Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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夏の水着イベントが年々とんでもないことになっていて目が点になってしまいます。
レースに同人イベントにカジノ……うん、レース以外は遊馬くんの教育によろしくありませんね(笑)
レースはまだ漫画版でライディングデュエルをやってたので良いですが。
あ、カジノはラッキーストライプがいるから大儲けできそう(笑)

まあ、夏イベやるなら一番最初の無人島ですけど。


ナンバーズ122 数多の竜を統べる漆黒の皇后

ネロとエリザベートの夢のライブが終わり、歌で気絶して倒れていたマシュ達を起こして急いでクー・フーリンの元に向かった。

 

クー・フーリンとフェルグスの対決は終わりを迎えようとしていた。

 

「真の虹霓をご覧にいれよう!『虹霓剣(カラドボルグ)』!!」

 

フェルグスの大地を螺旋状に穿つ宝具が放たれ、クー・フーリンはゲイ・ボルグで受け止めるが、防ぎ切ることが出来ずに投げ飛ばされる。

 

実はクー・フーリンとフェルグスの間には誓約が交わされており、それは戦場で相見えたときには勝敗を交互に譲り合うもので、この戦いにおいてはクー・フーリンは確実に負けるのだ。

 

クー・フーリンは地面に横たわっており、フェルグスは剣の切っ先を向ける。

 

「クー・フーリン、この戦いは俺の勝ちだな」

 

「ああ、俺の負けだ……」

 

クー・フーリンは素直に己の負けを認めたが……。

 

「だが、俺のフェイトナンバーズの戦いは終わってねえ」

 

「何?」

 

「来い、クー・フーリン!!」

 

駆けつけた遊馬の手にはクー・フーリンのフェイトナンバーズが握られ、横たわっているクー・フーリンの体が粒子となって入り込む。

 

遊馬のフィールドには予め召喚していた

レベル7のモンスターが二体揃っている。

 

「レベル7のガガガマジシャンとガガガシスターでオーバーレイ!エクシーズ召喚!!」

 

レベル7となったガガガマジシャンとガガガシスターが光となって地面に吸い込まれ、光の爆発が起きる。

 

「神秘の魔術を操りし戦士よ、戦況を切り開く一手を決めろ!現れよ、『FNo.7 神秘の魔術師 クー・フーリン』!!」

 

地面から幾つもののルーン文字が現れ、その中心からフードを被った魔法使いの姿をしたクー・フーリンが現れ、その姿にフェルグスは驚愕した。

 

「何!?クー・フーリン、その姿はキャスタークラスか!?」

 

「その通りだ、叔父貴。うちのマスターのお陰だ。あいつは面白え奴だからな!さあ、取っておきだ……ルーン魔術の真髄を見せてやるぜ!」

 

「クー・フーリンの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、相手モンスターを破壊する!!」

 

クー・フーリンは杖を振るい、無数のルーン文字が現れて宙を舞うと炎の竜巻の中から現れたのは、火炎を身に纏う無数の枝木で構成された巨人だった。

 

「『焼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)』!!」

 

クー・フーリンは杖を振るい、ウィッカーマンを操作して巨人の拳を振り下ろした。

 

「くっ!?」

 

フェルグスはその場で高く飛び、巨人の拳を回避した。

 

しかし、巨人の拳は地面を殴り、土煙が舞って視界を遮った。

 

「マスター!!」

 

「ああ!このカードはクー・フーリンをエクシーズ素材にして、エクシーズ召喚する事ができる!!」

 

遊馬は『FNo.7 神秘の魔術師 クー・フーリン』の上にもう一枚のフェイトナンバーズを重ね、クー・フーリンが光となって地面に吸い込まれ、光の爆発が起きる。

 

「クラス・コンバート・エクシーズ・チェンジ!信念と義の武人よ、戦地を駆け抜け、朱槍を煌めかせろ!現れよ、『FNo.7 光の御子 クー・フーリン』!!」

 

キャスターからランサーのフェイトナンバーズへとクラスチェンジを行い、光の爆発から現れたクー・フーリンは左手にある三つのダイスを遊馬に投げ渡す。

 

「マスター!」

 

ダイスを受け取った遊馬はフェイトナンバーズとなったクー・フーリンの召喚時の効果を発動する。

 

「クー・フーリンの効果!このカードが特殊召喚に成功した時、3つのダイスを振る!そして、出た目の合計×100ポイント、攻撃力と守備力を上げる!」

 

遊馬は3つのダイスを投げ、3つのダイスは4、5、6を出した。

 

「ダイスの合計は15!攻撃力は1500ポイントアップする!」

 

「マスター、一気に決めるぜ!」

 

「クー・フーリン……分かった!」

 

遊馬はクー・フーリンの想いに応えてバトルを行わずにすぐに効果を発動する。

 

「クー・フーリンの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ取り除き、相手モンスターの効果を無効にして破壊する!」

 

クー・フーリンはゲイ・ボルクにオーバーレイ・ユニットを取り込ませると、禍々しい真紅の輝きを放つ。

 

「終わりだ……叔父貴!その心臓、貰い受ける!『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)』!!!」

 

真名解放と共に放たれた真紅の槍は因果逆転の呪いにより、心臓に槍が命中した結果を作り、槍を放つ事でその矛先はフェルグスの心臓を穿つ。

 

「ゴフッ……!?み、見事……!」

 

フェルグスは逃れられない一撃により心臓を貫かれ、そのまま地面に叩きつけられる。

 

