Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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今回は騎士王こと、アルトリアがメインです。
相手があの男ですからね……黒ジャンヌは次回に持ち越しです。


ナンバーズ12 騎士王出陣!

第一特異点で遊馬は味方となる全てのサーヴァントを集め、遂にジャンヌ・オルタたちと決着を付けるためにオルレアンへ向かう。

 

案の定、ワイバーンが空をうようよ飛んでおり、ここまで大量にいるとどこから召喚しているのか疑問に思うほどだった。

 

そして、先兵として二人のサーヴァントが襲来してきた。

 

「……フォウフォウ!」

 

「早速来たか!」

 

「フォウ、隠れてろよ!」

 

「フォキュー!」

 

「一人はアーチャー、もう一人はセイバー……いや、バーサーカーみたいだな」

 

一人は猫のような耳と尻尾が生えた獣人のような弓矢を待つ少女でジャンヌ・オルタによって凶化されたバーサーク・アーチャー。

 

もう一人は漆黒の鎧に赤黒い剣を持った騎士で他のバーサーク・サーヴァントとは違い、最初から狂化属性を与えられて召喚されたバーサーカーだった。

 

バーサーカーはアルトリアを見つめると文字通り狂ったかのように襲いかかる。

 

「Aurrrrrrr!!!」

 

「バーサーカーの相手は私が!!」

 

「アルトリア!?」

 

アルトリアはバーサーカーを引き連れて遊馬達から離れる。

 

「エミヤ、アルトリアの元へ行け!」

 

「マスター。しかし……」

 

「嫁を助けるのは旦那の役目だろ?」

 

「なっ!?わ、私はアルトリアの旦那ではない!!」

 

「あ、もしかして逆?アルトリアはアーサー王として男装していたし、エミヤはカルデアのオカンだから」

 

「ええい!どうしてそうなる!?」

 

「ああ、もう!いいから早く行け!令呪で命令するぞ!!」

 

「くっ……承知した!」

 

エミヤは顔を少し赤くしながらアルトリアの元へ向かった。

 

一方、バーサーク・アーチャーはマルタとは違って狂って頭が可笑しくなったかのように言葉を重ねている。

 

「……殺してやる……殺してやるぞ!誰も、彼も、この矢の前で散るがいい!」

 

バーサーク・アーチャーが構えた弓から二本の矢が空に放たれると空から大量の矢が雨のように降り注いで遊馬達を攻撃して来る。

 

遊馬は急いで希望皇ホープを召喚しようとしたが、それよりも早くゲオルギウスが剣を構えた。

 

「させません!『力屠る祝福の剣(アスカロン)』!!」

 

ゲオルギウスを中心にバリアのようなものが張られ、矢の雨が全て弾かれた。

 

それはゲオルギウスの剣、アスカロンの能力。

 

あらゆる害意と悪意から持ち主を遠ざける無敵の剣であり、敵を倒す意味の無敵でなく如何なる敵からも守る意味での無敵を意味している。

 

「さあ、マスター!」

 

「サンキュー、ゲオルギウス!俺のターン、ドロー!魔法カード、『ガガガ学園の緊急連絡網』を発動!デッキから『ガガガマジシャン』を特殊召喚!更に、ガガガマジシャンの効果でレベルを5にする!」

 

デッキからガガガマジシャンが呼び出され、腰のバックルの星が5に変化する。

 

「『ゴゴゴゴーレム』を通常召喚!そして速攻魔法、『スター・チェンジャー』を発動!フィールドのモンスターを選択し、レベルを一つ上下させる。ゴゴゴゴーレムのレベルを5にする!」

 

ゴゴゴゴーレムのレベルが5になり、レベル5のモンスターが二体揃った。

 

「俺はレベル5のガガガマジシャンとゴゴゴゴーレムでオーバーレイ!エクシーズ召喚!」

 

ガガガマジシャンとゴゴゴゴーレムが光となって地面に吸い込まれて光の爆発が起きる。

 

「昏き王よ、疾く現れよ!『No.12 機甲忍者クリムゾン・シャドー』!!!」

 

空中に『12』の文字が浮かび上がると、地面から回転する大きな赤い手裏剣が現れ、変形すると忍者刀を逆手に持ち、左胸に『12』の刻印が刻まれた真紅の鎧を纏った忍者が見参した。

