ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第九十一話

「フェニックス。あまり自分勝手な行動はしないでください」

「けっ! 俺が勝手に行動して何か迷惑でもあるか?」

「ええ、大迷惑です。今、カオス・ブリゲードは再編作業に入っています。

直に貴方に幹部になるようにと指示があるでしょう。新たな組織に貴方は必要な戦力です」

「ざけんな! 俺は俺の好きにやる!」

「……兵藤一誠ですか。彼は今や組織全体共通の敵です。貴方個人が好き勝手に、

相手にしていい相手ではありません。ともかく、これ以上は独断行動は止めてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス・ブリゲード――――英雄派との戦いが終わり、騒乱の事後処理も着々と進んでいるなか、

私――――リアス・グレモリーはイッセーの生還などの報告をするために冥界の実家へと帰っていた。

「そうか。一時はどうなるかと思ったが良かったな、リアス」

父様も母様もイッセーの生還を喜んでくれた……まあ、私とは方面が違う喜びなのだろうけど、

大きく見ればイッセーが戻ってきたことを喜んでくれているのは同じね。

「今日はもう帰るのですか? 義姉様」

「少し町の方を見に行こうと思っているわ」

「僕も行っていいですか?」

「これこれ、ミリキャス。今日くらいはゆっくりさせてあげなさい」

母様に言われ、可愛く頬を膨らませて不機嫌な様子を表わすミリキャスの視線に合わせて、

しゃがんで彼の頭を軽く撫でてあげた。

「今度はイッセーと一緒に来るから」

「はい!」

私はそう言い、実家を出て町の方を見に行くと魔獣の進軍を受けた村や町にはまだ、

痛々しい傷跡が残っていたけど着々と街の復旧作業は進んでいた。

この調子でいけば数か月もすれば街はまた活気を……あれは。

ふと、人ごみの中に見覚えのある後ろ姿を見かけ、

私は気付かれないように人込みをかき分けて追いかけていくと、その人物はすぐに分かった。

「裏切りのフェニックス……っ!」

カオス・ブリゲードに在籍し、何度もイッセーと、

激しい多々繰り広げている裏切りのフェニックスだった。

彼は黒歌のようにSS級の犯罪者として指名手配をされているわけじゃないし、

お兄様と同期なためにほとんどの人は彼の名を聞いたことはあれど、顔はあまり見たことはないし、

彼が行方不明になったことは大々的には報道されていない。

報道されたことはされたけど小さい記事の端の方に書かれていただけだった。

「すぐにイッセーを」

イッセーを呼ぼうとしたときにふと私は考えた。

裏切りのフェニックスがこの街にいるのに何も起こっていない……彼はただ単に、

殺しを楽しんでいるわけじゃないのかもしれない……。

もしかしたら私の話を聞いてくれるかもしれない――――。

「フェニックス!」

「あ?」

人気が少なくなった通りに出たところで私はフェニックスに声をかけた。

「お前、確かサーゼクスの妹だっけ?」

「ええ……あなたと話がしたいの」

ここで断られたら私は……。

「良いぜ。どうせ、暇だし」

「…………」

「なんだよ。てめえが誘ったんだろうが」

フェニックスの言うとおり私が誘った……でも、まさか快く承諾してくれるとは思ってもみなかった。

私たちは少し離れたところにある大きな岩の近くにより、フェニックスはその岩の上に座り、

私は警戒しながらも少し離れたところに立った。

「とりあえず、旧魔王派、英雄派との戦いお疲れさん。

お前らは組織全体共通の敵として認定されたぜ」

「そう……フェニックス。あなたはどうしてカオス・ブリゲードに入ったの」

「あんまり覚えてねえんだけどよ。フラフラと歩いてて強い奴に出会ったら闘って殺してたら、

旧魔王派とかいう奴らに声かけられてよ。確か名前は……シャバ?」

「シャルバ・ベルゼブブ」

「そうそう。そんな奴に誘われて入った」

じゃあ、カオス・ブリゲードは大戦が休戦に入り、旧魔王派が遠方に追放されたころから既に、

結成されて活動をしていた……いや、どちらかと言えば旧魔王派は遠方に追放された時点で、

すでに完成していたのかもしれないし、追放される前から前身の組織があったのかもしれないわね。

「つってもよぉ。戦うのはチマチマした雑魚ばっかりでよ。暇で暇で仕方がなかったんだが……。

あいつに出会ってから最高に楽しくなった」

そう言う、フェニックスの顔には笑みが浮かんでいた。

「で、サーゼクスは何してんだ」

「お兄様は騒乱の事後処理をしているわ」

「なるほど…………今、レーティングゲームっていうやつが流行ってるらしいな」

“ええ、そうよ”―――――そう言おうとしたときにふと気づいた。

フェニックスはイッセーと戦うことが好きになった……もしもフェニックスが、

