ハイスクールD×D inウィザード   作:kue

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第九十五話

「あれから何年たった」

「もう何百年と経っています」

「貴様が俺を開放した理由は」

「貴方の力で魔力を奪ってほしい相手がいるのです」

「ほぅ。そいつはさぞ良いんだろうな」

「ええ、ウィザードと言われているくらいですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裏切りのフェニックスを倒してから数日後、俺――――兵藤一誠は自室で、

リアスに膝枕をしてもらった状態で横になっていた。

自室には他の奴らもいるんだが今となっては、

これが日常茶飯事となったのか誰も突っ込まなくなった。

「平和ね」

「そうだな。このまま続けば……ん?」

突然、床に転移用魔法陣が出現し、俺の自室を明るく照らし出した。

「バアル家ですわ」

朱乃が魔法陣に描かれている紋様の家の名前を驚きながらも言ったと、

同時に魔法陣からサイラオーグ・バアルが出てきた。

プライベートで来たのか……そうじゃなさそうだな。

「何か用か?」

「あぁ、少し話がしたい。リアス、借りてもいいか?」

「ええ、良いわよ」

俺は起き上がり、誰もいないVIPルームにサイラオーグを招き入れ、

お茶でも入れようとしたときに構わないと言われ、そのまま何もせずに座ると、

サイラオーグは真剣な面持ちのまま用件を話し始めた。

「数日前、とある場所に封印されていた化け物が解放された」

「その化け物とは?」

「旧魔王がまだ政権を握っている時代、戦争で最も敵を倒し、

さらに最も味方をも殺した最悪の化け物……名はファントム。

そいつを危険と判断した旧魔王が四人がかりでようやく封印出来たほどの奴だ」

ファントム……あの、旧魔王が四人がかりで襲いかかっても、

殺すことはできずになんとか封印するレベルの強さの相手か。

旧魔王といえど魔王をしていたくらいだ。強いのは確かなんだが……。

「そいつの討伐を先日、大公に依頼されてな」

まあ、この前の若手悪魔最強を決める戦いを見て、上の方も任せて良いとふんだんだろう。

「俺を連れていきたいと」

そう言うとサイラオーグは首を縦に振って肯定した。

やれやれ。何故、昔の王どもは厄介なものばかりを生み出してはそのまま放置していたのかね。

カオス・ブリゲードの旧魔王派の奴らしかり、裏切りのフェニックスしかり、

今、聞いたファントムも……自分で解決してろよ。

「……了解した。俺も行こう。だが、その前に」

そう言ってドアの傍まで歩いていき、

ドアを開けるとドサドサっと皆が部屋の中に流れ込んできた。

精度抜群の魔力検知器の俺をなめんじゃねえよ。

「少し、出かけてくる。リアス」

「イッセー……いってらっしゃい」

てっきり、心配でもするかと思ったんだがな……まあ、

それだけ俺を信頼してくれていると思っていいんだろうか。

「サイラオーグ」

「ああ」

俺はサイラオーグが展開した転移用の魔法陣の上に乗ると一気に魔法陣が輝きを増していき、

余りの眩しさに目を瞑った数秒後、光が消えるのを感じ、瞑っていた目を開けると、

目の前には岩肌に直接描かれている大量の魔法陣とちぎれた鎖が大量にあった。

洞窟か……ただの洞窟ではなさそうだが。

「ここは?」

「ここは奴が封印されていた場所だ。厳重な封印がなされていたんだが……それが、

解かれたという訳だ。お前にはここにあるファントムの魔力を追ってもらいたい」

そう言われ、地面に落ちてある目隠しのような布を拾って魔力を探すと、

僅かにだが魔力が感じられた。だが、その魔力はかなり混じっていた。

悪魔、天使、堕天使、さらにはそれ以外の魔力も感じられた。

なんだ、この数は……一体、何種類の種族の魔力を体に宿しているんだ。

「どうだ?」

「あぁ、魔力は感じた。だが、種類が多すぎる」

「過去の文献では様々な魔力を身に宿していたとあった。おそらくそれだろう」

全ての魔力がまじりあっている状態が自然とできるはずがない。おそらく何らかの方法で、

外から人工的に他種族の魔力を取り入れたか、

もしくは魔力を生産する機関を己に取り入れたか……だが、

その分他と違うから探しやすいことは探しやすいがな。

俺は目を瞑り、先ほど感じた魔力を探し出す。

時間がかかると思っていたが、その魔力はすぐに探知出来た。

「見つけた。今からそいつのもとに行く」

「了解した」

『テレポート、プリーズ』

