Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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大変お待たせしました、遊戯王ZEXALの物語が始まります。
まずは第一部の第一章、ここから長い物語が始まります。
近所のレンタルビデオにZEXALのDVDが無いので書くのが大変です。
感想まとめや私の記憶を頼りに書いています。
間違っているところとかあったら遠慮なく指摘をお願いします。


追憶の記憶 遊☆戯☆王ZEXAL 第一部
ナンバーズ112 遊☆戯☆王ZEXAL 第一部・第一章『運命の始まり、巡り会う希望と未来』


突然だが、カルデアで誰もが最も疑問に思っていることがある。

 

それはカルデアの最後のマスター……九十九遊馬とその相棒のアストラル。

 

この世界とは似て非なる異世界から来た二人だが、謎があまりにも多すぎる。

 

世界滅亡の危機から人類と三つの世界を救った……言わば紛れも無い英雄。

 

二人はその戦いの内容を別に隠してないので聞かれれば普通に答えるのだが、それでも謎が多すぎる。

 

アストラルの記憶の欠片であり、希望皇ホープを始めとする強大な力を持つ謎のモンスター……『No.(ナンバーズ)』。

 

遊馬とアストラルの魂と肉体が一つに合体することで誕生し、奇跡を起こす希望の英雄……『ZEXAL』。

 

地球・またの名を『人間界』とは異なるランクアップした魂が向かう場所と言われる高次元異世界……『アストラル世界』と『バリアン世界』。

 

宇宙創造の力を秘め、あらゆる世界の過去・現在・未来の全ての運命を決めることができる神のカード……『ヌメロン・コード』。

 

アストラル世界を滅亡させるために人間界の長い歴史の裏から暗躍して自分の駒となる七人の皇を集め、最後には世界の全てを手に入れようとした異世界の最強最悪の邪神……『ドン・サウザンド』。

 

話の断片を聞くだけで神話・物語・歴史上の英霊……様々な経験が豊富なサーヴァント達や魔術師達も真っ青になり、人類滅亡どころか世界滅亡の危機を食い止める壮大な戦いを繰り広げた。

 

そして、最後は世界を救い、同時に失ったものを全て取り戻したらしいが、僅か13歳の少年が何故これほどまでに大きな戦いに巻き込まれたのか、どうやって最後まで戦い抜いたのか知りたがるのも無理はなかった。

 

そこで、ダ・ヴィンチちゃんは遊馬とアストラルに協力を依頼し、あるものを作成した。

 

それは……。

 

「それでは、我らがマスター!九十九遊馬君とアストラル君のノンフィクション映画を上映するよ!」

 

遊馬とアストラル……二人の戦いの歴史を映画にして上映することだった。

 

二人の壮絶なる戦いが全て明らかになると知り、マシュやオルガマリーやロマニ、カルデアの職員達とサーヴァント達も興味津々だった。

 

食堂にスクリーンを用意して一時的に映画館風に改造し、テーブルには映画館の定番とも言えるジュースとポップコーンが用意されている。

 

一番前の席には主演の遊馬とアストラルが座っており、その隣には小鳥とマシュとフォウが座っている。

 

「いやー、なんか照れるなぁ……」

 

「ああ。我々の戦いの記録とは言え、こうしてみんなに見せる映画になるとはな……」

 

「それでは上映するよ!タイトルは……『遊戯王ZEXAL』!」

 

ダ・ヴィンチちゃんが堂々と映画のタイトルを宣言すると遊馬とアストラルは首を傾げた。

 

「遊戯王……?」

 

「ダ・ヴィンチよ、それはどう言う意味だ?」

 

遊戯王と言う名前を聞いたことがない遊馬とアストラルに対し、ダ・ヴィンチちゃんはうーんと唸っていた。

 

「それがね、私は最初にタイトルはZEXALだけにしようとしたんだけど……何か、突然閃いたんだよね。遊戯王って名前が。そこで二つを組み合わせて遊戯王ZEXALってタイトルにしたんだ。語呂もいい感じだからね」

 

「遊戯王ZEXAL……遊戯か……なんか少し恐れ多いな」

 

「何故ですか?遊戯は遊びって意味ですが……」

 

「……我々の世界でデュエルモンスターズ界史上最強と呼ばれる伝説のデュエリストがいる。その名は……『武藤遊戯』だ」

 

「武藤、遊戯さん……その方とデュエルした事は……」

 

「俺が生まれるよりも前の、伝説の人だからな。流石にもう会えないよ」

 

「いつか彼とデュエルをしてみたいものだ。だが、それは不可能だ。流石にレイシフトでは私たちの世界の過去には行けないからな……」

 

「でも、もし……もしも叶うなら、アストラルと一緒に俺たちの全力を尽くしてデュエルしたいぜ!!」

 

「そうだな。その時は希望皇ホープ達と一緒に挑みたいものだ」

 

伝説のデュエリストとの夢のデュエル……それは遊馬とアストラルの叶う事は不可能と思われる儚い夢。

 

二人はその夢を心の奥にそっと閉まって置く。

 

しかし、そう遠くない未来……二人の夢が叶う時が訪れるのだった。

 

「ふっ……マスターよ、お前達の物語を見させてもらうぞ」

 

「今まで気になっていたマスターとアストラルの物語、楽しみですな!」

 

「遊馬様とアストラル様……一体どのような物語を紡いでいたのでしょうか」

 

作家系サーヴァントであるアンデルセン、シェイクスピア、紫式部の三人は紙とペンを手に映画が始まるのを今か今かと待っていた。

 

