Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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更新が遅れてしまい申し訳ありません。
体調を崩して仕事も忙しくてなかなか書けませんでした。
更に今回の話は書くのが難しかったので余計大変でした。

先週はロード・エルメロイII世の事件簿の最終回で今日はFGOのバビロニア編のアニメスタートですね。
グレイちゃんとライネスちゃんとルヴィアさんを見ると事件簿コラボを書きたくなっちゃいましたね(笑)
そうなるとイベントコラボを書くのが更に大変になりますが。

さて今回はアニメZEXALの描写や設定などを元に遊馬とアナザーの真実を私なりに解釈して書いてみました。
もし何か違和感や疑問点、矛盾点などがあったらどんどんコメントください!


ナンバーズ128 開かれる真実の扉

「さて……まずは全ての始まりから説明しよう」

 

アストラル世界の風景から一転し、周囲の空間が真っ暗となりそこにいたのはアストラルともう一人……バリアン世界の神、ドン・サウザンド。

 

そして、二人の間の上には……。

 

「ヌメロン・コード……!」

 

あらゆる世界の過去・現在・未来の運命を決めることが出来る神のカード、ヌメロン・コード。

 

「知っての通り、アストラル世界がランクアップの為にカオスを排除した後、バリアン世界が生まれた。バリアン世界の神として君臨したドン・サウザンドはヌメロン・コードを手に入れようとし、アストラルはそれを阻止しようとした」

 

アストラルとドン・サウザンドはヌメロン・コードを賭けて壮絶なる戦いを繰り広げる。

 

アストラルは右手を輝かせてデュエルディスクのデッキからカードをドローする。

 

「戦いの末……アストラルは自分の全てを懸けてシャイニング・ドローをした。その衝撃でドン・サウザンドを撃退する事が出来たが、アストラルもその衝撃で深傷を負った。しかし……その時に予想外の事が起きた」

 

アストラルとドン・サウザンドが同時に吹き飛ばされ、ドン・サウザンドはその力の大半を失った。

 

しかし、アストラルもただでは済まなかった。

 

アストラルの体が二つに分かれ、青い光と赤い光になってまるで反発し合うように離れていってしまった。

 

「私とアストラル……その魂が二つに分かれてしまった。アストラルの力の半分がナンバーズとなり、更にはドン・サウザンドの力が封印された7枚の伝説のナンバーズと共に地球にばら撒かれた」

 

「それが古の50枚のナンバーズ……」

 

古の時代に世界各地に50枚のナンバーズがばら撒かれてしまった。

 

古のナンバーズは後の様々な時代の人間に大きな影響を与えていく事となる。

 

「だが、ナンバーズだけでなくヌメロン・コードもその時の衝撃で世界の何処かへと消えてしまった。そして、50枚の内、2枚のナンバーズが地球ではなく、月へと向かった」

 

「月……まさか……」

 

「そう、月には竜皇伝説の石碑があり、2枚のナンバーズはその力に引き寄せられたんだ。それこそが天城カイトが目覚めさせた『No.62 銀河眼の光子竜皇』と『No.100 ヌメロン・ドラゴン』だ」

 

ヌメロン・コードの封印を解く重要な鍵の欠片でもあるナンバーズがその時に眠りについたのだと納得した。

 

「なるほどな……古のナンバーズの疑問だったところは分かったけど、お前とアストラルはどうなった?」

 

「アストラルは力と魂を失いながらも何とかアストラル世界に流れ着き、いつかドン・サウザンドが力を取り戻して目覚め、再び戦いの時が来るまでに失われた力と魂を癒す為に深い眠りについた。そして、私は……」

 

アナザーはひとまずアストラルの過去を語り終えると、手を前に出す。

 

すると、手の中から眩い光が溢れ出し、遊馬が悩む原因となった『それ』が現れた。

 

「ヌメロン・コード……」

 

手のひらサイズの小さなものだが、確かにそれはヌメロン・コードだった。

 

「遊馬、このヌメロン・コードはアストラル世界で封印されているヌメロン・コードの極一部だ」

 

「極一部……?」

 

