Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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まとまった時間が出来たのでしっかり書くことができました。
新アニメの遊戯王SEVENSやドン・サウザンドのCNo.1とかテンションが上がるネタが多くて楽しいです。
遊戯王SEVENSはまだ始まったばかりだけど、人間関係が良くて明るい感じなので期待しています!


ナンバーズ145 希望と奇跡の最強タッグ!ZEXAL II & プリズマ☆イリヤ ツヴァイフォーム!!

イリヤとクロエ……二人の姉妹喧嘩は想像を超えるものだった。

 

イリヤはステッキから魔力砲と斬撃を放ち、クロエは干将・莫耶と弓矢を巧みに操って互いを攻撃する。

 

姉妹喧嘩というよりも、殺し合いのように見える激しい戦いだったがギリギリのところで相手を殺さないように威力を抑えて手加減していた。

 

しかし、戦いを重ねる内にクロエの方が先に息が切れてきた。

 

「ハァ……ハァッ……やっぱりイリヤとじゃ、決定的な勝負はつかない、か……だいたい痛覚共有を誤魔化すのも……限界が……」

 

クロエが力尽きて倒れそうになった瞬間、クロエの全身に闇が覆い、瞳の色が紫色に輝いた。

 

「クロ……!?どうしたの?その体は……っ……」

 

「──決まってるでしょ、彼女(レディ)よ。レディは、ミユだけじゃなく、あなたまで欲しいのね。私よりも欲張りだなんて……」

 

「な……何を言ってるのクロ……!?」

 

「……っ……クロさん。美遊さんをさらったのはレディの意思、そうなんですね?」

 

「……さあ、それは……どうかな……」

 

すると、突然クロエは苦しみだして干将・莫耶が手から滑り落ちて地面に転がる。

 

「クロ?……クロ!?」

 

「……ううっ……待って、まだ……やめ……て……!」

 

まるで何かに支配されるようにクロエを纏う闇がどんどん強くなっていく。

 

そして……。

 

「……約束通り……あなたとイリヤの決着まで待ったわ──クロエ。あなたは乗り物(カラダ)としては申し分ない。けれど、イリヤの瞬発力(ココロ)にまでは及ばないようね」

 

クロエの纏う闇が形質を変えて簡単な鎧となって装着され、更には声や口調までも変わってまるで別人のようになってしまった。

 

「クロエさんの姿が……声まですっかり変わって……!」

 

「まさか、お前は……!?」

 

「ファースト・レディなのか……!?」

 

「そう──初めまして。私がレディ。最初の魔法少女(ファースト・レディ)。自己紹介しましょうか?人懐こくて礼儀正しい、魔法少女らしくね」

 

クロエ──否、最初の魔法少女、ファースト・レディはクロエの体を支配して意識を乗っ取り、話を始めた。

 

「私は──魔界に生まれ、人間界で育った魔法使いの娘……正体を隠して人の為に戦った。けれどそのために故郷を失い、やがて人間からも、魔界の同胞からも忘れられた。もう誰も私を知る者はいない。もう誰も私の名前を呼んでくれる人はいない。でも私は人間や同胞を憎みはしなかった。決して魔女には堕ちなかった。今の私の望みは、ただ、少女たちの願いをかなえ続けること──。魔法少女たちの魔法を──。その愛と希望を、世界に振りまくこと……そんな私の想いが、亡霊たちを引き寄せた。この固有結界に」

 

「待てよ、だったら何故魔法少女たちを互いに争わせたんだ?」

 

「そうだ、君のその言葉とこの世界の現状はあまりにも矛盾している」

 

「……っ……それは後悔してる。こんな筈じゃなかった。後の祭りと言っても始まらない。狭すぎたのよ!私たちにはこの固有結界だけでは。だからもうそんなことははせない。私たちにはもっと世界が必要なの!」

 

「何故、クロエさんでなければならなかったのです?」

 

「何故クロエが私の前に現れたか?どうでもいいわ。それは問題じゃない。私はこの機会を逃す気はないの。決して。そう──だからマシュ、カルデアのあなたにも手が届いたのよ。もっとも、ブラック・マジシャン・ガール……あなたは予想外だったけどね」

 

偶然か必然かクロエはこの世界に来てしまい、亡霊となっていたファースト・レディは乗り移るための肉体として選んだ。

 

そして、魔法少女のイリヤと美遊もこの世界に迷い込んでしまい、魔法少女の素質を持つマシュと精霊界の魔法少女のブラック・マジシャン・ガールも同様に引き寄せられてしまったのだ。

 

「美遊がいれば、出来るわ。全ての亡霊をもう一度、受肉させられる。こんな虚ろな結界の檻の中じゃなく、本当の世界に届くのよ。無限の平行世界には無限の危機があるわ?倒すべき本当の敵たちがいるわ?魔法少女を心の底から必要としている不幸せな人たちがいるわ!!そのための魔法少女の軍団(リトルウィッチ・コーズ)……いえ、魔法少女の軍団(プリズマ・コーズ)!私たちは駆ける。平行世界の果ての果てまでも!願いはきっと叶うから!」

 

ファースト・レディの目的……それは亡霊である自分がクロエの体に憑依して新たな肉体を得て、更には美遊を使って何らかの方法でこの世界の全ての魔法少女達の亡霊に肉体を与える。

 

そして、この固有結界の世界から飛び出して無限の平行世界に飛び立って危機を救う……と言うものだった。

 

「……っ……これは……メイヴと同じ……ううん、違う……メイヴよりもっと業の深い……闇……」

 

「全くです。手段と目的が見事に逆転してますねー」

 

「イリヤ……あなたは、私のたった一つの譲れない願いを打ち消してしまうのね。この世界での魔法少女への振る舞いを見てそれがようやく分かった。そんなことはさせない。もうすぐ美遊を、私の中に取り込んでしまえる。美遊はしぶとい。しかも私の中のクロエが未だに同化に抵抗している。本当に素直じゃない。でもそれも、時間の問題──」

 

「ふざけるな!!!」

 

ファースト・レディの言葉を遮るように遊馬の怒号が轟き、ファースト・レディは突然の怒号にビクッと驚いた。

 

「な、何よ……」

 

