『バ、バカな! 奴が死んだことでアスカロンは消えたはずだ!』
僕は彼が叫んでいる間に高速で移動し、
アスカロンを大きく振るって彼の体を斜めに切り裂いた。
彼のセイグリッドギアはドラゴン系セイグリッドギアのトゥワイス・クリティカル。
アスカロンとの相性は最悪だ。その証拠に切り裂かれた傷口からはまるで蛇口から、
水が流れ出ているかのような勢いで血液が流れ出ている。
『ぐぁ! ぐぉぉぉぉ!』
突然、彼の頭上に黄色の魔法陣が出現し、彼の足が地面にめり込むと同時に、
地面が凍りついて彼を動けないように拘束をした。
あれはイッセー君の魔法のグラビティとブリザード!
後ろを振り返るとそれぞれ、青色と黄色の魔法陣を目の前に展開した小猫ちゃんと、
アーシアさんがいた。
「さっき、イッセーさんに会いました……怒られちゃいました。
何してるんだって……お前の役目はみんなの傷を癒すことだろって」
「私もです……お前の役目は相手を粉砕することだろって」
『こ、この程度の魔法』
直後、凄まじい爆音とともに目の前に視界がつぶれるほどの閃光が発生し、
バチバチという耳をつんざく音が何度も木霊した。
上を向くと深夜の夜に浮かぶ――――朱乃さんの姿があった。
その背中には堕天使の翼が、そして目の前には緑色の魔法陣。
「これが私の奥の手、堕天使化です。彼が受け止めてくれたこの翼を、
この力を彼のサンダーに混ぜ合わせて落としました」
直後、後ろからゴォォォォ! という音ともに皮膚を焼くような熱風が吹き荒れ、
慌てて後ろを振り返ると目の前に赤色の魔法陣を展開した
レイヴェルさんとそこから放たれている炎と滅びの魔力を合わせている部長がいた。
「何が進もうよ……あの人の声を聞いてやっと私も進むことが出来た。
例え目の前から私達の最後の希望が消えても!」
「私たちの心の中に最後の希望は輝き続けていますわ! リアスさん!」
レイヴェルさんの声とともに部長の手から炎と滅びの魔力が合わさったものが、
ジークフリートめがけて放たれ、数秒経った後に夜の空に向かって赤と紅が、
合わさった炎が柱となって立ち上った!
『グァァァ! バカな……バカな! 奴は……兵藤一誠は死んでもなお、
お前達の最後の希望であり続けるというのかぁぁぁぁぁぁ! ぐあぁ!』
突然、ジークフリートが炎に包まれながら苦悶の声を上げたかと思うと彼との融合を、
解除して五本の魔剣が僕の所へと飛んできて目の前の地面に突き刺さった。
『バカな……木場祐斗を僕以上の使い手だと判断したのか!』
「……僕に従うというのならば……力を何かを護るもののために使え!」
僕はグラムを引き抜き、アスカロンを右手に持ち、グラムを左手に持ち、二つを構える。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
そして、一気に走りだす!
――――――見ているかい、イッセー君。みんなは……再び立ち上がった!
「だぁぁぁ!」
二つの剣をジークフリートに突き刺した瞬間!
彼の全身に生えていたドラゴンの腕が塵となって、消え去った。
グラムはアスカロンと並ぶ強大なドラゴンスレイヤーの力を持つ……。
彼の龍の力を殺したんだろう。
直後、彼の顔に、全身にヒビが走っていく。
『ハ……ハハハハ。そうか……負けたか』
「フェニックスの涙は使わないのかい?」
『カオス・ドライブ発動中はどうも使えなくてね……理由は不明だけど』
ヒビが生まれていく速度が速くなっている……本当にこれで終わったんだ。
『フリードと言い、教会の戦士育成機関出身の……奴らは……ろくな死に方をしない』
彼はそう言い、砂となって消え去った。
ジークフリートを撃破した僕たちはすぐさまイッセー君のポーンの八つの駒を、
アジュカ様に渡して調べてもらっている。
アジュカ様はチェス盤の初期位置にポーンの駒を置き、魔法陣をチェス盤に展開し、
時折興味深そうに眼を見開いたりしていた。
「これはこれは。八つのうち四つもイーヴィルピースがミューテーションピースに変化している。
彼のウィザードととしての才能が駒を変容させたのか」
半分以上が変化するなんて……やはり彼は想像を遥かに超えていく!
「アジュカ様。駒から何か分かったことは」
部長の言葉にアジュカ様は少し、笑みを浮かべる。
「俺から言えることはこうだ。この駒の最後の記録は死ではない。
つまり、彼は次元の狭間でセイグリッドギアとともに生存している可能性が十分高い。
駒の機能もまだ停止していない……この駒はまだ彼限定に使うことができる……いや、
兵藤一誠に復元できると言った方が良い」
その言葉を聞き、僕の中に言葉にならない感情が走っていく。
「結論を言おう。彼はまだ生存している可能性が高い」
「うえぇぇぇぇっぇん! イッセーさァァァァァん!」
その言葉を聞くと同時に皆が声を上げて泣き始めた!
