Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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日間ランキングで29位に入っていてビックリしました。
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ナンバーズ10 竜殺しを探せ!

新たなサーヴァント、マリーとアマデウスが仲間になり、遊馬達は森の中で休んでいた。

 

マリーとアマデウスも遊馬と契約を交わし、フェイトナンバーズのカードを作り出した。

 

マリーの絵はアイドルみたいに可愛らしく背後に優美な宮殿とガラスの馬が描かれており、アマデウスの絵は指揮棒を構えて背後に音符が描かれている。

 

マリーは生前にジャンヌを尊敬しており、こうして会えたことを心から喜んでいてマシュと一緒に楽しそうなガールズトークをしていた。

 

遊馬はフランスの聖女と王妃の夢の対話?を少し興味深そうに聞いていると静かな影が近づき、気配を察したアルトリアとエミヤが武器を構えた。

 

座っていた遊馬達も立ち上がって近づく影に対して構えた。

 

そして、現れたのは儚い雰囲気を出していた綺麗な女性だった。

 

「こんにちは、皆さま。寂しい夜ね」

 

遊馬達の前に現れたのはジャンヌ・オルタの後ろに控えていたサーヴァントの一人、バーサーク・ライダーだった。

 

「それを言うならこんばんはじゃないか?」

 

「遊馬君、突っ込むところはそこですか……?」

 

「……君はあの時もう一人のジャンヌと一緒にいたサーヴァントだな?何しに来た?」

 

遊馬とマシュが軽い漫才を始めそうだったのでアストラルが代わりにバーサーク・ライダーに質問をする。

 

「私は壊れた聖女……彼女のせいで理性が消し飛んで凶暴化してるのよ。今も衝動を抑えるのも必死。監視が役割だったけど、最後に残った理性が、貴方たちを試すべきだと囁いている」

 

「俺たちを、試す?」

 

「貴方たちの前に立ちはだかるのは竜の魔女。『究極の竜種』に騎乗する、災厄の結晶。私ごときを乗り越えられなければ、彼女を打ち倒せるはずがない」

 

究極の竜種と聞き、遊馬とアストラルはピクッと反応した。

 

バーサーク・ライダーは遊馬達の味方になることは出来ないが、越えるべき大きな壁として立ちはだかる。

 

「だから、私を倒しなさい。我が真名はマルタ。さあ出番よ、大手甲竜タラスク!」

 

マルタ、悪竜タラスクを鎮めた一世紀の聖女である。

 

そんなマルタの隣にはかつて彼女が退治したリヴァイアサンの子である大きな亀のような姿をした竜が召喚される。

 

タラスクは高速回転しながらいきなり襲いかかってくるが瞬時に遊馬が対処する。

 

「させるか!!手札の『虹クリボー』の効果!攻撃してきたモンスターに虹クリボーを装備する!装備されたモンスターは攻撃できない!!」

 

手札から七色に輝くボールみたいな可愛いモンスターが現れ、タラスクの体に纏うと体が固まって動けなくなる。

 

虹クリボーは遊馬の父が持っていたカードで数々の強敵のモンスターの動きを封じ、遊馬を守る盾となり、遊馬の危機を何度も救って来たモンスターである。

 

「タラスク!?」

 

「みんな、早く下がれ!」

 

「は、はい!」

 

「こうも簡単にタラスクを封じるとは。仕方ありません。さあ、来なさい……あなた達の力を見せなさい!」

 

タラスクが動かないと知るとマルタは主力武器かと思われた十字の槍を木に立てかけ、手甲を装着した両手で拳を作ってファイティングポーズを取った。

 

「聖女が武器でなく拳で戦うのか……?」

 

「拳で戦う聖女か……熱い、熱いじゃねえか!みんな、俺にやらせてくれ!この聖女さんの相手に相応しいとっておきの奴がいるぜ!」

 

ジャンヌとは異なり、聖女マルタの武器が拳なことに困惑するアストラルだが、基本的に熱血漢の部類に入る遊馬は逆に心が燃え上がり、マルタの相手に相応しいモンスターを呼ぶ。

 

「俺のターン、ドロー!『ガガガマジシャン』を召喚!ガガガマジシャンの効果でレベルを1にする!更に魔法カード、『ワン・フォー・ワン』!手札のモンスターを墓地に送り、デッキからレベル1のモンスターを特殊召喚する!来い、『クリボルト』!」

 

『クリー!』

 

ガガガマジシャンの後にデッキから虹クリボーに似た電気を発生させる黒いボールみたいな可愛らしいモンスターが現れる。

 