「ファースト・レディ、お前は世界を救う為に美遊ちゃんとクロエちゃんを犠牲にしようとしているな……ふざけるんじゃねえ!そんなことをして手に入れられる世界の平和が本当に正しいのか?俺は絶対にそんなのは認めねえ!それに、お前に美遊ちゃんとクロエちゃんの幸せと未来を奪う権利は無い!!」

 

「その通りだ!それに加え、今の君はとても正気では無いし、正常な判断も出来ていない。仮に美遊とクロエを犠牲にし、この世界の魔法少女達を受肉させ、平行世界を救いに行ったとしても……君の歪んだ願いは叶う事はない。世界を救うことは出来ない!」

 

遊馬とアストラルは美遊とクロエを犠牲にするファースト・レディの歪んだ願いに怒りを震わせて真っ向から否定した。

 

「ファースト・レディ……私もかつてマスターと一緒に何度も世界を救いました。私は偉そうなことは言えませんが、マスターの言葉を借りるならこう言います……私は、人の命を踏み台にした未来を認めません!世界を救う為に美遊さんとクロエさんを犠牲にするなんて絶対に認めません!!」

 

二人と同じくブラック・マジシャン・ガールもファースト・レディの歪んだ願いを否定した。

 

そして、イリヤもファースト・レディに対して自分の気持ちをぶつける。

 

「レディさん……あなたの魔法少女を信じたい気持ち、伝わります。だけど、これだけは言える──ミユを犠牲にして、叶えていい願いなんて無い!ミユだけじゃない!クロだって、クロは私の大切な半分なんだから!」

 

「……それは、私が亡霊だから?もう誰の心にも響かない、ただの残響に過ぎないから?あなたも私を忘れてしまうのね。そんなに私を過去に置き去りにしたいの?私はこんなに世界を救えるのに。女王にだってなれるのに。イリヤ──あなただって、いずれ──」

 

「聞いて、レディ!それじゃあ、願いは呪いになってしまう!私たちは……魔法少女は──!中途半端で、理不尽なトラブルに巻き込まれてばかりで、それでも、きっといいことが──あれ……いいことあったかな、えっと……」

 

すぐに良いことを即答出来ないあたり、イリヤは相当苦労したのだろうと遊馬達はすぐに察した。

 

「ちょっとイリヤさん?ここズバッと言うところですよ?」

 

「あっ、そ、そうだよ!?良かったって思える瞬間があるもの!私はミユに会えた。大好きなミユに。クロっていう生意気で、すごく頼もしい妹も出来た。ルビーやサファイア、リンさんやルヴィアさん、最初はちょっとどうかと思ったけど……本気で、自分を全部差し出しても良いって思える大切な仲間が──それが、一番の宝物でしょう?」

 

イリヤの純粋で無垢な少女の言葉……それは当たり前とも言える大切なもの──仲間。

 

その言葉に遊馬達は微笑みながら同意するように頷く。

 

しかし、ファースト・レディは仲間に対して暗い過去を持っていた。

 

「私にも仲間がいたわ。でも彼女は……世界に棄てられた」

 

「……えっ……?」

 

「──遊馬、あなたはどう?むしろ忘れられることを望む。そういう人かしら、あなたは──けれど……世界を救ってしまったらあなたはどうするの?今が一番辛くて、苦しくて、逃げ出したくて──でも、生きているでしょう?世界を救ってしまった瞬間に──あなたは死ぬのよ」

 

世界を救ったら死ぬ……ファースト・レディが亡霊になる前に実際に世界を救って経験したことから言えるものだった。

 

その事実に対し、遊馬がどんな反応をするのかファースト・レディは興味深そうに見つめるが、当の本人は頭をかきながら平然と答える。

 

「ファースト・レディ……お前、なんか勘違いとかしてねえか?」

 

「勘違い……何を?」

 

「世界を救ったら死ぬ?だったら俺とアストラルはもうとっくの昔に死んでるって」

 

「それは……どういう意味よ?」

 

「だから!俺とアストラルは自分の世界を何度も救ったんだよ!世界が邪悪な力に何度も滅び掛けたり、邪神が滅ぼそうとしたのを全力で阻止したんだよ!」

 

「正確に言えば、その戦いの最中に私は一度死んだが遊馬と仲間達のお陰で復活した。だが、私と遊馬は世界を救い、今でもこうして生きている!!」

 

「そ、そんな……貴方達が世界を救ったですって……!?」

 

世界を救いながらも当たり前のように生きている遊馬とアストラルに対し、ファースト・レディは信じられないと言った表情を浮かべていた。

 

「事実だよ。それにな、世界を救ったらそれで終わりな訳がねえだろ?俺にはでっけえ夢があるんだからな!」

 

「夢……?世界を救うのに夢があるの……?」

 

呆然としているファースト・レディに対して遊馬は不敵の笑みを浮かべて堂々と宣言した。

 

「当たり前だろ!夢は人を強くする!未来に向かって前に進む原動力になるんだからな!良いか、聞いて驚けよ。俺の夢は……みんなで一緒に俺たちの世界で、世界一周大旅行だぁっ!!!」

 

「……………………はぁ?」

 

「世界一周大旅行……?」

 

ファースト・レディは何を言っているんだ?と言わんばかりの困惑した表情をし、イリヤはきょとんとして目をパチクリとさせた。

 

「おうよ!カルデアには世界各地、色々な時代の英霊達……サーヴァントがいるんだ。みんなから生前の話を聞くたびに思うんだ。その土地の歴史や文化、みんなが生きてきた人生や物語の証が現代ではどうなっているんだろうって。だから、かっとび遊馬号に乗って、サーヴァントのみんなと一緒に俺たちの世界を回るんだ!歴史に名を残したサーヴァントのみんなと世界一周をするんだ、そんなの絶対にワクワクするじゃねえか!」

 

遊馬はワクワクを表すように笑顔を見せながらみんなに夢を語る。

 

その夢を何度も聞いていたアストラルとマシュとフォウは笑みを浮かべながら頷く。

 

「遊馬だけではサーヴァントのみんなを束ねるのは大変だからな。私も同行しよう」

 

「私も行きます!皆さんと一緒に世界一周はとても素晴らしい旅行になります!その時が来るのを楽しみにしています!」

 

