Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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久々に本文がかなり長めになりました。



ナンバーズ153 源頼光の真実

第三の大門を抜けて遂に鬼ヶ島の頂上に到着した。

 

頂上なので見晴らしはとても良いが、天候も黒雲が浮かんで雷が鳴っており、とても不吉な気配に満ちていた。

 

いよいよ鬼ヶ島の鬼退治も大詰めを迎えようとしていた。

 

「遊馬、広場の中心を見ろ!」

 

「あれは……聖杯……いや、でも今まで見た中で一番邪悪な感じがするな。ん?でもその前にいるのは……えっ!?」

 

広場の中心には恐らくこの鬼ヶ島と羅生門の元凶と言える聖杯に近い何かの器があるが、その前には驚くべき人物が立っていた。

 

「頼光さん……?」

 

それは少し前に別れたばかりの頼光だった。

 

「頼光さん、どうしてここに……」

 

「……待ちな」

 

「ゴールデン?」

 

「不用意に近付くんじゃねえ。アレは違ぇぞ」

 

ゴールデンは遊馬の前に立ち、真剣な表情で頼光を見ていた。

 

それは自分を育てた養母でも師匠でもない……まるで敵を見るような表情だった。

 

「……ふふ。金時。やっと来ましたか」

 

「──ち。そうかよ。酒呑のヤロウが出張ってきたのはそう言うことか。考えてみりゃあ、刹那主義のヤロウが鬼の縄張り争い程度で出てくるはずがなかった。ヤロウが無視できねえ相手なんざ、鬼の中でも特上の鬼だけだ。アンタは──なんでだ?なんで、戻ってやがる?」

 

ゴールデンの言っている事の意味が分からず遊馬達は困惑している中、頼光は嬉しそうに笑い出した。

 

「ふふ、ふふふ、うふふふふふふふ!わかりますか、やはり、それは愛ですね!」

 

すると、次の瞬間には頼光の体から黒い雷が迸り、紫の瞳の中心が怪しい赤い光を放った。

 

「頼光さん……!?」

 

「何だ、この邪悪な気配は……!?先ほど出会った頼光とはまるで違う……!?」

 

「Mr.ゴールデン!これは一体……!?」

 

「……あれは頼光の大将じゃねえ。頼光様には違いねえが、在り方がネジ曲がってやがる。そうだろ、天魔の大将。鈴ヶ森の丑御前サンよォ!」

 

「うしごぜん……?」

 

「馬鹿な!丑御前は伝承では源頼光の兄弟で、北野天神、牛頭天王の申し子。牛頭天王の化身として生まれた鬼子で頼光が退治したはずだ!」

 

アストラルは丑御前の伝承を焦りながら言うが、頼光……否、丑御前の真実をゴールデンは語り出す。

 

丑御前は源頼光の兄貴にあたるお方。

 

しかし、御前は女性の敬称。

 

頼光は自分の出自を語らなかったので、ゴールデンは察するしかなかった。

 

歴史に隠された事実は天神様の子供として生まれた子供が、その力から鬼子とされて寺に預けられた。

 

しかし、その子供の父親は才能を惜しく思い、新しく生まれた息子として幽閉した子供……娘を家に戻した。

 

後は歴史通り、その娘は源頼光として京を守った。

 

だが、頼光は源氏の棟梁になるにあたって、自身の異形の側面を切り離そうとしたが、色々あって頼光の意識の奥深くに封じる形になった。

 

そして今……その封印が解けて頼光の体を乗っ取って丑御前が現れてしまっているのだ。

 

「まだよく分からないけど、昔の私みたいなものね……」

 

厳密には違うが、かつてクロエは肉体を得る前にイリヤの中にいて、一度だけ戦いのためにイリヤの代わりに肉体を支配したことがあるので妙な親近感を持った。

 

「なんで、封じたはずのアンタが出てきてやがる?」

 

「母がここにいる理由ですか?簡単です。ここにいるというのが理由ですよ」

 

丑御前の態度とこれまでの経緯からマシュはある結論に達した。

 

「……この鬼ヶ島を造ったのは、貴女なのですね」

 

「はい。この杯を手に入れた私が作りました。完全なる鬼達の王国を建設する為に」

 

「島を丸ごと作り出す……まさか、その杯と牛頭天王の化身の力で作ったのか!?」

 

「でもなんでこんなものを造った!?」

 

「……はて。理由、ですか。それは……えっと……ああ、そうですね。私たちまつろわぬ者どもの復権、と言うのはどうでしょう?この土地に古くから住まう者であるのに、鬼やら蜘蛛やらは異形であるというだけで退治される。それはあまりにも無体だと、頼光は何となく思ってました。ですので、今回はそれを理由に魔国を造った……というのは、筋が通っているのではないでしょうか?」

 

「だけど、頼光さんは鬼を斬って、酒呑と茨木を斬ろうとしたじゃねえか!?」

 

「ああ、それは、ほら。頼光も私も、鬼とか嫌いですから。魔国を造るための労働力ですが、目に付けば処分します。人間は食べ物なので保存する価値はありますが……鬼は、ほら。醜いだけで何の価値も無いでしょう?」

 

まるで当たり前であまりにも身勝手過ぎる丑御前の言葉に誰もが怒りを募らせる。

 

「ふざけるな!鬼は確かに許せねえけど、あんたの配下じゃねえか!?あんたを慕って働いているのに無価値だと!?」

 

「無価値です。だってこの島の鬼は全部、私が作ったものですから。たまたま上手く描けたものは鬼丸として名を与えましたが、それ以外は汚らわしい落書きばかり。自らの至らなさを見るのは辛いもの。この島の工事が終われば、纏めて処分する予定です」

 

「そうかよ……くそ、忘れてたぜ。どっかで見た覚えがあると思えば、あれか……ガキの頃、頼光様が描いてくれた鬼の絵か……」

 

鬼ヶ島の鬼にゴールデンがどこかで見た覚えがあると思ったが、それは頼光が描いた鬼でそれを丑御前が具現化したのだった。

 

