今年もよろしくお願いします。
新年最初の投稿はZEXAL編第二弾です!
バリアン編の話ですが……申し訳ありません、今回の話から内容の濃さによっては一章毎に前編後編の話に分けさせてもらいます。
ぶっちゃけ今回は話の内容が濃すぎて一話に纏めるのが大変で分けることにしました。
前作はよく3話に纏められたなと思いました……。
特に今回はZEXALの94話から98話にかけての真月のアレがもう色々ヤバいので後編は最低でも今月中には投稿しますので気長に待ってもらえると幸いです。
※二重投稿になっていて編集したら何故か削除されたので再投稿しました。
ナンバーズ166 遊☆戯☆王ZEXAL 第二部・第一章『バリアン世界侵攻!カオスエクシーズの脅威!(前編)』
色々と特異点やらトラブルやらイベントが重なり、カルデアで忙しい日々が続く中……遂に遊馬とアストラルの物語を映像化した映画化の第二弾が完成した。
第一弾の映画が好評だったので第二弾の期待が高まった。
すぐにでも上映してもらいたかったが、その前にまだ一度も見ていないサーヴァント達に第一弾の映画を再び食堂で上映して見てもらった。
初めて遊馬とアストラルの物語の映画を見たサーヴァントたちの半数以上は感動していた。
「遊馬さんとアストラルさんすごいすごい!そうだ、今すぐサインを貰わなきゃ!」
「うん、とても満足する内容の映画だった……これが第一弾で、まだ第二と第三の映画もあるなんて、とても楽しみ」
「せっかくストーリーの登場人物がすぐそばにいるんだから色々話を聞きたいわね」
「流石はユウマ様とアストラル様だ……あの二人と出会えて本当に良かった……」
「はい……お二人はやはり素晴らしいお方です」
イリヤ達は壮大な物語の映画を見ているみたいで感動し、既に遊馬とアストラルに心酔しているラーマとシータは更なる忠誠を誓うほどだった。
「これが異世界の英雄であるマスター達の戦いか……見事だ」
「敵や仇にすら情けをかける慈愛の心。真の英雄とはそういう事なのかもしれませんね……」
カルナとアルジュナは遊馬とアストラルはやはり自分達とは比べ物にならないほどの真の英雄だと改めてそう確信していた。
「ふーん、これがマスター達の物語ね。結構やるじゃない」
「ええ……まさか、世界の命運を掛けたこれほどの戦いを経験していたとは感服致しましたわ」
シトナイは興味深そうに映画を見て、頼光は感動して涙をホロリと流していた。
そして、第二弾の映画上映当日……サーヴァントの数も増えてきたので食堂だけでは収まりきれなくなってきたので会議室などその他の部屋などでも見られるようにした。
「バリアン世界との本格的な戦いが始まった話は……うん、色々あったよなぁ……」
「ああ、本当に色々あったな……」
遊馬とアストラルは遠い目をしてその時のことを思い出す。
どことなく二人から哀愁が漂っており、一体何があったのか聞くことが出来なかった。
どの道映画でその理由が分かるので聞かないでそのままにしておいた。
「さあ、お待たせしました!遊戯王ZEXALの第二弾の映画の上映だよ!」
今回も力作として完成させたダ・ヴィンチちゃんは自信満々に言った。
テーブルには前回で好評だった映画館お馴染みのポップコーンにジュース、更にはホットドッグなども用意し、期待が高まる中で遂に上映が始まった。
ワールド・デュエル・カーニバル……WDCが終わって少し経った頃、遊馬達は壮絶なる戦いの後の穏やかな日常を過ごしていた。
しかし、新たな戦いは突如として訪れることとなる。
そのきっかけは再び遊馬の夢の中で度々現れた『皇の扉』だった。
既に遊馬が皇の鍵で扉の封印を解いてアストラルと出会い、扉の中に入ってZEXALとなって大いなる力を手に入れたはずだが、何故かまた鎖で雁字搦めに封印されている状態だった。
『この扉を開く者は、新たな力を得る。しかしその者はその代償として、一番大事なものを失う』
「俺の、一番大事なもの……!?」
『そう……お前はいずれ一番大事なものを失う』
「一番大事なものって……うわぁあああああーっ!?」
皇の扉が言っていた遊馬が一番大事なものとは何かの答えを知る前に足場が崩れ、遊馬は授業中の居眠りから目を覚ましてしまった。
一方、アストラルは皇の鍵の中にある飛行船の上で考え事をしていた。
「デュエルカーニバルで集まったナンバーズは50枚……このナンバーズに私を導く何かは……」
それはアストラルの失われた記憶とこの世界に送り込まれた本当の目的など、まだ判明していない未知なる事柄でそれをずっと考えていると、それに応えるかのようにナンバーズ達がアストラルに集まり、何か重要な記憶を伝えようとした。
「え?あれだけ戦ってまだ半分しか集まってないの?」
「まだ50枚が世界各地に散らばっているなんて……ナンバーズを全部集めるのも大変ですね……」
レティシアとジャンヌはナンバーズが全部集まってないことに驚き、まだまだ先は長いとため息をつく。
学校の放課後、遊馬は小鳥と一緒に下校しているとバイクに乗った凌牙と会った。
凌牙は未だに意識が戻らない双子の妹の見舞いのために病院に向かうところだった。
すると、突然遊馬と凌牙は不気味な力の波動を感じ取った。
その直後に病院から凌牙に凌牙の妹の容態が急変したと緊急連絡が入った。
遊馬と小鳥も凌牙について行き、病室に入るとそこにいたのは両眼を包帯で巻かれてベッドで苦しそうにしている妹の姿だった。
数年前のⅣとのデュエルで紋章……バリアンの力が込められたカードによってダメージを受け、未だに目覚める事が出来ない妹は悪夢にうなされるように何かを呟いた。
「来る……来る!災いが……来る……来る、奴らが……大事なものを、奪いに……!」
まるで予言のような言葉を口にした。
「どうやらあの娘はバリアンの力によって傷つけられた事でその身にバリアンの力が少なからず宿ってしまった……それにより何らかの霊感的な力を宿したのか……?」
エルメロイII世は魔術的視点からそう考えた。
その言葉に遊馬の脳裏には皇の扉の言葉が過った。
『この扉を開く者は、新たな力を得る。しかしその者はその代償として、一番大事なものを失う』
「俺の一番大事なもの……俺の……アストラル……!まさか、お前が……?」
遊馬の大事なものを……それはアストラルだとようやく気付いてしまった。
アストラルは皇の鍵で皇の扉と契約を結んだ事で出会えた遊馬の最高の相棒。
希望皇ホープを始まりとして遊馬にたくさんの大事なものを得るきっかけを作ってくれたアストラルは遊馬にとっては一番大事なものだったのだ。
そう気付かされると鉄男からD・ゲイザーで連絡を受けると、そこに映っていたのは鉄男ではなく、ハートランドで多くの犯罪行為を行う犯罪組織のボスである風魔だった。
風魔は学園で遊馬の力になる為にデュエルの練習を積んでいた鉄男達の前に現れ、デュエルで叩き潰して人質に取った。
その目的は……ナンバーズだった。
遊馬はアストラルを守る為に皇の鍵を小鳥に預けて学園に急いだ。
学園に戻るとそこにはデュエルに敗れて倒れる鉄男達の姿があった。