「更にもう一丁!魔法カード、『死者蘇生』!さっきワン・フォー・ワンで墓地に送った『ダークロン』を墓地から特殊召喚!」

 

墓地から毛むくじゃらの小さな妖怪みたいなモンスターが現れ、これでレベル1のモンスターが三体揃った。

 

「かっとビングだ!レベル1のガガガマジシャン、クリボルト、ダークロンの三体でオーバーレイ!三体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!!」

 

光の爆発と共に『54』の数字が空中に浮かび上がり、地面から現れたのは上部に血管がついた鼓動を弾ませる心臓のような物体が現れた。

 

心臓が変形すると屈強な肉体を持ち、獅子のような仮面と左胸に『54』の刻印が刻まれた赤い鎧を身につけた戦士が降臨する。

 

「現れろ、No.54!熱き闘志の雄叫びが眠れる魂すらも震わせる!『反骨の闘士ライオンハート』!!」

 

それは大昔に熱き拳を持ち、人々に希望を与えていた伝説の剣闘士が所有していた魂のナンバーズ。

 

「なるほど、拳で戦う聖女マルタに相応しい剣闘士みたいなナンバーズですね」

 

「それとマスターの虹クリボーは凄いですね、あの竜種を完全に動きを止めるとは」

 

「可愛らしい見た目に反して素晴らしい力を持っているな」

 

「それにしても、遊馬君って意外に熱いんですね……」

 

「マスター!頑張ってー!」

 

「聖なる拳を振るう聖女と熱き拳を振るう獅子の剣闘士か……よし、良い曲が浮かんだ」

 

「行け、ライオンハート!マルタに攻撃だ!」

 

ライオンハートは目を輝かせて拳を作り、マルタに向かって攻撃する。

 

「面白い……その勝負、受けて立ちます!!」

 

「あれ?ま、待ってください!あのナンバーズ、希望皇ホープと違って攻撃力は極端にありません!」

 

「「「えっ!?」」」

 

マシュはフェイトナンバーズの恩恵で何となくだがナンバーズの大体の攻撃力の数値を知ることが出来るが、ライオンハートのその勇ましい姿に反して攻撃力が低い事に驚いた。

 

モンスター・エクシーズはランクによって攻撃力の幅があり、ランクが高ければ高いほどそれに比例して攻撃力や能力も高くなる。

 

逆にランクが低いとそれに比例して攻撃力も低くなってしまい、ライオンハートの攻撃力は僅か100しかない。

 

剣闘士のナンバーズと一世紀の聖女……ライオンハートとマルタは拳と蹴りでストリートファイトのような激しい攻防をする。

 

マルタは一旦離れて右拳に聖なる光を込め、足に力を込めてライオンハートに近づいて全力で振るう。

 

「鉄拳聖裁!!!」

 

ライオンハートは希望皇ホープやリバイス・ドラゴンと違ってその召喚の難しさに見合った強力な効果を有している。

 

「ライオンハートの効果!戦闘では破壊されない!オーバーレイ・ユニットを使い、この戦闘のダメージは代わりに相手が受ける、バーニング・クロスカウンター!!」

 

ライオンハートはオーバーレイ・ユニットをその身に取り込むと左拳に炎を纏い、真正面からマルタと打ち合う。

 

マルタの拳とライオンハートの拳が交差し、互いの頬を強く殴り合った。

 

しかし、僅かにマルタの拳は届かず、ライオンハートの拳がマルタの頰に届いた。

 

本来マルタがライオンハートにぶつけるはずだった聖なる拳のダメージがライオンハートの効果によってそのまま自分に跳ね返った。

 

「ぐあっ!!?」

 

マルタは後ろに大きく吹き飛ばされ、木が何本も薙ぎ倒されるほどの衝撃を受けた。

 

それほどまでにマルタの本気の攻撃が凄まじいことを物語っていた。

 

ライオンハートの攻撃力はデュエルモンスターズの中でも最低ランクだが、カウンターを得意とした前の所有者である剣闘士の影響もあってか相手の攻撃力分のダメージをほぼそのまま跳ね返すカウンター攻撃の能力を持つ。

 

実質自分が放った攻撃力分のダメージをまともに喰らい、マルタの体が光の粒子となって消滅していく。

 

同時にマルタと一緒に動けなかったタラスクも消滅して行く。

 

「見事な攻撃、いや……いい拳だったわ。久々にいいのを貰ったわ」

 

聖女というよりもまるでヤンキーみたいに一瞬だけ笑みを浮かべながら殴られた頰を軽く摩ると、立てかけた十字の槍を持つ。

 

「……最後に一つだけ教えてあげる。竜の魔女が操る竜に、貴方達は絶対勝てない」

 

