設定とか何度も見直さなきゃならないので大変です。
魔法少女の世界が起こした奇跡の出会いによって遊馬のデッキにブラック・マジシャン・ガールが宿り、それを自分のフィールドに召喚した。
「カードを1枚伏せ、そして……」
遊馬は戦いの中だがデュエリストとして深い喜びを感じていた。
かつて遊馬は決闘庵で六十郎が作った木札のカードによる特別ルールデュエルでブラック・マジシャン・ガールを模した「スタチュー・ブラック・マジシャン・ガール」を召喚したが今回は違う。
正真正銘の本物のブラック・マジシャン・ガールを召喚し、共に戦える……!
「ブラック・マジシャン・ガールで魔神柱に攻撃!!」
ステッキに魔力を集中して圧縮し、球体の形に留めながら一気に放つ。
「「
魔神柱に魔力弾がぶつかった瞬間に圧縮された魔力が大爆発を起こし、魔神柱に大ダメージを与える。
「よっしゃあ!魔神柱に大ダメージだ!」
「行けるぞ、遊馬!」
ブラック・マジシャン・ガールの登場で一気に戦況の流れがこちらに向いてきている。
「黒ひつじさん、頑張って!」
ナーサリーの応援で魔神柱は起き上がり、ブラック・マジシャン・ガールに目掛けて触手と光線を放ち、攻撃を仕掛けた。
「ブラック・マジシャン・ガールを対象に罠カード、オープン!『安全地帯』!カードが存在する限り、対象モンスターは、相手の効果の対象にならず、戦闘及び相手の効果では破壊されず、相手に直接攻撃できない!」
ブラック・マジシャン・ガールに光が纏われ、戦闘・効果破壊を防ぐ。
しかし、戦闘ダメージは免れず遊馬は自分に受けるダメージを覚悟した……その時。
「クリクリ〜!」
「えっ?この声……」
聞き覚えのある声に遊馬は手札をよく見るとそこにはデッキに入ってないカードがあった。
「こいつは……あっ!」
それは前のターンで遊馬が強欲のカケラの効果で2枚ドローした時、増援と一緒に引いていたカードだった。
増援を引き当てた時の喜びでもう1枚のカードを確認していなかったのだ。
ブラック・マジシャン・ガールと共にデッキに宿ったこのカードがあれば自分のダメージを抑えられる、遊馬は来てくれたことに感謝しながらカードを発動する。
「よっしゃあ!ありがとうな、力を借りるぜ!俺は手札から『クリボー』の効果発動!」
「クリクリ〜!」
ブラック・マジシャン・ガールの前に茶色の毛むくじゃらで少し鋭利な爪の緑色の両手両足につぶらな瞳を持つ可愛らしいモンスターが現れた。
それはデュエルモンスターズでブラック・マジシャン・ガールと並び、マスコットキャラとして人気を誇るモンスター、クリボーだった。
「相手モンスターが攻撃した場合、そのダメージ計算時にこのカードを手札から捨てて発動!その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる!」
「クリー!!」
クリボーが魔神柱の攻撃を全て受け止めて遊馬へのダメージを0にした。
「助かったぜ、クリボー!」
「まさかクリボーまで一緒に来ていたとは……不謹慎だがこの世界には感謝したくなるな」
アストラルの言う通り、デュエリストにとって伝説のカードであるブラック・マジシャン・ガールとクリボーを使うことができて遊馬はとても嬉しかった。
何故二体が力を貸してくれたのか理由はまだ分からないが、今は目の前の魔神柱を倒すことに集中してデッキからカードをドローする。
「俺のターン、ドロー!うおっ!?こ、このカードは!?」
「あ、それは私が入れておいたカードです!それであのモンスターを倒せるはずです!」
遊馬がドローしたのはブラック・マジシャン・ガールがデッキに仕込んでおいたカードでブラック・マジシャン・ガールに最高の力を与える。
「そうか……行くぜ、ブラック・マジシャン・ガール!」
「はい!」
「魔法カード『
それはブラック・マジシャン・ガールの技名と同じ、専用の必殺技カード。
ブラック・マジシャン・ガールがいれば相手フィールドのモンスターを一掃する事が出来るシンプルだが豪快な能力のカードである。
