さて、ようやくオリ展開に持っていくことが出来た。
え?フラグが、立ってる?
気にしてはいけない。
サチの家出。それを知ったカエデは慌てる…事はなかった。少なくともこういう事にはなるかもしれないと思っていたのだ。現在カエデは黒猫団のみんなとは別に自分が泊まっている宿で横になっていたところだ。
「さてさてさーて、サチのやつを探すとしますかね」
月が登る真夜中。第28層の主街区は寝静まり、人はほとんど出歩いていない。背中に武器を背負ったカエデはそんな中を悠然と歩いてサチを探していた。
と言ってもカエデは、この状況をある程度予想していたのでサチが隠れていそうな場所の目星をいくつかにつけていた。さすがに一発であたりというわけにはいかなかったが、それでも見つけるまでにそう時間はかからなかった。
「なんだ、こんなところにいたのかよ」
「!…カエデ…。私を探しに来たの?」
サチの目を見たカエデは、その深い黒の瞳を見ていまのサチの気持ちをある程度察した。その感情には、恐怖があった。
「ねえカエデ。一緒に逃げよう?この街を出て、フィールドも出て、この世界から…そう、死ぬのもいいかもね」
「…わたしね、怖いんだ。ほんとは攻略なんてしたくない。はじまりの街から外に行かずにずっと暮らしたかったの」
カエデは何も言わなかった。誰にも言えなかった彼女の本心を黙って聞いていた。かける言葉を思いつかなかった。
「死にたくない、カエデ、私死にたくないよ…」
「そうだな…」
サチだってこのゲームがデスゲームにならなければ普通にフィールドに出て戦っていたかもしれない。いまみたいに死ぬことを恐れずに、勇敢に武器をふるっていたかもしれない。こうなったのは誰のせいだろうか。真っ先に茅場晶彦の名が浮かんだ。だが不思議と怒りも憎しみも湧いてこなかった。時間があれば自問自答したい気分だった。だが今はサチだ。ただでさえ精神が不安定になっているのだ。かける言葉を選んでサチを家に返すことにした。
「…みんなが待ってる。帰ろうぜ」
そういうとサチはカエデに寄りかかって来た。その眼は、彼女がまとっていた哀しい雰囲気は、まるで何かに縋りたがっているようだった。そうでもしないと心が壊れてしまうとでも言ってるように。それを何となく察したカエデは無言でその場に座った。
「勝手に逃げ出したこと…怒らないの?」
「…別に。何で怒らなきゃならないんだ?…実を言うと、昼間のお前を見てた時から、こうなるかもしれないって思ってたんだ。お前が家出したって聞いた時も、特に慌てることもなかった。正直な話、お前の反応の方が正しいと思う。ケイタたちも、俺も含めてみんなは強がっているだけなんだ。攻略組の奴らっていうのは、『死』の恐怖をどうにかして乗り越えた奴らなんだよ」
「カエデ……」
「だからお前の気持ちはみんな分かるよ。俺だって死ぬのは怖い。だけど俺には運良く、戦う力があった。確かにサチには、悪いが戦う力はないかもしれない。でもだからと言って、自分で死ぬなんてことを考えないでくれ。生きていれば、まだ希望はある。いつか攻略組がこのゲームをクリアするかも知れないだろ?」
「…そうだよね。でも私が嫌なのはそれだけじゃないんだ。私だってみんなの役に立ちたいの。さっきも言った通り、私には戦う力なんてない。それでもみんなと一緒にいたい。1人は嫌なの」
「その…『役に立つ』方法ってのは…別に一緒に戦う事だけじゃねえだろ。みんなの食事作ったり、情報集めたりすんのも立派に役に立ってると思わねえか?戦う力はなくとも、他の方法があるとおもわないか?」
「あっ!…やっぱり優しいね…カエデって」
「この際、元の世界に帰るのは他人任せでいい。表に出るのは俺や攻略組だけでいい。お前は影から支えてくれりゃいい。それだけでも俺らは随分楽になるんだぜ」
「カエデ今『俺ら』って…カエデも攻略組だったの?」
「少し前の話だ。今は少しこの世界を満喫しようって思ってな」
「この世界を満喫…か…。ねえカエデ?1つお願いしてもいいかな?」
「?どうした?」
「カエデと一緒に…この世界を満喫してみたいなって」
「…構わないけど。俺と一緒に行動するなら、それなりの覚悟がいるかもだけど」
「その時はカエデが守ってね」
「勝手に決めやがって…。わーっだよ守ってやろうじゃねえか」
「カエデ…少しそのままでいてね」
そう言ってサチは横からカエデに手を回す。横から抱きついた形だ。そして声をあげて泣いた。恐らく色々自分で溜め込んでたものを話すことができて、箍が外れたのだろう。堰を切ったように涙が溢れている。雲ひとつない夜空から仮想の月が照らす夜。月の光がとある大きな橋を照らしてできた影。人1人いない夜中に、彼女は恐怖を乗り越えた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
サチを説得して家に帰した次の日。
「おまっ!本気かサチ!?」
「うん。もう決めたよ」
「その決心は変わらないんだな?その、『
「変わらない。昨日わかったんだ。戦う力はなくても戦えるって。ケイタたちには迷惑かも知れないけど、私は決めたよ」
「そうか…。俺たちも謝らなくちゃな」
「?なにを?」
「その…だな、お前にいろいろ無茶なこと言って悪かった。すまない。正直、お前に抜けられるのは戦力的にキツい。『月夜の黒猫団』は解散かもな…」
「!…ごめんなさい」
「別に謝ることじゃないさ。今まで内気だったサチが自分で決めたことだ。そうと決まれば全力で祝福しなくちゃな!そうだろ!みんな!」
「「「イェーーーイ!!!」」」
「でもみんなはこれから…」
「確かに『月夜の黒猫団』の存続はもう無理だろうな。でもそのくらいお前のことに比べたらどうってことないさ。それに俺たちはこれで終わりじゃない。そうだろ?」
「そうだね。みんなとはまた会えるよね」
「願わくば全員で、『リアルで』、会えたらいいな。じゃあサチ、今日の夜8時くらいにいつもの集まる場所に来てくれ。もちろんカエデも連れてな!じゃ後でな!」
「うん!」
その時のサチの顔はみていたケイタたち曰く「現実でも見たことがないくらいに輝いていた」そうだ。
テツオ達『月夜の黒猫団も解散か〜』
サチ「なんかごめんね」
ケイタ「いいって。サチのためだよ」
テツオ「気にしないでいいって」
他「もともと俺らが戦おうってのが無理があったんだよ」
神「よく考えたらお前らパソコン部とか言ってたな」
黒猫団(元)「そだね」
神「とどのつまり陰キャラの集まり……?」
黒猫団(元)「グハッ(吐血)!!」
カエデ「やめたげて?!神様!」
勢いで書いて気づいたらフラグのような何かが立っていた。恋愛フラグにする予定はない(恋愛フラグにしないと入ってない)。