「……黒ジャンヌの『究極の竜種』ってことは、ようするに『地上最強のドラゴン』だよな?」

 

「そうよ。だから……」

 

「でも、俺が『宇宙最強のドラゴン』を操っているなら話は別だろ?」

 

「え?」

 

遊馬の発言に唖然とするマルタに遊馬はデッキからドローした光り輝くカードを掲げると背後に青白く輝く巨大な竜の幻影が現れる。

 

勇ましい咆哮を轟かせるその竜の幻影にマルタだけでなく後ろにいたマシュ達も驚愕していた。

 

その竜の幻影の全貌を見ることはできなかったが、光り輝く二つの瞳には無数の星々のような煌めく輝きが宿っていた。

 

「な、何ですかその竜は……?あなたは、一体……?」

 

タラスクよりも格上の強大なドラゴンを操る遊馬にマルタは動揺を隠せなかった。

 

「このドラゴンは自分の命よりも大切な弟を助けるために己を犠牲にしてまで戦った俺のライバルで、憧れの人から託された魂のドラゴンだ。俺たちは負けない、必ず黒ジャンヌのドラゴンを打ち破ってみせる」

 

「確かに……その竜なら可能性はありますね。でも、確実に超えるためにリヨンに行きなさい」

 

「リヨン?」

 

「そこに竜を倒す存在、『竜殺し(ドラゴンスレイヤー)』がいるわ」

 

「ドラゴンスレイヤーか……なるほど、戦力になるなら仲間に引き入れた方がこちらとしてもメリットが大きいな」

 

「タラスク、ごめん。次は真っ当に召喚されたいものね」

 

ジャンヌ・オルタに無理矢理狂化属性を与えられ、戦わされていたマルタは悲しそうな表情を浮かべるが遊馬が近づいて元気付けた。

 

「心配するな、次は俺が召喚してやるよ!」

 

「えっ……?」

 

「その代わり、人類の未来を守るための戦いに協力してほしい!頼む、マルタ!タラスク!」

 

無垢な笑みを浮かべ、先ほどまでは敵だったのに既に仲間として扱うような遊馬の言葉にマルタの心が安らいだ。

 

「……あなた、名前は?もう一度聞かせて」

 

「遊馬!九十九遊馬だ!」

 

「分かったわ、ユウマ……もしあなたが今度私を召喚出来たら、あなたのためにこの拳を振るうわ」

 

「ああ、待ってろ。必ず召喚するぜ!」

 

遊馬が拳を前に突き出して笑みを浮かべる。

 

「待ってるわ、私の未来のマスター」

 

マルタも自分の拳を突き出して遊馬の拳とぶつけると最後にウインクをして笑みを浮かべながらタラスクと共に消滅した。

 

最後に残ったマルタのフェイトナンバーズのカードを回収すると、マルタの助言を頼りにドラゴンスレイヤーがいるリヨンの街へ向かうことにした。

 

 

翌朝の早朝に遊馬達はリヨンに向けて出発し、その道中にあった街でエミヤとマリーの二人で街の人から色々な情報を聞き出した。

 

リヨンには大剣を持った騎士がワイバーンや骸骨兵を蹴散らして守り神として守っていたが、複数のサーヴァントが襲撃して行方不明となっていた。

 

遊馬達は急いでリヨンに向かい、竜殺しの騎士を探そうとしたが……街には生きる屍、リビングデッドがうろついているだげだった。

 

恐らくその街に住んでいた住人でもはや救うことができないだろう。

 

「何だよ、何だよこれ……?」

 

死体の次は生きる屍……遊馬はまたしても恐怖で体が震えてしまった。

 

マシュは遊馬を抱き寄せて目隠しをさせ、エミヤは干将・莫耶を構えて前に出る。

 

「……マスター、少しだけ目を閉じていろ。すぐに終わらせる」

 

エミヤは一刻も早く楽にさせるために干将・莫耶を振るい、リビングデッド達を切り倒していく。

 

全てのリビングデッドを倒し、ジャンヌが祈りを捧げる。

 

するとそこに一つの不気味な影が現れた。

 

それは顔の右側を髑髏の仮面で隠し、皮を剥いだように不気味な両手に鋭い爪を付けた男だった。

 

「人は私をオペラ座の怪人(ファントム・オブ・ジ・オペラ)と呼ぶ。竜の魔女の命により、この街は私の絶対的支配下に」

 

それは十九世紀を舞台とした小説、オペラ座の怪人に登場した怪人のモデルとなった男だった。

 

ファントムは敵である遊馬達を死者にするために宝具を展開する。

 

