Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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今年最後の更新となります。
2018年も色々ありました。
来年の2019年もFate/Zexal Orderを頑張って更新していくのでよろしくお願いします。


ナンバーズ98 恋に堕ちた聖女

監獄塔の第四の裁きの間の支配者として現れたルーラーとそれに付き添う形で現れたジル。

 

しかし、ルーラーはアヴェンジャーを止めるために無理矢理監獄塔へ入り込んで現れたが……。

 

「ルーラー……」

 

「ジーク君……」

 

一緒に召喚されて少し離れた場所にいたジークと再会した。

 

そして、そのジークに想いを寄せているルーラーはジークからの告白を受けて既にメロメロになっている。

 

「貴様ァアアアアアッ!よくも我が聖女を誑かしたな!!」

 

ジルはキャスターの時のように目玉が飛び出るように目を見開いていた。

 

崇拝する聖女であるルーラーが突然現れた謎の男に告白されてまるで恋する乙女のような反応しており、ジルは怒りを露わにした。

 

そんなジルに対し、遊馬はジークへの誤解を解くように話し出す。

 

「何言ってるんだよ、ジル。寧ろジークを誑かしたはルーラーの方らしいぜ」

 

「ゆ、遊馬さん!??」

 

「馬鹿な!聖女がそんな売女みたいな真似は絶対にしない!!」

 

「だって、ルーラーは聖杯大戦中の合間にジークとデートしてるし……」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!?どこでそれを聞いたのですか!?」

 

「この前のロンドンでアストルフォが言ってた」

 

「ア、ア……アストルフォのバカァアアアアアッ!!」

 

あの理性蒸発の騎士の口の軽さにルーラーは顔を真っ赤にし、怒りを込めて天井に向かって叫んだ。

 

「あの聖女が誰か知らんが他人を罵倒した……?」

 

アヴェンジャーはルーラーの聖女とは思えない他人を罵倒する姿に唖然とした。

 

ロンドンにてアストルフォは遊馬に聖杯大戦中のジークとルーラーのあれこれをこっそりと話していたのだ。

 

そして遊馬は無自覚に更にルーラーを追い詰める発言をする。

 

「それに、ルーラーはジークに愛の告白をしていたぜ」

 

その衝撃の一言にジルは更に追い詰められる。

 

「なっ……!?馬鹿な!ジャンヌが、あのジャンヌがその男に愛の告白だと!??」

 

「ままま、待ってください!私が愛の告白など……」

 

ルーラーは顔を真っ赤にして全力で視線を逸らして否定するが、遊馬は空に耳打ちをする。

 

「……空、悪いけどこの台詞を言ってくれるか?ゴニョゴニョ……」

 

「ふむふむ……良いわよ。それでは、コホン……」

 

遊馬から耳打ちで聞いた台詞を空は演技するように思いを込めて口にする。

 

「『私はあなたに、恋をしています』……こんな感じかしら?」

 

それはルーラーが謎の花畑でジークに告白した際の台詞だった。

 

しかも空はルーラーと同じ声なのでほぼ100パーセントの再現なのでルーラーは顔を手で覆いながら悲鳴をあげる。

 

「イヤァアアアアアッ!??ど、どうして遊馬さんがそれを知っているのですか!?あの時、あの場所には私とジーク君以外誰もいなかったはずですよ!??」

 

「あー、何かロンドンに行く前に夢を見てさ。綺麗な花畑でルーラーがジークに告白したのを見ちゃったんだ。ごめんな」

 

「あうっ……そんな、まさか遊馬さんに夢見の力があったなんて……」

 

とても信仰者とは思えない恋する乙女の行動を暴露され、ジャンヌは頭から湯気が出るほどに体の熱が高まり、顔を更に真っ赤にしている。

 

「ジークはルーラーと下がってろ!この裁きの間の戦いは誰も傷つけずに勝つ!!」

 

「ま、待ってください!私はアヴェンジャーを……」

 

「ジーク!ルーラーを確保するんだ!!どんな手を使っても構わん!!」

 

アストラルが声を上げて叫ぶようにジークに命令を下す。

 

「分かった!!」

 

どんな手でもと言われ、ジークは素直に頷いて行動に移す。

 

ルーラーはジークよりも身体能力はとても高く、普通に拘束していたら振り払われるのは必至。

 

どうすればルーラーを無力化出来るか……ジークは数秒間考え抜いた答えは……。

 

「ルーラー!すまない!!」

 

「えっ!?キャッ!??」

 