「さあ、お前のナンバーズを全て渡してもらおうか!」
「誰だお前!?どうしてナンバーズを狙う!?」
「俺は大いなる力を『バリアン』より与えられし者」
「バ、バリアン!?」
風魔はアストラル世界と並ぶもう一つの異世界・バリアン世界の刺客によって洗脳され、遊馬の持つナンバーズを狙いに来たのだ。
「貴様はバリアン世界の礎となってもらう!九十九遊馬!あの戦いは序章に過ぎない。既に幕は切って落とされた!」
WDCの終了からまだ日が浅い内にバリアン世界の侵攻が始まってしまったのだ。
遊馬はバリアンの魔の手からナンバーズを……アストラルを守る為に風魔とのデュエルに挑む。
その頃、アストラルは皇の鍵から出られない事とデュエルが始まった雰囲気を感じ取り、遊馬に何か異変が起きたことを察した。
「遊馬はナンバーズをかけたデュエルを……!?」
皇の鍵は現在小鳥が持っており、物理的に遊馬から遠く離れている為に皇の鍵から外に出られないアストラルはどうすればいいかと悩んでいると、希望皇ホープのカードが輝きを放つ。
「ホープ!?まさか遊馬のところへ……」
希望皇ホープは自らの意志でアストラルを離れて皇の鍵を飛び出し、空間を越えて遊馬のデッキケースに入り込んだ。
「……こうして見ると希望皇ホープさんの旦那様への愛が強い気がしますね」
希望皇ホープが人語を話せない為にその真意は不明だが、遊馬の危機を察して何処へでも駆けつけ、遊馬の剣となり、盾となる希望皇ホープの愛(?)には流石の清姫も認めるしかなかった。
遊馬は来てくれた希望皇ホープをすぐさまエクシーズ召喚し、これで風魔と互角の戦いに持ち込めると思った……その時だった。
「待っていたんだよ、お前のホープを!」
風魔は不敵の笑みを浮かべると額にはDr.フェイカーがバリアンに乗っ取られた時と同じバリアンの紋章が浮かび上がり、ドローしたカードを発動した。
「俺は手札から『RUM - バリアンズ・フォース』を発動!このカードは自分のモンスターエクシーズをランクアップさせ、カオスエクシーズを特殊召喚する!」
『
それは遊馬達……否、アストラルを含むこの世界の全てのデュエリストすら知らないモンスターエクシーズを更なる次元の存在へと進化させる大きな力を秘めた、新たな魔法カードだった。
バリアンズ・フォースにより風魔の『機装天使エンジネル』はランクアップされて『CX 機装魔人エンジェネラル』へと進化してその姿を大きく変えた。
ランクアップしたことにより、攻撃力と守備力だけでなくモンスター効果もより強化された。
バリアンズ・フォースの効果でモンスターエクシーズの力の源とも言えるオーバーレイ・ユニットが奪われ、攻撃力が奪われたオーバーレイ・ユニットの数×300ポイントダウンしてしまった。
更にはカオス・エクシーズは相手モンスターの破壊無効効果を消滅させるという追加効果が加わった。
これにより、ナンバーズの強みの一つである、ナンバーズはナンバーズでしか倒せない効果が無効となってしまった。
これこそがバリアン世界がナンバーズを手に入れる為に生み出した対ナンバーズ用の秘密兵器であるバリアンズ・フォースの力なのだ。
「敵に対抗するため、最大の弱点を突く力を幾つも内蔵した切り札となる魔法か……なるほど、理に適っているな」
スカサハは敵ながらもバリアン世界が作り出したナンバーズの対抗策であるランクアップマジックの力に感心していた。
機装魔人エンジェネラルの攻撃により希望皇ホープは破壊され、未知なる力を秘めた強大なモンスターを前に遊馬は一気にピンチに陥ってしまった。
遊馬のライフポイントが減り、それに伴って皇の鍵の中にいるアストラルもダメージを受けて体が消えかかっていた。
「遊馬……何故一人で戦う?私たちは一心同体ではなかったのか……?」
遊馬が一人で無茶をして戦うのか疑問に思っていると、皇の鍵を持っている小鳥の姿が見えた。
アストラルは自身の力と皇の鍵と共鳴させて小鳥に話しかけた。
アストラルは遊馬の元へと頼み、小鳥は遊馬がアストラルを守ろうとして皇の鍵を託したのだと伝えた。
「そうか、遊馬は守ろうと……小鳥、遊馬は今、新たな脅威と一人で戦っている。私も共に戦わなくては。私を遊馬の元へ届けて欲しい……頼む、小鳥」
「アストラル……」
アストラルの頼みに小鳥は一瞬迷ったが、遊馬を助けるために決意を固め、病院を飛び出してハートランド学園に向けて走る。
途中転んで肌に擦り傷を負いながらも立ち上がり、遊馬とアストラルのために痛みを堪えて走り続けた。
一方、遊馬は希望皇ホープを失い、防戦一方になりながら必死に耐えていた。
そして、ライフが残り100ポイントになり、アストラルを守ると言いながらもこの様で情けないと思ったその時。
「遊馬ー!」
「小鳥……?」
「受け取って!」
小鳥は何とかギリギリ間に合ってハートランド学園に到着し、遊馬に皇の鍵を投げ渡した。
しかし、デュエルによる体のダメージが大きく、石につまずいて転んでしまい、その場で倒れて皇の鍵を受け取ることができずに地面に転がってしまう。
「アストラル……!俺は、お前を、守らなきゃ……!」
何とか立ち上がって皇の鍵に触れた瞬間、皇の鍵から眩い黄金の輝きが放たれた。
そして、虹色の光の粒子が溢れ出るとアストラルが姿を現した。
「アストラル……何で来たんだよ!?お前なんかいなくても、俺だけで……」
「遊馬……どうしてこんな無茶を?」
「……見たんだよ、夢を……」
「夢?」
「夢の中で聞いたんだ。俺が大事なものを失うって……きっとあれはただの夢じゃねえ。だから、俺……ごめんな、アストラル。そんなに透けちまって、俺、お前を守れなくて……」
夢で見た言葉で遊馬は不安になりながらも必死に戦ったが力及ばず逆にアストラルを危険な目に遭わせてしまった。
しかし、アストラルはそんな遊馬を咎めずに優しい笑みを浮かべた。
「遊馬、私は君を誇りに思う。私のこの体は本当の友ができた証だ。私のために傷つき、私のために戦ってくれる友が」
「アストラル……」
「私の友を傷つける者は……許さない!」
アストラルの遊馬を傷つけられた事への怒りが力となり、全身から青白い閃光が輝く。
「立て、遊馬!まだ我々のライフが尽きたわけでは無いぞ!」
「相変わらず上から目線かよ……」
「遊馬立ちなさい!いつまでへたり込んでいるのよ!」
アストラルと小鳥の叱咤により、遊馬の迷いは晴れていく。
「全く、どいつもこいつも言いたい放題言いやがって……」
「さあ、立て!立つんだ、遊馬!」
遊馬は皇の鍵を拾い、元気よく立ち上がる。
「かっとビングだ、俺!」
「いっけー!遊馬ー!アストラルー!」
小鳥はめいいっぱい遊馬とアストラルを応援する。
アストラルは風魔のフィールドにいる不気味な力を感じるモンスターエクシーズの機装魔人エンジェネラルについて尋ねた。
「遊馬、アレは?」
「アレか?ナンバーズすら破壊しちまうバリアンの新兵器、カオスエクシーズって奴さ」
「カオスエクシーズ……面白い。勝つぞ、遊馬。既に勝利の方程式は揃っている!」
「おう!」
アストラルが遊馬の元に戻り、ここから二人の反撃が始まる。