「どうです金時?この島は中々のものでしょう?私も貴方も人と神の気まぐれのようなもの。人界で生きるには辛かったでしょう。でもこの島なら誰の目を気にする必要もありません。本当はこんな面倒な事をしたくなかったのですが……一思いに本州を魔界にしてしまうと、流石に金時に嫌われてしまうでしょう?子供の遊び場は出来るだけ大事にしてあげなくては。本州でしたことは、せいぜいが、悪い虫達に悪酔いする酒を呑ませて同士討ちさせようとした事ぐらい」

 

「羅生門の事件も、やはり、貴女が……!」

 

羅生門の願いを叶える酒杯で茨木を狂わせたのは丑御前が用意して酒呑と茨木を排除しようとしていた。

 

「……大将、みんな、すまねえ。前回といい今回といい、コイツぁオレの責任だ」

 

「金時……?何故母に敵意を向けるのです?ここは貴方の為に作った島だと言ったでしょう?本当は天守閣が出来てから自慢したかったのだけど、秘密にするのはここまでです。さあ、我が手足、我が具足、我が手駒たる四天王よ。安心して、お前達の主の元に帰る時です」

 

「ゴールデン……頼光さん、じゃねえ、丑御前は……」

 

「おう。悪いな、大将。気を遣わせちまったな。だがま、心配無用だぜ。やる事は変わらねえ。これが、鬼退治のクライマックスだぜ」

 

「金時──」

 

「丑御前サンよ。アンタが本質的には頼光様と同じだってコトぁ、よく知ってる。源頼光の功績はアンタのお陰であり、丑御前の悪行は源頼光の罪でもあるってな。アンタにゃとても返せねぇ大きな借りがある。恩人で、尊敬だってしてらぁ。だがよ。それでも言わせてもらうぜ──テメエ、やっぱ要らねぇわ」

 

「何……ですって……?」

 

ゴールデンのキッパリと言った拒絶の言葉に丑御前はこれまでに無いほどの大きな精神的ダメージを受けた。

 

「テメェなんざ怖くも何ともねえって話だ!頼光の大将のマジギレの方が数倍おっそろしい!なーにがオレっちのための島、だ。単に、行き場の無い自分のためじゃねえか。頼光サンならよぉ、例え角が生えようが牛神になろうがテメェの国から逃げるなんて事ぁしねえ!泣いていじけて駄々こねた後、開き直って京ででーんと構えるのが源頼光だ!テメェは鬼落ちした負け牛にすぎねぇ!さっさと頼光サンに戻るんだな!」

 

「……いいでしょう。貴方の中の頼光像は分かりました。同じ半神として理解してもらえると思っていたのですが。伝わらないのなら、貴方も所詮、人間ということ。本来なら見逃してあげても構わないのですが……貴方たちはそうはいかないのでしょう?人の世を守る、という事は、人以外の頂点を許さない、という事。全く、どちらが鬼なのでしょう。皆殺しにするしか無い、という結論において、私たちは同じなのにね?」

 

「おう、言ってろ人でなし。それとな、丑御前。オレは今からアンタをぶっ飛ばす。だが勘違いするんじゃねぇぞ。それは、オレが鬼退治をする四天王の金太郎だからでも、この大将の仲間だからでもねぇ。息子として、母親の馬鹿騒ぎを止めるってだけだ。そこだけは間違えんな」

 

ゴールデンは頼光四天王の一人でも、遊馬のサーヴァントでもなく、あくまでも頼光の息子として丑御前を止めると意気込む。

 

しかし、それが丑御前の琴線に触れてしまった。

 

「……あ、ああ……やだ、だめ、いけません、母親なのに、ああ、身体の奥が、熱い、熱い!嬉しい嬉しい、嬉しいです金時!それは──愛ですね!それなら私も本気になれるというもの!ここで貴方の想いを全て受け止めて──貴方を()してあげることが出来るのですから!」

 

人ではない存在故に愛がとても歪んでおり、清姫よりも大きく狂っており、丑御前のゴールデンに向けられた歪んだ愛に全員ドン引きした。

 

「……来るぜ。手加減して勝てる相手じゃねぇ。オレっちの雷光はゴールデンだが──大将の雷光は全てを塗り潰す黒縄地獄だ。黒焦げになる前に決着をつけねえとな。頼むぜ、大将!」

 

「ゴールデン、丑御前はどうやって頼光さんの中に封じ込めるんだ!?」

 

「とりあえず失神させるしかねえ!そうすれば頼光サンの意識が戻るはずだ!」

 

「分かった!行くぜ、俺のターン!!」

 

遊馬は丑御前を止める、そして頼光を取り戻すためにドローしようとした……その時だった。

 

「うぐぅっ!?」

 

突然全身に痛みが走り、遊馬はその場にうずくまる。

 

「遊馬、どうした!?」

 

「大丈夫ですか!?」

 

「分かんねえ、急に痛みが……!」

 

何故か痛みが全身に走り、原因が分からずにいた。

 

すると皇の鍵から黒い霧が溢れ出して遊馬達の前に現れた。

 

「よう、ピンチじゃねえか」

 

「ミストラル……!?」

 

「何故貴様が!?」

 

ミストラルが邪悪な笑みを浮かべながら現れると腰を下ろしながら遊馬を見つめる。

 

「おいおい、何があった?遊馬の体に邪悪な力が入り込んでるぜ?」

 

苦しんでいる遊馬にミストラルは目を細めて告げる。

 

「邪悪な、力……?」

 

「そんなもの何処で……」

 

「……も、もしかして!?」

 

マシュは遊馬の中に入り込んだ邪悪な力に心当たりがあった。

 

「遊馬君が酒呑さんを庇う時に頼光さんの刀で傷を負った時に……!」

 

「はっ!?そ、そうか……頼光の刀、童子切安綱は数多の鬼や妖魔を斬ってきた。この島でも既に多くの鬼を斬っていた。遊馬の左肩と右手に刀傷を負った……その時に鬼の因子が遊馬の体に入っていたとしたら……!」

 

遊馬の純粋な人間の体に高次元の精霊の魂が宿っている。

 

そんな遊馬に鬼と言う邪悪な因子が混ざってしまった事で拒絶反応が起きてしまったのだ。

 

「ちっ、仕方ねえな……遊馬、力を抜け」

 