謎が多い遊馬とアストラルの物語……それを作家系サーヴァント達が協力して本をする予定である。

 

物語を忠実に再現する為に映画の内容をメモする。

 

そして、食堂の照明を消し、投影機でスクリーンに映像を映し出す。

 

まず遊馬かアストラルの姿が出ると思ったが、その予想に反してとんでもないものが映し出された。

 

それは鎖で雁字搦めに封鎖された怪物の顔を模した巨大な扉だった。

 

『この扉を開く者は、新たな力を得る。しかしその者はその代償として、一番大事なものを失う』

 

扉へ続く道は切り立った崖のようになっており、扉の周囲は壁に囲まれている。

 

その道に遊馬が立っており、皇の鍵を握りしめて不安そうにしていた。

 

その扉の契約……その中央には鍵穴が空いており、皇の鍵でしか扉を開くことができない。

 

しかし、遊馬はその扉を恐れて思わず下がってしまい、道が崩れてしまった。

 

「うわぁーっ!?また、あの夢……」

 

遊馬はハンモックから落ちて目が覚めてしまった。

 

その扉は遊馬がここ最近見ている謎の夢に出てきており、それが何を示しているのか分からなかった。

 

九十九遊馬、この春に中学生になった13歳の少年。

 

両親は冒険家だが、数年前に行方不明となり、姉と祖母の三人暮らしで生活していた。

 

遊馬には父との約束である大きな夢であるデュエルチャンピオンになる為に、日々色々な事に積極的にチャレンジをしている。

 

周りから無理と言われてもめげる事なくチャレンジをし続けていたが、失敗が続いていた。

 

そんなある日、遊馬は幼馴染の観月小鳥と共に小学校からの友人である武田鉄男とデュエルをしようとしたが、鉄男は一つ上の先輩で学園の札付きの不良であると同時に数々のデュエル大会の実力者、神代凌牙……通称・シャークとのデュエルに負けてデッキを奪われてしまった。

 

遊馬は鉄男のデッキを取り戻そうとデュエルを挑もうとしたが、デュエルチャンピオンを目指す遊馬の言葉に苛立つ凌牙は遊馬の一番大切なものを差し出せと言われ、両親の形見である皇の鍵を握った。

 

すると、凌牙は嘲笑うかのように遊馬から皇の鍵を奪い、踏みつけて砕いてしまったのだ。

 

遊馬は非道な行いをする凌牙を許せず、己のデッキを賭け、鉄男のデッキを取り戻すために凌牙にデュエルを挑んだ。

 

その夜、遊馬は凌牙に勝つためのデッキを必死に考えたがエースモンスターのモンスターエクシーズが存在しないデッキでは勝つ見込みは無い。

 

しかも、父が残したデッキのカードの内、使い道が全く分からない一枚のカード……『ダブル・アップ・チャンス』があったりと、四苦八苦しながら遊馬は持てる力を全て込めたデッキで翌日のデュエルに臨んだ。

 

果敢に攻める遊馬だが凌牙とのデュエルは劣勢を強いられた。

 

数々の大会で上位に名を連ねた凌牙の魚族・水族で構築されたデッキ、更には魔法カードを巧みに使うデュエルタクティクスは素晴らしく、あっという間に遊馬を追い詰めた。

 

しかし、遊馬は諦めずに立ち上がり、自分を奮い立たせた。

 

「いくら失敗したって、いくら笑われたって!今まで俺がかっとび続けてきたのは、俺は俺を信じてきたからだ!」

 

「諦めたら人の心は死んじゃうんだよ!!」

 

諦めたく無い、勝ちたい……!

 

そう思った遊馬の思いに応えるかのように、真っ二つに折られた皇の鍵が元通りに復活した。

 

「鍵が……」

 

『さぁ、扉を開けろ』

 

遊馬の前に夢で見た謎の扉が現れた。

 

『え?ここは!?』

 

「扉を開けろ。さすればお前は新たな力を手に入れる。だがその者は代償として、一番大事な物を失う」

 

力を得られるならばと遊馬は扉から言われた代償のことをすっかり忘れ、皇の鍵を鍵穴に差し込んで鍵を開けた。

 

扉を封じていた鎖を解き放ち、封印されていた扉が開かれた。

 

扉との契約が交わされると遊馬の周りに無数のカードが集まり、散らばると元のデュエルの場面に戻った。

 

すると、凌牙の体から邪悪なオーラを纏い、モンスターエクシーズをエクシーズ召喚するが……それは凌牙が今まで所有してなかったカード、『No.17 リバイス・ドラゴン』。

 

No.(ナンバーズ)』と呼ばれる謎のモンスターエクシーズだった。

 

そして、困惑する遊馬の隣には青白く輝く少年のような姿をした精霊が立っていた。

 

「立て、勝つぞ……!」

 

それが……遊馬の運命にして最高の相棒、アストラルとの最初の出会いだった。

 

突如、遊馬以外の誰にも見えず、しかも記憶喪失なアストラルが現れた事に驚愕する中、遊馬にとってもう一つの運命の出会いをする。

 

アストラルの全てを見通すような天才的なデュエルタクティクスに驚く中、遊馬のデッキケースが開くとそこには見たことないモンスターエクシーズが入っていた。

 

「「現れよ!『No.39 希望皇ホープ』!」」

 

『ホォオオオープ!』

 

それこそ、遊馬とアストラルの最高の切り札にしてエースモンスター、世界を救う最後の希望……『No.39 希望皇ホープ』との出会いだった。

 

ナンバーズはナンバーズでしか戦闘破壊出来ないと言う共有の能力を持ち、希望皇ホープとリバイス・ドラゴンは激しい攻防を繰り広げた。

 