「アストラルと二つに分かれた時……すぐに自我が目覚めた私はとっさにヌメロン・コードに手を伸ばした。ヌメロン・コードが何処かへ消える前に手にしようと思ったが、指先しか触れる事が出来なかった。だが、その指先に触れた分だけ、ヌメロン・コードが私の中に流れ込んで一体化したのだ」

 

「それが、俺の中にヌメロン・コードがある理由か……」

 

「ああ。だが、このヌメロン・コードは本体から流れ込んだ100パーセントの内の極一部……1パーセントにも満たない小さな欠片の様なものだ。だが、欠片でも無限大に近いエネルギーが込められている。そうだな……このエネルギーで君と契約しているサーヴァントの魔力を余裕で補えるほどだ。当然、宝具をいくら使っても問題ないレベルだ」

 

流石は宇宙創造と世界の過去・現在・未来の運命を変えて決める力を持つヌメロン・コード……僅かな欠片でも膨大なエネルギーを秘めており、アナザーは引き続き説明をしていく。

 

「ヌメロン・コードには様々な世界の過去・現在・未来を変えることが出来るが、それだけではなく色々な力が込められている。世界に広がる運命、宇宙、星、物質、時間、空間、現象、生命……それらを使用者の思い描く形に自由自在に変える事ができる。そして、私が手にしたこのヌメロン・コードの欠片には『未来』を司っている」

 

「未来……?でも、欠片でも自由には使えないはずだろ?だって鍵である『No.100 ヌメロン・ドラゴン』はアストラルが持っているんだから……」

 

ヌメロン・コードだけではその力の全てを使いこなすことはできない。

 

膨大なエネルギーを得ることはできるが、アストラルが持つ『No.100 ヌメロン・ドラゴン』がヌメロン・コードを使用するための鍵である為、例え欠片でもそう簡単に使えるはずはない。

 

ドン・サウザンドでも『No.100 ヌメロン・ドラゴン』無しではヌメロン・コードの力を全て使うことは出来なかった。

 

「そうだ。だが、長い年月を経て私自身の魂と融合したことによってヌメロン・コードの欠片の力を少しずつ解放できる様になっていた。君がヌメロン・フォールや未来皇ホープを創造できたのもこの力を無意識の内に解放したからだ」

 

アナザーの指摘に遊馬は目を見開いて驚き、その時のことを思い出した。

 

一つはエリファスとのデュエル、もう一つはアストラルとのデュエル。

 

その時はアストラルを助ける為、自分自身の未来を見せるためと無我夢中だったが、アナザーの言葉で合点がついた。

 

「そうだったのか……ヌメロン・フォールにも確かにヌメロン・コードが描かれているし、アストラルの話だと未来皇ホープは希望皇ホープの未来の姿……それを俺自身が未来を司るヌメロン・コードの力を引き出したと考えれば辻褄が合う……」

 

ヌメロン・コードの力の一端を宿した唯一無二のランクダウンマジック、ヌメロン・フォール。

 

そして、遊馬自身のナンバーズ、ランクゼロのモンスターエクシーズ、未来皇ホープ。

 

それらは全て遊馬が未来を司るヌメロン・コードの力を解放したから創造することが出来たという事になる。

 

「さて、ヌメロン・コードについてはここまでにしよう。アストラルと二つに分かれ、ヌメロン・コードを宿した私はその時、幾つもののビジョンが見えたんだ」

 

「ビジョン?」

 

「それは遥か未来に起きるビジョン……カオスを排除したことでアストラル世界が衰退して滅びの道を辿り、ドン・サウザンドが自らの復活の為に大いなる魂を持つ七人の人間を選んで駒にする。そして……ヌメロン・コードを巡る壮大な戦いが始まることを……だから私は選んだ」

 

「選んだ?」

 

アナザーは遊馬に向けて静かに指差した。

 

「私が人間に転生することだ」

 

「……何でアストラルの半身のお前が人間に……俺に転生することを選んだんだ?」

 

アナザーはアストラル世界で誕生した精霊の半身。

 

それが何でアストラル世界に戻らず、人間に……九十九遊馬に転生することを選んだのか?

