Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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これで羅生門編は終了です。
遅れて申し訳ありません、ラストの話なので少し長くなりました。
さて今回は茨木ちゃんは速攻片付けます。

新しく情報が出たナンバーズ、『No.97 龍影神ドラッグラビオン』
やべぇ、うちのドラゴン大好きレティシアちゃんが喜びそうなナンバーズですね。
ドラゴン族ナンバーズを何でも出せるって良いですね。
もしかして、これが原因でダークマターが犠牲に……?


ナンバーズ108 種族を超えた絆

茨木童子を止めるため、そして……金時が酒呑童子を取り戻すために遊馬達は再び羅生門へ向かう。

 

羅生門に到着すると待ち構えたかのように茨木童子が姿を現した。

 

「来たか、人間共よ。しかし、何度来ても無意味だぞ?」

 

「悪いがここで決着をつけさせてもらうぜ、茨木童子!」

 

「我々の全力を見せてやろう!」

 

遊馬とアストラルの決意が込められた瞳で茨木童子を見つめると、金時が静かに前に出る。

 

「悪ぃ、みんな。少し耳を塞いでくれ」

 

黄金喰いを担いでる金時に遊馬達は言う通りに自分の耳を両手で塞いだ。

 

すると、金時は大きく息を吸い込み、腹に力を込めて口を開いた。

 

「酒呑ぇん!!!」

 

「な、何だ!?」

 

突然の金時の大声に茨木童子は目をパチクリさせた。

 

「てめぇ、そんなところで何のんびりと眠ってやがるんだ!!それでもてめぇは鬼の首領か!?オレが認めたライバルかよ、おいっ!!いい加減目を覚ましやがれ、この馬鹿野郎が!!!」

 

金時は眠らされている酒呑童子に向かって言葉を送り続けた。

 

すると、僅かだが眠っている酒呑童子の体がピクッと動き、小さく口を開いた。

 

「小僧……」

 

それは酒呑童子が生前から金時のことをそう呼んでおり、久しぶりにその声を聞いて金時は小さく笑みを浮かべた。

 

「ケッ……やっぱり動けねぇか。それなら仕方ねえ、てめぇはそこで待ってろ!!とっとと茨木をぶっ飛ばして、てめぇを起こしてやるよ!!」

 

まるで囚われの眠り姫を起こすような光景に茨木童子は声を荒げた。

 

「小僧!何故酒呑を取り戻そうとする!貴様らが、あの時騙し討ちをして貴様自身の手で酒呑の首を切ったことを忘れたのか!?」

 

「忘れてねえよ。いや、忘れることなんて出来るはずがねえ。だけどな、ここにいる大将のお陰でちったぁ吹っ切れた。てめぇをぶっ飛ばしてに酒呑を取り戻す。恨み言なら幾らでも聞いてやる、オレの血や肉が欲しいならくれてやる、一緒に酒が飲みてぇなら付きやってやる……大将が導いてくれた未来、そいつに賭けてみたいんだよ!!」

 

金時の酒呑童子と共に歩む未来への決意に遊馬とアストラルが隣に立つ。

 

「ゴールデンは過去と向き合って、未来を向いてここにいるんだ!」

 

「都を救う、そして酒呑童子を助ける……その想いがゴールデンの魂を奮い立たせている!」

 

「俺は……ゴールデンのマスターとしてその想いに応える!行くぜ、アストラル!」

 

「茨木童子よ、見るがいい!これが私と遊馬の……精霊と人間の種族を超えた絆が合わさった無限の力だ!!」

 

遊馬とアストラルは拳を重ねて上に掲げる。

 

「俺自身と!」

 

「私自身で!」

 

「「オーバーレイ!!」

 

二人の姿がそれぞれ赤と青の光に包まれて天に昇る。

 

「な、何だ!?何が起きている!?」

 

茨木童子は遊馬とアストラルの予想外すぎる行動に固まってしまい、動けなくなった。

 

「「俺/私達二人でオーバーレイ・ネットワークを再構築!」」

 

赤と青の光に包まれた遊馬とアストラルが二重螺旋のように絡み合い、一つに重なると同時に金色の光を放ちながら落下し、人と精霊の種族の壁を超えた最強の戦士が誕生する。

 

「「エクシーズ・チェンジ!ZEXAL II!」」

 

人と精霊が合体し、新たな姿へと進化したことにより茨木童子はこれまでにないほど驚愕した。

 

「ば、馬鹿な!?貴様、何だその姿は!?人と精霊が合体……あり得ぬ!!人如きが神の領域に踏み込んだと言うのか!??」

 

ZEXAL IIから感じられる神に等しいその力に茨木童子は畏怖の念を抱いた。

 

一方、味方側で初めて遊馬とアストラルの合体を見る紫式部は口元を押さえて驚いていた。

 

「遊馬様、アストラル様……あなた方は一体……」

 

二人が強い絆で結ばれた相棒だとは知っていたが、まさか文字通りに合体するほどのものだとは思わなかった。

 

