Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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ふぃー!
お待たせしました、皆さんお待ちかねの最強のドラゴン対決です!

いよいよスタートした遊戯王VRAINS、デュエルは来週ですが掴みは良かったと思います。
謎が多いので無事に回収してくれればと思います。
主人公の遊作がクールでカッコよく、個人的に好きなキャラです。
遊馬みたいな弟キャラもいいですが、遊星と同じクールキャラも良いですよね。
興味ないと言いながら葵ちゃんことブルーエンジェルを助けたことは好感を持てました。
次回に期待です。


ナンバーズ13 頂上決戦!銀河究極龍VS邪竜!!

ジャンヌ・オルタとの最後の戦い。

 

遊馬とアストラル、ジャンヌとマシュの四人が対峙する。

 

「こんにちは、私の残り滓。そして……ユウマ、今日こそあなたのドラゴンを全ていただくわ」

 

「俺たちのドラゴンは渡さねえよ、黒ジャンヌ!」

 

「いいえ、私は残骸でもないし、そもそも貴女でもありませんよ、竜の魔女」

 

ジャンヌはジャンヌ・オルタに対して哀れみを持った表情で見つめていた。

 

「貴女は私でしょう?何を言っているのです?」

 

「これまでの貴女の行いを見てずっと不思議に思っていました。そして、貴女に一つだけ伺いたいことがあります……」

 

ジャンヌは真実を問いただすために極めて簡単な質問をする。

 

「貴女は、自分の家族を覚えていますか?」

 

「…………え?」

 

あまりにも単純な質問、記憶喪失にでもならない限りすぐにでも答えられる質問である。

 

しかし、ジャンヌ・オルタは答えることが出来ずに言葉を失っていた。

 

「ジャンヌ、さん……?」

 

「ジャンヌ、何だよそんな質問……?」

 

ジャンヌ・オルタへの意味不明な質問に疑問を抱くマシュと遊馬。

 

そして、顎に手を添えて考えていたアストラルはその質問に全ての答えが判明した。

 

「なるほど、これで全てのピースが揃った……もう一人のジャンヌよ、私は君の正体を突き止めた」

 

「正体?何を言い出すの?私は本物のジャンヌ・ダルクよ」

 

「……私は君に会った時から一つの仮説を立てた」

 

「仮説?」

 

「そう、この世界はジャンヌ・ダルクが処刑されてからまだ僅かな時しか経過していない。それなのに、何故ジャンヌが二人も存在するのか?」

 

同じく後の時代のフランスで処刑されたマリーの話やアストラル自身にも起きた『心の闇』……それが原因ではないかと最初に仮定を考えた。

 

「最初は処刑された経験があるマリーが考えたように聖女のようなジャンヌにも僅かながら憎しみの心があったからもう一人のジャンヌが生まれたのかと考えた。しかし、それは違う……何故ならジャンヌ自身が処刑されて死ぬまで『恨んでいない』と証言したからだ」

 

信仰心の強いジャンヌは鋼の心といっても過言ではなく、拷問を受け、火刑で処刑されてもその事を一度も恨んではいない。

 

「アストラル、何が言いたいんだよ?」

 

「……私はジャンヌの先ほどの質問で確信した。仮に本当に彼女がジャンヌの心の闇から生まれたのなら、生前の同じ記憶があるのは当然の事だ」

 

「記憶……?」

 

「しかし、彼女は『大切な家族との記憶が一切ない』。これは明らかな矛盾だ」

 

アストラルは仮説を元に推理していき、ジャンヌの心やジャンヌ・オルタの矛盾点、そして全ての元凶である聖杯の存在から一つの答えを導いた。

 

アストラルはジャンヌ・オルタをビシッと指差し、その正体を突き止めた。

 

「君はジャンヌから生まれたもう一人の存在ではない……君の正体は『聖杯によって生み出され、憎しみの心を植え付けられたジャンヌ・ダルクと言う名の虚像な存在』だ!」

 

ジャンヌ・オルタ……それはもう一人のジャンヌ・ダルクではなく聖杯によって生み出された存在。

 

つまり、ジャンヌの名を持つ偽物である。

 

その真実を告げられ、ジャンヌ・オルタは旗を地面に落として自分の手を見つめる。

 

