家庭の事情と仕事の忙しさでなかなか投稿できずに申し訳ありません。
今後も気長に待ってくれれば幸いです。
今回から遺跡のナンバーズの話になります。
サルガッソでのバリアンとの死闘から数日後……あれから以前のようなバリアンの刺客などの襲撃も無く、遊馬達は束の間の平穏な日々を過ごしていた。
ハートランド学園でいつもの日々を過ごしていた時……突如、遊馬と凌牙と璃緒に寒気が走るような不気味な気配を感じた。
感じたことのない大きな気配に放課後、遊馬は小鳥と凌牙と璃緒の四人で屋上に集まった。
バリアンの気配を感じることが出来る璃緒に頼んで先程の大きな気配を探知できるか探ってみた。
「何か感じるか?」
「いいえ、さっきは強いものを感じたのに今は何も」
「いもシャのアンテナもダメかぁ」
「その名前で呼ぶな!」
「は、はいっ!?」
璃緒をイモシャと呼ぶ遊馬とのいつもの対応をしていると、突然空から突風が吹くとそこに現れたのは皇の鍵の飛行船だった。
飛行船が遊馬達を船内に入れるとそこにはアストラルがいた。
突然飛行船に連れてこられて遊馬達は驚いていると、アストラルは立体映像で地球の地図を映し出して説明した。
地図には七つの赤い点が記されており、そこには七つの遺跡があり、そこにナンバーズがあるというものだった。
そして、地図と共に一人の男性の立体映像が現れた。
「遊馬、アストラル」
「と、父ちゃん!?」
それは行方不明でVの話では現在はアストラル世界にいると思われている遊馬の父親・九十九一馬だった。
一馬は遊馬とアストラルにメッセージを残していた。
それは事態が最悪に向かっており、一刻も早く遺跡にある七枚のナンバーズを回収しなければならない。
そのナンバーズは特別なナンバーズでバリアンの手に渡れば強大な力が蘇る……一馬は遊馬とアストラルに頼んだぞとそう言い残して映像がそこで終了してしまった。
一馬はナンバーズとアストラルの事を知っていた。
つまり、この飛行船は一馬がDr.フェイカーによってアストラル世界に流れ着いた後に作ったことになる。
「いやー、もう遊馬君のお父さん……九十九一馬さんはどれだけ有能なのかな?ただの考古学者だけじゃなくて異次元や異世界の知識もあるし、あの飛行船すら作るなんて……この万能の天才のダ・ヴィンチちゃんですら嫉妬しちゃうよ」
遊馬とアストラルの為に色々と準備をしていた一馬の優秀さと天才的な頭脳にダ・ヴィンチちゃんも珍しく嫉妬した。
一馬が遊馬が困難な時にいつでも導いてくれた、遊馬は愛する父である一馬を信じて進むと決めた。
凌牙もバリアンに七枚のナンバーズを渡すわけにはいかないと共に行くと決め、璃緒は凌牙のお目付役としてついて行くと決めた。
そして、小鳥もいつものように一緒に行くと決め、早速遊馬達は遺跡のナンバーズを探しに出発するのだった。
「七つの遺跡……そこに眠るナンバーズ……良いねえ、燃える展開じゃないかい!」
「空飛ぶ船を使って世界を股にかける大冒険……良いですわね!」
「マスター達は中々の冒険を繰り広げているね」
「恐らくは既にバリアンも動いているはず……これは色々な意味でワクワクするでござるな!」
海賊のドレイクとアンとメアリーと黒髭は皇の鍵の飛行船を使った世界を股にかけた七つのナンバーズを巡る大冒険に心を躍らせる。
異次元トンネルを使って最初に向かう遺跡までの最短ルートを通っていくが、異次元空間がまるで嵐のように荒れていた。
遊馬はアストラル世界がどんな場所なのかとアストラルに尋ねた。
アストラル世界はランクアップした魂だけが行き着ける場所。
全ての生き物の魂は常に理想を目指しており、誰にでもランクアップの可能性はある。
しかし、どうやってランクアップ出来るのかはアストラルにも分からない。
すると、突然何かの赤い光が飛んできて飛行船と激突してしまった。
一瞬人影のようにも見えたその光が飛行船に激突すると、大きな衝撃で異次元トンネルから人間界に出てしまった。
更には遊馬達は甲板に出ていたのでそのまま目的地に投げ飛ばされてしまい、みんなバラバラになって逸れてしまった。