カードの効果を受け、ブラック・マジシャン・ガールは膨大な魔力を得てそのままステッキに込めて先程よりも巨大な魔力球を生成していく。
「ルビー!私たちも行くよ!」
「アイアイマスター!派手にぶっ放して下さい!」
イリヤも負けじと魔力を込めてルビーを振り上げて構える。
そして、ブラック・マジシャン・ガールとイリヤは互いに目を合わせてアイコンタクトを交わし、同時にステッキとルビーを振り下ろす。
「
「
巨大な魔力の爆撃と巨大な魔力の斬撃が同時に炸裂し、魔神柱に一気に襲いかかる。
膨大な魔力が込められた爆撃と斬撃……魔法少女二人の全力全開の攻撃に流石の魔神柱もひとたまりもなく、力を失って消滅した。
魔神柱が撃破され、これで残る敵はナーサリーのみとなったのだが……。
「あー楽しかった!」
ナーサリーはどうやら満足したらしく、遊びというなの戦いもこれで終了したようだった。
唐突に終わってしまい釈然としないが、約束通り遊びに付き合ったのでイリヤはナーサリーからミユについて尋ねた。
ルビーから秘蔵コレクションと言う名の危ない映像が流れようとしたがイリヤはそれを全力で阻止し、ナーサリーはミユの事を知らないと言った。
するとナーサリーは少し悲しそうな表情を浮かべながらこの世界の情報を語り始めた。
この世界は魔法少女達が集まる愉快で陽気なパーティーホール。
しかし、遊び疲れた者から順番に消えていく……という『きまり』があるらしい。
そして、このお菓子の国以外に三つの国があり、それぞれの国を魔法少女が支配している。
一つ目は『大海原と竜の国、二つ目は『死せる書架の国』、そして三つ目は『雪華とハチミツの国』。
「それとね……」
「……それと?」
「……ううん、なんでもないの。でも、これを、あげる。私と黒ひつじさんといっしょに遊んでくれた、お礼。楽しかった」
そう言ってナーサリーが取り出してイリヤに渡したのは美しい輝きを放つ大粒のダイヤモンドだった。
どう見ても高価なダイヤモンドにイリヤは涙目で受け取りを拒否しようとしたが、ナーサリーは無理矢理イリヤに渡した。
「いいの──私、魔法少女なのよ?だからね、私の大切なきらきら星──その星の宝石が、あなたのお友だちをさがす、たすけになるかもしれないわ」
どうやらこの宝石には何か不思議な力があるらしく、イリヤがミユを助ける為の力になるかもしれない。
「……遊馬さん、どうしよう?」
「ナーサリーが渡してくれたんだから素直に受け取ればいいんじゃねえか?それに……ミユちゃんを助けられる力が宿っているなら尚更だ。友達を助けるなら迷うことはない」
「……そ、そっか。かえって失礼なのかな……」
「そうよ、しつれいよ?私、女王さまなんだから。ちっとも惜しくはないわ。えへん」
ナーサリーはイリヤに変に不安にさせないようにわざと自慢げに言い、そのまま宝石をイリヤが貰い受けることになった。
ナーサリーにお礼を言い、遊馬達は城を後にして宝石をどう使うのか悩んでいると……。
「……あっ。宝石が……!まぶしい……!」
宝石が光を放つとある一定の方向を指し始めた。
そこは判明している地理で言うと郡島の密集する海洋部だった。
ナーサリーの言葉を借りるなら『大海原と竜の国』の可能性が高い。
「大海原と竜の国か……」
「ナーサリーだけの情報では、まだこの世界の事も、ミユの事も不明だ。情報を一つでも多く集めるためには宝石の導く光に向かうしかないな」
「宝石がこの世界の重要なアイテムだとしたら……もしかしたら他にもあるのかもしれません」
「イリヤさん!ここは情報&宝石ゲットの為にも次の国へ向かいましょう!」
「そ、そうだね……ミユ、少し時間はかかるけど、必ず助けるから待ってて!」
次の行き先を『大海原と竜の国』に決め、遊馬達はお菓子の国を後にした。
☆
遊馬達は次の魔法少女の国である『大海原と竜の国』に向かうことにしたが、海を越えなければならないので……。
「ようこそ、俺達の飛行船!かっとび遊馬号だ!」
当初イリヤとルビーは船で向かおうと考えていたが、遊馬には皇の鍵の飛行船こと、かっとび遊馬号があるのでイリヤ達を船内に案内する。