「フォフォーウ!」

 

アストラルとマシュとフォウも楽しそうに遊馬の夢に賛同する。

 

「どうして……?」

 

どうしてここまで明るくなれるのか、どうして笑顔でいられるのか、どうして夢を語れるのか……ファースト・レディは遊馬達の想いを理解できずに困惑が深まっていく。

 

「……イリ……ヤ……」

 

すると、奥で囚われていた美遊が目を覚ました。

 

「ミユ……っ!気づいたんだね!」

 

「美遊様……!」

 

「レディを……クロを……助けてあげて……レディの言葉は……偽りの……言葉……決して叶わない願いを……心の底に隠している……お願い……泣いている彼女の手を握って……イリヤが……私にしてくれたように……」

 

美遊はファースト・レディが偽りの言葉を発していると知り、イリヤに彼女を助けてと願った。

 

「うんっ……もう少しだけ待って、ミユ!」

 

「あと……その……」

 

「──えっ、な、何?」

 

「こうして、ずっとクロと一緒だと……気まずいっていうか……何を話したらいいのか、わからなくて……沈黙が割と……痛い……」

 

「へっ?」

 

イリヤたちが城に来る前に囚われている美遊とクロエは二人で城内にいたのだが……イリヤがいない所為なのか、何を話したらいいのか分からずに沈黙状態となっていたのだ。

 

「──ちょっ、なんですって!!人が必死に抵抗してるのにッ!!」

 

ファースト・レディに支配されていたクロエの意識が前に出た。

 

「わっ、クロが戻ってきた」

 

「私だってめちゃめちゃ気を遣ってるんだからね!直接私に言えばいいじゃない、なんて面倒くさいの!」

 

どうやらイリヤと美遊とクロエ、三人は誰も欠けることなく一緒にいることで雰囲気や空気などのバランスが取れているようだった。

 

「……なんか、イリヤちゃん、美遊ちゃん、クロエちゃんの三人が揃ってバランスがいい感じになるみたいだな」

 

「まるで君とシャークとカイトみたいな感じだな……シャークとカイトだけだと喧嘩ばかりするらしいからな」

 

「え?そうか?」

 

「い、いけません、クロエさん!美遊さんに憎しみを向けたら……」

 

「ああっしまった……!もうっ……イリヤ、なんとかしなさい!」

 

クロエが美遊を求めるが故の憎しみの心を出してしまった瞬間にファースト・レディの意識の支配が更に侵食してしまう。

 

「……あ……ごめん……なさい……」

 

「ふ……ふふ……美遊を求める気持ちでクロエと一つになった。おかげでクロエの精神の障壁を突破できた。このカラダで、全力で戦える──!あとは、美遊自身の前であなたたちを倒せば、彼女の心の支えもなくなる──無限の世界に手が届く!」

 

クロエの精神と肉体を完全に掌握し、残るは美遊だけとなる。

 

イリヤたちを倒して美遊を絶望させ、取り込めば願いが叶う……ファースト・レディは願いが叶う目前まで来たと歓喜に震える。

 

しかし、ファースト・レディを止めるため……魔法少女達と戦士達が立ち塞がる。

 

「そうして届いた世界で今度は何を犠牲にするの?……ミユだって戦ってる。私だって負けられない……!カレイドの魔法少女は、二人で一つなんだから!」

 

「そうですとも!ルビーちゃん感激です!」

 

「イリヤ様──皆様、どうか……!」

 

「遊馬さん!マシュさん!アストラルさん!ブラック・マジシャン・ガールさん!お願い、あと一度だけ!一緒に戦って!」

 

「一度と言わず、何度だって一緒に戦ってやるぜ!なあ、マシュ!アストラル!ブラック・マジシャン・ガール!」

 

「はい、遊馬君。気持ちは一つです」

 

「共に行こう、ファースト・レディを止めるぞ!」

 

「悲しみに囚われた彼女を救いましょう!」

 

美遊とクロエ、そして……ファースト・レディを救うために最後の戦いに挑む。

 

その最後の戦いの先陣を切るのは遊馬とアストラルの二人だ。

 

「さーて、アストラル、あの色々と勘違いをしている魔法少女に見せてやろうぜ!俺たちの力を!」

 

「ああ。世界を救った者として、奇跡を起こせるのは魔法少女だけでないところを教えてやろう!」

 

遊馬とアストラルは互いの拳をぶつけて気合いを入れ、手を天に向けて掲げる。

 

「かっとビングだ!俺と!」

 

「私で!」

 

「「オーバーレイ!!」」

 

遊馬が赤い光、アストラルが青い光となって宙に浮き、城内を駆け巡る。

 

「「俺達/私達二人でオーバーレイ・ネットワークを構築!!」」

 

二人はそれぞれ赤と青の光を纏いながら空中を駆け抜ける。

 

二つの光がぶつかり、大きな『X』の光が輝き、二人の肉体と魂が一つに融合し、そこから遥かなる高みへとランクアップする。

 

「「真の絆で結ばれし二人の心が重なった時、語り継ぐべき奇跡が現れる!」」

 

肉体と魂が融合すると共にその力を今までよりもランクアップさせるために、光の中で再構築していく。

 

そして……光の中から世界を救った無限大の奇跡の力を秘めた、魔法少女に匹敵する希望の英雄が降臨する。

 

「「エクシーズ・チェンジ!ZEXAL II!!」」

 

希望の勇者……ZEXAL IIが降臨し、同じく奇跡を起こす者達である魔法少女達ですら初めて見る異様な光景に開いた口が塞がらなかった。

 

「ゆ、遊馬さんとアストラルさんが……がが、合体するなんて……!?」

 

「人間と精霊が合体ですと!?あ、あり得ませんよ!私やサファイアちゃんがイリヤさんや美遊さんに力を貸すならともかく、肉体と魂が一体化して全く新たな存在になるなんて考えられませんよ!」

 

「しかし姉さん、今目の前で起きていることは現実です……しかも、ここからでも感じる強大な力……サーヴァントにも匹敵します」

 

「二つの存在が一つに……まさに一心同体……まるで、以前のマスター達を連想させます……」

 