遊馬は蘇生カードで希望皇ホープを墓地から復活させて反撃をしようとするが、風魔は永続罠『エクシーズ・ヘル・ジェイル』で希望皇ホープを鉄柵で囲んで動けなくしてこのターンの終わりに500ポイントのダメージを与え、遊馬に敗北を与えようとした。
風魔は勝利を確信するが、遊馬とアストラルには更なる切り札が眠っていた。
「そんな事させるかよ!俺とアストラルの力が合わされば、俺たちの可能性は無限大だ!」
「行くぞ、遊馬!」
「おう!かっとビングだ、俺!希望皇ホープ、カオス・エクシーズ・チェンジ!」
希望皇ホープの眼が鋭く輝き、鉄柵をホープ剣で破壊し、変形してニュートラル体に戻ると地面に潜り、光の爆発を起こす。
「混沌を光に変える使者、CNo.39!『希望皇ホープレイ』!」
希望皇ホープを希望皇ホープレイに進化させ、希望皇ホープを対象として発動していたエクシーズ・ヘル・ジェイルが破壊され、これで攻撃が可能となった。
希望皇ホープレイの効果で攻撃力を上げて機装魔人エンジェネラルの攻撃力を下げて攻撃を仕掛けるが、風魔は更なる罠カード『ワイルド・チャージャー』で希望皇ホープレイの攻撃力を上回ってしまった。
しかし、遊馬とアストラルは速攻魔法『ナンバーズ・インパクト』で更に希望皇ホープレイの攻撃力を上昇させ、機装魔人エンジェネラルを破壊し、風魔のライフポイントを一気にゼロにした。
風魔に勝利したが、風魔本人はすぐに立ち上がって不敵の笑みを浮かべていた。
「こ、これで済んだと本当に思っているのか?忘れたんじゃねえだろうな?バリアン世界の軍団がここに向かっていることを。もうすぐだ、もうすぐここにやって来る!」
風魔と同じようにバリアン世界の使者によって力を与えられて洗脳させられた軍団がハートランド学園に襲撃に来ようとしていた。
しかし、遊馬とアストラルにはバリアンと戦う頼れる最高の仲間がいた。
「「それはどうかな?」」
現れたのは凌牙とカイトの二人だった。
二人は遊馬と風魔がデュエルをしていた間に裏で密かに動いていた。
「残念だが、貴様の仲間は来ない」
「今頃、お前の仲間はいい気分で夢の中だろうぜ」
カイトと凌牙はそれぞれ二方向から来ていたバリアン軍団がハートランド学園に来る前に立ち塞がり、風魔ほどの実力は無いが数十人もいたデュエリストを全て倒してしまったのだ。
「うわぁ、色々と前作で拗らせていたものが無くなると頼もしすぎるわ、あの二人」
「うむ、ユウマと結束した二人は頼もしさが凄まじいな」
エリザベートとネロは前作で色々と拗らせてやらかしていたカイトと凌牙がこうして味方だととても頼もしいなと強く思った。
「ば、馬鹿な……たった二人であの軍団を倒したと言うのか……!?そ、そんな……」
「俺たちがいる限り……」
「この世界をお前らの好きにはさせん!」
遊馬とアストラルに敗北し、凌牙とカイトでバリアン軍団は全滅し、風魔は絶望に追い詰められた。
「ダイレクトアタック!」
すると、背後に忍び寄ったオービタル7が電気ショックを与えて風魔を気絶させた。
「一丁あがり!」
気絶させられた風魔の額に現れたバリアンの紋章が消えて洗脳は解け、洗脳の元凶であるデッキにあったバリアンズ・フォースのカードも消えてしまった。
どうやらバリアン世界の刺客が遠くから高みの見物をしていて、敗れた風魔からバリアンズ・フォースのカードを奪われないように回収をして撤退をしたらしい。
そして、風魔達もDr.フェイカーと同じように操られて戦わされていたらしい。
遊馬とアストラルの勝利に小鳥達が駆け寄り、一緒に勝利を喜び合う。
そして、カイトと凌牙が近づきながら静かに遊馬に告げる。
「遊馬、どうやら本格的に動き出したようだな」
「バリアン世界の刺客達が」
「カイト、シャーク」
「戦いはこれからだ」
「ああ!どんな奴らが来たって、俺たちが力を合わせりゃ絶対負けねえ!束になってかかって来いってんだ!かっとビングだ、俺!」
遊馬はバリアン世界の侵略が始まったことで最初は不安でいっぱいだったが、アストラルと凌牙とカイトと一緒なら絶対に負けない、乗り越えられると確信した。
「やっぱり、凌牙さんとカイトさんがいると頼もしさが凄いですね。遊馬君とアストラルさんの安心感と信頼感が伝わります。私もあの二人のようにもっと強くならなければ……」
マシュは凌牙とカイトのように遊馬と共に戦う仲間として相棒としてもっと強くならなければと改めて思った。
風魔とのデュエルから数日後、遊馬は一人の少年と運命的な出会いをした。
「今日からこのクラスに転校してきました、真月零です!」
真月はWDCで優勝した遊馬のファンでとても素直で優しい性格だが、とてもおっちょこちょいなところもあり、遊馬を少し困らせていた。
しかし、遊馬のためにがむしゃらに頑張ろうとする姿に遊馬も心を打たれ、真月を仲間として認めて友として仲良くなるのだった。
「真月……あいつって確か……」
レティシアは以前遊馬から真月の話を聞いたことを思い出し、これからの展開に少し不安が過ぎった。
ちなみに武蔵は……。
「遊馬に人懐っこい感じで幼さが残る美少年……!いいわ、これをおかずに素うどんを何杯でもいけるわ!」
遊馬と真月の仲良さそうな映像に何を想像したのか涎を垂らした武蔵は慌てて涎を拭いていた。
「いいのか?日本最強の二刀流剣士がこんな淫らな煩悩まみれで?」
それを小次郎がジト目で見ていた。
バリアン世界の刺客は風魔に続き、様々なデュエリストをバリアンズ・フォースで洗脳して遊馬とアストラルに差し向けていく。
洗脳したデュエリストのエースモンスターのモンスターエクシーズをランクアップさせた強力な『CX』を誕生させて二人を追い詰めるが、希望皇ホープと二人のデュエルタクティクスで撃退していく。
そんな中、バリアン世界の刺客が次に標的に選んだのは凌牙だった。
病院で眠っている凌牙の妹が突如として姿が消えてしまい、いつも以上に錯乱してしまっている凌牙の前に現れたのはハートランド学園で漫画研究部の部長をしている有賀千太郎だった。
凌牙の妹を拉致したのは千太郎で凌牙は怒りに燃えながらデュエルをする。
千太郎は漫画好きと同時にヒーローが好きで自身の理想のヒーローとも言えるモンスター……騎士王・アーサーをモチーフにした『CH キング・アーサー』を召喚した。
「ほう、私の……いえ、アーサー王をモチーフにしたモンスターですか。騎士らしい勇ましいモンスターですね」
「へぇ、アーサー王のモンスターか……よし、あれを貰うか」
アーサー王本人であるアルトリアはキング・アーサーに親近感を得て満足そうに頷き、モードレッドはキング・アーサーのカードが欲しくなりどうやって貰うか考えていた。
千太郎は勝つ為に凌牙の精神を追い詰め始めた。
それは凌牙の妹は千太郎が創り出した仮想空間……つまり漫画の世界に囚われており、千太郎がデュエルに負けたら仮想空間が崩壊すると言い出した。
それが嘘か誠か分からないが、妹が人質に囚われている以上、凌牙は下手に攻めることが出来なくなってしまった。
