Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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これにてプリズマ・コーズ編は終わりです。
なんとか4月中に終わってよかったです。
改めて思うとやっぱりプリズマ・コーズは話の内容が濃いなと思いました。
書き終えて一安心です。


ナンバーズ146 魔法少女達の新たな物語

美遊とクロエを救う為、クロエに憑依したファースト・レディに向けてZEXAL IIとイリヤの最大級の攻撃を放ち、ファースト・レディの力を削いでいく。

 

「はぁ……はぁ……なんとか相手の力を削ぎきった……よね?今、あなたはレディ……?それとも……クロ……なの?」

 

「ふむふむー?どうやらクロさん優勢のようですよー?憑依していたレディの反応が消えていきます!」

 

ファースト・レディの力を削ったことでクロエの意識が優勢になっているが、このままではファースト・レディが消滅しそうになっていた。

 

「えっ……!?そ、それは待って、レディさん!聞こえるクロ!?お願い!もうちょっとこらえて!」

 

「あのねぇ……また勝手なこと……きっついなもう……」

 

「まずい……ファースト・レディが消失すればこの固有結界も消失する可能性があるぞ」

 

「くっ、どうする……聖杯で魔力を渡すか……!?」

 

ファースト・レディをこのまま消させるわけにはいかず、ZEXAL IIは聖杯を使って命をつなぐことを考えた。

 

一方、ファースト・レディの膨大な力の源であった美遊を拘束していた魔術礼装が無力化されていた。

 

「イリヤ様、美遊様を拘束していた礼装が無力化しています!」

 

「サファイア、行って!」

 

「はい!」

 

イリヤはツヴァイフォームを解除してステッキのルビーとサファイアを分離させ、サファイアを美遊の元に行かせた。

 

しかし、美遊は長いこと拘束されて上手く体に力が入らずにその場に倒れそうになる。

 

「美遊様っ!?」

 

「はっ!?クリボー、頼む!」

 

ZEXAL IIは手札にあったクリボーを召喚して美遊の元へ向かわせた。

 

「クリクリー!」

 

クリボーは瞬時に美遊の前に召喚されると、クリボーの体が倍加して大きくなり、モフモフの体がクッション代わりとなって美遊を受け止めた。

 

「あっ……えっと……?」

 

美遊はその場に座り込んでクリボーを見つめると、クリボーは元の大きさに戻って笑顔を見せた。

 

「あ、ありがとう……」

 

「クリクリ〜♪」

 

「わぷっ!?」

 

人懐っこいクリボーは嬉しそうに美遊に頬擦りをする。

 

「ちょっ……あははっ、もう、くすぐったいよ……」

 

美遊は人懐っこく、可愛らしいクリボーに少しだけ心を開いて頭を撫でた。

 

少しだけクリボーのモフモフを堪能して立ち上がると、サファイアに感謝した。

 

「ふぅ……サファイアも、ありがとう」

 

「美遊様……っ……」

 

サファイアは感極まって涙声で美遊に駆け寄り、もう離れないと言わんばかりに抱きついた。

 

「良かった……ミユ……」

 

美遊を無事に救えてイリヤは一安心をする。

 

すると、ファースト・レディが恨めしそうな声でイリヤに話しかけた。

 

「……どういう……つもり、イリヤ……とどめを刺さないなら……私に勝ったことにならない……私は決して諦めない……諦められない……」

 

「勝ち負けとか……レディさん、そうじゃなくて──」

 

「……そう。違う。あなたのそれは執念や理想とは異なる。それはきっと──贖罪だから。レディ、あなたは認められないだけ。イリヤの純粋な想いとは違う」

 

ファースト・レディが何を思って今まで生きていたのか、戦ってきたのか……短い間だが一緒にいた美遊はその本心を気付いていた。

 

「ミユ……?」

 

「贖罪……?」

 

「ねえイリヤ 、彼女にあなたの気持ちを教えてあげて」

 

「えっ、私が!?」

 

「うん──彼女の心に届くように。素直に。思い切り」

 

「……わかった、ミユ」

 

美遊に託され、イリヤは深呼吸をして心を落ち着かせ、自分の正直な気持ちを打ち明けた。

 

魔法少女として戦ってきたこれまで日々とこの世界に導かれ、魔法少女たちと戦って気づいた自分の想いと覚悟を……。

 

「レディさん……わ、私はね……いつも目の前のことで精一杯で、世界を救おうなんて、考えたこともなくて……ううん。正直に言うと、自分と関係ないことだからって遠くのことは考えないようにしてた。でも、もしもレディさんと同じ立場になったら……人に頼られて、振るうのが義務になってしまうぐらい途方も無い大きな力を手に入れてしまったら……その時、自分に何が出来て、誰を選ぶのか……私にはまだ……分からない、です」

 

「……そう」

 

「でも……私の大切な友達や家族に危険な目に遭うことがあれば、私は魔法をためらいなく使う。私は、みんなの笑顔を守るために魔法を……使うよ?」

 

「……それで、あなた自身が泣くことになっても……?」

 

ファースト・レディの問いにイリヤは無言で頷く。

 

「……遊馬、アストラル。いいえ……ZEXAL。あなた達もそうなの?それほどの大きな力を持つあなた達も、大切なものを守るためにその力を振るう……?」

 

「ああ。俺の大切なもの……家族と仲間達とその幸せを守る為に俺は戦う。自分の心と体がどれだけ傷ついてもな……」

 

「私たちは知っている、家族と仲間達……それがどれだけ掛け替えのないものだということを。だからこそ、守る価値があるのだ……」

 

「イリヤ……ZEXAL……私はあなたたちが羨ましい。けれど、同時に愚かだと思う。まるで過去の私を見ているようだから。私は救えなかった……私の大切な友達を……私は彼女と世界を天秤にかけて──世界を……選んだ……一番の親友だった彼女を、救うことが……出来なかった……」

