Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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今回は遊馬とアストラルの戦いの過去をみんなに話します。
何故遊馬達が世界の命運をかけた戦いを繰り広げたのか……。

それからお知らせで皆さんにお願いがあります。
ZEXALのヒロイン、観月小鳥ちゃんを作品に登場させようかなと密かに考え、この度アンケートをとって決めようと思います。
活動報告に投票をお願いします。
登場期間は第二特異点の始まる直前か、終了後を予定しており、その点を踏まえてよろしくお願いします。
アンケートの期限は2017年6月10日までです、よろしくお願いします。
それからZEXALを見返したらやっぱり遊馬の応援&精神安定剤として小鳥ちゃんの存在は欠かせないと思いました。
もし仮にカルデアに来たら聖杯戦争ならぬ修羅場確定の正妻戦争勃発ですね(笑)


ナンバーズ16 宇宙創造のカード

第一特異点を解決し、早速遊馬の思いに応えてサーヴァントが召喚され、出てきたのはジャンヌだった。

 

「また会えましたね、遊馬君。アストラルさん、マシュ。そして……私の妹さん♪」

 

ジャンヌのフェイトナンバーズは旗を広げている姿が描かれている。

 

真名は『FNo.62 竜皇の聖女 ジャンヌ・ダルク』。

 

驚くことにジャンヌ・オルタと同じナンバーズの番号で何故銀河眼の光子竜皇に選ばれたのかどうか不明だった。

 

「はぁい♪マスター、ごきげんよう」

 

次に召喚されたのはマリー・アントワネットだった。

 

マリーのフェイトナンバーズは水晶の馬に跨り、背後には豪華な宮殿が描かれており、真名は『FNo.21 白百合の王妃 マリー・アントワネット』。

 

「ほぅ、ここがカルデアか。なかなか面白そうな場所だな」

 

マリーの次はアマデウスでフェイトナンバーズは指揮棒を持って無数の楽譜と音符が描かれており、真名は『FNo.40 魔曲の奏者 アマデウス』。

 

「旦那様、清姫が参りましたわ♪」

 

アマデウスの次は清姫でフェイトナンバーズは扇子を持って舞うような姿に炎を纏う白い蛇を纏っており、真名は『FNo.57 清廉炎蛇 清姫』。

 

「またこいつと一緒に召喚されちゃったわね……マスターの運どんだけよ」

 

清姫の次はエリザベートでフェイトナンバーズはマイクを手にアイドルのライブ会場で楽しそうに歌っている姿で、真名は『FNo.91 雷竜魔嬢 エリザベート』。

 

「マスター、あなたとまた共に戦えることを光栄に思う」

 

エリザベートの次はジークフリートでフェイトナンバーズは剣を構えた騎士の姿で背後にはファヴニールの影が浮かんでおり、真名は『FNo.92 魔竜剣士 ジークフリート』。

 

「マスター、マシュと共にあなたを守る盾となりましょう」

 

ジークフリートの次はゲオルギウスでフェイトナンバーズは白馬に跨る騎士の姿が描かれており、真名は『FNo.74 守護聖人 ゲオルギウス』。

 

「約束……守ってくれてありがとう、ユウマ」

 

ゲオルギウスの次はマルタでタラスクと一緒に召喚され、フェイトナンバーズはタラスクと共にファイティングポーズを決めている姿で、真名は『FNo.79 聖拳竜破 マルタ』。

 

「ユウマ……ジャンヌと共に私を召喚してくれるとは……感謝します」

 

マルタの次はジルでフェイトナンバーズは魔本を手に無数の海魔を従えており、真名は『FNo.70 聖なる怪物 ジル・ド・レェ』。

 

「全く……まさか昔の私と一緒に召喚されるなんてね……」

 

ジルの次はカーミラでフェイトナンバーズはエリザベートとは真逆の不気味な城をバックに血を纏ってアイアンメイデンを持っており、真名は『FNo.31 鮮血魔嬢 カーミラ』。