「見事だ、クー・フーリン……完敗だ」

 

「久々にあんたと戦えて嬉しかったぜ……叔父貴」

 

クー・フーリンとフェルグスは互いを健闘を称え、そこに遊馬達が駆け寄る。

 

「クー・フーリン!」

 

「おう、マスター!終わったぜ!」

 

クー・フーリンは遊馬の頭をわしゃわしゃと掻き、フェルグスは遊馬を見つめる。

 

「良きマスターに出会えたようだな……」

 

「お陰様でな」

 

「……クー・フーリンよ、聞け。この戦の首謀者……ケルトの頭はお前を死に追いやったあの女王だ」

 

フェルグスは女王の名を明かさなかったが、それだけでクー・フーリンは誰なのかすぐに分かった。

 

「……チッ、あの女か。全く生前と変わらず面倒な奴だ。それで、俺の偽物がいるらしいじゃねえか。強えのか?」

 

クー・フーリンは女王が召喚したと思われ、自分の偽物であるクー・フーリン・オルタについて聞いた。

 

「……強い。狂王とも呼ぶべきあの男はお前ですら凌駕するほどの力を持っている」

 

「俺をも凌駕するだと……!?」

 

本物であるクー・フーリンですら凌駕する力を持つクー・フーリン・オルタ……フェルグスの嘘のない真実に遊馬達は戦慄する。

 

「クー・フーリン……近々、お前に深い縁のある者が来るだろう」

 

「俺に深い縁?」

 

フェルグスはその者の名を敢えて明かさないが、どうやらクー・フーリンにとって深い縁のある人物もサーヴァントとして召喚されているらしい。

 

「その者と再会したその時の、お前の驚いた顔を是非とも見てみたいが、それも叶わぬ事だ……」

 

「叔父貴……」

 

フェルグスは安らかな表情を浮かべて消滅し始めた。

 

消滅する前に遊馬はフェルグスに聞きたいことがあった。

 

「フェルグス!一つ教えてくれ!赤い髪をした女の子、シータって言うんだけどその子を知らないか!?」

 

遊馬はラーマの代わりにシータの情報を聞き出そうとした。

 

「シータ……?赤い髪の女子なら見たことはある」

 

「何処だ!?」

 

「……ふむ、いいだろう。女王が立てた作戦の中でもあれは不快なものの一つだからな」

 

フェルグスはクー・フーリンと戦えたことの喜びと女王の作戦に不快があった事を踏まえて素直にシータの情報を伝えたい。

 

「西へ戻れ。アルカトラズ島。そこにシータという女子がいるかも知れん」

 

「アルカトラズ島って、あのアメリカで有名な脱獄不可能って言われた監獄島!?」

 

「信じるも信じないも、お前達次第だ」

 

「……分かった、フェルグス。あんたは女好きだけど、嘘をつかない奴って何となく分かるからさ」

 

「……本当に面白い少年だ。クー・フーリンよ、この少年を死なすなよ?将来がとても楽しみだ」

 

「当たり前だ。叔父貴、また会おうぜ」

 

「ああ……また会おうぞ、我が友よ!クハハハハ!!」

 

フェルグスはクー・フーリンとの再会を願いながら消滅した。

 

地面にフェイトナンバーズが置かれ、クー・フーリンは拾い上げるとそのまま遊馬に投げ渡す。

 

「頼むぜ、マスター。叔父貴は面白え男だからな」

 

「おう。そう言えばクー・フーリンの女好きって、もしかして叔父さん譲り?」

 

叔父と甥で女好きという共通点から遊馬はそう考えたがクー・フーリンは真っ先に反論する。

 

「んなわけあるか!?ケルトの男はだいたいあんな感じなんだよ!!女でもやべえ奴は大勢いるしよ!!」

 

「そうなの?大丈夫かよ、ケルト神話の皆さん……」

 

遊馬はケルト神話の人たちの異常さの一端を知りつつ、頭を切り替えてネロに話しかける。

 

「ネロ、話はマシュ達から大体聞いたな?」

 

「もちろんだとも!ここにハリウッドを築こうと思ったが、ユウマが戦うのならば余も共に行こう!そして、エリザベートとアメリカ横断ツアーで歌と名声を轟かせるのだ!!」

 

「その意気よ、ネロ!初ライブは成功したし、この調子でどんどん行きましょう!」

 

『『『お願いだからヤメテ(ください)!!!』』』

 

マシュ達はこれ以上自分たちの精神が崩壊して消滅しないようにネロとエリザベートの無自覚な凶行を止めようと心に誓った。

 

しかし、本来ならば止めるべき存在であるマスターの遊馬もノリノリで加担しているので説得はほぼ不可能。

 

全力で阻止するか、全力で逃げるか……マシュ達にはそれしか方法は無かった。

 

 

かっとび遊馬号に戻った遊馬達はシータの情報をラーマに伝えるが、居ても立っても居られないラーマは予想通り、飛び出して行こうとした。

 

しかし、そこはナイチンゲールの鬼のような形相を浮かべながらアサシンの如くラーマを捕獲し、無理矢理ベッドに寝かせてロープでぐるぐる巻きにして動けなくする。

 

とりあえず遊馬はアルカトラズ島の近くにいる百貌のハサンに連絡して情報収集をしてもらい、すぐにアルカトラズ島に向けてかっとび遊馬号を発進させた。

 

数十分後にアルカトラズ島から離れた浜辺に到着し、そこで合流した百貌のハサンから情報を聞く。

 

