Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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お待たせしました、鬼ヶ島編のスタートです!
まずはイリヤ達の新しい日常と第五特異点のサーヴァント召喚などをやり、次回から本格的に鬼ヶ島編が始まります。

ナンバーズが無事に全種類出ますし、あとまさかのアストラル文字の希望皇ホープはビックリです。
これは必ず手に入れようと思います。


天魔御伽草子 鬼ヶ島
ナンバーズ148 千年前の日本、再び!魔法少女三人娘の試練!


魔法少女三人娘のイリヤと美遊とクロエがカルデアに訪れてから数日が経過した。

 

この三人はサーヴァントとしてカルデアに現れて遊馬達と共に戦うことになったので、他のサーヴァント達と同じくそれぞれに部屋を与えられる予定だったが……。

 

「あ、私……イリヤと同じ部屋でいいです」

 

「ミ、ミユ!?」

 

美遊はイリヤと同じ部屋を所望した。

 

その理由としては今後カルデアにサーヴァントが増え続けるのは容易に想像出来るので、それなら少しでも部屋数を抑える為にと美遊はイリヤと同じ部屋に住んでも構わないと進言したのだ。

 

まあ、それはあくまで建前で本音は友人達から見れば『重い』と言われているほどイリヤの事が大好きな美遊が少しでもイリヤと一緒に居たいという欲望ただ漏れの願いなのだが。

 

「だったら、私もイリヤとミユと同じ部屋がいいなー♪」

 

しかし、そこにクロエが小悪魔のような笑みを浮かべて割り込んできた。

 

イリヤと美遊の二人部屋で自分が外されていると言うのが面白くないとのもあるが、単純にちょっと寂しい気持ちもあるのだがそれは恥ずかしいので絶対に言わない。

 

それにより三人の間で色々と一悶着あったが、既にストレスが色々溜まっているオルガマリーがブチ切れて怒号が轟いた。

 

「うるさいわ!少し大きな部屋を与えるから、あなたたちは三人で一緒にいなさい!」

 

「「「は、はいっ!!」」」

 

オルガマリーの所長としての権限でイリヤと美遊とクロエは少し大きな部屋で一緒に住むことになった。

 

そんなある日の朝……大きなベッドで眠る少女達の前で小さな影が近付く。

 

「イリヤ……クロ……起きて、朝だよ」

 

「ふにゅ……?ふぁあっ……朝……ふえっ!?」

 

「まだ眠いよぉ……学校無いんだからもっと寝たい……ぬおっ!?」

 

イリヤとクロエはまだ眠いと目を擦るが、自分達を起こしてきた美遊の姿を見た瞬間に目を大きく見開いて刮目する。

 

美遊は魔法少女姿でも私服姿でもなく、白と黒を基調とした給仕服……つまり、メイド服を着ていた。

 

「おはよう……イリヤ、クロ。いいえ……おはようございます、ご主人様、お嬢様」

 

美遊はメイド服の裾を両手で摘んで軽く持ち上げて挨拶をする。

 

美遊は小学生だが、同時にエーデルフェルト家のメイドとして働いているリアル小学生メイドなのだ。

 

食堂でメイド服を着て働いているアルトリア達を見て美遊の中のメイド魂が燃え上がり、一晩でエーデルフェルト家で着ているのと同じメイド服を作り上げ、こうしてイリヤとクロエを起こしに来たのだ。

 

「ミ、ミユ……それは……!」

 

「カルデアにいる間……ルヴィアさんがいないから、期間限定でイリヤとクロエのメイドになってあげる」

 

「私とイリヤのメイド……じゃあ主人として命令を言っていいの!?」

 

「キスとかはダメ。あくまでメイドとして生活のサポートをするだけだから」

 

「それでも良いよ!ミユが私のメイドになってくれるなら最高だよ!」

 

「まあそうね……キスは残念だけど、ミユにお嬢様って呼ばれるのも悪く無いわね」

 

こうして美遊は期間限定でイリヤとクロエのメイドになるのだった。

 

メイドになった美遊の働きぶりはカルデアでも話題になっていた。

 

特にとても11歳の小学生とは思えない、高級料理店に出しても問題ないほどの料理の腕。

 

その他、掃除や洗濯などの家事の数々……あまりにも有能過ぎるのですぐにカルデアの家事担当の即戦力として注目を集めるのだった。

 