 

「ほぅ、まさかこれほど小さな少年がたくさんのサーヴァントを呼び出すとは驚きだ」

 

カーミラの次はウラド三世でフェイトナンバーズは無数の蝙蝠血の杭を持ち、真名は『FNo.24 竜血王鬼 ウラド三世』。

 

「……敵だった僕が召喚されるなんて複雑な気分だよ」

 

ウラド三世の次はシャルルでフェイトナンバーズはギロチンをバッグに処刑者としての姿が描かれ、真名は『FNo.65 断罪処刑者 シャルル』。

 

「今一度、マリー王妃にお仕え出来る事に感謝します」

 

シャルルの次はデオンでフェイトナンバーズは剣を構えたデオンがフランス王権を象徴する無数の白百合に囲まれており、真名は『FNo.10 白百合の騎士 シュヴァリエ・デオン』。

 

味方陣営からはジャンヌ、マリー、アマデウス、清姫、エリザベート、ジークフリート、ゲオルギウスの七人。

 

敵陣営からはジル、マルタ、カーミラ、ウラド三世、シャルル、デオンの六人。

 

計十三人の英霊がサーヴァントとしてカルデアに召喚されたが、召喚に応じなかったのはランスロット、ファントム、そしてバーサーク・アーチャーの三人である。

 

ファントムは協力する意思は低そうだが、ランスロットとバーサーク・アーチャーに関しては遊馬はその内に会える気がすると直感した。

 

遊馬とアストラルは契約したサーヴァントを連れて食堂へ向かった。

 

テーブルには既にエミヤ達が作った古今東西の色々な料理が並び、とても美味しそうだった。

 

カルデアの所長はオルガマリーだが、マスターとして遊馬が代表して乾杯の音頭を取る。

 

「みんな!ついさっきまでフランスで敵同士だったけど、そんなことは関係ない!ここに集まったからには俺と一緒に人類の未来を守るために戦ってくれ!」

 

遊馬の人類の未来を守るという願いによって召喚されているので、基本的に共に戦うことに協力してくれる。

 

しかし、英霊といっても元は人間でそれぞれの性格は異なるし、相性もある。

 

そこでマスターとして遊馬からの注意点を話す。

 

「みんなにはマスターとして言わせてもらうけど、ここにいる英霊のみんなが生きていた時代や国が違うし、性格や価値観の違いはもちろんあるから、喧嘩するのは構わない。だけどな、殺し合いは絶対にダメだ!俺たちは仲間だから、そんな事をしたらフェイトナンバーズのカードの中に封印して謹慎させるからな」

 

フェイトナンバーズはサーヴァント達を有無を言わせずにカードの中に閉じ込めることができるという契約したサーヴァント達からしたら恐ろしい能力である。

 

更に追い詰めるかのようにアストラルが補足説明する。

 

「封印して皇の鍵の中に閉じ込めれば出ることは不可能だ。もし戦うならトレーニングルームで模擬戦でも行ってストレスを発散すればいい」

 

「俺はさ、せっかくこうして時空を超えて出会えたんだから、みんなとちゃんと絆を結んで仲良くなりたいんだ!だからみんな、これからよろしくな!!」

 

遊馬は満面の笑みを浮かべ、サーヴァントたちも思わず笑みがこぼれた。

 

幾ら英霊と同じような歴戦の戦いを繰り広げた者だとしても遊馬はまだ幼い少年。

 

その幼いマスターの意志を尊重し、サーヴァント達は出来るだけ争わないようにし、せいぜい喧嘩程度に収める心に決めるのだった。

 

「とまあ、色々言ったけど、とにかく今は騒ごうぜ!かんぱーい!」

 

「「「乾杯!」」」

 

遊馬たちはグラスを掲げて乾杯し、祝勝会兼歓迎会が始まった。

 

