上空で最後の姿をしているイッセー君と曹操がぶつかり合う度に、
地上にいる僕たちめがけて衝撃波が、何度も叩き落とされてくる。
そのたびに体が悲鳴を上げるように痛みを発するけど僕たちは誰も弱音を吐かず、
頭上を見続けた。
誰も祈っている人はいない……僕を含めた誰もが彼の勝利を信じて疑わない。
「はぁ!」
ドラゴンの頭部から火炎放射のように炎を吐きだし、
曹操へと放つが空間のゆがみが生まれてそこに炎が吸い込まれていく。
だが、俺は攻撃の手を緩めずに炎の威力をさらに上げて空間のゆがみへと放っていくと、
吸収しきれなくなったのか勝手にゆがみが消え去り、
遠くの方で爆発が起きるとともに放っていた炎が曹操へと直撃する!
「ぐあぁ! まだだ!」
火傷を負いながらも曹操は矢を何本も作りだして俺めがけて放ってくる。
『チョーイイネ! ブリザード! サイコー!』
冷気を矢めがけて放つと徐々に矢が凍りついていき、その速度が遅くなっていく。
俺はすぐさま魔法陣をくぐってクローで凍りついている矢を、
粉砕しながら曹操へと向かっていき、クローを振り下ろすが槍に阻まれる。
「兵藤一誠! なぜ君は戦い続ける!」
「愚問だな。俺達の前にお前が立ちはだかれば俺はそれを潰す」
「何故、君は悪魔や天使に手を差し伸べる! 君は怖くないのか!
悪魔も天使も堕天使も皆、人間の敵だ!」
曹操は叫び散らしながら距離を取って矢を放つが、俺は全てをクローで粉砕する。
「おとぎ話に囚われた狭い考えの持つ奴が言う言葉だな。曹操」
「兵藤一誠ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
俺の言ったことに額に青筋を立て、曹操は球体を直接俺めがけて動かしてきた。
それを身をよじることで避けると地上に巨大なクレーターが生み出された。
なるほど……だが、曖昧だな。ただ単に地上に穴をあけるほどの威力重視の攻撃ならば、
この程度ではないはず。それ以外の能力があればこれほどの穴は開かないだろう……。
球体は地面から抜け出て、再び俺を追尾してくる。
「これで終わりにしよう……曹操」
『チョーイイネ! ファイナルストライク! サイコー!』
球体から大きく距離を取り、全てのエレメントが合わさった七色の魔法陣を、
俺の目前に展開した後に、体勢を変えて魔法陣に背を向けると、
その魔法陣を両足で強く蹴って放たれる七色の光を背に受けながら球体へと迫っていく。
木場、アーシア、小猫、レイヴェル、ロスヴェイセ、朱乃、ギャスパー、
スコル、ハティ、サイラオーグ、ヴァーリ……そしてリアス、見ておけ。
―――――――――これが。
「最後の希望だ!」
七色に輝く俺の蹴りと球体がぶつかり合った瞬間、凄まじい衝撃波が辺りに放たれ、
辺りのビルはもちろん、地面が吹き飛んでいく。
「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
曹操……お前は確かに英雄の魂を受けついでいた男だ。
英雄派に属していた人間はすべて、例外もなくお前を信奉していただろう……だが、
運が悪かったな。お前が生きた時代に俺という存在がいた。
「うおぉぉ!」
体を回転させ、ドリルのように球体へ蹴りを与え続けると、
ビシッという音が一度聞こえたかと思えば、何度も連続して聞こえてきた。
「だぁぁぁぁ!」
バキィィン! という砕けた音ともに俺の蹴りが曹操にまで到達し、
七色の輝きが空を支配した!
