「な、なによあれ」
ジャンヌが向こうの方で先ほどの爆発に驚きを隠せないでいた。
……今だ!
僕はジャンヌの意識が別の方向へ向いている間に高速で移動してジャンヌの手から、
囚われていた少年を取り返した。
「あっ!」
「形勢逆転ね」
「それはどうかな?」
部長が勝ち誇った様子でそういった瞬間、それを否定する声が上から聞こえてきた。
最強のロンギヌスを持った少年。
「曹操!」
僕は叫びながら彼を睨みつけた。
この一連の騒動を引いていた主犯格!
「遅かったじゃない。曹」
ジャンヌが安心しきった表情で彼に近づいた瞬間、
その腹部をトウルー・ロンギヌスで貫かれ、倒れ伏した。
「君はもういらないよ」
僕たちはその光景に言葉を失った。仲間を……今までともに行動をしてきた仲間を、
あんなにもいとも簡単に槍を突き刺すなんて!
すぐさま、アーシアさんが倒れ伏したジャンヌの傍に行き、
セイグリッドギアの力で傷を癒していく。
「敵を癒すのかい?」
「敵であっても彼女が癒すことを邪魔する権利は君にはないよ」
そう言うと、曹操は両肩を軽く上げて呆れていた。
「おいおい、そんな顔で見ないでくれ。要らない物を始末するのは普通だろ? なあ、プルート」
≪その通りですね≫
曹操がつぶやいた瞬間、彼の隣の空間がゆがみ、そこから死神が現れた。
プ、プルートと言えば聖書にも載っている最上級の死神じゃないか!
流石にこの状況はちょっとキツイね。
最上級に死神に最強のロンギヌス。しかもバランスブレイク済みのものだ。
「やれやれ、英雄は要らない物を救ったからこそ英雄と言われたんじゃないのか?」
さらに上から疑問の声が聞こえ、見上げるとそこには白い鎧を着た者がいた。
「ヴァーリ……そうか、サマエルの毒から復調したんだね」
曹操は驚いたような表情を浮かべて彼を見ていた。
まだ僕達がイッセー君の死に悲しんでいるとき、部長の家に匿われていたヴァーリチーム。
そこへ初代孫悟空様が美候の連絡を受けたのか、
おいでになってヴァーリの身体からサマエルの毒を抽出した。
そのおかげでヴァーリは復調したんだ。
……にしても、彼の顔はある感情に支配されているね。
「あぁ、お前のおかげでイライラが頂点を超えそうだ」
≪この状況でそう言えるのはあなただけですよ。
曹操、彼は私が始末してもよろしいですね?≫
プルートの質問に曹操は勝手にしろと言わんばかりに無視した。
「お前が相手か……まあいい。兵藤一誠は魔法を、
極めるみたいだが……俺はセイグリッドギアの力を究めよう」
彼がそう言いながら地面に降り立った瞬間、
ヴァーリが纏うオーラが特大なものに変化しあたりを震わし始めた。
す、凄い魔力の圧力だ。
「俺は力で歴代所有者どもをひれ伏した。見ろ! これがもう一つの覇龍だ!
我、目覚めるは 律の絶対を闇に堕とす白龍皇なり」
彼の宝玉から歴代所有者と思しき声が辺りに響く。
『極めるは、天龍の高み!』
『往くは、白龍の覇道なり!』
『我らは、無限を制し夢幻をも喰らう!』
そのものたちの声からは怨念のたぐいのものは感じられない……戦いの中でわかりあったのか?
「無限の破滅を黎明の夢を穿ちて覇道を往く 我、無垢なる龍の皇帝と成りて」
ヴァーリの鎧が徐々にその形を変えつつ、光を放つ。
『汝を白銀の幻想と魔道の極致へと従えよう!』
そこに現れたのは純白の鎧に身を包みし、異次元の存在だった。
何もしていないのにもかかわらず彼の周囲にある建造物や車などが
ぺしゃんこにつぶれていく!
「覇龍とは少し違う白銀の極覇龍。とくとその身に刻め!」
そう言い放つヴァーリにプルートは刀身が赤い鎌をヴァーリに降り落とす!
しかし、何かが砕ける音が僕たちの耳に入ってきた。
≪ッ!≫
あの不気味な雰囲気を放っている鎌を一撃で、しかもただ単に防いだだけなのに、
鎌が勝手に砕けた!
なんて魔力だ……あの死神の鎌が耐えられないくらいに濃度が濃い魔力なんて。
プルートもそのことに驚きを隠せないでいたがそのまま、
ヴァーリに顎を思いっきり殴りつけられて、空中へと吹き飛んだ。
「―――――圧縮だ!」
『compression divider!』
『DividDividDividDividDividDivid』
空中に放り投げだされたプルートの身体が縦に、横に圧縮されていく!
こんな事が起こり得るのか!?