エミヤが作った色々な料理はとても絶品で遊馬たちは舌鼓を打ち、新たに召喚されたサーヴァントたちはすぐに気に入った。

 

それぞれが話をする中、モキュモキュと料理を沢山食べているのは遊馬とアルトリア、そして……ジャンヌだった。

 

「あぁ……美味しいです、こんな美味しい料理は生まれて初めてです〜」

 

ジャンヌはアルトリアに負けず劣らずの大食いで三人は次々とエミヤの料理を攻略していく。

 

アストラルは目を閉じ、羨ましいと思いながら料理を見ないようにして遊馬の背中に寄りかかる。

 

すると、酒を飲んでいい気分になっていたクー・フーリンが遊馬に話しかける。

 

「よぉ、マスター!楽しくやってるか?」

 

「おう!こんなに楽しいパーティーは久々だぜ!」

 

「そいつは良かったな。ところでよ、マスター。なんか願いはないのか?」

 

「願い?」

 

「特異点で聖杯を手に入れたんだからよ、何か願いとかねえのかよ?もしかしたら叶えられるかもしれねぇぞ?」

 

聖杯は願望器としての力があるが遊馬は真顔で即答した。

 

「そんなもんねぇよ」

 

「答え早いな!?にしても無いのかよ、ガキにしちゃ珍しいじゃねえか」

 

「願いは自分で叶えるもんだと思うからな。それに、俺の願いは叶っちゃったからな」

 

「叶った?へぇー、マスターの願いってなんだったんだ?」

 

「俺の願いはデュエルチャンピオンになる事だったんだ!」

 

「デュエルチャンピオン?何だそれ?」

 

「……チャンピオンってどういう事よ?」

 

そこにジャンヌ・オルタがグラスを持って遊馬の隣に座る。

 

「チャンピオンって事は何かの大会で優勝したの?街とかの?」

 

流石にそこまで大きな大会で優勝出来ないだろうと思っていたが遊馬はニッと笑みを浮かべる。

 

「いいや、世界クラスだぜ!」

 

「……はぁ!?せ、世界クラス!?」

 

ジャンヌ・オルタの驚きの声に周囲にいたみんなの視線が集中する。

 

「せ、世界クラスってどういう事よ!?」

 

「WDC、ワールドデュエルカーニバル!ハートランドに世界中から強豪デュエリストたちが集まって競うんだ!一般からプロまで関係無しにデュエルで優勝を目指すんだ!」

 

「さ、参加人数は……?」

 

「参加人数?詳しくは覚えてないけど、デュエリストなら誰でも手軽に参加できるらしいから、数千人……いや、数万人はいたんじゃないか?」

 

「す、数万人……?え?え?まさか遊馬はその大会で……?」

 

「おう!アストラルと一緒だけど優勝したぜ!!」

 

「凄いじゃない……」

 

ジャンヌ・オルタの呟きはマシュ達も同様の思いだった。

 

デュエルがどんなものか詳しくは知らないが、世界中のデュエリストが一同に集まる世界大会で優勝したことは名誉なことである。

 

「まあ、色々大会の裏で陰謀や野望があったからかなり大変だったけどな……」

 

元々WDCは主催者達が世界中に散らばったナンバーズを集めるために開催したものだった為、様々な陰謀や野望が渦巻いていた。

 

遊馬とアストラルが優勝し、数ある問題を無事に全てを解決したので大団円で迎えることが出来た。

 

「ま、そんな訳だから俺の願いは無いな。強いて言うなら、『何も失わず』にみんなと一緒に残り全ての特異点を解決して、人理消失を企てた黒幕をぶっ飛ばして未来を救う……それだけだ」

 

未来を救う事は今の遊馬を含めるカルデアの目標でもあるが、『何も失わず』……それが遊馬の強い願いだとマシュや数人のサーヴァントはすぐに気づいた。

 