「私が、虚像……?う、嘘だ……私が偽物のはずがない、偽物はそっちだ!私が、私が本物のジャンヌ・ダルクよ!!」

 

動揺して体が震えているジャンヌ・オルタ。

 

「だったら、あなたが本物なら家族の名前を言ってください!私のお父さんとお母さんの名前を!!例え戦場の記憶が強烈であろうとただの田舎娘としての記憶の方が遥かに多いのです!!忘れるわけがない、あの牧歌的な生活を!!」

 

ジャンヌが両親の名前を改めて問うがジャンヌ・オルタは幾ら思い出そうとしても思い出せない。

 

否、思い出せるわけがなかった。

 

何故ならジャンヌ・オルタには戦争で戦い、処刑された以前の記憶が存在しないからだ。

 

「あっ、あぁ……何で?何でわからないの?私は、私は……うわぁああああああっ!!!」

 

ジャンヌ・オルタは頭を抱えて心が壊れるように絶叫した。

 

自分が偽物だった、フランスに復讐するために作られた存在だった。

 

絶望を与える存在である自分が絶望に打ちひしがれたその時。

 

「別に偽物でもいいんじゃねえの?」

 

遊馬が臆することなくいつの間にかジャンヌ・オルタに近づいていた。

 

「な、何……!?何をしに来たんですか!?」

 

「いや、ちょっと触りに」

 

遊馬はポンポンとジャンヌ・オルタの頭に触れて感触を確かめる。

 

「きゃっ!?は、離れろ!!」

 

ジャンヌ・オルタは地面に落ちた旗を拾って振り払い、遊馬はその場でバク転をして回避する。

 

「よっと!何だ、偽物でもちゃんと触れるし体温があるじゃん。それに、心があるじゃん」

 

「だからどうした!?私は……」

 

「ジャンヌじゃなかったからって別に悲観する必要ないだろ?」

 

「何……?」

 

「せっかく肉体と魂がこうしてちゃんとあるんだから、もう一人のジャンヌ・ダルクじゃなくて、別の新しい自分になればいいじゃん」

 

「新しい、自分……?」

 

それは遊馬がジャンヌ・オルタをジャンヌの偽物ではなく、一人の少女として見ていた。

 

遊馬は優しい笑みを浮かべて手を差し伸べる。

 

「なあ、フランスの復讐をやめて俺たちと一緒に未来を守るために戦おうぜ」

 

敵に手を差し伸べる遊馬にジャンヌ・オルタは困惑する。

 

「て、敵だった私がお前の仲間になれと言うのか!?」

 

「うん」

 

「あっさり言うな!」

 

「お前さ、復讐以外何も知らないだろ?だからそんなに歪んでいるんだよな。あ、そうだ!黒ジャンヌ、俺とデュエルしようぜ!!」

 

「デュエル……だと!?」

 

遊馬は思いついたようにデュエルディスクからデッキを外してジャンヌに見せる。

 

「ああ!俺のカードを貸してやるからさ、一緒にデュエルをしようぜ!デュエルをすれば誰とでも仲良くなって仲間になれる!!」

 

デュエルをすれば誰とでも仲間になれる。

 

それは遊馬の信じる道で実現してきた答えだった。

 

「ふざけるな!そんなことで私に宿る憎しみの炎が消えると思うのか!?」

 

「だったら、俺が受け止めるよ」

 

遊馬はデュエルディスクにデッキをセットし直すと、拳で自分の胸を軽く叩いて掛かってこいと主張する。

 

「お前の憎しみや悲しみ、負の感情を全て俺にぶつけてこい。俺が全部受け止めてやる」

 

憎しみや悲しみを受け止める……そんな事を言われたのは先ほど言った仲間になろうと同じく初めてだった。

 

この子供が本当に自分の負の感情を本当に受け止められるのか、ジャンヌ・オルタは地面に落ちた旗を取って立ち上がる。

 

「やってみなさい……受け止めるものなら受け止めてみなさい!!!私の全てを!!!」

 

その答えは戦いの果てに分かる。

 

ジャンヌ・オルタの体から邪悪なオーラが吹き荒れ、竜の紋章が描かれた旗を広げる。

 