アルカトラズ島には刑務所があり、そこへ通ずる道にはワイバーンが多く配置されていた。

 

D・ゲイザーの望遠モードで確認したところ、ボヤけてあまりよく見えないが刑務所の前に一人のサーヴァントと思われる者が門番のように座っていた。

 

それだけならまだ良いが、刑務所の中には巨大な竜種が眠っていた。

 

「巨大なドラゴンって言ってもファヴニールほどじゃないと思うけどな」

 

「だとしても、これでは飛行船でアルカトラズ島には近づけられないな。この飛行船には武装が一切備わってないからな」

 

かっとび遊馬号こと皇の鍵の飛行船はあくまで世界各地と異世界を渡るために作られたものなので、武装は一切備わっていない。

 

遊馬とアストラルも思い入れのある大切な飛行船を兵器にはしたくないので、武装は今後も付けることはない。

 

「それじゃあ海を渡って正面から堂々と行きますか!」

 

「では、ブラック・コーン号で行きますか?」

 

マシュは第三特異点でアストラルが召喚した船のナンバーズ、『No.50 ブラック・コーン号』を思い出した。

 

「いや、今回はワイバーンが一斉に襲ってくることも考えられる。ブラック・コーン号よりも攻撃性のあるナンバーズを呼ぶ」

 

アストラルは新たなナンバーズを遊馬に渡す。

 

「なるほどな、こいつか……よし!みんな、これで海を渡って行くぜ!」

 

遊馬は召喚条件に必要なモンスターを召喚し、海を渡るためのモンスターを呼び出す。

 

「レベル4のモンスターでオーバーレイ!エクシーズ召喚!」

 

海にモンスター達が光となって地面に吸い込まれ、光の爆発を起こすと、海が震えて轟音が鳴り響く。

 

「大海を切り裂け、革命の戦艦!世界を震撼させ、勝利の砲弾を撃ち鳴らせ!!」

 

海中から大きな影が浮き上がり、勢い良く浮上して水飛沫を巻き上げた。

 

「出撃せよ!『No.27 弩級戦艦 - ドレッドノイド』!!」

 

海から現れたのは世界各地にも配備されている巨大な近代戦艦だった。

 

戦艦の上部には沢山の大砲が備わっており、迎撃も充分に可能だ。

 

「す、凄いです!これならワイバーンが襲ってきても対処出来ます!」

 

「よし!みんな!ドレッドノイドに乗り込め!」

 

遊馬に続いてマシュ達も意気揚々とドレッドノイドに乗り込む。

 

「おいおい、何者なんだよあの少年は……規格外にも程があるでしょう……」

 

そんな遊馬の姿を見て、それなりに聖杯戦争をくぐり抜けたロビンフッドはここまで規格外なマスターは初めてだとため息をついてしまった。

 

ドレッドノイドに乗り込み、船長である遊馬の指示でアルカトラズ島に向けて発進した。

 

すると、見たことない物体が近づいてきて興奮させたのか、アルカトラズ島からワイバーン達が一斉に襲いかかってきた。

 

「遊馬、迎撃だ!」

 

「分かってる!ドレッドノイド、主砲用意!!」

 

ドレッドノイドに備わっている主砲が自動で動き、空を飛んで向かってきたワイバーンに向けて照準を合わせる。

 

「ドレッドノイドキャノン、撃ぇっ!!!」

 

ドレッドノイドの主砲から一斉にレーザービームが発射され、ワイバーン達を次々と撃退していく。

 

流石にドレッドノイドだけに任せるわけにはいかないと、ロビンフッドとビリーが甲板に出てアーチャークラスとしての威厳を出すために弓矢と二丁拳銃でワイバーンを狙撃していく。

 

ドレッドノイドとロビンフッドとビリーのお陰で無事にアルカトラズ島に上陸することが出来、ワイバーン達もあらかた片付ける事が出来た。

 

ドレッドノイドを消し、遊馬はデッキをシャッフルして再びデュエルディスクを起動させると……。

 

『グォオオオオオオオオッ!!!』

 

アルカトラズ刑務所から咆哮が轟いた。

 

建物内から飛び出したのは報告にあった巨大な竜種だった。

 

「来やがったか!」

 

遊馬はすぐに竜種を倒そうとしたが、レティシアが前に出た。

 

「レティシア?」

 

「遊馬、あいつは私にやらせて!」

 

「えっ!?」

 

「元竜の魔女として、あいつを倒す!じゃないと、竜皇の巫女なんて名乗れないでしょ?」

 

これはレティシアのドラゴンを愛するが故の譲れないプライドであるが、遊馬はレティシアの意思を尊重してカードを引く。

 

「分かった。行くぜ、レティシア!俺のターン、ドロー!魔法カード『増援』!デッキからレベル4以下の戦士族を手札に加え、自分フィールドにモンスターがいない時、手札から『フォトン・スラッシャー』を特殊召喚!更に『ゴゴゴゴーレム』を通常召喚!レティシア!」

 

「頼むわよ、遊馬!」

 

レベル4のモンスターが2体並び、レティシアを呼ぶと漆黒の炎を放ってドラゴンの頭を狙って直撃した。

 

炎と煙で目くらましをすると遊馬の元へ走り、光の粒子になりながらフェイトナンバーズに入る。

 

「レベル4のフォトン・スラッシャーとゴゴゴゴーレムでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

二体のモンスターが光となって地面に吸い込まれると、光の爆発と同時に漆黒の炎が吹き荒れる。

 