戦いで何も失わずに勝利を得ることはほぼ不可能なことかもしれない。

 

しかし、ホープをはじめとする数多のナンバーズにオルレアンで見せた遊馬とアストラルの奇跡の力、ZEXAL。

 

それを見せられては本当に何も失わずに勝ち抜けられるのではないかとマシュ達は淡い期待を抱いた。

 

その後、遊馬達は遅くまで騒いでサーヴァントにも与えられた自室でそれぞれ眠りについた。

 

その夜……サーヴァント達は一斉に夢を見た。

 

サーヴァントは夢を見ることはないが、契約しているマスターの記憶を夢で見ることがある。

 

そして、マスターである遊馬の記憶の断片がサーヴァント達の脳裏に映し出される。

 

遊馬は何処にでもいる元気な男の子だった。

 

しかし、遊馬の両親は謎の失踪により行方不明となっていた。

 

それでも遊馬は大好きな父と母から受けた勇気と愛を胸に毎日を全力で過ごしていた。

 

そんなある日、遊馬の前に謎の扉が現れ、皇の鍵で扉を開けると異世界からアストラルが出現した。

 

世界に散った強大な力を秘めたアストラルの記憶の欠片……ナンバーズと己の命を賭けた戦いへと巻き込まれていく。

 

その戦いの中で遊馬とアストラルは様々な人たちと出会い、戦っていく。

 

それぞれの思いを受け止め、遊馬はその絆を繋ぐために守り、救う事を誓った。

 

そして、遊馬とアストラルは二人の力を重ね、ZEXALとなって数々の強敵を倒して戦って来た者達を守り、救うことが出来た。

 

しかし遊馬とアストラルは新たな戦いに巻き込まれる事となった。

 

それは強大な力を持つモンスターを従える異世界の襲来者。

 

遂に現れたアストラルの真の敵である七人の皇。

 

七人の皇を影で操る強大な闇……それはすべての世界を滅ぼそうとする邪悪な神。

 

そして、暗闇の中に青く輝く一枚のカードのような形をし、複雑なパズルのように分解と構築を繰り返して静かに浮いていた。

 

そこでサーヴァント達の夢は途切れた。

 

その瞬間、サーヴァント達は一斉に目を覚まして直感した。

 

夢の最後に現れたパズルのようなカード……あれは『聖杯と同等かそれ以上に危険なモノ』……だと。

 

サーヴァントそれぞれが持つ宝具や目にしたことのある様々な神秘の道具とは比べものにならないほどの力を秘めたカード。

 

あれは何だ?

 

サーヴァント達はそう疑問に思うのだった。

 

遊馬とアストラルは何を求めるために戦っていたのか……それを聞くために遊馬が目を覚ますのを待った。

 

翌朝、遊馬はマシュに起こされてから食堂でエミヤのご飯を美味しそうに食べ、満足しているとマシュから話を持ちかける。

 

「あの……遊馬君、一つお聞きしたい事があります」

 

「何だ?」

 

「宙に浮かぶパズルみたいな青いカード……ご存知ですか?」

 

それを聞いた瞬間、遊馬とアストラルの表情が固まり、目を見開きながら尋ねる。

 

「……どうしてそれを?」

 

「あ、その……ごめんなさい。実はマスターとサーヴァントは夢で記憶を共有する事があるんです」

 

「記憶の共有?もしかしてそれで俺の記憶を?」

 

「はい……ごめんなさい。恐らくは他の皆さんも……」

 

遊馬とアストラルは周りを見渡すと気まずそうな顔をするサーヴァントが何人かいた。

 

「そっか……もしかしたらいつかバレるんじゃないかなと思ってたんだよな。アストラル、良いよな?」

 

「そうだな。マシュ、会議室にサーヴァント全員とオルガマリー所長たちを集めてくれ。話す事がある」

 

「は、はい!すぐに召集します!」

 