そして、絶体絶命のピンチに陥る中……遊馬は希望皇ホープの効果からこのデュエルを勝利に導く一発逆転のカードがデッキに宿っていることを思い出す。

 

「かっとビングだ、俺!ドロォー!!」

 

運命のドローが引き当てたカード……それは使い道がわからなかった『ダブル・アップ・チャンス』だった。

 

遊馬は希望皇ホープの攻撃無効能力を使い、そこからダブル・アップ・チャンスの発動条件を満たした。

 

今では遊馬とアストラルの必勝コンボとも言える、希望皇ホープとダブル・アップ・チャンスの攻撃力2倍の一撃でリバイス・ドラゴンを斬り裂き、遊馬とアストラルは絶望的状況からデュエルに見事勝利した。

 

遊馬は鉄男のデッキ、アストラルはリバイス・ドラゴンを取り戻し、凌牙は遊馬を認めて立ち去っていった。

 

これが遊馬とアストラルの最初の出会いで始まりを告げる戦いだった。

 

遊馬は世界中に散らばってしまったアストラルの記憶の欠片……所有者の心を写し、心の闇や欲望を増幅させる特殊な力を持つ100枚のモンスターエクシーズ……『No.(ナンバーズ)』を回収する戦いに巻き込まれてしまった。

 

しかし、遊馬とアストラルがナンバーズを賭けたデュエルに敗北すれば、アストラルは消滅する。

 

そんな大きなリスクを背負いながら、遊馬はアストラルと共にナンバーズを回収する為に様々なデュエリストとデュエルを繰り広げる。

 

そんな奇妙な生活が始まる中、様々な謎が発見された。

 

それは遊馬の両親の形見の品である皇の鍵の中にはアストラルの仮の住居のようにいつでも入り込むことが出来、更にはナンバーズを納める事が出来る謎の飛行船が眠っていた。

 

遊馬とアストラルが出会ってから徐々にナンバーズを賭けたデュエルに巻き込まれていった。

 

学園の先生、有名人、街の不良……様々な相手とデュエルをしていき、勝利を収めて少しずつナンバーズを回収していった。

 

しかし、どのデュエルもどれも順調にとはいかなかった。

 

遊馬の心が未熟故に希望皇ホープを使って街の不良とつるむようになった凌牙を失望させた。

 

過去のトラウマから負けることを恐れている凌牙……そんな凌牙にナンバーズに取り憑かれた双子のデュエリスト達は嘲笑うが、それを遊馬は激怒した。

 

「笑うなあぁぁぁ!何がおかしいんだ……!負けるのが怖くて、何がおかしいんだ!!」

 

「もう絶対にデュエルだけには、嘘をつきたくないって!シャークだってきっと同じだ。だからシャークのデュエルは、本物なんだ!!」

 

「相手がどんな卑怯な手を使っても、俺たちは正々堂々、戦って勝つ!!」

 

遊馬は凌牙の強力な力を持つナンバーズをも超える巧みなデュエルタクティクスに遊馬は憧れ、尊敬している。

 

遊馬の熱い心に凌牙の心は突き動かされ、新たなカードを託し、希望皇ホープと凌牙のエースモンスター、ブラックレイ・ランサーの力を合わせて見事な勝利を飾った。

 

そして、遊馬とアストラルの性格や価値観の違いからぶつかり合いながらも少しずつ絆を深めていた。

 

そんな中……遊馬とアストラルに最大の敵が現れた。

 

それは、遊馬とアストラル以外にナンバーズを回収する者がいた。

 

降りしきる雨の中、街でトラックに轢かれそうになった小鳥を助けようと遊馬が飛び出した瞬間……世界の時が止まり、その人物が現れた。

 

ナンバーズを狩る者……ナンバーズ・ハンター……天城カイト。

 

オービタル7と言う人工知能を搭載した多変形をすることが出来るロボットを従えて現れ、アストラルの記憶の欠片であるナンバーズを狙う。

 

デュエルアンカーと呼ばれる赤い光線の糸で手首を繋ぎ、強制的に遊馬にデュエルを行わせると、独自に回収した複数のナンバーズを遊馬とアストラル以上に巧みに召喚して操る。

 

そして……モンスターエクシーズキラーとも呼べるカイトの最強のドラゴンを召喚した。

 

「闇に輝く銀河よ、希望の光となって我が僕に宿れ!光の化身、ここに降臨!!現れよ、『銀河眼の光子竜』!!!」

 

銀河眼の光子竜……モンスターエクシーズの力の源であるオーバーレイ・ユニットを消し去る力を持つ恐ろしいドラゴンである。

 

「あいつが、銀河眼の光子竜の所有者……」

 

レティシアは本来の銀河眼の光子竜の所有者であるカイトの戦いを見てその実力に驚きと同時に思わず感心してしまった。

 

ナンバーズ・ハンターであるカイトはこれまで多くのナンバーズを回収してきたが、それはアストラルの回収方法とは全く別物だった。

 

アストラルは遊馬がデュエルで勝利した相手に何の影響も与えずに回収するが、カイトは特殊な科学技術による強引な回収で相手の魂ごとナンバーズを奪うのだった。

 

魂を奪われたらどうなるかわからない……少なくともまともに生きられないのは確かだった。

 

遊馬は初めて死への恐怖を抱いたが、アストラルと共に果敢に攻めて最後までカイトに勝つ手を打ち続けた。

 

しかし、カイトはそれすら上回る戦術を繰り出し、遊馬とアストラルは敗北するかに見えた……だが、カイトは突然何か緊急事態の連絡を受け、デュエルを中断してその場から逃走してしまった。