 

それは遊馬の兄弟子で忍者デッキの使い手である闇川がかつて所持していたナンバーズである。

 

「クリムゾン・シャドー、攻撃だ!」

 

クリムゾン・シャドーはアサシンのように素早い走りでバーサーク・アーチャーに一気に近付いて忍者刀を構える。

 

バーサーク・アーチャーは再び弓を構えて矢を連射してクリムゾン・シャドーを狙うが、遊馬が何の策も無くモンスターを特攻させる訳がなかった。

 

「クリムゾン・シャドーの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、このターン自分フィールドの忍者モンスターは戦闘と効果で破壊されない!!」

 

クリムゾン・シャドーがオーバーレイ・ユニットを体内に取り込んだその直後にバーサーク・アーチャーが放った矢が体に突き刺さった。

 

しかし、クリムゾン・シャドーは一切怯まず、しかも足の速度を緩めず一直線にバーサーク・アーチャーの元へ向かう。

 

「な、何で止まらない!?」

 

アーチャーのクラスに恥じない凄まじい矢の連射を繰り返すバーサーク・アーチャーだが、どれだけ矢が体に突き刺さろうともクリムゾン・シャドーは決して倒れない。

 

「クリムゾン・シャドー自体が忍者モンスター。つまり、どれだけその身に矢に打たれようとも破壊されない!」

 

自身と仲間である忍者モンスターに無敵の肉体を与える、それがクリムゾン・シャドーの能力である。

 

「行けぇっ!クリムゾン・シャドー!月影紅斬り!!」

 

矢の雨を掻い潜り、遂にバーサーク・アーチャーを補足したクリムゾン・シャドーの忍者刀の一閃が煌めいた。

 

忍者刀がバーサーク・アーチャーの体を斬りつけ、体から血が流れると、ようやくと言った様子で穏やかな表情をする。

 

「……これでいい、これでいい。まったく、厄介でどうしようもなく損な役回りだった。それにしてもあなた、面白い力を使うマスターね……頑張りなさい」

 

「おい、あんたの名前は!?」

 

「私の名はーーーー」

 

バーサーク・アーチャーは遊馬に名を告げる前に消滅してしまい、フェイトナンバーズだけが残ってしまう。

 

遊馬はバーサーク・アーチャーの名前を聞けなかったことを後悔しながらフェイトナンバーズのカードを回収し、急いでアルトリアの元へ急いだ。

 

一方、アルトリアとバーサーカーの戦いは嵐のような剣戟を繰り広げていた。

 

エミヤも弓矢を投影して援護に回っていたが、バーサーカーの剣技は凄まじく二人相手でも互角に渡り合っていた。

 

遊馬達が駆けつけ、アルトリアは目の前で戦っているバーサーカーに哀れみの表情を浮かべながら呟いた。

 

「……ランスロット、あなたはまだ……」

 

ランスロット。

 

それはアルトリアの配下で円卓の騎士の一人。

 

湖の騎士にして裏切りの騎士である。

 

その名前が耳に届いた遊馬達はまさかバーサーカーがランスロットとは夢にも思わず目を見開いて驚いた。

 

「おいおい!まさかの円卓の騎士の身内かよ!?」

 

「ランス、ロット……?」

 

マシュはランスロットを見つめると何故だが胸がざわついて胸元で強く手を握りしめた。

 

遊馬はアルトリアの動きがいつもと違い、ランスロットの事で迷いがあるのではないかと気付いた。

 

「アルトリア!詳しくは知らないけど、ランスロットをどうしたいんだ!?」

 

「マスター、私は……」

 

「お前にとって大切な仲間だったんだろ!?辛いことがあっただろうけど、今のお前は昔のアーサー王とは違うはずだ!自分の今の気持ちを正直になるんだ!!」

 

「今の気持ち……」

 

アルトリアは一度バーサーカーとなったランスロットと対峙した事がある。

 

あの時は答えを見つけられず倒す事しか出来なかったが、今は違う。

 

大切な人との出会いが自分を変えた。

 

だからこそ、ランスロットと向き合って答えを出す。

 

「ランスロット、私はあなたを許します」

 

それが今のアルトリアの出した答えでこれ以上苦しませないように一刻も早く倒す事を決意する。

 