すると、ZEXAL IIの力に察知したのか、その力を喰らおうと都中の妖怪達が集まってきた。

 

「遊馬君とアストラルさんの邪魔はさせません!」

 

「大将!雑魚は任せな!!」

 

「ああ!ゴールデン、耳は澄ませておけ」

 

「タイミングは我々が見極める」

 

「おう!そっちは任せたぜ!!」

 

マシュはZEXAL IIの守りに徹し、金時を筆頭に集まってきた妖怪を退治していく。

 

「「行くぞ、茨木童子!!」」

 

ZEXAL IIは右手を輝かせてデッキトップを金色に染める。

 

「「俺/私のターン!全ての光よ、力よ!我が右腕に宿り、希望の道筋を照らせ!シャイニング・ドロー!魔法カード『おろかな埋葬』!デッキからモンスターを墓地に送る!デッキから『ガガガマジシャン』を墓地に送る!『ガガガシスター』を召喚!デッキからガガガと名のついた魔法・罠を手札に加える!『ガガガリベンジ』を加え、発動!墓地からガガガマジシャンを特殊召喚し、このカードを装備する!」」

 

ガガガシスターとガガガマジシャンが瞬時に立ち並び、これで大半のナンバーズを呼び出せるが、ZEXAL IIは更にここから一手間を加えて出しにくい部類のナンバーズを呼び出す。

 

「「ガガガマジシャンの効果でレベルを8から3にする!ガガガシスターの効果、ガガガシスターとガガガマジシャンとレベルを合計する!これでガガガマジシャンとガガガシスターのレベルは5!そして、フィールドにガガガモンスターがいる時、手札から『ガガガキッド』を特殊召喚!ガガガキッドの効果、ガガガモンスターと同じレベルとなる!これでレベル5のモンスターが3体!!」」

 

レベル5のガガガモンスターが3体揃い、ナンバーズの中でも特殊な力を持つモンスターを呼び出す。

 

「「レベル5のガガガマジシャン、ガガガシスター、ガガガキッドでオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!!」」

 

『『『ガガガッ!!』』』

 

ガガガモンスター達が光となって地面に吸い込まれ、光の爆発を起こす。

 

「「超然なる神の鎧を纏いし悪魔よ、世界を震撼させよ!」」

 

爆発の中から竜巻が吹き荒れ、まるで巨大な城のような形をした物体が現れる。

 

「「現れよ!『No.53 偽骸神(ぎがいしん)Heart-eartH(ハート・アース)』!」」

 

それは神の骸を肉体にした悪夢の巨人。

 

その中央には心臓部である球体があり、僅かに心臓のような鼓動を響かせていた。

 

「「ガガガリベンジの効果!エクシーズ素材となって墓地に送られた時、自分フィールドのモンスターエクシーズの攻撃力は300ポイントアップする!」」

 

ガガガリベンジの効果でHeart-eartHの攻撃力は上昇したが……。

 

「くははははっ!何じゃその奇怪な物の怪は?まるで力のない見掛け倒しではないか!」

 

Heart-eartHの元々の攻撃力は僅か100。

 

ガガガリベンジの効果で強化されても400にしかならない。

 

見た目に反して攻撃力があまりにも低いことに茨木童子は油断して大笑いをし、右腕を構える。

 

「すぐに壊してやろう……羅生門大怨起!」

 

羅生門大怨起で破壊してその力を奪う。

 

その考えで攻撃をしたが……それはあまりにも浅はかな考えだった。

 

「「Heart-eartHの効果!1ターンに1度、このカードが攻撃対象に選択された時、Heart-eartHの攻撃力はエンドフェイズ時までその攻撃モンスターの元々の攻撃力分アップする!迎え討て、フェイク・バーン!!」」

 

Heart-eartHの目が怪しく輝くと中央の炎に包まれた球体が燃え上がり、羅生門大怨起を弾き飛ばす。

 

「にゃんとォ!?ぬぉおおおっ!?」

 

弾き返された羅生門大怨起に茨木童子は驚愕しながらスレスレで回避し、右腕を自分の体に戻すがその直後にHeart-eartHの球体から放たれた光線を受けて吹き飛ばされる。

 

「くっ……油断した。まさかこれほどの力を秘めているとは……だが、吾は大江山の鬼の首魁……この程度で敗れる訳にはいかん!」

 

茨木童子は鬼の骨を地獄の業火よりも強い炎で数百年鍛えられた大業物……無銘の骨刀を構えてその身に炎を纏う。

 

「羅生門大怨起を弾き返したのは見事。だが、その物の怪の力の源、見破ったぞ!」

 

「「何?」」

 

茨木童子は不敵の笑みを浮かべた瞬間、目にも留まらぬ速さでHeart-eartHの間合いに入ると骨刀を振るい、Heart-eartHの周囲を纏うように飛ぶオーバーレイ・ユニットを切り裂いた。

 

「っ!?オーバーレイ・ユニットが!?」

 

「モンスターエクシーズの力の源、オーバーレイ・ユニットを直接狙ってきたか!」

 