 

ファースト・レディはかつて……世界を守る為に大切な友達を救うことができなかった。

 

その話に遊馬は眼を見開いて驚き、辛そうな表情を浮かべて自分の胸を強く掴む。

 

「……お前もそうなのか」

 

「……まさか、あなたも……?」

 

「……俺も、仲間と友達を……救う事が、出来なかったから……」

 

「……彼女は魔法少女では無かった。彼女は魔法少女であることを拒絶した……『世界の敵』となって、人々を絶望させた……だから……私が、この手で……っ……彼女を止めるしか……なかった……もう二度と彼女に会えない……ごめんなさいって……言えなかった……」

 

ZEXALも同じ苦しみを持っていることを知り、ファースト・レディはその友達の事を想い、後悔の念から大粒の涙を流した。

 

友達を救うことが出来なかった深い悲しみに誰もが言葉をかけることが出来なかった。

 

しかし、その空気をぶち壊す凛とした声が響く。

 

「それはどうかしらね」

 

「……っ……エレナさん!?ライオンさんも!?」

 

それは外で使い魔達と戦っていたエレナだった。

 

エレナは魔法少女としての衣装を身に纏い、側には屋敷で眠っていたライオンのぬいぐるみ……エジソンが再起動をして駆けつけたのだ。

 

「そちらでの戦闘が本格化したと同時にレディの使い魔たちは脅威ではなくなったの。この玉座の間に辿り着くのも苦労したけれど、この城内は結界が強すぎて、あの子が入れないわ。美遊も無事だったのなら、レディを連れて一旦外へ出ましょう。移動しながら、レディに憑依されている彼女についても聞かせてもらえるかしら」

 

「あの子……?」

 

「どうやらエレナは何か秘策があるようだ。とりあえず一緒に行こう」

 

この状況を打破する秘策があるようで一同はエレナの後をついていく。

 

ちなみにエレナが遊馬とアストラルが合体したZEXAL IIの存在に驚愕したことは言うまでもない。

 

城を出るとそこには見たことのある亡霊がいた。

 

「きゃっ……!って、もしかしてあの時のお化けさん!?」

 

それは死せる書架の国で黒壁の近くにいた亡霊だった。

 

「この亡霊はおそらく、以前からよく黒壁の周囲を徘徊していた子だわ。黒壁の崩壊後に危なっかしく城へ向かおうとしていたのを拾ってきたの。もしかしてファースト・レディ──あなた、この子をご存知なのではなくて?何か一言あなたに言ってやりたそうな顔をしているわ」

 

「確かに……すごく怒ってるような気が……レディさんに何か伝えたがってる……?でも、なんて言ってるのかわからないよ……うう……」

 

亡霊の力が弱いのか何を言っているのか分からず、ファースト・レディに対して怒ってるぐらいしか分からなかった。

 

すると、ブラック・マジシャン・ガールはある方法を思いついた。

 

「……魂の力を強化させて、誰かに憑依させればいけるかも」

 

「ブラック・マジシャン・ガール、可能なのか?」

 

「はい!それに、私は魔術師で精霊の力を操る古代エジプトの神官です。私の魔力と『(バー)』をあの子に分け与えます」

 

ブラック・マジシャン・ガールはステッキを構えて自身の魔力と魂の力を与えて亡霊自身の力を強化する。

 

「憑依の方ならこちらにおまかせです!イリヤさん、ちょっとお体をお借りしますよ。ルビーちゃん特製霊媒(イタコ)ポーションどうぞ!えいっ!(ぷす)」

 

「ひゃんっ──!」

 

ルビーはどこからか取り出した怪しい薬が入った注射器を迷うことなく問答無用にマスターのイリヤに打ち込んだ。

 

「イタコ?どっかで聞いたような……」

 

「日本の東北地方に古くから伝わる死者の霊魂を呼び寄せて語らせる巫女のことだ」

 

イリヤは打ち込まれた薬によってその体は亡霊を憑依させる状態へと変化した。

 

「素晴らしい……!もう憑依出来る状態になれるなんて、ルビーさん!あなたは素晴らしいステッキです!」

 

「ありがとうございます!ブラック・マジシャン・ガールさんのような素晴らしい魔法少女さんに褒められてルビーちゃん鼻が高いです!」

 

「さあ……イリヤさんの体に……」

 

力を強化された亡霊はイリヤの体の中に入ると、イリヤの瞳の色が紅から水色に変わり、纏う雰囲気も変わっていた。

 

「本当に憑依させた……!?そんな簡単に?今更だけど出鱈目に高機能な魔術礼装ね……」

 

「ってか、いつの間にあんな薬を用意していたんだ?」

 

「一体ルビーはなんの用途で開発したんだ?」

 

何故ルビーが亡霊を憑依させる薬を都合良く開発していたのか分からず遊馬達は首を傾げた。

 

「どう……イリヤ?いえ、お化けさん……?」

 

美遊はイリヤに憑依した亡霊に聞くと、イリヤは静かにファースト・レディに近付いた。

 

「……っ……の……この……おばかっ!!」

 

そして、激怒すると同時にファースト・レディの頭を殴った。

 

「……痛っ……いきなり殴られたぁ……何をするの……!痛っ、痛いってば……!」

 

「あらあらー?殴られた防衛反応でクロさんが半分戻ってきましたね?」

 

「イリヤちゃんに憑依しているのは誰なんだ?」

 

「イリヤに憑依している彼女……私知っているかもしれません。もし、夢で見た彼女なら……」

 

「……でも、見ため的にはイリヤとクロエがどつきあっているようにしか見えないのがあれね」

 

側から見ればイリヤとクロエが軽い(?)姉妹喧嘩をしているようにしか見えなかった。

 

「おばかだからおばかって言ったのよ!」

 