 

「……私は考えた。一度は退けたがドン・サウザンドは七皇の力を持っていずれ復活する。カオスを排除したアストラル世界は滅んでしまう。ドン・サウザンドを倒す為に、衰退するアストラル世界を救う為にどうしたらいいのか?」

 

因縁の宿敵と故郷の救済……それを実現させる為にアナザーはアストラル世界に戻らずに考えた。

 

「私は長い年月をかけて世界を彷徨い、様々な時代の人間の歴史を目にしてきた。そこで私は人間の持つ欲望……カオスの恐ろしさや醜さを知ると同時に奇跡のような無限の可能性を感じた。ドン・サウザンドを倒し、アストラル世界を救うにはカオスの力が必要だと確信した。そして私はある計画を考えた」

 

「計画……?」

 

遊馬は緊張から心臓の鼓動が高まり、胸を強く手で押さえた。

 

これから聞くことに対して恐怖が生まれてきた。

 

そして、アナザーの口から衝撃的な事実が告げられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いずれアストラル世界に向かえるランクアップした肉体と魂を持つ人間の夫婦の子供として、カオスの力を持つランクアップした人間として転生することだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは遊馬にとって衝撃的過ぎる事実だった。

 

その時、遊馬の脳裏には大好きな両親……九十九一馬と九十九未来の姿が浮かんだ。

 

「それじゃあ、てめぇは……人間として転生する為に、父ちゃんと母ちゃんを利用したのか!?」

 

アナザーの言うことが本当ならば九十九一馬と九十九未来の二人を利用し、自らが二人の子供として転生し、九十九遊馬として生まれた事になる。

 

「そうだな。そういう事になるな……」

 

「ふざけるな……ふざけるなぁあああああっ!!!」

 

アナザーの答えに遊馬の怒りが爆発し、玉座から立ち上がると同時に背中から双翼が生え、両手に雷神猛虎剣と風神雲龍剣が現れ、柄を強く握りしめながらアナザーに向かって走り出す。

 

怒りに任せてZWを振るい、アナザーを斬ろうとした。

 

しかし、アナザーが軽く手を振るうと地面から無数の鎖が現れて遊馬の体を縛った。

 

「くっ!?離しやがれ!!」

 

「未来皇ホープの双翼にZW二刀流……なるほど、英霊と絆を結んだ事でお前自身がホープとZWの力を引き出してランクアップしたんだな」

 

アナザーは遊馬の双翼とZW二刀流が数多の英霊と契約し、絆を結んだ事でその力を具現化させたと推測した。

 

「許さねえ……てめえだけは許さねえ!父ちゃんと母ちゃんを利用して……俺を、俺を……あぁあああああっ!!!」

 

遊馬は自分が生まれた理由がアナザーが転生する為の肉体とする為に両親を利用した事に対し、涙を流しながら叫びを上げた。

 

自分が普通の人間ではない事は薄々分かっていた。

 

しかし、自分の生まれた本当の意味を知り、今までに無いほどの怒りと悲しみが膨れ上がった。

 

「……確かに私は九十九一馬と九十九未来を利用した。だがこれだけは聞いてくれ。二人は君が私の転生者だと知っていた」

 

両親は自分がアナザーの転生者だと知っていると知り、遊馬は驚きで体の力が抜けて両手からZWが消滅し、体を縛る鎖も同時に消えた。

 

「……は?知っていたって、俺がお前の転生者って……?ど、どうして!?」

 

「君が幼い頃、九十九一馬はクレバスに落ちた事は覚えているな?その時……九十九一馬はアストラル世界に辿り着いていたんだ」

 

「っ!?やっぱり父ちゃんはあの時、アストラル世界に……」

 

クレバスから生還した時にアストラル世界の力を持つ皇の鍵を握り締めていた事から一馬はその時にアストラル世界に行っていたと気付いていた。

 

「九十九一馬はアストラル世界の大いなる意思から皇の鍵を託されたと同時に自分の息子である遊馬の正体を教えられていた。未来に起きる闘いのことも……それは九十九一馬の口から九十九未来にも知らされていた」

 

「父ちゃんと母ちゃんはもうその事を知っていた……?」

 

「遊馬、一つ質問をする。君の両親は、君の正体を知っても、君への態度、君への愛情は変わったか?」

 