「新たな生を受けし黒き炎を纏いし乙女よ、数多の竜の加護をその身に受け、未知なる未来を突き進め!現れよ、『FNo.62 竜皇の巫女 レティシア』!!」

 

現れたのは銀河眼の光子竜皇を模した装甲を装着したレティシアで召喚されると同時に美しい銀河の輝きを放つ半透明な双翼を展開して空を飛ぶ。

 

「レティシアの効果!エクシーズ召喚に成功した時、エクストラデッキからドラゴン族・海竜族・恐竜族・幻竜族のモンスターエクシーズを3枚選択し、ランダムに1枚選択したカードをレティシアの装備カードにする!レティシアの攻撃力はこの効果で装備したモンスターの攻撃力の半分の数値分アップし、エンドフェイズ時まで装備したモンスターの効果を得る!」

 

遊馬はデッキケースを開いて3枚の竜のモンスターエクシーズを選び、レティシアの元に投げ飛ばす。

 

宙に浮いた3枚のモンスターエクシーズの中から裏向きで1枚選び、そのカードを掲げる。

 

レティシアは選んだカードを上に投げ飛ばすと現れたのは機械のような漆黒のボディに真紅のラインが無数に刻まれたドラゴン。

 

「力を借りるわね、時空を統べるドラゴンちゃん♪」

 

レティシアが引き当てたのは時を司る伝説のドラゴン、銀河眼の時空竜。

 

銀河眼の時空竜の幻影がレティシアの背後に降り、その体が黒い光の粒子となってレティシアの体に纏うと、銀河眼の光子竜皇の鎧が消滅して代わりに銀河眼の時空竜を模した鎧と双翼が装着される。

 

「銀河眼の時空竜の攻撃力は3000!よってレティシアの攻撃力は2000+3000÷2で合計3500となる!」

 

レティシアの手には装着した鎧と同じ銀河眼の時空竜を模した漆黒に真紅のラインが刻まれた刀身を持つ妖しい輝きを放つ刀が現れた。

 

それは銀河眼の光子竜皇の宝剣と対を成す、まさしく妖刀と呼ぶに相応しい刀だった。

 

「バトルだ!この瞬間、レティシアに装備された銀河眼の時空竜の効果!オーバーレイ・ユニットを1つ使い、このカード以外のフィールドの全ての表側表示モンスターの効果は無効化され、その攻撃力・守備力は元々の数値になる!タキオン・トランスミグレイション!!」

 

オーバーレイ・ユニットを妖刀に取り込み、そのまま空間を切り裂くように振るうと、衝撃波が無数に広がり、ドラゴンの力が弱まっていく。

 

「今だ!レティシアで攻撃!」

 

「喰らいなさい、タキオン・スパイラル・スラッシュ!!」

 

両手で持った妖刀から紫色の旋風が巻き起こり、ドラゴンの真上から振り下ろし、膨大なエネルギーが秘められた旋風によってドラゴンは地面に叩きつけられてそのまま倒されてしまった。

 

レティシアは地面に降り、自ら倒したドラゴンの頭を軽く撫でながら言葉をかけた。

 

「安らかに眠りなさい……」

 

ドラゴンの空いた目を手で閉じさせた……その時だった。

 

「やるじゃねえか、嬢ちゃん!まさかあいつをたった一騎で倒しちまうとはな!」

 

突然現れたのは全身に大きな傷跡を持つ筋骨隆々とした戦士だった。

 

「ん?あんたは……」

 

レティシアはルーラーの真名看破でその戦士の真名を看破した。

 

「なるほどね……英文学最古の叙事詩の主人公にして、歴史に名を馳せるドラゴンスレイヤーの一人……ベオウルフね」

 

ベオウルフ。

 

英文学最古の叙事詩『ベオウルフ』の主人公で巨人やドラゴンと戦った戦士だ。

 

「俺の真名を看破したってことは、ルーラーだな?嬢ちゃん、俺の真名を知ったんだから、お前のも教えろよ?」

 

「いいわ。私の名前はレティシア。まあ、オルレアンの聖女、ジャンヌ・ダルクの偽物として生まれた虚無の存在よ」

 

「虚無の存在?ガハハハッ!面白え嬢ちゃんだな、それでこいつを……しかも竜の力を纏って倒すなんて益々面白えな!!」

 

「お褒めに預かり光栄だわ。それで、私たちが此処に来た目的だけど、そこの刑務所に囚われている赤毛のお姫様を助けたいのよ。通してくれるかしら?」

 

「残念だが、俺は姫様を解放するつもりはない」

 

「可笑しいわね……あなたは王として私利私欲へ走らず、真っ当かつ穏健に国を治めて、何より民のために命を賭して戦う英雄だったはずよね?」

 

「確かにそうだが、今の俺はこのアルカトラズ刑務所の番人みたいなものだ。通りたかったら、力を見せな!!」

 

ベオウルフは目を野獣のように輝かせた瞬間にレティシアの間合いに入った。

 

「なっ!?」

 

「女と言えど容赦はしないぜ。それに、今のお前は竜の力を纏っている……大嫌いな竜なら尚更ぶっ潰す!!」

 

ベオウルフは両手に二振りの異なる形をした魔剣の宝具を呼び出してレティシアに激しい攻撃を繰り出す。

 

「くっ!??」

 

レティシアは妖刀で必死に防御を固めようとするが、あまりにも激しい攻撃に妖刀は砕け散ってしまった。

 