「……その口癖……まさか……ミラー?あなたなの!?あなたも亡霊としてここに……!?」

 

ファースト・レディはイリヤに憑依した亡霊の正体に気付いて驚いた。

 

「ええ……いけない?短期間だけど私も魔法少女を務めた。だから資格はある。そして今のあなたはファースト・レディ、最初の魔法少女、そうね?」

 

「やっぱり……彼女だ。ミラーさん?あなたがレディの大切なお友達……ですか?」

 

「そうよ──美遊。私はレディに敵として討たれた──元・魔法少女」

 

ミラー。

 

彼女こそ、世界の敵として倒されてしまったファースト・レディの友達である。

 

ファースト・レディは魔法少女として誰かが幸せになるように自分の全てを世界に捧げた。

 

しかし、ファースト・レディが頑張るほどに逆に人々から笑顔が消えた……人々の強すぎる欲望に振り回され、ファースト・レディの心が擦り減ってしまったのだ。

 

ミラーはそんな世界に救われる価値はないと思い、世界よりもファースト・レディを選んだ。

 

「……ずっとここにいたの、ミラー?私が気付けなかったの……?」

 

「……ええ。魂の力を少し頂いて回復はしたけど、私は今でも朧げな亡霊だわ。こうしてイリヤの体を借りなければ意識もはっきりと保てない。でも、ずっとあなたの存在は感じていた。この世界はあなたの後悔そのものだから。だから黒壁の向こうに届くように願っていたわ。あなたの心に安らぎが訪れるように」

 

「……っ……固有結界の外へレイラインを開いたのはあなたね?ミラー?クロエをこの世界に呼び込んだのは偶然じゃなかった。ミラー、あなたの願いがもたらした」

 

クロエをこの世界に導いたのはファースト・レディを想うミラーだったのだ。

 

その事に対してミラーはすぐに謝罪をした。

 

「私は自覚は無いけれど……だとしたら、謝るわ。迷惑をかけたわね」

 

「だとしたら、私たちやブラック・マジシャン・ガールをこの世界に導いたのはファースト・レディ、君なのか?」

 

「……いいえ。メイヴでしょう。彼女は自分自身を膨大な魔力の器としてレイラインを開いてみせたのだわ。私はその開かれたレイラインを利用しようとしただけ」

 

遊馬達やブラック・マジシャン・ガール達がこの世界に導かれた様々な謎が次々と解明していく。

 

しかし、ファースト・レディの力にも限界が来ており、クロエが苦しそうな声を出す。

 

「レディの圧力が消えそう……このままだと……いくらこちらが我慢しても弾き出してしまう……」

 

「……っ……エレナさん。あなたの状態はいかがですか?」

 

「……私自身はまだ変化を感じない。けれど、私の『死せる書架の国』にはもう異変が起き始めてる──宝石を通じてわかる。おそらく固有結界の中心、レディの城から離れた王国から順に崩壊が始まっているはず──」

 

「固有結界が持たないのかよ!?」

 

この世界が崩壊したらここにいる全員が巻き込まれて消えてしまう。

 

アストラルはすぐに対策を打つ。

 

「遊馬!フィールド魔法のオノマトピアだ!崩壊する固有結界の代わりに展開して僅かでも時間を稼ぐぞ!!」

 

「分かった!俺のターン、全ての光よ、力よ、我が右腕に宿り、希望の道筋を照らせ!シャイニング・ドロー!フィールド魔法『希望郷 - オノマトピア -』を発動!!」

 

ZEXAL IIはシャイニング・ドローでデッキトップに置いたオノマトピアを発動し、自身の奇跡の力と体内に宿る聖杯の力を使って規模を固有結界全体に広げ、一時的な崩壊を防ぐ。

 

「固有結界の崩壊を防いだ!?」

 

「だがこれはあくまで一時的なものだ。早く何か手を打たないと……」

 

ファースト・レディの消滅がこの世界の消滅と直結している為、早く具体的な方法を見つけらければならなかった。

 

その方法をいち早く見つけたのは……エレナだった。

 

「……レディ、あなたの固有結界を私が受け継いでは駄目かしら」

 

「固有結界を受け継ぐ……!?」

 

「お生憎だけど、私は本気よ。この世界は傷ついた魔法少女を受け入れる場所として必要だわ。レディ、再びあなたのような存在を出さない為にも。あなたの最初の望みを、もう一度やり直させてくれないかしら」

 

世界の為に戦った魔法少女の為にもこの世界は必要であり、ファースト・レディの最初の願いを叶える為にエレナは全てを受け継ぐ決意を固めていた。

 

「……エレナ。知恵と神秘の魔法少女。ええ……それが、あなたの心からの願いなら。私は……あなたの願いを叶えるわ!」

 

「感謝を。ファースト・レディ。今度はうまくやるわ」

 

ファースト・レディもエレナになら全てを託せると安心したように笑みを浮かべた。

 

すると今度はファースト・レディだけでなく、ミラーにも限界が訪れてしまう。

 

「ああっ……ミラーさんが消えちゃう」

 

ミラーは消滅する前に最後の力を込めてファースト・レディに言葉を送る。

 

「──聞いて、レディ。あなたは世界に棄てられ忘れられた。そして手ひどく裏切られたと感じている。魔法少女は、魔女ではない。ましてや女王でもない。奇跡に見返りを求めない。自分の為に魔法を使うこともない。ただ見知らぬ誰かのために、胸の底から湧き起こる気持ちを呪文に乗せて唱える。そうでなければ──叶わぬ願いたちは呪いになってしまう。届かぬ想いが世界の狭間に吹き溜まって煉獄となってしまう」

 

「私はまだ……それにミラー、あなたに……」

 