俺でさえ視界が潰される輝きが収まったのを確認し、目をあけるが曹操の姿は見当たらない。
数秒経ったところで輝きが晴れ、辺りを見渡すとコンクリートに穴があく音が聞こえ、
瓦礫が落ちる音が聞こえた。
「あそこか」
俺は翼を羽ばたかせて、その音が聞こえた場所へと向かうと血を辺りに散らばらせた曹操が、
床に背を向けて倒れていた。
死んじゃいないだろう……死なないように直撃はさせなかった。
「ガハッ……ハァ……」
「よう。死にかけだな」
俺は全ての装備を解除して偶然なのか、残っていた椅子に腰を下ろした。
「負け……か」
「トゥルース・イデアは使わないのか」
最強のロンギヌスだけに許された覇龍でもない、バランスブレイクでもないまったく別の力。
その力を使えばこの状況を一気に逆転させることは可能だと思うが。
「あの力は今は亡き神の意志に左右される。おそらく今、
使ってもトゥルース・イデアは発動されないだろう……神は君を選んだんだ。
でないとあんな状況から生還はしない」
「あの時、殺しておけばと後悔しているか」
俺達が以外の声が聞こえ、振り返るとそこには顔だけをだした鎧を、
纏っているヴァーリが立っていた。
ここへ来る途中に感じた強大な力はこいつか……また、新たな力を手に入れたか。
「ヴァーリか……いいや、俺は後悔はしていない」
その顔は敗北者が浮かべる顔ではなかった。
こいつはこいつで、この戦いを楽しんでいたということか……。
「これからお前はどうするんだ。曹操」
「そうだな……メデューサの眼も今は休息中。この傷を癒すのにも
かなりの年月がかかるだろう……もしくは、いないかもしれない」
どういう意味だ――――――そのような質問は俺もヴァーリもしなかった。
この先の道を決めるのはこいつ自身……己にふりかかることは、
覚悟を決めたうえで被るつもりだろう。
その時、曹操を霧が包み込みんだ。
数秒後、その中から片腕、片目を失っている魔法使いの青年が、
曹操の肩を持ちった状態で現れた。
「ゲオルクか……お互い重症だな」
「あぁ……帰ろう。曹操」
二人を霧が包み込み始めたところで皆が到着した。
すぐさま、サイラオーグが逃がさんと追撃をかけようとするが俺はそれを腕を上げて遮った。
「兵藤一誠。一つ言っておこう。カオス・ブリゲードの中には今まで旧魔王派や、
英雄派という大きな派閥に隠れている小さな派閥がある……そいつらに気をつけろ」
……曹操がそう言わざるを得ないほど驚く人物が、
カオス・ブリゲードの中に紛れ込んでいるというのか。
「曹操。またかかってこい……今度はテロなんか起こさずに一対一でな」
そう言うと曹操はふっと乾いた笑みを一瞬だけ浮かべた後、青年とともに消え去った。
「ふぅ……俺は帰るとしよう」
「ヴァーリ、お前はどうする」
「俺は戦いを求めるだけだ。世界を歩き回って強いものと戦っていく……。
いずれ、君との戦いもケリをつけよう。その時まで一時休戦だ」
そう言い、ヴァーリは空へと浮かび上がり、そのまま速度を上げて冥界の空へと消えていった。
どの戦いを刺しているかは知らないが……いずれは決着をつける。
「イッセー」
「あぁ、そうだったな」
リアスからイーヴィルピースを受け取ると駒が赤色に輝きだして八つの駒、
全てが体内に入り、背中から悪魔の翼が生えた。
これで人型のドラゴン転生悪魔の完成だな。
「それじゃ、帰るぞ。みんな」
そう言いながら全員を顔を見るように視線を動かすとサイラオーグを含めた、
この場にいる全員が驚きに顔を染め上げていた。
今、ようやく思い出した気がする……俺があの日以来失っていたものを。
本当の……心の底からの笑顔ってやつを。
「にゃ~。今回は疲れたにゃ」
「そうだな……俺っちもかなり疲れたぜ」
「貴方は初代にこってり絞られたからでしょう」
「う、うるせえ!」
「ヴァーリ様。次はどこに行きますか?」
「決まっているだろ……強者がいるところだ」
「我々の仕事もこれでひと段落だな」
「久しぶりに魔王の仕事をしたよ」
「もう、僕は働きたくないぞ~」
「もう、ファルビーったら! 今回のように毎日動いたら?
そうしたらすぐに綺麗な女性が捕まるわよ☆」
「そりゃ、無理があるだろ。レヴィアタン……サーゼクス。あいつが帰ってきたぜ」
「ああ。よく帰って来てくれたよ……そろそろ世代交代かな?」
「ハハハハハハハハ! 何百年先の話をしてんだよ!
まあ、徐々に世代交代が始まるのは確実だな。冥界は変わるぜ」
英雄派との激しい戦いが終結してから数日が経ったある日。
俺たちオカルト研究部は旧校舎にある部室に全員集合していた。
アザゼルは勿論のこと、小猫、ギャスパー、ロスヴェイセ、俺、木場、
朱乃、リアス、ゼノヴィア、イリナ、アーシア。
「結果が来たぜ。簡潔に言えば……全員中級悪魔だ」
アザゼルがそう言った瞬間、どこからともなくパンパン!
とクラッカーの音が部室に鳴り響き、
台車に載せられたケーキがレイヴェルの手で運ばれてきた。
「にしてもお前らはほんと、すげえよ。全員帰ってきたんだからよ」
まあ、俺は一度消滅はしたがな。帰ってきたという点ではあっているな。
「当面、私たちはヴラディ家との対話を実現させることに向かっていくわ」
俺は知らないんだがゲオルクを片づけたのはギャスパーらしく、
その時のギャスパーは誰も見たことがないような能力を使ったらしい。
吸血鬼の世界は現状でいえばかなりもめているらしく、なおかつ閉鎖された世界らしい。
「ま、そういうことは後々な。それじゃ、全員帰ってきたし。三人の昇格をお祝いして」
『カンパーイ!』
カツン! というグラスが軽くぶつけられた音が部室内に響き渡った。
マジで一気に三、四話くらい投稿できる機能って実現できないかな?