Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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イリヤちゃんは書いていて改めてその可愛さに惚れちゃいました(笑)
早く美遊ちゃんとクロエちゃんもお迎えしたいです。


魔法少女紀行 〜プリズマ・コーズ〜
ナンバーズ139 召喚!伝説の黒き魔法少女!


新たな特異点で遊馬達とイリヤが出会った頃……この世界に一人の少女が降り立った。

 

「ここは、何処……?」

 

「クリ……」

 

少女の隣には毛むくじゃらの小さなモンスターが浮いており、少女とモンスターは不安な表情を浮かべて周囲を見ていた。

 

「マスターとお師匠様の気配を感じられないし、ここは精霊界でも無い……私達の知らない異世界だわ……」

 

少女とモンスターもこの世界に引き寄せられてしまい、どうしたらいいか分からずにいた。

 

「クリクリ……クリ?クリリー!」

 

するとモンスターは何かに気付いて必死に少女に話しかける。

 

「えっ?この世界にマスターと同等の力を持つデュエリストがいる!?それは本当なの!?」

 

「クリ!」

 

「分かったわ。ひとまず、そのデュエリストのところに行きましょう!」

 

「クリクリ!」

 

少女とモンスターはこの世界にいるデュエリストの元へと飛んで行った。

 

 

ルビーの力で魔法少女に変身したイリヤはその可愛らしい見た目に反して魔力砲と魔力を斬撃にして放つと言う、戦いに特化した戦い方でメイヴを追い詰める。

 

一気に追い詰められたメイヴにイリヤはトドメの魔力砲を放った……その時、小さな黒い影が魔力砲を防いでメイヴを守った。

 

その小さな影に遊馬達は目を疑った。

 

「「「ク、クー・フーリン・オルタ!?」」」

 

「クーちゃん!?」

 

それはアメリカの特異点で戦った最大の敵、クー・フーリン・オルタなのだが……あの凶悪な姿で狂王と呼ばれていた姿が一変し、デフォルメしてぬいぐるみサイズにまで小さくなっていた。

 

「……っ……!?あの人を庇って……?」

 

「どうやら、あちら側の使い魔さんですねー?」

 

あのデフォルメしたクー・フーリン・オルタはメイヴの使い魔のようで、可愛い見た目だが言動はクー・フーリン・オルタそのものだった。

 

クー・フーリン・オルタはメイヴに撤退を促し、ここでもメイヴはクー・フーリン・オルタにメロメロで頬を赤くして目をハートに輝かせながら一瞬で消えてその場から撤退してしまった。

 

「ミユを……ミユを助けなきゃ……!──え……っ!?」

 

イリヤは友を助ける為にメイヴに聞きたいことがあり、すぐにメイヴを追いかけようとしたが、転身が解けて元の制服姿に戻ってしまった。

 

「転身が解けちゃった!?なにするのルビー!?これじゃ、あの人を追いかけられないよ!」

 

「あらー?どういうわけか魔力供給が安定しませんねぇ」

 

どうやらイリヤとルビーの間で何かトラブルが起きて上手く戦えない様子だった。

 

このままではメイヴを追いかけることはできず、深追いは禁物なので一度落ち着いてその場で遊馬達とイリヤ達で自己紹介と情報整理を行う。

 

「イリヤスフィール・フォン・アインツベルンです。穂群原学園初等部の五年生です。そ、それでその……ま、魔法少女……やってます……やらされてます……はううっ……自分で名乗るの大変恥ずかしい……!」

 

流石に魔法少女を名乗るのは恥ずかしがったが、すぐにイリヤはルビーを助けてくれた事を感謝した。

 

「あの、ルビーを見つけて、敵から守ってくださって、本当にありがとうございましたっ(ぺこり)」

 

「いやいや、大したことはしてないぜ。俺は九十九遊馬。ハートランド学園中等部の一年生だ。よろしくな」

 

「は、はい。遊馬さんは日本人ですか……?」

 

「ああ、そうだぜ」

 

「その髪……どうやってセットしているんですか?」

 

イリヤはその特徴的過ぎる前髪と髪型に日本人なのか思わず疑ってしまった。

 

「よく言われるけど、日本人だぜ。この髪は父ちゃん譲りなんだ」

 

「と言うことは遺伝!?どんな遺伝ですか!?とんでもない遺伝子じゃないですか!?」

 

