンを手に持ち、戦闘態勢を取る。

「ウィザードと天龍の一匹……いや、纏めれば天龍二匹か。

これらを退けるには俺もそれ相応の力で行く」

「サマエルの制御は任せておけ」

「ああ。思う存分やらせてもらうさ……バランスブレイク」

その時、槍から輝きが発せられ、

その輝きが消えたと同時に奴の周囲に七つの球体が姿をあらわした。

まさか、最強のバランスブレイクと戦うとはな。

「以前確認したものと違うな。亜種か」

「そうさ。名前は覚えるのも億劫になるくらいに長いから省略だ。行くぞ」




はたしてD×Dは何巻で完結するのやら。
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