ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第八十八話

「サイラオーグ!?」

「少し離れたところで旧魔王派の連中を一通り葬ったところで黒い炎が見えてな。

ここに来たところだ……奴は俺に任せてもらおう」

そう言い、サイラオーグさんは上着を脱ぎ棄て、ヘラクレスと対峙する。

「では、我々はあの女をやるとしよう。行くぞ、イリナ、ロスヴァイセ」

さらなる改良を加えられ、さらに力が上がったエクス・デュランダルを持ったゼノヴィアと、

天界の進めていた研究の結果が形となった剣を持つイリナさん。

そして魔法を一から学んだロスヴァイセさん……今の彼女たちなら、

カオスドライブを使われても大丈夫だろう。

「てめえ、ウィザードにやられたやつじゃねえか。そんな奴がおれに勝てるわけねえだろ!」

ヘラクレスの煽りにもサイラオーグさんは一切、表情を変えずに肩を二度三度回す。

凄い余裕のオーラだ……イッセー君と戦う時と比べたら明らかに違う。

「戯言は良い。英雄の魂を受け継ぐ者よ、貴様を倒そう」

「はっ! 魔力を持たねえてめえがおれに勝てるか!」

ヘラクレスはそう叫びながら走りだし、

両手でサイラオーグさんの腕をつかむとセイグリッドギアでの爆発を起こした。

「おれのセイグリッドギアは触れたところを爆発させんだ!」

体の表面だけだがサイラオーグさんにダメージを与えた!

さらに向こうの方でも爆煙が起きてるのが見えた。

ゼノヴィアたちもジャンヌと戦闘を開始したんだ!

「ふむ……この程度か」

サイラオーグさんのその一言にヘラクレスは額に青筋を立てる。

「ッッ! だったらこれでどうだ!?」

ヘラクレスが地面に手をつくと、連続した爆発が起こりサイラオーグさんを包み込んだ。

「アハハハハハ! 魔力が使えねえてめえが俺に勝てるなんて」

そこまでいってヘラクレスの口が止まった―――――炎の中に、

サイラオーグさんの姿を見たからだろう。

体から軽度の傷を負っても、どんなに火傷を負ってもサイラオーグさんは、

余裕の表情のまま腕を組んだまま立っていた。

「もう終わりか……ウィザードの炎はこれ以上だったぞ」

「そんなに死にたけりゃバランスブレイクで死ねぇぇぇぇっぇ!」

突然、ヘラクレスの全身からミサイルのような突起物が生え、

サイラオーグさんめがけて凄い数が放たれる!

「…………これ以上は時間の無駄だな。終わらそう」

サイラオーグさんはそう呟くと、腕に力を入れて……そして―――――。

「はぁぁぁぁぁ!」

僕達をあれだけ苦しめた拳の衝撃波がことごとく飛んでくるミサイルを破壊していき、

ヘラクレスを巻きこんで大爆発を起こした!

い、以前よりも明らかに威力が上がっている!

イッセー君に敗れてからさらに鍛錬を積み重ねたのか!

「悪いな。冥界に生きる悪魔として……俺はテロリストに負けるわけにはいかんのだ」

そう言い、サイラオーグさんは脱ぎ捨てた上着を再び着た。

衝撃波に呑まれたヘラクレスは全身から血を流し、あり得ないと言った表情を浮かべながら、

地面に倒れ伏して動かなくなってしまった。

まだ魔力はあるから生きてはいるんだろうけど……つくづく彼が味方でよかったと思うよ。

サイラオーグさんがヘラクレスを打倒して残ったのはゲオルクだけだった。

ビルの向こうでは色取り取りの輝きと、

聖なるオーラが高層ビルの向こうで暴れているのが見える。

「こんな短時間で成長するのか……ッッ! グレモリー卷属は! 

となるとそこの猫又とヴァンパイアもそうなのか……末恐ろしいな」

ゲオルクは倒れているヘラクレスを一瞥しながら、二人を見ていた。

あの疑似空間での戦いから、小猫ちゃんの力が上がったわけではない。

先生曰く、これからだということらしい。

「今は亡きウィザードの与えた影響は大きすぎる」

その一言を聞いて、ギャスパー君はあたりをキョロキョロと見まわしていた。

「あ、あのイッセー先輩は」

まだ、真相を知らないギャスパー君に部長が真実を言いかけようとしたけど、

サイラオーグさんの顔を見て、口を閉じた。

「そうか、まだ知らなかったのか。教えてあげよう。

奴はすでに死んでいるのだよ。サマエルの毒でね。

彼は確かに強かったよ……だが、サマエルの毒の前では無力だったのさ」

その話を聞いていくにつれて、ギャスパー君の顔が死んでいく。

……後輩が絶望していく姿を見るのは耐え難い……でも、

部長たちが考えているのは……おそらく。

「イッセー先輩が……死んだ?」

彼の眼から一筋の涙がこぼれた瞬間、

≪死ね……≫

普段のギャスパー君からは考えられないほどの冷たい声が聞こえ、

彼の体から黒い何かが放出されてあたりの区域を全て闇に変えた。

「な、なんだこれは」

魔法……いや、ゲオルクの焦りようから見るにこれは魔法じゃない!

