ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第八十二話

「外に相当な数のグリムリッパーの姿が見られました。

さらにジークフリートさま、ゲオルク様。両名の姿も確認できました」

外の様子を見に行ったルフェイからの報告を聞き、アザゼルは表情を歪ませた。

何もしないと思っていた死神がこんな形で俺たちに手を出してきたんだ……。

曹操達にあれを貸し出したのも気まぐれか。それとも何らかの因縁か。

「本格的に動き出したか、あの骸骨爺!」

アザゼルは憎々しげにそう吐きだした。

今、俺達は六十階あるホテルの中間の階層の三十階に陣取っており、

三十階の階層丸丸をルフェイの強靭な結界で覆っている。

既にけが人の傷はアーシアにより完治しており、黒歌は大事を取って休息を、

ヴァーリも傷は癒えているもののサマエルの毒に苦しんでいる。

「さて、どうするかね……帰ってきたか、オーフィス」

アザゼルの言葉を聞き、顔を向けると何か用事があると言って別の階層へと、

出かけていたオーフィスがこちらの階層に帰って来ていた。

「我、回収してきた。サマエルに奪われる前に我の力、

蛇にして別空間に逃がした。今の我の力、

全盛期のドライグよりもふたまわり強い」

「そうか。大分弱まったな」

あんまりわからないが、無限の存在が有限になり、

さらにその力が全世紀のドラゴンよりもふたまわりしか強くないということは、

オーフィスにとって大幅に弱体化したことらしい。

「今やるべきことは二つ。一つはオーフィスの死守。

やつらはこっちのオーフィスを何が何でも奪いに来る。

もう一つは今の状況を外に伝えることだ。ルフェイは空間の魔術に秀でていたな」

「はい。ですが、私だけでは限界があります」

「そうか……イリナ。お前が外に向かってくれ。

護衛としてゼノヴィア、お前がついてくれ」

アザゼルの言葉に二人とも何か言いたげな様子だったが、

それを我慢して二人は首を縦に振った。

するとルフェイが鞘に入った一本の刀をゼノヴィアに渡した。

「こ、これは!」

「兄が持っていた最後のエクスカリバーです。天界で最後の一本を、

纏めることができれば今よりも力が上がると思います。

これも持っていって下さい」

「よし。リアス、俺と一緒に作戦会議だ。

その間、お前らは休息を取っていろ」

そう言われ、俺はヴァーリが休息を取っている部屋へと向かい、

中に入ると上半身だけを起こしたヴァーリがいた。

かなり顔色が悪く、呼吸も苦しそうにしていた。

「兵藤一誠か……随分と魔力を消費したな」

「あぁ……調子はどうなんだ」

「君がそんなことを聞くとはな……まあ、今のところは大丈夫さ。

ギリギリのところはあるけどね……おそらく、

このあとグリムリッパーとの大規模な戦闘が始まる。

その前に黒歌のところに行っておけ。彼女なら仙術で魔力を回復できるだろう」

「そうか…………」

俺はヴァーリの部屋を出ていき、

黒歌の部屋に入るともう復調しかけているのかベッドに座っている黒歌がいた。

「にゃ~。用件は分かっているにゃ。さっさと座るにゃ」

黒歌の指示通り、彼女の前に座ると背中の辺りに手を置かれ、

そこから温かい感覚が全身に広がっていくのを感じた。

「にゃにゃ? かなり魔力が多いにゃ……これじゃ、

吸い取られ過ぎて干からびちゃうかもしれないにゃ」

「そこまでは吸わない…………黒歌。お前は小猫をどう思っている」

曹操との戦いの際、こいつは小猫を攻撃から自分を犠牲にしてまでも護った。

そして以前、初めてこいつと出会った時のことを併せて考えると、

どう考えても俺はこいつが力に呑まれ、主を殺したとは思えなかった。

「私は野良猫。自由気ままに生きていけるけどあの子は……白音は飼い猫。

自由気ままに動くことなんてできない。だから、

あんたに任せた……そして、あの子を良い方向に導いてくれた」

なら悪魔を裏切った時、何故小猫もつれていかなかったんだ……そんな野暮な質問は、

止めておくことにした。

こいつは連れて行かなかったんじゃない……連れていくことが、

できなかったんだ。

小猫も一緒に連れていけば彼女までが自分と、

同じ道へと走ってしまう……そうなってほしくはなかったという心情からなのか。

「にゃん。満タンにゃ。ほんと、干からびる一歩手前にゃ」