「すっ──すっごぉい!こんな飛行船は初めてだよ!まるでSFか近未来が舞台のアニメか映画でしかみたことないよ!」
「……なんですかコレ。私達の世界の魔術とは全くの別物ですけど、これは魔術と科学のハイブリッドで生まれたとんでもないオーバーテクノロジーの塊じゃないですかー。遊馬さん、この化け物飛行船はどこで手に入れたんですか?」
「これは俺の父ちゃんが用意してくれたんだ。どうやって作られて動いているとか原理とか分からねえけど、アストラル世界で作って俺の為に用意してくれたんだ」
「「遊馬さんのお父さん、ハイスペック過ぎませんか!?」」
自慢げにいう遊馬に対し、イリヤとルビーは軽くドン引きしながら同時にツッコミを入れた。
かっとび遊馬号をステルスモードにして地上から見えなくさせてから上空に待機させ、カルデアからエミヤに作ってもらった弁当を転送してもらった。
人数もそこそこいるので、重箱のお弁当を転送してもらい、中を開くとそこにはおにぎり、若鶏の唐揚げ、卵焼きなどの日本のお弁当のメジャーな食べ物が詰め込まれていた。
「わぁああっ!美味しそうなお弁当だ!これぞ、ザ・日本人のお弁当だね!」
「イリヤちゃん、日本食はいけるのか?」
「うん!生まれはドイツらしいけど、私は日本でずっと育ったんだよ!それにこう見えても、ママがドイツ人で、おとーさんが日本人でハーフなの!」
「ハーフだったんだ!エミヤの飯は美味いから沢山食べてくれよ!」
「……衛宮?」
「ん?どうした?」
「ううん、何でもないです。いただきまーす!」
イリヤは遊馬の言葉に頭に引っかかるものがあったが美味しそうなお弁当を前に手を合わせて日本人らしく、いただきますの挨拶をして食べ始める。
「……あれ?」
「どうした?」
「もしかして口に合いませんでしたか?」
「ち、違います、とっても美味しいです!でも、このお弁当のおかずの味、私が慣れ親しんでいる味だったので……」
お弁当のおかずの味がイリヤにとって馴染みのあるものだったので疑問に思った。
「そっか……じゃあ、バンバンモリモリ食えるよな!イリヤちゃん、遠慮しないで食えよな。成長期なんだし、ミユちゃんを助けるためにもエネルギー補給をしないとな!」
「は、はい!」
遊馬とイリヤは歳も近く、成長期なので今後の戦いに向けて英気を養っていく。
「平行世界……まさか……」
アストラルはイリヤの言葉と反応、そしてカルデアにいる複数のサーヴァント達の口から語られた話からとある可能性を考えた。
しかし、今は下手にイリヤを混乱させるよりも大切な友人のミユの救出に集中させるのが賢明だと判断して何も言わなかった。
食事が終わり、重箱を片付けると遊馬のデッキが輝いて二つの光が飛び出した。
「お食事、終わりましたか?」
「クリクリ!」
「ブラック・マジシャン・ガール!クリボー!」
二つの光からブラック・マジシャン・ガールとクリボーが登場した。
「うひゃい!?毛むくじゃらのモコモコちゃん!フォウ君と違ったこのフワフワで感じもまた良い!」
モコモコでフサフサの体でつぶらな瞳を持つクリボーにイリヤはメロメロになった。
「クリボーか……あ!そうだ!」
遊馬はクリボーを見てデッキを抜いて中から3枚のカードを取り出してデュエルディスクに置く。
「召喚!『クリボルト』!『クリフォトン』!『虹クリボー』!』
『クリクリー!』
『クリリー!』
『クリー!』
召喚されたのは遊馬のデッキにいるクリボーの派生モンスターであるクリボルト、クリフォトン、虹クリボー。
「きゃあああああっ!!クリボーそっくりの可愛いモンスターがキター!!」
『クリー?』
『クックリー!』
『クリー!』
『クリリー!』
クリボー達は時空を超えた夢の出会いに喜び合いながら跳ねたり柔らかい体をぶつけ合う。
「ああっ……本当に可愛い……!モフモフの可愛い動物達がたくさん……あれ?ここは天国かな……?」
クリボー達の可愛さにイリヤの心は天国にいる気分となり、笑みを浮かべて見守っていた。