「バランスブレイクでも、魔法でも暴走でもない! これは」

魔法に詳しいはずのゲオルクですら今の状況に驚きを隠せないでいた。

辺りの建造物がまるで幻想だったかのようにユラユラと消えていく。

≪オマエラミンナコロシテヤル!≫

闇からヒト型の何かが生み出されていき、少しづつ霧使いに近づいていく!

黒い化身となったギャスパー君が手……のようなものを突き出した。

それに反応してゲオルクも魔法陣を展開する……しかし、一瞬にして消え去った。

「くそ! こんなことが!」

ゲオルクは数々の魔法のフルバーストをギャスパー君に放つがそれらは全て、

闇に飲み込まれて消えた。

≪クッテヤル……ミンナ、ボクガクッテヤル≫

「バ、バカな!」

ゲオルクは目の前の光景に信じられないといった表情を、

浮かべながらも転移魔法陣を足もとに一つ展開した。

ジャンプする気か!

しかし、ゲオルクの体に黒い炎がからみつき魔法陣が消え去った。

「させねえよ……てめえは俺のダチをやった仲間だ。逃がさねえよ!」

匙君だった。

ヴリトラの炎がゲオルクを捕まえたんだ!

「……くそ!」

そのままゲオルクは静かに闇に食われた。

まるで咀嚼するようにゲオルクを飲み込んだ闇が数回、動くと闇は消え去った。

それと同時に辺りに放出されていた全ての闇も消え去り、

ギャスパー君は地面に眠るように倒れ伏した。

「この子についてヴラディ家に聞かないといけないことがたくさんできたわね」

部長はギャスパー君を抱き上げ、彼の頭を撫でてそう言った。

彼はただのヴァンパイアなんかじゃない……おそらく、世界でもまだ見たことのない存在だ。

「あれ? ゲオルクまでやられちゃった感じ?」

「っ! ジャンヌ!」

後ろから声が聞こえ、振り返るとそこには傷だらけのジャンヌが幼い子供を抱えて立っていた。

「卑怯よ! 子供を人質に取るなんて!」

上空からゼノヴィア達が降りてきた。

「あら? これも立派な戦術よ。曹操が来るまでの間、こうやっておくわ」

くっ! なんて卑怯な!

もしもこの場に曹操が来られたらいくら強くなった僕たちでも、

最強のセイグリッドギアを相手にするのは難しい。

「っっ!」

そんなことを思っていた時、突然、

向こうの空から渦を巻くようにして天に昇っていく竜巻が発生した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グレートレッドの頭から飛び降りて、次元の裂け目から現実の世界へ、

と戻ってきた俺の目の前に巨大な怪物の姿が映った。

あそこにいるのは……グレイフィアさんと……まだ感じたことにない魔力だな。

「オーフィス。とりあえず、ここにいろ」

「我、承諾」

『ハリケーン・ドラゴン。ビュー! ビュー! ビュービュービュー!』

『チョーイイネ! スペシャル! サイコー!』

肩車をしていたオーフィスを降ろし、ハリケーン・ドラゴンの魔法を発動して、

緑色の鎧を身に纏うと、同時にスペシャルでドラゴンの翼を装備して巨大な怪物めがけて、

それ相応の大きさの竜巻を発生させて、ぶつける。

『ゴアァァァ!』

竜巻に巻きこまれた怪物は回転しながら宙へと浮き、そのまま空高く上げられ、

その後に竜巻を操作して地面に叩きつけた。

ふむ……やはり、体自体がドラゴンになったせいか

今までよりも威力が上がったように感じるな。まあ、僅かながらだが。

「イッセーさん!」

翼を広げたグレイフィアさんと見知らぬ人物たちが俺のもとまで近づいてきた。

「良かった……リアス達も向こうにいます」

「ええ、魔力でわかります。その前に奴を倒しましょう。

俺が奴を倒しますのでグレイフィアさんは奴を上げてくれませんか」

「わかりました。総司さん」

グレイフィアさんに総司と呼ばれた男は刀を持ち、

その場からすさまじい速度で目の前から消えると、

一瞬のうちに怪物の四つの足を一瞬で切り裂いた。

ほぅ……ナイトの速度はあそこまで出るのか。

「イッセーさん! 上げますよ!」

『コピー・プリーズ』

俺はコピーを発動し、さらにもう一度コピーを発動して四人に分かれると同時に、

ビッグを発動して目の前に展開し、キックストライクを発動する。

『チョーイイネ! キックストライク! サイコー!』

「行きます!」

魔法が発動した瞬間、怪物の真下に巨大な魔法陣が出現し、

そこから凄まじい威力の魔力弾が放たれて怪物を一気に上にまで上げた!

「さあ、復帰一発目だ!」

四人同時に飛びあがり、風のエレメントを足に纏わせた状態で魔法陣に足を突っ込むと、

右足が巨大化して四つの巨大な足が怪物へと同時に突き刺さる!

『ゴアァァァァァ!』

「だぁぁぁぁぁ!」

怪物が叫びをあげた瞬間! 怪物の身体が爆発四散した。

「ふぅ」

地面に着地すると同時に四人が消え去った。

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