アストラルと小鳥はこのデュエルを解く鍵は千太郎がいつも持っていたスケッチブックに描かれているのではないかと考え、遊馬は真月を連れてハートランド学園に向かった。
遊馬と真月は漫画研究部の部室でスケッチブックを探すとそこには千太郎が思い描くストーリーの漫画があった。
そこには悪魔の使者の凌牙とヒーローの千太郎が戦い、凌牙が敗れるが囚われの姫である妹は時既に遅く、永遠の眠りについてしまったものだ。
つまり、このままではどう足掻いても凌牙は妹を助けることは出来ないのだ。
凌牙は妹を助けることが出来ないと告げられ、絶望に打ちひしがれてその場に崩れる。
このまま助けられないのかと皆が諦める中、遊馬だけは諦めなかった。
「こんなもんに俺たちの未来を決められてたまるかよ!シャーク立てよ!立って戦えよ!今お前しか、妹を守れないんだ!前を塞ぐもんは全部ぶちのめす!それがシャークだろ!」
遊馬の叱咤激励の言葉に凌牙の心が奮い立たされ、妹との大切な記憶が呼び覚ませられる。
たった一人の大切な妹を守る……兄として凌牙は闘志を燃え上がらせて立ち上がる。
「どんな未来が待っているか知らねえが、璃緒は必ず俺が守る。だから璃緒、目を覚ませ!璃緒!!」
凌牙が妹を──『璃緒』を想う心が奇跡を起こし、互いの指に嵌められたペアリングが共鳴して光を放った。
「凌牙……」
璃緒は意識を取り戻して牢屋から抜け出し、城の上に立つと両目に巻かれていた包帯が自然と解け……遂にバリアンの呪縛の永き眠りから目を覚ましたのだ。
「璃緒……」
「凌牙……!」
凌牙と璃緒、兄と妹の感動的な再会が──。
「ひょっとして、デュエルで負けてる?あり得ないから、私の前で負けるなんて」
──起こらず、まさかの璃緒からの第一声がとんでもなく冷たいものだった。
どうやら妹の璃緒は兄の凌牙に対して少し厳しい性格らしい。
「うひょおおお!?長き眠りから覚めたのはまさかのツンツン美少女!?あんな可愛い子が妹なんて羨ましいですぞ、シャーク殿!」
ちなみに璃緒の見た目と性格は黒髭にヒットしたらしく興奮していたが、周りの人たちは華麗にスルーした。
璃緒の第一声に流石の凌牙はかなり呆れていたが、璃緒が無事に目を覚ましたことで凌牙に対する制約が全て解かれ、ここから一気に反撃に移った。
今まで攻撃に耐えてカードを温存していたので、それらを全て駆使して形勢を逆転させ、更にシャーク・ドレイクをシャーク・ドレイク・バイスに進化させ、千太郎を打ち破って勝利を収めた。
千太郎はバリアンの洗脳から解かれ、璃緒はバリアンの呪縛から解放されて目覚めたとは言え数年間も眠り続けていたのであまり動く事はできず、すぐに病院に連れて行くことになった。
するとなんと、凌牙は璃緒をお姫様抱っこで軽々と抱き上げると、璃緒は先程の厳しい表情から一転して優しい笑みを浮かべて凌牙に甘えるように首に手を巻いたのだった。
とても双子の兄妹とは思えないラブラブ(?)な光景に女性陣は「怪しい……」と目を光らせる。
それから数日後……数年間も眠っていたにも関わらず、リハビリなどをほとんどしないで璃緒がハートランド学園に登校して来たのだ。
普通なら全身の筋肉が衰えてまともに動くには数ヶ月のリハビリが必須なはずなのに璃緒はまるで眠っていたことが嘘のように元気よく動いていた。
「いやいやいや!?あり得ないって!?一体どんな薬を使った!?それか魔術!?数年間も昏睡状態で全く体が動いてなかったのにどうしてあの子はたった数日で動けるんだ!?」
カルデアの医療部門トップであるロマニは璃緒のあり得ない体質に驚愕して頭を抱えている。
その後、更にロマニは璃緒に驚かされることとなる。
璃緒はハートランド学園の全女子生徒の中でもトップに迫るほどの美少女なので様々な部活から是非ともマネージャーになってもらいたいと男子どもが下心全開で勧誘してきた。
璃緒は勧誘してきた男子どもと勝負し、璃緒自身がそちら側が勝てたらマネージャーになると側から見ればあまりにも無謀な条件を出した。
サッカー部、柔道部、卓球部、野球部、ボクシング部、将棋部、バスケットボール部と……それぞれの部活のレギュラー陣をたった一人で全て打ち破り、勝利してしまったのだ。
「だから何でさ!?どうしてそんなにアグレッシブに動けるの!?元々天才的な運動神経を持ってるならまだギリギリ分かるけど、何で数日前まで昏睡状態だった十四歳の少女がそんなにスポーツで一騎当千の如く暴れまくれるんだい!?それとも何!?遊馬君達もそうだけど、あの異世界の住人はこれほどまでに身体能力が化け物クラスなのか!?」
璃緒の常識外れすぎる身体能力にロマニの医者としての理解度が既にオーバーヒートしてしまい、頭を抱えながら床を転がってしまうほど追い詰められてしまった……。
ロマニほどではないが、この場にいるほぼ全員が同意し、遊馬を含める異世界人はどれだけ凄いのかと思い知らせる事となった。
璃緒がここまで強く、勝利を目指す理由は兄の凌牙の為だった。
凌牙は璃緒を傷つけられ、Ⅳとのデュエルで罠に嵌められてから不良となって色々問題を起こしてしまった為、多くの人物から恨まれる事となった。
凌牙のたった一人の妹である璃緒が弱点として狙われることも考えられるので、璃緒は凌牙の為にも強くならればならないと決めているのだ。
すると、璃緒と遊馬達は華道部に誘われ、和室のある部室に向かった。
そこで華道部部長の花添愛華が花を花鋏で切り、花を生けて言葉を紡いでいくと小鳥達は突然眠りについて倒れていった。
アストラルは愛華が花を切ることで催眠術をかけたと推測した。
「催眠術って、そう簡単にかけられるものだっけ……?」
「一応研究はされているけどあんな短時間でかけるのは無理」
「催眠術か……お兄ちゃんにかけられるかな?」
現代人であるイリヤ達はあっさりと小鳥達に催眠術をかけた愛華に驚いた。
愛華はバリアンの刺客として洗脳されており、狙いは璃緒だったが催眠術にかかってない遊馬からデュエルで叩き潰そうとした。
遊馬はすぐに愛華とデュエルを行おうとしたが慣れてない正座で足が痺れてしまった。
「私が、お相手致しましょう」
すると、催眠術で眠っていたはずの璃緒が目を覚ましたのだ。
璃緒は様子がおかしかったのでかかったフリをしていたのだ。
遊馬は自分がデュエルをすると言ったが、璃緒は売られた喧嘩を買うが如く、愛華とのデュエルを受けてたった。
璃緒は凌牙と同じ水属性のデッキだが、大きく違うのは璃緒は氷をモチーフとした鳥獣族をメインにしたデッキだった。
同じ水属性でも凌牙の大海のシャークデッキとは異なり、璃緒のはいわゆる氷海のブリザードデッキ。
そのデッキ構築は当然かなり異なるが、璃緒のデュエリストとしてのデュエルタクティクスは凌牙に引けを取らないとても高い実力だった。
愛華はバリアンズ・フォースで自身のエースモンスターの『烈華砲艦ナデシコ』をカオス化させ、『CX 激烈華戦艦タオヤメ』を召喚して璃緒を追い詰める。
すると愛華の凌牙への悪口を吐き、それに対して璃緒は見た事ないほどに激昂し、これまでの丁寧口調を捨て……冷たい氷のような視線と態度を取った。