アナザーの問いに遊馬は両親と過ごして来た時間を思い出す。

 

幼少期の記憶が定着してから両親が行方不明になるまで……両親は変わらずに自分に愛情をたっぷりと注いでくれた。

 

一馬は何度も一緒に冒険旅行に行き、夢に悩んでいる自分を励まして応援し、デュエルを教えてくれた。

 

未来は自分に寄り添ってくれて、暖かい温もりで抱きしめてくれて、甘える自分を優しく受け止めてくれた。

 

遊馬はアナザーの問いに首を振って否定の意思を示す。

 

するとアナザーは小さく笑みを浮かべながら次の問いをする。

 

「……遊馬、何故転生した私の意識が今まで現れなかったと思う?」

 

「それは……」

 

遊馬はその問いに答える事は出来なかった。

 

アナザーはわざわざ転生先を選んでまで九十九遊馬として転生したのに何故今まで意識が表に出なかったのだろうか……。

 

ナンバーズを巡る戦いも、バリアンとの戦いも、ドン・サウザンドの戦いも……今までアナザーが遊馬の意識を乗っ取って前に出る事は無かった。

 

「それに関しては私の誤算だった。私は九十九遊馬として生き、半身のアストラルと共に戦うつもりだった。しかし、人間は……いや、生命と言うのは実に不可解で面白い存在だ。君が私と言う存在を押さえ込んだんだからな」

 

「俺が押さえ込んだ……?」

 

「魂がそのまま肉体の表に出なかった事だ。言うなれば、君の自我、意識、意思、人格、そして心……君と言う存在が九十九遊馬と言う一人の人間として形作られた。私が付け入る隙間がないほどにな。そして、君を形作ることが出来たのは君の家族と友人のお陰だ」

 

「家族と友人が俺を……?」

 

「見たまえ」

 

アナザーが再び指を鳴らして風景を変えると、そこは遊馬も知っている場所だった。

 

「ハートランド病院……?」

 

そこはハートランドシティの病院で遊馬も怪我で入院したことのある場所だった。

 

その一室で……一つの家族に新しい命が生まれていた。

 

それは産まれたばかりの小さな赤ん坊だった。

 

「あれは……生まれた時の俺……?」

 

今から約13年前……遊馬がまだ産まれたばかりの時だった。

 

赤ん坊の遊馬を抱いていたのは同じく約13年前の今より少し若い母の未来でその周りを九十九家の家族たちが見守っていた。

 

「未来、ありがとう!俺達に……息子を……遊馬を産んでくれて……!」

 

「父ちゃん……」

 

一馬は念願だった息子が産まれ、自分の名前の一部を与えて遊馬と名付け、嬉しさが込み上げて涙が溢れ出ていた。

 

「私の、私の弟だ!私が今日からお姉ちゃんだ!」

 

「姉ちゃん……」

 

それはまだ小学校に上がったばかりの明里は弟が出来て姉となって嬉しそうに遊馬の柔らかい頰を指でぷにぷにと押していた。

 

「私は幸せ者だね。可愛い孫娘に続いて、可愛い孫が出来たからの〜。遊馬、いっぱいご飯を食べて、自分の好きな事を精一杯やって大きくなるんだよ」

 

「婆ちゃん……」

 

男の子の孫が無事に産まれて来て、春は満面の笑みを浮かべながら遊馬の健やかな成長を願った。

 

「遊馬……私達の元に産まれてきてくれて、ありがとう……」

 

「母ちゃん……」

 

未来は遊馬を優しく抱きしめ、頬にキスを落とした。

 

その幸せで優しい光景に遊馬は大粒の涙を流した。

 

「遊馬……確かに君は私が転生した事で生まれた存在だ。しかし、君は家族から祝福と愛を受けて産まれた……それは今でも変わらない。これは紛れもない真実だ」

 

「アナザー……」

 

「家族だけでない。君には掛け替えのない友人達がいる」

 

もう一度指を鳴らして風景を変えるとそこには遊馬の友人や仲間達の姿があった。

 

「小鳥……鉄男……シャーク……カイト……みんな……!!」

 

それは遊馬が今まで絆を紡ぎ、築き上げてきた大切な友人や仲間達。

 