「時空竜の、妖刀が……!?」

 

更にはその身に纏っていた鎧も大破してその場から思いっきりぶっ飛ばされる。

 

「ガハッ!??」

 

「レティシア!!」

 

「レティシアさん!!」

 

ぶっ飛ばされるレティシアを遊馬とマシュが二人掛かりで何とか受け止める。

 

「レティシア、大丈夫か!?」

 

「遊馬君、レティシアさんのカードが……」

 

遊馬のデュエルディスクに召喚してあったレティシアのフェイトナンバーズが勝手に宙に浮いてそのまま墓地へと送られた。

 

「どうやら、フェイトナンバーズとしてのレティシアが戦闘破壊されたようだ……」

 

アストラルは初めての出来事であるフェイトナンバーズの破壊を冷静に分析する。

 

「そのようね……私の体から、ドラゴンの力が抜け落ちたみたいだし……」

 

レティシアは体中に強い痛みを覚えながら何とか立ち上がり、旗を杖代わりにする。

 

「悪いな、嬢ちゃん。竜はぶっ潰さなければ気が済まないからな!」

 

「ちっ……流石は竜殺しの英霊と言ったところね……」

 

ベオウルフにはジークフリートとは違い、同じ竜殺しだが竜特攻の力はない。

 

それでも年老いてから国を襲った火竜を倒す為に相打ちした竜殺しとしての伝説は紛れも無いもので、レティシアも敵ながら感心してしまった。

 

「さあ、どうした?次戦うのはどいつ──」

 

「『羅刹を穿つ不滅(ブラフマーストラ)』!!!」

 

突如、炎の輪が勢い良く飛んでベオウルフをぶっ飛ばした。

 

「なんとぉ!?」

 

不意打ちにベオウルフも虚を突かれ、ギリギリのところで魔剣で防いだが、全ては防ぎ切れずに炎による痛手が体中に襲う。

 

「なんだテメエ、育ちの良い顔をしやがって不意打ちか!面白いじゃねえかチクショウ!」

 

ベオウルフは不意打ちをした者……それは心臓に重傷を負いながらも宝具を放ったラーマだった。

 

ラーマはナイチンゲールの制止を振り切ってベオウルフを倒す為に宝具を放ったのだ。

 

「うるさい、邪魔だ!そこを退け!馬に蹴られないだけマシだと思え!余の妻が待っているのだ!!手段なんぞ選んでいられるかっ!」

 

ラーマは戦いの矜持など関係なく、愛する妻──シータを助ける為に文字通り命を懸けて立ち上がっているのだ。

 

「ハ──はは、そりゃあそうだ!確かにコイツは俺が悪い!悪党を気取ってみたが、今の俺は悪党どころが三下だった!」

 

その純粋で勇ましい姿にベオウルフは心を打たれて笑い飛ばした。

 

しかし、それに対して遊馬だけは違った。

 

「ラーマ……」

 

バキッ!!

 

「カハッ……!?」

 

遊馬は突然ラーマを殴り飛ばし、その行為にマシュ達は驚いた。

 

「貴様……何を……!?」

 

「ナイチンゲール!そこの大馬鹿重傷人の治療を!」

 

「お、大馬鹿だと……!?」

 

「お任せ下さい。ラーマ、大人しくしてください。全く、その体で宝具なんて使うからまた心臓が大きく破れてきたじゃないですか!」

 

ナイチンゲールは声に怒りを含ませながらラーマの抉れた心臓の再治療を開始した。

 

宝具を使って反動で損傷が酷くなった心臓を塞いでいく。

 

治療を受けているラーマに対し、遊馬は厳しい言葉をかけた。

 

「ラーマ、お前がシータを取り戻したい気持ちは俺にも良く分かるよ。俺も同じようなことがあったから。だけどな、それでお前が無茶をして倒れたらどうするんだ?一番悲しむのは誰だ?」

 

「そ、それは……」

 

「自分を助けるために無茶をして倒れて、それで消滅したら……シータは悲しんで自分を責めるんじゃねえか?」

 

「くっ……」

 

遊馬はシータの事は会ったこともないので知らないのは当然だが、それでも分かることがあり、ラーマはシータを心の底から深く愛している。

 

そんなシータもラーマの事を愛しているだろう。

 

「お前はそこで大人しくしていろ。心配するな、シータに必ず会わせてやる。約束だ!」

 

遊馬はラーマとシータを必ず会わせるという確固たる決意をし、グッドサインをラーマに見せる。

 

そして、レティシアもラーマに言葉を掛ける。

 

「ラーマ、あんたの事は生意気小僧だと思っていたけど、見直したわ」

 

旗を広げて思いっきり振り、先端をベオウルフに向ける。

 

「あんたの一番大切な人を愛し、会いたい気持ちは私が守る。少し待ってなさい……今からコイツをぶっ飛ばすから!!」

 

ラーマのシータへの不変で不朽の愛と一途な想い

 

たった一人を愛する想いにレティシアは感銘を受け、その心を成長させる。

 

「ベオウルフ、覚悟しなさい……あんたは私が必ずぶっ飛ばす!!」

 

「ハッ!出来るものならやってみな!」

 

「必ず……勝つ!私達の未来の為にも、ラーマとシータの為にも!!」

 

「レティシア……ん?何だ……?」

 

レティシアの覚悟と決意に共鳴するかのように遊馬のデッキケースが開くと一枚のカードが飛び出た。

 