そう言う割にはさっきよりもほくほく顔をしているのは俺の勘違いか。

「これからのあの子の支えになってほしいにゃ。ウィザード」

「……約束したからな。あの時」

俺はそう言って、黒歌の部屋から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

ホテルの一室から外にいるグリムリッパーどもを見てみると顔はローブに隠れていて、

分からないが奴らから殺気、敵意などが向けられている。

あいつらがそれぞれ持っている鎌は対象を斬ると傷を与えるだけではなく、

寿命までも削るもの。

既に作戦は俺たちに伝えられていた。

ルフェイが魔術を使い、このホテル周辺を探索した結果、駐車場、ホテルの屋上、

そしてホテル内部の二階ホール会場に一つ設置されていることを突き止めた。

そして作戦は非常に簡単なもので、ホテルの屋上とホテル内部の装置は幸いなことに、

一直線上に設置されている。

そこで俺がコネクトで装置近くに攻撃を転移させる。それにより、

二つを破壊することで弱まった結界からルフェイの力で、

ゼノヴィアとイリナを外の世界へと逃がす。

既に準備は整っており、

俺は赤い鎧にドラゴンの頭部を装備した状態で作戦の決行を待っていた。

「イッセー先輩」

「小猫か」

ホテル内部はせまく、ドラゴンの頭部を装着した状態では、

ろくに動くことができないが声で小猫と分かった。

「……私は正直に言って姉さまが嫌いです。大嫌いです……でも、

ここを抜けるまでの間だけは信じてみようと思います」

「それでいい。何かあれば俺に言え。吹き飛ばしてやる」

「はい……大好きです、先輩。大きくなったら……お嫁さんにしてください」

…………人はその状況によっては突拍子のない行動や、

発言をするというが……まさか、人生で初めて逆プロポーズをされるとはな。

その突拍子のない小猫の発言に周りの奴らはかなり驚いていた。

「んじゃ、作戦決行だ。イッセー」

『コピー・プリーズ』

『ビッグ・プリーズ』

コピーで二人に分身した後にビッグが先に発動するようにコネクトに重ね、

そこへドラゴンの頭部を突っ込んだ。

「さあ、ショータイムだ」

そう言った直後、ドラゴンの頭部から炎を放出し、

そのままの状態で数秒経つと上と下の方から爆音が響いてきた。

魔術で様子を確認していたルフェイが叫ぶ。

「二つの装置の破壊を確認しました! いつでも飛べます!」

刹那、ルフェイが発動していた転移用魔法陣が輝きを最大にし、

ゼノヴィア、イリナ達をその輝きで包み込んでいた。

「死ぬなよイッセー!」

「絶対に天界と冥界の皆様に伝えてくるから!」

その言葉を最後に三人は外の世界へと飛んだ。

「さてと外の奴らだが」

「面白いものを見せてやる。ここで見ていろ」

俺はそうとだけ言って、窓を割りながら外へと飛び出し、

地面に着地すると同時にドラゴタイマーを発動させ、四人に分裂した。

こいつらは俺とは別の存在だが考えは共有することができる……つまり、

こんなことも可能という訳だ。

「たった一人で何ができるんだい?」

「見ていろよ、ジークフリート」

『『『『コピー・プリーズ』』』』

四人がそれぞれコピーを発動させ、人数を倍の八人に増やすが、

目の前の死神の軍勢を絶滅させるにはまだまだ足りない。

さらにコピーを発動し、数を八人からさらに多い十二人、さらにもう一度コピーを発動し、

十六人、ドンドンドンドン分裂していき、最終的に三十二人にまで分裂した。

「ハハハッハ! こりゃすげえ! 

たった一人で三十二人もの戦力を作り出しやがった!」

上から面白そうなものを見ているかのような声を上げるアザゼル、

それとは対照的に口をあんぐりと開けて驚きのあまり、

何も言えないでいるジークフリートと死神ども。

『さあ、フィナーレだ』

それぞれ、アスカロンを手に持ち、

刃に手を翳すとそれぞれのエレメントが刃を覆っていく。

『はぁぁ!』

三十二人が同時にアスカロンを振るうと総数三十二もの属性を纏った斬撃が放たれ、

大勢のグリムリッパーどもを一気に屠っていく。

さらにサンダーを八人で同時に発動し、

上からドラゴンの形をした雷をひとり何発も落としていく。

ブリザードもスペシャルも全員、同時で放っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チェックメイト。英雄派」