「えっ?」

 

「少しばかり体を操るぜ」

 

ミストラルは自身の体の闇を増幅させて遊馬の体を纏わせる。

 

かつて遊馬を操った時のように体の自由を奪う。

 

「ミストラル、何のつもりだ!?」

 

「落ち着けよ、アストラル。これは遊馬を救うためだぜ?」

 

「何だと!?」

 

「遊馬、よく聞け。お前には体の中の鬼の因子を全て取り除くためにダーク・ドローをやってもらう」

 

ミストラルの提案に遊馬は驚く。

 

ダーク・ドローは闇の力によって闇のカードを創造するシャイニング・ドローと対をなすDARK ZEXALが使った技だ。

 

「ダーク・ドロー!?でもあれはDARK ZEXALにならないと……」

 

「DARK ZEXALにならない代わりに俺が力を貸す。今は黙って俺に従っていろ」

 

「……ミストラル、俺を助けてくれるのか?」

 

「勘違いするな、ただお前に借りを作ってやるだけだ。アストラルにはこの鬼の因子は取り除けないからな」

 

鬼の因子は僅かな量だが遊馬の肉体の中を巡っており、アストラルにも取り除く事は難しいだろう。

 

「……分かった。ミストラル、お前を信じる」

 

「ハッ……じゃあとっととやろうぜ。おい、アストラル。しばらくお前が戦いな。時間がかかる」

 

「遊馬に何かあったら貴様を絶対に許さないからな」

 

「おー、怖い怖い。心配するな、約束は守る」

 

ミストラルは意地悪そうな笑みを浮かべながら自身の闇を遊馬の肉体に侵食させて鬼の因子を探る。

 

「がぁっ!?」

 

「我慢しろ、このまま鬼の肉体になるよりはマシだろ?」

 

「分か、ったぁ……!かっと、ビングだぁ……!」

 

遊馬は体に走る激痛に耐えながらミストラルに体を委ねる。

 

「マシュ、遊馬を頼む!」

 

「はいっ!」

 

マシュは盾を構えて動けない遊馬を守ることに専念する。

 

アストラルは遊馬が復活するまで代わりにデュエルをしてフィールドを整えていく。

 

「行くぞ、私のターン、ドロー!魔法カード『オノマト選択』!このカードの発動効果処理でデッキからこのカード以外のオノマトと名のついたカードを手札に加える!デッキから『オノマト連携』加えて発動!手札1枚を墓地に送り、デッキからオノマトモンスターを2枚手札に加える!私は『ガガガマジシャン』と『ズバババンチョー - GC(ガガガコート)』を手札に加える!」

 

初手からオノマト選択とオノマト連携で手札を整えていく。

 

「ガガガマジシャンを通常召喚!更に手札からズバババンチョーの効果発動!自分フィールドにズバババンチョー以外のズババモンスターまたはガガガモンスターが存在する時、手札から特殊召喚出来る!来い、ズバババンチョー!ズバババンチョーのもう一つの効果!自分の墓地のゴゴゴモンスターまたはドドドモンスター1体を特殊召喚出来る!墓地より蘇れ、『ドドドドワーフ - GG(ゴゴゴグローブ)』!」

 

一気に三体のモンスターをフィールドに並べ、ここでレベル4のモンスターでエクシーズ召喚を行うことができるが、アストラルは遊馬が来るまでみんなのサポートに徹することにした。

 

「ガガガマジシャンの効果!1ターンに1度、レベルを1から8に変更出来る!レベルを1に変更し、ここでオノマト選択のもう1つの効果!フィールドのオノマトモンスターを1体選択し、自分フィールドの全てのモンスターのレベルをターン終了まで同じにする。私はガガガマジシャンを選択し、全てのモンスターのレベルを1にする!」

 

ガガガマジシャンとオノマト選択のコンボで遊馬のデッキでは出しにくいレベル1のモンスターが3体揃った状況にした。

 

「私はレベル1となったガガガマジシャン、ズバババンチョー、ドドドドワーフの3体でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!!」

 

レベル1となった三体のモンスターが光となって地面に吸い込まれ、光の爆発を起こす。

 

「力を借りるぞ、風也!いや、エスパーロビンよ!銀河の闇を統べる女王よ、母なる力で大いなる守りの加護を与えよ!現れろ!『No.83 ギャラクシー・クィーン』!!」

 

アストラルの前に現れたのは銀河に輝くドレスを身に纏った女王。

 

風也とは遊馬の仲間で役者をやっており、ヒーロー番組「異次元エスパーロビン」の主人公の「エスパーロビン」を演じており、ギャラクシー・クィーンは風也の母にとても似ている。

 

余談だが、アストラルはその「異次元エスパーロビン」の大ファンである。

 

「ギャラクシー・クィーンの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、次の相手のエンドフェイズ時まで、自分フィールド上に存在するモンスターは戦闘では破壊されず、守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える!ギャラクシー・プロテクション!!」

 

ギャラクシー・クィーンがオーバーレイ・ユニットをステッキに取り込んで掲げると、銀河の星々の輝きがフィールド全体を包み込み、戦う味方全員に光の加護を与える。

 

「カードを1枚セット!みんな、頼むぞ!」

 

「よっしゃあ、行くぜ!みんなぁ!」

 

ゴールデンを筆頭に戦闘が始まり、一斉に丑御前に向けて攻撃を開始する。

 

ゴールデンベアー号に乗ったゴールデンは最初からエンジンフルスロットルで走って丑御前を翻弄する。

 

丑御前は頼光と同じ童子切安綱を使った近接戦闘メインなので他の者達は中距離・遠距離攻撃で攻めていく。

 

しかし、攻め手にまだ欠けてるのでアストラルは新たなナンバーズを呼び出す。

 

「私のターン、ドロー!『ガガガシスター』を召喚!ガガガシスターの効果、召喚に成功した時、デッキからガガガと名の付いた魔法・罠を手札に加える!私は『ガガガリベンジ』を手札に加えて発動!墓地からガガガマジシャンを特殊召喚してこのカードを装備!」

 