「そうか?」

 

首を傾げる遊馬にマシュは苦笑を浮かべながら自分も名乗る。

 

「私はマシュ・キリエライトです。アインツベルンさん」

 

「私の事はイリヤで!友達はみんなそう呼んでくれるから!」

 

「分かりました。では私もマシュと呼んでください」

 

「はい!」

 

イリヤは何故かマシュに家族と同じ雰囲気を感じており、心に安らぎを得ながら笑顔で話す。

 

「私の名はアストラル。アストラル世界と呼ばれる異世界から来た精霊だ」

 

「おやおやー?イリヤさん、このお方、私と違って人工ではなく天然の精霊さんですよ。しかもかなり高位ですねー」

 

ルビーはアストラルから強い精霊の力を感じ取り、感心して頷いていた。

 

「せ、精霊……?あの、つかぬ事をお尋ねしますが、その格好は最初からそのままですか……?」

 

イリヤはアストラルの格好……側から見れば裸体であるその姿に何かを思い出したのか思わず顔を隠して頬を赤く染めていた。

 

「私は元々服を着ることは出来ないからな」

 

「そ、そうですか……」

 

「あれ?でも、アストラル世界の住民はみんな服を着ているよな?そう言えばなんでアストラルは服を着てないんだ?」

 

遊馬の脳裏にはアストラル世界の住人達がみんなそれぞれ服を着ていたり、守護神のエリファスも鎧を装着していたことを思い出した。

 

「そう言えば……何でだろうな?」

 

初めてそのことを指摘されたアストラルも今更なんで自分は服を着ていないのだろうと疑問に思い始めて来た。

 

「本人すら分からないんですか!?ちょっとは恥ずかしいと思わないんですか!?」

 

「いや別に?」

 

「そんな曇りなき眼で!?」

 

「まあいっか。別にアストラルが服を着てなくてもアストラルはアストラルだし」

 

「確かに……そうですね。寧ろ最初からこうでしたから特に問題ありませんね」

 

アストラルは初めからこの裸体の姿だったので遊馬とマシュにとってはもはや当たり前のものとなっているので気にしていない。

 

「あれ!?そちらが既に問題なく受け入れちゃってる感じ!?」

 

「まあでも良いんじゃないんですか?よく見ればアストラルさんは美少年のようにお美しい顔立ちをしているんですから役得ってことで!」

 

「ルビー、そう言う問題じゃ……」

 

「あれ?でも、アストラルさんにはアソコが無い……ハッ!?も、もしや!?うはー!滾ってきましたよー!」

 

「ストーップ!それ以上は禁止!!録画モードも禁止ー!」

 

ルビーがアストラルに対して何かに目覚めてしまい、イリヤがそれを全力で止める光景が広がり、遊馬達は自然と笑みを浮かべた。

 

「何だか、面白いコンビだな」

 

「日々が退屈しなさそうな少女とステッキだ」

 

「でも、とても素敵だと思います」

 

話が少し脱線してしまったが、遊馬達とイリヤ達でそれぞれの事情を説明する。

 

まずはイリヤとルビーが事情を説明する。

 

元々イリヤは普通の小学生だったが、突然現れたルビーと強制的に契約を結ばれ、本来の持ち主であった「リン」に命令されて冬木市に眠る強力な力を持つ『クラスカード』の回収の手伝いをすることになってしまった。

 

そんな中、リンの相方である魔術師「ルヴィア」が、もう一つのカレイドステッキ「マジカルサファイア」と契約した謎の少女「美遊」を引き連れてイリヤの前に姿を現す。

 

クラスカードには英霊を実体化させるという能力が施されており、イリヤと美遊はカード回収の為に英霊と戦うことになる。

 

さまざまな苦労や挫折、そして拒絶……小学生には重過ぎる重荷を背負い、イリヤと美遊は苦悩したが、友情を深めていった二人は親友となり、力を合わせて遂に全てのクラスカードを回収したのだ。

 

「いやー、イリヤちゃんも結構色々苦労しているんだな」

 

「そうだな。ところで、ルビー。そのリンとルヴィアという魔術師……大馬鹿か?」

 

イリヤと美遊をトラブルに巻き込む元凶であるリンとルヴィアが起こした愚行とも言える数々の行動にアストラルは厳しい言葉を放つ。

 