マシュは急いでカルデアにいる全サーヴァントとオルガマリーとロマニを連れて来て会議室に集めた。

 

「さて……まずは私たちの世界について説明しよう」

 

アストラルは手の中から白く輝くカードを取り出すと、会議室の風景が一変し宇宙空間が広がった。

 

アストラルによる記憶やイメージを映し出す幻だがとても高度なものでサーヴァント達は感心した。

 

「私たちの世界は三つの世界で構成されていた。一つ目は遊馬たちが住む人間界と呼ばれる地球……」

 

それはこの世界と同じ青い星とも呼ばれる地球でそれは異世界でも変わらない美しさだった。

 

次に地球よりも更に青い世界で空に無数の星々が輝き、細長い塔のような建物が連なる幻想的な世界だった。

 

「これは、遊馬君がアルトリアさんと戦った時の希望郷……?」

 

マシュは特異点『F』の大聖杯でアルトリアと戦った時に遊馬が発動した『希望郷 − オノマトピア –』を思い出した。

 

「二つ目は私の故郷……アストラル世界。実体の存在しない、エネルギー世界でランクアップした魂だけが行き着ける場所だ」

 

「ランクアップした魂?」

 

「ランクアップした魂は例えるなら歴史で名を残した者たちや誇り高き者たち……つまり、ここにいる英霊のような存在だ。アストラル世界はこの世界の英霊の座に似たようなものだと思ってくれれば良い」

 

アストラルの説明にサーヴァント達は目を見開きながら驚愕した。

 

まさかこれほどまでに幻想的で美しい世界がランクアップした魂の行き着く先だとは思いもよらず、もしも自分達が異世界で生きていたら死後にアストラル世界に流れ着いたかもしれないと思いながら、その光景を目に焼き付けていく。

 

そして、アストラル世界の次は青い世界とは正反対の夕焼けや血を連想させるような赤い世界が広がる。

 

アストラル世界とは違った美しさを感じるがそれとは別に不気味さを感じる世界だった。

 

「バリアン世界……アストラル世界と同じ実体のないエネルギー世界だが、ここにはかつて一人の神がいた……」

 

バリアン世界から現れたのは灰色の体に金髪の長髪、青と赤のオッドアイ、胸には赤い宝石を中心に六つの宝石が埋め込まれた紋章……一見するとアストラルに似てなくもない姿をしているがそのオーラは人でも精霊でもない邪悪な存在だった。

 

サーヴァント達はそれぞれ異なる道を過ごしていたが、あれほどまでに強大過ぎる邪悪な存在を見た事がなく、本能的に戦闘態勢を取って宝具を構えてしまった。

 

「その名は『ドン・サウザンド』。バリアン世界の創造神で全ての世界を滅亡させようとしていた」

 

アストラルが映し出した幻であるが、それすらも忘れるほどの威圧感だった。

 

「……何故私たちがドン・サウザンドと戦うことになったのか……それはあるモノを手に入れるための争奪戦だ」

 

「あるモノ……?」

 

そして、それはサーヴァントたちが夢で見たパズルのような青く輝くカード……遊馬とアストラルは謎のカードの名前を静かに語った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ヌメロン・コード」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聞きなれない不思議な名前のカード……しかし、それはあまりにも強大な力を持つカードだった。

 

「それは世界の全てを記したカード。このカードの中には世界がどうやって出来たのか、そして何処へ向かうのかその過去と未来が全て記されている」

 

「過去と未来……!?」

 

「そして、このカードは3つの世界の過去・現在・未来のあらゆる運命を全てを書き換え決める力がある……それが神のカード、ヌメロン・コード」

 

「俺たちはヌメロン・コードを手に入れて世界を滅亡させようとするドン・サウザンドと戦ったんだ」

 

遊馬とアストラルがドン・サウザンドから世界を守るために何を求めて戦ったのか……ヌメロン・コードの持つ力の恐ろしさにマシュ達は血の気が引いた。

 