 

初めて感じた死への恐怖、心に深く刻まれた忘れることのできない大敗……それらが遊馬にこれまでに無いほどの大きな絶望を与え、雨の中で崩れ落ちた。

 

カイトの実質的な敗北から数日……遊馬とアストラルは深く落ち込んでいた。

 

ナンバーズを全て集める以上、それを狙うカイトとの戦いは避けられない。

 

このままではいずれ必ず負けてしまう……そんな遊馬の不安に気付いた祖母の春は知人に野菜を届けて欲しいとお使いを頼み、遊馬は大量の野菜を持ってハートランドシティの外れにある山に向かった。

 

そこは『決闘庵』と呼ばれるデュエルの修行場でそこの主人・三沢六十郎は春の知人で、デュエルモンスターズに名高い伝説のモンスターの木像が並んでいた。

 

木像は六十郎の弟子が旅立つごとに彫って作ったもので、遊馬と六十郎は木像を使った特別ルールのデュエルを行う。

 

遊馬はこのデュエルでモンスターの恐怖を感じながら負けてしまった。

 

六十郎は遊馬に対して優しく諭した。

 

デュエリストがモンスターの想いを知り、それに応えようとする気持ちがモンスターを動かす。

 

また、モンスターも同じように恐怖を感じ、それを乗り越えようとしている。

 

六十郎は遊馬にデュエルの……モンスターとの絆の大切さを教え、遊馬はその教えに感銘を受けた。

 

決闘庵で一晩泊まり、遊馬は朝から木像を布で磨いていると、忍者の姿をしたモンスターの木像が真っ二つに斬られたような跡を見つけた。

 

そこに六十郎のかつての弟子で、強さを追い求めるあまりに道を外れてしまい破門されてしまった闇川が決闘庵の秘蔵のデッキを狙って現れた。

 

遊馬は六十郎の弟子として名乗り、闇川にデュエルを挑む。

 

闇と力を求め、仲間を犠牲にする闇川のデュエルと新たなナンバーズの力に押されながらも遊馬はモンスターとの絆を貫く。

 

そして、モンスターとの絆が一つに重なり、新たな一歩を踏み出した遊馬は希望皇ホープをエクシーズ召喚する。

 

希望皇ホープの光の剣で闇川を倒してデュエルに勝利し、遊馬の真っ直ぐで純粋な想いに遂に闇川の心に宿る闇を打ち払い、改めて六十郎の弟子として修行をし直すことにした。

 

六十郎は遊馬の立派な成長を見届け、決闘庵の秘蔵のデッキを与え、これで成長した遊馬に新たな仲間のモンスター達が増える事となった。

 

決闘庵の出来事を経てカイトへのトラウマを克服した遊馬に対し、アストラルは未だにカイトへのトラウマが残っていた。

 

そんなある日、遊馬は小鳥や鉄男を含むクラスメイトの仲間達からナンバーズ所持者が次々と襲われる事件が起きていると聞かされた。

 

遊馬はみんなを危険な目に合わせないようにほとんど説明をしなかったが、小鳥達はナンバーズの事を知るために『ナンバーズ・クラブ』を結成し、ナンバーズについて調べ始めた。

 

ナンバーズについて知るために不気味な占いの館へ向かうが、それは罠だった。

 

占いの館の主人、ジンは実はナンバーズ・ハンターで遊馬とアストラルを誘き出す為に小鳥達を捕らえて人質にしたのだ。

 

間一髪脱出したキャッシーことキャットちゃんは遊馬に助けを求め、遊馬はすぐに助けに行こうとした。

 

しかし、アストラルは勝ち目のないデュエルをするべきではないと小鳥達を見捨てろと言った。

 

遊馬は激怒してアストラルを殴るが、精霊で霊体のアストラルを殴れるわけがなく、拳がすり抜けてしまう。

 

遊馬は小鳥達を救う為にアストラルの力を借りないと言い、ジンの元へ向かう。

 

ジンはカイトを崇拝する自称ナンバーズ・ハンターで遊馬とアストラルのナンバーズを狙う。

 

相手の手札やセットされているカードを特殊技能によって覗き見ると言う卑怯な手を使いながら、フィールドを支配する力を持つ『No.16 色の支配者 ショック・ルーラー』を召喚した。

 

ショック・ルーラーはかなり強力な力を持つナンバーズだが、遊馬は希望皇ホープと決闘庵秘蔵のデッキで新たに加わった仲間達の力で果敢に攻めた。

 

しかし、ジンは尽かさず相手のモンスターを洗脳して支配する『No.11 ビッグ・アイ』を召喚し、希望皇ホープを洗脳して圧倒的な不利な状況に陥ってしまった。

 

ジンは全てのナンバーズを差し出せば仲間を助けると持ちかけ、アストラルはそれ受け入れて諦めようとした。

 

だが、遊馬はそれに対し、怒りを露わにして今の自分の気持ちをアストラルにぶつけた。

 

「俺は今まで、デュエルでたくさんの奴らと闘ってきた。そりゃ負けることもあったけど、でも……一度デュエルした奴はみんな仲間なんだ!その仲間を、見捨てるわけにはいかねえんだよ!」

 

「しかし……」

 

「まだわからねえのか!?お前は俺の…大切な仲間なんだよ!アストラル!!」

 

遊馬はアストラルをただの同居人としてではなく、一人の大切な仲間として認めた。

 

その言葉と想いがアストラルの心に響き、その心に一つの感情が生まれた。

 