イリヤ、ルビー、サファイア、ブラック・マジシャン・ガールはあまりの衝撃的な展開に驚きを隠せられなかった。

 

「う、嘘……誰だかよく知らないけど、人間と幽霊(?)が合体して全く違う姿に……?理解不能……私の知識や常識を遥かに超えている……」

 

囚われた美遊は人間と幽霊(精霊)が合体すると言う常識を遥かに超えている謎の事態に理解不能となり、頭がパンクしかけていた。

 

「な、何よ、あのお兄さんは!?よく分からない幽霊と合体して……ちょっとだけイケメンになっちゃって……イリヤったら一体どんな人を連れてきたのよ!?」

 

ファースト・レディに体を支配されて操られているが心の中にいるクロエは子供っぽい見た目の遊馬がZEXAL IIになり、凛々しく勇ましい姿に変身して少しだけときめいていた。

 

「何……?何なの、何なのよ、あなたは……!?どうして合体できるの!?どうして魔法少女でも無いのに、それほどの奇跡の力をその身に宿せるの!?」

 

そして、ファースト・レディはZEXAL IIから感じ取れる魔法少女を遥かに超えるであろう奇跡の力に驚愕と同時に恐怖を抱いていた。

 

「俺達はZEXAL!世界を救う、希望と未来を司る英雄だ!」

 

「見せてやろう、我々の力を!奇跡の創造の光を!」

 

ZEXAL IIがデュエルディスクを構えるとイリヤとクロエが戦っている間に予め何ターンもかけて用意していた布陣がフィールドに現れる。

 

モンスターフィールドには『ガガガマジシャン』と自身の効果で特殊召喚された『ドドドバスター』がそれぞれ一体。

 

魔法・罠ゾーンにはセットカードが1枚、更に永続魔法『強欲なカケラ』が発動しており、強欲カウンターが1つ乗っている。

 

「「俺/私のターン、ドロー!強欲なカケラの効果!通常ドローする度にこのカードに強欲カウンターを1つ置く!強欲なカケラのもう一つの効果!強欲カウンターが2つ以上乗ったこのカードを墓地に送り、デッキから2枚ドローする!」」

 

強欲なカケラが復元されて元となった強欲な壺となり、ZEXAL IIの右手が金色に輝きを放つ。

 

「「最強デュエリストのデュエルは全て必然!ドローカードもデュエリストが創造する!全ての光よ、力よ!我が右腕に宿り、希望の道筋を照らせ!ダブル・シャイニング・ドロー!!」」

 

シャイニング・ドローでデッキからZEXAL IIの望む2枚のカードを引き寄せてドローし、新たな仲間を呼び出す。

 

「「魔法カード『おろかな埋葬』!デッキからモンスターを1枚墓地に送る。デッキから『ドドドドワーフ GG(ゴゴゴグローブ)』を墓地に送り、ドドドドワーフの効果発動!このカードが墓地にあり、ドドドドワーフ以外のゴゴゴモンスターかドドドモンスターがいる時、このカードを墓地から特殊召喚出来る!蘇れ、ドドドドワーフ!」」

 

それは両腕に屈強なゴゴゴモンスター達から作られた大きな岩石のグローブを装着し、鎧を纏ったドワーフの戦士でズバババンチョーと同じく新たにデッキに加わった仲間だ。

 

ズバババンチョーと同じく他のオノマトモンスター導く効果を持つ。

 

「「ドドドドワーフのもう一つの効果!自分のメインフェイズに手札からズババモンスターかガガガモンスターを特殊召喚出来る!来い、フォウ!!」」

 

「フォウフォーウ!」

 

フォウがZEXAL IIの元に走り、光の粒子となって手札にあるカードの中に入り込む。

 

「このモンスターはオノマトモンスターとして扱う!ドドドドワーフの効果で手札から『希望の守護獣 フォウ』を特殊召喚!」

 

オノマトモンスターとして扱うフォウをドドドドワーフの効果で手札から特殊召喚する。

 

「「ドドドバスターをリリースして手札から『ブラック・マジシャン・ガール』をアドバンス召喚!更に魔法カード『二重召喚』!通常召喚権を一つ増やし、手札から『ガガガガール』を通常召喚!」」

 

ブラック・マジシャン・ガールをアドバンス召喚し、そこから更に遊馬のデッキで魔法少女モンスター……ギャル風の魔法少女、ガガガガールが召喚された。

 

『ふふっ……ガガガッ!……えっ!?』

 

ガガガガールは隣にいるブラック・マジシャン・ガールに驚愕して慌て出した。

 

『ブ、ブラック・マジシャン・ガールさん!?え、嘘、本物!?は、はじめまして!私、ガガガガールと言います!』

 

ガガガガールは魔法少女として、デュエルモンスターズとして、大先輩のブラック・マジシャン・ガールが一緒にいることに興奮と驚きでいっぱいで何度も頭を下げた。

 

「もしかして、私の後輩ですか?一緒に頑張りましょう!」

 

『はい!』

 

ガガガガールは憧れのブラック・マジシャン・ガールに頑張ろうと言われて気合いが入る。

 

「マシュ、準備を頼むぜ!」

 

「分かりました!」

 

次にマシュをフェイトナンバーズに入れてすぐさまエクシーズ召喚を行う。

 

「「レベル4の希望の守護獣 フォウとドドドドワーフでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!心優しき乙女よ、神秘の盾をその手に未来を守る最後の希望となれ!現れよ、『FNo.0 人理の守り人 マシュ』!!」」

 

光の爆発の中からマシュが現れ、フェイトナンバーズの姿へと変身すると、その肩にエクシーズ素材となったフォウが現れる。

 

「「エクシーズ素材となったフォウの効果発動!フォウがフェイトナンバーズのオーバーレイ・ユニットになっている時、1ターンに1度、デッキからカードを2枚ドローして1枚を墓地に送ることが出来る!セカンド・ダブル・シャイニング・ドロー!!そして、手札1枚を墓地に送る!かっとビングだ、マシュ!!」

 

「マシュビングです、私!」

 

「「マシュを対象に『RUM - リミテッド・フェイト・フォース』を発動!」」

 

フェイトナンバーズ専用のランクアップマジックを発動し、ランクアップの力がマシュに与えられる。

 