それは遊馬とアストラルは知らなかったが、レティシアが城でエジソンに啖呵を切った時にレティシアのフェイトナンバーズから現れたカードだった。

 

遊馬がそのカードを手に取ると、カードに真名とイラストと効果が現れて、一枚のモンスターエクシーズとして完成した。

 

イラストにはレティシアが風に靡く皇の鍵が描かれた旗を背に見覚えのある数多のドラゴンの影が描かれているものだった。

 

レティシアの心の大きな成長によってカードが完成したのだ。

 

「これは……レティシアの新しい力!だけど……」

 

レティシアの新しい力……それは今までの力を遥かに超えたものであるが、大きな問題点があった。

 

それはその力を使う為の『(キーカード)』と言う名の、召喚するために必要なカードがデッキに入っていないどころか、存在していないのだ。

 

不安げな表情を浮かべる遊馬に対し、レティシアは声を張り上げて叱咤した。

 

「遊馬!そんな見っともない顔をしないの!力が無いなら作れば良い!あんたは私たちの想像もつかない奇跡を何度も起こした……諦めるな!あんたなら、出来る!かっとビングよ、遊馬!」

 

レティシアの嫉妬にハッと気付かされた遊馬は気合いを入れる為に両手で自分の頰を思いっきり叩き、気合いを入れた。

 

「レティシア……悪い、そうだったな。こんな時にそんな大事なことを忘れるなんて俺らしくもないな。見せてやるぜ、俺のかっとビングを!俺の……ターン!」

 

「あの光は……!」

 

遊馬は精神を集中して右手に聖なる光を輝かせる。

 

それは遊馬とアストラルが使える奇跡の力。

 

ラーマをシータに会わせる為、レティシアの想いに応える為に遊馬は己の限界を超えて奇跡を起こす。

 

「最強デュエリストのデュエルは全て必然!ドローカードさえも、デュエリストが創造する!シャイニング・ドロー!」

 

シャイニング・ドローにより遊馬は新たなカードを創造すると同時に勢いよくドローした。

 

遊馬が創造したカード、それはレティシアの新たな力を導くキーカード。

 

「まずはこいつだ!魔法カード『グローリアス・ナンバーズ』!自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分の墓地の「No.」Xモンスター1体を特殊召喚する!復活せよ、『FNo.62 竜皇の巫女 レティシア』!!」

 

墓地からレティシアのフェイトナンバーズを蘇生させると、レティシアに再び鎧が装着される。

 

「デッキから1枚ドローする!更にグローリアス・ナンバーズの更なる効果!墓地のこのカードを除外し、自分の手札1枚を自分フィールドの「No.」Xモンスター1体のオーバーレイ・ユニットにする!」

 

グローリアス・ナンバーズの効果でドローしたカードをすぐにレティシアのオーバーレイ・ユニットに変換した。

 

「行くぜ、レティシア!」

 

「来なさい、遊馬!」

 

これで全ての準備が整い、遊馬は祈りを込めてそのカードを発動する。

 

「俺は手札から速攻魔法!『RUM(ランクアップマジック) - リミテッド・フェイト・フォース』を発動!!」

 

それは遊馬が初めて自ら生み出した新たなランクアップマジック。

 

イラストには遊馬の令呪の形である皇の鍵に『X』が重なったものに加え、その力を制限するかのような装飾が施されていた。

 

「このカードは自分フィールド上のモンスターエクシーズ1体を選び、選んだモンスターよりもランクが1つ高い「FNo.」を選択したモンスターエクシーズの上に重ねてX召喚する!」

 

カードから放たれたランクアップマジックの光を宿したレティシアは目を静かに閉じ、その体が光となって天に昇った。

 

「ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!今こそ顕現せよ、FNo.62!」

 

上空に『62』のナンバーズの刻印が輝き、空間に無数の次元の歪みが現れ、その中から数多のドラゴンの魂が姿を現わす。

 

「無限に広がり、数多の世界に眠りし竜の魂たちよ、竜を愛する少女へ大いなる力を集わせ、未来への扉を開く!!」

 

ドラゴンの魂達が一斉にレティシアの元に集結する。

 

その力を一つに合わせ、数多の竜を統べ、その強大な力を行使する『皇后』が降臨する。

 

「降臨せよ、『竜皇(りゅうおう)天后(てんごう) レティシア・ドラゴニックエンプレス』!!!」

 

光が爆発し、遊馬の前に降り立ったのは今までとは全く違う姿のレティシアだった。

 

髪は足元近くまで長いロングヘアーとなり、衣装は漆黒の軽装の鎧から漆黒のドレスに変わり、その上から銀河眼の光子竜皇を模した軽装の鎧が重なるように装着していた。

 

そして驚くべきことにレティシアの胸元には遊馬の持つ皇の鍵の色違いのペンダントがキラリと輝いていた。

 

遊馬のが黄金のペンダントに翠玉が埋め込まれているのに対し、レティシアのは黒曜石のような綺麗な黒いペンダントに紅玉が埋め込まれていた。

 

マシュ達は今のレティシアの姿を見て言葉を失った。

 

まるで今のレティシアはその名の通り、皇后のように美しく、神々しい輝きを放っていた。

 

「美しい……まるで美の女神だ……」

 

美を愛するネロですらレティシアの美しさに女神と思うほど見惚れて心が奪われるほどだった。

 

「遊馬、一気に行くわよ」

 

「……ああ。頼むぜ、レティシア!」

 

遊馬も呆然として見ていたが、レティシアに言われて調子を取り戻し、ランクアップしたレティシアの効果を使う。

 