モンスターエクシーズの効果を発揮するための力の源、オーバーレイ・ユニット……それを直接狙って破壊してきたのは初めてだったのでZEXAL IIは驚きを隠せなかった。

 

一瞬で3つのオーバーレイ・ユニットを切り裂いて破壊した茨木童子は勝利を確信して右腕をHeart-eartHの球体に向けた。

 

「これで終わりだ!走れ、叢原火!!」

 

近距離で羅生門大怨起を放ち、巨大化した手でHeart-eartHの球体を掴む。

 

Heart-eartHには破壊される代わりにオーバーレイ・ネットワークを取り除く破壊耐性効果があるが、怨念の鬼火である叢原火により球体が燃やされながら握り締められる。

 

Heart-eartHの心臓部でもある球体は破壊され、ZEXAL IIの前に無残な骸の残骸が転げ落ちる。

 

「さあ、次は貴様らだ……金時を殺す前にその魂ごと喰い殺してやろう!」

 

鬼としての凶悪な笑みを浮かべてZEXAL IIを恐れさせようとしたが……。

 

「「……それはどうかな?」」

 

ZEXAL IIは一切動じずに不敵な笑みを浮かべた。

 

「何!?」

 

破壊されたHeart-eartHの残骸が光を帯びて宙に浮き、収束されて一つの大きな光の塊となる。

 

ZEXAL IIはエクストラデッキから光り輝く新たなカードを掲げ、Heart-eartHの最後の効果を発動する。

 

「「Heart-eartHの最後の効果!オーバーレイ・ユニットの無いこのカードが効果によって破壊された時、墓地のこのカードをエクシーズ素材として、エクストラデッキからこのモンスターをエクシーズ召喚扱いで特殊召喚出来る!!」」

 

Heart-eartHの上に光り輝くカードを重ねると、残骸が天に昇って光の爆発を起こす。

 

「「偽りの骸を捨て、神の龍となりて降臨せよ!!」」

 

光の中から細長い巨大な影が出てきてZEXAL IIの前に降り立つ。

 

「「現れよ!『No.92 偽骸神龍(ぎがいしんりゅう)Heart-eartH Dragon(ハート・アース・ドラゴン)』!」」

 

現れたのは巨城の悪魔から全てを滅ぼす神の龍へと転生した最凶のナンバーズ。

 

「ばばば、馬鹿な!?りゅ、龍だと!?き、貴様ら、龍を使役しているのか!??」

 

鬼でも恐れをなす神の如き力を持つ龍をも使役するZEXAL IIに流石の茨木童子も恐れが出てき始めた。

 

「魔法カード『強欲で貪欲な壺』!デッキトップからカードを10枚除外し、デッキから2枚ドローする!ダブル・シャイニング・ドロー!!」

 

新たにドローした2枚のカードを見てZEXAL IIは小さく笑みを浮かべ、すぐにフィールドにセットした。

 

「「カードを2枚伏せる……ゴールデン!!」」

 

「おっしゃあ!行くぜ!!」

 

ZEXAL IIの呼び声にゴールデンは瞬時に反応して走り出す。

 

「金時さん!」

 

「サンキュー、嬢ちゃん!!」

 

マシュは金時に向けて盾を斜めに構えると、金時は軽くジャンプして盾の上に乗る。

 

そして、マシュは全身の力を振り絞って盾を上へ振るい、それと同時に金時は盾を足場にして高くジャンプした。

 

金時の狙い……それは眠っている酒呑童子を奪う事だった。

 

「まさか!?そうはさせるか!!」

 

茨木童子は金時の狙いに気付いて右腕を構えるが、その瞬間にZEXAL IIがセットした罠が発動する。

 

「「罠カード『立ちはだかる強敵』!!相手の攻撃宣言時、自分フィールド上の表側表示モンスター1体を選択する、Heart-eartH Dragonを選択!相手は選択したモンスターしか攻撃対象に出来ず、全ての表側攻撃表示モンスターで選択したモンスターを攻撃しなければならない!!」」

 

金時に向けた右腕が無理矢理Heart-eartH Dragonに向けられてしまった。

 

「ぬおっ!?こ、小僧に攻撃が出来ない……!?」

 

茨木童子自身がどうする事も出来ず、今が最大のチャンスだった。

 

「「行け、ゴールデン!!」」

 

「おうっ!黄金衝撃!!」

 

金時は黄金喰いを発動してカートリッジを消費して雷撃で周囲の闇を吹き飛ばす。

 

そして……金時は宙に浮いている酒呑童子を無理矢理抱き寄せる。

 

金時は片腕で酒呑童子を抱き抱えながら地面に降り、ZEXAL IIの元へすぐに戻る。

 

「酒呑!酒呑!おい、お前!目を覚ましやがれ!!」

 

金時が必死に酒呑童子の名前を呼ぶと、ゆっくり目を開けた。

 

「なんや、夢を見ているようやわ……うち、小僧に抱きかかえられてるわ……」

 

「……意識だけは戻ったようだな」

 