ヘブン状態となっているイリヤをルビーが正気に戻し、ブラック・マジシャン・ガールも交えて話し合いをする。
「私とクリボーはデュエルモンスターズの精霊界にいました。ところが、気がついたらこの世界に迷い込んでしまいました」
「デュエルモンスターズの精霊界だって……!?」
「やはり存在していたか。古の時代より数多のモンスター達が住まうとされる伝説の世界が……」
デュエルモンスターズにはモンスター達が住むとされる『精霊界』と呼ばれる異世界があると噂があった。
実際にブラック・マジシャン・ガールやクリボーが精霊界から来たと言うことに遊馬とアストラルは感動した。
「私達はこの世界から精霊界に帰る方法がありません。そこで、デュエリストであるあなた達の力を貸して欲しいのです。もちろん、私達の力を使ってください」
ブラック・マジシャン・ガールはクリボーと共に精霊界に帰らなければならない。
しかし、デュエルモンスターズの力を存分に使うことができるのはデュエリストしかいない。
そこで遊馬とアストラルの力を貸してもらいたいのだ。
「分かったぜ。ブラック・マジシャン・ガール、一緒に協力しようぜ!」
「はい!ありがとうございます!では、私とクリボーのカードだけでなく、このカードも使ってください!」
ブラック・マジシャン・ガールはステッキを構えて軽く振るうとたくさんのカードが現れて遊馬の手に置かれる。
「すっげぇ!魔法使い族と相性の良い魔法と罠カードだ!」
それは遊馬とアストラルも持っていない魔法使い族と相性が抜群の魔法・罠カードだった。
「ありがたい……これさえあればこの世界でも充分に戦える。遊馬、早速デッキ調整だ!」
「ああ!サンキュー、ブラック・マジシャン・ガール!」
「はい。喜んでもらえてよかったです」
遊馬とアストラルは貰ったカードを使って早速この特異点で戦い抜く為の専用デッキの調整を行う。
イリヤは遊馬とアストラルが行なっているデッキ調整を興味深く見つめる。
「うーん、これってどう見てもクラスの男子がハマっているカードゲームみたいだよね……」
イリヤはやったことはないがおもちゃ屋で見たことあるようなカードゲームにこれが魔術として戦っていることに疑問を持つ。
「デュエルモンスターズは元々、世界中で老若男女が楽しんでいるカードゲームだぜ」
「その起源が古代エジプトから始まり、モンスターを召喚する魔術だからな。時代を超え、その形を変えながらも力は永遠に紡がれていく」
「へぇー……凄いカードなんですね」
イリヤはカードを手に取って見ていく。
「ちなみに、遊馬君はそのデュエルモンスターズの世界大会で優勝したデュエルチャンピオンなんですよ!」
「フォーフォウ!」
「……ええっ!?世界大会で優勝!?そ、それって凄いことじゃないですか!?」
マシュとフォウが少し自慢するように言うとデュエルモンスターズの知識があまり無いイリヤでも分かる遊馬の偉業に驚愕する。
「い、いやー!それほどでも無いぜ!アストラルがいたから勝てたし……」
「デュエルチャンピオン……なるほど、精霊と共に戦い、運命を引き寄せる力もあるあなた方はやはり真のデュエリストだったんですね」
遊馬が幼いながらもデュエルチャンピオンである事実にブラック・マジシャン・ガールは改めて遊馬とアストラルは真のデュエリストだと確信した。
「カードか……これが使えたらな……」
イリヤは左足のももに取り付けてあるカードケースから3枚のカードを取り出す。
「イリヤちゃん、それって……?」
「これがクラスカードです。ミユと私で回収した英霊の力が宿った不思議なカードです」
それはイリヤとミユの運命の始まり、切っ掛けでもある英霊の力が宿るクラスカード。
全身を銀の鎧に包まれ、剣を持つ騎士……『Saber』。
フードに体を包んで杖と魔導書を持つ魔術師……『Caster』。
凶悪な表情を浮かべて大剣を持つ狂戦士……『Berserker』。
「セイバー、キャスター、バーサーカー……これがクラスカードか……確かにこれらから英霊……サーヴァントの力を感じる」