「レティシア・ドラゴニックエンプレスの効果!1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ使い、墓地・エクストラデッキからドラゴン族・海竜族・恐竜族・幻竜族のモンスターエクシーズを2枚まで選択し、このカードの装備カードにする!」

 

遊馬はエクストラデッキと墓地から1枚ずつ選択してレティシアの装備カードにする。

 

「宇宙創造の力を秘めし、銀河の眼を持つ二体のドラゴンよ!レティシアにその大いなる力を与えよ!レティシアにエクストラデッキから銀河眼の光子竜皇、墓地から銀河眼の時空竜を装備!」

 

レティシアの両サイドに宇宙創造の力を秘め、宇宙最強のドラゴンである対を成す銀河眼が同時に現れる。

 

「レティシアは装備したモンスターエクシーズの攻撃力の半分を得る!更にエンドフェイズ時までこのカードはこのターンに装備したモンスターエクシーズの名前と効果を得る!!」

 

レティシアに力を与える為に銀河眼の光子竜皇は宝剣、銀河眼の時空竜は妖刀に形を変え、それぞれをレティシアは両手で持ち、全く形の異なる剣と刀の二刀流となった。

 

そして、レティシアの攻撃力は自身の攻撃力は3000でそこに銀河眼の光子竜皇の攻撃力の半分の2000に、銀河眼の時空竜の攻撃力の半分の1500で、合計攻撃力は6500となった。

 

その神々しい美しい姿と全てを滅ぼすことも出来る強大な竜の力を秘めたレティシアにベオウルフも呆然とした。

 

「まさか、竜の力をここまで……面白えじゃねえか、嬢ちゃん!!」

 

ベオウルフの闘志が激しく燃え上がり、二振りの魔剣から膨大な魔力を放出する。

 

レティシアも負けじと宝剣と妖刀から魔力を放出して走り出す。

 

バトルフェイズになり、遊馬はレティシアの更なる効果を発動する。

 

「レティシアの更なる効果!装備したモンスターエクシーズのX素材を使用した効果をX素材を使用しないでそれぞれ1度ずつ発動することが出来る!」

 

ランクアップしたレティシアは装備したモンスターエクシーズのオーバーレイ・ユニットを使った効果をも自由自在に操ることが出来る。

 

「銀河眼の時空竜の効果!バトルフェイズ開始時にこのカード以外のフィールドの全ての表側表示モンスターの効果は無効化され、その攻撃力・守備力は元々の数値になる!」

 

「タキオン・トランスミグレイション!」

 

銀河眼の時空竜の妖刀が怪しく輝き、衝撃波を放つと自身以外の全ての効果を無効にする。

 

「うぐっ!?こいつは……!?」

 

それによりベオウルフの力も半減して上手く使えなくなってしまった。

 

「更に、銀河眼の光子竜皇の効果!戦闘を行うダメージ計算時に1度、攻撃力はそのダメージ計算時のみ、フィールドのXモンスターのランクの合計×200アップする!レティシアのランクは5!攻撃力は1000ポイントアップする!」

 

次に銀河眼の光子竜皇の宝剣が美しく輝き、レティシアの力を更に高める。

 

攻撃力6500に加えて1000ポイントアップし、合計攻撃力は7500となる。

 

「ベオウルフ……あんたには恨みはないわ。だけど、私たちの大切な仲間の、一番大切な人を取り戻す為にあんたをぶっ飛ばす!!」

 

宝剣と妖刀の二つの刃が最高潮にまで輝く。

 

カルデア最強の二刀流剣士、武蔵の動きを思い出しながらレティシアは全身の力をフルに使い、宝剣と妖刀を振るう。

 

「ダブル・ギャラクシー・エクストリーム!!!」

 

未来を司る銀河眼の光子竜皇の宝剣と、過去を司る銀河眼の時空竜の妖刀が煌めき、怒涛の連続攻撃がベオウルフを襲う。

 

「はぁあああああっ!!!」

 

最後の一撃がベオウルフを薙ぎ払い、ぶっ飛ばされてそのまま刑務所の扉を打ち抜いて破壊した。

 

「……よっしゃあ!!!」

 

レティシアは興奮してテンションが上がりまくり、宝剣と妖刀を掲げた。

 

ベオウルフを倒し、囚われのシータに会いに行ける……そう思ったその時だった。

 

「ハハハッ!やるじゃねえか、嬢ちゃん!」

 

破壊されて瓦礫となった扉からベオウルフが出て来た。

 

「おいおい、嘘だろ……!?」

 

「そんな……私の攻撃が効いてないの!?」

 

「いいや、効いたさ……その証拠に……ウグッ……!?」

 

ベオウルフの二振りの魔剣は砕け散って消え、ベオウルフ自身もダメージを受けてその場で膝を着く。

 

「……銀河眼の光子竜皇のデメリット効果が影響を与えたか」

 

「銀河眼の光子竜皇のデメリット効果……?あっ!」

 

アストラルに言われ、遊馬は思い出した。

 

銀河眼の光子竜皇は戦闘においてはとても強い効果を発揮するが、大きなデメリットがある。

 

それはオーバーレイ・ユニットに銀河眼の光子竜皇の元となるモンスターである銀河眼の光子竜がいないと、相手に与えるダメージが半減してしまうのだ。

 

それが銀河眼の光子竜皇を装備してその効果を得たレティシアにも適応されてしまい、ベオウルフに与えるダメージが半減した。

 