「マスター!私をフェイトナンバーズで召喚してください!ランスロットとここにいる全てのワイバーンを倒します!」

 

「おう!行くぜ、アルトリア!俺のターン、ドロー!トイナイトを通常召喚!相手フィールドに敵が存在し、自分フィールドにレベル4のモンスターのみ存在する時、手札からトラブル・ダイバーを特殊召喚!」

 

トイナイトが現れ、その隣にダイバーの格好をした小さな虎のようなモンスターが現れる。

 

「来い、アルトリア!」

 

「はい!」

 

アルトリアは遊馬の元へ戻ろうとするが、アルトリアに執着するランスロットの前にエミヤが立ち向かう。

 

「Aurrrrrthrrrrr!!」

 

「アルトリアの邪魔はさせない。しばらく付き合ってもらおう!」

 

「エミヤよ!」

 

「私達も助太刀します!」

 

ジークフリートとゲオルギウスも助太刀をし、三人がかりでランスロットを止める。

 

その間に遊馬がデッキケースからアルトリアのフェイトナンバーズを取り出し、アルトリアは光の粒子となってカードの中に入る。

 

「レベル4のトイナイトとトラブル・ダイバーでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

トイナイトとトラブル・ダイバーが光となって地面に吸い込まれて光の爆発が起きる。

 

「誇り高き騎士の王よ、聖なる星の輝きを秘めた剣で常闇の未来を切り開け!!」

 

光の爆発と共に金色の光が天に昇り、アルトリアの新たな姿が顕現する。

 

「現れよ!『FNo.39 円卓の騎士王 アルトリア』!!」

 

金色の光が弾け、アルトリアが戦闘時に装着している鎧に加え、両肩には希望皇ホープと同じ白のプロテクターに空を自由に飛ぶことができる双翼が装着されていた。

 

アルトリアの右手には約束された勝利の剣、そして左手には驚くべきことにもう一つの聖剣が握られていた。

 

「あの剣は、まさか……!?」

 

その剣の事を知っていたエミヤはアルトリアの手にそれがある事を信じられなかった。

 

何故ならその剣は『失われて』、アルトリアが二度と手にすることが出来ないからだ。

 

アルトリアも左手にある聖剣に目を疑ってその名を呟いた。

 

「『勝利すべき黄金の剣(カリバーン)』……?」

 

それはアルトリアが王になるために石から引き抜いた選定の剣で、過去に失われた聖剣だった。

 

サーヴァントとして召喚されながらも宝具として使うことが出来なかった勝利すべき黄金の剣がアルトリアの手にある理由……それはフェイトナンバーズの力によるものだ。

 

ナンバーズは人の希望を写す鏡、それは想いや欲望や願い……触れた人の心が写される。

 

そして、フェイトナンバーズは遊馬と英霊たちの力が合わさった結晶……契約した英霊の心に映された力を具現化する事ができる。

 

アルトリアにとって勝利すべき黄金の剣は馴染みのある大切な剣で二度と触れることが出来ないと思っていたので思わず一瞬だけ笑みを浮かべ、すぐにキリッと真剣な表情となる。

 

「マスター!いきます!」

 

「ああ!かっとビングだ、アルトリア!アルトリアの効果発動!オーバーレイ・ユニットを二つ使い、俺の手札を三枚除外する!」

 

アルトリアの周りにあるオーバーレイ・ユニットが一つずつ約束された勝利の剣と勝利すべき黄金の剣に取り込まれ、刀身に美しい黄金の輝きを宿す。

 

そして、遊馬の手札が三枚除外されて使えなくなるが、その代わりアルトリアの持つ強力な効果を発動出来る。

 

「アルトリアの攻撃力を二倍にし、敵全てに攻撃することができる!!!」

 

双つの聖剣……約束された勝利の剣と勝利すべき黄金の剣の黄金の輝きが増していき、その光は夜空に輝く星の如き閃光を放っていた。

 

ランスロットはエミヤ達を退けて高く飛び上がり、ワイバーンを足場代わりにしてアルトリアに近づいて漆黒の剣を振り下ろした。

 

アルトリアは強い意志が込められた瞳で見開き、聖剣を持つ両腕を大きく振り上げた。

 

「未来を切り開く、双つの輝ける星の剣!!」

 

