ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第九話

初日の最初の鍛錬の相手は木場だった。

木場から木刀を渡され、対峙する。

こんな殺し合いにも似た雰囲気を出しているにも拘らず、

あいつは未だに小さな笑みを消すことはなかった。

余裕があるのか……それとも、緊張を悟られぬようにああやって、

昔から顔に小さな笑みを浮かべているのか。

そんなことを考えているとフッ! と木場の姿が一瞬にして消え、

それに従って態勢を後ろに軽く倒すと俺の鼻先すれすれのところを、

木刀の切っ先が通り過ぎていく。

どれだけ速い速度で移動しようが魔力がある限り無駄だ。

『コネクト。プリーズ』

二歩三歩、後ろに下がりながら傍に展開した魔法陣に木刀を突っ込むと、

木場の後ろから木刀の先が現れ、木場へと向かうがしゃがみこまれて避けられてしまった。

「その魔法はけん制にもってこいだね!」

木場は楽しそうに言いながらさらに攻め込んできた。

向こうには武器を使いなれてるという利があるため、

もちろん俺は何度か当てられそうになるがこっちにだってあっちにはない利がある。

防ぎきれなかった剣は全て魔法陣の壁で防いだ。

が、部長から許可されたのはこういった牽制用の魔法だけで、

フレイムやらの攻撃専門の魔法はすべて禁止されてしまった。

『ビッグ・プリーズ』

「よっ!」

木場は巨大になった木刀を避けるとそのまま急降下して俺に斬りかかってくるが、

木場が持っている木刀に俺の木刀を全力でぶつけると破裂音が辺りに響いた。

「そこまで。祐斗は自主練に入ってちょうだい。次は朱乃」

「お任せあれ。私が担当するのは魔力に関してですわ」

部長の呼ばれた副部長はニコニコと笑いながら片手に水が入ったペットボトルを持ち、

俺達の前に立った。

この前に木場に聞いたんだがどうやら副部長さんは雷を戦闘で主に使うらしく、

その形相から雷の巫女と呼ばれているそう。

まあ、あれだけ雷を使っていればそう呼ばれるわな。

「では、まず手のひらに魔力を集めてみてください」

そう言われ、手を翳すと一秒も経たないうちにバスケットボールサイズの魔力の塊が、

何処からともなく出てきたが隣のアーシアは少し手こずりながらも、

ソフトボールサイズの魔力の塊が出来上がった。

「あらあら。こんなにも早く出すなんて」

相当、おかしなことらしい。

俺の魔力量といい、見たこともない魔法を作る技術、才能といい他の組織からは、

最強の魔術師になるといわれ、同胞からは冥界を担うといわれ……正直言って自覚はない。

ふと気づいたんだがアーシアの魔力には色がついているのに、

俺の魔力には色が一切付いていない。

「ふふ、二人とも魔力の才能は十分すぎるくらいみたいですわね。

では次にその魔力で何かしらを生み出してみましょう」

『フレイム・プリーズ。ヒー・ヒー・ヒーヒーヒー!』

腕を包み込むようにして炎が生まれ、真っ赤な籠手が右腕に装着された。

籠手からは時折、炎が噴きでていた。

「あらあら。その音声はイッセー君が?」

「勝手に流れているだけです」

意識を炎から水に変えると再び音声が流れた後に炎が水へと一瞬で変化し、

掌にあったものが火球から水の球体へと変わっり、さらに意識を変えると水が風へと変わり、

さらに変えるとさっきまでそよ風がフていたのが突然やみ、

俺に手には大量の土が残った。

「凄いですわ。私でもそんなに早く変えられません」

「朱乃はアーシアに付きっきりでお願い。次は小猫よ」

「よろしくお願いします」

アーシアと副部長が少し離れた場所へと去った後、塔城が俺の目の前にやってきた。

どうやら剣術、魔力の鍛錬の次は肉弾戦の鍛錬を行うらしい。

『ランド・プリーズ。ドッドッドドン! ドッドッドドン!』

籠手の色が赤色から黄色へと変化した。

今までは魔力に頼る戦い方だったが、この魔法に関しては俺自身の防御力、

打撃力などの身体能力が底上げされ、肉弾戦向きの魔法だった。

「ふん!」

塔城が駆け出すと同時に俺もかけだし、互いにつきだした拳がぶつかり合い、

鈍い音が辺りに響き渡り、周りの木々に止まっていた鳥たちがいっせいに驚いて飛んでいった。

『バインド。プリーズ』

「む?」

一度離れ、土で出来た鎖で相手を拘束する……が。

「ふん!」

相手の駒はルーク。