イリヤ達はアイリやキリツグ達がいるお陰でカルデアの生活にもすぐに慣れていったが、そんなイリヤ達の現状を悩ませるのは……。

 

「何か……サーヴァント……英霊のみんなって私達のイメージと違い過ぎるよね……」

 

「私達が習ってきた歴史って……」

 

「もう今すぐ学校の歴史の教科書を破り捨てたい気持ちよ……」

 

それは遊馬も通って来た同じ道……英霊……サーヴァント達のイメージのギャップ、歴史の真実とは一体何……?と言うものだった。

 

性別が違っていたり、歴史の書物などに書かれていた定説とは違う見た目・姿・性格……定説とは異なる歴史。

 

日頃からたくさんの知識を吸収していく小学生のイリヤ達にとってそれはあまりにも衝撃的だった。

 

歴史とは……英霊とは……一体何だろうと答えの見つからない自問自答を繰り返していた。

 

「イリヤちゃん、美遊ちゃん、クロエちゃん……その気持ち、痛いほど分かるぜ……!」

 

遊馬はイリヤ達の苦しみを痛いほど理解出来るので涙を流して同情した。

 

 

その日の午後、食堂でエミヤ達が忙しそうに食事の準備をしていた。

 

いつもと違い食材の量が違うので美遊は気になって聞いてみた。

 

「えっと……シロウさん。今日は何かあるんですか?」

 

「ああ、美遊。今日はマスターがサーヴァントを召喚するからその歓迎会だ」

 

「歓迎会?」

 

「マスターが特異点で絆を結んだサーヴァント達をこのカルデアに召喚するんだ。これはもう恒例行事となったが、サーヴァントとの交流を深めるために歓迎会を行う事になっているんだ」

 

「そうでしたか……では私も手伝います。パーティー用の料理も作り慣れています」

 

「ありがとう、助かるよ。それと、サーヴァント召喚の時にはイリヤとクロエと一緒に見に行くといい」

 

「はい、そうします」

 

エミヤに言われ、美遊はイリヤとクロエを誘って英霊召喚を見にいくことにした。

 

午後になり、遊馬とアストラル、そしてイリヤと美遊とクロエ、ルビーとサファイアは召喚ルームに来た。

 

マシュとフォウはロマニから呼ばれているので退室しており、早速第五特異点のアメリカで出会ったサーヴァント達を召喚するためにフェイトナンバーズを召喚サークルに並べる。

 

遊馬はせっかくなのでとイリヤと美遊とクロエにも聖晶石を渡し、一緒に砕いて欠片を振りまく。

 

砕いた聖晶石が振りまかれるといつものように爆発的な魔力が収束し、英霊召喚システムとカルデアの電力が轟いて眩い光を放ち、サーヴァント達が召喚されていく。

 

「ユウマ、私が来たからには安心してください。共に全ての命を救いましょう」

 

最初に召喚されたのはナイチンゲールで、フェイトナンバーズは体中が傷だらけになり、包帯を巻いていながらも傷ついた他者のために全力で治療をする天使のような笑みを浮かべた姿が描かれており、真名は『FNo.38 鋼鉄の天使 ナイチンゲール』。

 

「アメリカ合衆国、大統王!トーマス・アルバ・エジソン!ここに降臨である!」

 

ナイチンゲールの次はエジソンで、フェイトナンバーズはアメリカ合衆国の国旗や自由の女神像などアメリカを象徴するものをバックにマッスルポーズを決めるエジソンの姿が描かれており、真名は『FNo.88 大統王 トーマス・エジソン』。

 

「この時を待っていたわ、ユウマ!アストラル!私があなた達を導いてあげるわ!」

 

エジソンの次はエレナで、フェイトナンバーズは大きな魔導書を開いて星空の下でUFOに乗る姿が描かれており、真名は『FNo.45 神智の叡智 エレナ・ブラヴァツキー』。

 

「サーヴァント、カルナ……よろしく頼む」

 

エレナの次はカルナで、フェイトナンバーズは灼熱の太陽のような炎をバックに槍を構えている姿が描かれており、真名は『FNo.46 施しの英雄 カルナ』。

 

「サーヴァント、アルジュナ。ユウマ……いえ、マスター。私を存分にお使いください」

 

カルナの次はアルジュナで、フェイトナンバーズは美しい幻想的な蓮の花に囲まれながら弓を構える姿が描かれており、真名は『FNo.97 授かりの英雄 アルジュナ』。

 