「ううん、レディ……あなたはもう充分に唱えきったのよ。喉が枯れるまで。魔法の本の最後のページまでめくり終えたのよ。そうね。確かに人々に降りかかる危機や襲い来る敵は、尽きず現れる。それでも……その為に、イリヤのような新しい魔法少女たちが生まれてくるのだから──いいえ、魔法少女だけではないわ。彼らのような勇敢で、奇跡を手にする勇者たちもいるわ」

 

ミラーは世界の危機が訪れる度にイリヤ達のような新たな魔法少女が生まれる。

 

そして、遊馬とアストラルのような世界を救う勇者が生まれると確信していた。

 

だから、もうファースト・レディが苦しむ必要は無い……ミラーはファースト・レディの手を取り、もう二度と離れないようにと指を絡ませて強く手を握った。

 

「みんなはまだまだ頼りない未完成の魔法少女と勇者だけれど──でも──だからこそ──みんなの掌には──未来がある──」

 

ファースト・レディとミラー……最後は二人とも優しく笑い合いながら……消滅していった。

 

二人は長きに渡る呪縛から解き放たれ、新たな世界へと旅立ったのだ。

 

「エレナさんの手に……新しい宝石が……」

 

エレナの手にファースト・レディの宝石が現れ、これで正式にこの世界を受け継ぐ事になった。

 

「二人共、戻ったのか?」

 

イリヤとクロエの憑依が解かれ、遊馬は無事を確かめた。

 

「う、うん。私はしっかり……クロは?」

 

「うーん……ここはどこ……私は誰……分からない……今までの悪行とか都合よくこれっぽちも思い出せない……だから責任問題は生じない……ミユに放送禁止内容に踏み込んだ魔力提供を強制した気がするけど合意だからノーカンだし……レディの力で私が主役の世界を作って、お兄ちゃんとラブラブな生活を送ったものの……正義の集団セロに弾劾された末に悪堕ちして、トラブル少女の烙印を押されて倒されたのも秘密だし……とまあ、色々あったけど、よくやったわねイリヤ!それでこそ正義の魔法少女、信じていたわ」

 

なんかとんでも無いことをぶっちゃけて反省の色がないクロエに対し、イリヤは苦笑いを浮かべた。

 

「うわあ……クロのせいじゃないけど、ここまで反省の色がないのもどうかと……」

 

「イリヤちゃん、クロエちゃんっていつもこんな感じ?」

 

「かなりマイペースで所謂ゴーイングマイウェイな性格だな。ある意味遊馬に通ずるところがあるな」

 

「うおいっ!?それはどう言う意味だよアストラル!?」

 

「そのまんまの意味だが?」

 

「てめぇ!?」

 

その後、遊馬とアストラル、美遊とクロエの間でそれぞれ軽く、他愛もない微笑ましい口喧嘩をしていった。

 

エレナはファースト・レディから受け取った宝石を自分の為ではなく、願いが循環する世界を作るつもりだ。

 

そして、イリヤと美遊とクロエの手には三つの宝石があり、それを自分ではなく別の誰か……この場合はイリヤが美遊、美遊がクロエ、クロエがイリヤに向けて元の世界に帰れるように願うことで、誰かの為の願いの循環で3人は元の世界に帰れることが出来る。

 

エレナはファースト・レディの代役としてこの世界に流れ着いた魔法少女たちのホスト役を勤めることにした。

 

メイヴとナーサリーとメディアの亡霊もきっと見つかるだろう。

 

だが、不安定な世界の為、綻びが起きていつか終わりが来るかもしれない。

 

しかし、エレナはそんなことでは絶望しない。

 

その時が来たらどこか辺鄙な世界に移住して亡霊たちと一緒に幽霊屋敷に住むと笑いながら考えていた。

「うーん、私達はどうやって帰りましょうか……」

 

「クリ……」

 

イリヤ達の帰る方法は見つかったが、ブラック・マジシャン・ガールとクリボーはどうやってこの世界から精霊界に帰ろうか悩んでいると……。

 

「な、何……!?この闇の魔力は……!?」

 

エレナは何かの気配を感じ、空を見上げると美しい星空から闇の魔力が迸る。

 

闇の魔力が収束すると大きな赤と黒の扉が現れて地面に落ちる。

 

「と、扉……!?」

 

「これは魔法カード『奇跡のマジック・ゲート』……!?」

 

それはデュエルモンスターズの魔法使い族専用の魔法カード『奇跡のマジック・ゲート』に描かれている大きな扉だった。

 

『マナ……マナ!』

 

すると、マジック・ゲートから男性の声が響いてきた。

 

「この声は……お師匠様!」

 

「クリクリ〜!」

 

その声にブラック・マジシャン・ガールとクリボーは嬉しそうに声を上げた。

 

マナ……それはどうやらブラック・マジシャン・ガールの真名らしい。

 

『マナ、クリボーも一緒か。無事か!?』

 

「はい!大丈夫です!」

 

「クリリ〜!」

 

『そうか!消えたお前達の魔力を追って、ようやくその異世界に私の魔術を届かせることができた。そのマジック・ゲートを潜れば精霊界に帰る事ができる。早くするんだ!』

 

「はい!ありがとうございます!」

 

「クリ〜!」

 

そして、この世界と精霊界を繋ぐ扉を生成したブラック・マジシャン・ガールの師匠……その強大な魔力とそこから繰り出される魔術の腕にエレナは感心した。

 

「凄いわ……宝石の奇跡の力を使わずに異世界を繋ぐ扉を作り出すなんて。ブラック・マジシャン・ガール、あなたの師匠は素晴らしい魔術師ね」

 

「はい!私のお師匠様は最高の魔術師です!」

 

「ブラック・マジシャン・ガール、クリボー。良かったな、これで精霊界に帰れるな」

 

「君たちの協力に感謝する。遊馬、二人から預かったカードを……」

 

「そ、そうだった!ちょっと待っててな、すぐにデッキから抜くから!」

 