ジークはアヴェンジャーの元へ行こうとするルーラーを後ろから抱きしめた。

 

「ジジジ、ジーク君!??」

 

後ろから抱きしめられたルーラーは再び顔を真っ赤にし、旗を落としてしまい、動けなくなった。

 

愛するジークから初めて後ろから強く抱きしめられ、ルーラーは体の力が抜けて振り払うことが出来ない。

 

「すまない、ルーラー。このまま俺の胸の中にいてくれ」

 

「ですがアヴェンジャーは……」

 

「大丈夫だ」

 

「えっ……?」

 

「アヴェンジャーは俺から見ても不気味で何をするか分からない。だけど、ユウマなら……俺たちのマスターが止めるべきだと思う」

 

「ジーク君……」

 

「ルーラー、俺は君とは戦いたくない。もう君とは一瞬でも離れ離れになりたくない。だから……俺とこのまま一緒にいてくれ」

 

「は、はい……ジーク君……」

 

このままジークにずっと抱きしめて欲しい、耳元で囁いて欲しい……ルーラーはそういう気持ちになってしまった。

 

「よし、上手くいったな!」

 

ルーラーの無力化作戦にアストラルはガッツポーズをする。

 

一見、ルーラーは能力的にも精神的にも強いサーヴァントだが、唯一の弱点がある。

 

その唯一の弱点こそがジークであり、ジークをルーラーにぶつければ精神的に追い詰め、確実に無力化出来ると確信した。

 

「……あれはもうオルレアンの聖女ではないな。あの娘も一人の人間だったということか……」

 

アヴェンジャーはルーラーを鉄壁の自尊心と鋼の如き信仰を持つ『人間要塞』だと思っていたが、そんなものはただの一面に過ぎず実際はジークと言う一人の男との大きな愛を求める少女に過ぎなかった。

 

「おのれ、ジャンヌを誑かす大罪人め、貴様だけは絶対に許さん!!」

 

ジルは何としてでもジャンヌを誑かす存在であるジークを倒そうとした。

 

しかし、それよりも早くアヴェンジャーが間合いに入り込んで殴り飛ばす。

 

「マスターよ!本当に殺さずに倒す方法があるのなら早く試すが良い!」

 

「アヴェンジャー?」

 

「お前の戯言が本当に出来るのかどうか、やって見ろ!」

 

「分かったぜ、見せてやるぜ!俺たちの力を!アストラル!」

 

「ああ!遊馬!」

 

アストラルはカードを取り出して遊馬に投げ渡し、遊馬はデッキからカードを5枚手札にする。

 

「行くぜ、俺のターン、ドロー!魔法カード『オノマト連携』!手札を一枚墓地に送り、デッキから『ガガガクラーク』と『ドドドバスター』を手札に加える!自分フィールドにモンスターがいないとき、手札から『ドドドバスター』を特殊召喚し、レベルを4にする!」

 

遊馬がこれから召喚するナンバーズは召喚条件は少々大変なので色々用意しながら展開していく。

 

「更に『死者蘇生』で墓地から『ガガガマジシャン』を特殊召喚!ガガガマジシャンの効果でレベルを8にする!そして、自分フィールドにガガガモンスターがいる時、手札から『ガガガクラーク』を特殊召喚!!」

 

3体のモンスターが並ぶがレベルは異なり、このままではエクシーズ召喚は出来ないが高ランクエクシーズ召喚を行える切り札がある。

 

「そして、魔法カード『ギャラクシー・クィーンズ・ライト』!自分フィールドのレベル7以上のモンスターを選択し、自分の全てのモンスターのレベルを統一させる!レベル8のガガガマジシャンを選択し、ドドドバスターとガガガクラークのレベルを8にする!これで全て揃った!」

 

レベル8のモンスターが3体揃い、遊馬は先ほどアストラルから受け取ったカードを掲げる。

 

「俺はレベル8のガガガマジシャンとドドドバスターとガガガクラークでオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

レベル8のモンスター3体をオーバーレイして召喚されるのはナンバーズの中でも特殊な力を持つ大型モンスター。

 

「力を借りるぜ、Ⅳ……トーマス!運命を司る獅子よ、王者の風を吹かせ、勝利の剣を振り下ろせ!!」

 

裁きの間に地響きが鳴り、光の中から巨大な影が出て来る。

 

「現れよ!!『No.88 ギミック・パペット - デステニー・レオ』!!!」

 