「ジェロニモだ。マスター、君に精霊達の加護があらんことを」

 

アルジュナの次はジェロニモで、フェイトナンバーズはナイフを構えて血でその体を濡らしながらコヨーテの精霊と共に大地を駆ける姿が描かれており、真名は『FNo.75 精霊戦士 ジェロニモ』。

 

「ビリー・ザ・キッド!新しめのサーヴァントだけど、役に立つと思うよ。よろしくね!」

 

ジェロニモの次はビリーで、フェイトナンバーズは夕陽が沈む荒野で二丁拳銃を構えている姿が描かれており、真名は『FNo.27 拳銃王 ビリー・ザ・キッド』。

 

「よぉ、マスター君よ。呼ばれたからにはそれなりに働きますよっと」

 

ビリーの次はロビンフッドで、フェイトナンバーズは穏やかな森の中で静かに木に背を預けている姿が描かれており、真名は『FNo.28 森の守り手 ロビンフッド』。

 

「サーヴァント、スカサハ……我が新たな弟子、ユウマ。師として、しっかり鍛えてやるからな」

 

ロビンフッドの次はスカサハで、フェイトナンバーズは『影の国』と呼ばれる不気味で暗い魔境をバックに二本のゲイ・ボルクを持って闇夜を駆け抜ける姿が描かれており、真名は『FNo.101 影の国の女王 スカサハ』。

 

「李書文。存分に主の槍として使うがいい」

 

スカサハの次は李書文で、フェイトナンバーズはそびえ立つ岩山の上で槍を構える姿が描かれており、真名は『FNo.72 絶招神槍 李書文』。

 

「私は天才、ニコラ・テスラだ!」

 

李書文の次はニコラで、フェイトナンバーズは闇夜を照らすかのように数多の雷電が降り注ぐ中、威風堂々と立っているニコラの姿が描かれており、真名は『FNo.91 雷電博士 ニコラ・テスラ』。

 

「クー・フーリン・オルタ。召喚に応じ、参上した。今度は敵じゃなく、お前の槍になってやる」

 

ニコラの次はクー・フーリン・オルタで、フェイトナンバーズは真紅と漆黒の閃光が轟く中、ゲイ・ボルクを構えて凶悪な笑みを浮かべる姿が描かれており、真名は『FNo.7 狂王 クー・フーリン・オルタ』。

 

「私はメイヴ。女王メイヴ。あなたの事は気に入らないけど、クーちゃんと一緒に召喚してくれたことには感謝するわ!」

 

クー・フーリン・オルタの次はメイヴでフェイトナンバーズは自身の宝具のチャリオットの中で妖艶な笑みを浮かべながら優雅に蜂蜜酒が注がれたグラスを持つ姿が描かれており、真名は『FNo.11 恋の支配者 女王メイヴ』。

 

「エリンの守護者。栄光のフィオナ騎士団の長。ヌアザに勝利せし者。フィン・マックール、ここに現界した」

 

メイヴの次はフィンで、フェイトナンバーズは魔法の槍を振り回して膨大な水を操る姿が描かれており、真名は『FNo.73 フィオナ騎士団長 フィン・マックール』。

 

「フェルグス・マック・ロイ。召喚に応じ、参上した。さて……クー・フーリンのヤツはいるかな?」

 

フィンの次はフェルグスで、フェイトナンバーズは虹色に輝く魔剣・カラドボルグを振り下ろす姿が描かれており、真名は『FNo.16 虹霓の魔剣 フェルグス・マック・ロイ』。

 

「ベオウルフ……さあ、暴れて殴り込もうぜ、マスター!」

 

フェルグスの次はベオウルフで、フェイトナンバーズは全身から真っ赤に輝く闘気を纏い、拳を握りしめる姿が描かれており、真名は『FNo.54 拳闘王 ベオウルフ』。

 

「アンシャンテ……私、ポール・バニヤンです。よろしくね、マスター」

 

ベオウルフの次はバニヤンで、フェイトナンバーズは斧を構えて森を伐採して開拓する姿が描かれており、真名は『FNo.6 小さき巨人 ポール・バニヤン』。

 

ちなみにバニヤンはアメリカで一緒に戦った時の巨人では無く、桜達と同じ大きさの少女として召喚されていた。

 