≪こんな事が……ッ! ありえない……ッッッ!≫
「滅びの時だ」
ヴァーリが呟きながら、開いていた掌を閉じると完全にプルートの姿は完全に消滅した。
その直後、自動的にヴァーリの鎧が普段のバランスブレイク時の鎧に戻っていく。
ヴァーリは相当量の魔力を消費しているらしく、肩で息をしていた。
「俺の白銀の極覇龍は通常の覇龍に比べて、
自身に対する負担や暴走の危険を可能な限り排除したものだ。
それにより、破壊力は奴のオールドラゴンよりも見劣りするが特殊な力を手に入れた」
そうか………負担を減らしたことで発生した魔力の過剰なほどの消費を受け入れたことで、
さっきのような特殊な力を手に入れたのか。
「……恐ろしいものだな。二天」
そこで曹操を含めた僕たちの視線が突然の砕け散る音がした方へと向けられた。
「よう、曹操」
そこには僕達が待ちわびた存在がいた。
「お前……兵頭一誠か」
ヴァーリも、曹操も、サイラオーグも突然の僕の登場に驚きを隠せないでいた。
どうやらこいつらは完全に俺が死んだと思っていたらしい。
「イ、イッセー?」
俺の名を呼ぶ声に反応し、振り返るとそこには俺が愛した女が、
今にも泣きそうな様子で近づいて来ていた。
俺は何も言わずに彼女の腕を引っ張って抱きしめた。
「待たせて悪かったな、リアス」
「……うん!」
彼女は肩を震わせ、俺の胸の中で涙を流し始めた。
鎧越しからでも分かる……彼女の温かさが……彼女だけじゃない。
俺達の様子を見ている仲間たちの温かさも感じる。
「イッセー、これ」
リアスがイーヴィルピースを俺に渡そうとしてきたところで俺はその手を握り、
イーヴィルピースが俺に中に入るのを防いだ。
「リアス、感動の再会はここまでにしよう。悪魔になるのは……奴を倒してからだ」
視線を曹操の方へと向けると奴は驚いた表情を浮かべながらもどこか、
この結末を見透かしているような雰囲気だった。
「曹操。この騒乱が人間であるお前の手によって、
引き起こされたのなら……この騒乱の幕は、人間である俺の手によって下ろす」
厳密にいえば人の形をしたドラゴンだがな……そういう細かいところは良いだろう。
『フレイム・ドラゴン。ボー、ボー、ボーボーボー!』
『コネクト・プリーズ』
『ドラゴタイム・セットアップ』
緑色の鎧から赤色の鎧に変えて、さらに傍にコネクトを展開してそこへ手を突っ込んでから、
ひっこ抜くとタイマーが腕に付いた状態ででてきた。
この戦いで冥界の全てが決まるといっても過言じゃない……俺が再び、
あの世へと送られるか。それとも俺が勝利し、冥界に平和が再び訪れるか。
「さあ……運命を決めるショータイムの幕開けだ!」
『スタート!』
レバーを押し、タイマーを作動させて木場の手元に展開したコネクトから、
アスカロンを取り出し、曹操に斬りかかっていく。
既にバランスブレイクをした状態の奴は余裕の表情でアスカロンを槍で、
受け止めるがその直後に表情を硬くした。
「何が人間だ……以前よりもドラゴンの力が強くなっているよ」
「まあな」
『ウォーター・ドラゴン!』
ドラゴンの咆哮が聞こえ、レバーを押しこむと曹操の背後から青色の魔法陣が出現し、
そこから青い鎧を身に纏っている俺が現れ、斬りかかるが奴の周りに浮いている、
七つの球体に阻まれる。
「輪宝!」
球体の一つから二つの矢が生み出され、俺に向かって飛んでくる。
『ハリケーン・ドラゴン!』
レバーを押し込み、俺の前に緑の俺の呼びだし、
出現と同時に吹き荒れる暴風で三人の俺を上空へと押し上げ、上空へ一度あがって避けた。
「はぁぁ!」
「っっ!」
『フレイム・スラッシュストライク! ボーボーボー!』
青と緑が落下と同時に斬りかかり、二つの球体がそれで曹操から外れた時に、
スラッシュストライクを発動させ、放つが空間に小さな穴があき、
炎を飲み込んで遠くの方で大爆発が起きた。
珠宝の力か……あいつらのところに受け流さなかったところを見るとまだ未完成で、
好きな場所へ受け流せる場所じゃないみたいだな。
『ランド・ドラゴン!』
最後の一体を呼び出すと曹操は己の前に大量の人型の存在を生み出し、
俺たちに向けて進軍させてきた。
面倒だ。一気に砕く!
『チョーイイネ! ブリザード!』
『チョーイイネ! サンダー!』
『サイコー!』
冷気が全ての人型の存在を氷結させ、さらにそこへ、
ドラゴンの形をした雷を通過させて、砕いていく。
威力が底上げされた影響か雷撃が曹操のところまでも伸びていく。
「はぁ!」
曹操は槍から聖なるオーラを爆発させて、雷を粉砕した。
「まだ七宝の多くは未完成のようだな。曹操」
「それを見抜くか……ああ、まだ未完成だ。だが、俺はこれで一度君に勝った。
今度も勝ってもう一度……いや今度こそ冥府へと落としてあげよう。輪宝!」
『オールドラゴン! プリーズ!』
曹操から矢が放たれた時にレバーを二回連続で押し込むと全ての分裂体が、
俺の身体へと入り込み、クロー、ヘッド、テイル、
ウイングが俺本体を基調にして同時に装備された。
「これが最後の希望だ!」
曹操も球体を己の足もとに置き、飛行能力を得て空中へと上がっていく。
最後の戦いだ!