全ての駒の中で最も力が強く、さらにはその使用者の体格にかかわらず、

圧倒的なまでの防御力を得るという。

なるべくしてなる奴がルークの駒を得ればそれもう、凄まじいらしい。

そんなことより、どうやらもう少しバインドという魔法は改良が必要だな……だが、

改良が必要ということは現時点よりもさらに上があるということ。

その後も俺と塔城の殴り合いは部長に止められるまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

「イッセー、貴方の最大の武器は何といってもその魔法。

でも逆を言えばそれを封じられれば戦えなくなるかもしれない。だから、基礎を鍛えるのよ」

俺が持ち上げている巨大な岩石の上に優がに座りながら涼しげにそう言うが、

肝心の俺は額から汗をダクダク流しながら急な山の斜面を何往復もさせられていた。

この鍛錬ではさっき、奴が言っていたように魔法を封じられた際の対処法を鍛えるらしく、

一切の魔法の使用を禁じられている。

……正直、普通に鍛えた方が効率はいいとは思うが……こいつも根性論の持ち主か。

「あと一往復ね」

俺は死にかけながらも部長の提案する鍛錬をすべてこなしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の晩、今日の鍛錬を終え、晩飯も風呂も済ませた俺は小屋の外で精神統一ならぬ、

魔力統一を行っていた。

魔力統一を行い、全ての魔法を整理し弱点、

長所などを頭の中で纏め上げ、それらを実践にて修正する。

他にもあまりある魔力の天井を見ようとするが、一切見えてこない。

その時、この場に俺以外の魔力を感じた。

「部長ですか」

「よく分かったわね」

魔力統一を中断し、後ろを振り返るとメガネをかけて一冊の本とルーズリーフ、

筆記用具を持った部長が立っていた。

本のタイトルからするにレーティングゲームで使われているメジャーな陣形などが、

まとめられている本のようだった。

部長も部長で今回のレーティングゲームに不安を抱いているらしい。

「隣、良いかしら」

「どうぞ」

隣に部長が座り、辺りには風で葉音を立てる木がやけに大きな存在に感じられた。

「イッセーは不安を感じたりしないの?」

「不安……ですか」

昔はよく言われた。

感情があまり顔に出ず、テスト前などでもあまり表情、動作などに緊張が出ず、

周りからは不思議がられた。

抱いていることは抱いている。俺だって悲しい時だってあるし、

怒る時だってある……でも、それが顔に出ないって言うだけ。

「今でも感じていますよ。ただ、顔に出ていないだけで」

「…………それは、イッセーのお母様が関係しているの?」

痛いところを突かれた。

確かに俺が顔に感情が反映されなくなったのは母さんが関係……いや、

母さんだけじゃない。今はいない父さんだって関係している。

「……今から十年前。今日みたいに夜風が涼しい時でした」

俺は静かに語り始めた。俺が顔に感情がでなくなったこと、

そして感情が希薄になったことの理由を。

「その日は父さんの誕生日で母さんと俺とで準備をしていたんです。

ケーキを買って、美味しい料理を作って……でも、父さんは帰ってこなかった。

会社からの帰り道、車を運転中に事故にあって即死だったそうです。

それからというもの一家の大黒柱を失った俺の家は母さんが必死に働きました。

俺も、母さんの迷惑にならないように俺に出来ることをやっていきました。

家事全般……でも、その無理が祟ったのか母さんは過労からめまいを起こし、

階段から落ちたんです……結果、頭を強く打ったことによる下半身麻痺。

そこからは生活費を稼ぐためにバイト三昧……こんな感じです」

話し終えた頃には部長は申し訳なさそうな表情をしていた。

「さ、戻りましょう。明日も早いんですし」

「ええ、きゃっ」

部長に手をさしのばし、彼女の手を取って引いた瞬間、

少し強く引きすぎたらしく思いのほか部長が立ち上がった後に俺の方に

寄って来て俺の胸に顔をうずくめる状態になった。

「……部長?」

「…………少しだけ、こうさせて」

そう言って部長は俺の胸に身を任せた。




昨日の夜中、一日中書いていたら四巻の内容までかき上げてしまった。
ちなみ気弱はすでに最終話まで書いたとね
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