遊馬は慌ててデッキからブラック・マジシャン・ガールとクリボーと魔法使い族専用のカードを抜こうとしたがブラック・マジシャン・ガールは笑顔で首を振る。

 

「それはあなた方に差し上げます。今回協力してくれたささやかなお礼です」

 

「クリリー!」

 

「え?い、いいの!?」

 

「はい!遊馬さんのデッキには魔法使い族のモンスターもいますので役立てると思います。存分に使ってください」

 

「クリクリ〜!」

 

「ありがとう!大切にするぜ!」

 

遊馬はブラック・マジシャン・ガールとクリボーからのカードのプレゼントに大喜びした。

 

「ところで、ブラック・マジシャン・ガール。あのマジック・ゲートから聞こえた声、お師匠様って言ってたけどもしかして……!」

 

ブラック・マジシャン・ガールが師匠と呼ぶ人は一人しか存在しない。

 

「はい。遊馬さんの想像通りですよ。それでは、そろそろ行きます。あまり遅いとお師匠様に叱られてしまいますので」

 

「あっ!ブラック・マジシャン・ガールさん!クリボーちゃん!色々助けてくれてありがとうございます!」

 

「あなたのような素晴らしい魔法少女に会えて、最高でしたよ〜!」

 

「はい!イリヤさん、ルビーさん、お元気で!」

 

「クリクリ〜!」

 

ブラック・マジシャン・ガールはクリボーを抱き抱え、イリヤとルビーに最後の別れを告げてマジック・ゲートの前に立つと、扉が開いてその奥には異世界を繋ぐ渦巻いた空間が広がる。

 

マジック・ゲートの力でブラック・マジシャン・ガールはクリボーと一緒に宙に浮いてそのまま扉の奥まで動かされる。

 

すると、唐突にブラック・マジシャン・ガールの脳裏に不思議な光景が広がった。

 

それは最強の魔術師から強い魔力を受け継いだブラック・マジシャン・ガールが時折見る未来の予知……その光景にブラック・マジシャン・ガールは目を見開く。

 

「あっ……!?さ、最後に一つ、皆さんに伝える事があります!」

 

ブラック・マジシャン・ガールは扉の奥に引き寄せられながら遊馬達の方に振り返る。

 

そして、笑みを浮かべたブラック・マジシャン・ガールから衝撃の言葉が告げられる。

 

「少し先の未来……私たちは運命に導かれ、もう一度、皆さんと再会します!」

 

「えっ!?」

 

「再会だと……!?」

 

「これは私が今、予知した未来の出来事です!またお会いしましょう!」

 

「クリリ〜!」

 

ブラック・マジシャン・ガールとクリボーは最後の別れの言葉と共に体が光となり、扉の中へと消えていく。

 

「おうっ!また会おうぜ!」

 

「君達と共に戦えたことを誇りに思う!」

 

「短い間でしたが、お世話になりました!」

 

遊馬とアストラルとマシュも最後の別れを告げ、ブラック・マジシャン・ガールとクリボーを見送った。

 

ブラック・マジシャン・ガールとクリボーが扉の中に消えていくと、扉は静かに閉じて光を放ちながら消滅していった。

 

ブラック・マジシャン・ガールとクリボーが帰り、イリヤ達も帰る時間が近づくと、イリヤはZEXALに最後のお願いをした。

 

「あの、ZEXALさん!最後に一つ、お願いがあります!」

 

「お願い?何だ?」

 

「あ……握手してくれますか!?」

 

「「握手?」」

 

「はい!実は私、結構アニメが好きで……今の遊馬さんとアストラルさん……ZEXALさんがアニメに出てくるような本物のヒーローみたいで興奮しちゃって。だから、これで最後のお別れになっちゃうから、握手をお願いします!」

 

「そう言うことか。分かったぜ。なあ、アストラル」

 

「ああ。それくらいお安い御用だ」

 

「ありがとうございます!」

 

ZEXAL IIとイリヤは握手を交わした。

 

ある意味では異世界の勇者と魔法少女の奇跡の光景とも言えるものだった。

 

イリヤはZEXALと握手をしながらこれまでの戦いから感謝の想いを打ち明けた。

 

「ZEXALさん……ううん、遊馬さんとアストラルさんとマシュさんはずっと世界を背負って戦っていたんだね──真剣に。命賭けで。私なんかより遥かに大きな使命を背負っていても、それでもミユを、クロを、私たちを助けてくれた。気まぐれで出来ることじゃないです。ホラ、また冗談めかして笑ってるけど。自分が一番苦しいのに、他の人に手を差し伸べられる。それって、どんなら魔法でも起こせない奇跡だと思います。そんな人にしか多分世界は救えないんです……ほら、クロも。何か言うことあるでしょう?」

 

「……とりあえず、私もせっかくだからまずは握手していい?」

 

「おう、良いぜ」

 

クロエもZEXAL IIと握手を交わしながら感謝と謝罪の言葉を述べる。

 

「ありがとう……迷惑かけて悪かったわ。遊馬、アストラル、マシュ。そっちもなんだかタイヘンそうだけど気楽にやりなさい」

 

「そんな言い方はないでしょう、クロ!もうっ……」

 

イリヤとクロエがZEXAL IIと握手をし、一人だけ仲間外れも嫌なので美遊も感謝の気持ちを込めてZEXAL IIと握手を交わす。

 

「──遊馬さん、アストラルさん。本当にありがとうございました。私には……世界を救う、という命題にどれほどの強い意思が必要か……想像も付きません。けど、私たちのために心を砕いてくれたこと……そのあたたかな思いは、確かに伝わりました。誰かのためにその身を削って戦える……きっと、そんな姿が人を救ってくれるんだと──この世界を、意味のあるものにしてくれてるんだと。そう……思います」

 

イリヤ、クロエ、美遊の3人から受け取った言葉にZEXAL IIの心は満ちてこれからの戦いを頑張ろうと意気込む。

 