「わぁお。アストラルさん、ストレートで辛辣な発言ですね。お二人は若いですが魔術師としては有能です。しかし、これが酷い犬猿の仲でしょっちゅう喧嘩しているんですよ。それで偶に一般人が色々被害を喰らってるみたいですし。まあ、マスターとしてあまりにも相応しくないので、私もサファイアちゃんも見限ってそれぞれイリヤさんと美遊さんに着いたんですけどね」

 

「……もう呆れてしまうほどダメなお二人なんですね」

 

マシュも既にフォロー出来ないほどの性格の相性が悪過ぎる二人だった。

 

「そ、それでも!二人は私たちの頼れるお姉さんです!一応は……」

 

イリヤの全力でフォローしようとしたが最後の泳いだ目に遊馬達は涙を誘った。

 

「……イリヤちゃん、時間がある時にでもジュースとお菓子でもつまんで俺たちが愚痴を聞いてやるぜ」

 

「君の話ならいくらでも聞いてあげよう」

 

「遠慮なく話してくださいね」

 

「ううっ、ありがとうございます……!」

 

かなり常識人な部類に入る遊馬達の励ましにイリヤは感動の涙を流して感謝した。

 

ちなみに、そのリンと言う魔術師だが、カルデアにいる凛やイシュタルとはただならぬ関係があると言う事を遊馬達が知る由もない。

 

話は少し逸れたが、イリヤは現実世界から隣接する『鏡界面』へと移動しようとした際に原因不明のトラブルがあり、イリヤと美遊が巻き込まれてしまい、この異世界に来てしまった。

 

その直後、美遊は魔法生物に連れ去られてしまい、そこへ自称・魔法少女のメイヴが現れて襲撃を受け……現在に至る。

 

マシュはイリヤの話から自分達の住む地球とは異なる平行世界から来たのだと推測した。

 

遊馬達も自分達の目的や旅……世界が一度滅び、その世界を救う為に戦っていると軽く説明した。

 

まさか平行世界が滅び、遊馬達が世界を救う為に戦っているとイリヤとルビーは驚愕した。

 

「平行世界でそんなことが起きているなんて……」

 

「軽く聞いただけでもとんでもない戦いを繰り広げているんですねー」

 

「それを語り出すと軽く数時間はかかるぜ。まあ、それは置いておいて……イリヤちゃん、俺たちはこの特異点を解決する」

 

「この特異点に君の友人のミユも関わっている可能性がある。イリヤ、私達と協力しないか?」

 

アストラルの提案にイリヤは唖然として目をぱちくりさせる。

 

「協力ですか……?」

 

「君と同じ魔法少女のミユが連れ去られ、わざわざメイヴが魔法少女を自称しているほどだ。この特異点には魔法少女と言う存在に何か大きな意味があると思われる。そこで、この特異点を解決する為に魔法少女である君の力を借りたい。その代わり、私達はミユを助ける為に全力を尽くすことを約束する」

 

「なるほど、いわゆるギブアンドテイクですねー!確かにこちらにも大きなメリットはありますね。イリヤさん、どうします?」

 

「あの、本当に良いんですか……?」

 

今のイリヤにはとてもありがたい話だが、少し遠慮しがちな雰囲気で話し出した。

 

「遊馬さん達には世界を救うっていう大切な使命があります。それなのに、私の目的に付き合わせちゃって……」

 

「バーカ」

 

コツン!

 

「あ痛っ!?」

 

遊馬はイリヤの頭を軽く叩いてそのまま頭を撫でた。

 

「遊馬さん……?」

 

「小学生の子供がそんなことを言うなって。一人で何でも抱え込むなよ。大切な友達を助けたいなら……どんな手を使ってでも助けたい気持ちでもう少しワガママになれよ」

 

「ワガママに……?」

 

「俺も大切な人を助けたい気持ちはよく分かる。でも、一人じゃ限界がある。俺も沢山の人達の協力と支えがあったからこそ、大切な人を……アストラルを助けることが出来たんだ」

 

「アストラルさんを……?」

 

「ああ。それと、ここからは個人的な思いだけど……俺はイリヤちゃんに協力したい!友達のために頑張っている君の助けになりたい!」

 

「その通りだ」

 

「私もです!」

 