すると自身が願望器である聖杯から生まれた存在であるジャンヌ・オルタがヌメロン・コードについて異議を申し立てた。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!そのヌメロン・コードがとんでもないものだと分かったけど、一体誰が作ったのよ!?そんな過去と未来を自由自在に決めるとんでもアイテムなんてありえないわよ!」

 

聖杯とは元々キリストがワインを振る舞った杯から始まり、それを後世の魔術師達が作ったものだが、ヌメロン・コードが誰が作ったのか想像できない。

 

「ヌメロン・コードは世界が誕生した時に同時に生まれたんだ」

 

「世界が誕生したと同時に……!?」

 

「みんなは世界がどうして誕生したか知っているか?」

 

遊馬にそう言われ、サーヴァント達は固まってしまう。

 

この世界はどうやって誕生したのか……様々な説が言われているが、その真実は分からない。

 

しかし、遊馬達の世界では世界誕生の真実が明らかとなっている。

 

「世界は神が創造した、ビックバンや隕石の衝突で誕生したなど色々な説があるが、私たちの世界では違う……世界は一匹のドラゴンが創造した」

 

「…………はぁ!!??」

 

ジャンヌ・オルタは数秒間思考が停止した後に驚愕の声を上げた。

 

マシュ達も本日数度目となる目を見開きながら驚愕した。

 

「世界を作ったというドラゴンは、元々一匹だけでどこかの時空に存在した」

 

アストラルは金色のカードを取り出すと、そこから一匹のドラゴンが現れた。

 

それは金色に輝く体に両眼が美しい青色を持つ巨大なドラゴンだった。

 

「ドラゴンは自身以外の他のものが存在しない孤独から全ての力を使い、世界を創造した」

 

それはビックバンのような計り知れない膨大な爆発で宇宙とそれを彩る数多の銀河と星々が誕生した。

 

「しかし、それによってドラゴンは力を使い果たし、命を終えようとしていた……」

 

「ドラゴンは、自らが創造した世界を見守れないことを憂えて、最後の力を振り絞って一粒の涙を流した……」

 

ドラゴンが瞼を閉じると青い瞳から一粒の涙が零れ落ちた。

 

「ドラゴンの思いと真実を宿したその涙は長い間、果てしない宇宙を彷徨った末に、遥か昔の地球へと衝突した」

 

「その衝撃によって地球は青の星となり、同時に月が生まれた」

 

まだ地球が一つの生命も生きてない灼熱の星にドラゴンの涙が衝突し、全ての生命を生み出した根源とも言える海が誕生し、それと同時に地球に大きな影響を与える月が誕生した。

 

「そして、この時にヌメロン・コードは地球の何処かへと封印され……その鍵は月へ置いた」

 

「将来ヌメロン・コードが悪用されることを見越し、ドラゴンはナンバーズに自らを秘めた……」

 

「ナンバーズに!?じゃあ……!」

 

既に竜の魔女と言うよりもドラゴン大好き少女へと変貌したジャンヌ・オルタにアストラルは苦笑を浮かべながら金色に輝くカードの光を消した。

 

それが世界を創造したドラゴンがナンバーズに転生した姿でヌメロン・コードの鍵……『No.100 ヌメロン・ドラゴン』。

 

ジャンヌ・オルタはつい手を伸ばしてヌメロン・ドラゴンを手に取ろうとしたが、その前にアストラルが自分の中に仕舞ってしまったので軽くいじけてしまった。

 

慌ててジャンヌとジルがジャンヌ・オルタを慰める中、オルガマリーは体を震わせながらアストラルに尋ねた。

 

「ね、ねぇ……アストラル。こんな事、頼むべきじゃないと分かっているけど、そのヌメロン・コードを使えば……」

 

ヌメロン・コードを使えばこの世界の人理焼失を食い止めることができる。

 

この場にいる誰もが考えたことだが、アストラルは首を左右に振る。

 