現れたのは巨大な玉座に座り、大剣を持ち、獅子の顔を持つ巨大ロボットのような姿をしたモンスター。

 

右肩のプロテクターに『88』の刻印が刻まれ、マントと肩掛けを羽織り、その堂々たる姿はまさに王者であった。

 

そのモンスターはトロン一家の次男、Ⅳ……トーマス・アークライトの持つギミック・パペットシリーズの真の切り札である。

 

「デステニー・レオの効果!自分フィールドに魔法と罠が無い時、オーバーレイ・ユニットを一つ使い、デスティニー・レオにデステニー・カウンターを一つ置く!」

 

デステニー・レオの大剣の宝玉にオーバーレイ・ユニットを一つ取り込ませると、デステニー・レオの体が輝き出す。

 

「カードを一枚伏せ、ターンエンド!」

 

デステニー・レオの効果を使った後に魔法・罠にカードをセットし、遊馬は戦闘を行わずにエンド宣言した。

 

ジルはデステニー・レオが攻撃してこなかった事に疑問を抱いた。

 

王者の風格を持ち、見事な大剣を持ちながら攻撃しなかった……絶対に何か裏がある、このまま残していたら間違いなくまずい事になる。

 

ジルは最優先でデステニー・レオを倒すことを決め、宝具を発動する。

 

「今こそ進軍の時!『神聖たる旗に集いて吼えよ(セイント・ウォーオーダー)』!!」

 

かつてジャンヌと共に戦っていた時の最も輝いていた頃の自分を再現する宝具。

 

デステニー・レオの間合いに一瞬で入り、剣を振りかざす。

 

「罠カード!『攻撃の無敵化』!デステニー・レオはこのバトルフェイズ中、戦闘及びカードの効果では破壊されない!!」

 

デステニー・レオを守るように風が吹き荒れ、破壊を免れるがジルの剣が届いて遊馬にダメージが与えられる。

 

「この程度のダメージならなんともないぜ!」

 

デスティニー・レオの攻撃力は3200。

 

ジルの攻撃によるダメージはかなり低く、遊馬は踏ん張って耐えることができた。

 

「行くぜ、俺のターン、ドロー!デステニー・レオの効果!オーバーレイ・ユニットを使い、デステニー・カウンターを置く!!」

 

デステニー・レオに二つ目のデステニー・カウンターを置き、更に輝きを増す。

 

「そして、魔法カード『強欲で貪欲な壺』!デッキからカードを10枚裏側で除外し、2枚ドロー!よし、カードを1枚伏せてターンエンド!!」

 

遊馬のターンが終わり、次が最大の山場。

 

ここでジルを抑えればこの第四の裁きの間の戦いが終わる。

 

ジルは何とかしてデステニー・レオを倒す方法を考えたが自分の力では空を倒すことは出来ない。

 

ここは特攻してでもデステニー・レオを倒そうと考えたが……。

 

「罠カード!『威嚇する咆哮』!」

 

遊馬は更に上の一手を打っていた。

 

デステニー・レオは口を開けて獅子の咆哮を轟かせ、咆哮は衝撃波となってジルを動けなくした。

 

「威嚇する咆哮は相手の攻撃宣言を封じる罠カード」

 

「これでジルはもう攻撃出来ない!」

 

遊馬のデッキはサーヴァントたちとの絆の証であるフェイトナンバーズを使用するようになってから仲間を破壊されないように以前よりも防御系の罠カードを多く採用するようになっていた。

 

それが功を奏してデステニー・レオの効果を発揮することが出来た。

 

「遊馬!決めろ!」

 

「俺のターン、ドロー!デステニー・レオの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、デステニー・カウンターを乗せる!」

 

デステニー・レオの最後のオーバーレイ・ユニットが使用され、デステニー・レオに最高の輝きが放たれる。

 

「この瞬間、デステニー・レオに3つのデステニー・カウンターが乗った!」

 

デステニー・レオに3つのデステニー・カウンターが乗った瞬間、玉座にずっと座っていた獅子の王者が目を輝かせながら立ち上がった。

 

「デステニー・レオにデステニーカウンターが3つ乗った時、このカードのコントローラーはデュエルに勝利する!!」

 

デステニー・レオはデュエルモンスターズの中でも数少ないカードの特殊な条件を満たすことで発動する『特殊勝利』を持つモンスター。

 

「この戦い……俺たちの勝利だ!デステニー・レオ!!」

 

デステニー・レオは大剣を掲げ、その刃に光を宿す。

 

