Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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前話のフォウの効果を少し修正しました。
マーリンがいる時のみ攻撃出来るルール効果にしました。
そうじゃないと強過ぎますからねー。




ナンバーズ133 ナンバーズ軍団、大進軍!!!

カルデア連合軍とケルト軍の最終決戦……その開戦を告げたのはナンバーズを統べる真の皇、希望皇ホープ・カイザー。

 

ホープ・カイザーの効果で特殊召喚した3体のナンバーズ……アトランタル、ヘブンズ・ストリングス、ダイソン・スフィアでケルト軍の無限に産まれるケルト兵達を攻撃する。

 

「行くぜ、アトランタルの攻撃!ディヴァイン・パニッシュメント!!」

 

アトランタルの左肩の火山が噴火し、噴石と竜巻と雷が降り注ぐ。

 

「ヘブンズ・ストリングス!ヘブンズ・ブレード!!」

 

ヘブンズ・ストリングスは巨大な大剣を振り下ろし、大地を抉るほどの衝撃波を広範囲に放つ。

 

「ダイソン・スフィアの攻撃!ブリリアント・ボンバードメント!!」

 

ダイソン・スフィアにエネルギーが迸り、無数のレーザービームが雨の如く降り注ぐ。

 

「そして、ホープ・カイザーの攻撃!」

 

遊馬とアストラルとマシュがホープ・カイザーの肩から一度降りると、ホープ・カイザーの真紅の瞳が輝き、右拳に眩い閃光が宿る。

 

「皇の鉄拳!!カイザー・ハンド・クラッシャー!!!」

 

振り下ろした右拳が地面に激突し、巨大な地割れと共に光の衝撃波が周囲に広がる。

 

四体のナンバーズの連続攻撃により数万のケルト兵が一気に倒されて消滅した。

 

「よし!カードを2枚伏せてターンエンド!アストラル、次はお前だ!任せたぜ!」

 

「ああ!私のターン、ドロー!」

 

タッグデュエルの特別ルールでパートナーのモンスター効果を自分も使用することが出来る。

 

これによりアストラルも遊馬のフィールドに召喚されているホープ・カイザーのナンバーズを召喚出来る効果を使用出来る。

 

しかし、アストラルはホープ・カイザーの効果を最大限に活用する為の前準備を行う。

 

「私はマシュのオーバーレイ・ユニットになっている希望の守護獣フォウの効果発動!デッキから2枚ドローし、その後手札1枚を墓地に送る!フォウ、力を借りるぞ!」

 

「フォウ!」

 

マシュの肩にいるフォウの力を借り、アストラルのデッキトップが黄金に輝き、2枚ドローをして手札を1枚墓地に送る。

 

「これなら……!魔法カード『テラ・フォーミング』!デッキからフィールド魔法を1枚手札に加える!私はフィールド魔法『エクシーズ・テリトリー』を発動!エクシーズ・テリトリーはモンスターエクシーズがモンスターと戦闘を行うダメージ計算時のみ、攻撃力と守備力がランクの数×200ポイントアップする!」

 

ホープ・カイザーを中心に大地に巨大なエネルギーが迸り、マシュを含む全てのモンスターエクシーズの力を高める。

 

「魔法カード『死者蘇生』を発動!遊馬の墓地のガガガマジシャンを特殊召喚する!ガガガマジシャンの効果!1ターンに1度、自身のレベルを1から8に変更出来る!私はガガガマジシャンのレベルを4から3に変更する!」

 

遊馬の墓地からガガガマジシャンを蘇らせてレベルを変更し、そこから更に手札からモンスターを展開する。

 

「私は『ズババナイト』を召喚!更にレベル3のモンスターの召喚に成功した時、手札から『影無茶ナイト』を特殊召喚!私はレベル3のガガガマジシャン 、ズババナイト、影無茶ナイトの3体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!!」

 

レベル3のモンスターが3体が地面に吸い込まれ、光の爆発が起きると同時に漆黒の風が吹く。

 