「私は君と……君の仲間の為に、勝ちたい!」

 

アストラルの失われた自らの記憶のためではなく、大切な仲間の為に勝ちたいと言う強い気持ち。

 

その気持ちに反応するかのように、皇の鍵の中に眠る飛行船が起動し、先端から光線を放ってアストラルに直撃した。

 

アストラルの姿が強い光を放ち、新たな力を解放した。

 

遊馬のエクストラデッキに新たなカードが生み出され、アストラルと共にそのカードを使う。

 

「「カオス・エクシーズ・チェンジ!現れよ、CNo.39!希望の力、混沌を光に変える使者!『希望皇ホープレイ』!!」」

 

守りの力を持つ希望皇ホープからまるでその力と姿を反転したような、攻めの力を持つ希望皇ホープレイへと進化した。

 

それはアストラルの誰かの為に勝ちたいと言う一つの欲望から生まれた大いなる力。

 

希望皇ホープレイの力でビッグ・アイを斬り裂き、大逆転を決めて勝利を挙げた。

 

「遊馬……ありがとう、私を仲間と認めてくれて」

 

アストラルは遊馬との間に生まれた確かな強い絆。

 

それは奇妙な人間と精霊の関係から、絆で結ばれた仲間としての関係となった。

 

ジンとの戦いから数日後、遊馬の学校で授業参観が行われることとなり、アストラルは遊馬の両親について尋ねた。

 

遊馬の両親、九十九一馬と九十九未来は冒険家夫婦で世界を股にかけている。

 

一馬は一人息子の遊馬を大切にしており、遊馬を冒険の旅に連れて行った。

 

「無理だよ!こんなの登れっこない!」

 

「かっとビングだ!遊馬!」

 

断崖絶壁の山に命綱無しにロッククライミングをしている遊馬と一馬。

 

(((優しそうな顔をして子供になんて恐ろしい事を……!?)))

 

とても小学生の少年が登るようなものではなく、あまりにも過酷な事をさせる一馬にとあるサーヴァント以外のみんなは戦慄した。

 

「す、素晴らしい……!あれほどの崖を親子で共に挑むとは……!!」

 

そのとあるサーヴァントとはスパルタの語源ともなったレオニダスで一馬の見事な鍛え抜かれた筋肉と、親子で共に挑むスパルタと言っても過言ではない崖登りに感動して涙を流していた。

 

父の一馬を慕っていた明里はそんな遊馬に嫉妬して不貞腐れ、母の未来が慰めているほどだった。

 

遊馬はデュエルチャンピオンを目指していたがそのことを同級生に馬鹿にされて自信を失っていた。

 

そんな遊馬を一馬は男同士の話をする為に冒険に連れて行き、崖を登って山の頂上でキャンプする。

 

山の上から見る満天の星空はとても美しく、一馬は自信を無くしていた遊馬を全力で応援した。

 

「遊馬!常にチャレンジしろ!それがお前の心をいつも奮い立たせる!!」

 

それが一馬から遊馬へと教えた信条……『かっとビング』。

 

それが今の遊馬の心を形作り、多くの奇跡を生み出し、多くの人々を救う事となった原点でも言えるシーンだった。

 

「本当に父から愛されているのだな、ユウマ……だからこそ、伸び伸びと純粋に成長できたのだな……」

 

父である一馬のことが大好きで尊敬していると言う遊馬の言葉にアタランテはとても納得することが出来た。

 

そして、遊馬達に転機の時が訪れた。

 

それは一馬と未来は冒険で雪山へ向かうが、猛吹雪で状況は最悪となり、更には一馬は巨大なクレバスに落ちてしまう。

 

ロープで体を繋いでいた未来は一馬を引き上げようとしたが、一馬は未来を守る為に自らロープを切ってクレバスの底へと落ちてしまう。

 

クレバスに落ちてしまっては助かる見込みは無い……ところが、事故から一週間後に一馬はあちこちを骨折するほどの大怪我をしたが、奇跡的に生還した。

 

無事に家族の元へ戻った一馬の手には……何処で手に入れたのか不明な皇の鍵が握られていた。

 

多次元世界……異世界の存在を信じていた一馬の話を遊馬は信じていなかったが、奇跡的に生還し、皇の鍵を手に入れた一馬を見てある一つの結論に辿り着いた。

 

それは一馬は異世界の扉を見つけて異世界へ向かったと……。

 

そして、遊馬はデュエルチャンピオンの夢を同級生に虐められ、馬鹿にされている時に一馬が現れた。

 

「遊馬!その皇の鍵がお前に力を与えてくれる!新たな一歩を踏みだぜ、遊馬!」

 

一馬は遊馬に皇の鍵を渡し、遊馬は皇の鍵を首にかける。

 

不思議と一馬の言う通り、皇の鍵から力を与えてくれるような気持ちがし、一馬から受け継いだチャレンジ精神……『かっとビング』が遊馬の心へと強く宿る。

 

「かっとビングだ!俺!!」

 

こうして遊馬はデュエルチャンピオンを目指し、かっとビングでどんな事にも勇気を持ってチャレンジをするようになったのだ。

 

しかし、その直後に一馬と未来は行方不明になってしまい、遊馬は寂しい日々を過ごす事になるのだった。

 

その話を聞き、アストラルは一馬と未来の謎の行方不明はアストラル世界と何か関係があるのかと考えた。

 

一馬が手に入れ、遊馬に託された皇の鍵はアストラルが内部に自由に入れることと、ナンバーズを納める事ができる謎の飛行船がある。

 

十中八九皇の鍵はアストラル世界に関係する品物である。

 