アストラルはクラスカードからフェイトナンバーズに似た同質の力を感じ取った。
クラスカードはイリヤがルビーを介して英霊の力の一端を一時的に宿して使用することができる。
しかし、この世界に来てから何故かクラスカードを使用出来なくなっている。
「そう言えば、クラスカードって7枚あるんだよな?残りの4枚は?」
「残りの4枚の内の3枚はミユが、最後の1枚はクロが持ってます」
「クロ?」
「クロは私の双子の妹みたいな、女の子……かな?現実世界に置いてきちゃいましたけど……」
「クラスカードが使えれば魔法少女+英霊パワーでイリヤさんの戦力も倍増するんですけどねぇ……」
「クラスカードね……イリヤちゃん、少し見ても良い?」
「はい、どうぞ」
イリヤからクラスカードを受け取り、手に取ってジッと見つめた。
すると、遊馬のデッキケースが輝くとパカッと開いて中から3枚のカードが出て来た。
「フェイトナンバーズが……この4枚って……」
それは遊馬が契約しているサーヴァントのフェイトナンバーズ、アルトリアとアルトリア・オルタ、メディア、ヘラクレスのカードだった。
アルトリアとアルトリア・オルタはセイバー、メディアはキャスター、ヘラクレスはバーサーカーのそれぞれのカードと共鳴して光の線で結ばれると3枚のクラスカードが光り輝いていく。
謎の現象にルビーが近づいてマジマジとクラスカードを見つめた。
「おおっと!?こ、これは!?イリヤさん!どういう原理かよくわかりませんが、クラスカードがパワーアップしていますよ!」
「えっ!?本当、ルビー!」
「はい!これならこの世界でもクラスカードをバッチリ使えるはずですよ!」
クラスカードにフェイトナンバーズの力が注がれたことでクラスカードがパワーアップし、この世界でも使用が可能となった。
「やったー!遊馬さん、ありがとうございます!」
「おう、良かったな。よーし、イリヤちゃんもパワーアップしたところで、俺たちもデッキ調整を頑張ろうぜ、アストラル!」
「そうだな、負けてられないな!」
イリヤにクラスカードを返し、遊馬達は魔法使い族を中心としたデッキ調整を急いだ。
☆
大海原と竜の国へ向かった遊馬達は一直線にその国の大きな建物……神殿のような形をした城と降り立った。
堂々と正面から入り、玉座の間にいたのは……。
「はじめまして、見知らぬ異世界の方々。私はメディア──愛と癒やしの魔法少女メディカル☆メディアと申します。どうか、よしなに」
遊馬達が知ってる中でも特に魔法少女という名に相応しいサーヴァント……メディア・リリィだった。
「今度はメディア・リリィか……何かメディアが見たら色々とブチ切れそうな予感がするぜ」
「この事は黙っていたほうが賢明だな」
「ええ、それに隣の人形は……」
メディア・リリィの隣に小さな人形が浮いており、その形には見覚えがあり、遊馬達は思わず涙を誘った。
「イアソン……魔神柱の次はあんな可愛い人形になっちまって……」
「とことん不運が重なる男なのだな……」
「性格は少しあれですが、さすがに同情してしまいます……」
それはメディアの元夫・イアソンをデフォルメした人形だった。
オケアノスで魔神柱にされてしまったその次は人形……遊馬達も同情せざるを得なかった。
突然の訪問だったが、メディア・リリィは遊馬達とイリヤの話を聞き、質問などにも答えてくれた。
メディア・リリィは静かな暮らしをしたいので互いに干渉しないことを願った。
イリヤは宝石について聞くと、メディア・リリィも宝石を持っており、それがこの海原の国を支えて力を授けているらしい。
するとメディア・リリィはこの世界に起きた過去を語り出した。
かつてこの世界には数多くの魔法少女が存在したが、彼女たちは自分だけの国を欲しがり、戦い、奪い合った。
自分たちの安寧のルールを求め、互いに争いあった。
価値観と世界観の激突として……メディア・リリィは戦いを逃れることはできずに必死に戦った。
やがてメディア・リリィの手に宝石が現れ、戦うたびに重さと輝きを増していった。
宝石には幻想を支える媒介であり、それを奪われると言うことは死に等しいことなのだ。