遊馬だけでなくアストラルとマシュもイリヤに協力したいと心の底から強く願っている。

 

三人の思いに心が熱くなったイリヤは嬉しさから涙が溢れるのを必死に押さえながら頭を下げた。

 

「お願いします……!ミユを助ける為に、みなさんの力を貸してください!!」

 

「おう、任せろ!」

 

「よし、カルデアにも連絡を取って早速作戦会議だ」

 

「はい!すぐに準備します!」

 

こうして遊馬達とイリヤは特異点を解決する為、そして……ミユを救う為に協力関係を結ぶことにした。

 

D・ゲイザーでカルデアと連絡を取り、渋るオルガマリーを説得して特異点解決とミユ救出の許可を貰った。

 

ところが、この世界は今までの特異点とは大きな違いがある事を告げられた。

 

それは、この世界が巨大な『固有結界』によって構成された特殊な世界と言うことだ。

 

本来なら固有結界は数分しか保たないはずだが、これほど巨大な固有結界は異質というわけだった。

 

十分に注意しながら行動するようにと忠告を受けると、作戦行動を開始する前にカルデアから物資が転送された。

 

物資には遊馬が部屋に置いてきた原初の火などが入っており、中身を確認していくと……。

 

「フォウ、フォウ!」

 

「フォウさん!?物資に紛れて来たんですか!?」

 

カルデアにいたフォウが物資の中に隠れてこの世界に転送されて来たのだ。

 

カチッ!

 

フォウの登場にイリヤの中で唐突に何かのスイッチが入った。

 

「うひゃい!なにこのモコモコフッサフサの子!可愛いいぃ〜!さわりたいさわりたいさわります!」

 

「フォウ!?……フォフォウ!」

 

目がハートになって大興奮状態となったイリヤにフォウは驚いたが、美少女と言っても過言ではないイリヤなら構わないと思ったのか器用にイリヤの体をよじ登って胸に飛び込んだ。

 

「うひゃあああああ!?モコモコちゃんが私に飛びこんでキター!マシュさん、この子は何ですか!?こんなに可愛い生き物は見たことありません!」

 

「え、えっと……その子はフォウさん。私のお友達です」

 

「一応そいつは猫らしいぜ」

 

遊馬の調べでフォウが一応猫だという事を話すと、イリヤのテンションがますます上がった。

 

「ネコ!?ネコちゃんですか!?私ネコが大好きなんです!こんなにもモコモコで可愛いなんて反則だよぉ……この子を是非ともお持ち帰りたい!」

 

「フォー!?」

 

イリヤの猫好きが大爆発して思考がおかしくなり、そのままお持ち帰りをしようとした。

 

「ダ、ダメです!フォウさんは私の大切なお友達でずっと一緒にいてくれると約束してくれたんですから、イリヤさんにはあげられません!」

 

「イリヤさん、無理矢理はいけませんよ?それに仮に持ち帰ったとしてもセラさんに動物を飼うのはダメですって言われるのでは?」

 

マシュに全力で止められ、ルビーから家庭内の事情を指摘されると、イリヤも冷静さを取り戻してスイッチがオフになる。

 

「あううっ……そうだよね……フォウ君はマシュさんのネコちゃんだし、セラにはダメって言われる未来も簡単に想像出来るよ……その、フォウ君、ごめんね」

 

「……フォウフォー!」

 

イリヤはフォウに謝罪するとその気持ちが伝わったのか、フォウはイリヤの肩に登るとそのまま頬擦りをして「気にするな!」と舌で頬を舐めて慰める。

 

「──ルビー、今ならどんな敵が相手でも勝って、ミユを必ず助けられる気がする」

 

その瞬間、何かのリミッターが解除されたかのようにイリヤの顔が真剣そのものになり、拳を握りしめて決意を示す。

 

「おおっ!?フォウさんの頬擦りにイリヤさんがまさかの覚醒!?これはプリズマ イリヤのマスコット枠としては少々嫉妬しますが、イリヤさんの『魔法少女力(MS力)』がかなり上昇したので目を瞑りましょう!」

 

「魔法少女力って……何?」

 

「さあ?私も初耳だ」

 

よくわからない展開と単語に遊馬とアストラルは頭に疑問符を浮かべるが、とりあえず準備を整えて出発する事にした。

 