飛行船は先程の激突でダメージを受けてしばらく使えなくなってしまい、自動修復機能を使って修理しながら遊馬は急いで逸れた仲間達と合流する為に探す。
森の中を移動していると遊馬とアストラルは眼鏡をかけた少年が熊に襲われている光景を見てすぐに助けに向かった。
熊は恐らくは見えていないがアストラルの気配に気付いてその場から立ち去って難を逃れた。
遊馬が一安心するとそこに凌牙が合流すると謎の少年を睨みつけながら警戒した。
「私はナッシュ。ただの旅行者だ……」
ナッシュと名乗る少年にアストラルと凌牙は怪しいと睨む。
それもそのはず、最初に訪れた遺跡があるこの地は南アメリカのジャングルにあり、周囲には街や村などは無くとても旅行者が来るようなところでは無い。
凌牙は先程の飛行船と激突した謎のエネルギー体とベクターが遊馬を騙した経験からナッシュがバリアンではないかと疑い、遊馬に迂闊に人を信じるなと警告する。
すると突然、小鳥の悲鳴がジャングルに響き渡り、遊馬達は急いで悲鳴が聞こえた方角へと走った。
ジャングルを抜けたその先には石造りの大きな遺跡があり、その遺跡こそ遊馬達の最初の目的地であるナンバーズが眠る七つの遺跡の一つなのだ。
「あれはペガサスの紋章?」
メドゥーサは遺跡の入り口にあった彫刻にペガサスの紋章が刻まれていたことにいち早く気付いた。
遺跡の中に入ると小鳥と璃緒が大量の蛇に襲われそうになっており、遊馬と凌牙は蹴りで蛇を追い払う。
蛇を追い払って一安心すると璃緒は飛行船の外でもアストラルが見えるようになっており、璃緒は自分もランクアップしたと喜んでいた。
遊馬と凌牙は遺跡の奥に進むとそこにはそれぞれ赤と青に塗られた壁の前に向かったその時、床に仕込まれていたスイッチを同時に踏んでしまった。
遺跡が大きく揺れて天井から次々と壁が降りてきて閉じ込められ、その際に壁に挟まれそうになった凌牙をナッシュが飛びついてなんとか助けた。
遊馬達が分断されると赤と青の壁が扉となって奥に続く道が現れ、それぞれの先に進むしかなくなった。
遊馬達が進んだ先には開けた場所となっており、そこには大きなペガサスの石像と光り輝くカードがあった。
あれこそが探し求めていた遺跡のナンバーズ。
すると、ナンバーズから強い光が放たれると遊馬達の前に一人の男が現れた。
「私はこの遺跡のナンバーズを守るガーディアン。マッハ」
それは翼のような形をした肩鎧と甲冑に身を包んだ騎士だった。
それはナンバーズに秘められた精霊のような存在で、遺跡のナンバーズを手に入れる為にそのガーディアンであるマッハとのデュエルをしなければならない。
「ここは高貴な魂の眠る場所。その試練を乗り越えられねば、その代償、彼らの魂を貰う」
「彼ら?」
マッハが光の球体を作り出すとそこには凌牙とナッシュの姿が映し出されていた。
そして、遺跡の罠で壁が押し迫って二人を押しつぶそうとしていた。
「汚ねえぞ、てめえ!二人を離せ!」
「それはお前達次第。このデュエル、お前達が何を見つけるか……」
「私達が見つける……?二人を救う方法がこのデュエルに隠されていると言うのか……!?」
アストラルはマッハの言葉から二人を救う方法がデュエルの中にあると推測する。
遊馬はシャークとナッシュを救うために全力でデュエルをする。
遊馬はモンスターを召喚して次々と攻撃すると、凌牙とナッシュが罠を回避するための扉が開いていく。
しかし、マッハは永続罠カード『不公平条約』と永続魔法『決断の迷宮』で遊馬のライフポイントと手札を削るコンボをして追い詰める。
アストラルはこのデュエルにおける試練の意味を理解した。
モンスターでマッハに攻撃することで壁が迫る凌牙とナッシュに進むべき扉が開かれる。
しかし、攻撃することでマッハのコンボカードが発動して自分たちがダメージを受ける。
つまり、デュエルと罠が連動しているのだ。
だが、普通に戦っては遊馬とアストラルが敗北する可能性はとても高い。