第五特異点の総勢17騎のサーヴァントを無事に全員召喚し、遊馬とアストラルはみんなを出迎えた。

 

初めて目にする英霊召喚にイリヤ達は興奮が収まらなかった。

 

「凄い……これが英霊召喚なんだ……!」

 

「みんなアメリカとインドとケルトの有名な英霊ばかり……凄い……!」

 

「なんか一人だけ変なのがいるけどね……」

 

英霊召喚が無事に終わると遊馬はナイチンゲール達に駆け寄る。

 

その中で召喚に応じてくれるか微妙だったクー・フーリン・オルタとメイヴがいたことに遊馬はとても喜んだ。

 

「二人とも来てくれたんだな!」

 

「俺はただ戦うだけだ。この槍で敵を殺す。それだけだ」

 

「私はクーちゃんがいるなら何処にでも行くわ!」

 

まだクー・フーリン・オルタとメイヴは遊馬には心を開いていないがそれでも構わない、これから絆を深めていけばいいと思う。

 

「ユウマ。また会えて嬉しいです」

 

「ナイチンゲール!ああ、待ってたぜ!」

 

遊馬はナイチンゲールと再会を喜び、握手を交わす。

 

「では早速、皆さんの体調管理のチェックを……」

 

「それはもうちょっと後にしてくれ。これからみんなの歓迎会があるから。それからでも遅くはないだろ?」

 

「歓迎会ですか。分かりました。ではそれが終わり次第行います」

 

「あはは……相変わらずだな」

 

ナイチンゲールはカルデアにいる全職員の体調管理をチェックして適切な処置をしようと燃えていた。

 

すると今度はある意味この中で一番遊馬に会いたがっていたエレナが抱きついて来た。

 

「ユウマ!この時を待っていたわ!あなたのヌメロン・コード……ちゃんと調べさせてね!」

 

「あ、ああ!俺も知りたいからな、頼んだぜ!」

 

「ええ!任せて頂戴!」

 

エレナは遊馬の中にあるヌメロン・コードをずっと調べたかったので、カルデアに召喚されてようやくその機会が訪れたので興奮でいっぱいだった。

 

「エレナよ、少し落ち着くのだ。マスターが困っているぞ!」

 

「ふん、今回ばかりはエジソンの言う通りだな」

 

「エジソン!ニコラのおっさん!」

 

「だからミスターと呼べと言っているだろうが!」

 

「ふははははっ!ニコラ・テスラ!その老け顔が仇になったな!マスターにおっさん呼ばわりされるとはな!ふははははぁっ!」

 

「うるさいわ!この凡骨が!貴様こそ、その意味不明なライオン顔の癖に!」

 

「黙らんか、ミスター・すっとんきょう!」

 

「ああもう!二人共落ち着きなさーい!」

 

相変わらず仲の悪いライバル関係のエジソンとニコラをエレナは慌てて仲裁する。

 

そして、遊馬に会いたがっていたもう一人のサーヴァント……スカサハが近付く。

 

「待っていたぞ、我が弟子……ユウマよ」

 

「押忍っ!待っていたぜ、師匠!」

 

「私が鍛えてやるから覚悟しておくんだぞ?」

 

「望むところだぜ!」

 

スカサハは新しい弟子の遊馬と再会し、笑みを浮かべながら頭を撫でる。

 

すると、スカサハは近くにいたイリヤ達を見つけその中の1人を見つめて静かに近付く。

 

「ほぅ……」

 

スカサハが見つめていたのは美遊だった。

 

数多くの弟子を育ててきたスカサハは美遊の持つ大きな才能と力を見抜き、笑みを浮かべて美遊の前で腰を下ろして目線を合わせる。

 

「黒髪の娘……お前、中々の才と力を持っているな。名は?」

 

「み、美遊……美遊・エーデルフェルトです……」

 

「ミユか……良い名だ。私の名はスカサハだ。もし良ければ私の──いや、まだ早かったな。もしも機会があれば……私がお前に、戦いを教えてやろう」

 

スカサハは美遊の頭をポンポンと撫でて立ち上がり、その場から去った。

 

「凄い綺麗な人だけど、ちょっと怖い感じがするね……」

 

「黒いオーラみたいなのが見えたわ……」

 

イリヤとクロエはスカサハの強者としてのオーラと影の国の女王としての深い闇を無意識に感じていた。

 

「スカサハ……?」

 