まずは情報収集の為にイリヤがこの世界に来た時に空から見かけたここから一番近い場所にあるカラフルな国に向かう。

 

カラフルな国に到着すると、そこは建物から床まで全てがお菓子で作られたメルヘンな国……まるで童話で出てくるようなお菓子の国だった。

 

そこにはお菓子の体を持つ不思議な住人達が住んでおり、警戒の為にイリヤはルビーで転身し、遊馬もモンスターを召喚する。

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード『強欲なカケラ』を発動!『ゴゴゴゴーレム』を召喚!更に、レベル4モンスターの召喚に成功した時、手札から『カゲトカゲ』を特殊召喚!レベル4のモンスター2体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れよ!『No.39 希望皇ホープ』!!」

 

希望皇ホープを召喚すると初めて見る遊馬のモンスター召喚にイリヤとルビーは驚愕する。

 

「うわぉっ!す、すごいすごい!アニメやゲームで見たことあるような、あんなにもかっこいい戦士が召喚された!」

 

「むむっ……あのモンスター、かなり大きな力を宿していますね。それを魔術礼装でも無い機械で遊馬さん自身に何のデメリットも無くあっさり召喚しましたね……これは是非とも後で色々話を聞かなければ」

 

警戒しつつお菓子の国に入ると、住人達はイリヤを怖がる様子を見せて逃げ出した。

 

何故逃げるのか分からず、取り敢えず逃げ遅れた住人の一人を捕まえ、イリヤが可愛らしく軽く脅し、情報を聞き出した。

 

どうやらこのお菓子の国の女王は魔法少女で、同じ魔法少女のイリヤを恐れ敬ったのだという。

 

ミユを見かけたかどうか確認したが、どうやらミユの姿は見ていないらしい。

 

住人達からこれ以上情報が聞けないと判断すると、次に向かうのはお菓子の国の中心にある城……女王が住まう城である。

 

どんな女王がいるか分からないが遊馬達は最大限の警戒して城に向かった。

 

 

お菓子の国の城に入り、そこにいる女王に会いにいくと……。

 

「お客様だわ!お客様だわ!なんていい日なのかしら?どうぞいらっしゃい!おいしいお菓子を召し上がれ!」

 

「……ナーサリー?」

 

真っ黒なドレスを着た幼い美少女……それはナーサリー・ライムだった。

 

「わたし……ナーサリー・ライムなの?あなたが言うんだからきっとそうね!なん万なん千回目かのはじめましてをお祝いして、お茶会しましょう!?ナーサリー・ライムは魔法の少女。トミーサムの可愛い絵本。魔法少女のおやくめ果たし、にげさるアナタとこわれたワタシ。みんなの望みを叶えましょう?」

 

ナーサリーが何を伝えたいのかよく分からず、マシュは念の為D・ゲイザーでカルデアに確認を取ってもらう。

 

カルデアのナーサリーはジャック達と遊んでおり、彼女がこの国の住人達を操るマスターだと判明した。

 

今のところナーサリーから敵意は感じられないのでひとまずはお茶会に参加する。

 

イリヤはナーサリーにミユと他の魔法少女について話を聞こうとするが、ナーサリーは遊んでくれないと答えないと言った。

 

イリヤは渋ったが見た目的にイリヤよりも年下に見えるナーサリーのワガママな態度に折れて仕方なく先に遊んであげる事にした。

 

ナーサリーが一緒に遊んでいる黒いひつじを呼ぼうとみんなで一緒に鳴き声を真似て呼んだ。

 

すると……ナーサリーから魔力が溢れ出し、不気味な呪文を唱えた。

 

「おいでおいで!わたしのかわいい黒ひつじさん!」

 

邪悪な魔力が迸り、ナーサリーの背後に巨大な影が出現する。

 

その影の正体は遊馬達にとって何度も戦ったモンスターでもあった。

 

「ま、魔神柱だと!?」

 

それは無数の眼球がある巨大で不気味な肉の柱……魔神柱だった。

 

「──さあ、一緒に遊びましょう?」

 

ナーサリーは無邪気で残酷、そして純粋な笑みを浮かべた。

 

「ちっ、こうなったらナーサリーと全力で遊ぶしかねえな!」

 

「ナーサリーめ、何て危険なものを召喚したのだ……!」

 

「迎撃しましょう!イリヤさん、私の後ろに下がってください!」

 