遊馬は希望皇ホープをエクシーズ召喚すると、マッハもモンスターをフィールドに揃えて遂に遺跡のナンバーズを呼び出す。
「現れろ!No.44!悠久の大儀よ、今こそ古の眠りから目覚め、天空をかける翼となれ!『白天馬 スカイ・ペガサス』!」
現れたのはペガサスの姿をしたナンバーズで、一度共闘したメドゥーサは自然と興奮し、ステンノとエウリュアレは興味深く見つめる。
「おお、スカイ・ペガサス。あなたは遺跡のナンバーズだったのですね……」
「中々良いペガサスじゃない。あれは私達が飼っても良いわね」
「そうね、勇ましい姿をしているから気に入ったわ」
スカイ・ペガサスの効果はこれまでマッハの使った魔法・罠カードのように相手の選択を狙う効果で遊馬のライフポイントがどんどん削られていく。
そんな中、光の球体で向こうにいる凌牙とナッシュと話が出来るようになり、小鳥と璃緒が状況を説明する。
アストラルはマッハの言葉から部屋に何かデュエルのヒントになるものがないか尋ねた。
凌牙が周りを見渡すと部屋の一面に大きな壁画が描かれていた。
アストラルはこのデュエルと称したこの試練は一種の謎解きゲームで、凌牙が見つけた壁画に謎を解くヒントがあると推測する。
「これには……古の英雄についての伝説が綴られている」
「お前、そいつが読めるのか!?」
壁画の文字は古代文字なので凌牙に読めるわけがないが、ナッシュには何故か読めることが出来た。
それは遠い昔、とある国に仕える勇敢な騎士達がいた。
その一人は愛馬ペガサスに乗る英雄だった。
英雄率いる騎士達の活躍でその国の平和は守られた。
ある時、国を後にした英雄は自分の生まれ故郷に帰っていった。
だが、英雄がいなくなると残された騎士達が王を倒して国を乗っ取ろうとした。
騎士達は英雄が去った今、己の力に自惚れて自分たちが王に相応しいと言った。
壁画はそこまでしか描かれていなかった。
遊馬は希望皇ホープでスカイ・ペガサスを攻撃するが、マッハの罠カードで攻撃を防がれて再び『不公平条約』と『決断の迷宮』のライフポイントと手札を削るコンボで遊馬が追い詰められてしまう。
しかし、凌牙とナッシュは次の部屋に進むことができ、そこには壁画の続きがあった。
騎士達の謀反を知った英雄は城に駆けつけ、英雄は彼らに訴えかけた。
いかなる時でも心に掲げていた正義と共に戦った仲間との絆を思い出してほしいと。
しかし、かつての仲間は英雄に刃を向けたのだった。
英雄は仲間を斬ることができず、彼は無抵抗のまま仲間の剣に傷つき、倒れた。
その時、愛馬ペガサスが主人を守ろうと騎士達の前に立ちはだかった。
ペガサスが自分を犠牲にして英雄を守ろうとした。
しかし、その後の壁画は風化で崩れて読むことが出来なくなっていた。
マッハはスカイ・ペガサスの効果を使用して希望皇ホープを破壊するかライフポイントを支払うか再び選ばせた。
「遊馬、これ以上ライフを削られたらこのデュエル勝てねえ!俺たちのことは気にするな、ホープを破壊しろ!」
凌牙はデュエルを優先して希望皇ホープを破壊しろと言うが、遊馬はどうすればいいか悩んだその時。
「仲間を守れ!ホープを守るんだ、遊馬!」
ナッシュは確信を持ったように遊馬に指示した。
「私は、この伝説の続きを知っている!」
ナッシュはなんと、壁画に描かれていた伝説の結末を知っていたのだ。
英雄にはペガサスを見捨てることはできなかった。
彼はその場に留まり、ペガサスと共に息を引き取った。
「分からないのか!?この伝説は仲間を守り、人を信じる気持ちを語っている!遊馬、ホープを守り、私を信じろ!」
「貴様、何故そんなことを……やはり、お前は!?」
凌牙がナッシュの正体に気付いたその時、床が崩れて凌牙が落ちそうになり、ナッシュは凌牙の手を掴んだ。
「そうだ、凌牙。私は……私は……!」
ナッシュの右手首に巻かれたブレスレットの中央の赤い宝石のヒビが直り、ナッシュの体から赤い閃光が放たれ……その姿を変えた。
「私は、バリアンだ!」
現れたのはバリアン世界の使者の一人、ドルベだった。