今は小鳥しか側に居ないが、人間界にいる友人や仲間達は遊馬と小鳥の帰りを待ち続けている。

 

アナザーは玉座から立ち上がり、静かに遊馬と向き合い、両手で遊馬の肩を掴んだ。

 

「遊馬……確かに君の前世は私だ。私が君をこの世に産まれさせたと言えるかもしれない。だけど、これだけはハッキリと言える。君が君だからこそ、全てを救うことができたんだ」

 

「アナザー……?」

 

「もしも私が君の代わりに表に出ていたら全てを救う事は出来なかったかもしれない。下手をすれば、何も救えなかったかもしれない……」

 

アナザーは遊馬の中でこれまでの戦いを見続けていた。

 

もしも仮に自分が遊馬としてアストラルと共に戦ったとしてシミュレーションを行なった。

 

しかし、何度も何度も考えても最後まで戦い抜く事は出来ずに敗北する答えしか考えられなかった。

 

あくまで結果論だが、アナザーは自分ではなく遊馬だからこそ全てを救うことができたと断言した。

 

「それに、私は君のように誰かに希望と未来を与える事は出来ない。だからこそ私は、君を誇りに思う!!」

 

アナザーは自分の胸を叩いて自信満々にそう宣言した。

 

「アナザー……その、サンキュー……」

 

そう言われて遊馬は少し心が軽くなった。

 

するとアナザーは申し訳なさそうな表情を浮かべた。

 

「遊馬……私が転生する為に選んだとは言え、君を巻き込んでしまったことは申し訳なく思っている。私に出来る事はこれしかない……」

 

アナザーは遊馬に謝罪の言葉と同時に左手からヌメロン・コードを出すと、自然と遊馬の元へと飛んだ。

 

そして、ヌメロン・コードは回転しながら小さな光となって遊馬の中に入っていく。

 

「えっ?ヌ、ヌメロン・コードが……」

 

「ヌメロン・コードを君に託す。その未来の力をどう使うかは君次第だ。そして……」

 

握り締めた右手をゆっくりと開くと、手の中から何十枚もの大量の純白に輝くカードが現れて勢いよく飛び去った。

 

すると、カード達は遊馬の元に集まり、ゆっくりと遊馬の周りを舞う。

 

遊馬はその光景に驚きながら恐る恐るカードを1枚取ろうとすると、カード達が一斉に集まり、束となって遊馬の手の上に降りた。

 

「このカードは……?」

 

「それは私の全てを込めて作り出したカードだ。まだどれも白紙のままだが、君とアストラル、そしてそれに連なる者達の大きな力となる無限の可能性を秘めたカード達だ」

 

「俺とアストラルとみんなの力に……」

 

遊馬はカードの束の一番上のカードを空いている手で取って見ると……。

 

「ん……?うわっ!?」

 

カードから一瞬だけの眩しい光が放たれると、白紙のカードに名前、イラスト、テキスト……必要な項目の全てが描かれ、1枚のカードが完成した。

 

そのカードに描かれた名前とイラストに遊馬は目を見開くほど驚いた。

 

「これは新しい希望皇ホープ……!?」

 

それは遊馬もアストラルも知らない新しい希望皇ホープのカードだった。

 

更にはそのテキストは遊馬のデッキに噛み合う超絶的な効果でその強さに舌を巻いた。

 

「す、すげぇ……こいつの効果を使えば、他の全ての希望皇ホープの力を更に高めることが出来る……!!」

 

「どうやら、君とアストラルにとって素晴らしいカードが生まれたようだな」

 

アナザーもどんなカードが生まれるかは分からず、まだ他の白紙のカード達にも未知数の強大な力を秘めている。

 

それはアストラルの手にした者の心を写し出す100枚のナンバーズにも通ずるものであった。

 

「遊馬、その希望皇ホープは嬉しいか?」

 

「ああ!こいつがあれば今までよりも、もっともっとホープをカッコ良く活躍出来るぜ!やべぇ、色々なホープの戦略が広がるからワクワクするぜ!」

 

「……デュエリストにとって、新しいカードの出会いは最高の瞬間だからな」

 