「ですので貴女もこのままお帰りなさい。その宝石があれば貴女の望む国が造れるでしょう。欲しいものがあるのなら、それで代用すればいいのです。友達が欲しいのなら友達の国をお造りなさい。きっと、貴女の国に訪れた者は全て貴女の友達にされてしまう、素敵な国が出来る筈です」
メディア・リリィの狂った考えでイリヤにミユを諦めて友達の国を造れと勧める。
サイコパスと称されているメディア・リリィの言葉にマシュ達は言葉を失う。
「「──そんなの、違います(違う)」」
しかし、イリヤと遊馬はメディア・リリィの言葉に同時に違うと否定した。
「私は友達が欲しいんじゃなくて、友達といたいんです。一緒に学校にいって、一緒に笑って、時にはケンカして離ればなれになって、でもすぐに会いたくて仕方がなくなる──そんな、自分と同じくらい大切な誰かと、私は出会うことができたんです。だから──今は、それ以外のものなんて要りません」
「友達って言うのはな、作るんじゃなくて自然と出来るもんなんだよ。代用なんか出来ない……掛け替えのない……一生の大切な宝なんだ。友達が困っている、危機が迫っているなら、全力で助ける!それが、本当の友達ってもんなんだよ!諦める事なんて絶対にしない!!」
イリヤと遊馬は友達を救いたいという強い想いを解放して言葉にする。
「……ただ静かに暮らしたい、と願うあなたに比べたらすごく貪欲で、我が儘な目的だけど──ごめんなさい、お願いします!私は、私の友達を助けるために来ました!」
「宝石がこの世界でどんな力を持ってるのか、どんな役割を持つのかは知らないけど、メディアが渡したくないならそれでいい。だけど、この世界に詳しいならミユちゃんを救い出すための手がかりを教えてくれ!」
「方法──ですか。残酷なようですが、イリヤさん。あなたはもうこの世界から逃れる事はできません。友達を助けるどころか、あなたにも出口はない。あなたが魔法少女である限り。いえ、あなた自身が逃れる意志すら持てない。そう言う絶望の場所なのです。あなたは結局、そんなふうに『友達のためにしか奇跡を起こせなかった』。永遠に未熟な魔法使い──魔法少女なのです。だから最後には、絶対にその宝石を頼るでしょう。わずかな希望にすがってお互いを燃やし尽くした、これまでの
魔法少女……響きはとても可愛らしいものだが、この世界にとって魔法少女とは何か呪われたもの、絶望の象徴のようなもの。
メディア・リリィは生き残るために、争うために大切な何かを諦めている様子を見せていた。
「その、ミユさんという方の事は諦めて、
ナーサリーが消えた……その衝撃的な発言に遊馬達とイリヤは耳を疑った。
「──え?待って、これはどういう──」
「宝石は私たちの願いの寄る辺であり、私たちをまだ生かしておく最後の明かり……それを手放したナーサリー・ライムは存在を拡散し、すみやかに消滅するでしょう」
ナーサリーは侵略しに来るメイヴからイリヤを守る為、そして……希望を託す為に自ら魔法少女の願いが込められた宝石をイリヤに託したのだ。
イリヤは消えてしまったナーサリーへの謝罪を涙ながらにしながらも、ミユを助けたいと強く願った。
ナーサリーが自分ではなく、まだ輝ける誰かに希望を託したこと……しかしそれが、メディア・リリィの逆鱗に触れた。
「ああ、全く──本当に馬鹿げています!これだから童話出身の魔法少女は砂糖菓子なのです!中途半端な希望とか!何度!裏切られれば気が済むのでしょう!」
メディア・リリィはイアソンの人形を叩き起こすと、憎たらしい小言を言ってもらい、自分の戦意を高めていく。
「全く、面倒なギリシャ夫妻だな……葛木夫妻とは大違いだぜ」
遊馬はデュエルディスクを構えてデッキからカードを引いた手札にする。
「イリヤちゃん、こうなったら戦うしか道は無いようだぜ」
「この城を大型の敵が取り囲んでいるようだ……どの道逃げるのも困難だな」
「イリヤさん、敵に回ったメディアさんは決して易しい相手ではありません……!」