「欺く風、騙す影よ!惑乱を巻き起こし、世界を掻き乱せ!!」

 

漆黒の風が無数の黒いカードになり、それが集まって人型になっていく。

 

「現れよ!『No.75 惑乱のゴシップ・シャドー』!!」

 

現れたのは漆黒のカードが人型に集まり、左胸に赤い『75』の刻印が浮かび上がったモンスター。

 

ゴシップ・シャドーはその不気味な見た目に反して仲間のナンバーズの力を高める能力を持つ。

 

「ゴシップ・シャドーの効果!1ターンに1度、このカード以外の自分フィールドのナンバーズを対象として発動出来る!このカードをそのナンバーズの下に重ねてオーバーレイ・ユニットにする!ゴシップ・シャドーよ、ホープ・カイザーの力となれ!オーバーレイ・シャドー・リロード!!」

 

ゴシップ・シャドーは回転して漆黒のカードから光の球体になると、そのままホープ・カイザーのオーバーレイ・ユニットになる。

 

「更に!ゴシップ・シャドーにオーバーレイ・ユニットがある場合、それらも全て対象ナンバーズのオーバーレイ・ユニットにする!!」

 

ゴシップ・シャドーが所有していた3つのオーバーレイ・ユニットがホープ・カイザーに追加される。

 

「これでホープ・カイザーのオーバーレイ・ユニットは合計6つだ!」

 

「すげぇ!一気にオーバーレイ・ユニットが増えたぜ!!」

 

「これでホープ・カイザーの効果で一気に私の盤面を整えられる。よし……行くぞ!私はホープ・カイザーの効果発動!!」

 

準備が整ったアストラルは5枚のナンバーズを取り出し、上に向けて投げ飛ばす。

 

ホープ・カイザーの体が輝き、背後にアストラル語とナンバーズの刻印が描かれた魔法陣が浮かび上がる。

 

「私のフィールドに5体のナンバーズを呼び出す!ナンバーズ・アッセンブル!!」

 

今のアストラルのフィールドはモンスターが存在しない。

 

つまり、ホープ・カイザーの効果で5体のナンバーズを一気に呼び出すことが出来る。

 

アストラルは陸と空の両方から攻められるようにナンバーズを選ぶ。

 

「灼熱の炎を纏いて駆け抜けろ!『No.14 強欲のサラメーヤ』!!」

 

最初に現れたのは炎を纏う三つ首の犬のモンスターで大地を駆け抜けながら灼熱の炎を口から溢れ出させる。

 

「サラメーヤ……!?」

 

サラメーヤとはインド神話に登場する死者を導くヤマ神に従う4つの目を持つという犬。

 

インド神話の冥界の番犬の登場にカルナ達は驚いた。

 

「眠りし大地と海の力が紡がれしとき新たな命の光が噴出する! 『No.37 希望織竜スパイダー・シャーク』!!」

 

大海が広がり、そこから水飛沫を上げて飛び出したのは蜘蛛の要素を持つ巨大な白い鮫。

 

「我が記憶に眠る二つの希望!その希望を隔てし闇の大河を貫き今その力が一つとなる! 『No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー』!!」

 

早朝で朝日が登ったばかりにも関わらず空が瞬く間に銀河の星々が輝く夜に変わり、そこから鎧に包まれた銀河の巨龍が姿を現す。

 

「トロン!君の力を使わせてもらう!紋章を司る荒ぶる神よ!その身に宿す大いなる怒りを解放せよ!『No.69 紋章神(ゴッド・メダリオン)コート・オブ・アームズ』!!」

 

上空に巨大な紋章が魔法陣のように展開され、そこからトロンの憎悪と復讐の化身である荒ぶる神が降臨する。

 

「そして、シャーク!君の真の力も借りる!満たされぬ魂を乗せた方舟よ、光届かぬ深淵より浮上せよ!『No.101 S・H・Ark Knight』!」

 

スパイダー・シャークが生成した海から怒り、嘆き、悲しみを背負った魂を守護する巨大な箱舟が浮上する。

 