しかし、自分自身の記憶が失われていることと、あまりにも九十九家とアストラル世界関連の情報が少ないのでアストラルはそれ以上考えるのをやめた。

 

遊馬は両親がいなくて寂しい思いをしているが、それでも姉の明里と祖母の春は遊馬のことを大切に思っている。

 

更には小鳥や鉄男など遊馬の友達もいる。

 

アストラルは遊馬は一人ではない、みんなから愛されていると感じるのだった。

 

カイトへのトラウマを克服し、新たなデッキを組み、希望皇ホープレイを手に入れた遊馬は意気揚々とナンバーズを持つデュエリストとデュエルをする。

 

しかし、そのナンバーズは効果を使う間も無く弱い謎のモンスターで難なく倒したが、調子に乗っていると思った遊馬に対して注意した鉄男と喧嘩してしまった。

 

喧嘩の際に鉄男は遊馬の皇の鍵の紐を切ってしまい、それを狙ったかのようにアストラルの中から黒い影が現れた。

 

それはナンバーズでも特に強い自我を持つ存在……No.96だった。

 

No.96は黒いアストラルの姿をし、遊馬とアストラルを捕らえて取り込もうとしていた。

 

とっさに鉄男に希望皇ホープを渡し、落ちた皇の鍵を首にかけ、欲望を暴走を抑える事ができた。

 

鉄男は希望皇ホープを召喚し、No.96の化身……『No.96 ブラック・ミスト』を倒し、呪縛から解放された遊馬とアストラルは無事にNo.96を飛行船の中に封印する事ができた。

 

ナンバーズを巡る戦いが少しずつ過激になる中、悪用されそうになったハートランドシティのお掃除ロボット『オボット』を『オボミ』と名付けられ、ひょんな事から九十九家に居候となった。

 

遊馬には辛辣な言葉を使うが、何だかんだで互いに家族と思っており、オボミは特に春と仲良くなり積極的に九十九家の手伝いをしている。

 

アストラルの記憶の欠片であるナンバーズにも謎が出てくる中……ナンバーズ・ハンターのカイトが動き出した。

 

遊馬が学校の水泳の授業で危ないと注意され、いつも常に身につけている皇の鍵を外して更衣室に置いていた。

 

アストラルは普段皇の鍵の中で休んでいるか何か考え事をしている事が多いので、この時も皇の鍵の中にいた。

 

するとここにカイトとオービタル7が現れて皇の鍵を盗みに来た。

 

間一髪で凌牙は遊馬の為に皇の鍵を奪い、遊馬への借りを返す為にカイトとデュエルをする。

 

ナンバーズを持たない凌牙は予めデッキに仕込んでおいたモンスターのコントロールを奪うカードを使ってカイトが召喚したナンバーズを奪ったが、『No.30 破滅のアシッド・ゴーレム』は自滅のナンバーズであり、ライフを大幅に失って逆に凌牙の形勢が不利になってしまった。

 

そして、カイトは圧倒的な力で凌牙を倒し、そのまま凌牙の魂と皇の鍵を奪ってしまったのだ。

 

皇の鍵が遊馬の手から離れるという異常事態に謎の声がアストラルに語りかけた。

 

『来たるべき時が満ちる時、ZEXALの力を手に入れるのだ。全ての闇を光に変えるその力……ZEXAL……』

 

ZEXAL。

 

それが何の力か分からず困惑していると、皇の鍵の内部にカイトが現れた。

 

カイトはオービタル7の動力源である謎の鉱石『バリアライト』の力を使い、皇の鍵の内部へと侵入したのだ。

 

アストラルとカイトは互いにナンバーズを求める者同士、譲れない思いがあった。

 

アストラルは失った記憶の欠片を集める為、カイトはアストラル世界とナンバーズ、そして……『バリアン世界』を知る為だった。

 

バリアン世界と言う謎のキーワードがアストラルの記憶に刻まれる中、アストラルとカイトのデュエルが始まった。

 

アストラルは遊馬の持つデッキを投影してデュエルディスクを左手首に作り出してセットしてデュエルを行う。

 

守りを固めるデュエルを行うアストラルだが、カイトはアストラルの先を読むデュエルを行い、アストラルはカイトの実力に改めて感嘆した。

 

魂が込められたカイトのデュエルにアストラルはカイトが遊馬と同じものを持っていると感じ、それを指摘した。

 

遊馬の心の奥にあるのは両親を失った悲しみを抱きながらも、両親の教えであるかっとビングを信じて生きて行こうと足掻きもがいていること。

 

しかし、カイトは自分には両親がなく、いるのは弟の『ハルト』だけだと怒りを露わにした。

 

一方、遊馬は奪われた皇の鍵と中にいるアストラルと凌牙の魂を取り戻す為に仲間達やかつてナンバーズによって暴走した担任の右京の力を借りてカイトの潜伏先の研究所を突き止めた。

 

しかし、研究所の扉は開かず、遊馬のデッキが輝きを放つと、遊馬はアストラルがピンチに陥っていると分かった。

 

アストラルも凌牙も救えない……遊馬はいつになく弱気になって諦めかけていると、側にいた小鳥はある決心をする。

 

パチーン!!