「またこんな展開になっちゃった──!?魔法少女って話し合いで仲良くなるものじゃなかったのー!?」
「あっはっは。それはご自分の胸に手を当ててよくおお考えくださいねー☆」
結局またしても戦闘になってしまい頭を抱えるイリヤに遊馬はポンと頭に手を置いて撫でながら優しく諭す。
「イリヤちゃん、別に相手を倒す必要は無いんだ。ここは一発、ガツンと自分の想いを込めてぶつければいいんだ!戦闘不能にして相手の頭を冷やせばまた話せるだろ?」
イリヤがとても優しい性格だと分かっているので、相手を倒すのではなく話し合う為に戦えば良いのだと諭した。
「遊馬さん……うん……!とにかく、出来るところまでやってみる……!」
「その意気だ、イリヤちゃん!」
イリヤはルビーを手に取り、一瞬で転身して魔法少女となる。
すると、イリヤの足に巻いてあるカードケースの中から光が漏れ出した。
「あれ?クラスカードが……」
3枚のクラスカードの内の1枚が輝き、イリヤはそれをカードケースから引き抜いて手にする。
「よく分からないけど、このカードが使えって言ってるんだね……」
イリヤはクラスカードを床に置いて静かに目を閉じる。
「行くよ、ルビー!」
「はい!初めてミユさんがやった時の台詞はサファイアちゃん経由で記録されてますので、イリヤさんにダウンロードします!せっかくなので、ここはカッコ良くかつ華麗に決めちゃって下さい!」
手にしているルビーから言葉の羅列がイリヤの頭の中に流れ込む。
静かに目を閉じたイリヤは想いを込めてその言葉を発する。
「──告げる!」
クラスカードが純白に光り輝き、そこを中心に大きな十字が描かれた魔法陣が展開される。
「汝の身は我に!汝の剣は我が手に!聖杯のよるべに従い、この意、この理に従うならば応えよ!誓いを此処に!我は常世総ての善と成る者!我は常世総ての悪を敷く者──!汝、三大の言霊を纏う七天!抑止の輪より来たれ、天秤の守り手──!」
それは本来なら魔術師が英霊を召喚する為に使う魔術の詠唱。
しかし、クラスカードを使用するのであれば英霊をサーヴァントとして召喚するのではなく、別の形・方法として召喚する。
「
クラスカードが光となってイリヤの体の中に入り込むと、イリヤが光に包まれてその姿を変える。
英霊の力を宿したクラスカード……その真の力を発揮する。
「クラスカード……『キャスター』!!!」
紫色のローブと黒色のマントを身に纏い、ルビーは先端が三日月をモチーフとなった柄の長い銀色のステッキとなる。
魔法少女であるイリヤの衣装が少し大人っぽくなったことで色気を醸し出していた。
クラスカードの真の力は英霊の力を自身の体を媒体にし具現化させることで、その能力をフルに発揮し、簡単に言えば自分を一時的にデミ・サーヴァント化させる魔術。
「あれは、メディアの衣装と杖……!?」
「間違い無いな……あのクラスカードに宿っていた英霊の力はメディアのものだったか……」
「と言うことは、残りのセイバーとバーサーカーのクラスカードには……」
クラスカード・キャスターにはギリシャ神話の神代の魔女……メディアの力が宿っていた。
奇しくもメディアの幼少期であるメディア・リリィと、メディアの力を一時的に宿したイリヤが対峙することとなった。
「その力はまさか……未来の私の魔女としての力!?」
「お、おい!マジかよ!?よりにもよって裏切りの魔女が降臨しやがったぜ!しかも魔女の力を宿した魔法少女なんて──プギャア!?」
「魔法少女であるあなたが、魔女の力を使うのですか!?」
イアソンくんを軽くステッキで叩きのめしながらメディア・リリィはイリヤを睨みつけた。
「魔法少女とか魔女とかそんなのは関係ない……私はミユと一緒に集めたクラスカードの力を使って戦う!あなたを、止める為に!!」
イリヤは暴走するメディア・リリィを止める為に夢幻召喚・キャスターの力を持って挑む。
.
せっかくなのでクラスカードを使用できるようにしました。
一応こちらには英霊の力が込められたフェイトナンバーズもあるので。
あと、夢幻召喚したイリヤちゃんを活躍させたかったので。