「美遊さん。あのスカサハさんは影の国の女王……ぶっちゃけかなりやべー女王様ですよ」

 

「クー・フーリンを始めとする多くの弟子を育て、神や怪物を倒して不老不死となったケルト神話の最高峰の戦士です」

 

「クー・フーリンの師匠さん……」

 

美遊はカードケースからランサーのクラスカードを取り出した。

 

クラスカードの中で美遊が敵を倒すのにかなり使用しているのがランサーのクラスカードで、そのカードにはクー・フーリンの力が込められている。

 

そのクー・フーリンの師匠のスカサハに認められ、美遊はクラスカードを抱き締めてスカサハの背を見つめた。

 

それから間も無く宴会が始まり、宴会を重ねる度にサーヴァントの数がかなり増えていくので料理人達は忙しく料理を作っていく。

 

しかし、今回は美遊が参加したことでそれが劇的に変化した。

 

美遊は料理の腕は凄いがそれだけではなく、どう見ても数時間が掛かる料理をあっという間に短時間で作り上げ、更には明らかに用意した食材とは合わないほど豪華な料理を作り上げてしまうという、まるで『魔法』のような謎の技術を持っている。

 

美遊の料理の謎技術により、料理は次々と作り上げ、それを食べた者達は全員余りのおいしさに感動するのだった。

 

そして、それに一番の衝撃を受けているのは料理長のエミヤだった。

 

「ば、馬鹿な……美遊のあの料理の技術は一体何だ……!?まさか……『あの男』が教えたと言うのか……!?くっ、料理にはそれなりの自信があったが、どうやらまだまだのようだな。カルデアの料理長として負けてはいられないな!」

 

エミヤの料理人としてのプライドが燃え上がり、より一層料理の腕を磨いていこうと心に誓うのだった。

 

 

数日後、魔法少女の特異点から時間を空けずに再び小さな特異点が出現した。

 

その特異点の出現するとほぼ同時にカルデアにいるサーヴァントが数人消えていた。

 

消えたサーヴァントは金時、酒呑童子、茨木童子、佐々木小次郎、玉藻の前、清姫で特異点の舞台は日本だった。

 

前回の京都の特異点とは時代はあまり変わらず、場所も少し離れた場所らしい。

 

六人を連れ戻し、特異点を修正するために遊馬達は早速向かうことになった。

 

そして、今回の特異点の護衛サーヴァントはオルガマリーが選ぶことになり、それは……。

 

「では、イリヤスフィール、美遊、クロエ。三人共、頑張りなさい」

 

「は、はいっ!頑張ります!」

 

「全力を尽くします」

 

「頑張って活躍するわ!」

 

イリヤと美遊とクロエの魔法少女三人娘だった。

 

何故今回の特異点でイリヤ達が選ばれたのかと言うと、それは経験と実戦、そして見極めである。

 

イリヤ達は魔法少女としてシャドウサーヴァントと戦い、それなりに修羅場を経験したがそれでもまだまだかなり未熟だ。

 

本来なら戦わせるべきではないだろうが、イリヤと美遊が契約しているルビーとサファイア……カレイドステッキは魔術世界において『魔法使い』と呼ばれる大いなる存在の一人……『キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ』が作った一級品の魔術礼装。

 

人工精霊の性格はかなりアレだが、ルビーとサファイアの能力はとても素晴らしく、今後の特異点の戦いでイリヤと美遊が活躍出来る可能性は大いにある。

 

更には英霊の力が込められているクラスカードもまだ謎が多いがカレイドステッキ同様に戦力としては申し分無いので、それを使いこなす為にもイリヤ達の経験と実戦を重ねてレベルアップを図るために今回の特異点に参加させた。

 

そして、もう一つ……それはクラスカードをイリヤ達が使うに値するかの見極めである。

 

クラスカードにはそれぞれ英霊の力が込められている。

 

セイバーにはアルトリア、ランサーにはクー・フーリン、アーチャーにはエミヤ、ライダーにはメドゥーサ、キャスターにはメディア、アサシンにはハサン、バーサーカーにはヘラクレスの力が込められている。

 

イリヤ達はカルデアに来るまで気付いていなかったが、英霊達からしたら許可もなくクラスカードに勝手に自分達の力を込められて、それをイリヤ達が勝手に使っているので憤慨しているのだ。

 