そして……ZEXAL II・遊馬とアストラル、そしてイリヤと美遊とクロエ、五人の間で深い絆が結ばれた時……新たな奇跡が起きた。

 

ZEXAL IIの胸元から白く光り輝く3枚のカードが飛び出し、イリヤと美遊とクロエの前で宙に浮きながらクルクルと回る。

 

「アナザーのカード?どうして……」

 

それは遊馬が持っているアナザーのカードだった。

 

ZEXAL IIではなく、イリヤ達の前に現れたアナザーのカード。

 

イリヤはまるで導かれるように無自覚に指先でカードに触れた。

 

すると、カードの輝きが増し、イリヤと共鳴して新たな力が宿る。

 

カードの輝きが収まると真名とイラストとテキストが刻まれた。

 

「ク、クロ……!」

 

「うん……!」

 

美遊とクロエもイリヤに続いて自分の目の前にあるカードに触れた。

 

2枚のカードも美遊とクロエに共鳴して新たな力が宿り、真名とイラストとテキストが刻まれた。

 

「ZEXALさん!このカード……!」

 

「イリヤとクロ……私たちの姿が……!」

 

「これって、私達のカードって事……!?」

 

ZEXAL IIが確認するとそれは紛れもなくフェイトナンバーズだった。

 

満天の星空の下、妖精のように可愛らしく空を飛ぶイリヤとルビーの姿が描かれており、真名は『FNo.0 星天の魔法少女(スターライト・マジシャン・ガール) イリヤ』。

 

大きく美しい満月をバックにまるでお姫様のように優雅に立つ美遊とサファイアの姿が描かれており、真名は『FNo.0 朔月の魔法少女(ムーンライト・マジシャン・ガール) 美遊』。

 

黄昏の橙色に輝く夕暮れの空の下で可愛らしくウィンクしながら黒弓を構えるクロエの姿が描かれており、真名は『FNo.96 黄昏の魔法少女(トワイライト・マジシャン・ガール) クロエ』。

 

「うわぁっ!私達のカードだ、とっても可愛い!」

 

「うん。それにとても素敵で綺麗……」

 

「へぇー、なかなかイケてるじゃない!」

 

「おおっ!?良いですね、良いですね!魔法少女のカード!これは……高値で売れますね!?」

 

「売らないでください、姉さん。皆さんのカード、とても可愛らしくて素晴らしいです」

 

イリヤ達は3枚のフェイトナンバーズを絶賛した。

 

フェイトナンバーズはイリヤ達の手から離れて持ち主であるZEXAL IIの元に戻る。

 

フェイトナンバーズが増えることはZEXAL II……遊馬とアストラルにとっては喜ばしいことだが、今回は素直に喜べなかった。

 

「アストラル……」

 

「分かっている。君の想いはわかってる」

 

「サンキュー、アストラル」

 

ZEXAL IIは新たに誕生したフェイトナンバーズをイリヤ達に差し出す。

 

「このカード……みんなで受け取ってくれ」

 

「えっ!?い、良いんですか!?」

 

「ああ。俺たちが持っていると、もしかしたら君達を戦いに巻き込んでしまうかもしれないんだ。だから、みんなが持っていてくれ」

 

「フェイトナンバーズは下手に処分も出来ない。だから……これは君たちに持っていて欲しい。御守り代わりと思ってくれればいい」

 

自分達が持っているよりもイリヤ達が持っていた方がいいと3枚のフェイトナンバーズを渡した。

 

「ZEXALさん……はい!ありがとうございます!」

 

「私たちのカード……ちょっと恥ずかしいけど、嬉しいです」

 

「良いわね、とっても気に入ったわ♪」

 

「さあ、皆さん。とても名残惜しいですが、そろそろ行きますよ。ではではお先に失礼いたしますねー」

 

「どうかご機嫌よう──エレナ様、マシュ様、アストラル様、遊馬様」

 

遂にイリヤ達が帰る時間となり、3人はそれぞれが持つ宝石を自分ではなく、誰かの為に願いを込めていく。

 

「限定次元──反射路形成──」

 

「鏡界回路 最大展開!!☆通常界へのリンケージ探索開始です!!☆さあさあ、離界(ジャンプ)いたしますよ〜!?元の世界の座標を、宝石に向かって思い浮かべてくださいね〜?」

 

「ありがとう、エレナさん──マシュさん!フォウ君!アストラルさん!遊馬さん!──元気でね!」

 

イリヤは最後にもう一度感謝の言葉を送り、光に包まれてこの世界から元の世界へと帰って行った。

 

イリヤ達とブラック・マジシャン・ガール達を見送った遊馬達も役目を終えたのでカルデアに連絡をし、エレナとエジソンに別れを告げてレイシフトを行なう。

 

短いようで長く感じた魔法少女の世界の戦いを終え、遊馬達はカルデアへと帰還する。

 

レイシフトを行い、魔法少女の世界からカルデアに帰還した遊馬達にオルガマリーが出迎えた。

 

「お帰りなさい、みんな」

 

「ただいま、所長!」

 

「あの固有結界とのレイラインは自然消滅したわ。これでもう、あちらの様子を知る手段は無くなったわ。ひとまず、平行世界からの干渉を受ける危険は去ったと考えて良いわ。まぁ……誰が作ったか分からないけど、あのルビーやサファイアのような規格外の魔術礼装で強引に押し掛けて来られない限りはね……」

 

ルビーとサファイアは魔術師的にも非常に興味がある魔術礼装だが色々と規格外の能力で契約したら魔法少女になってしまうと言うので、流石にオルガマリーの年齢的に魔法少女はあまりにも合わないのであまり関わりたくない気持ちだった。

 

しかし、この直後……オルガマリーの頭や胃を悩ませる事態に陥る。

 

「──っ!??遊馬、マシュ、アストラル……」

 