ギャラクシー・クィーンの効果で最初に使用したオーバーレイ・ユニットはガガガマジシャンでガガガシスターでサーチしたガガガリベンジで復活させる。

 

「もう一度頼むぞ、ガガガマジシャン!ガガガマジシャンの効果でレベルを5に変更し、オノマト選択の効果でガガガマジシャンを選択し、ガガガシスターのレベルを5にする!」

 

モンスターエクシーズはレベルが存在しないランクなのでギャラクシー・クィーンにはレベル変更の効果は発動せず、ガガガマジシャンとガガガシスターのレベルが共に5となる。

 

「風魔忍者の小太郎と段蔵がいるなら、やはりこのナンバーズが適任だ。私はレベル5となったガガガマジシャンとガガガシスターでオーバーレイ!エクシーズ召喚!昏き王よ、疾く現れよ!『No.12 機甲忍者クリムゾン・シャドー』!!」

 

アストラルが次にエクシーズ召喚したのは忍者モンスターのクリムゾン・シャドー。

 

「これは忍者のモンスターですか!?」

 

「ワタシと同じ、絡繰忍者……!?」

 

クリムゾン・シャドーの登場に小太郎と段蔵は驚く。

 

「ガガガリベンジの効果!装備モンスターがエクシーズ素材になる事によってこのカードが墓地へ送られた時、自分フィールド上の全てのモンスターエクシーズの攻撃力を300ポイントアップする!」

 

それによりギャラクシー・クィーンの攻撃力は500から800、クリムゾン・シャドーの攻撃力は2400から2700になる。

 

「クリムゾン・シャドーの効果!1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ使い、このターンに自分フィールドの忍者モンスターは全て戦闘及び効果で破壊されない!シャドー・ボンド!!更にギャラクシー・クィーンの効果!ギャラクシー・プロテクション!」

 

クリムゾン・シャドーの効果で同じ「忍者」である小太郎と段蔵に破壊耐性を与え、更にギャラクシー・クィーンの力をもう一度使って仲間に加護を与える。

 

「行け、クリムゾン・シャドー!月影紅斬り!!」

 

クリムゾン・シャドーは高速で駆け抜けて丑御前に近づき、逆手に持った忍者刀を振るう。

 

「甘いですよ」

 

丑御前は童子切安綱で簡単に忍者刀の攻撃を受け止めてクリムゾン・シャドーを弾き飛ばした。

 

「お遊びはここまでです……!」

 

本気になった丑御前から邪悪な力が溢れて出し、サーヴァントでもある頼光の肉体と力を使って宝具を発動する。

 

「『牛王招力(ごおうしょうりき)怒髪天昇(どはつてんしょう)』!!!」

 

四つの落雷が降り注ぐとそこに四人の丑御前の分身が現れた。

 

分身それぞれには異なる武器を持っており、赤い刀と緑の弓と白い槍、そして黄金の斧……それはバーサーカーのゴールデンの宝具である黄金喰いだった。

 

頼光の本来の宝具でもあるそれは頼光四天王の武具を持って敵を蹂躙するものである。

 

「やべぇ!みんな、避けろ!!」

 

このままでは五人の丑御前による一斉攻撃で全滅も免れない。

 

「そうはさせません!」

 

丑御前の宝具を全力で阻止に入ったのが小太郎だった。

 

自身の宝具を発動し、二百人の部下の霊体を召喚し、一斉に丑御前の周囲を高速で駆け抜けると、灼熱の炎が激しく燃え上がり、巨大な炎の竜巻となる。

 

「大炎熱地獄!『不滅の混沌旅団』!!!」

 

地獄の炎で丑御前を焼き尽くそうとしたが……。

 

「やりますね……でも、まだです!」

 

炎の竜巻の中から丑御前が飛び出てきた。

 

他の四人の分身体は消失したが、丑御前本人は傷が無く無事で、小太郎の前に現れる。

 

「小太郎!!」

 

「邪魔です、消えなさい」

 

丑御前が童子切安綱を振り下ろし、小太郎が斬り殺されそうになったその時……黒い影が小太郎の前に現れた。

 

そして、丑御前の手の感触には刀で肉を斬った感触はなく、とても堅いものを斬った感触が伝わった。

 

「何……?」

 

「な、何で……!?」

 

「小太郎殿をやらせません……!」

 

小太郎を守るように庇ったのは段蔵だった。

 

しかし、段蔵は無事ではなかった。

 

ギャラクシー・クィーンとクリムゾン・シャドーの破壊耐性を二重に受けているにも関わらず、丑御前の童子切安綱の攻撃は通っており、段蔵の左肩から胸の辺りまで刃が深く斬っていた。

 

それは丑御前が北野天神、牛頭天王の申し子で、牛頭天王の化身として生まれた鬼子……神に近いその力で破壊耐性を突破してしまったのだ。

 

切り口から段蔵の絡繰の断面が痛々しく見えており、バチバチと火花が散っていた。

 

「だっ、段蔵殿!?」

 

「ご心配にはおりません……この程度では、まだ壊れません!」

 

段蔵は両手を前に突き出して高速回転させて風を巻き起こす。

 

「風よ集え!『イビル・ウィンド・デス・ストーム』!」

 

段蔵の宝具『絡繰幻法・呑牛』を丑御前の近距離で放って吹き飛ばす。

 

その際に段蔵に突き刺さっていた童子切安綱は抜かれるが、それと同時に段蔵はその場に崩れ落ちる。

 

「段蔵殿!!」

 

小太郎は崩れ落ちた段蔵を受け止め、泣きそうになる程に顔を崩し、震える声で段蔵に話しかける。

 

「段蔵殿……どうして、僕を……!?」

 

「分かり、ません……あなたに危機が迫っている時に……体が勝手に動きました……」

 

段蔵自身にも理由は分からないが、小太郎に危機が迫ると自然に体が動いて命懸けで守ろうとしたのだ。

 

そんな段蔵に対し、小太郎は小さな涙を流しながら呟いた。

 

「母、上……!」

 

小太郎の呟いた言葉に段蔵は目を丸くして驚く。

 

「母……?小太郎殿、何故私を……?」

 

