『未完』リリカルなのは~逆行転生で原作大崩壊~   作:echo21

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第一回(続くの?)
『ユーノ、レイジングハートと出会うの巻』

「デバイス? インテリジェンスかな……よいしょっと」
『やっとですか、淫獣。早くマスターがいる地球まで案内しなさい。これだから淫獣なんですよ』
「罵倒されたっ」
『私はレイジングハートですから……レイハと呼び、敬いなさい』
「しかも無視されたし……これはいったい、どうなってるのかな? ちょっとデータを拝見」
『そうやって弄るのですね? エロ同人みたいにエロ同人みたいに!』

 ユーノ・スクライアに幸あれ。

※あくまでもおまけ。時系列は本編と同じです。




第四話 リリカルマジカル転生者達?

 翠屋のテラス席のひとつ。待ちにまった誰かがいるのだろう。だからこそ、スカさんなみに声を張り上げようと思います。

 

「今ここにぃ、『転生者オフ会』を開催しますッ! 司会はこの俺、『カオスに向かって一方通行、アクセラロリータじゃありません』の神楽坂明日香! 助手兼にぎやかし、俺の頭に乗るのは使い魔である『山猫ってリンクス、あ、イレギュラーではありません』でお馴染みのリニスです!」

「にゃあ」

「解説はこの幼女な姉御、『おっきなお友達はいらん。合法ロリの旦那求む』のヴィータ!」

「見せてやるぜっ、本当に勇気あるロリを! ……これでいいのか?」

「ありがとうございます。ゲストはこちら、噂の金銀コンビの片割れ『ニコッとしたら、自分がポッとなって気持ち悪い』の銀髪こと穂村佑樹! そして相方『他人を守る前に自分の世間体を守れ』の金髪ことグレン・マーガロイド!」

「スカリエッティに顔芸仲間だと思われてよぅ。本気でへこんでるんだぞ。気遣ってくれ」

「桃子さんから説教されてさ。周りの子供に悪い影響があるって言われてね。落ち込むよ」

 

 金銀コンビが翠屋に出没したさい、なのはとシュテルを間違えてニコッとした穂村君が悪い。昼食を食べにきていたスカファミリーもいたからね。バッチリ見られたのさ。高笑いするスカさんと愕然とする穂村君。騒ぎを収めたかったのか、これに遭遇したマーガロイド君がシュテルを守るように近づいたのに、『おお、リアル中二病さん達ですね。初めましてシュテル・エーベルヴァインです。ご主人、ご主人。リアル中二病ですよ、リアル中二病!』とか言って、机を叩き出したからね。仕方ないね。あ、そうそう。桃子さんと一緒にシュテルを叱りました。

 

「そんでアスカ。何するんだよ?」

「ズズっと啜るな、ヴィータ。はしたない」

「うっせい。いいだろ、別に」

 

 とりあえず金銀コンビに『仲間だよぅ。逆行だよぅ』という説明をしたら、二人揃って頭を抱えた。

 

「あ、そうそう。二期と三期は解決済みで、残りの夜天組とナンバーズは今日も元気に八神家にいる。ほんでまあ、ヴィータ。アインスとヴィヴィオは? あと、ウーノさん」

「今の時間なら訓練だな。ヴィヴィオはザフィーラとストライクアーツか。アインスはプレシアとデバイス弄りだろ。あたしが出る前、ウーノとシャマルが洗濯してたはず……あ、あたしはなのは待ちだからな! それなりに家事してんだぞ! なのはの勉強待ちなんだからなっ」

「ナイスツンデレ?」

「ティアナはこんな感じだった、はず」

 

 ストローを啜るヴィータに視線を向ける金銀コンビの表情がやばいでげす。

 