マシュの体が光に包まれ、フォウと共に天に登る。

 

「「マシュ、ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!」」

 

上空に『00』のナンバーズの刻印が輝き、希望皇ホープ達と未来皇ホープの幻影が現れる。

 

ホープ達の幻影が光となり、マシュと共に天に登り、全ての力が一つに合わさって大きな光の爆発を起こす。

 

「「未来を司る力よ、数多の希望の光を集わせ、運命を斬り開け!現れよ、FNo.0!『希望の守護者 マシュ・ホープライト』!!!」」

 

光の中から飛び出したのは希望皇ホープと未来皇ホープの力をその身に宿し、魂と肉体を最高潮にまでランクアップした希望の守護者。

 

「「マシュ・ホープライトの効果!このカードが特殊召喚されたターンに1度、エクストラデッキから『希望皇ホープ』モンスター、または『未来皇ホープ』モンスター1体をX召喚扱いで特殊召喚する!」」

 

「フューチャーホープサークル、展開!!」

 

マシュが両腕を左右に開くとアストラル世界の文字や数字、更にその中心には皇の鍵が描かれた金色の魔法陣が展開される。

 

「「無限の未来へと続く、重なる願いと想い!遥かなる高みへと繋がる時、星河一天の希望が光を導く!現れよ!!『No.39 希望皇ホープ・ダブル』!!!」」

 

魔法陣の中から聖なる光が無数の波動と共に現れたのはあらゆる希望皇ホープに転身することが出来る、大きな可能性を秘めた希望皇ホープ・ダブル。

 

「「ホープ・ダブルの効果!1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを一つ使い、デッキから『ダブル・アップ・チャンス』を手札に加え、希望皇ホープモンスターをこのカードに重ねてエクシーズ召喚扱いでエクストラデッキから特殊召喚する!」」

 

ダブル・アップ・チャンスをデッキから手札に加えてエクストラデッキから希望皇ホープを手にして希望皇ホープ・ダブルの上に重ねる。

 

「「希望皇ホープ・ダブル!エクシーズ・チェンジ!現れよ、No.39!我が戦いはここより始まる!白き翼に望みを託せ!光の使者!『希望皇ホープ』!!」」

 

朧げな霊体のような姿をした希望皇ホープ・ダブルが転身し、希望皇ホープとなる。

 

「「この効果で特殊召喚したホープの攻撃力は倍となる!攻撃力、2500×2で5000!」」

 

希望皇ホープの攻撃力が二倍となり、全身に力が漲るように赤いオーラを纏う。

 

ZEXAL IIは更に希望皇ホープの力を高める為に新たなモンスターを呼び出す。

 

「「ガガガマジシャンの効果!1ターンに1度、ガガガマジシャンのレベルを1から8に変更出来る!ガガガマジシャンのレベルを5にし、更にガガガガールの効果!1ターンに1度、ガガガマジシャンと同じレベルになれる!これでガガガマジシャンとガガガガールのレベルは共に5!」」

 

『ガガガッ!』

 

『ハァッ!』

 

ガガガマジシャンとガガガガールはブラック・マジシャン・ガールが共に戦っているので気合を入れて声を出す。

 

「「レベル5となったガガガマジシャンとガガガガールでオーバーレイ!エクシーズ召喚!!」」

 

『ガガガ先輩!』

 

『応ッ!!』

 

ガガガマジシャンとガガガガールは互いに声を掛けながら光となって地面に吸い込まれて光の爆発を起こす。

 

「「彼方より来たれ、奇跡の獣たちを導く王!希望の光を紡ぎ、闇を斬り裂け!現れよ!『ZW(ゼアル・ウェポン) - 獣王獅子武装(ライオ・アームズ)』!!」」

 

ZEXAL IIがエクシーズ召喚したのはZWを導く獣王、獣王獅子武装。

 

獣王獅子武装は希望皇ホープの力を最大限に高める為に隣に並び立ち、獣の咆哮を轟かせる。

 

「「ガガガガールの効果!ガガガモンスターのみでエクシーズ召喚したモンスターエクシーズは相手モンスターの攻撃力をゼロにする!ゼロゼロコール!」」

 

獣王獅子武装の隣にガガガガールの幻影が現れ、携帯電話を操作してファースト・レディに向けて特殊な音波を放つ。

 

「そんなのは効かないわ!」

 

ファースト・レディは音波を薙ぎ払ったが、ZEXAL IIはそれは想定内の事なので気にせずに獣王獅子武装の効果を発動する。

 

「「獣王獅子武装の効果!1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ使い、デッキからZWを手札に加える!」」

 

獣王獅子武装がオーバーレイ・ユニットを一つ食すと、ZEXAL IIはデッキからZWを一枚手札に加える。

 

「「デッキから『ZW - 雷神猛虎剣』を手札に加え、希望皇ホープに雷神猛虎剣を装備する!」」

 

ZW二刀流の片割れである雷神の虎が現れ、希望皇ホープがホープ剣を掲げる。

 

ホープ剣と雷神の虎が一つになり、雷神猛虎剣となる。

 

「「そして、これが対魔法少女用の罠カード!『DNA改造手術』!」」

 

ZEXAL IIが発動したのは手術衣を身につけた医師達が描かれた罠カード。

 

「「種族を一つ宣言し、このカードが存在する限り、フィールド上の表側の全てのモンスターは宣言した種族となる!俺/私は『魔法使い族』を宣言する!!」」

 

DNA改造手術はモンスターの種族を文字通り改造し、デュエリストが宣言すれば自分のモンスターの種族を『神』にもなれる大きな可能性を秘めたカード。

 

元々魔法使い族であるブラック・マジシャン・ガールを含め、希望皇ホープ、マシュ・ホープライト、獣王獅子武装が全てのモンスターの種族が魔法使い族となる。

 

種族が魔法使い族になれば魔法少女の世界でもそれなりのダメージを与えられるとZEXAL IIは考えてデッキに入れておいたのだ。

 

希望皇ホープと獣王獅子武装は一瞬だけ体が光ってそれぞれテキストが戦士族と獣族から魔法使い族になり、マシュも戦士族から魔法使いになるが……。

 

「えっ?あっ、あれ?」

 

「フォー?」

 