「唄え、唄え、我が天使……『地獄にこそ響け我が愛の唄(クリスティーヌ・クリスティーヌ)』」

 

ファントムの背後に無数の死骸で作成されたパイプオルガンが現れた。

 

そしてファントムの口から発された異様な歌声が、不可視の魔力放射をしてアルトリア達にダメージを与える。

 

ファントムの攻撃に対抗するために前に出たのはアマデウスだった。

 

「私に任せたまえ。聴くがいい!魔の響きを!『死神のための葬送曲(レクイエム・フォー・デス)』!」

 

それはアマデウスが生前に死神に葬送曲の作成を依頼されたという伝説の魔曲であった。その魔曲はファントムのステータスを下げた。

 

「外道が……」

 

「奴を許す訳にはいかない……」

 

アマデウスのお陰でパイプオルガンの魔力ダメージを抑え、アルトリアは約束された勝利の剣を構え、エミヤは弓矢と無数の剣を投影して一気に決めようとした。しかし背後からいきなり発せられた怒気に思わず振り向いた。

 

それは先ほどまで動けなかった遊馬だった。

 

遊馬はこれほどまでに外道な行いをしたファントムに強い怒りを覚え、アストラルと共に静かな怒りを発していた。

 

「許せねぇ!……こんな酷いことをしたてめぇを絶対に許せねぇ!!」

 

「死者を弄ぶ貴様を私達は決して許さない!!……」

 

「俺のターン、ドロー。『ガガガマジシャン』を召喚。ガガガマジシャンの効果でレベルを5にする。自分フィールドにガガガモンスターがいる時、手札から『ガガガキッド』を特殊召喚し、その効果でガガガマジシャンと同じレベルとなる」

 

ガガガマジシャンの隣に弟分である少年が現れ、アイスを食べてアイス棒に描かれた五つの星と同じく自身のレベルが5となる。

 

「レベル5のガガガマジシャンとガガガキッドでオーバーレイ、エクシーズ召喚……」

 

ガガガマジシャンとガガガキッドは光となって地面に吸い込み、光の爆発が起きる。

 

「「現れよ、『No.61 ヴォルカザウルス』」」

 

地面から『61』の数字が浮かぶと大きな溶岩の突起を持つ球体の火山岩が出現し、高熱の炎を放出しながら変形し、灼熱の炎を纏う恐竜へと変形した。

 

ヴォルカザウルスから漂う炎の気は周囲にいる死体を静かに焼き尽くし、二度と外道の魔の手に触れないように灰にしていく。

 

「アルトリア、エミヤ。あのオルガンは俺がぶっ壊す。そしたら一気にファントムを倒せ」

 

「了解しました」

 

「頼むぞ、マスター」

 

「ヴォルカザウルスの効果、オーバーレイ・ユニットを使い、相手フィールドのモンスターを破壊する!……パイプオルガンを焼き尽くせ、マグマックス!!」

 

ヴォルカザウルスがオーバーレイ・ユニットを喰らい、両肩の突起部分のカバーが開くと高熱の火炎が発射されてファントムのパイプオルガンを焼き尽くした。

 

ファントムはオルガンを無残に焼失され、更に破壊されたダメージをくらい、絶望に打ちひしがれる。

 

「あぁ……私の、クリスティーヌがぁ……」

 

「今だ、アルトリア、エミヤ」

 

アルトリアの約束された勝利の剣は既に刃に金色の輝きを湛え、エミヤは黒弓を構えて周囲に投影した剣の切っ先を全てファントムに向ける。

 

「あなたに慈悲は与えません」

 

「貴様は心優しいマスターを怒らせた、何も言わずに消えろ」

 

矢を放つと同時に剣が一斉に発射され、ファントムの体に突き刺さった。

 

そして、アルトリアの約束された勝利の剣の放った極光でファントムは断末魔の叫びもあげずに一瞬で消滅した。

 

消滅したファントムのフェイトナンバーズのカードがあり、回収しながら遊馬はヴォルカザウルスに命令した。

 

「ヴォルカザウルス、お前の炎でここにいる人たちを弔ってくれ」

 

ヴォルカザウルスは遊馬の命令に頷き、口から静かに炎を出して死者を灰にして弔う。

 

全ての死者の弔いを終えると、ロマニが街の奥の城から微弱なサーヴァントの気配をキャッチし、すぐに城に入った。

 

城の奥に光が見え、そこには焚き火の側で休んでいる騎士がいた。

 

「……いた!おーい、あんたは竜殺しの騎士か?」

 

「くっ……子供?それにサーヴァント……?」

 

騎士は酷い怪我を負っており、遊馬達はすぐに駆け寄った。

 