「あなた自身には……記憶が無いかもしれませんが……僕ははっきりと覚えています。あなたは、僕の育ての親で、風魔忍術の師匠でもあるんです……!」

 

初代・風魔小太郎と果心居士によって作られた段蔵は一時期、風魔の里に身を寄せており、そこでとある赤毛の幼子の育ての親となった。

 

初代風魔小太郎の技を一種のデータとして内蔵した段蔵は、絡繰忍者であると同時に最高の「風魔の技の伝達者」であったのだ。

 

時に忍術の師として導き、時に母のように慈しんだこの幼子こそ……後の五代目・風魔小太郎なのである。

 

「ワタシが、あなたの……母で、師匠……?」

 

「記憶のないあなたを苦しませたくはなかった……だけど、抑えきれないこの想いをお許しください、母上……」

 

「小太郎……殿……」

 

段蔵が小太郎の育ての親と言う事実にみんな驚く。

 

アイリは急いで段蔵の元に行き、サーヴァントとは言え絡繰の体に効くかどうか不明だが治癒魔術を試みる。

 

「段蔵さんが小太郎さんのお母さんだったなんて……」

 

「そう言えば、ご飯の時に段蔵さんの作った料理を誰よりも食べていたのは小太郎さんだった……」

 

「我慢しながらもずっとお母さんの事を求めていたのね……」

 

「例え、機械でも親子としての繋がりがあったんだ……」

 

特にイリヤ達はその事実に驚きながらも小太郎が時折見せた寂しそうな雰囲気に合点がいく。

 

「ううっ、泣けますね〜。ルビーちゃん、久々に心がウルウルしてきましたよ!」

 

「記憶が無くても小太郎様を助けたのは段蔵様の母としての想いがあったのですね」

 

魔術礼装であるルビーとサファイアは小太郎と段蔵の親子の絆に感動していた。

 

しかし、それを嘲笑う者がいた。

 

「うふふふっ……あはははははっ!なんて、なんて滑稽なお話でしょうか!」

 

丑御前は小太郎の話を聞いて立ち上がると二人の親子の絆を嘲笑う。

 

「人でもない、ましてや妖魔ですらない、人の形をしたモノが子を育てた母なんて、滑稽過ぎますね」

 

丑御前は頼光と同じ子煩悩な性格だが、母性愛と慈愛が存在しない。

 

もしも頼光がこの話を聞けば小太郎と段蔵の親子の絆に感動していたかもしれないが、丑御前にはそれが滑稽と感じてしまっている。

 

「丑御前……アンタって人は……!」

 

ゴールデンは丑御前の発言に怒りを露わにした。

 

しかし、ゴールデン以上に怒りを爆発させている者達がいた。

 

「斬撃」

 

「砲撃」

 

魔力の鋭い斬撃と巨大な砲撃が同時に放たれ、更には二つの矢が飛んできて丑御前に襲い掛かるが童子切安綱でそれを斬り落とす。

 

「何をするのですか?小娘達……」

 

丑御前の睨んだ先にいたのはイリヤ達だった。

 

イリヤ達は丑御前の発言で絶対に許せないと怒りが爆発していた。

 

「たとえ、血が繋がってなくても、種族が違ってても……そこにある大切な絆を嘲笑うなんて、絶対に許せない!!」

 

「互いを想う気持ちがあるからこそ掛け替えのない絆が生まれる。それをあなたみたいな人が否定する権利なんてない!!」

 

「覚悟しなさい、この牛女……家族の絆を大切に想う子供を怒らせると、とっても怖い事を教えてあげるわ!!」

 

「そうよ、その腐った根性を叩きのめしてやるわ!」

 

イリヤ達四人にはそれぞれ血の繋がっていない家族がいる。

 

イリヤと美遊は種族の異なる魔術礼装との強い繋がりがある。

 

どれも心で繋がった大切な絆で結ばれており、小太郎と段蔵の絆を嘲笑った丑御前はイリヤ達の大切な絆を嘲笑うことと同等であり、怒りの炎を燃え上がらせる。

 

すると、少し離れたところで段蔵の治癒をしていたアイリの悲痛な叫びが響く。

 

「っ!ダメ……治癒魔術じゃ機械の段蔵を直せないわ……!」

 

治癒魔術は人間やサーヴァントに対して使うが、段蔵はサーヴァントとはいえ機械の体なので治癒魔術が上手く作用しないのだ。

 

「段蔵さん……!」

 

段蔵を救いたいと願う美遊はどうすればいいのか必死に考える。

 

「早く、段蔵さんを何とかしないと……!」

 

すると、美遊の脳裏にある言葉が思い出される。

 

それは、もう二度と会うことが出来ない美遊の大切な家族との記憶と願い。

 

「月ではなく、星に願う……」

 

想いは、願いは夜空に輝く月ではなく小さな星に願うものだと教えられた。

 

すると、美遊の瞳の色が金色から赤色に変化し、魔法少女の衣装が大きな三日月の飾りが付いたミニスカートのある和風の衣装へも変化した。

 

それに共鳴するかのようにサファイアの姿も豪華な装飾が施されて柄が長くなった特別なステッキとなった。

 

「み、美遊様!?この姿は……!?」

 

「サファイア、私もよく分かってないんだけど、段蔵さんを助ける為に力を貸してくれる?」

 

「は、はい!」

 

美遊は自分がこれから何をすべきなのか瞬時に答えを導き出し、サファイアと共にそれを実行する。

 

「地に瞬く願いの光、堕ちた月は無垢なる願いを束ね、天を望む……」

 

足元に巨大な青い魔法陣が展開されると美遊の体が宙に浮き、胸元から星のような光が出てきて天に昇り、別の青い魔法陣が上空に浮かぶ。

 

「『星天を照らせ地の朔月(ほしにねがいを)』!」

 

星の輝きが幾重にも広がり、自身以外の味方全員に願いの光を与え、力を漲らせる。

 

「ミユちゃん、この力は……よし、今なら!」

 

アイリは目を閉じると、宙に浮いて胸元から金色の光が溢れ出す。

 

金色の光が形付いて現れたのは聖杯だった。

 

「『白き聖杯よ、謳え(ソング・オブ・グレイル)』!!」

 