対象の魔力が感じられる場所を転移先に設定し、テレポートを発動させて、

その場所へと転移するとすぐ近くに二つの槍を持ち手の部分で繋げたような武器を持った、

初老の男性を見つけた。

「お前がファントムか」

そう言うとその男性は俺達の方向を向いた。

「如何にも……なるほど。お前がウィザードか」

「話は早い。お前を討伐に来た」

『フレイム・ドラゴン。ボー・ボー・ボーボーボー!』

サイラオーグは全身に施してある拘束を解除し、俺は炎の赤い鎧を身に纏って、

臨戦態勢を取るが目の前の初老の男は一切動じずに俺達のことを見てきた。

「なるほど。右の男は魔力は乏しいが体を極限まで鍛えたか。

そして左の男は未知なる魔法を使うか……面白い。数百年ぶりの運動にはもってこいの相手だ」

そう言い、初老の男性は武器を握り締め、俺たちに斬りかかってくるが俺達は、

同時にその場から飛び去り、相手の攻撃を避けるが相手はサイラオーグを無視して、

俺だけに斬りかかってきた。

『コネクト、プリーズ』

魔法陣からアスカロンを取り出し、相手が振り下ろしてきた武器を防ごうとするが、

槍はアスカロンの刃を素通りして俺に向かってきた。

「っっ!」

『ディフェーンド、プリーズ』

すぐさま炎を集中させて防御すると槍は炎にぶつかった。

「よそ見をするな!」

男性の後ろからサイラオーグが高い場所から落下する勢いを利用したパンチを繰り出すが、

男性は腕を突き出し、片腕でサイラオーグの拳を受け止めた。

受け止めた瞬間、金属音が辺りに鳴り響いた。

……まさか、奴の身体は金属なのか?

試しに相手の腹部に蹴りを入れるがすぐさま相手の膝が上がって来て防がれる……だが、

金属音は聞こえなかった。

「サイラオーグ! 奴は自身の身体を一瞬だけ、

金属レベルにまで硬化できる! 連続で叩きこめ!」

「無論!」

俺は二人から距離を取るとサイラオーグが連続で相手に拳を振り下ろすが、

男性は片腕でサイラオーグの片方の腕を金属レベルにまで硬化させた腕でいなしていくが、

もう一方の拳は体をよじらせながら避けていく。

やはり奴が自身の身体を金属レベルにまで硬化させることができるのはほんの一瞬だけ……そして、

奴の槍は剣などの武器は素通りするらしい。

それらの能力も他種族の魔力から得た能力なのか……まあ良い。

ならば今回はアスカロンの役目はないな。

『コピー、プリーズ』

『チョーイイネ! キックストライク! サイコー!』

「サイラオーグ!」

コピーで二人に分かれた後、キックストライクで足に炎を集めて跳躍し、

同時に蹴りにいった瞬間、サイラオーグは姿勢を低くし、

男性は全身を硬化させているのか腕を交差させる。

「だぁぁぁ!」

「はぁぁ!」

「ぐっ!」

二人分の蹴りが喰らった直後、サイラオーグの拳が奴の腹部に突き刺さり、

そのまま硬化が解けたのか相手は口から血を吐いて、吹き飛んでいった。

だが、背中から悪魔の翼を生やして体勢を整えて再び地面に足をつけた。

「なるほど…………今の冥界では若い悪魔が台頭していると聞いたが、

それは事実らしいな。この俺に血を吐かせた」

『チョーイイネ! スペシャル! サイコー!』

魔法陣を背後に展開し、そこから炎を纏ったドラゴンの幻影が現れて、

俺の周りを何周か旋回した後に背中に回り込み、

俺にぶつかると鎧の胸の部分からドラゴンの頭部が出現した。

『ビッグ、プリーズ』

『ビッグ、プリーズ』

ビッグを二回発動させ、そこへドラゴンの頭部を突っ込むとビッグの効果を二回受けた、

頭部が巨大になり、その大きな口を開いた。

「フィナーレだ」

その瞬間、体全体が後ろへ軽く吹き飛ぶほどの衝撃が伝わり、

目の前で巨大な爆発が起き、大量の砂が宙に舞いあげられた。

「どうだ」

「あぁ。直撃だ……徐々に奴の魔力も減少している」

やはり、何百年ものブランクはとてつもなく戦闘にマイナスだったという訳だな。

「奴の死体はどうする」

「それに関しては何も聞いてはいないが」

突然、目の前で大きく揺らいでいた炎がある一点に集中していく。

な、なんだ……炎が吸収されているのか……や、奴の魔力が上がっていく!

先ほどまでいまにも消えようとしていた奴の魔力が突然、

息を吹き返したかのように上昇しだした。

ど、どこまで上がっていくんだ……。

「ふぅ。初めて使ってみたが案外成功するものだな」

炎が消え去り、奴の声が聞こえた。

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