 

小鳥は遊馬の弱気な心に活を入れる為に、遊馬の頰を思いっきり引っ叩いた。

 

「遊馬!しっかりしなさい!あなたがダメになってどうするの!!」

 

小鳥の思いが込められた渾身のビンタは遊馬の心に響き、遊馬は立ち上がることが出来た。

 

このシーンに遊馬に好意を抱いている乙女達はみんな思った。

 

「「「やっぱり小鳥(さん)は私達の最大のライバル……」」」

 

この頃から既に小鳥は遊馬にとってはアストラルに並ぶ心の支えであり、立ち上がらせる起爆剤でもあった。

 

いつもの調子が戻った遊馬は立ち上がり、研究所の扉は右京が得意のコンピュータて技術で作り出したコンピューターウイルスでセキュリティを解除して扉を開けた。

 

ところが、研究所に入るなり、カイトの邪魔をさせないとオービタル7の兄弟機である大きなゴリラと蜘蛛のロボットが襲いかかってきた。

 

小鳥達はロボットの足止めをして遊馬を先に行かせる。

 

再び遊馬のデッキが輝き、アストラルの危機を感じ取ると……。

 

『お前との契約を続行する。』

 

「契約?」

 

『この扉を開く者は新たなる力を得る。しかしその者は代償として一番大事なものを失う。だが、その契約を邪魔する者がいる。』

 

「え?」

 

『お前の力でそれを排除しろ。』

 

「っ……!」

 

『この扉の中に飛び込み、ZEXALの力を手にしろ。お前にその覚悟があるならば……!』

 

またしても謎の扉が遊馬の目の前に出現した。

 

カイトがアストラルを倒そうとしているので、扉が遊馬に新たな力を与えようとしていた。

 

しかし、その代償として遊馬の一番大事なものを失ってしまう……。

 

扉の幻影が消え、遊馬が奥に進むとオービタル7が現れてボディを変形させて戦闘形態となり、危ないドリルを回して本気で遊馬を殺しにかかる。

 

「ふーむ……あのロボットは人工知能内蔵であれだけ表情が豊か、それに加えてあの多種多様の変形機能……是非とも分解して調べてみたいものだね!」

 

ダ・ヴィンチちゃんはオービタル7の意外なハイスペックに興味を抱き、人間界に行った暁には必ず分解して調べたいと思うのだった。

 

オービタル7はドリルを壁にうっかり深く突き刺してしまい、動けなくなってしまった。

 

オービタルが動けない間に遊馬は奥の研究室へと向かう。

 

一方、アストラルは希望皇ホープを進化させ、ナンバーズの新たな力、カオスナンバーズの希望皇ホープレイにカイトは驚愕していた。

 

希望皇ホープレイで銀河眼の光子竜を斬り裂き、アストラルは倒したと思ったがカイトのセットカードによって銀河眼の光子竜は守られ、倒しきれなかった。

 

アストラルはこのままでは自分は負ける……負けたらカイトにナンバーズを全て奪われ、自分は消滅する。

 

「遊馬……お別れだ……」

 

アストラルはホープレイや自分のプレイイングですらカイトに及ばず、悲しみと悔しさを胸に秘めて遊馬への別れを覚悟した。

 

すると、アストラルの金色の双眸から悲しみの涙が溢れた。

 

アストラルは初めて自分が流した涙に困惑した。

 

遊馬は研究室に乗り込むと、何かの装置によって皇の鍵が宙に浮かされて膨大なエネルギーが送り込まれており、遊馬は謎の写真を見つけた。

 

それは優しそうな表情をするカイトがブランコに乗った歳下の少年と一緒に楽しそうに写っているものだった。

 

その直後に皇の鍵が光り輝くと注がれているエネルギーを弾き飛ばし、遊馬の手元に戻った。

 

遊馬が取り戻した皇の鍵を首にかけると、畳み掛けるようにまたしても扉が現れた。

 

『さぁ、扉の中へ飛び込め。この扉の中へ飛び込み、新たなる力を手に入れろ。だが、その者は代償として、一番大事なものを失う。お前にその覚悟があるか……?』

 

扉から遊馬を試すような言葉を紡ぎ、開いた扉の先は崖となっており、その崖の先にはアストラルとカイトがいたのだ。

 

遊馬とアストラルは離れていたが、扉を通じて互いに声が届いており、アストラルは既にデュエルを諦めていたが、遊馬はそれを認めなかった。

 

「俺とお前は一心同体だろ!?」

 

遊馬にとってアストラルはただの仲間ではなく、一心同体と呼べるほどの大切な存在となっていた。

 

だからこそ、アストラルを助けたい……そんな遊馬はある可能性に賭けた。

 

「ZEXALだ!」

 

ZEXAL……それはアストラルの世界を救うとされる奇跡の力。

 

しかし、それを手に入れるためには遊馬の一番大事なものを失うことになる。

 

アストラルの為に既に覚悟を決めた遊馬はその場から数歩下がって走る体勢を取る。

 

「手に入れるぜ、アストラル!お前を助けられるなら、どんな代償を払っても!超かっとビングだ!俺ぇえええっ!!」

 

勇気を持って走り出して扉の奥に入り、崖を飛び降りて真っ逆さまに落ちる。

 

遊馬のかっとビングが諦めていたアストラルの心を大きく奮い立たせる。

 

「遊馬……私のターン!!!私は、私自身と遊馬でオーバーレイ・ネットワークを構築!遠き二つの魂が交わる時、語り継がれし力が現れる!来い、遊馬!!」

 

「かっとビングだぜ、俺!!」

 

アストラルは光を纏って飛び上がり、扉から飛び降りて落下して来て同じく光を纏った遊馬と合流する。

 

「「エクシーズ・チェンジ!ZEXAL!!」」

 

二つの光は二重螺旋のように混ざり合い、一つに合体して巨大な『X』の文字を描き、落下して閃光を放つ。

 

二人の肉体と魂が一つに重なり、魂のエクシーズ召喚……ZEXALへと合体した。

 