アナザーの言う通り、デュエリストにとって新しいカードとの出会いはテンションが上がり、頭の中で使い方や活躍する場面を想像したりとワクワクが溢れ出てくる。

 

遊馬は大好きな希望皇ホープを今まで以上に活躍出来るカードを手に入れて嬉しさがこみ上げてきた。

 

アナザーは優しい笑みを浮かべて頷き、静かに口を開く。

 

「最後に君を喜ばすことができて良かったよ……」

 

「……は?最後?」

 

アナザーの言葉に耳を疑い、カードから目線をアナザーに向ける。

 

すると、アナザーの体が光の粒子となって少しずつ消滅していく。

 

「ア、アナザー!?」

 

アナザーの身に一体何が起きたのか分からず困惑する中、アナザーは消滅する自分の手を見ながら語り出す。

 

「そのカード達は私の全てを込めて創造したもの……全ての力を失った私の心は消える運命にある」

 

「消えるって……馬鹿野郎!どうしてそんな事を!?」

 

「……私の心はもう限界だった。何百年、何千年と続く旅をしてきたからな。もう疲れたんだ……」

 

アナザーはアストラル世界で眠っていたアストラルと違い、遊馬に転生するまで一人孤独と戦いながら旅を続けていた。

 

果てしない旅でアナザーの心は既に磨耗してしまっていたのだ。

 

「だけど、君のお陰でドン・サウザンドを倒し、アストラル世界を救うことが出来た。ありがとう、遊馬」

 

改めて遊馬に感謝の気持ちを伝えるアナザーだが、遊馬は納得出来なかった。

 

「アナザー……くっ、それで、それで本当にお前は良いのかよ!?アストラルに一度も会わないで、言葉を交わさなくて良いのかよ!?」

 

遊馬はこれまでアストラルと何度も合体してZEXALとなったが、アナザーは一度もアストラルと会わず、言葉も交わさずにいた。

 

アナザー自身の意識が弱っていたこともあるが、アナザーはアストラルに対して気付いてしまったことがあった。

 

「アストラルが一番大切に想っているのは私ではない……紛れもなく、君だ」

 

アストラルは誰よりも遊馬を大切に想っている。

 

遊馬が半身でもう一人の自分だと気付いてからはその想いが日に日に強くなっている。

 

アストラルに会えば心が苦しくなってしまう……だからこそアナザーは敢えて会わない事を決めてしまったのだ。

 

「それに、最後に君に真実を告げ、ヌメロン・コードとカードを渡せることが出来た……私に後悔は一つも無い」

 

アナザーは自分の使命の果ての思い描いた理想……遊馬はそれ以上の未来を作ってくれた。

 

しかし遊馬は大切な仲間の世界と未来を守る為、異世界で新たな戦いに挑む事を選んでしまった。

 

アナザーは遊馬が未来を歩む為に全てを託して消える決心をついたのだ。

 

「心配するな。私が消えると言っても、この魂に何の変化は無い。君は君のままで何も変わらない。ただ、私の心が永遠の眠りに着くだけだ……」

 

アナザーは静かに目を閉じて最後の刻を待つ。

 

消滅してしまう恐怖は一切無く、穏やかな笑みを浮かべるアナザー。

 

そんなアナザーに遊馬は抱きついてそのまま強く抱きしめる。

 

「遊馬……?」

 

遊馬の突然の行動に驚くアナザー。

 

「ありがとう、アナザー……もう一人のアストラル……もう一人の俺……!」

 

遊馬はアナザーの想いを受け取り、別れと最後の感謝の言葉を告げた。

 

アナザーも遊馬を抱き締め、その瞳から涙が溢れながら同じく最後の言葉を告げる。

 

「遊馬……これからも君の戦いは続くが、君とアストラルと仲間達の絆があれば必ず乗り越えられる。負けるな、頑張れ。そして……必ず君自身が大切な人と、幸せになってくれ」

 

「ああ……必ず、約束する!」

 

「本当にありがとう……遊馬、おやすみ」

 

「ああ、ゆっくり休んでくれ……アナザー、おやすみ」

 

アナザーは遊馬に別れを告げると、その体が一気に全て消滅した。

 

消滅した後に残った赤い光の粒子は全て遊馬の中に入り込んで一つとなった。

 