アストラルのフィールドに強力な5体のナンバーズが一気に召喚された。

 

これで遊馬とアストラルのフィールドを合わせて合計10体のナンバーズが集結した。

 

『No.6 先史遺産アトランタル』

 

『No.9 天蓋星ダイソン・スフィア』

 

『No.14 強欲のサラメーヤ』

 

『No.37 希望織竜スパイダー・シャーク』

 

『No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー』

 

『No.40 ギミック・パペット - ヘブンズ・ストリングス』

 

『No.69 紋章神コート・オブ・アームズ』

 

『No.93 希望皇ホープ・カイザー』

 

『No.101 S・H・Ark Knight』

 

『FNo.0 希望の守護者 マシュ・ホープライト』

 

豪華絢爛でアストラルが昨日言った怪獣映画やSF映画に登場しても不思議ではない巨大な体を持つナンバーズの面々にマシュは場違いな感じがしてかなり焦った。

 

「あ、あの……これは私がかなり場違いに感じるのですが……」

 

「そんな事はねえよ。マシュのお陰でホープ・カイザーを呼べたんだから場違いなんかねえって」

 

「その通りだ。それに、今のマシュにはホープ達の力が集まっている。臆することは無い。もっと堂々と胸を張るんだ」

 

「は、はい!頑張ります!」

 

「では、次は私のバトルフェイズだ。これでケルト軍を追い詰めていく!」

 

アストラルは呼び出した5体のナンバーズで総攻撃を仕掛ける。

 

「行け、サラメーヤ!ヘル・フレイム・ファング!!」

 

サラメーヤは灼熱の炎を牙に纏わせて噛み砕く。

 

「スパイダー・シャーク!スパイダー・トルネード!!」

 

スパイダー・シャークの口から海水が含まれた凄まじい旋風が吹く。

 

「タイタニック・ギャラクシー!破滅のタイタニック・バースト!!」

 

タイタニック・ギャラクシーの口から銀河の力を秘めた竜の咆哮が轟く。

 

「コート・オブ・アームズ!ゴッド・レイジ!!」

 

コート・オブ・アームズから禍々しい赤い光が天に登ると、そこから文字通り神の怒りの如き邪悪な力を秘めた光の束が降り注いだ。

 

「S・H・Ark Knight!ミリオン・ファントム・フラッド!!」

 

戦艦のS・H・Ark Knightから無数の紫色のレーザービームが放たれる。

 

アストラルが呼び出したナンバーズにより、ケルト兵が一気に消滅していく。

 

 

ホープ・カイザーによるナンバーズ・アッセンブルのナンバーズ大量召喚と一斉攻撃によるケルト兵の殲滅戦。

 

その想像を絶する光景にかっとび遊馬号で待機していた小鳥達は驚愕していた。

 

「凄い……!こんなにも沢山のナンバーズが一度に集結するなんて……!」

 

小鳥はこれほどまでにナンバーズを大量召喚したことに驚愕と同時に興奮を隠せなかった。

 

「な、何よ、これ……?まさか、神々の黄昏でも始まろうとしているの……!?」

 

オルガマリーは口をあんぐりと開け、アメリカ大陸に起きている巨大ナンバーズ達の進軍に北欧神話の終焉の話である世界の滅亡、神々の黄昏が始まろうとしているのかと見間違えるほどだった。

 

遊馬とアストラルが繰り出してきたナンバーズの活躍にはいつもカルデアから映像越しに見て度肝を抜いていたが、今回はスケールの大きさに白目を剥いて倒れかけるほどの衝撃だった。

 

「これが遊馬とアストラルの新しい希望皇の力か……ヤバイわね」

 

「ええ……底が知れないほどの強大な力……まだまだ私たちの知らないお二人の力……」

 

「流石はユウマとアストラル!もしもホープ・カイザーがローマで出たら……うむ、両軍の混乱は凄まじかっただろうな」

 

「いやー、無理無理。あんなのを出されたら私は絶対に勝てないわ……」

 