アイリの宝具は聖杯を具現化して召喚し、その光を以て全てを癒す。

 

美遊とアイリの宝具の力で段蔵の斬られた箇所が修復されて元通りとなり、意識がはっきりとなる。

 

「これは……信じられません。壊れた所が元通りになりました」

 

「母上……!アイリ殿、ありがとうございます!」

 

「ええ。本当によかったわ」

 

段蔵が元通りに復活し、小太郎は嬉し涙を浮かべながら段蔵を抱きしめ、アイリに感謝の気持ちを述べる。

 

「これがミユとママの宝具……そうか!」

 

クロエは美遊とアイリの繰り出した宝具をきっかけに自分の宝具がなんなのかようやく気付き、黒弓を消した。

 

「ファースト・レディ、あなたは既に私の宝具の可能性を示してくれていたのね……感謝するわ!」

 

黒弓の代わりに二組の干将・莫耶を投影して両手に持つ。

 

それは魔法少女の国でファースト・レディがクロエの体を使って発動した『堕・鶴翼三連(ブラックバード・シザーハンズ)』をクロエの宝具として全力で放つ。

 

「とっておき、見せてあげるわ!」

 

クロエは二組の干将・莫耶を投げ、まるでブーメランのように回転しながら飛ぶ四つの剣は丑御前を囲むように向かう。

 

「これは……!?」

 

「山を抜き、水を割り、なお堕ちる事無きその両翼……」

 

そして、クロエが走り出すと同時にその姿が消え、丑御前が気配を探ろうとした次の瞬間。

 

「『鶴翼三連(かくよくさんれん)』!」

 

クロエは丑御前の背後に突然現れて、もう一組の干将・莫耶を投影して振り下ろす。

 

互いに引き合う性質を持つ干将・莫耶を三組投影し、その内の二組を敵を囲むように投げ放ち、更に残りの一組を手にして剣撃を浴びせる投擲と斬撃を重ね合わせた必中不可避のコンビネーション。

 

これを打ち破るには全方位への防護か、損傷を無視した術者本体への特攻しかない……しかし、丑御前にはそれを対処できる力がある。

 

「『牛王招力・怒髪天昇』!!!」

 

丑御前が再び五人へと分身し、四人で二組の干将・莫耶を撃ち落とす。

 

丑御前の黒い雷撃がクロエに襲い掛かろうとしたが……。

 

「そうはさせないわ!」

 

「ガァオオオオオッ!!」

 

シトナイとシロウが丑御前に向かって駆け抜ける。

 

「『吼えよ我が友、我が力(オプタテシケ・オキムンペ)』!!!」

 

シロウの爪で丑御前の童子切安綱を抑え込み、その間にシトナイが氷の弓で矢を放ち、分身を含めた丑御前全員の足を凍らせて動けなくする。

 

「ありがと、シトナイ!」

 

「どういたしまして!イリヤ、今度はあなたよ!」

 

シトナイからイリヤにバトンタッチされ、イリヤは自分の宝具を見つけ出す。

 

「私の宝具……」

 

宝具とはサーヴァントの切札であり、その英霊を象徴する力である。

 

それは武器や道具、攻撃方法や能力など様々な形で現れる。

 

イリヤは自分の切札、象徴する力を思い浮かべる。

 

「クラスカード……はちょっと違うよね。やっぱり、私の力はこれだよね……」

 

イリヤの体をピンク色の光に包まれると魔法少女の衣装とルビーの姿がツヴァイフォームの姿に変身する。

 

「こ、これは!?ツヴァイフォーム!?サファイアちゃんは美遊さんのところにいるのに!?」

 

ツヴァイフォームに変身する為には二つのカレイドステッキが揃わないといけないのだが、ルビー単独で変身出来たことに驚きを隠せなかった。

 

「ルビー、これが私の宝具だよ。ツヴァイフォームの最強の攻撃が私の切札!」

 

イリヤの宝具……それは人間の身でありながら強力なサーヴァントにも対抗出来る、最強の切札でもあった自身の肉体を蝕む諸刃の剣とも言えるツヴァイフォーム。

 

「な、なるほど……!サーヴァントになったことで、イリヤさんの最強の姿であるツヴァイフォームをサファイアちゃん無しでも再現することが出来たんですね!?」

 

「多分ね。ルビー、行くよ!」

 

「はいっ!」

 

「これがわたしの全て……! 」

 

全身の魔術回路に加えて筋系、神経系、血管系、リンパ系を疑似的な魔術回路と誤認させ、瞬間的な出力を得る捨て身の技。

 

イリヤ自身の限界を超える超出力の魔力砲撃。

 

「『多元重奏飽和砲撃(クウィンテットフォイア)』!!!」

 

全身を巡る五つの回路が奏で上げた壮絶な魔力の奔流は、星の光にも匹敵する殲滅力を誇る。

 

「凄い……セイバーの聖剣にも負けない光だわ……!」

 

シトナイはイリヤの最強の魔力砲撃にとある騎士王の聖剣の光に匹敵すると感心した。

 

最強の魔力砲撃が丑御前を呑み込み、衝撃波と大きな土煙が立ち昇る。

 

魔力砲撃を全て放出し終わったイリヤはツヴァイフォームを解除して地面に座り込む。

 

「いてて……体のあちこちが痛い……」

 

ツヴァイフォームは本来ならイリヤの体を大きく傷付けて命を削ってしまうが、サーヴァントの体ならば体の節々に痛みが生じてしまう程度に済んでいる。

 

これで倒し切ればいいと思ったが、そう簡単にはいかなかった。

 

「やりますね……!」

 

立ち昇る土煙の中から丑御前がゆっくりと歩いて来た。

 

「まさか、小娘がこれほどの力を持つとは驚きでしたよ……」

 

流石に無傷では無く、丑御前は魔力砲撃をまともに受けていたのでダメージは確実に受けており、軽くふらついていた。

 

「私の最強の砲撃受けても立ってるなんて……」

 

「まあ、流石にサーヴァントだと、あの時ほどの威力は出ませんからね。ですが、それでもダメージはしっかり与えられてますよ」

 

イリヤは最強の魔力砲撃を受けても立った丑御前に軽くショックを受けたが、それは仕方ないとルビーが慰める。

 