僕も声はあげなかったけど眼から涙がとめどなく流れてくる!
「イッセー……そうよ! あの人が簡単に死ぬはずないもの!」
「次元の狭間については俺のつてで調べるようにしよう。
ファルビウムの卷属にそれ関連の詳しい奴がいたはずだ」
そう言い、アジュカ様は目の前に転移用の魔法陣を出現させた。
「行くんだ。作戦は俺が立てよう。だが、冥界を救うのは君たち若い悪魔とサーゼクス卷属だ。
君たちの言葉でいえば……冥界の最後の希望だ」
「はい! 皆行くわよ!」
部長のその一言で転移用魔法陣へと乗り込んでいく!
もう、皆の顔に悲しい感情なんかない!
イッセー君! 先に冥界で僕たちは戦っているから!
『ふぅ……やったか』
木場達に渡したエンゲージ・リバースの影響で四つのエレメントに分割した意思が、
元の一つに合わさり、俺――――兵藤一誠の意識が完全に回復した。
今の俺の状況はよくは分からない……だが、一つ言えることは俺とは別の奴とドラゴンが、
力を尽くしてくれたことだけは分かる。
今の俺は鎧に魂をひっつけただけの簡単な存在。
そして俺は今、目の前のオーフィスとともに次元の狭間を凄い速度で移動している最中だった。
『まさか、こいつに助けられるとはな……なあ、赤龍神帝グレートレッド』
俺が乗っているもの……それは次元の狭間を泳ぎ続けていると言われているグレートレッド。
「魔の王。これからどうする」
『龍神と赤龍神帝の力と体の一部を使って復活する俺の肉体を使って、
最高のショータイムを行う』
「……我も行く」
『好きにしろ』
「ソーナ!」
いったん、部長の家に帰宅した僕たちはそこでイリナさん、ゼノヴィア、
ロスヴァイセさん達と合流し、魔王領にあるリリスという町で英雄派と
会長たちが戦闘を始めたという連絡を受けて現場へ行き、そこでギャスパー君とも
合流し、現場へ向かうと血だらけの匙君と会長、
そして副会長が子供たちが乗っているバスを護りながら戦っていた。
『『ウォアァ!』』
「うぉ! 邪魔なんだよ犬っころが!」
僕たちと一緒に来ていたスコルとハティがバスを攻撃しようとしていたヘラクレスを攻撃し、
攻撃を未然に防いだ。
二匹もイッセー君の死を理解しているようで僕たちと戦った時以上に殺気を放っている。
「アーシア、匙君とソーナの傷を」
「はい!」
二人をアーシアさんに任せ、僕たちは英雄派と対峙した。
「たっく、ジークフリートの奴こんなやつらに負けたのかよ」
「でも、まさかこんなかわいいペットまで連れていたなんてね……どこまで、
ウィザードはバカだったんだか」
負け犬の遠吠え……彼らにはこの言葉がぴったりのようだ。
僕は新たに手に入れたグラムに手をかけようとしたとき突然、
道路にピシッとひびが入る音を聞いた。
グラムはまだ出していない……いったい誰が。
『『グルルルルルルル!』』
スコルとハティの二匹だった。
毛が逆立つほどの殺気を二匹は放ち、徐々にその体を大きくしていく。
彼が使い魔にするときに巨体さを魔法で小さくしていたけど……まさか、
それを自分で解除したのか……フェンリルの血を継ぐ二匹が進化する!
『『ウォォアオァオォアォォォン!』』
二匹が僕たちと戦った時と同じ大きさにまで巨大化した瞬間! 二匹が英雄派に向かって、
遠吠えをあげるとそれが凄まじい威力の衝撃波となり地面を、
抉りながら英雄派に向かって飛んでいく!
「うぉぉ!?」
慌てて避けた英雄派。
もともと彼らがいた場所はもちろん、見ただけで数キロ先の方まで衝撃波が飛んでいき、
地面を抉っていくのが見えた。
と、遠吠えだけであそこまでの威力を出すのか!
『『ワフン』』
二匹は力を使い果たしたのか体勢を低くした。
「ハハハ! てめえらみたいな危険な動物は駆除しねえとな!」
醜悪な笑みを浮かべながらヘラクレスが二匹に向かった瞬間!
「ごぁ!」
それを遮る形で誰かが飛び込み、ヘラクレスを殴り飛ばした!
「て、てめえ!」
「英雄が聞いて呆れるな」
遅くなりましたがあけましておめでとうございます。
本年もKueをよろしくお願いいたします。