「何があったか分からんけど……今の小僧、良い顔してるわ。ありがとうな……」

 

「……おう」

 

酒呑童子は出来るだけ笑顔を見せ、力を振り絞って金時の顔に手を添えて頬を撫でた。

 

酒呑童子を奪われ、その悔しさから茨木童子は歯が砕けそうになるまで強く噛み締めた。

 

「おのれ……よくも酒呑を……!」

 

「「茨木童子、バトル続行だ!Heart-eartH Dragonは戦闘では破壊されず、このカードの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは相手が受ける!」」

 

「くっ、やはりそやつも前のと似た力を持っていたか!それなら!」

 

茨木童子はダメージを受けるなら最小限が良いと判断し、骨刀で軽く斬るだけにした。

 

Heart-eartH Dragonの元々の攻撃力はゼロなのでその判断は正しく、茨木童子も多少の切り傷がついた程度で終わった。

 

しかし、ZEXAL IIの目的は茨木童子の攻撃を引きつけるだけでなく、もう一つの目的があった。

 

「「バトル終了と同時に更に罠カードオープン!『デストラクト・ポーション』!自分フィールド上に存在するモンスター1体を破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分だけ自分のライフポイントを回復する!Heart-eartH Dragonを破壊!!」

 

Heart-eartH Dragonが爆発を起こして破壊される。

 

「自ら龍を殺した!?」

 

元々の攻撃力がゼロなのでZEXAL IIのライフを回復することは出来ない。

 

しかし、ZEXAL IIはHeart-eartH Dragonを破壊する事が狙いだったのだ。

 

「「この瞬間、Heart-eartH Dragonの効果!オーバーレイ・ユニットを持ったHeart-eartH Dragonが破壊された場合、このカードを墓地から特殊召喚する事が出来る!蘇れ、Heart-eartH Dragon!!」」

 

『グォアアアアアアアッ!!!』

 

ZEXAL IIの前に巨大な魔法陣が現れ、中からHeart-eartH Dragonが咆哮を轟かせながら現れた。

 

「「そして、この効果で特殊召喚した時、Heart-eartH Dragonの攻撃力はゲームから除外されているカードの数×1000ポイントアップする!」」

 

「除外……?ハッ!?まさか、さっきのあれは……!??」

 

「「そう、強欲で貪欲な壺はデッキトップからカードを10枚を除外している。つまり、Heart-eartH Dragonの攻撃力は10×1000で10000となる!!」」

 

Heart-eartH Dragonの攻撃力が0から一気に10000へと急上昇し、その身から溢れる力の気に集まってきた妖怪達も恐れをなして一気に逃げ出した。

 

「大将!このまま一気に決めちまえ!」

 

「ああ!アストラル!このターンで決めるぞ!」

 

「当然だ!勝利の方程式は全て揃った!」

 

ZEXAL IIは再び右手を金色に輝かせる。

 

このターンで茨木童子を必ず倒す……その思いを込めてデッキトップに指を添える。

 

「「俺/私のターン!全ての光よ、力よ!我が右腕に宿り、希望の道筋を照らせ!シャイニング・ドロー!魔法カード『ガガガドロー』!墓地のガガガモンスター3枚を除外して2枚ドローする!墓地のガガガマジシャンとガガガシスターとガガガキッドを除外して、2枚ドロー!セカンド・ダブル・シャイニング・ドロー!」」

 

Heart-eartHを召喚するために呼び出したガガガモンスター達の魂がデッキに宿り、2回目のダブル・シャイニング・ドローを決め、ZEXAL IIは勝利の方程式を解く最後のカードを手にした。

 

「「ゴブリンドバーグ』を召喚!その効果で手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚する事が出来る!来い、『ゴゴゴゴーレム』!レベル4のゴブリンドバーグとゴゴゴゴーレムでオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れよ、『No.39 希望皇ホープ』!!」」

 

『ホォオオオオオープ!!』

 

希望皇ホープが降り立ち、ここにナンバーズ最強の戦士と最凶の神龍が並び立つ。

 

そして、希望皇ホープを最強の雷神へと進化させる。

 

「「そして、希望皇ホープをエクシーズ素材とし、このモンスターをエクストラデッキから特殊召喚!希望皇ホープ、ランクアップ・シャイニング・エクシーズ・チェンジ!!」」

 

希望皇ホープは金色の光となって天に昇り、光の爆発を起こして遊馬とアストラルの前に降臨する。

 

「「一粒の希望よ!今、電光石火の雷となって闇から飛び立て!現れろ!『SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング』!!」」

 

それは金時の電撃で覚醒した雷神の力を秘めた攻めに特化した希望皇ホープ・ザ・ライトニング。

 

「龍の次は雷神だと……!?何なんだ……!?貴様らは、一体何なんだ!??」

 

Heart-eartH Dragonに希望皇ホープ・ザ・ライトニング……妖怪でもここまでの力を秘めている存在はそうはいない。

 

それらを使役するZEXAL IIに茨木童子は恐怖で顔が崩れていく。

 