ナッシュがドルベ……バリアンの一人という事実に遊馬の脳裏にベクターに騙された時のトラウマが蘇る。
「俺は……俺は……!」
「遊馬、君が何を信じるのか……君に託そう」
アストラルは遊馬に何を信じるのか……その選択を託した。
「くっ……」
「さあ、この試練……乗り越えてみろ!スカイ・ペガサスよ、ホープを破壊しろ!」
「俺はライフを払って、ホープの破壊を無効にする!!」
遊馬が選択したのは希望皇ホープを守ること。
だが、これで遊馬のライフポイントにダメージが入り、残りのライフポイントが200となってしまう。
その時、アストラルはある事に気づいた。
一方、ドルベは凌牙を引き上げて助けた。
「遊馬!てめえ、何故こいつのいう事を!?」
「シャーク……俺にはやっぱり、疑えないんだ。疑いたくねぇんだ!誰も!」
遊馬は例え裏切られ、騙された時の辛い過去があったとしても、敵である可能性があっても疑いたくない。
しかし、その思いがこのデュエルの勝利へと導く。
「遊馬、彼のコンボは崩れた!攻撃だ!」
アストラルの指示で希望皇ホープでスカイ・ペガサスを攻撃し、再びマッハのコンボが発動するかと思われたが……カード効果が発動しなかった。
その理由はマッハのカードは元々自分でライフポイントを支払う事で発動するが、不公平条約で遊馬がライフポイントを支払う事になった。
しかし、遊馬が希望皇ホープを守った事でスカイ・ペガサスの効果でダメージを受けて今のライフポイントが200になったことでカード効果を発動する為の『コスト』が払えなくなってしまった。
デュエルモンスターズでは発動する為のコストが無い時にそのカード効果を発動出来ないルールがある。
つまり、遊馬がコストを払えなくなった今、そのコストはマッハが支払わなければならなくなり、これでマッハのコンボが完全に崩れた事となった。
「君の選択は正しかった!行け、遊馬!」
遊馬の仲間を守るという選択が勝利への活路を切り開いたのだ。
「おう!そうと分かりゃあ、俺はさっき墓地に送ったカウンター罠『超速攻』を発動!このカードを手札から墓地に送った時、デッキからカードを1枚ドローして、それが魔法カードだった時、速攻魔法として扱う!」
遊馬が引いたカード……それはサルガッソにてZEXAL IIの力で覚醒させた『RUM - ヌメロン・フォース』。
ヌメロン・フォースを速攻魔法として発動させ、希望皇ホープをランクアップさせる。
「現れろ、CNo.39!希望に輝く魂よ、森羅万象を網羅し、未来を導く力となれ!希望皇ホープレイ・ヴィクトリー!」
希望皇ホープを希望皇ホープレイ・ヴィクトリーに進化させる。
ヌメロン・フォースの効果でマッハのフィールドのカード効果を無効にしてからのモンスターとの戦闘ではほぼ無敵とも言える希望皇ホープレイ・ヴィクトリーの攻撃によりスカイ・ペガサスを切り裂き、マッハとのデュエルに勝利した。
マッハに勝利した事により、凌牙とドルベの罠が全て解除されて出口への道が開かれた。
「お前達は試練を乗り切った……」
「マッハ、その英雄に仕えていたペガサスとは君の事か?」
アストラルはマッハの正体を察していた。
マッハはただのナンバーズの精霊ではない。
この遺跡の伝説に描かれたペガサスが精霊となった存在だったのだ。
「そう、伝説には続きがある」
騎士達は命懸けの英雄とペガサスに心を打たれ、己を恥じ、謀反の気持ちが消えた。
彼らは英雄とペガサスを手厚く葬り、その墓の前に深々と首を垂れた。
そして、英雄はペガサスの魂と共に天に召されていった。
「これが伝説の全てだ。遊馬、アストラル、お前達の人を信じる力に賭けてみよう……」
マッハは穏やかな笑みを浮かべながら精霊の姿からスカイ・ペガサスのカードとなって遊馬の手に収まった。
「貴様、何故俺たちを助けた?」
「分からない……あえて言うのなら、この遺跡の伝説に心を動かされたからだ」
「ドルベ!ありがとうな、お前がこの伝説の続きを教えてくれなかったら……」
「いいや、お前が選んだ事だ。それにお前はそんなものを聞かずとも、人を信じたさ。だが、こんな戯言はこれっきりだ。今度会った時、その時は決着をつける」