「どう言う……事だ……!?」

 

遊馬とアストラルがZEXALへと合体したことにカイトは驚愕したが、ZEXALのライフポイントは僅か……このままでは勝つことは出来ない。

 

遊馬はこの状況でどうやって勝てば良いのか悩むが、アストラルはZEXALの持つ力を理解し、その力を使う。

 

「勝つぞ、遊馬。このドローに全てを賭けるんだ!」

 

「えっ?」

 

「最強デュエリストのデュエルは全て必然!ドローカードさえもデュエリストが創造する!集中しろ、遊馬!」

 

「おう……行くぜ、アストラル!」

 

ZEXALは右手を輝かせ、遊馬とアストラルの心を一つにし、全ての力を込めて数多の光を集める。

 

「「全ての光よ、力よ!我が右腕に宿り、希望の道筋を照らせ!シャイニング・ドロー!!」」

 

ZEXALはシャイニング・ドローでデッキトップのカードを創造し、新たなカードを手にする。

 

「「現れよ、『ZW - 一角獣皇槍』!!」」

 

空の果てから現れた一角獣皇槍はホープレイの装備カードとなり、攻撃力を大幅に上昇させると同時に銀河眼の光子竜のモンスターエクシーズキラーとしての効果を封じた。

 

「「行け、ZW!ユニコーン・スラッシュ!!」」

 

一撃必殺の力を与えられたホープレイは巨大な槍へと姿を変えた一角獣皇槍を投げ飛ばし、銀河眼の光子竜を貫いた。

 

しかし、カイトは互いに効果ダメージを与える罠カードを発動し、相打ちとなり互いのライフポイントがゼロとなって引き分けとなってしまった。

 

互いに吹き飛ばされ、遊馬はカイトに対して問う、何故こんな悪魔みたいなことをするのか?と。

 

カイトの銀河眼の光子竜を中心とした洗練されたフォトンデッキとデュエルタクティクスは敵ながら素晴らしいと思えるほどだ。

 

それが何故ナンバーズ・ハンターとなってナンバーズを狩り、所有者の魂ごと奪うようになってしまったのか……。

 

遊馬の問いにカイトは背を向けて静かに答えた。

 

「俺は、弟の為に悪魔に魂を売った……」

 

それは写真に写っていたカイトと一緒にいた少年……弟の為だった。

 

カイトは奪った凌牙の魂を返し、先に皇の鍵から脱出した。

 

研究所は皇の鍵を調べるための膨大なエネルギーを使用したため、負荷が限界を越えて掛かってしまった。

 

そして、エネルギーが臨界点を越えて研究所が爆発してしまった。

 

研究所が爆発し、先に脱出していた小鳥達は遊馬が助からないかもしれないと、小鳥は涙を流して遊馬の名を叫んだ。

 

すると……。

 

「へへっ……おっす!小鳥!」

 

瓦礫の中から皇の鍵を首にかけた遊馬が多少体と服が汚れながらも怪我一つなく出て来た。

 

小鳥達は遊馬の無事を喜んでいると、そこにオービタル7を飛行形態にしたカイトが見下ろしていた。

 

「ワールドデュエルカーニバルで決着をつける!!」

 

「カイト……!」

 

カイトはそう言い残して飛び去り、遊馬はその後ろ姿を見つめた。

 

ワールドデュエルカーニバルは近日にハートランドシティで行われる大規模なデュエルの世界大会。

 

遊馬とアストラルのナンバーズを巡る大きな戦いはまだ始まったばかりだった。

 

二人はZEXALと言う奇跡の力を手にし、大きな絆を深め、この力で共にこの戦いを勝ち抜くと誓う。

 

 

 




今回の話でみんなの感想やコメントを考えて載せます。

マシュ「遊馬君とアストラルさんの二人の戦い、まだ始まったばかりでまだまだ前途多難だと感じました。しかし、この二人ならなんとか出来ると不思議な安心感がありました」

ジャンヌ「最初は合わなかった二人が徐々に絆を深めていく姿が素敵でした!」

レティシア「初っ端から怒涛の展開が続いて頭が追いつかなくなりそうよ……」

清姫「旦那様の素敵な姿が見れてる幸せでしたが……アストラルさんや小鳥さんのイチャイチャしている光景を見せられるとムカムカします……」

ブーディカ「ユウマはやっぱりお父さんとお母さんがいなくなって寂しかったんだよね……でも、それを頑張って押し殺しているように見えたよ」

アタランテ「大好きな両親が消えて、あんな風に笑っているが、そこに至るまでどれほどの強い悲しみに耐えたのかのか想像もつかないな……」

ネロ「今の遊馬も良いが……幼き日の遊馬、とても麗しかったな!」

武蔵「そうだね!今の遊馬は13歳だから、あれは10歳ぐらいかな……?可愛くてヨダレが出そうだったよ……」

桜「お兄ちゃんとアストラルさんがこれからどんな戦いをするのかドキドキするよ」

ジャック「おかあさんのかっとビング……おかあさんのおとうさんから伝わったんだね」

アルトリア「マスターとアストラルの徐々に深まる二人の絆……私にはとても親近感がありました」

エミヤ「マスターの父との幼き日の約束……かっとビング。フッ、奇しくも親近感を覚えるな」

エドモン「皇の鍵と両親の行方不明、そしてアストラル……これは何か裏がありそうだな」

天草「天城カイト……彼からは大切な何かを成し遂げようとする不屈の意志を感じました」

次回はWDCの予選を書きます。
色々と破茶滅茶な展開やショッキングな展開があるので大変ですね。

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