「本当にいつもいつも遊馬とアストラルには驚かされるね……」

 

レティシア、清姫、ネロ、エリザベート、武蔵はホープ・カイザーの能力に驚愕し、唖然としていた。

 

「これがユウマ様とアストラル様のホープ・カイザー……!まさに上に立つ皇そのもの……!」

 

「この力ならケルト軍の兵士とサーヴァントを凌駕出来ますね……!」

 

ラーマとシータは誰よりも感動し、興奮して震えていた。

 

自分達は本当に素晴らしいマスターに救われ、仕えることが出来たと……。

 

「あ、あれだけ苦労していたケルト兵があんなにも簡単に……!?これがあの二人の真の力なのか!?」

 

「凄いわ……あのナンバーズ達からも大きなマハトマを感じるわ!ユウマの体も調べてみたいけど、ナンバーズも調べてみたいわ!」

 

「──あれだけの勢力······いや、威力からの破壊と脅威か······だがこれほどこの時代に似つかわない巨大で強大すぎる力、これはまさに神話の戦いを連想させる······」 

 

エジソンはあれだけ悩ませていたケルト兵を一掃していくナンバーズに誰よりも戦慄し、エレナは魔術師の血が騒いで調べてみたいと興奮し、カルナはナンバーズの力の大きさに額に汗が流れるほどの緊張感を抱いた。

 

「異世界の精霊がこれほどの力を持つとは驚きだ……」

 

「もう驚き過ぎて現実逃避をしたくなっちまうよ……」

 

「もはや俺たちでは太刀打ち出来ないほどのマスターだね……」

 

ジェロニモ、ロビンフッド、ビリーは余りにも自分達の戦いの次元が違い過ぎて呆れ果てていた。

 

「ふふふ、ははっ、あはははははっ!これが私のマスター、ユウマとアストラルの真の力……否、力の一片か!久々に昂るぞ……あの巨人達と一戦交えたいぞ!!」

 

「おい師匠……興奮するのは構わねえが自分の役割を忘れるな。ってか、あんたはそうやって戦いまくったから不老不死になったんだろうが……」

 

スカサハはもしも今が緊急の戦いでなければホープ・カイザー達と一戦交えたいと槍を握りしめながら興奮し、クー・フーリンは相変わらずな自分の師匠に呆れ果てた。

 

 

ホープ・カイザーが歩を進める中、アストラルは近づく気配に気付く。

 

「遊馬、サーヴァントだ」

 

「来やがったか……マシュ!」

 

「はい!」

 

遊馬達はホープ・カイザーから地上に降りると、二人のサーヴァントが姿を現す。

 

「早速来たか、フィン!ディルムッド!」

 

ケルト軍から先発して来たのはフィンとディルムッドの二人。

 

二人はホープ・カイザー達の進軍に驚きながらも遊馬達を最優先の敵として見る。

 

マシュが盾を構えながら遊馬の前に立つと、フィンは目を見開いてマシュを見つめた。

 

「マシュ殿……!?おお、少し見ない間に美しくなったな……!ますます君を私の嫁にしたくなった!」

 

フィンはランクアップして成長したマシュの姿を見てその可憐な美しさに惚れ込み、ますます嫁にしたい気持ちが強くなった。

 

「お断りします。私には守らなければならない大切な人がいますから」

 

しかしマシュは即答で断り、腰からホープ剣を引き抜いて構え、切っ先をフィンに向ける。

 

「あなたを……倒します!遊馬君のデミ・サーヴァント、希望の守護者の名に懸けて!!」

 

その凛とした態度にフィンは気に入り、槍の矛先をマシュに向ける。

 

「ふっ……ならば、ケルトの戦神ヌァザの末裔!栄光のフィオナ騎士団の長の名に懸けて君を倒し、嫁として手に入れよう!!」

 

「……それなら、一つ賭けをしませんか?」

 

「賭けだと?」

 

「もしも、仮に私が負けたら私の身を捧げましょう。その代わり、私が買ったらディルムッドさんの身柄をこちらに引き渡してください」

 