遊馬はその場に座り込み、託されたカードを抱き締める。

 

そして……アナザーが作り出した心象風景のアストラル世界が崩壊し、遊馬の意識が現実へと戻されていく。

 

 

 

夕暮れ時……小鳥は一人、城の中を歩いていた。

 

「遊馬……もう起きたかな?」

 

特大のデュエル飯と唐揚げと水の入ったコップを乗せたトレーを持っていた。

 

カルデアから持ってきた食材を元に城のキッチンを借りて遊馬の夕食を用意したのだ。

 

「もうすぐケルトとの戦いが始まるから早く元気になってもらわないとね!」

 

小鳥は遊馬に一刻も早く元気を取り戻させる為に無理矢理でもデュエル飯を口に打ち込む意気込みで遊馬が休んでいる部屋の前に着いた。

 

ノックをして遊馬が起きている事を確認しようとしたその時。

 

「うっ……くっ……ううっ……!」

 

「遊馬……?遊馬、開けるわよ」

 

部屋の中からすすり泣く声が聞こえ、小鳥は遊馬の返事を待たずにドアを開けて部屋に入った。

 

小鳥の目に映ったのはベッドに座り、大粒の涙を流しながらカードを握り締めている遊馬の姿だった。

 

「遊馬、どうしたの……?」

 

小鳥はトレーをテーブルに置き、チラッとデュエルディスクとデッキケースを見たが、デッキはセットされたままでデッキケースも開いていない。

 

今、遊馬が持っているカードは何なのだろうか……?

 

小鳥は不審に思いながら遊馬の隣に座って背中に手を置く。

 

「遊馬、何があったの?」

 

「小鳥……あいつが、あいつが……!」

 

「あいつ、って?」

 

「アナザーが……俺の中の、アストラルが……消えちまった……」

 

「えっ……!?」

 

遊馬の言葉に驚愕しながらも言葉の意味や何があったのかも分からないので小鳥は優しく尋ねる。

 

「遊馬……話してみて。話せば楽になるよ……?」

 

「……ああ」

 

「あ、そうだ。ご飯作ったから食べながら話して。お腹空いたでしょ?」

 

「サンキュー、小鳥……」

 

遊馬は空いた腹をデュエル飯で満たしながら自分の前世の存在であるアナザーから語られた真実を全て小鳥に話した。

 

小鳥は何度も驚いた表情を見せながら黙って遊馬の話を聞いた。

 

「アナザーは……俺に全てを託して消えちまったんだ……新しいホープとこのカード達を残して……」

 

アナザーが託したカード達は遊馬が目覚めたと同時に現実へと具現化されて遊馬の手の中に現れた。

 

「もう、会えないのよね……」

 

「せめて、アストラルに会わせてやりたかった……」

 

「そうね……私も、アナザーに会ってお礼を言いたかったわ」

 

「お礼?何で?」

 

「だって、アナザーのお陰で遊馬が生まれんだから」

 

「小鳥……?」

 

小鳥の言っている意味が分からず首を傾げる遊馬。

 

小鳥は微笑みを浮かべながらベッドから立ち上がり、窓に向かって歩き出す。

 

「遊馬、私とあなたの付き合いって元は遊馬のおばあちゃんと私のおばあちゃんが昔からの友人同士で同じ年に生まれたから、幼馴染みの関係になったよね」

 

「そうだな……でも、同じハートランドにいるし、小学校でもきっとクラスメートになってたよな」

 

「うん。それでも、小さい頃からなんだかんだでずっと一緒で、中学に上がってからも同じクラスだからこれからも一緒なのかなと思ってたの。だけど……その矢先に遊馬の元にアストラルが現れて、沢山の戦いを見てきたわね……」

 

小鳥は目を閉じて遊馬とアストラルが戦ってきた数々のデュエルを思い出した。

 

始まりのデュエルからほぼ全てのデュエルを一番側で見守り続けて来た。

 

更には異世界の戦いに巻き込まれた遊馬とアストラルを追いかけてカルデアに来た。

 

小鳥は胸に手を当て、自分の心臓の鼓動を感じながら想いを告げる。

 