マシュが肩に乗っているフォウと一緒に光に包まれると希望皇ホープと獣王獅子武装とは違う変化が起きた。

 

体に装着されている希望皇ホープと未来皇ホープのプロテクターと両腰に備えている二振りのホープ剣が消失し、代わりに紫色のドレスのようなとても可愛らしい衣装を身に纏った。

 

マシュを象徴する大きな十字の盾が掌サイズにまで縮小し、更に盾から柄が飛び出して魔法少女のステッキとなる。

 

「え……ええっ!?わ、私の姿が、魔法少女に!??」

 

ステッキを手に取り、腕を軽く広げて静かに降り立つとマシュは自分の姿に驚いた。

 

「フォーフォーウ♪デミ魔法少女カルデア☆マシュの誕生だフォウ!」

 

フォウはマシュが魔法少女に変身したことに再び人語を話しながら喜んだ。

 

しかし、何故自分だけが魔法少女になったのか分からずマシュは困惑しながらZEXAL IIに尋ねた。

 

「な、なんで私が魔法少女に!?遊馬君、アストラルさん、これはどう言うことですか!?」

 

希望皇ホープと獣王獅子武装の見た目には特に変化はなく、その理由をZEXAL IIはだいたい察しがついた。

 

「あー、多分……デュエルディスクが空気を読んだんだな」

 

「空気を読む!?デュエルディスクがですか!?」

 

「デュエルディスクはデュエルの演出や表現を盛り上げるの為、時にカードの効果を付与したモンスターがその姿や必殺技を変える時がある。今回はマシュが戦士族から魔法使い族になった事で衣装が魔法少女のようになったのだろう」

 

デュエルディスクに搭載されているソリッドビジョンシステムの高度な技術力(?)により、マシュが希望の守護者から『デミ魔法少女カルデア☆マシュ』へと変身したのだ。

 

「とっても可愛いですよ、マシュさん!こんな時じゃなければスイッチが入ってたかも……」

 

「ええ!マシュさんも魔法少女の素質は充分に備わっていたのでとても似合っていますよ!」

 

イリヤとブラック・マジシャン・ガールは魔法少女となったマシュを絶賛した。

 

マシュはまさか自分が本当に魔法少女になれるとは思わなかったので恥ずかしさで顔を真っ赤にしながらステッキを握り締めていた。

 

ZEXAL IIは苦笑を浮かべながら気を取り直し、バトルフェイズに入る。

 

「「行くぞ、希望皇ホープで攻撃!ホープ剣・ライトニング・ブレード!!」」

 

希望皇ホープは雷撃を纏う雷神猛虎剣を構えて振り下ろすが、ファースト・レディは手を前に出すと花弁のように展開する光の盾が現れた。

 

「『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』!」

 

それはエミヤが使う強力な盾を展開する結界宝具の熾天覆う七つの円環。

 

花弁の2枚が破壊されるが、熾天覆う七つの円環を突破する為にZEXAL IIは尽かさずモンスターの攻撃を指示する。

 

「「マシュの攻撃!」」

 

「は、はい!」

 

魔法少女になったマシュはステッキを掲げ、先端の十字に魔力を込める。

 

イリヤやブラック・マジシャン・ガールの攻撃を模倣し、込めた魔力を一気に解き放つ。

 

「ロード・カルデアス・マジック!」

 

ステッキを振り下ろすと込められた魔力が無数の小さな魔力弾となり、弾丸がガトリング砲のように次々と連射されて熾天覆う七つの円環の花弁の盾を破壊する。

 

「「ブラック・マジシャン・ガール!ブラック・バーニング!獣王獅子武装!ライオ・タックル!!」」

 

ブラック・マジシャン・ガールと獣王獅子武装もマシュに続いて攻撃する。

 

ブラック・マジシャン・ガールは球体状に込めた魔力を爆発させ、獣王獅子武装は城内を駆け抜けて強烈な体当たりをする。

 

熾天覆う七つの円環の花弁の盾は全て破壊されたがファースト・レディは未だに無傷。

 

「ふん……いくら貴方たちの力がどれだけ高まっても、今の私を倒せないわ!」

 

「上等だ!クロエちゃんの意識が戻るまで何度でも攻撃するまでだ!」

 

「我々は絶対に諦めない!必ず君を止めてみせる!」

 

ZEXAL IIはファースト・レディを止め、クロエを取り戻す為に諦めずに戦い続ける。

 

ファースト・レディも反撃でクロエの戦闘能力である弓矢や刀剣を投影して戦っていく。

 

「……ルビー」

 

「はい、何でしょう?」

 

「遊馬さんとアストラルさん、マシュさんとフォウ君は……ミユとクロを助ける為に命を掛けて、全力で戦ってくれている。本当なら関係のない、見ず知らずの他人なのに……」

 

遊馬達はまるで自分の事のようにイリヤの大切な人である美遊とクロエを助ける為にファースト・レディと戦っている。

 

「それなのに、私だけ全力でいかないのはダメだよね……」

 

イリヤの覚悟を決めた想いを込めた言葉にルビーは汗を流しながら震えた。

 

「イ、イリヤさん……ま、まさか……!?」

 

「私は取り戻したい。私の大切な親友のミユを……私の大切な半身で妹のクロを……だから!私も覚悟を決める!サファイア、もう一度……あなたの力を貸して!」

 

「……はい!イリヤ様!共に美遊様とクロエ様をお救いしましょう!