そして、双つの聖剣を十字に交差させるように振り下ろした。

 

「『双星煌めく勝利と黄金の剣(ダブル・エクス・カリバー)』!!!」

 

交差させるように振り下ろした聖剣の輝き。

 

それはアルトリアの目の前から半径数百メートルにも渡る巨大な極光となり、ランスロットを含む全てのワイバーンを一瞬にして光の濁流に呑み込まれた。

 

ランスロットの身を包んだ漆黒の鎧が砕け散り、消滅しながらアルトリアに向けて手を伸ばした。

 

「王、よ……私、は……」

 

消滅していくランスロットにアルトリアは微笑みながら言葉を送る。

 

「ランスロット、もう良いのです。あなたは十分苦しんだ……あなたの罪を、許します」

 

その言葉にランスロットは一筋の涙を流し、静かに消滅した。

 

光の濁流が消えると、ワイバーンの残骸は一切無く、最後に残ったのはランスロットのフェイトナンバーズのカードだけだった。

 

アルトリアはそのカードを静かに抱き寄せながら遊馬たちの元へと降りる。

 

「マスター、ありがとうございます」

 

ランスロットのフェイトナンバーズのカードを遊馬に渡す。

 

「アルトリア、少しは吹っ切れたか?」

 

「そうですね……もし、次彼に会った時はちゃんと面と面で向かって話し合い……いえ、殴り合います!」

 

爽やかな笑顔で拳を作るアルトリアに遊馬達は耳を疑って目を見開いた。

 

「な、殴り合うの!?」

 

「ええ、きっと殴り合ったほうがお互いスッキリするので!」

 

「君がそれで良いならいいが……」

 

「全く本当に君は変わったなぁ……」

 

アストラルとエミヤは苦笑いを浮かべ、マシュ達も思わず笑いがこぼれた。

 

二人のサーヴァントを倒し、その直後にオルレアンから複数の生体反応を感知し、遊馬達は身構える。

 

そして、遊馬達の前に現れたのはジャンヌ・オルタと四人のサーヴァントである。

 

そして、四人のサーヴァントの正体はエミヤ達の情報収集や事前にその存在を知っていた清姫とエリザベートによって判明していた。

 

可憐な騎士の姿をしたバーサーク・セイバーはマリーのフランス王家に仕えていた文武両道の剣士、シュヴァリエ・デオン。

 

ダンディな貴族風の男性のバーサーク・ランサーは吸血鬼ドラキュラのモデルと言われているヴラド三世。

 

青年のアサシンはパリの死刑執行を務める家の当主でかつてマリーを処刑した張本人であるサンソン。

 

そして、バーサーク・アサシンは驚くべきことにエリザベートの未来の存在であり、暗黒面を司る存在のカーミラ。

 

ちなみにカーミラがエリザベートの未来の存在と聞いて遊馬は「お前に何があったんだ!?」と本気で心配し、余計なお世話だとエリザベートに殴られた。

 

そして、遊馬陣営のサーヴァントとジャンヌ・オルタ陣営のサーヴァントがそれぞれの相手をする。

 

アルトリアとエミヤはシュヴァリエ。

 

マリーとアマデウスはサンソン。

 

清姫とエリザベートはカーミラ。

 

ジークフリートとゲオルギウスはウラド三世。

 

因縁や相性などでお互いの相手を決め、最後に残ったのはジャンヌ・オルタの相手は……。

 

「決着をつけようぜ、黒ジャンヌ」

 

「君が望む絶望の未来を打ち砕く!」

 

「これ以上、誰かを死なせたりしません」

 

「あなたをここで止めます!」

 

遊馬とアストラル、マシュとジャンヌの四人である。

 

「来なさい……今度こそ、全てに決着をつけますわ」

 

竜の魔女……ジャンヌ・オルタとの最後の戦いが始まる。

 

ジャンヌ・オルタが召喚する災厄の結晶である究極の竜種。

 

それに対抗するのは遊馬のデッキに眠る銀河の輝きを秘めた宇宙最強の竜。

 

今、フランスの地で究極の竜対決が繰り広げられようとしていた。

 

 

 

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次回、いよいよ黒ジャンヌちゃんと全面対決です!
皆さんお待ちかねの最強のドラゴン対決です!
今更ですが私のやりたい放題で行きます!(笑)

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