突然オルガマリーは今にも倒れそうな疲れ切った表情をして震えた指で遊馬達の後ろを刺した。

 

「ん?どうした?所長?」

 

「そ、そこにいる子達は……誰かしら……?」

 

「子達?」

 

遊馬達が振り向くとそこには驚くべき光景が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、えっと……」

 

「その……」

 

「……ん?あ、来ちゃったわね」

 

「どうもどうも〜♪」

 

「お邪魔します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遊馬達の後ろにいたのは先程別れたばかりのイリヤと美遊とクロエ、ルビーとサファイアだった。

 

「──イ、イリヤちゃん!?美遊ちゃん!?クロエちゃん!?」

 

「それに、ルビーとサファイア!?」

 

「ここがカルデア……凄い、SF映画みたいな設備だ……!」

 

「こんなの……見たことない……ちょっと興味ある……」

 

「へえー。モダンな造りね。少し殺風景だけれど」

 

「いやー、来ちゃいましたね〜。うふふ、面白そうな匂いがプンプンしますね!」

 

「姉さん、あまり暴走しないように」

 

「いやいやいや!?なんでそんなに平然と受入れているの!?」

 

「何故君たちがカルデアに!?」

 

「宝石の力で皆さんは元の世界に帰ったはずでは!?」

 

「ドフォーウ!?」

 

魔法少女の世界から元の世界に帰ったはずのイリヤ達が何故カルデアにいるのか遊馬達は驚愕と困惑していた。

 

「その……私達、皆さんにとてもお世話になったので、何か恩返しが出来ないかと思いまして……」

 

「イリヤとクロがカルデアに行きたい気持ちがあったから……それなら私も一緒に行こうと思って……」

 

「なんとなくね、カルデアの任務ってのも面白そうだなって思ってたの」

 

「なっ……何を言っているんだ!?俺たちはイリヤちゃんたちが元の世界に帰れるように頑張ったんだぜ!?」

 

「宝石の奇跡の力がない今、君たちの世界に帰れる方法は……」

 

「そ、そうです!ご家族が心配されますよ!」

 

遊馬達はイリヤ達を助け、無事に元の世界に帰られるように全力を尽くしたのだ。

 

これでは意味がなく、本末転倒である。

 

「それでしたら大丈夫です!」

 

「もう一人の私たちは……ちゃんと元の世界に帰還しましたので」

 

「それだけは確かよ♪」

 

もう一人の私たち……その言葉に疑問が出てきて、何のことだか分からず遊馬達は頭に疑問符を浮かべる。

 

「もう一人のイリヤちゃん達……?」

 

「まさか……フェイトナンバーズの力か……!?」

 

「アストラル、どう言うことだよ!?」

 

アストラルは瞬時にイリヤ達の言葉から何が起きたのか様々な要因から答えを導いた。

 

「これはあくまで憶測だが、フェイトナンバーズは本来なら私達と英霊の結ばれた絆によって生まれる特別なカード。誕生や生成の経緯に差はあるがそこに大きな変化はない。フェイトナンバーズはそれを媒体にしてカルデアの召喚システムで英霊の座からサーヴァントを召喚出来る。今回は3枚のフェイトナンバーズを3人の魔法少女に与えた状態で、奇跡の力が宿る宝石の力で魔法少女の世界から3人がいた元の世界に帰還させた。しかし、この時……イリヤ、美遊、クロエの3人は私たちに対して助けたこと、協力してくれたことへの強い感謝の気持ちを持っていた。もしもその思いとフェイトナンバーズと宝石の力と共鳴して、新たな奇跡を起こしたとしたら……」

 

「つまり、フェイトナンバーズと宝石の力でイリヤちゃんと美遊ちゃんとクロエちゃんの全てを写した3人のサーヴァントが生まれて、それでカルデアに来ちゃったってことか……!?」

 

フェイトナンバーズと魔法少女の宝石、そしてイリヤと美遊とクロエ……奇跡と奇跡の重ね掛けにより、魔法少女三人のサーヴァントが生まれると言う新たな奇跡が起きてしまった。

 

遊馬がイリヤ達を巻き込ませない為に良かれと思ってフェイトナンバーズを渡したが、それが裏目に出てしまい、結局人理を救う戦いに巻き込んでしまった。

 

「みんなごめん!俺が余計なことをしたばかりに……!」

 

遊馬はイリヤ達を巻き込んでしまった罪悪感から土下座をして全力で謝罪した。

 

「ゆ、遊馬さん!謝らないでください!これは私たちが望んだことですから……!」

 

「そうです……ですから土下座はやめて下さい。恩人に土下座されるのはちょっと……」

 

「そうそう、気にしないで良いのよ。もう一人の私たちは無事に元の世界に帰ったんだから」

 

「それと、恐らくですがカルデアでの役目を終えたら私達は消えます。その後に元の世界のイリヤさん達にここでの記憶が還元されて統合するので特に問題無いですねー」

 

「それに、今の美遊様とイリヤ様とクロエ様の3人はサーヴァントになったことで生身の時とは大きく違い、肉体面でも能力的にも強化されているので、世界を救う戦いに微力ながらお手伝い出来ると思います」

 

「でも……」

 

イリヤ達は必死に遊馬を慰めようとするが、それでも遊馬の罪悪感は消えないでいた。

 

未だに土下座をする遊馬の傍にイリヤ達は腰を下ろしてそれぞれのフェイトナンバーズを差し出す。

 

「遊馬さん……これは私のワガママですけど、私はもっと遊馬さん達と一緒にいたい、冒険したいと思ったんです」

 

「私は……世界を救う為に戦う、あなた方の行く末を見守りたいと思っています」

 

「私はね、絶望とかそう言うのは嫌いなの。希望を手に未来を取り戻す為に戦うあなた達の心意気を気に入ったのよ」

 