「凌牙の事を粗野とか卑しいって言ってたわけ?私はともかく、凌牙の悪口は許さない……アンタ、凍らすよ?」
璃緒は凌牙の事をたった一人の兄であり、家族として心の底から大切に想っており、凌牙を侮辱される事を何よりも嫌っているのだ。
そして、璃緒から吹雪のイメージを放ちながらエースモンスターの『零鳥獣シルフィーネ』を召喚してフィールドの全ての効果を凍らせて見事愛華を倒したのだ。
それはまるで御伽噺の『氷の女王』のような全てを凍らせて敵を倒すと言う凄まじいデュエルだった。
余談だが、何故か遊馬は璃緒を名前で呼ばずに凌牙の妹と言うことで「妹シャ」と呼ぶことにした。
ちなみに遊馬が妹シャと呼ぶ度に璃緒は「その名で呼ぶな!」と強気で注意し、遊馬は臆して「は、はいっ!?」と言う一種の漫才みたいなことが起こるのだった。
バリアン世界の刺客達が遊馬達に何度も迫る中、遊馬は一人のデュエリストと出会う。
その名はアリト、どうやら小鳥に惚れているらしく小鳥をかけてデュエルを申し込んできた。
アリトはボクサーをモチーフにした『
遊馬もカウンター罠を駆使し、フィールドはまるで自分の魂をモンスターに込めて熱いボクシングを繰り広げているようだった。
最後は失敗を恐れない遊馬の勇気によってデュエルは勝利し、もしも失敗を恐れていたらアリトのカウンターで敗北していたのでアストラルは遊馬の成長と勇気に驚かされた。
「良いわね……私好みの良いバトルだったわ。男の子はこれぐらいヤンチャにやらないとね!」
マルタは遊馬とアリトのデュエルが自分好みで楽しそうに頷いた。
デュエルが終わり、小鳥が真月から話を聞いて駆けつけたが……アリトは小鳥には目もくれず遊馬の事をとても気に入り、ライバルと宣言した。
「俺はアリトだ!この名前胸に刻んどけよ!何たって俺はお前のライバルになる男だからな!」
そんなアリトの人柄とデュエルに遊馬も同じように気に入ってライバルと認めた。
遊馬とアリトの男同士の友情が芽生え、訳の分からない展開に小鳥は頭を悩ませるのだった。
ある日、ハートランド学園で小鳥達が些細な出来事から大喧嘩をしてしまった。
遊馬はすぐに仲直りするだろうと特に気にしていなかったが、翌日になっても小鳥達は喧嘩したままで遊馬はどうすればみんなが仲直りするか悩んでいた。
そんな時に現れたのは同じハートランド学園の制服を着た謎の大男だった。
「君たちの悩みを解決するなら、スポーツデュエルしかない!爽やかに流れる汗で仲間の絆を取り戻すんだ!」
大男は遊馬の悩みを解決する策としてデュエルとスポーツを組み合わせた特別ルールのデュエルをすることを提案した。
更に大男は仲間達の絆を高める為に遊馬がわざと負けて他のチームを優勝させる提案をし、遊馬もみんなが仲直りするならと快く了承した。
翌日、ハートランド学園の校庭を貸し切り、大男主催のスポーツデュエル大会が開催された。
人数合わせに凌牙も参加させられ、遊馬と凌牙、璃緒と鉄男、小鳥とキャッシー、等々力と徳之助の4チームで大会が行われ、大男と真月は実況と審判を担当する。
こうして始まったスポーツデュエル大会はD・ゲイザーのARビジョンを最大限に活用して様々なスポーツをモチーフにしたデュエルが行われた。
自分が召喚したモンスターと共にスポーツをする変則デュエルでスカイダイビング、ビーチバレー、テニス、カルタ、卓球、プロレスなど……色々なスポーツデュエルを行う。
「何やってんのよ、あいつら……?」
カルデアでデュエルをよくやるレティシアは「何だこれ?」と言った様子で普通のデュエルとはかけ離れたスポーツデュエルに疑問符を浮かべていた。
スポーツデュエル大会も終盤に入り、体力がある遊馬や璃緒以外のみんなが疲れ切っていると一緒に汗を流して競技をしたことで喧嘩していた事を忘れていつのまにか仲直りしていた。
大男の狙い通りに仲間の絆が取り戻す事ができ、無事に目的を果たすことが出来た。
このままスポーツデュエル大会は決勝戦をやることになり、最高得点の遊馬と凌牙ペアと主催者の特権で何故か最下位小鳥とキャッシーが決勝戦に進むこととなった。
決勝戦を始める前に大男が小鳥とキャッシーに渡すものがあると言って二人を別室に呼び出した。
そして、スポーツデュエル大会の決勝戦が始まり、内容は野球デュエルだったが、凌牙がいつの間にかいなくなっていた。
凌牙はこんなことやってられるかと言い残して先に帰ってしまったのだ。
遊馬は帰ってしまった凌牙に仕方ないなと思いながら大男にピンチヒッターを指名した。
「え!?俺が!?うわ、ちょっと待って!俺はあの……え!?何この格好!?ちょっとちょっと!うわっ!?」
大男は突然ピンチヒッターに指名されて大慌てし、弁明する暇もなく衣装が自動的に野球デュエル用に着替えられ、デュエルディスクが起動して強制的に参加させられた。
大男は何故か焦りながらデュエルを行い、手をモチーフにした『ハンド』モンスターを駆使しながらデュエルをする。
しかし、わざと負けて小鳥達に勝たせるつもりだった遊馬のカードで大男の戦法が妨害されていく。
小鳥はいつもの優しい雰囲気が少し違っており、エースモンスターである『フェアリー・チア・ガール』を召喚すると、とんでも無いカードを発動した。
それはバリアンズ・フォースでフェアリー・チア・ガールが『ダーク・フェアリー・チア・ガール』へとカオス化してしまったのだ。
バリアンズ・フォースを使ったということは小鳥とキャッシーはバリアンに洗脳されていることである。
「あれ……?もしかして、バリアン世界の刺客って……」
マシュの言う通り、ここで察しのいい者達は誰がバリアンズ・フォースを渡したのか何となく分かった。
小鳥とキャッシーがバリアンに洗脳されているのならば必ず勝つしかなく、既に遊馬の勝利の方程式は揃っており、ピンチヒッターの希望皇ホープをエクシーズ召喚した。
大男の罠カードで希望皇ホープの攻撃力が倍となり、バトルを行うとダーク・フェアリー・チア・ガールが超速球の球を繰り出す。
「ホープ剣・逆転満塁ホームラン!」
希望皇ホープが二振りのホープ剣を引き抜くと剣がバットに形を変え、ダーク・フェアリー・チア・ガールの球を打ち返した。
「ホープ……意外にノリが良いわね……」
オルガマリーは呆れ顔で言ったが、野球デュエルの演出の一種でもあるだろうが、希望皇ホープはその勇ましく神聖な雰囲気の姿に似合わず意外とノリが良いのだった。
ダーク・フェアリー・チア・ガールは破壊され、遊馬と大男の勝利となり、小鳥とキャッシーはバリアンの洗脳から解かれた。
大男は勝てて良かったと涙を流し、いつの間にか遊馬達の前から消えていた。
小鳥にバリアンズ・フォースを与えてバリアン世界の刺客の顔は覚えておらず、そのままスポーツデュエル大会はお開きとなった。
そんなある日、遊馬は夢を見た。
それは見たことない黒く巨大なドラゴンが自分とアストラルを追い詰めて攻撃をするという恐ろしい夢だった。
遊馬はバリアンに洗脳されたデュエリストとの戦いで繰り出されてきたバリアンズ・フォースとカオス・エクシーズとの具体的な対抗策を見つけることが出来ず、これでアストラルを守れることはできるのだろうかと深く悩んでいたのだ。