ドルベはバリアンであり、敵であるが遊馬達にデュエルを挑まずに回復した力を使って異世界の扉を開いてそのまま消えてしまった。
「ドルベ……ん?」
遊馬は王冠を被ったライオンが描かれたコインを拾った。
それは覇者のコインと呼ばれるもので一馬のものだった。
一馬は冒険した場所の証としてそのコインを置いていく癖があるらしい。
遊馬達は凌牙と合流して遺跡の外に出る。
「アストラル、シャーク。俺、ずっと考えてたんだ。バリアンの奴らは俺が人を信じることを利用してくる。でも、俺には結局人を疑うことなんて出来ねえ。人を信じるしか出来ねえんだ」
「それが君の結論なら今は何も言うまい。例え、それでこれから私と違う道を行くことになっても……」
アストラルは遊馬の結論を受け入れながらもその先にある未来に一抹の不安を抱いていた。
「ナッシュ……いいえ、ドルベが遺跡の古代文字を読むことができ、白馬伝説の全てを知っていた。異世界人であるはずの彼が……これはバリアン世界の住人に何か大きな秘密がありそうですね」
メドゥーサはドルベが遺跡の伝説を知っていた事からバリアン世界の住人がただの異世界人ではないと睨んだ。
マッハとのデュエルが終わり、遊馬達は皇の鍵の飛行船に乗り、次の遺跡に向かった。
遊馬は飛行船の操舵輪を手に取り、堂々と宣言した。
「行くぜ!かっとび遊馬号!」
「遊馬号?」
「いつそんな名前がついた?」
「まぁ、いいじゃん!アハハハッ!」
「ネーミングセンス、ゼロですわね」
「うふふ……」
こうして皇の鍵の飛行船は『かっとび遊馬号』と言う名前に命名されるのだった。
飛行船は一馬が作ったもので、所有権は遊馬とアストラルで半々のようなものなので船名はそれになるのだった。
次の遺跡の場所は自然豊かな孤島にある古城だが、璃緒はここはとても危険な場所だと感じた。
遺跡に入るが既に空気がとても嫌な感じを出しており、璃緒の霊感が遺跡にある古代の人の嘆きや苦しみを感じていた。
そして、両眼を緑色に輝かせながらこの遺跡の伝説を語り始めた。
かつてこの王宮に住まい、島を収めた王子がいた。
幼き頃より人臣を信じず、全ての人間に疑惑の目を向け、これを裁く。
全ての人々の命を奪いし後、王子一人残りて、自ら命を経つ。
それはとても恐ろしい呪われし伝説だった。
遊馬達は遺跡の奥に進むとマッハの遺跡と同じような罠が大量があった。
しかし、遊馬は恐らくは一馬が付けたと思われる星印に触れると罠を回避する部屋が開いた。
一馬はこの遺跡を攻略した際に一番避けやすい罠の通路に目印を付けていたと遊馬は推測する。
一馬の事を褒められて遊馬が何故か照れて肘が壁にあった不思議な模様の石にぶつかった瞬間、突然遊馬達の足元に落とし穴の罠が発動してしまい、遊馬達は下へと滑り落ちていく。
辿り着いたところはなんと牢屋でそこで思わぬ人物と再会する。
「よう、久しぶりじゃねえか。遊馬君よぉ!」
それは玉座と思われる椅子に座っているベクターだった。
「お、お前、ベクター!」
「おやおや寂しいな。もう真月とは呼んでくれないのかい、遊馬君」
ベクターは明らかに遊馬を挑発したが、遊馬はサルガッソの時のような憎しみは既になく、バリアンとして敵として睨みつけていた。
ベクターは一足先にこの遺跡に入って既にこの遺跡のナンバーズを手に入れたと告げた。
ベクターはナンバーズをかけてデュエルを申し込んだが、あの真月が正々堂々と遊馬とデュエルをするはずがなかった。
玉座の側にある鎖を引っ張ると遊馬の牢屋の絡繰が発動し、牢屋から目の前にある柱の上に叩き出されてしまった。
回収した遺跡のナンバーズからこの遺跡……悲鳴の迷宮について色々知る事が出来、それで遊馬を柱の上に追い詰めた。
これでは遊馬がデュエルは出来ないが、ベクターが指名したのはアストラルだった。
遊馬を人質に取られたのと同じ状況なのでアストラルはそれを承知したが、デュエルの相手はベクターではない。