背後に旗と同じ竜の紋章が描かれた巨大な魔法陣が展開され、ジャンヌ・オルタは自身が信じる最強の竜の名を呼んだ。

 

「現れよ、我が最強の竜!!邪竜・ファヴニール!!!」

 

『グォオオオオオオオオオッ!!!』

 

魔法陣から現れたのはこの世界において最強の存在、破壊の象徴である竜種。

 

これまで召喚して来たワイバーンとは比べ物にならないほどの巨体に睨みつけるだけで敵を殺せそうな恐ろしい相貌に獲物を一瞬で喰いちぎる鋭い牙。

 

ファヴニール……元々は人間であったが、北欧神話の神、オーディン・トール・ロキを捕えた際に彼らから莫大な黄金をせしめるものの、黄金を独り占めした父を兄弟で謀殺した後、弟を追放して財宝を手に納め、誰にも渡さないように竜に返じて巣籠りしたとされている。

 

神話の邪竜が目の前で召喚され、マシュとジャンヌはその恐ろしさに体が震えていたが、遊馬とアストラルは平然としていた。

 

「あれがジャンヌの憎しみのドラゴンか……」

 

「しかも北欧神話の宝を守る邪竜、ファヴニール……高名なドラゴンだな」

 

むしろドラゴンに対する敗北の恐怖を何度も味わっているので慣れてしまっていた。

 

簡単に言えば慣れてしまえば怖いもの無しである。

 

「遊馬、こちらも全力で行くぞ!!」

 

「ああ!ドラゴン対決と行こうぜ!俺のターン、ドロー!魔法カード、『フォトン・サンクチュアリ』を発動!自分フィールドに攻撃力2000、守備力0のフォトントークン二体を守備表示で特殊召喚する!」

 

遊馬の前にふわふわと宙に浮く光の球体みたいな生き物が二体召喚される。

 

高い攻撃力だがデメリットで攻撃できない制約を持つが、それは遊馬の新たな力を召喚する為の布石である。

 

「そして、攻撃力2000以上のモンスター二体をリリースし、手札から特殊召喚!」

 

二体のフォトントークンが生贄に捧げられると中央に宝石が埋め込まれた赤い十字架を形取った物体が出現し、遊馬はそれを手にする。

 

「カイト、力を借りるぜ!闇に輝く銀河よ、希望の光になりて我が僕に宿れ!」

 

十字架を空に向かって投げ飛ばし、回転しながら中央の宝石に銀河の星々の輝きが収束される。

 

「光の化身、ここに降臨!!」

 

回転する十字架から光が漏れ出し、それが両手両足、胴体と翼と尻尾、そして頭部が形成される。

 

遊馬達の前に現れたのは白く輝く体に藍色の装甲を身につけた光の竜。

 

「現れろ、『銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)』!!!」

 

『グォアアアアアアアッ!!!』

 

体は光の粒子で構成され、敵を睨みつける二つの眼には無数の星々が集う銀河の輝きが宿っている。

 

それは遊馬のライバルにして仲間である天城カイトのエースモンスター。

 

「綺麗……」

 

「これが遊馬くんのドラゴン……」

 

マシュとジャンヌは銀河眼の光子竜の美しさに見惚れて言葉が全く出ないほどだった。

 

そして、ジャンヌ・オルタはリバイス・ドラゴンやファヴニールとは異なる姿と力を宿す銀河眼の光子竜に目を見開き、呆然としていた。

 

「美しい……こんな竜が存在するなんて……」

 

そもそも銀河眼の光子竜はジャンヌ・オルタたちから見ても異質なドラゴンである。

 

ドラゴンは西洋では恐怖や力の象徴であり、邪悪な存在で闇や炎などの属性を持つのがほとんどである。

 

しかし、銀河眼の光子竜は地球から遠く離れた宇宙に輝く銀河の煌めきをその目に秘め、異世界の力によって誕生した正に異次元のドラゴンである。

 

ファヴニールは最強のドラゴンは自分だけだと言わんばかりに翼を広げて低空で飛び、銀河眼の光子竜に襲い掛かる。

 

銀河眼の光子竜は光り輝く翼を広げて空へと飛翔し、ファヴニールはその後を追いかける。

 