「残念だがオルガマリー、ヌメロン・コードを使うのは得策ではない」

 

「ど、どうしてよ!?」

 

「理由は三つある。一つ、ヌメロン・コードは二度と悪用されないようにアストラル世界で厳重に封印されているため使用することは許されない。二つ、ヌメロン・コードの力がこの世界に通用するかどうか分からない。三つ、仮にヌメロン・コードが通用するとしても、使用した際に人理焼却の黒幕に奪われるリスクがある。もしも黒幕にヌメロン・コードを奪われたら……」

 

その先をアストラルが言わなくても直ぐに理解できた。

 

人理焼却の黒幕がヌメロン・コードを手に入れたら人理焼却どころの話じゃない。

 

もはや誰にも手を出せないほどの強大な力を持つ最悪な存在になることは間違いなく、世界滅亡は免れないだろう。

 

オルガマリーの気持ちも理解できるがあまりにもリスクが大き過ぎる。

 

「ごめんなさい……軽はずみな発言をして。忘れてちょうだい……」

 

「いや、君の気持ちは理解できる。だが、周りを見るんだ」

 

「周り……?」

 

オルガマリーが周りを見渡すとそこには遊馬が絆を結んで召喚されたサーヴァント達の姿が目に映る。

 

「このカルデアには未来を救うためにこれだけの英霊が召喚に応じてくれた」

 

「心配するな、所長!俺たちで黒幕たちをぶっ飛ばして未来を救うからさ!!」

 

アストラルと遊馬の励ましにオルガマリーは私もまだまだね……と思いながら苦笑を浮かべる。

 

「そうね。こんなにも頼もしいマスターとサーヴァントがいるのだから心配はいらないわね。さて、話が終わったところで仕事に戻るわよ!ロマニ、次のレイシフトの為にやることをちゃっちゃとやるわよ!!」

 

「え?でも僕はもう少し二人の話を……」

 

「そんな事は後にしなさい!行くわよ!」

 

「あ〜れ〜!!?」

 

やる気満々なオルガマリーはロマニの首根っこを掴んで会議室を飛び出して行き、次のレイシフトの為の仕事に入った。

 

「じゃあ私も次のレイシフトで役に立つ発明をしようか。その為に……遊馬君!約束通り、飛行船を見せてくれ!」

 

ダ・ヴィンチはノートとペンを取り出し、目を輝かせながら遊馬に詰め寄る。

 

「え?かっとび遊馬号を?あー、そう言えば約束していたな。とりあえずカルデアの上に出現させればいいか?」

 

「もちろんだとも!さあ早く!異世界の未知なる技術を私に見せてくれ!!」

 

「分かった。じゃあ、今回の話はここでお開きにするぜ」

 

「何か私たちに質問があったら時間が空いている時に来てくれ」

 

遊馬たちの世界にドン・サウザンド、そしてヌメロン・コード……あまりにも凄まじいとんでも世界にサーヴァント達はこれ以上聞くと頭がパンクしかけるので、一旦解散して遊馬とアストラルの話を整理していく。

 

その夜……皆が寝静まった頃、ジャンヌ・オルタは自室から出て廊下の窓に寄りかかっていた。

 

窓から見える景色は暗闇に染まった雪景色でカルデアが雪山の上に建てられたことを思い出させる。

 

「ふぅ……」

 

ジャンヌ・オルタは大きくため息をついていると一つの小さな影が近づく。

 

「あれ?ジャンヌ、何やってんだ?」

 

「遊馬……?」

 

それは真夜中に夜更かしをして起きていた遊馬だった。

 

遊馬は相向かいに座り、遊馬とジャンヌ・オルタの真夜中の対話が始まる。

 

 

 

.




次回は遊馬とジャンヌ・オルタちゃんのお話です。
ジャンヌ・オルタちゃんが本格的に遊馬に攻略されちゃうかもしれません(笑)

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