 

「ルビー!お願い!」

 

「ああもう!分かりましたよ!こうなったら私も覚悟を決めましょう!」

 

イリヤはルビーを左手に持ち、サファイアを右手に持つ。

 

二つのカレイドステッキが光り輝くとイリヤの体が光に包まれて衣装とステッキが変化する。

 

先端が大きなガラス玉のような球体の中にルビーとサファイアの五芒星と六芒星があり、羽根とリボンの飾りがついたステッキとなった。

 

そして、魔法少女の衣装はイリヤの自身のピンク色のフリフリのドレスと、美遊の競泳水着のような衣装がごちゃ混ぜになったような姿となり、背中には魔力で形成された赤紫色に輝く双翼が炎のように揺らめきながら生えていた。

 

しかし……その双翼はまるで、イリヤにある命を対価に燃え上がらせている炎の双翼にも見え、可愛らしさと同時に恐ろしさや怪しさを宿していた。

 

二つのステッキを一つにして手にし、溢れんばかりの力をその身に纏うその姿はイリヤの最強の力。

 

「カレイドライナー・プリズマ☆イリヤ ツヴァイフォーム!!!」

 

ツヴァイフォーム。

 

それは、ルビーとサファイア……二つのカレイドステッキを同時に使用し、一つにする事で変身できる……イリヤの奇跡の最強形態である。

 

ツヴァイフォームに変身したイリヤは静かにZEXAL IIの隣に立つ。

 

「イリヤちゃん……その姿は……!?」

 

「私の……切り札です!クロ、ちょっと痛いの我慢してね!!」

 

双翼を羽ばたかせたイリヤは飛翔して一気にファースト・レディの元に行き、ステッキに大きな魔力刃を形成して振り下ろす。

 

ファースト・レディは慌てて干将・莫耶で魔力刃を受け止める。

 

「イリヤ……くっ、あなたのその力は一体……!?」

 

「ミユとクロ……私の親友と妹を絶対に返してもらうから!ファースト・レディ!!」

 

イリヤはその場から軽やかにバク転するように飛びながら魔力砲を撃つ。

 

それはクラスカード・キャスターの夢幻召喚の時に放った魔力砲よりも強力で、しかも一つだけだなく複数の魔力砲を同時に放っていく。

 

ツヴァイフォームの強大な力にZEXAL II達は感心するが、ブラック・マジシャン・ガールは目を見開いて体が震えていた。

 

「ダメ……」

 

「えっ?」

 

「ダメです!早くイリヤさんを止めないと!」

 

「ど、どう言う事なんだ!?」

 

「感じるのです……イリヤさんが力を使う度に体が損傷していくのが……あの姿はイリヤさんの命を削っています!早く何とかしないと!!」

 

ツヴァイフォームは通常の魔術回路だけでなく筋系・血管系・リンパ系・神経系までも擬似魔術回路として利用する事によって引き出しているため、攻撃する毎にそれらの神経を大きく傷付ける諸刃の剣である。

 

イリヤはかつて美遊を救う為にこのツヴァイフォームを使い、ルビーはもう二度とイリヤに使わせないと誓ったがイリヤの確固たる決意に折れたのだ。

 

「俺よりも年下の女の子が文字通り命を懸けて……アストラル!!」

 

「分かっている!力を使う度に命を削る……そうだ、遊馬!イリヤを救う方程式を導いたぞ!」

 

アストラルはツヴァイフォームで命を削るイリヤを救う方法を思いつく。

 

「「俺/私のターン、ドロー!フォウの効果!デッキから2枚ドローし、その後手札を1枚墓地に送る!全ての光よ、力よ!我が右腕に宿り、再び希望の道筋を照らせ!ダブル・シャイニング・ドロー!そして手札1枚を墓地に送る!」」

 

シャイニング・ドローで創造したカードによりイリヤを救うカードを手札に加える。

 

「「魔法カード『コストダウン』!手札を1枚捨て、このターンの自分の手札のモンスターのレベルは2つ下がる!」」

 

コストダウン、それは上級モンスターのレベルを下げてアドバンス召喚のコストを文字通り下げる魔法カード。

 

「「このモンスターをレベル6からレベル4として召喚する!現れよ!『マテリアルドラゴン』!!」」

 

ZEXAL IIが召喚したのは全身が金色に輝き、流れる水のような模様が美しい竜……マテリアルドラゴン。

 

「「マテリアルドラゴンの効果!このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、ライフポイントにダメージを与える効果はライフポイントを回復する効果になる!マテリアルヒーリング!!」」

 

マテリアルドラゴンの体から金色の粒子を散布し、それがイリヤの体に纏われると不思議な事が起きた。

 

ツヴァイフォームで力を使う度にイリヤの体中の器官が傷ついていき、あちこちから痛々しく血が流れていたがそれが徐々に無くなっていた。

 

「えっ……?これって……」

 

「こ、これは……驚きです!イリヤさんの体が回復しています!?」

 

「傷付いたイリヤ様の肉体の全器官が癒されて回復していきます……ツヴァイフォームで傷付くはずだった肉体が逆にどんどん回復していきます!」

 

「マテリアルドラゴンはフィールドに存在する限り永続的に効果ダメージを回復に変換させる唯一のモンスター!」

 

「これでその姿の代償となっていたイリヤちゃんのダメージは全て回復になるぜ!」

 

力を使う度に体に負荷を掛け、命を削るツヴァイフォームだが、マテリアルドラゴンの癒しの力によりダメージが逆に回復に変換された。

 

数あるデュエルモンスターズの中でもフィールドに存在する限り、効果ダメージを永続的に回復出来るモンスターはマテリアルドラゴンを除いて他にはいない。

 

「凄い……ありがとうございます、遊馬さん!アストラルさん!」

 

「この姿の時はZEXALって呼んでくれ!」

 

「さあ、これで君の体の心配も無くなった……全力全開で行くぞ!」

 

「はい!」

 

ZEXAL IIもイリヤも全力全開で最後のターンを迎えようとしたが、ファースト・レディもただで済ませるわけにはいかなかった。

 

「そうはいかない!イリヤ、先にあなただけでも確実に倒す!」

 

干将・莫耶を一組から二組に増やして投げ飛ばし、ブーメランのように回転しながら四方向からイリヤを狙う。

 

「岩を断ち、雨を裂き、逃げ場を挟む鶴の一声……『堕・鶴翼三連(ブラックバード・シザーハンズ)』!!」

 

山を抜き、水を割っても堕ちることのなかった双剣が、堕ちた黒鶴の両翼となり切り刻む。

 

イリヤの背後にファースト・レディが転移して現れ、もう一組の干将・莫耶をその手に持ち、三組の干将・莫耶による回避不可の同時攻撃を行おうとした。

 

これをまともに受ければただでは済まない。

 

しかし、イリヤは目を閉じてとても落ち着いており、静かに口を開いた。

 

「全方位錘形物理保護」

 