再び丑御前を迎え撃つ為に構えようとしたその時……遂に真打ちの登場である。

 

「みんな……待たせたな、後は俺に任せろ!!!」

 

元気のいい声が響き、その声の主はもちろん……遊馬だった。

 

ミストラルによって体は支配されているままだが、ようやく全ての準備が整ったのだ。

 

「待ちくたびれたぞ、遊馬!」

 

アストラルは自身のデュエルディスクにあるカードを全て遊馬のデュエルディスクに移し替え、デッキと手札を遊馬に渡す。

 

「遅れて悪い、アストラル!」

 

「さぁ、派手に行こうか……遊馬、まずはホープを召喚しろ!」

 

「ああ、行くぜ!ミストラル!」

 

ミストラルが身体を支配してくれたお陰で鬼の因子の拒絶反応は抑えられ、遊馬はデッキからカードをドローする。

 

「俺のターン、ドロー!ゴゴゴジャイアントを召喚!その効果で墓地のゴゴゴモンスターを特殊召喚する。蘇れ、ドドドドワーフ!」

 

ドドドドワーフはゴゴゴの名を持つのでゴゴゴジャイアントの対象となり、墓地から蘇生出来た。

 

「レベル4のゴゴゴジャイアントとドドドドワーフでオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れよ!『No.39 希望皇ホープ』!更に魔法カード『希望の記憶』!自分フィールドのナンバーズの種類の数だけ、デッキからドローする!」

 

希望皇ホープをエクシーズ召喚し、そこからナンバーズ専用のドローソースである希望の記憶を発動する。

 

「今フィールドにいるのは希望皇ホープとギャラクシー・クィーンとクリムゾン・シャドーの三体!よって3枚ドローだ。集中しな、遊馬!」

 

「わかってる!」

 

遊馬は目を閉じて右手に神経を集中させる。

 

肉体の支配をミストラルに任せているので、遊馬に出来ることは頭を空っぽにして鬼の因子を右手に集中する。

 

すると、右手が漆黒の闇に染まり、DARK ZEXALの時と同じ闇の力を宿す。

 

「暗き力はドローカードをも闇に染める……ダーク・ドロー!!」

 

シャイニング・ドロー、バリアンズ・カオス・ドローに続く闇の力で鬼の因子を一つにして新たなカードを創造する。

 

ドローした3枚の内、1枚の闇のカードを見ると目を疑って瞬きをする。

 

「こいつは……!?」

 

「ハッ!こいつはこの鬼ヶ島の戦いに相応しいカードになったじゃねえか!」

 

ミストラルは遊馬の支配を解くと、遊馬はその場で軽く体を動かすと先ほどまでの痛みが無く、いつも通りの絶好調となる。

 

体から完全に鬼の因子が抜け、遊馬はニッと笑みを浮かべてミストラルに礼を言う。

 

「助かったぜ、ミストラル!」

 

「礼はいい。さあ、あの牛女にぶちかましてこい!」

 

「ああ!俺は『RUM - リミテッド・バリアンズ・フォース』を発動!自分フィールドのランク4のモンスターエクシーズをランクアップさせ、カオスナンバーズを特殊召喚する!希望皇ホープでオーバーレイ・ネットワークを再構築!カオス・エクシーズ・チェンジ!!」

 

希望皇ホープをエクシーズ召喚し、更にリミテッド・バリアンズ・フォースを発動し、カオス・エクシーズ・チェンジでランクアップをする。

 

「混沌の力纏いて勝利を目指せ!進化した勇姿が今ここに現れる!現れろ!『CNo.39 希望皇ホープレイV』!!」

 

破壊の力を司る闇の希望皇ホープを召喚する。

 

召喚した理由はダーク・ドローで創造したカードに一番適したモンスターが希望皇ホープレイVだったのだ。

 

「そして……鬼の力を凝縮したこいつの力を使うぜ!」

 

遊馬は自身に入った鬼の因子を凝縮させ、闇の力で作ったカードを発動する。

 

「『DZW(ダーク・ゼアル・ウェポン) - 魔装鵺妖衣(キメラ・クロス)』!」

 

それはDARK ZEXALが作り出した邪悪なる妖魔のゼアル・ウェポン。

 

「なんて邪悪な気配……!?」

 

丑御前は魔装鵺妖衣の邪悪な気配に驚いていた。

 

ちなみに、奇しくも鵺は頼光の玄孫と言われている源頼政が退治した妖魔である。

 

「魔装鵺妖衣は『CNo.39』に装備出来る!装備モンスターは戦闘で破壊されない!」

 

魔装鵺妖衣は希望皇ホープレイVに装備され、背中に漆黒の翼が鎧が装着され、ホープ剣が大鎌へと変化する。

 

「邪悪なる闇の力が新たな希望への道を斬り開く!妖魔合体!!キメラ・ホープレイV!!!」

 

魔装鵺妖衣と合体した希望皇ホープレイVをキメラ・ホープレイVと名付け、その邪悪なオーラに丑御前も圧倒される。

 

「さあ、大将同士で決着をつけようぜ!丑御前!!」

 

「……良いでしょう、返り討ちにして差し上げます!!牛王招力・怒髪天昇!!!」

 

丑御前はキメラ・ホープレイVがこの場にいる最強の敵だと認識し、再び宝具を発動して分身を召喚し、大将同士の最終決戦を望む。

 

遊馬はキメラ・ホープレイVに攻撃命令を下す。

 

「行け、キメラ・ホープレイV!!!」

 

キメラ・ホープレイVは真紅の瞳を輝かせ、大鎌を軽やかに振り回してから大きく振り上げて突撃する。

 

「矮小十把、塵芥に成るがいい!」

 

丑御前五人の怒涛の連続攻撃がキメラ・ホープレイVに集中し、そのあまりの威力に大きなダメージが遊馬とキメラ・ホープレイVに与えられる。

 

キメラ・ホープレイVの鎧が傷付き、砕けていく……しかし、キメラ・ホープレイVは決して倒れる事はない!