「マシュ!?」

 

「マシュ殿!?」

 

マシュは自らを賭けの対象にして勝利した暁にはディルムッドをカルデアに戻そうとしている。

 

「ほう、自分の身と私の部下の身を賭けるか!」

 

「ディルムッドさんはケルト軍が召喚したサーヴァントですが、元々私達カルデアが召喚していたサーヴァントです。だからこそ、取り戻します」

 

「……良いだろう、その覚悟に免じてその提案を受け入れよう」

 

「王!?いけません、俺も一緒に──」

 

ディルムッドがフィンと共に戦おうとしたその時……五つの影がディルムッドを囲んだ。

 

「なっ!?」

 

「マシュの邪魔するんじゃ無いわよ、色男」

 

「大人しくした方が良いですよ?」

 

「暇なら余達の歌でも聞くかの?」

 

「とりあえず黙って痺れて貰おうかしら?」

 

「私達五人を相手にするんだから下手に動かない方が賢明よ」

 

それはかっとび遊馬号から降りてきたレティシア、清姫、ネロ、エリザベート、武蔵の5人だった。

 

フィンとディルムッドが現れて急いで加勢に来たが、マシュの覚悟に応え、敢えて手を出さずにディルムッドを抑えることにした。

 

「ディルムッド、そこで見ていろ。私がマシュに勝つ姿をその目に焼き付けておくんだ。しかし、そんなにも沢山の美女達に囲まれて羨ましいな。はっはっは!」

 

「お、王!!?」

 

フィンはレティシア達に囲まれているディルムッドを弄り、笑いながら槍を構えるとすぐに真剣な表情をする。

 

「さあ、行くぞ……マシュ殿!」

 

「はい……!」

 

カルデア連合軍とケルト軍の初のサーヴァント戦、マシュとフィンの戦いが始まる。

 

「行きます!遊馬君!」

 

「ああ!俺のターン、ドロー!装備魔法『最強の盾』をマシュに装備!頼むぜ、マシュ!!」

 

「はいっ!!」

 

歪な形をした盾が回転しながら飛び、十字の盾に入り、その力を最大限に高める。

 

「装備モンスターの攻撃力は、その元々の守備力分アップする!マシュの攻撃力は2500+3000で合計5500!マシュでフィンに攻撃!!」

 

マシュの真紅の瞳が輝き、脚に力を込めて地を蹴ると一気にフィンの間合いに入り、ホープ剣と盾を振るう。

 

ここで展開されたフィールド魔法の効果が発動する。

 

「フィールド魔法、エクシーズ・テリトリーの効果!モンスターエクシーズがモンスターと戦闘を行うダメージ計算時のみ、攻撃力と守備力がランクの数×200ポイントアップする!マシュのランクは5!攻撃力は1000ポイントアップする!合計6500だ!!」

 

最強の盾とエクシーズ・テリトリーでマシュの力が高まり、一気にフィンを攻める。

 

マシュの手から盾が離れて宙に浮き、高速回転して飛ぶ。

 

もう一つのホープ剣を空いた手で抜き、両手で二刀流のホープ剣を操り、高速回転する盾が自分の意思で動くようにマシュをサポートする。

 

「これは……!?」

 

フィンは槍を振るい、マシュの攻撃を必死に捌くが初めて出会った時とはまるで別人のように違っていて驚愕を隠せない。

 

一人……否、まるで複数の戦士を同時に相手しているような激しい攻撃に歴戦の騎士のフィンすらも圧倒される。

 

盾がフィンの槍を押さえ込み、その一瞬の隙を突いてマシュがホープ剣を振り上げる。

 

「しまっ──」

 

「ホープ剣・スラッシュ!!」

 

ホープ剣がフィンの肩から胴体に掛けて思いっきり斬った。

 

しかし、僅かに踏み込みと距離が甘く、仕留めることはできなかった。

 

フィンは盾を振り払ってその場から下がり、傷口を手で押さえる。

 