いち早く空に飛び上がった銀河眼の光子竜は太陽を背にしてファヴニールの視界を一瞬だけ遮り、口を大きく開ける。

 

「行け!銀河眼の光子竜の攻撃!破滅のフォトン・ストリーム!!」

 

口に光の粒子を溜め、一気に放出して光の竜の咆哮を放つ。

 

光の竜の咆哮がファヴニールの腹部に直撃し、強烈な咆哮のダメージを受けて地面にそのまま撃墜される。

 

ファヴニールが動けない隙に遊馬は勝利への布石を整える。

 

「魔法カード、『銀河遠征(ギャラクシー・エクスペディション)』!自分フィールドにフォトン、もしくはギャラクシーと名のついたモンスターがいる時、デッキからレベル5以上のフォトン、もしくはギャラクシーと名のついたモンスターを守備表示で特殊召喚する!来い、『銀河騎士(ギャラクシー・ナイト)』!!」

 

デッキからサーフボードに似た乗り物に乗った騎士が銀河から飛来し、銀河眼の光子竜の隣に立つ。

 

「そして、カードを二枚伏せてターンエンドだ!」

 

「ふふふっ……私の憎しみを受け止めるために竜を繰り出したけど、私の力を忘れていたようね!!」

 

ジャンヌ・オルタの異名である竜の魔女と同じ名のスキル、『竜の魔女』は竜を召喚し、操る力を持つ。

 

このままでは銀河眼の光子竜はジャンヌ・オルタに洗脳されてしまう。

 

遊馬は伏せていた二枚のカードに突破口があった。

 

「罠カード!『ワンダー・エクシーズ』!自分フィールドのモンスターを素材にエクシーズ召喚する!俺はレベル8の銀河眼の光子竜と銀河騎士でオーバーレイ!」

 

「銀河眼の光子竜でエクシーズ!?」

 

銀河眼の光子竜と銀河騎士が光となって地面ではなく、天に昇る。

 

「二体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

今まで遊馬が行ってきたエクシーズ召喚とは異なり、モンスターエクシーズがすぐに召喚されるのではなかった。

 

遊馬の目の前に突如として青白い宝玉が埋め込まれ、不思議な赤い文字が刻まれた十字の剣が現れた。

 

遊馬が剣の柄を握ると、遊馬の体が青く輝く。

 

「カイト、もう一度行くぜ!うぉおおおおおおおおおっ!かっとビングだ、俺!!」

 

バク転から高く跳び上がり、剣を思いっきり投げ飛ばして地面に突き刺した。

 

「現れろ!銀河究極龍、No.62!!」

 

空中に『62』の数字が浮かび、地面に突き刺した剣が周囲に向けて閃光を放つ。

 

「宇宙にさまよう光と闇。その狭間に眠りし、哀しきドラゴンたちよ……」

 

異次元に向かった銀河眼の光子竜の体がひび割れて弾け飛び、宇宙に眠る数多のドラゴン達の輝きが一斉に集まる。

 

「その力を集わせ、真実の扉を開け!!」

 

そして、新たな装甲と翼を得て銀河眼の光子竜が究極の姿へと進化する。

 

「『銀 河 眼 の(ギャラクシーアイズ・)光子竜皇(プライム・フォトン・ドラゴン)』!!!」

 

それは銀河眼の光子竜がアストラル世界の力によって究極の竜として生まれ変わった姿。

 

人類の未来を救う最後の希望を守るために顕現させたカイトの最強のドラゴンである。

 

「美しい……」

 

ジャンヌ・オルタは今までのドラゴンとはかけ離れたこの世のものとは思えないほどの美しさに見惚れてしまう。

 

「これが宇宙最強のドラゴンの真の姿……」

 

「かっこいい……」

 

銀河眼の光子竜が更なる進化を遂げて勇ましさと美しさが高まり、まるで救世の神が降臨したかのような錯覚が見られるほどだった。

 

銀河眼の光子竜皇の降臨に四方に散った敵味方関係なしに全てのサーヴァント達は目を疑い、驚愕した。

 

「シロウ、あれを!」

 

「おぉ……まさかこれほどまでに美しいドラゴンを……ははっ、全くうちのマスターには驚かされるよ!」

 