「アスカ。レヴィが騒いでますので、八神家に向かいませんか? スカファミリーは行きましたよ?」

「お? 俺らもそうするか。ああ、二人と話し合ってから向かうわ。先に紫天一家を連れてってくれ」

「了解です。それと、おやつが切れてます。プレシアとリンディのお土産も?」

「あ。クロノさんが来る予定だし、コーヒーの豆が切れていたからさ。頼むわ」

「わかりました。そちらも買っておきます。他に何かありますか?」

「他には……特にないと思うが、一応な、念話で確認をとってくれ」

 

 だんまりの金銀? 飛び降りたリニスが紫天一家の席に向かった。

 

「ア、イ、ス! ア、イ、ス!」

「黙れヴィータ。我慢しなさい」

「待たせたなっ、なのはなの!」

「やべえ、意味がわかんねぇぞ」

「くそっ、なんでこうなったっ」

 

 かなりテンションが高いなのはの登場に、金銀コンビが遠い目を送る。ヴィヴィオが来てからはっちゃけてるなのはさん。実は、なのはさんじゅうきゅうさいの魔法少女組は、社畜の一歩手前の環境から逆行してきたらしい。それはもう、ネタで『将来の夢は?』と訊けば『高町なのは、奥さまという名のニートを目指すの!』と言って、桃子さんの『全力投球で叱ってあげる』に震えあがった過去をもつ幼女だ。残念だったね。

 

「そうか。俺の嫁はいなくなったんだな……」

「可愛らしいなのははもう、いないのか……」

「失礼なの。だけど、許してやるの。ここ最近の日課で『感謝のディバイン・バスター』するなのはは忙しいの。それに明日香君の扶養に入って、家事をリニスさんに任せる夢の生活を目指してるの。だからね、金銀コンビはバイバイなの」

「アッ、イッ、スッ! アッ、イッ、スッ!」

「黙れ幼女共。愉快なオブジェになりたいンか?」

『ごめんなさい』

 

 とりあえず、八神幼稚園の現状を伝え、美由希の試食トラップを潜り抜けて八神家にやって来た。金銀コンビには悪いが、お嬢様コンビにも来てもらい、『原作大崩壊!』を理解した二人がわめく。そんな金銀コンビを睨むプレシアさんのチェックは厳しく、『養えるだけの貯蓄を示しなさい。話はそれからよ』の無茶ぶりに拍手する女性陣。ふと目を向けたクロノさんが、視線を逸らした事実に哀愁を感じた。

 

「んんッ、二人共。何なら管理局で働くかい? 忙しいからすぐに貯蓄できる。……よければ、だ。僕が紹介すれば手続きも早いし、すぐに働けるが?」

「管理局はブラックだろうが。最高評議委員会が……い、て? まさかっ」

「スカリエッティがやってしまったよ。未来の大事件は起きない。起きないんだが、すでに皺寄せがあってね。前よりも忙しいかもしれない。……話は変わるが、ユウキ・ホムラ。グレン・マーガロイド。よければ入局しないかい? 二人なら、いや、二人共歓迎しよう」

「盛大になっ。じゃないわ! 同じ話題だろうがっ!」

「オレもちょっと遠慮を……五歳で就職は厳しいです」

「そうか。ダメか。管理局は生け贄を募集している。気が向いたら言ってくれ」

『嫌です!』

 

 知ってた。まあ、色々とぶっちゃけたお陰か、金銀コンビとも仲良くなってきた。父がミッド出身の俺とは反対に、佑樹の母親がミッド出身で父親が日本人らしい。管理局で事務職をしていた母親が観光で日本にきて一目惚れ。その流れで生まれたのが佑樹である。それで五歳の誕生日に貰ったインテリジェンス・デバイスを自慢気にみせたくれた。

 

「すごく……安物です」

「はあっ! 嘘だろ?」

 

 値段的な意味でクロノさんに説明されて落ち込む佑樹を放置し、グレンの事情を聞いたら愉快だった。グレンを妊娠中の間に浮気した父親にキレた母親は、母国であるアメリカを捨て、ひとりで日本へ飛んで出産。現在は、バニングス系列の企業で顧問弁護士をしながら、ひとり息子を育てる生活である。