「「俺/私達は決闘者で、世界の未来を救う最後の希望の光だ!!まずはHeart-eartH Dragonで攻撃!ハートブレイク・キャノン!!!」」

 

『グァアアアアアアアッ!!!』

 

攻撃力が10000にまでに上昇したHeart-eartH Dragonの竜の咆哮が轟き、口から禍々しい赤黒い光線を放ち、茨木童子を吹き飛ばして大ダメージを与える。

 

「ガハッ!?」

 

茨木童子はすぐに撤退しようとしたが、雷神と化した希望皇ホープ・ザ・ライトニングの前には無力となる。

 

「「これで決める!希望皇ホープ・ザ・ライトニングで攻撃!この瞬間、希望皇ホープ・ザ・ライトニングの効果!戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで効果を発動できない!!」」

 

希望皇ホープ・ザ・ライトニングから雷撃が放たれ、それを受けた茨木童子の体が動かなくなっていく。

 

「吾の、酒呑の、鬼の力が……!?」

 

鬼の力を封じられ、茨木童子は完全に逃げられなくなってしまう。

 

「「更に!希望皇ホープモンスターがオーバーレイ・ユニットとなっている場合、バトル時にオーバーレイ・ユニットを2つ使い、攻撃力を5000にする!!ライトニング・オーバー・チャージ!!」」

 

希望皇ホープ・ザ・ライトニングは両肩の大剣を引き抜いて構え、2つのオーバーレイ・ユニットを刃で斬って取り込ませ、その攻撃力を5000にまで上昇させる。

 

「「ホープ剣・ライトニング・スラッシュ!!!」」

 

雷神の一撃で茨木童子は吹き飛ばされ、地面に転がり落ちる。

 

怒濤の連続攻撃により流石の茨木童子も起き上がる事は出来なかった。

 

戦いが終わったと確信し、ZEXAL IIは合体を解除し、遊馬とアストラルに戻った。

 

「やっ……やりました!無限かと思えるほどの体力でしたが……ついに!あれは致命傷です!」

 

マシュはZEXAL IIが……遊馬とアストラルが茨木童子を追い詰めて喜びの声を上げた。

 

「何故だ……今の吾は鬼の王、英霊とはいえ、人如きに敗れる筈が……!」

 

酒呑童子の力を得た茨木童子は確かに強力となったが、それでも敗れてしまったことに信じられなかった。

 

「バカ言ってんな茨木。テメェは鬼の王なんかじゃねえ。王になり損ねた、ただの童だ。最後まで根性が足りなかった、な」

 

茨木童子の性格を知っている金時は勝てなかった理由の一つを教える。

 

「何だと!?吾の何処が根性無しだと!?」

 

「言われなきゃ分かんねえのか?仕方ねえ、おう大将、いっちょ言ってやんな」

 

金時に言われ、遊馬とアストラルはビシッと茨木童子を指差しながら答えた。

 

「「茨木童子、お前/君は酒呑童子を食べてない」」

 

そう……茨木童子は酒呑童子を食べていない。

 

他人から力を得る方法は様々あるが、手っ取り早く確実なのは対象の存在を取り込んで肉体と魂を己の力にすることだ。

 

「ガ──!?き、きさま、人間……精霊……ッ!怖ろしいまでに残酷なことを口に……!」

 

二人に指摘された事実に茨木童子は雷を受けたような衝撃を受けて体が固まった。

 

「酒呑を食べる、とはあくまで例え話に過ぎぬ!それを、事も容易げに……吾が、酒呑を食べられるものか──!尊敬する酒呑には傷一つ付いておらぬわ、たわけ!そもそも後が怖い!殺されるに決まっておる!」

 

「茨木はこういうヤツなんだよ」

 

先ほどまで凶悪な鬼として頑張っていたが、敗北した途端に、本来の性格が浮き出てしまった。

 

「うん、なんて言うか……小ちゃいって言うか……」

 

「チキンとも言えるな……」

 

「ち、小ちゃいだと!?それに精霊の方はよく分からぬが酷い屈辱を受けているのだけは感じ取れるぞ!!」

 

「だってさ、普通力を取り込むなら魂と肉体ごと全部だよな?ベクターとかはそうしてたし……」

 

「つまりそうしなかったと言うことは、君にそれほどの覚悟はなかったと言う訳だな……」

 

「誰の話をしておる!?それに吾の何処が軟弱だと言うのだ!貴様ら、名を名乗れ!」

 

「俺?九十九遊馬」

 

「私はアストラルだ」

 

「ようし、覚えた。覚えたぞ人間と精霊!末代まで祟ってやるわ!存分に怖がるがいい!」

 

「──ほう?私はともかく遊馬を祟るとは許せないな」

 

アストラルが目を細めて静かな怒りの炎を灯すと、茨木童子の背後に剣を構えた希望皇ホープ・ザ・ライトニングと口を開いたHeart-eartH Dragonが忍び寄る。

 

「──遊馬君に指一本でも危害を加えたら許しません」

 