レーティングゲームに興味を抱いているとしたら……こっちに戻せるかもしれない。

「組織にいるせいで面倒な奴には絡まれるわ、好き勝手に暴れられないわ……そっちに行けば、

そのレーティングゲームとか言うので自由に戦えるんだろ?」

私の予想は確信に変わった。

彼は殺しを求めて組織に入ったのではなく、ただたんに強い存在と戦いたいがために入った。

「ええ。でも、好き勝手に戦えるわけじゃないわ。色々とルールはあるし、

卷属を集めないといけない……仮に貴方が冥界に帰ってきたとしても今まで犯した罪は、

償わないといけないかもしれない……でも、今の貴方を生んだのは旧政権。

現政権の方々ならきっと、あなたのことを考えてくれる」

「でも、サーゼクスがいるからな~。あいつ、なんかグチグチ口突っ込んできそうだし」

「教えて、フェニックス。戦争のときいったい何があったのか」

「別に。俺の能力に目をつけたクズどもが俺を殺し続けただけの話だ」

フェニックスは死ねば死ぬほどそのたびに生き返り、強くなる。

戦争でフェニックスの能力に目をつけない方がおかしい……だから、フェニックスを殺し続け、

強くしていく過程でフェニックスは……今の状態になった。

「貴方の好きにしたらいいと思う……カオス・ブリゲードに従うのが嫌なら抜け出せばいい。

きっと冥界は貴方を受け入れてくれる。そしてお兄様も」

「……俺の好きにか……そういえばそうだな。何もあんな奴らに従う必要なんかねえんだ」

そう言い、フェニックスは岩の上に立ちあがった。

「じゃあ」

「俺は……今日から俺の好きなように暴れる!」

そう言い、フェニックスは全身から炎を噴き出した。

 

 

 

 

 

 

 

「んん~」

「あ、あのイッセー様」

「ん?」

俺――――兵藤一誠は自室にレイヴェルを呼んで、彼女の膝に頭を乗せて横になって休息を取っていた。

生憎リアスは朝から実家に報告をしに行っているし。

ただ単に膝枕をしてもらっているだけなんだが……そこまで顔を赤くするほどの恥ずかしいことか?

「い、いえ別に……変わりましたわね」

「そうだな」

俺は変わった。

リアスと出会い、木場と、朱乃、小猫、ロスヴェイセ、ギャスパー、スコルとハティ、

レイヴェル達と出会って俺は別の存在へと変わることが出来た。

もしも、リアス達よりもレイナーレに早く出会って仲間になっていれば俺は、

確実にウィザードと呼ばれることはなかっただろう。

「レイヴェル。少し聞きたい」

「はい、なんでも」

「フェニックスの家での裏切りのフェニックスはどういう扱いなんだ」

「……フェニックス家では抹殺対象となっていますわ。

旧、現関係なしに魔王様のご意思を裏切った罪は重いものです」

「だが、奴は殺せば殺すほど強くなる変異体なんだろ」

本来のフェニックスの能力は単なる不死だが奴は少し、その能力が何らかの原因か、

それともそれが本来のフェニックスの能力なのかは知らないが死ねば死ぬほど強さを増していく存在。

どうやって抹殺をするんだ。

「はい。ですから仮にフェニックスの家から犯罪者が出た時のことを考えて、

フェニックスの鎖というものがあるんです」

「フェニックスの鎖?」

俺の言葉にレイヴェルは深く頷いた。

「フェニックスの鎖とはただの鎖ではなく、フェニックスの不死の能力を縛ることができる唯一の道具。

その鎖に拘束されたフェニックスは拘束されている間は不死ではなくなるんです」

なるほど。死なない体から死ぬ体に存在を落とすことができる世界で唯一の道具という訳か……。

確かに裏切りのフェニックスは不死の能力と死ねば死ぬほど強くなる能力がうまい具合に、

重なっているわけだがその片一方をなくすことができれば抹殺できる訳か。

「本当ならこのことはフェニックスの者と、

魔王様にしか話してはいけないのですが……イッセーさんは特別です」

無論、仲間にも他の奴らにもさっきの話を話す気はさらさらない。

「イッセー様は……上級悪魔になられた時はどうなさるのですか」

「そうだな…………今のところは独立か。ゼノヴィアとアーシアは俺に付いてくると言っていたな」

「で、でしたら……そ、その時は」

「レイヴェル」

俺は彼女の話を途中で強制的に終わらせた。

「俺が上級悪魔になって独立した時、かなりの悪魔が俺になんらかのアプローチをしてくる……その時、

俺がお前を手に入れたいと思うほどの存在になっておけ……その時は俺の卷族に迎え入れる」

そう言うとレイヴェルは嬉しいのか恥ずかしいのか、顔を最上に赤くしながらも満面の笑みを浮かべた。

「はい!」

「イッセー君!」

突然、ドアを乱暴に開けて息を乱した木場が部屋に乱入してきた。

「どうした」

「部長がっ!」

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