「イリヤちゃん……美遊ちゃん……クロエちゃん……」

 

三人の想いを聞き、遊馬はフェイトナンバーズを受け取って立ち上がった。

 

「……みんなの想いは分かった。俺も覚悟を決めたよ。一緒に戦おう、これからよろしくな!」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

「お世話になります、よろしくお願い致します」

 

「よろしくね〜」

 

「あ、それから一つ……イリヤちゃんはあまり無茶しないこと。美遊ちゃん、クロエちゃん、二人でイリヤちゃんの監視とセーブ役を頼むぜ」

 

「えっ!?なんで私だけ!?」

 

「はい。イリヤが無茶しないように全力を尽くします。もしもの時はどこかに監禁するつもりで……」

 

「ミユ、それはやりすぎ。でもそうよねー、イリヤは本当に無茶するんだから。って言うか、イリヤがダメージ受けると私も受けるんだからやめてよね!」

 

イリヤ、美遊、クロエの三人もカルデアのサーヴァントとして戦うことになり、カルデアの最高責任者のオルガマリーは頭痛と胃痛に悩まされながら呟く。

 

「カルデアはいつから託児所みたいなところになってるのよ……」

 

子供サーヴァントのジャックにナーサリー、デミ・サーヴァントの桜と凛……年齢は彼女達に比べると高いが11歳の魔法少女のイリヤと美遊とクロエが追加され、子供パワーで益々騒がしくなるだろう。

 

「後でロマニのところに行きましょう……」

 

この頭痛と胃痛を少しでも治す為に後で医務室でロマニから薬を貰おうと思ったオルガマリーだった。

 

「よし!みんな、カルデアの施設紹介の前に食堂に行こうぜ。ファースト・レディの戦いで力を使って腹減っちまったからな」

 

「カルデアの食事担当のサーヴァント達が作る料理はどれも絶品だ」

 

「きっと皆さんも気にいると思いますよ」

 

「そうなんですか?お弁当が美味しかったので楽しみです!」

 

「イリヤ……今度私がお弁当を作ってあげるからね」

 

「サーヴァントが作る料理か……どんなものかしらね?」

 

遊馬達はカルデアの施設を案内する前にまずは腹拵えの為にイリヤ達を食堂に案内する。

 

しかし、この時のイリヤ達はまだ知らなかった。

 

このカルデアにはイリヤ、美遊、クロエの三人と時空を越えた不思議で強い縁を持つサーヴァント達がいることを。

 

その奇跡とも呼べる運命の出会いが小さな幸福を生み出すことを。

 

 

ここはデュエルモンスターズの精霊たちが住まう異世界……精霊界。

 

とある大きな城の大部屋にて黒紫色のローブを身に纏い、翡翠色の長いステッキを持った魔術師の男が自らの魔力で作り出した扉の前で静かに待っていた。

 

そして、扉が静かに開くと奥から二つの光が飛び出した。

 

「お師匠様!ただいま戻りました!」

 

「クリクリー!」

 

「マナ、クリボー、よく戻ったな」

 

魔術師はブラック・マジシャン・ガールとクリボーの帰還に優しい笑みを浮かべて出迎えた。

 

しかし、魔術師はすぐに真剣な表情を浮かべて話を切り替える。

 

「帰ってきて早速で悪いが、マスターからの緊急の招集があった」

 

「マスターからですか?」

 

「クリー?」

 

ブラック・マジシャン・ガールとクリボーは一緒に可愛らしく首と体を傾げる。

 

「これから、私達やマスター達の住んでいた世界とは別の異世界に向かう」

 

「異世界ですか?そこで何をするんですか?」

 

「クリリー?」

 

異世界で何をするのか……そう質問され、魔術師は部屋の中を歩き、窓から空を見上げる。

 

「世界を滅ぼす大いなる闇が……異世界で眠りから覚めようとしている」

 

「大いなる闇……まさか!?」

 

「そうだ……これはマスターと私達の力で止めなければならない。行くぞ、マナ!クリボー!」

 

「はいっ!」

 

「クリッ!」

 

魔術師はブラック・マジシャン・ガールとクリボーを引き連れて部屋を後にした。

 

そして……向かう先には彼らが仕えるマスター……一人の少年が立っていた。

 

額や耳、手首などに豪華で煌びやかな金の装飾を身につけ、その身には白の装束に包まれ、首から大きなマントを羽織っている。

 

そして、首にはピラミッドを逆さにしたような正四角錐の金の大きな首飾りがかけられており、その首飾りと額飾りには古代エジプトのシンボル……神の眼を意味する『ウジャト眼』の刻印が刻まれていた。

 

魔術師とブラック・マジシャン・ガールとクリボーはマスターの前で跪いた。

 

「行くぞ」

 

「「はっ!」」

 

「クリクリ〜!」

 

少年はマントを翻しながら振り向いて歩き出し、魔術師とブラック・マジシャン・ガールとクリボーはその後に続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは……とある世界に語り継がれる、光の中に完結した大いなる物語の『伝説』。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全ての戦いを終え、静かな眠りの時を過ごしていた『伝説』は新たな戦いの『運命』へと導かれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……導かれた『運命』の世界で、『伝説』が無限の可能性を持つ『未来』と『希望』と出会う時、新たな『物語』が始まる。

 

 

 




と言うわけでイリヤちゃんと美遊ちゃんとクロエちゃんをお招きしました!
次回は皆さんお楽しみの衛宮家の緊急家族会議を行います(笑)
まあ、カルデアの衛宮家からしたらイリヤ達はとんでもなく異質な存在ですからね。
この話を書くのが本当に楽しみでしたので頑張って書いていきます!

そして、ラストに登場したビックゲスト……皆さんはもうお分かりですよね?
彼が登場するのはもちろん第六特異点ですのでそれまで楽しみに待っていてください!
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