「──私は一方的な虐殺は嫌いだけど、大切な弟の命がかかっているなら許せないね」

 

そして、酒気で遊馬への思いが爆発しているマシュと武蔵も修羅の如き怒りを見せて茨木童子に盾と刀を向ける。

 

前門のマシュと武蔵、後門の希望皇ホープ・ザ・ライトニングとHeart-eartH Dragonに睨まれ、茨木童子は鬼らしからぬ涙目を浮かべて震えます。

 

「ヒイッ!?何故!何故、吾が怖れるのだ!?吾はこの日本の伝説の鬼だぞ!?数多の鬼を束ねる鬼の大将だぞ!?それが何故こんな風に怖れてるのだ!?」

 

「おーい、みんな。その辺にしておけよ。なんか見てるこっちが弱いものイジメをしている感じだから」

 

遊馬がみんなを抑えようとしたが、言葉の選び方が間違ったのか茨木童子はギロリと睨みつけて声を荒げた。

 

「き、貴様!?よ、弱いものイジメだと!?吾に対しよくもそのような……貴様、実は人間ではないだろ!?人の皮を被った鬼だ!!?」

 

「鬼って……俺は人間だぜ?」

 

「ふざけるな!精霊と、異形と合体する人間し、龍や雷神を使役する存在なぞ見たことがないわ!それにその赤い角は実は鬼の角ではないか!?」

 

遊馬の特徴的な髪型である尖った赤い大きなアホ毛のような髪……茨木童子はそれを鬼の角だと思った。

 

「そんな訳ないだろ、俺は人間だ。まあ、ちょっと特殊だけどな」

 

「ちょっとどころではないだろ!?くそっ!いいだろう、今回は吾の負けだ!だが吾の角はまだ折れていない!次こそ、吾への侮辱を後悔させてやる!!」

 

茨木童子は捨て台詞を残し、遊馬を睨みつけながら消滅した。

 

後には茨木童子のフェイトナンバーズが残り、遊馬はそれを拾い上げた。

 

「──茨木童子、完全撤退を確認。私たちの勝利です、遊馬君!アストラルさん!」

 

茨木童子を倒し、マシュは再び喜びの声を上げたが、未だに空は不気味な闇に覆われて酒気が広がっていた。

 

すると、酒呑童子の体が少しだけ光を帯びるとゆっくり目を覚ました。

 

「むにゃ……ん?んん〜?……おーおーおー!小僧やないの。久しぶりやなぁ。元気にしとったかぁ?」

 

酒呑童子の口から柔らかい京都弁の言葉が響き、金時は目線を逸らして髪をかきながら答える。

 

「……おう。目が覚めたみたいだな」

 

「何や、随分素直やなぁ?」

 

「そんなことはいいんだよ。テメェのそのザマは何だ?」

 

「何がやの?うちはうちやろ?この肌の白さも、胸の膨らみ加減も、尻の丸みも……全部、あんたが知っとうままやろ?──なんなら、もっとよく見せよか?」

 

ただでさえ露出度の高い衣装を着ている酒呑童子は金時に自分の肌をさらに見せようとしていた。

 

「み、見ねぇよ!テメェはどうしてそう明けっぴろげなンだよ!?」

 

「ゴールデン、やはり酒呑童子とそういう関係だったのか……」

 

「金時様……頼光様がお怒りになりますよ」

 

アストラルと紫式部は金時と酒呑童子の乱れた関係にジト目で見つめた。

 

「オレゃあいつも被害者じゃん!?つーかコイツは誰にでもそうだっつーの!ってか、香子様、頼光の大将には絶対に言わないでくれよ!絶対にあの人ブチ切れるから!いや、んな事よりもだなぁ!?茨木以上の鬼であるテメェが、なーんでただの小娘みてェになってんだって話だ!」

 

酒呑童子の今の力は酷く微弱なものとなっており、とても日本最強にして伝説の鬼の首領とは思えないものだった。

 

「あー、そやそや。なんや身体に力が入らんと思うたわぁ。どうも、うちの力の大半は茨木に吸われとったみたいやわぁ。こんなこと普段はあらしまへんのやけど」

 

「今までのことは……覚えてるんですか?」

 

「なんとなくは、なぁ。せやから知っとるよ。小僧がな、うちを必死に助けようとしたことも抱きかかえてくれた事もな?まあ、半分は夢うつつやったけども、囚われの姫さん気分を味わわせてもろうたえ。新鮮で、嬉しかったわぁ……そや、助けられた姫さんは、礼をするものやんなぁ……感謝の口づけでもしよか?ほら、んー……」

 

「スパ───クッ!!!」

 

酒呑童子が妖艶な笑みを浮かべて金時に口づけをしようとしたが、金時は全力で飛び離れて下がった。

 

「すごい飛び離れっぷりです!」

 

「ゴールデン、照れてるな」

 

「素直になれないんだろう」

 

「あん、いけず。逃げなくともよろしおすのに」

 

「えっと、酒呑童子。ゴールデンとイチャイチャしているのは良いんだけど、そろそろ事情を説明してくれないか?」

 