「私の知ってる、遊ぶ、と根本的にちがうみたいなんですけど……(泣)」

 

「女王様って、そういうものですよー?いつも刺激に飢えているんです」

 

「刺激強すぎない!?」

 

「イリヤちゃん、ルビー、全ての女王がそうじゃねえからな!?少なくとも俺の仲間の勝利の女王と白百合の王妃は全然違うから!」

 

予想外過ぎるナーサリーの使い魔である魔神柱の登場にイリヤは恐怖から涙目になり、遊馬達は戸惑いながらも急いで迎撃態勢を取る。

 

遊馬はデュエルディスクを構えると希望皇ホープが現れ、自分のターンとなってデッキからカードをドローする。

 

「俺のターン、ドロー!強欲なカケラの効果で通常ドローした時にこのカードに強欲カウンターを1つ置く。魔法カード『破天荒な風』!自分のモンスター1体を選択して発動し、次の自分のスタンバイフェイズまで攻撃力と守備力を1000ポイントアップする!」

 

希望皇ホープを中心に風が吹き荒れ、攻撃力と守備力が上昇する。

 

「これで希望皇ホープの攻撃力は3500!」

 

「行け、希望皇ホープの攻撃!ホープ剣・スラッシュ!」

 

希望皇ホープはホープ剣を右手で抜いて一気に魔神柱に斬りかかる。

 

しかし、魔神柱が軽く振るった触手の攻撃で希望皇ホープがあっさりと弾き返された。

 

「ホープ!?」

 

「これはまさか……遊馬!ホープの効果だ!」

 

「お、おう!希望皇ホープの効果!ムーン・バリア!」

 

アストラルの指示で遊馬は急いで希望皇ホープの効果を使い、オーバーレイ・ユニットを胸の水晶に取り込んで肩翼を半月に展開して魔神柱の攻撃を防いで遊馬の元に戻る。

 

「遊馬君、アストラルさん、何が起きたんですか!?」

 

「分からねえ……ホープのカードには何の変化も無いのに……」

 

「まだ理由が不明だが、どうやら……ホープの攻撃力がダウンしているようだ」

 

「そ、それなら私が……収束砲撃!」

 

イリヤが代わりに魔力砲で攻撃すると、希望皇ホープと違って確実に魔神柱にダメージを与えた。

 

「イリヤちゃんの攻撃が効いている!」

 

「イリヤの攻撃が特別なのか?いや、ここは固有結界によって作られた異世界……もしかしたら独自のルールが適用されるのか……?」

 

「とにかく、今はイリヤさんの攻撃を主体に私達でガードしましょう!」

 

まだこの世界のことを理解していない遊馬達は唯一攻撃を通せるイリヤを攻撃の要とし、シールダーのマシュと希望皇ホープで守りを固める。

 

「『擬似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)』!!!」

 

「ムーン・バリア!!!」

 

魔神柱から襲いかかる怒涛の連続攻撃にマシュの宝具と希望皇ホープのムーン・バリアでイリヤ を守っていく。

 

しかし、希望皇ホープのオーバーレイ・ユニットを使い切ってしまい、攻撃対象になってしまったことでデメリット効果が発動してしまう。

 

「くっ、希望皇ホープのデメリット効果でオーバーレイ・ユニットがない状態で攻撃対象にされた時、ホープは破壊される……!」

 

希望皇ホープが破壊されてしまい、遊馬は苦い表情を浮かべる。

 

「ホープが……くっ、アストラル!イリヤちゃんみたいな魔法少女系のナンバーズはいないか!?」

 

「残念だが、ナンバーズにはそのようなモンスターは存在しない。君のデッキには一応魔法少女系のモンスターが存在するが、あくまでエクシーズ召喚を主軸としたモンスターだから魔神柱にダメージを与えるほどの攻撃力は無い……」

 

この世界の影響力によりナンバーズですらまともに戦うことは出来ず、唯一戦えるのはイリヤだけだが、そのイリヤ本人もまだ本調子ではない。

 

「くっそぉ!このままイリヤちゃんに任せるしかねえのかよ!」

 

遊馬は自分の無力さに打ちひしがれ、拳を握りしめた。

 

だが、運命は……デュエリストが紡ぐ奇跡が希望の光を照らす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「諦めないでください!真のデュエリストなら……最後まで勝利を信じて、デッキからカードを引いてください!!」