「まさかここまでの力とは……!だが、私もこのまま負けるわけにはいかない!」

 

フィンは腰につけた水袋を取り出すと、紐を解いて開けて中に入った水をそのまま傷口に掛けた。

 

すると、傷が瞬く間に癒されていき、完全に塞がった。

 

「回復系の宝具ですか……」

 

「その通りだ」

 

フィンの二つ目の宝具『この手で掬う命たちよ(ウシュク・ベーハー)』。

 

フィンの手で掬った水は、尽く癒やしの力を得るという逸話そのものが宝具となったもので、どんな水でも「両手で掬えば」たちまち回復効果のある水となる。

 

人間や英霊が負った傷や毒を癒すことが出来、普段はその水を水袋に入れている。

 

残った水をフィンは飲み干して心身共に回復し、空の水袋を捨てると親指を口に含んで噛んだ。

 

数秒後、指を口から離すと同時に槍を構え直した。

 

「……あまり長引かせる訳にはいかないな。私の最大の力で決めさせてもらう!!」

 

今の行動に遊馬達は不可解な点を覚えるが、実はこれがフィンの三つ目の宝具『親指かむかむ智慧もりもり(フィンタル・フィネガス)』。

 

叡智を与える鮭の逸話が宝具となったもので、フィンの親指には鮭の脂がついたため、舐めるとあらゆる謎を解き明かす大いなる叡智を得る。

 

これによりフィンはあらゆる情報や状況等を整理して「最善の答え」を導き出すことが出来る。

 

フィンから魔力が爆発的に迸り、遊馬はデュエルディスクを構え、マシュもホープ剣を構える。

 

親指かむかむ智慧もりもりで導き出した最善の答え、それは宝具の真名解放による最大の攻撃。

 

現状では前回のような逃走も不可。

 

戦い、勝利するしか道は無い。

 

「マシュ殿、これが私の最後の攻撃だ!これで決めさせてもらう!!」

 

「フィンさん……遊馬君、お願いします」

 

「ああ……俺のターン、ドロー」

 

フィンの覚悟を決めた表情にマシュと遊馬は頷く。

 

「勝利の方程式は全て揃ったな」

 

「そうだな。マシュ……行くぜ」

 

「はい!」

 

遊馬がドローしたのはこの一騎打ちの最後を彩るに相応しいカードだった。

 

そして、マシュが地を蹴って走ると同時にフィンは槍を振り回して宝具の真名解放し、全ての力を解き放つ。

 

「堕ちたる神霊をも屠る魔の一撃──その身で味わえ。 『無敗の紫靫草』!!」

 

魔法の槍から戦神ヌアザが司る水の激しい奔流が現れ、それが人を簡単に呑み込むほどの巨大な津波となってマシュに襲いかかる。

 

「でっけぇ津波だな!」

 

「遊馬、マシュの効果と手札のあのカードを使え!」

 

「ああ!マシュの効果!モンスターの攻撃を無効にする!ムーン・バリア!!」

 

「力を貸してください……希望皇ホープ!」

 

オーバーレイ・ユニットが盾に取り込まれるとマシュの前に希望皇ホープの幻影が現れ、左翼を半月の形に変形させてマシュとフィンの攻撃を無効にする。

 

ランクアップしたことでマシュは希望皇ホープの力を受け継ぎ、攻撃無効のムーンバリアを使う事が可能となったのだ。

 

「これは……!?」

 

「マシュ!ホープの力を受け継いだお前と俺の必殺コンボ、行くぜ!!」

 

「はい!マシュビングです、私!」

 

「かっとビングだ、俺!手札から速攻魔法!『ダブル・アップ・チャンス』を発動!モンスターの攻撃が無効になった時、攻撃力を2倍にしてもう一度攻撃出来る!」

 

遊馬とアストラルの必殺コンボカード『ダブル・アップ・チャンス』の効果がマシュに与えられ、その力が極限にまで高められる。

 

マシュの今の攻撃力は5500でダブル・アップ・チャンスの効果で2倍となり、5500×2で11000。

 