その光はマスターである遊馬とアストラルに勝利を告げる輝き。

 

「輝け、勝利の剣閃!!ファイナル・デステニー・フラッシュ!!」

 

振り下ろした大剣から放たれた剣閃が裁きの間に広がり、光がこの場にいる全ての者を包み込む。

 

裁きの間に広がった数秒の閃光が消えると、奥の扉が静かに開いた。

 

裁きの間の敵であるルーラーとジルは無事で扉が開いたということはデステニー・レオの特殊勝利の効果が適用され、第四の裁きの間をクリアしたと言うことである。

 

「本当に殺さずに裁きの間を勝利するとは……」

 

アヴェンジャーはルーラーとジルを殺すことなく裁きの間をクリアすると豪語した遊馬とアストラルの言葉に半信半疑だったので、本当にデステニー・レオで勝利した事に驚きを隠せなかった。

 

「これが異世界から訪れ、世界の未来を取り戻す真の英雄の力か……」

 

遊馬とアストラルの更なる力の一片を垣間見たアヴェンジャーは驚きを通り越し、やがて畏怖の念を抱くようになる。

 

「まさか、私たちが負けるとは……くっ!」

 

ジルは何も出来ずに負けてしまい、悔しさのあまりその場に崩れ落ちて床を叩く。

 

そして、ルーラーの方に目を向けると、未だに背後からジークに抱き締められて動けずにいたルーラーの今まで見たことない姿にジルはため息をついて立ち上がる。

 

「……少年、ジークと言ったか?」

 

「ああ、そうだ」

 

「……本当にジャンヌを愛しているのだな?」

 

「そうだ。ルーラー……ジャンヌは俺が最も美しく、愛おしいと思っている大切な存在だ。絶対に離さない、俺が必ず守る」

 

ジークは二度と離さないと言わんばかりかなルーラーを強く抱きしめた。

 

ジークと更に体が密着し、ルーラーは体が蒸気が出そうな体温が高まり、顔を赤く染める。

 

「そうか……それなら、私はもう何も言わない。私の代わりに、ジャンヌを守り抜いてくれ」

 

ジークの想いと覚悟を知ったジルは満足したように目を閉じて笑みを浮かべ、静かに消滅していく。

 

「ジ、ジル!?」

 

「ジャンヌよ、あなたの隣に立つのは私ではない。あなたのそばに居る彼です。今度こそ幸せになってください」

 

ジルはジャンヌの幸せを願い、自分の存在は不要だと悟り、自ら身を引く道を選んで消滅した。

 

「ジル……」

 

ルーラーはジルの消滅を見届け、その想いを受け取り、自分の手をジークの手と重ねた。

 

「ルーラー、俺たちと……遊馬たちと一緒に行こう」

 

「私は……」

 

ルーラーは当初、アヴェンジャーを止めるために監獄塔へと入り込んだ。

 

しかし、アヴェンジャーを止めるのはルーラーではなく遊馬とアストラルの役目だと諭され、自分はどうすればいいのかと迷いが出来てしまった。

 

するとそこに凶悪な笑みを浮かべたアヴェンジャーが高笑いをしながら近づいてきた。

 

「ふはははは!なんとも無様な姿だな、ジャンヌ・ダルクよ!」

 

「くっ、アヴェンジャー……!」

 

「最早その姿はオルレアンの聖女ではないな。そうだな……ジークは確か邪竜の力を持っているのだな?さしずめ『邪竜の花嫁』とでも言っておこうか?」

 

アヴェンジャーにジークの花嫁と弄られてルーラーは精神が大きく乱れて焦り出す。

 

「ははは、花嫁!?だ、誰が花嫁ですか!?私はまだジーク君と結婚していませんよ!?」

 

「ほう、まだ?」

 

アヴェンジャーはルーラーの言葉にニヤリと笑みを浮かべた。

 

「はっ!?い、いえ!決してそんなつもりは……」

 

「ジャンヌ・ダルクよ!オレはお前を誤解していたようだ!神を信じて仕え、不屈の精神を持ちながらも、たった一人の男への深い愛を持つ!何と罪深いことか!!」

 

神に仕える人間は特定の人間を愛することをしてはいけないとされる。

 

しかし、ルーラーは神よりもジークと言う一人の男を愛することを選んでいる。

 

「誇れ!お前は聖女なのではない!お前も一人の人間だ!!」

 

アヴェンジャーはルーラーが人間としての当たり前の心、そして大罪を持つことを喜んだ。

 