 

「クリクリ〜!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不思議な二つの声が響くと、ピンク色と茶色の光の玉が飛来し、遊馬の周りを軽やかに舞うとデッキの中に入って光を放った。

 

「な、何だ……?」

 

デッキトップがシャイニング・ドローをする時のように金色に輝いていた。

 

遊馬は祈る思いでデッキトップに指を添えた。

 

「俺のターン……ドロー!」

 

遊馬が金色に輝くカードをドローし、それを見た瞬間、遊馬とアストラルはかつてない衝撃を受けた。

 

「嘘だろ……?このモンスターは……!?」

 

「まさか……この魔法少女の世界に引き寄せられたというのか!?」

 

「そうだとしたら、心強い援軍だぜ!」

 

「そうだな。遊馬、今のままでは召喚出来ない。強欲なカケラで必要なカードを引き当てるんだ!」

 

「任せろ!強欲なカケラの効果!通常ドローで強欲カウンターを乗せる。強欲カウンターが2つ乗ったこのカードを墓地に送り、デッキから2枚ドローする!」

 

強欲なカケラが修復されて強欲な壺へと戻り、その効果でデッキから2枚ドローする。

 

「来た来たぁっ!魔法カード『増援』!デッキからレベル4以下の戦士族モンスターを1枚手札に加え、自分フィールドにモンスターが存在しない時、『フォトン・スラッシャー』を特殊召喚する!」

 

増援で手札に加えたフォトン・スラッシャーを特殊召喚し、遊馬とアストラルは不敵の笑みを浮かべた。

 

「俺はフォトン・スラッシャーをリリースして、このモンスターをアドバンス召喚!」

 

フォトン・スラッシャーの魂を生贄に捧げ、手札から召喚するのは遊馬とアストラルにとって……否、デュエリスト達にとって伝説のモンスターの一体と語られるモンスターである。

 

「「現れよ!伝説の黒き魔術師の力を受け継ぎし、唯一無二の弟子!」」

 

遊馬とアストラルの前にカラフルな光が煌びやかに溢れ出し、そこから一人のモンスターが召喚される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ブラック・マジシャン・ガール!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現れたのは可愛らしい水色の衣装と帽子にピンク色のマントとスカートを着用し、手には渦巻模様のステッキを持つ金髪碧眼の美少女にして魔法少女。

 

デュエルモンスターズ界の伝説のモンスターであり、その可愛らしさから多くのデュエリスト達から絶大な人気を誇る最高の「アイドルカード」のモンスターである。

 

「キャ、キャー!き、金髪碧眼の魔法少女!?美少女だし、スタイルも良いし、服もとっても可愛い!」

 

「こ、これは!?私も見たことないほどの魔法少女力!以前お会いしたなのはさんよりも同等、いやそれよりも高い!?まさかこれほどの魔法少女がいたとは!??」

 

イリヤとルビーはブラック・マジシャン・ガールの可愛さと魔法少女力に大興奮していた。

 

「遊馬君が召喚したということは、まさか彼女はデュエルモンスターズのモンスター……!?」

 

「フォウ……!?」

 

「それに、悔しいですがイリヤさんの言うとおり、確かに可愛いです……!」

 

ブラック・マジシャン・ガールはマシュやフォウも見惚れてしまうほどの可愛さだった。

 

遊馬によって召喚されたブラック・マジシャン・ガールは振り返って遊馬とアストラルを見て優しい笑みを浮かべる。

 

「運命に選ばれし真のデュエリストよ、共に戦いましょう!」

 

「ブラック・マジシャン・ガール……ああ!一緒に行こうぜ!」

 

「君と共に戦えることを誇りに思う。力を合わせよう!」

 

遊馬とアストラルはブラック・マジシャン・ガールと共に戦えることを心の底から深く喜び、一緒にこの危機を乗り越えられると確信する。

 

 

 




デュエルモンスターズ界、最強の魔法少女!
ブラック・マジシャン・ガール、降臨です!

最初は出す予定はなかったんですが、ナンバーズには魔法少女系のモンスターがいないので、魔法少女の世界が舞台なので特別ゲストで呼んでみました。
ブラック・マジシャン・ガールはちょいちょい遊戯さん以外のところでも出てるので良いかなと思って思い切って出しました。

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