悩んでいたせいで食事もあまり喉が通らず、明里と春が驚愕して心配するほどだった。
そんな遊馬の悩みにいち早く行動を起こしたのは春だった。
春は気を利かせて小鳥に今度の連休に遊馬と一緒に食材を持って決闘庵におつかいをお願いした。
山の空気を吸って気分転換にでもなれば良いと春はそう考えて小鳥に遊馬を頼んだのだ。
決闘庵に到着すると二人を出迎えたのは遊馬の兄弟子で以前のデュエルから心の闇が消えてすっかり落ち着きを取り戻した闇川だった。
残念ながら師匠の六十郎は不在で会えなかったがせっかくなのでのんびり過ごすことになった。
遊馬は決闘庵の中にある六十郎が彫ったモンスターの木像を見に行った。
いつ見ても素晴らしいモンスターの木像を見ていると、デュエルモンスターズの伝説のドラゴン……『真紅眼の黒竜』の木像を見た瞬間、夢で見た漆黒のドラゴンが重なって見えてしまった。
未知なる敵との恐怖とアストラルを守れるのかと深く悩んでいると闇川が遊馬を励ましに来た。
「悩み、迷うのを恥じることない。かつては私もそうだった。お前にこれを渡しておこう」
渡されたカードはモンスターエクシーズのオーバーレイ・ユニットに関する効果を持つ魔法カード、『オーバーレイ・バレット』と『オーバーレイ・チェーン』の2枚だった。
「何か思い悩んでいるようなら、このカードを渡してやってくれと。師匠は俺たち弟子のことは何でもお見通しのようだな」
闇川の言葉と六十郎の想いに遊馬の心も軽くなっていく。
小鳥は近くの川で水遊びをし、遊馬は岩場に座ってもらった2枚のカードを使ったカオスエクシーズ対策を考えていた。
すると、小鳥が突然遊馬の顔に水を掛けた。
「うわっ!?な、何すんだよ!?」
「だって、ずっと難しい顔してるんだもん!」
「どんな顔してたっていいじゃんかよ!」
「ダメー!似合わないもーん!」
「ちくしょー!今度は俺のターンだ!ドロー!」
遊馬も川に飛び込んでお返しにと小鳥に水を掛ける。
突如として始まった遊馬と小鳥の水辺での水の掛け合い。
誰がどう見てもまるで恋人同士のようにイチャイチャしている二人の雰囲気にマシュ達はギロリと小鳥を睨みつける。
マシュ達の視線に気がついた小鳥はドヤ顔を見せるとマシュ達の嫉妬の炎が燃え上がる。
思春期の少年少女の微笑ましい光景だが、一部の者達は「自分たちは一体何を見させられているのだ?」という複雑な気持ちだった。
落ち込んでいる遊馬を元気にさせる幼馴染である小鳥の存在が大きいと改めて思い知らされた。
川遊びで服がびしょびしょになり、決闘庵に戻ろうとしたその時、突然謎の光弾が小鳥に直撃して吹き飛ばされた。
「お前か、九十九遊馬という奴は」
光弾を放ったのは木の上に乗った謎の金髪の少年だった。
少年の手には菱形の小さな結晶が握られており、それを空高く投げ飛ばした。
「バリアンズ・スフィア・フィールド、展開!」
結晶が無数の赤い光のカードとなり、遊馬と少年を巻き込みながら宙を浮いた。
光のカード達は巨大化しながら球体となり、それはWDCの決勝戦でDr.フェイカーが発動したスフィア・フィールドと酷似していた。
「お前は一体……!?」
「我が名はミザエル。九十九遊馬、お前のデュエルの最後の相手となる者だ」
遊馬はバリアンズ・スフィア・フィールドにミザエルがバリアン世界の刺客だとすぐに気付き、遊馬とミザエルのデュエルが始まる。
遊馬は初手から希望皇ホープをエクシーズ召喚すると、カオスエクシーズ対策として闇川から貰った六十郎のカードが2枚とも手札に来ていた。
遊馬はミザエルがバリアンズ・フォースを使ってカオスエクシーズを出すと考え、オーバーレイ・ユニットを守るオーバーレイ・チェーンを希望皇ホープに装備させた。
守り重視のデュエルを行う遊馬に焦りの表情が見えているのをアストラルは見逃さなかった。
続くミザエルのターンでレベル8のドラゴン族モンスターを2体揃え、エクシーズ召喚を行う。
「宇宙を貫く雄叫びよ、遙かなる時を遡り、銀河の源より甦れ!顕現せよ!そして我を勝利へと導け!『No.107 銀河眼の時空竜』!!」
ミザエルが召喚したのはカオスエクシーズでもない、新たな銀河眼であり、見たこともないナンバーズだった。
銀河眼の時空竜は機械的なフォルムを持つ紫色の巨大なドラゴンでそれは遊馬が夢で見たドラゴンと同じものだった。
遊馬の夢はこの銀河眼の時空竜の襲来の予兆を示していたのだった。
「ほ、本当に夢の通りのドラゴンが……やっぱりマスターの夢見の力は凄いわね……」
「あそこまで正確な予知夢を見るとは……アストラルと契約した影響か、ナンバーズを使うことによる影響か……なんにしても、未来に起こりうる事を断片的に知る事が出来るとは恐ろしいな……」
メディアとエルメロイII世は遊馬が時折見る未来を予兆する夢見の予知夢の力が本物だという事を改めて認識するのだった。
「銀河眼の時空竜……あいつがカイトと並ぶもう一人の銀河眼使い……!」
レティシアはもう一人の銀河眼使いの登場に心が震えていた。
カイトの『銀河眼の光子竜』と同じ銀河の輝きをその眼に秘め、『銀河眼』の名を持つドラゴン……『銀河眼の時空竜』。
その異質な姿形とあまりにも強大な力の前に遊馬とアストラルは初めてカイトが繰り出した銀河眼の光子竜と対峙した時以上のプレッシャーを感じ、更には『107』番目のナンバーズに衝撃を受けた。
本来ならば『1』から『100』までしか存在しない100枚のナンバーズ以外の『100』を超える数字を持つバリアンが持つ新たなナンバーズ……『オーバーハンドレッド・ナンバーズ』。
一方、小鳥が不安そうに見つめる中、銀河眼の時空竜の襲来の気配に気付いた凌牙と璃緒が駆けつけた。
銀河眼の時空竜が攻撃し、希望皇ホープの効果で攻撃を無効にし、これでバトルが終了するかと思われたが……。
「甘いな!銀河眼の時空竜のモンスター効果、発動!」
ここで銀河眼の時空竜の恐るべき効果が発動される。
銀河眼の時空竜が元の菱型のニュートラル体に戻り、その身から眩い七色の光を放つとそれに導かれるように希望皇ホープもまた変形してニュートラル体に戻ってしまった。
銀河眼の時空竜は1ターンに一度、バトルが終了した時にオーバーレイ・ユニットを1つ使って銀河眼の時空竜以外のモンスターの効果を無効にして攻撃力と守備力を元に戻し、バトル中に発動したカード1枚につき攻撃力を1000ポイントアップする。
そして、この効果を自分のターンに使用した時に銀河眼の時空竜はもう一度攻撃が出来る。
「馬鹿な!このモンスターは過去に戻って、そこで自分に有利な未来を選択することが出来るとでも言うのか!?」
アストラルの言う通り、銀河眼の時空竜は一度流れた時間を逆転させて戻し、自分が有利な選択をして勝利への時を進むことが出来る。
まさに時空を司る銀河眼の時空竜の相応しい超絶効果に全ての効果を無効化された希望皇ホープは敗れてしまい、遊馬はバリアンズ・スフィア・フィールドの壁に叩きつけられて大ダメージを受けてしまった。