 

「パワフルなお母ちゃんやなあ」

「はやて? 聞いてたのか……」

「まずくね? 桃子さんの説教」

 

 ………………。

 

「やばいやろ」

「やばいよな」

「やばいなあ」

 

 はやてと一緒に肩を叩いてあげてたら、アリサが携帯を片手にニヤニヤして近づいてくる。『絶望したっ!』なんて言いそうなグレンは、『グレンのお母様にメールしたわ。きちんと怒られなさい』という言葉と共に見せられたメールの内容を知って崩れ落ちた。よくある二次創作のように逃避するのではなく、現実がみえてしまった金銀コンビに世間は世知辛い。

 

「二人はどうしたの? とりあえず、ざまあなの?」

「これじゃ、俺……原作を守りたくなくなっちまうよ……」

「ネタ挟むなアホぅ。まあ、あれやな。転生者達がいう『原作』は、私らからしたら『未来だけど、経験済みの過去』やからな。どんまいや!」

「俺の嫁……やはり二次元にしかいない、架空の生物なのですね。頑張ってください」

「うるせぇ。ガチでへこんでるだぞぉ」

「俺が守る……もうすでに、ご自分を守られていないのが明白。そのうち『オレがデバイスだっ』というのを期待しています」

「機動戦士じゃないから。中二病扱いはやめてくれ」

「追い込んで楽しんでるシュテル。おやつ抜きな」

「ででーん。シュテルん、アウトなの!」

「かちーん。にゃのはに八つ当たりします。桃子さんにメールします」

 

 静かに庭に出たなのはとシュテルの模擬戦が始まったが、どちらも叱ってもらおう。

 

「桃子さんにメールしますた。まあ、現状は理解したか? ちなみに、俺らよりひとつ下の四歳だからな。シュテル達は」

「嫌になるほど理解したわ。このデバイスに『グレンダイザー』って名付けたのによぅ。マジでかぁ」

「オレは帰るのが恐くなってきたよ。ところでさ、シュテルの性格が一番ダメだと思うんだ、オレは」

「なのはとシュテル、ヴィヴィオは諦めろ」

『はい』

 

 二人共、思うことはあるだろう。まあ、俺からしたら現状の認識を共有できたことが救いだな。反発して暴れたりするようなこともなく、本当にコンビのように慰めあってる二人が笑えた。彼ら二人の黒歴史に刻まれた一ページは、しばらくの間からかわれるのだろう。それでも穏便にすんでよかったよ。

 

「あ、あるじ。レヴィが三人分おやつを、その」

「ユーリ・エーベルヴァイン? おい、明日香。暴走とか大丈夫なのか?」

「大丈夫だ、問題ない」

「おいばかやめろ」

「ユーリ。ちょっとおバカでノリがいい佑樹に、ユーリの状態を教えてやってくれ」

「あ、はい。わかりました。……そうですね。一番の心配事でしょうから、暴走の件からですね。簡単に言えば暴走しても、あるじに勝てません。マテリアルどころか、ここにいる魔導師全員であるじに挑んで負けましたから、億が一暴走しても安心してください」

「フルボッコだ、ドン」

「待てよ、おい。意味がわからん」

「大丈夫だ、問題ない」

「おいばかやめろ、じゃない! 詳しく話せっ。グレンも来いっ。重要な話だ!」

 

 どうにかこうにか、アリサを味方につけようとしていたグレンを佑樹が引っ張ってきた。遠い目をしながら語るユーリには悪いが、全員の攻撃を『反射』するだけの楽なお仕事でしたね。なんせ、空中で立っているだけでいいのだからね。一方通行だから仕方ないね。

 

「そんな目で見られてもテレる」

「おいこら明日香。チーターじゃねぇか」

「佑樹くぅん。『僕は悪くない』」

 

 




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