次の瞬間、イリヤを中心に数多の錘形の魔力で形成されたシールドが隙間なく全方位に形成され、投擲された干将・莫耶を別の方角に逸らして地面に突き刺さり、更にはファースト・レディが振り下ろした干将・莫耶も簡単に受け流されてしまった。

 

「なっ!??」

 

「ファースト・レディ……あなたはクロに憑依して体と力を自由に扱えても、クロの記憶を見れるわけじゃ無いんだね。この姿になった私は……そう簡単にやられないんだから!!」

 

イリヤは背後にいるファースト・レディに向けてゼロ距離で魔力砲をぶっ放して吹き飛ばし、地面に叩きつけられる直前に物理保護の応用でシールドを星型に形成してファースト・レディの体を拘束した。

 

「ZEXALさん!今です!」

 

「ああ、任せろ!」

 

「これで最後だ、ファースト・レディ!!」

 

ZEXAL IIはファースト・レディに向かって最後の攻撃を繰り出す為に希望皇ホープに最高の力を与える。

 

「「俺/私のターン、ドロー!獣王獅子武装の効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、デッキから『ZW - 風神雲龍剣』を手札に加え、希望皇ホープに装備する!」」

 

獣王獅子武装の効果によりZW二刀流のもう片方の剣、風神の龍……風神雲龍剣を手札に加えて発動する。

 

希望皇ホープのもう一本のホープ剣が風神の龍と一体化して風神雲龍剣となり、ZW二刀流が完成した。

 

「「そして、獣王獅子武装を希望皇ホープに装備!闘志が纏いしその衣、轟く咆哮、大地を揺るがし、迸る迅雷、神をも打ち砕く!獣装合体!ライオ・ホープ!!」」

 

最強のZW二刀流に加え、究極のZWの獣王獅子武装を装備し、今の希望皇ホープは最高の攻撃力と効果を有している。

 

「これでホープの攻撃力はホープ・ダブルの効果で二倍に加え、三つのZWの効果で更に上昇する!」

 

「その攻撃力は2500×2+1200+1300+3000で合計10500!」

 

驚異の攻撃力1万超えを達成し、これで希望皇ホープの攻撃の準備は完全に整った。

 

「「ライオ・ホープでファースト・レディに攻撃!この瞬間、希望皇ホープのモンスター効果!1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを一つ使い、モンスターの攻撃を無効にする!ムーン・バリア!!」」

 

ライオ・ホープが突撃したその直後にオーバーレイ・ユニットを胸の水晶に取り込むと攻撃が無効になる。

 

「攻撃を自分で無効に!?」

 

「「手札から速攻魔法『ダブル・アップ・チャンス』を発動!モンスターの攻撃が無効になった時、その攻撃力を二倍にしてもう一度攻撃が出来る!」」

 

「さ、更に二倍ですって!?」

 

ホープ・ダブルで手札に加えていたダブル・アップ・チャンスを発動したことにより、ライオ・ホープの攻撃力は更に倍となり、10500×2で合計攻撃力は21000となった。

 

ライオ・ホープは雷神猛虎剣、風神雲龍剣、獣王獅子武装の全ての武装を解除して光の粒子に変換させると、その力を二振りのホープ剣の刃に収束させる。

 

「これが私の全て……!」

 

その間にイリヤもルビーとサファイアの力により、全身の全ての器官を擬似魔術回路の変換が完了し、魔力放出を限界を越える状態にしてステッキを掲げて魔力を込める。

 

そして、希望皇ホープとイリヤは同時にホープ剣とステッキを振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホープ剣・ゼアル・ウェポン・スラッシュ!!!」

 

「『多元重奏飽和砲撃(クウィンテットフォイア)』!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

希望皇ホープから十字の巨大な金色の斬撃が放たれ、イリヤはステッキから夜空に輝く銀河の如き美しい魔力砲を放った。

 

ファースト・レディは物理保護の拘束を強引に破壊し、瞬時に投影を行い、手にしたのは……。

 

「これが……この体で……クロエが投影出来る最強の剣……!」

 

それはアルトリアの持つ星の聖剣、約束された勝利の剣。

 

投影したものなので、アルトリアのオリジナルやイリヤの夢幻召喚で手にした約束された勝利の剣には及ばないが、それでも充分な力を持つ。

 

更には美遊から魔力を充分に与えられている今なら投影したものでも全力で使う事ができる。

 

「『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』!!!」

 

約束された勝利の剣から放たれた金色の激流が斬撃と魔力砲と真正面からぶつかり合う。

 

最初の魔法少女、この世界に君臨する魔法少女の女王としてファースト・レディは負けられない。

 

約束された勝利の剣のこの一撃に全てを込めてイリヤ達を倒し、自分の願いを叶える。

 

だがそれはイリヤも同じで負けるわけにはいかない。

 

自分はファースト・レディのように世界を救うという大きな事のために戦ってはいない。

 

だけど、自分の一番大切な親友と妹……その二人の命を守り、救い、そして……一緒に元の世界に帰って共に幸せな日常を過ごしたいと願いを叶える為。

 

それはファースト・レディの願いに比べたら何処にでもいる幼い少女のワガママかもしれない。

 

しかし、時にその小さな願いは……世界に届く大きな力となる。

 

「ミユ……クロ……!うっ、くぅっ……うあぁああああああああああああっ!!!」

 

イリヤは全身から力を奮い立たせるような叫び声を上げ、全ての魔術回路と擬似魔術回路を解放して魔力砲の規模を更に拡大させ、約束された勝利の剣の光を呑み込んでいく。

 

「そ、そんな……!?」

 

ファースト・レディの手にある約束された勝利の剣は限界を超えて粉々に砕かれて消滅し、次の瞬間には斬撃と魔力砲が目の前にまで迫る。

 

「ミラー……」

 

ファースト・レディは誰かの名を呟き、涙を流しながらその身が光に包まれた。

 

 

 




いやー、今回はいつもの倍近くの文字数で色々大変でした。
ZEXAL IIとツヴァイフォーム……このタッグを実現したかったので満足です。
それとマシュの本格魔法少女化にも成功しました(笑)
やっぱりDNA改造手術と空気を読むデュエルディスクのソリッドビジョンは最強ですな。

次回はいよいよプリズマ・コーズ編の最終回です。
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