ライフポイントがまだ残っているにも関わらず遊馬は気絶してしまい、デュエル続行不可能の状態の危機的状況にまで陥ってしまった。
遊馬の代わりに凌牙がデュエルを引き継ごうとしたその時、バリアンズ・スフィア・フィールドのエネルギー波を感知してハートランドタワーからカイトとオービタル7が駆けつけた。
「そのデュエル、俺が引き継ごう!」
カイトが遊馬のデュエルを引き継ぐと宣言すると……。
「呼んでいる……ギャラクシーアイズがギャラクシーアイズを呼んでいる。遥かなる時空を超えて、再び相見えた二体の竜が、互いに引き寄せ合っている……」
璃緒の意思が無くなると何かが乗り移ったように予言めいた言葉を口にし始めた。
カイトとミザエルが互いを見つめると、カイトの前に銀河眼の光子竜の幻影が現れ、それに応えるように銀河眼の時空竜が咆哮をあげた。
すると、バリアンズ・スフィア・フィールドが輝くと、まるで銀河眼の時空竜が導くようにカイトをバリアンズ・スフィア・フィールド内に入れた。
「カイト……?」
「後は俺に任せて、お前達は休んでいろ」
「すまない、カイト」
「気にするな、それにこれは俺の問題でもある」
「君の問題?」
「銀河眼使いは一人でいい。そしてそれは、俺だ!」
ミザエルも銀河眼の時空竜の意思を尊重して、カイトが遊馬のデュエルを引き継ぐのを許可した。
「闇に輝く銀河よ!希望の光となりて、我が僕に宿れ!現れろ、『銀河眼の光子竜』!!」
カイトはまるでカードに導かれるようにすぐさま銀河眼の光子竜をフィールドに繰り出した。
銀河眼の光子竜と銀河眼の時空竜。
姿形が全く異なる二体の銀河眼が遂に対峙した。
「やはり世界は広い……これほどまでに強大な力を持つドラゴンが異世界にいるとは……」
「俺の宝具の大剣と鎧でもあの二体を倒せるかどうか分からないほどに銀河眼から恐ろしさを感じるな……」
「くっ、滾るじゃねえか……あのドラゴン共をぶちのめしてやりてぇぜ!」
竜殺し……ドラゴンスレイヤーであるゲオルギウス、ジークフリート、ベオウルフは二体のギャラクシーアイズの登場にレティシアとは違った意味で心が震えた。
二体の銀河眼が揃った瞬間、互いに咆哮を轟かせるとその体から無数の光の波動を放ち、共鳴しあっていた。
「この二体、やはり呼び合っているのか!?」
共鳴による強烈な力の波動にバリアンズ・スフィア・フィールドから漏れ出して周囲の地形が歪んでしまうほどだった。
「銀河眼が二体揃う時、大いなる力への扉が開く……そう伝え聞いてはいたが……」
「何のことだ、それは?」
「フッ、ここで惨めに敗れ去る貴様には知る必要のないことよ」
「ならば、勝って聞かせてもらおうか!」
ここからカイトとミザエル……二人の銀河眼使いのデュエルが始まる。
互いの銀河眼の効果と多くの魔法と罠の効果を駆使して激しい攻防を繰り返していく。
真の銀河眼使いの称号を手にする為、二人は全力で相手を叩き潰す為に戦う。
そして、カイトは一気に勝負に出る為に最強の切り札を召喚する。
「逆巻く銀河よ、今こそ怒涛の光となりて、姿を現すがいい!降臨せよ、我が魂!『超銀河眼の光子龍』!!」
カイトとハルトの兄弟の絆のドラゴン、超銀河眼の光子龍がエクシーズ召喚された。
「おお、これが……!」
ナンバーズキラーと恐れられている超銀河眼の光子龍の召喚にミザエルは敵ながら天晴れと言わんばかりの歓喜の表情を浮かべていた。
超銀河眼の光子龍の攻撃で銀河眼の時空竜は破壊され、戦況はカイトが有利となったがミザエルにはまだ奥の手が残されていた。
「フッ、これならば私が本気を出すに相応しい!」
ミザエルは本気を出すと宣言すると、ミザエルが光に包まれた。
「バリアルフォーゼ!」
光の中でミザエルの姿が変わっていき、現れたのは白の仮面を被った金色の戦士だった。
「へ、変身しましたー!?」
「フォー!?」
まさかのミザエルの変身にマシュ達が驚愕する。
「ええーっ!?異世界人とは言え男の子が変身するのもありなの!?」
「いやー、あの変身はちょっと予想外ですね〜」
現役魔法少女のイリヤとステッキのルビーもミザエルの変身には驚きを隠せなかった。
遊馬とアストラルの合体形態のZEXALで慣れたと思ったが、まさかバリアン世界の住人が変身するとは思いもよらなかった。
それはミザエルのバリアン世界の住人としての真の姿、先程までの姿は人間界で行動するための仮の姿にすぎなかった。
バリアルフォーゼはバリアン世界の住人がスフィアフィールドなどの異世界空間で己の真の姿になる変身形態である。
「今から貴様に、真のバリアンの力を見せてやろう。私は『RUM - バリアンズ・フォース』発動!」
ミザエルは銀河眼の時空竜にバリアンズ・フォースを発動したのだ。
「混沌より生まれし、バリアンの力……ナンバーズに宿りて新たな混沌を生み出さん!カオス・エクシーズ・チェンジ!逆巻く銀河を貫いて、時の生ずる前より蘇れ!永遠を超える竜の星!『CNo.107 超銀河眼の時空竜』!!」
銀河の星々が無限大に煌めく中、ミザエルのフィールドには金色に輝く巨大な三つ首の竜が召喚された。
オーバーハンドレッド・ナンバーズをカオス化させた新たなナンバーズ……『オーバーハンドレッド・カオス・ナンバーズ』。
これこそがカオス・エクシーズを超えるバリアン世界の真の切り札である。
「超銀河眼の時空龍だと!?」
超銀河眼の光子龍と対のような存在である超銀河眼の時空龍の召喚に驚く中、事態が急変する。
共鳴状態で常に強いエネルギーを発している銀河眼が二体揃う中、銀河眼の時空竜の進化体の超銀河眼の時空龍が召喚されたことで更にエネルギーが強くなり、バリアンズ・スフィア・フィールドに限界が訪れてしまった。
互いの銀河眼が爆発してフィールドから消滅し、ミザエルも変身が解かれて撤退を余儀なくされた。
「このデュエル、貴様に預けておくぞ!我が名はミザエル!いつか二体の銀河眼を支配する者だ!」
ミザエルはその場から消えるとバリアンズ・スフィア・フィールドが崩壊し、カイトとミザエルのデュエルが中断されてしまった。
バリアンズ・スフィア・フィールドの崩壊に伴い、カイトは飛行形態となったオービタル7に掴まったが、体を全く動かすことができない遊馬は地面に落ちてそのまま転がってしまう。
そして、転がった先には先程の銀河眼の共鳴で地面が割れて大きな崖となっており、とっさに凌牙が助けようとしたが二人一緒に落ちてしまった。
崖から落ちた二人にみんなが騒めき、女性陣の何人かは悲鳴を上げたが……実は二人共無事だった。
遊馬と凌牙は特に大きな怪我もなくハートランドシティ病院に運ばれて入院することになった。
怪我は擦り傷や切り傷に打撲などでたったの一週間程度の入院で済んだ。
「おかしいですね、普通あれだけ高い崖から落ちれば最低でも骨折の二、三本。酷ければ頭などを打って重症は免れないはずですが……」
「もうあの世界の住人の肉体がおかし過ぎてツッコむ気力も無いよ……」
これまで数え切れないほどの人の治療をしてきたナイチンゲールは病室にいる遊馬と凌牙の怪我の具合を見て、何故崖から落ちて大きな怪我をしていないのかと疑問に思って首を大きく傾げ、ロマニはもはやツッコミを入れる気力も無くテーブルに撃沈していた。