「フフフフフ……!久しぶりだな、アストラル!ここでなら、俺たちでも存分にデュエルが出来る」
現れたのは先日アストラルから解放されて行方不明となっていたNo.96だった。
No.96はベクターと協力してこの遺跡のナンバーズを手に入れたのだった。
No.96はアストラルの体を手に入れるためにデュエルを挑み、アストラルは遊馬達を助けてNo.96との因縁に決着をつけるためにそれに応える。
アストラルはデュエルディスクを左手首に出現させ、デッキは遊馬のカードを拝借してセットした。
アストラルとNo.96とのデュエルが始まり、早速No.96はレベル2の闇属性悪魔族モンスターのマリスボラスモンスターを連続で召喚して『No.96 ブラック・ミスト』をエクシーズ召喚する。
恐らくはアストラルから解放された後に手に入れたカードで分身であるブラック・ミストをエースにしたデッキ構築していた。
対するアストラルはブラック・ミストの効果を熟知しているので、希望皇ホープと装備カードのコンボ攻撃でNo.96にダメージを与えていく。
アストラルの見事な戦術で先制攻撃を与えたが、その瞬間に遊馬に危機が襲いかかる。
突然、巨大な振り子ギロチンが現れて遊馬に襲いかかった。
「ああ、言い忘れていたが、No.96のライフポイントが減少する度にこの悲鳴の迷宮の仕掛けが一つ作動する」「な、何だと!? うわぁ!!」「フハハハハハッ!!」
つまり、アストラルではなくNo.96がピンチになればなるほど、悲鳴の迷宮の罠をベクターが発動させて遊馬をピンチに追い詰めていく。
これではアストラルは攻撃する事が出来ず、サルガッソの時以上の更なる外道なやり方にマシュ達は再び怒りを募らせていく。
「……エリザベートよ、確か未来のお主は拷問器具を持っていたな?それを借りても良いか?」
「そうね……本当は嫌だけど、私もちょっと借りようかと思うわ」
ネロとエリザベートは怒りの炎を燃え上がらせてカーミラに宝具でもある拷問器具のアイアンメイデンを借りてベクターに使わせようかと本気で思い始めるのだった。
No.96は一足早く手に入れたこの悲鳴の迷宮の遺跡のナンバーズを召喚した。
「現れろ、No.65!呪われし裁きの執行者!『裁断魔人 ジャッジ・バスター』!」
現れたのは両手の代わりに鋭い刃を持ち、罪なき人をも裁く恐ろしい魔人だった。
ジャッジ・バスターはモンスター効果と発動を無効にする効果を持っており、希望皇ホープの効果を無効にされてしまい、ブラック・ミストに破壊されてアストラルは大きなダメージを受ける。
アストラルは今はまだNo.96のフィールドや遊馬の事もあり、下手に攻撃する事せずに守りに徹して反撃のチャンスを待つ。
最後まで諦めないアストラルに対してNo.96は人間の仲間意識の弱さや脆さなどを批判し、アストラルは遊馬の人間の弱さに染まってしまったと指摘した。
そして、No.96は今まで謎だったアストラルがカオスナンバーズを吸収できない理由を説明した。
それはアストラルにNo.96の力が無いからである。
つまり、No.96がいなければナンバーズを全て揃えることは不可能で、No.96はアストラルにはヌメロン・コードを手に入れる資格はないと告げた。
No.96はバリアンと手を組んだことで得られた新たな力を使う。
それはベクターから与えられた力……『RUM バリアンズ・フォース』のカードだった。
No.96はバリアンズ・フォースでジャッジ・バスターをランクアップさせる。
「現れろ!CNo.65!数多の怨念を纏いし裁きの魔王……『裁断魔王 ジャッジ・デビル』!」
魔人から魔王へと進化したジャッジ・デビルは相手モンスターの効果を無効になり、発動する事が出来なくさせた。
再びの怒涛の攻撃によりアストラルは追い詰められたが、罠カード『エクシーズ・リボーン』で希望皇ホープを復活させて何とか耐える事が出来た。
しかし、今のままではアストラルが逆転することは出来ず、No.96は自身の勝利を確信していた。
