Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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今回かなり短めです。
最近また仕事が忙しくなってきたので大変です。


ナンバーズ180 交差する奇跡の物語

遊戯の口から語られた大いなる闇……『大邪神ゾーク・ネクロファデス』。

 

聞いたことのない邪神の名前に遊馬はすぐにアストラルに尋ねる。

 

「アストラル、ゾークって邪神は何なんだ……!?」

 

「分からない……人間界の知識で、歴史的にもそのような邪神の名前は何処にも記されてない……」

 

アストラルの持つ人間界の知識でもゾークと言う名には心当たりがないし、アストラル世界でもその存在を確認していない。

 

「当然だ。ゾークは歴史の闇に隠れた存在だ。三千年前……俺が生きていた古代エジプトで、世界を闇に包もうとした冥界を統べる大邪神だ。一度はこの千年パズルに俺の記憶と魂と共に封じ込めて復活は阻止したが、記憶の世界で復活して世界を闇に包もうとした……」

 

「そんな事が……」

 

「そして、俺は三千年の時を超えて相棒と友との結束の力でゾークを倒すことができた。二度とゾークは復活しないはずだったが、異世界であるこの世界で復活すると知り、マハードとマナ達と共に冥界から世界を越えて来たんだ。ゾークを……倒すために!」

 

遊戯がこの世界に来た理由が判明し、遊馬とアストラルは背筋が凍った。

 

伝説のデュエリストがわざわざ世界を越えてまで倒そうとしている大邪神……どれほど強大な存在なのか想像も出来なかった。

 

「だが、ゾークの復活の前にこの世界で既に滅亡の危機に陥っていた。世界を守り、そこに住む人々を守る為にオレはオジマンディアスとニトクリスに協力することにした」

 

「カルデアの者たちよ。貴様らは遅すぎる!貴様らが訪れる前にこの時代の人理はとっくに崩壊したわ!」

 

遊戯の次にオジマンディアスはこの特異点の状況について説明し始める。

 

「この時代は本来であれば聖地を奪い合う戦いがあった。一方は守り、一方は攻める。二つの民族による、絶対に相容れぬ殺し合いだ。その果てに聖杯はどちらかの陣営に渡り、聖地は魔神柱の苗床になったであろうよ。お前達が、もう少し早くこの地に到達していれば、な」

 

「でもそうはならなかった。聖地奪還の戦いは起こらなかった……そういう事かな?」

 

「その通りだ。その証拠がこれだ」

 

ダ・ヴィンチの言葉にオジマンディアスは答え、彼の胸元から金色の光が放たれるとそこに現れたのは……。

 

「聖杯!?」

 

「特異点の聖杯か!?」

 

それは遊馬達が求めているこの第六特異点の聖杯だった。

 

オジマンディアスは人理崩壊の元凶である十字軍を滅ぼして聖杯を回収し、一足先に人理定礎を終えてしまっていた。

 

つまり、オジマンディアスは今まで戦ってきた聖杯の特異点のサーヴァントではなく、この特異点における新たな聖杯の持ち主であり、聖杯の守護者であるのだ。

 

ところが、同時期に召喚された獅子王と円卓の騎士達が聖都を乗っ取って選ばれた人間だけを聖都に入れて、それ以外を排除する聖抜の儀を行うようになった。

 

獅子王との相打ちを恐れ、オジマンディアスは互いに不可侵条約を結び、今に至るわけだ。

 

この特異点の状況を知った遊馬達はその悲惨な現状に唖然とする。

 

すると、遊馬は遊戯に駆け寄り、体を震わせながら尋ねた。

 

「遊戯さん……聞かせてください。あなただったら、獅子王と円卓の騎士を何とかできたんじゃないんですか……?」

 

「遊馬……」

 

「伝説のデュエリストのあなただったら、獅子王と円卓の騎士を倒す事だって可能なはずだ!ゾークを倒す為だけに来たのは分かってます。だけど、人の命を大切に思うあなたなら……!」

 

それは遊馬にとって遊戯に対する八つ当たりのようなものであることは百も承知だ。

 

本当ならば憧れる遊戯にこんな無礼なことを言いたくも無かったが、カルデアのマスターでもある遊馬はその事を聞かざるを得なかった。

 

それに対して遊戯は暗く、辛い表情を浮かべて遊馬の肩に手を置きながら静かに口を開く。

 

「遊馬、君の気持ちは分かる。オレも獅子王達の行いは絶対に許せない。すぐにでも、聖罰というふざけた事をやめさせるために戦いたかった。だけど、それは出来なかった……」

 

「出来なかった……?」

 

「オレはこの世界にサーヴァントとして召喚される際に通常のクラスではなく、エクストラクラス……『デュエリスト』として召喚された」

 

「エクストラクラス……デュエリスト!?」

 

七つの基本クラスとは異なるイレギュラーな存在として召喚されるエクストラクラス。

 

遊戯が聞いたことのない新たなエクストラクラスで召喚されるとは思いも寄らなかった。

 