マシュ達も流石に遊馬と凌牙の異世界人の肉体の丈夫さに苦笑いを浮かべていた。
アストラルはミザエルとのデュエルでダメージを受けて皇の鍵の内部で休息を取りながら銀河眼の光子竜と銀河眼の時空竜の謎の関係を考えていた。
また、ミザエルがバリアンとしての真の姿を現したことでバリアン世界側も本気を出して攻めてきたことを悟った。
そして、遊馬が迷いと恐れと苦しみを抱いているのが伝わってきた。
遊馬がアストラルを守ろうと必死に戦っている気持ちはアストラルにとっては嬉しいことだが、それだけではダメなのだとアストラルは気付いていた。
遊馬と凌牙はハートランド病院の同じ病室で入院し、遊馬はカイトとの初めてのデュエルで銀河眼の光子竜に大敗した時以上のショックを受けていた。
遊馬は多くのデュエリストとデュエルを重ねて強くなった、デッキも大幅に強化された。
しかし、それでもミザエルの銀河眼の時空竜という圧倒的過ぎる力の前になすすべもなくやられてしまった。
流石の遊馬も心に深いダメージを負ってしまい、いつもの元気がなく、ため息ばかり吐いていてそんな姿に凌牙も苛立っていた。
遊馬が検査を受けて病室に戻ると凌牙の姿がなく、ベッドに置いた皇の鍵が無くなっており、代わりに手紙が置いてあった。
手紙には凌牙が皇の鍵を預かり、返して欲しければデュエルをしろと言う内容が書かれており、遊馬は急いで私服に着替えて病院の屋上に向かった。
屋上で凌牙が待ち構えており、空は曇天に覆われていた。
遊馬が困惑する中、皇の鍵を取り戻す為に遊馬と凌牙の五度目となるデュエルが始まった。
何度もデュエルを重ねている二人だが、今日の遊馬はいつもと違っていた。
果敢にモンスターで攻めるデュエルを好む遊馬が守りに徹しており、そんな遊馬に凌牙は更に苛立って暴言を吐きまくりながらデュエルをする。
すると凌牙は遊馬に皇の鍵を投げ渡して普通に返し、それと同時に雨が降り出した。
その雨はまるで今の遊馬の心を表しているようだった。
凌牙は得意のマジックコンボを使って次々とモンスターを召喚し、そこからブラック・レイ・ランサーにエアロ・シャークの二体のモンスターエクシーズを連続でエクシーズ召喚していく。
遊馬は守りを固めるが、そんな遊馬に凌牙は苛立ちながら叱咤する。
「舐めてんのか遊馬!今のお前は臆病な負け犬だ!戦う勇気の無い奴に掴める勝利はねえ!」
凌牙は遊馬がバリアンのカオス・エクシーズとミザエルの銀河眼の時空竜という強大な力に心が弱り切っていることに気付いた。
かつて遊馬が凌牙に叱咤して立ち上がらせてくれたように、今度は凌牙がデュエルをしながら遊馬の心を奮い立たせて、立ち上がらせようとしていた。
「遊馬、これから私達の前にはこれまで以上の強敵が立ち塞がるだろう。遊馬、気付いてくれ。この先、私と君に必要なものは何なのか」
アストラルは遊馬がこれからの戦いに必要なものが何なのか、その答えを見つけるのを静かに待っていた。
そして、凌牙は一気に勝負を決める為に新たなモンスターエクシーズ、巨大な鮫の形をした移動要塞『シャーク・フォートレス』をエクシーズ召喚した。
シャーク・フォートレスの効果でブラック・レイ・ランサーにエアロ・シャークのそれぞれに2回攻撃が付与され、遊馬にトドメを刺そうとした。
「これで、これで終わりなのか……?このまま何にも出来ずに負けちまうのか……?あの時みたいに大切なものも守れずに終わっちまうのか……?」
遊馬はミザエルとのデュエルの光景が脳裏に甦り、全てを失ってしまうのかという迷いと恐れと苦しみが一気に心に襲いかかる。
その場に崩れ落ちながら遊馬はその思いを否定した。
「嫌だ、俺はもっと先に進みたい。そしてアイツと……アストラルと一緒にデュエルしたい!俺は、俺は……俺はもっと、アストラルと一緒に戦っていきてぇんだよ!!」
遊馬の見つけた答え……その言葉に皇の鍵が輝く。
「遊馬、その言葉を待っていた」
「ア、アストラル……」
遊馬の答えにアストラルが皇の鍵から姿を現した。
「私が君を助けるのでも、君が私を守るのでもない。私と君は、共に戦っていくのだ」
どちらかが助けるのでも、守るのでもない。
遊馬とアストラルは一心同体、共に心を重ねて力を一つにして戦うことで無限大の力を発揮する。
それは強大な力を持つバリアンをも打ち砕く希望の光となる。
「遊馬、立て!」
「ああ、何度でも立ち上がってやるさ!共に戦う仲間と未来を切り開く為にな!」
「遊馬……」
「フッ……」
遊馬は答えを見つけたことでアストラルは安心し、凌牙も笑みを浮かべた。
そして、遊馬の答えで心の迷いが晴れたと同時に雨が止み、空から太陽の光が降り注がれていく。
「光纏いて現れろ!闇を切り裂く眩き王者!『H-C エクスカリバー』!!」
遊馬がエクシーズ召喚したのはゴーシュから託された王の聖剣の名を持つ戦士、エクスカリバーだった。
エクスカリバーに戦士族専用の装備魔法『最強の盾』を装備され、守備力分の攻撃力が上昇し、そこからエクスカリバーの効果で攻撃力が二倍となった。
「行け、遊馬!」
「かっとビングだ、俺!エクスカリバーでシャーク・フォートレスを攻撃!」
これまで様々のデュエルで攻撃力が上昇した希望皇ホープに負けない攻撃力となったエクスカリバーは剣を回転させ、刃に雷撃を纏わせる。
「必殺のヘキレキ!」
放たれたエクスカリバーの攻撃でシャーク・フォートレスは破壊され、凌牙のライフポイントが一気にゼロとなった。
凌牙は敗れたが満足そうな笑みを浮かべて倒れ、遊馬の勝利となった。
「シャーク、遊馬が立ち直ったのは君のお陰だ。君には私から礼を言おう、ありがとう」
「何言ってんだ、お前に礼を言われる筋合いはねえ」
「いいや、このデュエル、最初からそのつもりで……」
「馬鹿野郎、そんなんじゃなえ。うん?」
「シャ、シャーク……お前って奴は……!」
「何勝手に感動してんだよ、そういうところがウゼェんだよ!」
遊馬は凌牙の想いに感動して涙を浮かべるが基本的に素直になれない凌牙はツンツンしながら突っぱねるのだった。
凌牙の性格を人はツンデレと言う。
「観察結果、その22。人間は時折、自分の気持ちを素直に表さない時がある。それはともかく、仲間とは良いものだ」
アストラルが晴天の空を見上げると近くの建物の屋上にカイトとオービタル7が立っていて遊馬と凌牙を見守っていた。
カイトは入院している遊馬と凌牙の見舞いに来たが、二人のデュエルを陰から見守っていたのだ。
バリアン世界の猛攻はこれからも続く。
ミザエルやまだ見ぬバリアン世界の刺客達との壮絶なる戦いはこれから待ち構えている。
アストラルは遊馬と凌牙とカイト……仲間達と一緒なら乗り越えていけると確信した。
しかし、その裏で遊馬とアストラルの絆を引き裂く、卑劣なる魔の手が既にすぐそこまで忍び寄っている事を知る由もなかった……。
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