「イチャイチャしてねえよ!?」

 

「そやなぁ。いつまでも小僧と遊んどってもしゃあないか……案内しよか。ついてき」

 

酒呑童子は遊馬達を連れ、今回の酒気や茨木童子の暴走……全ての事件の元凶とも言える存在の元へと案内する。

 

「ほら。あんたはん達が探しとったんは、あれやろ?」

 

「あれは……聖杯?」

 

それは聖杯に似た大きな杯で中には何かの液体が満ちており、そこから酒気が溢れていた。

 

「もしくは聖杯に似た何かだな。これが今回の事件の元凶だな。何かの液体が満ちているな……」

 

「なんかなあ、茨木と一緒にここで目が覚めたらなぁ。それが目の前に置いてあったんやわ。『美味そな酒がなみなみ注がれた』状態でなぁ」

 

聖杯に注がれていたのは酒……酒呑童子はその名の通り、酒が好物。

 

「まさか……」

 

「うん。呑んだえ」

 

「……何で?」

 

「あからさまに怪しいではないか」

 

「そういう奴なんだよ、コイツは。茨木のヤツは嫌がっただろうけどな」

 

「もち、茨木は怯えとったなあ。拾いもの食べるのは良くない言うて。でもまあ、うちが酌で飲めんのか?聞いたら、涙目で飲んでくれたで?」

 

遊馬達の脳裏にはアルハラで酒呑童子に謎の酒を無理矢理飲まされた茨木童子の可哀想な光景が浮かんだ。

 

「茨木さん……もっと優しくしてあげるべきでした……」

 

「カルデアで召喚できたら優しくしようぜ……」

 

あまりにも不憫すぎる茨木童子に対し、マシュと遊馬はカルデアで茨木童子を召喚できたら優しく接しようと心に決めた。

 

「でなぁ、さんざん呑んだら眠くなってしもうて。ほんで気づいたらこうなっとった、言う話やねぇ。茨木に力は吸われとるし、囚われの姫さんになっとるし、小僧はうちの心と身体を情熱的に求めてきよるし……」

 

「求めてねぇからな!」

 

「それで、酒呑童子はこれが何か知ってるのか?」

 

「いや。わからんけど、わかるえ。どうあれこれは酒で、うちはそれを呑んだ。そいで、顛末はあれやろ?なら答えは明白や。これはなぁ──『願いを叶える』酒やわ」

 

「願いを叶える酒……?」

 

「聖杯に注がれた酒……聖杯の願望機の側面が作用しているのか……?」

 

「言うても、この酒は願いをそのまま叶えるわけやおへん。心に秘めた願いを、せやけど、ちびっと違う形で──歪めて、叶える、そういうもんやねぇ。酒は酔うもの、酔えば惑うもの……だからやろか。それが酒の楽しいところなんやけどなぁ」

 

聖杯でありながら聖杯ではない……歪めて叶える力のせいで今回の特異点の事件が起きてしまったのだ。

 

「つまり、この酒から溢れた酒気が都の人たちを酔わせていたのか……」

 

「それで、これを飲んだ茨木の願いは何だったんだ?」

 

「多分やけど、茨木は『うちと一緒に大暴れしたい』いう願いがあったんやろうねぇ……それが『うちの力と一緒に』、いう形に歪んでしもうた、いうことやろ」

 

茨木童子はただ酒呑童子と一緒に鬼として暴れたかっただけ。

 

しかし、歪んだ聖杯の酒のせいでその願いは歪まれ、酒呑童子の力を奪って暴れるということになってしまった。

 

「迷惑極まりないな、これ……あれ?そう言えば、ゴールデンは力が満ち溢れてるって言ってたよな。もしかして、何か願いを……?」

 

「ああ──小僧も同じやったんかなぁ。んふふ。そないにうちと遊びたかったん?」

 

「違えよ、バカ……今の俺の願いは別だ」

 

「そうか。さて、どんな酒を呑んだかも思い出せたことやし。──壊そうか」

 

「あ、待ってくれ。壊したら、みんな消えちゃうだろ?その前に、酒呑童子。俺と契約してくれねえか?」

 

「へぇ……この酒呑童子と契約したいなんて物好きな小僧やなぁ」

 

「まあ、酒呑童子は日本最強の鬼だし、日本人としては憧れるよな。それとは別に、俺たちの拠点でゴールデンと一緒に居たくないか?」

 

「小僧と?そんなことが可能なん?」

 

「ああ。俺と契約してくれれば、後でカルデアって言う拠点で必ず召喚するからさ。そうしたら、誰にも邪魔されずにゴールデンと一緒の時を過ごせるぜ」

 

「おやまあ、それは何とも魅力なお話やなあ。邪魔されないと言うことは、お邪魔虫の源頼光は居ないんやろ?」

 

「うん、源頼光さんに会ったこともないからな。だから、カルデアで思う存分ゴールデンと一緒に酒飲んだり、遊んだり、色々な事が出来るぜ」

 