「俺のせいだ……アストラルは俺を守る為に……お前が本来のデュエルを出来さえすれば……もしデュエルに負けてアストラルが消えちまったら……俺は……俺は……」
遊馬はアストラルが追い詰められてしまったことに責任を感じて自分を責めた。
「顔を上げろ。目の前の出来事から目を逸らすな。全てと向かい合い、今自分に何が出来るか考えろ」
「俺に……俺に何が出来るってんだよ!?教えてくれよ、アスト──」
「甘ったれるな!」
アストラルは珍しく声を張り上げて遊馬を叱咤した。
その言葉に遊馬の焦っていた感情が一気に冷えて冷静となる。
「アストラル……俺に出来ること、俺が今すべきこと……」
「遊馬、気付いてくれ……君なら必ず……」
遊馬はアストラルの為にも早くなんとかしなければと必死に考える。
「そうだ、そうだよ。ここから脱出する。何がなんでも……それしかねえじゃん。はっ!?あれは……向こうの柱に飛び移ることが出来れば……でも、どうやって……」
遊馬は十数メートル先にある同じような形の柱を見つけ、そこに飛び移れば助かると考えたが、自分の身体能力を考えてもそれは難しかった。
すると、遊馬の前を勢い良く通り過ぎる振り子ギロチン……それを見てハッと気づいた。
しかし、もし失敗すれば遊馬の命はない……弱気になったその時、足元に一馬の覇者のコインを見つけた。
遊馬は覇者のコインから一馬の勇気を貰い、アストラルがギリギリの戦いをしている中で自分が一歩前を踏み出さなければと言う強い気持ちを取り戻した。
「かっとビングだ、俺!」
遊馬は勇気を出して振り子ギロチンに飛び乗った。
そして、遊馬の狙い通りに反対側の柱に飛び移った。
「「「嘘ぉ!??」」」
「「「えぇえええええーっ!??」」」
悲鳴の迷宮の処刑道具の罠すら攻略した遊馬の身体能力にマシュ達も驚きを隠せない。
「チッ!逃げられると思うなよ!」
ベクターは別の罠を作動させて天井から巨大な鉄球を落とすが、遊馬はそれすらも華麗に回避してアストラルのいるフィールドまで到達した。
「マスター!筋肉自慢が出るアスレチックの番組に出ることをお勧めする!君なら絶対に優勝出来るぞ!?」
エミヤは興奮して筋肉自慢が集ってアスレチックを攻略して競い合う番組で遊馬なら絶対に優勝出来ると豪語した。
「素晴らしい!マスターのかっとビングとその筋肉で卑劣な策略を打破しましたぞ!!」
レオニダスは遊馬の恐怖に打ち勝つ勇気ある行動と鍛えた筋肉によって凶悪な罠を突破したことに感動した。
「いっけー、アストラル!奴を思いっきりぶちのめせ!!」
「遊馬……」
遊馬が無事にベクターとNo.96の罠の危機をから回避し、アストラルは安心した笑みを浮かべた。
「遊馬、てめぇ……!!」
再び遊馬によって卑劣な罠を突破されてベクターは悔しそうな表情を浮かべ、これには「ざまあみろ」と思う者も何人かいた。
「くっ。だが、俺の絶対的有利は変わらん!」
「それはどうかな?」
「何!?」
「既に勝利の方程式は出来ている!」
アストラルは希望皇ホープを希望皇ホープレイに進化させ、更にはセットしていた『スペリオール・オーバーレイ』でジャッジ・デビルを破壊し、ブラック・ミストの最後のオーバーレイ・ユニットを使わせた。
これでブラック・ミストの効果は使えなくなった。
一気に形勢逆転となり、スペリオール・オーバーレイはアストラルが最初にセットしていたカード……この逆転の一手にNo.96に焦りの表情が出てくる。
「馬鹿な!貴様はこの状況全てを想定していたというのか!?」
「その通りだ」
アストラルは遊馬が人質に取られていた時点からあらゆる状況を全てを想定し、遊馬が無事に罠を突破出来ると信じてこの瞬間まで耐えていたのだ。
No.96はアストラルの遊馬を人質に取られたことで攻撃できないと言う策に溺れたのだ。
アストラルは希望皇ホープレイの効果を使って攻撃力を上昇させ、ブラック・ミストの攻撃力を減少させる。
これで攻撃してブラック・ミストを破壊すればアストラルの勝利となる。
しかし、No.96は最後の悪足掻きに出た。