「更にエクシーズ・テリトリーの効果で更に1000ポイントアップし、マシュの攻撃力の合計は12000だ!!」

 

マシュの体から膨大な魔力が迸り、金色のオーラが放たれる。

 

金色のオーラが希望皇ホープと未来皇ホープの幻影となり、それぞれがホープ剣を構える。

 

「何と凄まじい力の波動……!これが君達の本当の力か……!?くっ、うぉおおおおおっ!!!」

 

フィンは遊馬とマシュの紡いだ絆の力に嫉妬して唇を噛みながらも槍を再び振るい、水の奔流を繰り出す。

 

希望皇ホープと未来皇ホープの幻影はホープ剣を振るい、奔流を薙ぎ払ってフィンまでの一本道を作る。

 

マシュは双翼を展開して滑空し、風の如く一気に駆け抜ける。

 

そして、マシュのホープ剣の刃が金色に輝き、真紅に染まった瞳が美しく煌めく。

 

「「ホープ剣・カルデアス・スラッシュ!!!」」

 

十字に放ったホープ剣がとっさに防御したフィンの槍ごと斬り裂き、フィンにこれまでにないほどの強烈な大ダメージを与え、フィンは地面に転がる。

 

「クッ……!!」

 

フィンは起き上がろうとするが既に限界を迎え、その体が光の粒子となって消滅していく。

 

「王……!ぐ、ダメか……」

 

「はは……まあ、仕方あるまい。いやいや、存分に戦った。戦い尽くした。ディルムッド、命令だ……カルデアに戻るが良い」

 

フィンはディルムッドに王として最後の命令を下した。

 

「王……!?しかし……」

 

「お前と共に戦えた。ただ純朴に、貪欲に、勝利を求めた。私は満足だ……実際のところ、マシュ殿を得られなかったのは残念だが……まあ良い。ディルムッド、お前の新たな主の元へ戻れ。その槍で少年たちの歩む道の先にある災厄を切り開け!!」

 

「はっ……!」

 

ディルムッドは唇を噛み締めてその場で跪き、頭を深く下げて頷いた。

 

「さらばだ、秩序の守り手たちよ!縁があればまた会うこともあるだろう!」

 

フィンは敵ながらも晴れやかな笑顔を見せながら消滅した。

 

消滅した跡からフェイトナンバーズが落ち、アストラルが回収するとそのまま遊馬に手渡す。

 

「……ディルムッド、カルデアに帰ったら必ずフィンを召喚するから待っててくれ」

 

「マスター……お気遣い、感謝する」

 

ディルムッドは軽く涙を流し、腕で涙を拭ってから遊馬に向かって跪く。

 

「ディルムッド・オディナ……これよりマスターユウマのサーヴァントとして槍を振るいます」

 

フィンの最後の命令を聞き、それを実行するために遊馬に了解を求める。

 

「ああ。改めてよろしく頼むぜ、ディルムッド。おかえり……」

 

「はい……!」

 

遊馬はディルムッドと握手をして再契約を交わし、ケルト軍から脱退してカルデア連合軍に属することになった。

 

「これでケルト軍の残りのサーヴァントは4人か……」

 

「数はこちらが圧倒的有利だが、まだまだ油断は出来ない」

 

「でも、今の私達なら……負ける気がしません!」

 

「フォウフォーウ!」

 

ランクアップした事で以前よりも自信がついたマシュの言葉に遊馬達は同意するように頷く。

 

「よし、早いところ敵のボスのメイヴとクー・フーリン・オルタとの顔合わせと行こうか!」

 

「そうだな。来い、S・H・Ark Knight!」

 

方舟であるS・H・Ark Knightを呼び出し、遊馬達は乗り込んでナンバーズの進軍を再開する。

 

 

 




ナンバーズ軍団の大進軍、これ魔術世界的には白目になりますよね。

次回は本格的な神話大戦が開幕する予定です。
アルジュナとの会話、色々大変になるかもしれないので時間がかかります。

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