そして、ベオウルフは二振りの魔剣を犠牲にすることでなんとか生き延びることに成功したのだ。

 

「だけど、剣を失ったあんた相手ならいける!」

 

レティシアはベオウルフの宝具を破壊したことで戦闘力もガタ落ちし、一気に攻めれば勝てると思った。

 

しかし、ベオウルフは不敵の笑みを浮かべていた。

 

「おいおい、何を勘違いしてやがる?確かに剣は失ったが……寧ろ俺の本当の武器は別にあるぜ?」

 

「ハッ、負け惜しみ?そんなのみっともな──っ!?」

 

レティシアはベオウルフの言葉の意味を理解し、強い緊張感を覚えながら宝剣と妖刀を構え直した。

 

ベオウルフは剣を操る英霊であるためセイバークラスへの適性も有している。

 

しかし、彼の武勇伝では剣そのものよりも、『己の肉体そのものを最大の武器』として戦っていた。

 

バーサーカークラスとして召喚されているからこそ、肉体の戦いがベオウルフの本領発揮なのだ。

 

しかし、ベオウルフは握りしめた拳を解いて闘志を静かに収めた。

 

「もっと戦いたいところだが、今回は俺の負けだ」

 

「えっ……?」

 

ベオウルフの突然の敗北宣言にレティシア達は呆然とする。

 

「嬢ちゃん、さっきの一撃は久々に効いたぜ。通りな、囚人のお姫様には指一本触れちゃいねえ。華奢過ぎて、触っただけで折れそうだったんでな」

 

ベオウルフは指笛を吹くと刑務所に待機していたワイバーンを呼び出し、ジャンプしてその背に乗る。

 

「この刑務所はお前らにくれてやる!早くお姫様の元に向かいな!」

 

「ベオウルフ……」

 

「またどこかの戦場で会おうぜ、あばよ!」

 

ベオウルフは清々しい表情を浮かべながらワイバーンと共に何処かへと飛んで行ってしまった。

 

ベオウルフは確かに敵だったが、レティシアは何処か嫌いになれなかった。

 

味方として召喚されれば良い関係を築けたのではないかと思った。

 

「行きましょう……」

 

「そうだな。ラーマ、もうすぐシータに会えるぞ!!」

 

「ああ……シータ……もうすぐだ……!」

 

シータはナイチンゲールから一通りの治療を受けて立ち上がり、刑務所へ向かう。

 

薄暗く気味の悪い刑務所を進み、レティシアは微かに感じるサーヴァントの気配を読み取って囚われている場所を突き止めた。

 

「ここよ!!」

 

レティシアは独房の扉を斬り裂き、近くにあったロウソクに火をつけた。

 

ロウソクの灯りに照らされ、そこに囚われていたのはラーマと同じ美しい赤い髪をした儚げな雰囲気を漂わせる美少女だった。

 

「ラーマ様……?」

 

ラーマの妻で残酷な運命によって引き裂かれた悲劇の少女……シータ。

 

遂にラーマとシータが再会を果たす時が来たのだが……運命の呪いが二人の邪魔をする。

 

「やっと、この時が来たか……」

 

二人の運命は奇跡を起こす幼きマスターである遊馬の手に託された。

 

 

 




レティシアちゃんが初のフェイトナンバーズ、ランクアップを果たしました!
レティシアちゃんがある意味、マシュとは別に遊馬と強い絆で結ばれているので先にそちらをランクアップしました。
マシュちゃん、待ってて!君はもう少しだから!

今回のフェイトナンバーズはこんな感じです。

『FNo.62 竜皇の天后 レティシア・ドラゴニックエンプレス』
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/闇属性/戦士族/攻3000/守2500
レベル5モンスター×3体
このカードはルール上、「ジャンヌ」モンスター、光属性としても扱う。
このカードは装備したモンスターエクシーズの攻撃力の半分アップする。
このカードが「FNo.62 竜皇の巫女 レティシア」をX素材としている場合、以下の効果を得る。
1ターンに1度、X素材を1つ取り除き、墓地・エクストラデッキからドラゴン族・海竜族・恐竜族・幻竜族のモンスターエクシーズを2枚まで選択し、このカードの装備カードにする。エンドフェイズ時までこのカードはこのターンに装備したモンスターエクシーズの名前と効果を得る。また、X素材を使用した効果をX素材を使用しないでそれぞれ1度ずつ発動することが出来る。この効果は相手ターンでも発動出来る。
お互いのエンドフェイズ終了時に発動する。このカードに装備したモンスターエクシーズを1枚を除外する。



『RUM - リミテッド・フェイト・フォース』
速攻魔法
自分フィールド上のモンスターエクシーズ1体を選択して発動できる。選択したモンスターよりランクが1つ高い「FNo.」と名のついたモンスター1体を選択した自分のモンスターエクシーズの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

レティシアちゃんは竜皇の巫女の力を進化させた感じで強くしました。
銀河眼の時空竜はせっかくなので妖刀にしました。
理由は銀河眼の光子竜皇と対を成すのと、水着のジャンヌオルタちゃんが何故か日本刀を持っていたので。
あの日本刀、いつの間に用意したんだろう……?といつも疑問に思ってます。

リミテッド・フェイト・フォースはまだリミテッドなので正式版をいつか出します。
まあこれでも速攻魔法だからかなり強いですが(笑)

次回はいよいよラーマとシータを再会させる為に遊馬くんが頑張ります!
あの猿は面倒極まりないですからね。

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