アルトリアとヘラクレスはイリヤと美遊になら使っても構わないと言うが、メドゥーサはあまりいい顔をしなかった。

 

エミヤのクラスカードは既にクロエと一つになり、それが並行世界の妹でもあるクロエの命を繋いでいるのでそのまま使ってくれと言った。

 

しかし、クー・フーリンとメディアはイリヤと美遊に自分の力を使うことを認めてはいなかった。

 

そして、ハサン……百貌のハサンは特に発言はしなかった。

 

アサシンのクラスカードは特別で使用者の縁や相性によって歴代のハサンの中から選ばれるため、百貌のハサンは自分たちだけでは判断出来ないとそれ以上の発言はしていない。

 

それなので、今回の特異点でイリヤ達の戦いをモニタリングしてクー・フーリンやメディアに見てもらい、クラスカードを使うに値するか見極めてもらうのだ。

 

「イリヤちゃんとクロエちゃんとミユちゃん……大丈夫かしら?」

 

アイリはイリヤ達が特異点で戦うことを酷く心配していた。

 

「大丈夫だ、アイリ。日本では昔から可愛い子には旅をさせよと言う。あの子達の成長を願おう」

 

「……キリツグ、その起源弾や銃とナイフは何かしら?」

 

「……ハッ!?」

 

キリツグはイリヤ達は大丈夫だと言っていたが、実はかなり心配で無意識の内に自分の武器の手入れをしていた。

 

「ふっ、全く……爺さんは相変わらず心配症だな。マスターやマシュもいるからきっと心配無いだろう」

 

「……士郎、その投影している防御系の魔術礼装は何かしら?」

 

「……ハッ!?」

 

イシュタルに言われ、気付いたエミヤはキリツグと同じように無意識に防御系の魔術礼装を投影して用意していた。

 

心配症なキリツグとエミヤに苦笑を浮かべるイリヤ達は大丈夫だと伝える。

 

「あの、おとーさん、お兄さん、大丈夫です。まだ私たちは頼りないけど……全力で頑張りますから!」

 

「イリヤは……何があっても必ず守ります」

 

「期待に応えられるよう頑張るわ!」

 

「ルビーちゃん達も、イリヤさん達を全力でサポートしますよ〜!」

 

「必ず無事にこのミッションをクリアしてみせます」

 

イリヤ達に言われ、キリツグとエミヤは大人しく引き下がり、エミヤが投影した魔術礼装は使わないのでそのまま回収された。

 

「よっしゃあ!二度目の日本の特異点、気合入れて行こうぜ!」

 

「以前の京都の謎の聖杯……もしかしたらその元凶が判明するかもしれないな。警戒をして行こう」

 

「あの時は酒気が凄かったですからね……今度は負けないように頑張ります!」

 

「フォーフォウ!」

 

遊馬達も気合を入れていき、マシュとイリヤ達をフェイトナンバーズに入れ、コフィンの中に入り、二度目となる日本の特異点に向けて出発する。

 

 

日本の特異点。

 

邪気が漂い、天田の鬼が跋扈するこの地であまりにも異質な存在がいた。

 

それは雪のような銀髪に空のように青い瞳を持つ少女でその身にはこの時代、この地では見たことない白とピンクを基調とした民族衣装を来ていた。

 

「はぁ……北の地から遥々やって来たけど、気持ち悪い鬼ばっかりいるね。ねぇ、シロウ?」

 

シロウと呼ばれたそれは人では無く、真っ白な毛皮に覆われ、不思議な紋様が背中に刻まれた大きな熊……白熊だった。

 

「ガァオ……」

 

白熊……シロウは同意するように吠え、少女を背中に乗せながら歩いていた。

 

「他のサーヴァントは見かけないし、早いところマスターに出会わなくちゃいけないんだけどね……」

 

少女は早いところ自分と契約してくれるマスターを探してシロウと一緒に彷徨っていた。

 

「でも、焦ってもしょうがないよね。私たちはそう簡単にやられないし、のんびり行きましょう」

 

「ガァオ!」

 

少女は焦らずにのんびりとしながらシロウに揺られて彷徨い続けていく。

 

 

 




ラストに出たキャラ……皆さんもうお分かりですね?
イリヤ達が出たので、あの子も本格的に出すことにしました。
鬼ヶ島編は登場するキャラとか展開を色々改変していきますので楽しみにしていただければ幸いです。

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