「っ……」

 

アヴェンジャーの言葉はもっともであり、ルーラーの心に深く突き刺さった。

 

自分は神に仕えていたが、聖杯大戦でジークと出会い、最初は姉としてジークを守ろうと思った。

 

しかし、少しずつ成長するジークと共に同じ時間を過ごす内にルーラーはジークに惹かれ、やがて……一人の少女として恋をし、愛するようになってしまった。

 

ジークへの想いは日に日に大きくなり、抑え切れなくなっている。

 

すると遊馬は苦悩しているように見えるルーラーに対し諭すように言葉をかけた。

 

「いいじゃん、好きなら好きでさ」

 

「遊馬さん……?」

 

「人が人を想う気持ちは決して間違ってないし、当たり前のことだ。ルーラーが神に仕えていても、英霊だろうが、サーヴァントだろうが、そんなのは関係ない!」

 

遊馬は英霊を……サーヴァントを一人の人間として扱い、大切な仲間として想っている。

 

だからこそ、ジークとルーラーの仲を応援したい、二人の愛が成就する事を願っている。

 

二人それぞれの過去に何があろうともそんなことは関係ない、二人の未来を祝福したいのだ。

 

「ジーク、ルーラー。この監獄塔を脱出して俺が二人をカルデアで召喚したらさ……二人の結婚式を挙げようぜ?」

 

「はあっ!!???」

 

遊馬の爆弾発言にルーラーはこれまでにない程驚愕する。

 

「実はさ、カルデアに結婚しているけど、結婚式を挙げて無いサーヴァント……メディアって言うんだけど、その人の為に前々から結婚式を挙げてやりたいなって考えていたんだ」

 

メディアと宗一郎は冬木の第五次聖杯戦争で出会い、結婚して夫婦になったが結婚式を挙げていない。

 

それを聞いた遊馬はカルデアで小さくても結婚式を挙げられないかと考えてみんなに相談していたのだ。

 

もちろんメディアにはまだ内緒でまだ企画段階の話ではあるが。

 

「それでさ、ルーラーとジークも良かったらどうだ?」

 

「えっ!?いや!あの!わ、私とジーク君はその……」

 

「ユウマ、すまないがその話はすぐには決められない」

 

「そっか……悪いな、変な提案をしちゃって」

 

「いや、俺としては前向きに検討したい」

 

「ジーク君!??」

 

「ルーラー、以前君と街を歩いていた時に教会で行われていた結婚式を思い出した」

 

聖杯大戦中にジークとルーラーが街に出かけてデートしていた時に偶然行われていた結婚式で見たことを思い出した。

 

「結婚がどういうのが分からないが、ウェディングドレス……だったか?俺は君のあのドレス姿を見てみたい」

 

「ジ、ジーク君……」

 

「はははっ!オッケー!詳しい話はカルデアでやろうぜ!」

 

「こほん……さて、これで第四の裁きの間はクリアだ。次の第五の裁きの間へ行こう」

 

アストラルは咳払いをして話を切り替え、急いで次の裁きの間へ行くことを提案する。

 

「あ、そうだな。もう半分は過ぎたからもう少しだな」

 

「ルーラーは……ジーク、君がそのまま拘束した状態で連れてきてくれ。アヴェンジャー、構わないだろ?」

 

アストラルの提案にアヴェンジャーは意気揚々と答えた。

 

「良いだろう!恋に堕ちた聖女の姿を見るのはなんとも愉快な光景だろうか!」

 

「本当に面倒な人ね……」

 

「あはは……」

 

アヴェンジャーの曲がりくねった性格に空とメルセデスは苦笑を浮かべた。

 

遊馬達は新たにルーラーを加えたパーティーで監獄塔を目指し、次なる裁きの間へと向かう。

 

 

 




デステニー・レオで裁きの間クリア!
特殊勝利なら倒さずにクリア出来ると思ったので採用しました。

今回監獄塔でジークとルーラーを出したのはアヴェンジャーにルーラー……ジャンヌの別の一面を見てもらいたかったからです。
アヴェンジャーが知っているのは人間要塞としてのルーラーですが、聖杯大戦を経てジークとの恋に目覚めて人間らしい一面が生まれたルーラーを知ってもらいたいなと思い、出してみました。

そして、カルデアで結婚式フラグが立ちました(笑)
もはやルーラーは逃げられないところまで色々と追い込まれましたな。

次回は第五と第六の裁きの間になると思います。
皆さん、良いお年をお過ごしください。

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