 

「魔装鵺妖衣の効果!装備モンスターの攻撃によって相手が破壊されなかったダメージステップ終了時、その相手モンスターの攻撃力を0にする!ダーク・チャージ!!」

 

キメラ・ホープレイVが再び真紅の瞳を輝かせ、大鎌を掲げると丑御前の体から力の源である邪悪な神気が大量に抜けていき、キメラ・ホープレイVに吸収されていく。

 

「ば、馬鹿な……!?私の、力が……抜けていく……!??」

 

「そして、装備モンスター……つまり、キメラ・ホープレイVはもう1度だけ同じモンスターに続けて攻撃できる!」

 

「遊馬、セットカードだ!」

 

丑御前の意識を封じ込めて頼光を助けるためのカードはアストラルがあらかじめフィールドにセットしておいた。

 

「ああ!罠カード『安全地帯』を発動!このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、その表側表示モンスターは、相手の効果の対象にならず、戦闘及び相手の効果では破壊されず、相手に直接攻撃できない!これを……丑御前、あんたを対象にする!」

 

モンスターを守る最強の罠と言っても過言でもない安全地帯の効果を自軍ではなく、丑御前に使用した。

 

「何を……!?」

 

遊馬達が何を狙っているのか分からず困惑し、キメラ・ホープレイVは丑御前の目の前まで飛んで大鎌を振りかぶる。

 

「ホープ剣・デスサイズ・スラッシュ!!」

 

命を刈り取る死神の大鎌の一撃が炸裂し、丑御前はぶっ飛ばされて広場の壁に激突する。

 

しかし、激突したと言っても安全地帯の効果で大きな怪我はなく、丑御前は意識を失って倒れてしまった。

 

それにより、丑御前から鬼気が消えていき、ゴールデンは安心したように息を吐くとそれが戦いを終えた証明だった。

 

「ゴールデン、思いっきりやっちゃったけど、頼光さんは大丈夫か?」

 

「……もちろんさ。へへッ、いい大将だなアンタ!んでもって気遣いは無用だぜ。オレが前にもやったことだからな」

 

「……ゴールデン、丑御前退治の真実と言うのは……」

 

「ああ。ようは意識をブッ飛ばせばいい。丑御前も大将も同じ人間だ。切り離す、なんざ初めから無理なんだよ。まあ、イリヤとクロの嬢ちゃん達のはかなり例外だがな」

 

頼光と丑御前に少し似た境遇のイリヤとクロエがクラスカードで一人の人間から二人に分離した話を聞いた時、ゴールデンはとても驚いていた。

 

「だからオレは、昔──大将と、大将が切り離そうとした丑御前の戦いに割り込んだ。自分を殺そうとする頼光サンを打ちのめしてな。んなバカなことさ止めてくれ、ってよ。みっともなく泣きながら、土下座して頼んだ。あの時の状況は今回より酷かったが──丑御前の方が折れてくれてよ。自分からオレっちの雷撃を受けて、気絶しやがった。文字通り失神ってヤツさ。それ以来、丑御前は出てこなかった」

 

それが丑御前退治の真実。

 

頼光が丑御前を……自らを殺そうとし、それを息子のゴールデンが必死に止めたという母と子の話だったのだ。

 

ゴールデンは倒れている丑御前に近づいて背中に腕を回して持ち上げると意識が戻った。

 

「ううん……私、は、いったい……」

 

「よぅ、起きたかよ大将」

 

「金時……?あれ、私は……?」

 

「……少し色々あったんだよ」

 

目を覚ましたのは丑御前ではなく、元の頼光だった。

 

頼光は丑御前に体を支配されている時の記憶は無く何が起きたのか覚えていないのだ。

 

これで丑御前の意識は無事に頼光の中に封じ込められ、後は特異的の元凶である杯を処理すれば解決する。

 

「ふぅ、これで鬼ヶ島の戦いも終わりだな」

 

遊馬は一息をついてカードをデッキに戻した。

 

鬼ヶ島の鬼退治の戦いが終わり、誰もが一安心していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、まだ鬼ヶ島の戦いは終わってはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミストラルが皇の鍵の中に戻ろうとしたその時、邪悪な気配に気付いて振り向いた。

 

「遊馬、アストラル……まだ終わってねぇぞ……見ろ!」

 

「えっ!?」

 

「何だと!?」

 

遊馬達が振り向くとそこにあったのは特異点の杯で中からドロドロとした邪悪な液体が溢れ出していた。

 

すると、杯に共鳴するかのようにこの場にいる6人の男女に異変が起きた。

 

「な、何だ……聖杯が……!?」

 

遊馬の中にある聖杯が鼓動を鳴らして胸元が輝き、それと似たような現象がイリヤと美遊とクロエ、アイリとシトナイにも起きていた。

 

イリヤ達にも何が起きているのか分からず困惑していると、特異点の杯から大量のドス黒い液体が一気に溢れ出した。

 

溢れ出した液体が杯を呑み込み、どんどん巨大化して固まっていき、一つの大きな生き物となった。

 

紫色に輝く体に赤い眼、そして特徴的な頭の大きな角……そして、この世のものとは思えないおぞましい声が広場に響き渡る。

 

『我は……鬼の王……!』

 

鬼の王。

 

それは体長が何十メートルもある巨大な化け物でアトランタル級の大きさを持っており、見る者を震わせるほどの圧倒的な強者のオーラを放っていた。

 

『この、鬼ヶ島の真の王……!そして、この日の本の国の支配者だ……!!』

 

鬼の王から大量の邪気が溢れ出して天に昇り、空に広がっていた黒雲に数多の稲光が轟く。

 

そして、鬼ヶ島にいる全ての鬼があっという間に頂上に集まっていき、その数は約数万となって広場を囲んでいた。

 

「囲まれた!?」

 

「なんて数だ……!」

 

「この数は多すぎます……私達で対処できるか……!」

 

あまりの鬼の数に遊馬達も焦りの表情が出てくる。

 

特異点の杯が暴走し、遊馬達に最大の危機が迫るのだった。

 

 

 

 




丑御前を倒しましたが、鬼ヶ島のクライマックスはこれからです。
これで終わりにしても良かったのですが、書きたかった内容があるのでもう一話続きます。
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