「そんな……竜の魔女が繰り出すファブニールよりも……一体あの子供は何者なんですか!?」

 

「私達の自慢のマスターですよ!」

 

「そうさ。マスターには無限の可能性がある!」

 

アルトリアとエミヤはまだ見ぬ力を宿した遊馬とアストラルに無限の可能性を抱き、

 

「見て見てアマデウス!マスターが凄いドラゴンを呼び出したわ!」

 

「見ているよ、マリー。銀河の竜か……よし、マスターに敬意を評して再び召喚された時に曲を作ろう!」

 

「二人で仲睦まじく話し合うな!!」

 

「全くうるさい奴だ、早く倒してもっとあの竜の姿をこの目に焼き付けよう!」

 

「ええ!行きますわよ、アマデウス!」

 

マリーとアマデウスは神々しい輝きに感動し、

 

「旦那様……素敵です、やはり私の目に狂いはありませんでした」

 

「全く、ただの子供じゃないと思っていたけどあんな竜を召喚出来るなんて規格外過ぎるわよ!?」

 

「何よあれ……あんなの反則じゃない……」

 

清姫とエリザベートは全く逆の反応をしながらその美しさにうっとりし、

 

「ははは……この戦、竜の魔女がいる限り負けることはないと思っていたが、そうでもないらしいな」

 

「ファブニールをも超える力を持つ竜か……底が知れないな、我々のマスターは」

 

「早く片付けましょう、私たちのマスターの戦いを見届けましょう!」

 

ジークフリートとゲオルギウスは共に戦えることを喜んだ。

 

「欲しい……これほどまでにドラゴンを望み、欲したことはないわ!!」

 

竜の魔女の名にかけて銀河眼の光子竜皇を手に入れようとしたが、遊馬が更なる手を打つ。

 

「させるか!罠カード、『エクシーズ・ヴェール』!」

 

伏せていた二枚目の罠カード、それはリバイス・ドラゴンが描かれたカードで銀河眼の光子竜皇に光の膜が張られる。

 

「無駄だ!その星の如き美しい竜は私のものだ!さあ、銀河眼の光子竜皇……私に従いなさい!!私のものになりなさい!!」

 

『……グォアアアアアアアッ!!!』

 

ジャンヌ・オルタは手を伸ばして銀河眼の光子竜皇を自分の元に引きよせようとしたが、

銀河眼の光子竜皇は咆哮を上げて威嚇する。

 

「な、何で……何で竜の魔女のスキルが効かないの!?リバイス・ドラゴンには効いたのに!?」

 

銀河眼の光子竜皇が操れないことにジャンヌ・オルタは困惑するが、その理由は遊馬が発動した二枚目の罠カードに秘密がある。

 

「エクシーズ・ヴェールがフィールドに存在する限り、フィールド上に表側表示で存在する、オーバーレイ・ユニットを持ったモンスターエクシーズは効果の対象にならない!」

 

「つまり、これで黒ジャンヌが俺たちのドラゴンを洗脳する能力を封じたってことだ!」

 

「そんな事が……くっ、それなら力付くで奪うまで!やりなさい、ファブニール!」

 

ようやく起き上がったファヴニールは口に炎を蓄え、炎の竜の咆哮を放った。

 

特大の火炎放射のような竜の咆哮に銀河眼の光子竜皇は呑み込まれようとしていた。

 

「迎え撃て!エタニティ・フォトン・ストリーム!!」

 

先ほどの光の竜の咆哮とは異なり、まるで闇を貫くレーザービームのような竜の咆哮が煌めいた。

 

炎の竜の咆哮を真正面から撃ち貫いてファヴニールを逆に呑み込んだ。

 

「ファヴニール!?」

 

光の竜の咆哮に呑み込まれたファヴニールの体はたった一撃で体全身がボロボロになってしまう。

 

鱗は焼け焦げ、翼は折れ、もはや立つのもやっとだった。

 

「そんな、ファヴニールがこうも簡単に……?」

 

一方的にファヴニールを痛めつけるほどの力を持つ銀河眼の光子竜皇にジャンヌは恐怖よりも興奮の方が強く感じた。

 

銀河眼の光子竜皇がファヴニールよりも遥かに強い理由はその起源や誕生理由にあった。

 