それを聞いて酒呑童子は嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

「そりゃあええわ!そのかるであ、言うところで思う存分楽しませてもらうわ!」

 

「それじゃあ、俺と握手してくれ。そうすれば契約できるから!」

 

「よろしゅう頼むわ、旦那はん」

 

「おう!」

 

遊馬は酒呑童子と握手を交わすと酒呑童子が光となってフェイトナンバーズが現れる。

 

これで遊馬との契約が完了し、やる事が全て終わったので酒呑童子は聖杯の前に向かう。

 

すると、金時は最後に酒呑童子に聞きたい事があった。

 

「……オイ。テメェはテメェの願いは、何だったんだ?」

 

聖杯の酒を飲んだと言うことは何らかの願いが叶われた可能性があるが、酒呑童子は意地悪そうな笑みを浮かべた。

 

「……ふふ。何やったと思う?」

 

「ケッ。わかるかよ」

 

「うちのことを気にしてくれはるんやねぇ。小僧は見た目も心もイケメンやなあ。うち、気が多い性質やけど──一途な男は、特別大好きやわぁ。酒をほかすのは気が引けるけども……ま、しゃあないわぁ」

 

酒呑童子は酒が注がれた聖杯を壊すのに気が向かなかったが、これは良い酒ではない……消さなければならないと分かっている。

 

「これは、自分の願いに悪酔いする酒や。悪酔いしもって見えるもんは、歪んどるのが常やけど。今回はえげつない。自分自身も歪んどる。茨木との合わせ技やろうけど、うちも歪みすぎとる。こんな、力もない、人も喰らえん、小僧も襲えん、ただの小娘のようなうちは──うちやあらへんもんなぁ。せやから、このまま飲み干すわけにはいきまへん。酒気に微睡見続けるわけにはいきまへん。瞼を開いて見えるんが、どれだけ恋い焦がれたものであろうとも──。これは──だだの、酔夢や。さあ、あんじょう目覚めよな」

 

悪酔いの夢から覚める為に酒呑童子は拳を作り、鬼としての力を奪われながらもそれなりの腕力を持って聖杯を打ち砕いた。

 

聖杯を打ち砕いたことにより、この特異点の元凶は消え、召喚されたサーヴァント達が消滅していく。

 

「さて。目覚めて……仕切り直しの、飲み直しやわ。そん時は逃さへんよ、小僧。必ず──あの時のお返しをして。それから、うちのイケメンハーレムの一人として、酌させたるからなぁ……ふふ……ほな、またな」

 

酒呑童子は金時を逃がさないと言わんばかりの鬼として、女としての妖艶な笑みを浮かべながら消滅した。

 

「それでは、遊馬様。私も失礼します」

 

「ああ!紫式部さん、ありがとうな!」

 

「今度、あなた方の物語を是非聞かせてください」

 

「俺たちの?良いぜ!カルデアで待ってるぜ!」

 

「はい!」

 

紫式部は酒呑童子とは正反対の優しい笑みを浮かべながら消滅した。

 

そして、最後に残ったのは金時。

 

「さて、オレも消えるぜ。色々サンキューな。それから……大将。気ィつけとけ」

 

「ああ。誰が杯を置いて、酒を注いだのか……だろ?」

 

誰が京の都を混乱に陥れ、茨木童子を暴走させる原因を作った酒が注がれた聖杯を置いたのか……それは結局分からなかった。

 

「……さてな。もし黒幕がいるんなら話はこれで終わらねえ。まだ続きがあるだろうさ。だが今回はここまで、羅生門の鬼退治は終了だ」

 

「分かった。この戦いの続きが来たら、頼むぜ」

 

「おう!ゴールデンに任せろ、大将!」

 

「頼りにしてるぜ、ゴールデン!」

 

遊馬と金時は拳をぶつけ合ってまた共に戦う時を誓い合うと、金時は消滅した。

 

これにて、京の都を酒気で満たし、人々に悪酔いの夢を見せた羅生門の鬼退治は終わりを迎えた。

 

だが、鬼退治の物語はまだ全てが終わったわけではない。

 

今回の特異点の背後にいる黒幕との戦いがまだ残っている。

 

しかし、その物語はまだまだ先の話となる。

 

遊馬達は今はまだその黒幕のことを深く考えず、自分達にできることを精一杯やると心に決めながらカルデアへと帰還する。

 

 

 




これにて羅生門編は終了です。
かなり出しにくいナンバーズのHeart-eartHとHeart-eartH Dragonを出してみました。
カオスの方は劇的に弱いのでやめておきました(笑)

次回からカルデアの日常に入ります。
まずはロンドンと羅生門の英霊を召喚し……皆さん待望のモードレッドとエミヤとイシュタルとパールヴァティーの対面となります。
自分が知らない間に義理の母が出来ていたという心労がマッハな状況になりますね(笑)

日常が終わったらZEXALの遊馬とアストラルの物語を描きます。
断片的だった遊馬とアストラルの運命の戦い……それが遂にマシュ達に解き明かされます。

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