「私ね、改めて思うの……遊馬と一緒にいて、遊馬と言葉を交わして、遊馬の笑顔を見て、遊馬のデュエルを見て……その度にあなたの事をどんどん好きになっていた」

 

「小鳥……でも、俺が怖くないのか?俺は……?」

 

「怖い要素なんて一つもないわよ。だって、遊馬は遊馬だし」

 

遊馬は自分の前世がアナザーで小鳥に怖がられたりするのではないかと思っていたが、小鳥はバッサリと言った。

 

「遊馬は馬鹿でおっちょこちょいで、無鉄砲で無茶ばっかりする。でも、誰よりも優しくて、強くてカッコ良くて、相棒のアストラルと家族と仲間、そしてデュエルとデュエル飯が大好き。私が大好きな遊馬はそう言う男の子よ」

 

遊馬の良いところも悪いところも全てを受け入れた小鳥は告白の言葉を重ねていく。

 

「小鳥、お前……」

 

小鳥は再び遊馬の隣に座り、小鳥は遊馬の手を包むように握り、額を合わせた。

 

「私は遊馬に出会えて幸せよ。あなたの前世が何だろうと関係ない。私は遊馬が大好き。例え何があろうとも、私はずっと……あなたの側にいるわ」

 

遊馬は一人ではない。

 

少なくとも遊馬には自分を愛してくれる小鳥と言うたった一人の大切な幼馴染がいる。

 

「ありがとう……小鳥……」

 

その事実に遊馬は嬉しさが込み上げて涙が溢れる。

 

「ああもう、また泣いて……遊馬、カードを置いて。もう寝ましょう?」

 

「あ、ああ……」

 

小鳥は遊馬からカードを受け取ってテーブルに置いた。

 

そして、小鳥はニヤリと悪戯っ子のように笑みを浮かべて遊馬に忍び寄ると……。

 

「えいっ!」

 

小鳥は遊馬に抱きついてそのままベッドに押し倒した。

 

「うごっ!?こ、小鳥!?」

 

「遊馬、今日は一緒に寝よ?」

 

「えっ!?い、一緒に寝る!??」

 

「別にやましいことはしないわ。今の遊馬は心が弱っているから、それを癒してあげたいの。今だけは遊馬のお母さんだと思ってくれて良いから一緒に寝ましょう」

 

小鳥は遊馬の頭を自分の胸へと抱き寄せる。

 

まだ小鳥の胸は成長期で少し小さいが確かな柔らかさがあり、遊馬は顔を真っ赤にして慌て出すが、小鳥は遊馬の頭を撫でて落ち着かせる。

 

遊馬の脳裏には幼少期の頃の母との記憶が蘇っていき、不思議と心が安らいで眠気が出てくる。

 

無意識に遊馬も小鳥に抱きつき、瞼が重くなっていく。

 

「本当にありがとうな……小鳥……」

 

「うん。遊馬、おやすみなさい」

 

「おやすみ……」

 

遊馬は小鳥の胸の中で眠りにつき、小鳥も遊馬の頭を撫でながら静かに眠りについた。

 

 

翌朝、遊馬の検査をする為にナイチンゲールが朝一番に部屋に入ったが……。

 

「微笑ましい光景ですが、結婚もしてない男女が添い寝ですか、いけませんね……」

 

恋仲でもない未成年の二人の男女が同じベッドで寝ている事にナイチンゲールはすぐに叩き起こそうと思ったが、遊馬の寝顔を見てその考えを改めた。

 

「マスターの……ユウマの表情がとても晴れやかですね。ミス・コトリのお陰でしょうか。ユウマの心の治療をしたのであれば、今回は見逃してあげましょう」

 

遊馬の心の治療が終えたと判断したナイチンゲールは二人に毛布をかけ直して静かに部屋を出た。

 

 

 




もう一人のアストラル……アナザーは消滅してしまいました。
数千年も彷徨い続けて彼も大変だったと思います。

アナザーから託されたカード達はまだ本編に出ていないカードや、今後OCG化されるであろう遊馬デッキに使えるカードなどを出すための布石です。

後半は小鳥ちゃん無双にしました(笑)
遊馬を立ち上がらせる為にヒロインとしての意地を見せてやりました。
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