銀河眼の光子竜皇は遊馬とアストラルのいた世界……宇宙の創造神である一匹のドラゴンが三つに分かれたうちの一匹であり、月で誕生した特別なドラゴンなのである。

 

そして、遊馬はジャンヌ・オルタとの決着をつけるために銀河眼の光子竜皇に最後の攻撃命令を下す。

 

「これで決める……俺のターン、ドロー!行くぜ、銀河眼の光子竜皇でファブニールに攻撃!!!」

 

『グォアアアアアアアッ!!!』

 

銀河眼の光子竜皇の銀河の眼が輝きを増し、咆哮を轟かせる。

 

「この瞬間、銀河眼の光子竜皇の効果発動!戦闘を行うダメージ計算時にオーバーレイ・ユニットを一つ使い、銀河眼の光子竜皇の攻撃力をフィールドのモンスターエクシーズのランクの合計×200ポイントアップする!」

 

銀河眼の光子竜皇はオーバーレイ・ユニットを一つ喰らい、自身の体から強烈な光を放っていく。

 

銀河眼の光子竜皇の攻撃力は4000、ランクは8。

 

効果により8×200ポイント……銀河眼の光子竜皇の攻撃力が1600ポイントアップし、合計攻撃力が驚異の5600となる。

 

「行け!銀河眼の光子竜皇!」

 

「ジャンヌの憎しみを打ち砕け!!」

 

遊馬とアストラルは拳を握りしめ、二人で一緒に攻撃を命令する。

 

「「エタニティ・フォトン・ストリーム!!!」」

 

全力全開の竜の咆哮を轟かせ、膨大な光の濁流が放たれる。

 

過去を打ち破り、未来を切り開く希望の光。

 

ファヴニールは炎の竜の咆哮を放つが、咆哮ごと光に全てを呑み込まれた。

 

光に呑み込まれたファヴニールは命を絶たれ、ジャンヌ・オルタの前で倒れる。

 

フランスの地で起きたドラゴン対決……憎しみの邪竜を打ち砕き、希望を宿す光の竜皇に軍配が上がった。

 

「ファヴニール……」

 

ジャンヌ・オルタは目の前で倒れているファヴニールの姿を見て呆然としながら手を差し伸べた。

 

指が触れた瞬間、ファヴニールの体は光の粒子となってジャンヌ・オルタの前から消滅した。

 

「まさか……竜殺しでもないのに、ファヴニール以上の竜を出されて倒すなんて……」

 

自分の憎しみの象徴でもあるファヴニール。

 

それが完膚なきまで倒され、ジャンヌ・オルタは憎しみや悲しみの負の感情が静かに消えていく。

 

それは燃え盛る炎が雨に打たれて消えゆくように……。

 

「ジャンヌ」

 

自分の名を呼ばれてハッと見上げるとそこには遊馬がいた。

 

「ユウマ……」

 

「来いよ、俺たちのところへ」

 

もう一度近づいた遊馬は改めて手を差し伸べた。

 

ジャンヌ・オルタはこの世界に神は存在しないと思っていた。

 

だけど、今だけは少しだけ違っていた。

 

自分よりも年下の少年が差し伸べたその手は一瞬だけ救いの神が差し伸べた手に見えた。

 

戦いの武器である旗を手放し、震える手で遊馬の手を取ろうとした。

 

ジャンヌ・オルタの敗退と和解……邪竜百年戦争に終わりが近付こうとしていた。

 

しかし、遊馬達にはまだ戦うべき最後の敵が残っているのだった。

 

 

 

.




次回、第1章最終回です。
ジャンヌ・オルタを遊馬が救うことができるのか楽しみに待っていてください。

前回登場したアルトリアのFNo.の効果詳細を載せます。

FNo.39 円卓の騎士王 アルトリア
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/戦士族/攻2500/守2000
レベル4モンスター×2
このカードのX素材を2つ取り除き、手札を3枚除外して発動できる。
ターン終了時までこのカードの攻撃力を2倍にし、相手フィールド上の全てのモンスターに1回ずつ攻撃できる。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

どうですか?
大人気セイバーでコストが重い感じを出して見ました。
強いですが罠にもちろん弱いです(笑)

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