「俺は貴様の思い通りにはならん!罠発動!『カオス・リターン』!このカードは相手の攻撃時、その攻撃を無効にする!」
「何!?」
「更に手札を一枚捨て、墓地の魔法カードを発動させる!俺は墓地のランクアップマジック、バリアンズ・フォースを発動!」
希望皇ホープレイの攻撃が無効となり、墓地のバリアンズ・フォースのカードが再び発動し、No.96がランクアップの対象にしたのは……己が分身であるブラック・ミストだった。
「現れろ、CNo.96!混沌なる嵐を巻き起こし、今ここに舞い降りよ!『ブラック・ストーム』!!」
ブラック・ミストをランクアップさせて現れたのは不気味な漆黒の獣だった。
しかし、変化したのはブラック・ミストだけではなかった。
「ふははははっ!!うぉおおおおおおおぉ!!!」
No.96の額にバリアンの紋章が浮かび、カオスの力が溢れ出して肉体が一回りも二回りも大きくなって全身の筋肉がムキムキとなり、背中にはベクターのバリアンの姿の時のものに似た翼が生えていた。
ブラック・ミストをカオス化させたことでバリアンズ・フォースに宿る膨大なカオスのエネルギーが本体であるNo.96の体に流れ込んでその力を何倍にも増幅させたのだった。
もはや元となった黒いアストラルの姿とは別人レベルに変わり果ててしまった。
「これで貴様は、俺を吸収することは出来ん!!」
No.96はアストラルに吸収させないための最後の賭けとしてバリアンズ・フォースのカオスの力を取り込んでパワーアップをしたのだ。
「あいつ……自らカオス化しやがった!?」
これにはベクターも予想外だったらしく、No.96の行動にはとても驚いていた。
ちなみに、このNo.96の異変に1人だけ激怒している者がいた。
「……ふざけるな!なんなのだ、あの偽りの筋肉は!?あんな筋肉、私は断じて認めないぞ!」
カオス化で何故かムキムキの筋肉を手に入れたNo.96にレオニダスは激怒していた。
脳筋であり、筋肉を愛しているレオニダスには絶対に許せない光景だった。
「カオス……やはりあの力はマスター達は正しく使えるが、それ以外の者にとっては邪なる力か……」
一方、闇の力とも言えるカオスを正しく使えている遊馬やアストラルとは異なり、使用者の見た目すらも大きく変えてしまう強大な力にアルジュナは恐ろしさを感じてしまう。
カオス・リターンの最後の効果で希望皇ホープレイとブラック・ストームが再び戦闘を行う。
ブラック・ストームの効果はバトルで破壊された時、発生するダメージは互いのプレイヤーが受けることになる。
希望皇ホープレイのホープ剣がブラック・ストームを切り裂いた瞬間に大きな爆発がアストラルとNo.96に襲いかかり、二人のライフポイントが同時にゼロとなった。
相打ちの結果となり、往生際の悪いベクターは最後の罠を発動させた。
それはこの遺跡を崩壊させるものでこのままでは遊馬達を下敷きになってしまう。
ベクターとNo.96は異世界の扉を開いてその場から消え、崩壊する遺跡から遊馬達は脱出する方法が無かった。
フィールドが崩壊し、遊馬が奈落の底に落ちそうになったその時、ハートランドから急いで来たカイトと飛行形態のオービタル7が助けた。
カイトとオービタル7はこの地の空間の変化を探知して駆けつけたのだ。
「カイト!?なんでお前が!?」
「説明は後だ!」
小鳥達は牢屋の壁が崩れた事で元来た道に戻ることができ、遊馬はカイトとオービタル7のお陰で全員無事に遺跡を脱出する事が出来た。
カイトとオービタル7にも遺跡のナンバーズの説明をし、今後はナンバーズ回収のために共に行動する事となった。
7枚の遺跡のナンバーズの内、スカイ・ペガサスは遊馬とアストラル、ジャッジ・バスターはNo.96に奪われてしまった。
残りは5枚……遊馬達はかっとび遊馬号で次の遺跡に向けて出発する。
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色々書いてみた結果、記憶編の1話1話の長さを短めにして投稿しやすくしようと思います。
次の話は半分近く既に書けているので頑張ります。