「ひでぇ怪我だ……大丈夫だ、俺たちは味方だ!」

 

「君は……?」

 

「遊馬だ!しっかりしろ!」

 

「これは……遊馬、『No.49』を使うんだ」

 

アストラルの助言を聞き、一瞬ぽかんとした遊馬だったがそのナンバーズの効果を思い出して頷いた。

 

「『No.49』……?あ、そうか!わかったぜ!『ズババナイト』を召喚!更に『影無茶ナイト』を特殊召喚!レベル3のモンスター二体でオーバーレイレイ、エクシーズ召喚!」

 

ズババナイトと影無茶ナイトを急いで呼び、オーバーレイして地面に吸い込まれて光の爆発が起きる。

 

「来い、『No.49 秘鳥フォーチュンチュン』!」

 

地面から現れたのは『49』の飾りがある棒を口に咥えた小さな青い鳥のモンスターである。

 

「鳥……?」

 

フォーチュンチュンは小さな羽を羽ばたかせながら騎士の腕にちょこんと乗ると体からエメラルドグリーンの光を放って騎士の傷を癒していく。

 

「傷が治っていく……遊馬くん、これは癒しのモンスターですか?」

 

「ああ。フォーチュンチュンは僅かだけど自分のターン毎にライフを回復してくれる優しい力を持つナンバーズなんだ」

 

癒しのナンバーズ、フォーチュンチュンのお陰で騎士の傷を癒すことが出来たが、どうしても治らない傷があった。

 

それは呪いの傷で、その傷によって騎士はまともに動くことが出来ずにいた。

 

呪いを解くことができるのは『洗礼詠唱』が出来るジャンヌのような聖女か聖人のサーヴァントだけだった。

 

ジャンヌはランクダウンの影響で力が足りず、もう一人の聖人がいないと無理だった。

 

どうすればいいかと悩んでいるとロマニから連絡が入った。

 

聖杯を持っているのが竜の魔女、ジャンヌ・オルタならその反動で抑止力として聖人が召喚されている可能性がある。

 

サーヴァントの情報が無いのなら急いで探すしかない、今までと同様に街で情報を得るしかない。

 

手分けして探そうと意見が出たが、下手に戦力を分断するとジャンヌ・オルタたちの差し向けたサーヴァントに倒される可能性がある。

 

それを回避する方法をアストラルは瞬時に思いついた。

 

「遊馬、提案がある」

 

「何だ?アストラル」

 

「急ぐのならば皇の鍵に眠っている『アレ』を使うといい」

 

「アレ……?あっ!もしかしてまた使えるのか!?」

 

「当たり前だ。起動に必要な『No.66』がここにあるから問題なく使える」

 

「よっしゃあ!それがあれば快適だぜ!」

 

アストラルは皇の鍵の中に入ると遊馬は皇の鍵を首から外した。

 

「みんな!城の外に出てくれ!」

 

遊馬とアストラルが何か画期的な方法を思いついたのか、ひとまずマシュ達は騎士と一緒に城の外に出た。

 

遊馬は皇の鍵を空に向かって掲げた。

 

「行くぜ、『かっとび遊馬号』!起動!」

 

「「「かっとび遊馬号???」」」

 

マシュ達は何それ?と言わんばかりに首を大きく傾げると、皇の鍵が光り輝いて先端から金色の光線が空に向かって放たれた。

 

すると、光線を放った上空の空間が歪み出し、黒雲が広がった。

 

そして、歪んだ空間の中から現れたのは……巨大な飛行船だった。

 

しかし、普通の飛行船とはかなり異なり、船体が無数の大きな歯車が重なって作られ、そこからワイヤーのようなものでゴンドラが吊るされていた。

 

一体どんな物質で作られてどんな原理で動いているのか全く理解不能な飛行船だった。

 

「ゆ、遊馬君……あれは一体……?」

 

マシュが顔を引きつらせながら代表して尋ねると遊馬は得意げに答える。

 

「あれか?あれは皇の鍵に眠っている飛行船だ!」

 

それはアストラル世界で遊馬の父、九十九一馬が遊馬とアストラルの世界の命運をかけた戦いのために造った代物で異世界を渡ることができる。

 

思わぬ移動用の巨大船に遊馬はもしかしてサーヴァントなのか?とマシュ達は思わず思い込んでしまうのだった。

 

 

 

.




マルタさんは姐さんみたいなキャラなので再登場させようと思います。
ファントムは……うん、遊馬先生が慈悲を与える相手だと思わなかったので瞬殺しました。

そして、かっとび遊馬号こと皇の鍵の飛行船登場です。
これでマリーの死亡フラグが折れました。

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