この場に残ったのはジークフリート、ゲオルク、

そしていまにも壊れそうな結界発生装置らしきものだけだった。

辺りの地面には大きな穴がいくつも開いており、

とてもじゃないがホテルとしてはやってはいけない状況になっている。

まあ、ここはあのゲオルクとか言う奴がセイグリッドギアで作った空間だから、

何とも思わないが……流石にもうあれはダメだ。卑怯過ぎる。

それに反して魔力も差ほど消費はしないしな。

どうやら四人に分裂した際はそれほど魔力は消費しないが、

ドラゴンフォーメーションを発動すれば魔力を大幅に消費するらしい。

「チートだよ。四人に分裂したと思えば三十二人に分裂だなんて」

まさしくその通りだ。二度としない戦法だがな。

その時、どこかからバジバジッ! という音が聞こえてきた。

例えるなら放電時に聞こえる音に似ている。

空間に穴があき、そこから幼い少年を肩に担ぎ、

軽鎧をつけた出で立ちの男が現れた。

「シャルバ。何故、君がここにいる」

「ふん。貴様らに話すことはない……」

そう言うとシャルバと呼ばれた男は俺と後ろの方にいるヴァーリをまるで、

汚いものでも見るかのような目をしながらも憎しみを全身からにじませた。

「この世界を終わらせる!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

そう言い、シャルバは目の前に魔法陣を展開させてそれを少年に押し付けた瞬間、

少年は頭を抱えて絶叫し始めた。

さらに少年の影が大きくなっていき、ホテルをも飲み込むほどの大きさとなった影から、

すさまじいデカさの化け物が生み出され、空に向かって咆哮を上げた。

「さあ、行くのだ! この私を除外した冥界に住む穢れた者どもを喰らうのだ!」

次々と影からはい出てくる百メートルはある怪物の足もとに、

いくつも転移用の魔法陣が出現し、輝き始める。

まさか、あいつ怪物を転移させる気か!

『チョーイイネ! スペシャル! サイコー!』

火炎を放ち、怪物どもを転移する前に一掃しようとするが上から巨大な魔力弾が、

次々と隕石のように落下し、それを避けている間に怪物どもは全て転移が終了した。

「ハハハハハハハ! 死ね死ね死ね! 私を認めない奴らは全員、死刑だ!」

俺は後ろにいた動けないでいるヴァーリとそれを護ろうとしているやつらの前に転移し、

火炎で全ての魔力を撃ち落としていく。

「また貴様か! まあ良い! 私の目的はすでに果たされた!」

そう叫ぶ奴の腕にはオーフィスがいた。

ちっ! 無限から有限になり下がった影響であの程度の拘束すら解けないのか!

さらに次々とフィールドの至る所から大規模な爆発が起きていき、

空間に穴があき、ホテルなどの建造物が吸い込まれていく。

本格的にこのフィールドが崩壊し始めたか。

「冥界などもういらん! 偽物の奴らは直に怪物によって絶滅される!

そこでもう一度創りなおすのだ! 私の理想の世界を!」

そう叫び、オーフィスを抱えたままシャルバは翼を羽ばたかせて飛んでいった。

「もうこのフィールドはもたないにゃ! さっさとおさらばするわよ!」

黒歌が展開した転移の魔法陣に次々と乗り込んでいく。

……本当に奴を放って転移していいのか? 確かに先に向こうに転移してから傷を癒し、

奴を倒せば結果は同じだ……だが…………。

『ドラゴタイム・セットアップ。スタート!』

「イッセー! 何をしているの!?」

『ウォーター・ドラゴン!』

次々と俺の分裂体が現れていく中、俺は後ろを振り返った。

「悪いなリアス……先に行っていてくれ。俺は奴を倒す」

『オールドラゴン! プリーズ!』

全ての分裂体が出現した瞬間にレバーを二回連続で叩き、

全ての魔力を一つにした今の俺の最強の姿へと変化する。

「待って!」

俺がいまにも羽ばたこうとしたときにリアスによって腕を掴まれた。

今、俺の腕にある温かさは俺を変えてくれた…………。

「リアス……必ず戻る」

「待ってる……ずっと待ってる!」

その言葉を残し、俺は優しく彼女の手を振り払い、シャルバのもとへと向かった。




なろうの活動報告で出しましたがガイムアンドウィザードを見てきましたよ。
結論から言うとやっぱり仮面ライダーの映画は良いな!
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