「エクストラクラス『デュエリスト』。それは真の決闘者が選ばれる特別なクラス。だが、一つ大きな欠点がある。それは魔力消費がとても悪く、まともに力を振るう事ができない」

 

魔力消費が悪いと言うことはマスターがいない限りサーヴァント自らの魔力で補わなければならない。

 

高威力の宝具を使うサーヴァントやバーサーカークラスのサーヴァントなどそれに該当するが、遊戯の場合はそれとは比べものにならないのだ。

 

「オレが万全の力を発揮するためには、ただのマスターだけでも、聖杯の力でもダメだ。デュエリストの力を発揮させるマスターもデュエリストでなければダメなんだ」

 

「それじゃあ、遊戯さんは俺とアストラルを……?」

 

「そうだ。オレはずっと待っていた……二人を……遊馬とアストラルを……!」

 

遊戯がサーヴァントとして力を発揮する為にはデュエリストのマスターが必要不可欠だった。

 

獅子王と円卓の騎士の非道な行いを止める事が出来ないことを深く悔やみながら、遊馬とアストラルが来るまで自分を押し殺して必死に待ち続けていたのだ。

 

「遊馬!アストラル!ゾークを倒す為に二人の力を借りたい!その代わりにサーヴァントとして、二人にオレの全ての力を託す!!」

 

「遊戯さん……!」

 

遊戯の言葉に込められた人々と世界を守りたい強い想い。

 

遊馬もその想いに応える為に手を差し出す。

 

「遊戯さん、さっきはすいませんでした。俺からも世界を守る為に、遊戯さんの力を貸してください!」

 

「遊馬……ありがとう。行こう!共に!」

 

遊戯は遊馬の手を握り、握手を交わすとマスターとサーヴァントの契約が行われる。

 

遊戯が光の粒子となってフェイトナンバーズへと姿を変えた。

 

イラストにはファラオではなく、デュエルディスクを装着してカードを持つ武藤遊戯の姿として描かれていた。

 

真名は『FNo.XX 伝説の決闘者 遊戯王』と書かれていた。

 

フェイトナンバーズの数字がナンバーズでも存在しない前代未聞の『XX』と言うことに驚愕したが、遊戯がただのサーヴァントでは無いこともあるのですんなりと受け入れた。

 

無事に遊戯との契約が完了し、フェイトナンバーズから遊戯が出て来る。

 

「これがマスターと契約した感じか……魔力が満ちている。これならオレの全力で戦える」

 

「遊戯さん、改めて……よろしくお願いします!」

 

「ああ!遊馬!」

 

遊馬と遊戯は今度はハイタッチをし、アストラルは遊戯に敬意を示し、改めて挨拶をする。

 

「遊戯さん、あなたと共に戦えることを誇りに思う。短い間だが、よろしく頼む」

 

「アストラル、オレの方こそよろしく頼む!」

 

今度はアストラルと遊戯がハイタッチを交わす。

 

こうして遊戯は正式に遊馬のサーヴァントになった。

 

遊馬と契約したので遊戯はエジプト領からの脱退を宣告された。

 

「貴様の身勝手さは今に始まった事ではない。だが、二度とこの地に足を踏み入れられることはないと思え!」

 

「全くあなたはいつもいつも勝手なことばかり……本当にファラオとしての自覚がありません!謝っても簡単には許しませんからね!」

 

オジマンディアスとニトクリスは遊戯にそう強く言い放った。

 

しかし、遊戯の脱退を宣告したとは言え、遊馬達を客人として滞在を認めている。

 

遊馬達は獅子王や円卓の騎士、更には百貌のハサンや山の民の事もあるので、エジプトに長く滞在するつもりもない。

 

そこで、遊馬達の休息も兼ねてエジプトには1日だけ滞在することになり、それに伴い遊戯の脱退も1日延びた。

 

すぐにオジマンディアスの指示の元、宴の席が設けられて遊馬達は豪勢なエジプト料理を頂いた。

 

そして、宴が終わると一旦その場で解散となり、それぞれがエジプトで束の間の休息を取る。

 

その夜、遊馬とアストラルは遊戯からの誘いを受けて大部屋で互いのカードを並べながらデュエルについて語り合っていた。

 

互いの持つカードの事、特殊な召喚方法である融合・儀式・エクシーズ、戦略やデッキ構築などデュエリストとしての語り合いで話が盛り上がっていた。

 

「遊馬のデッキは面白いな。特にこの擬音が名前になった……オノマトモンスターか。とてもユニークでモンスター同士の結束の力を感じられる」

 

「オノマトモンスターのガガガマジシャンとかゴゴゴゴーレムとか、元々は父ちゃんから貰ったデッキなんです」

 

「遊馬の父が?」

 

「そうです。デュエルを覚えた頃から小さい頃からずっと使ってて。それと、俺のデュエルの師匠、六十郎の爺ちゃんがくれたデュエル庵秘蔵のデッキにも沢山のオノマトモンスターが入っていたんで、ずっと愛用してます」

 

「そうか……実はオレのデッキも、元々は爺さんから貰ったデッキなんだ」

 

「遊戯さんのお爺さん?」

 

「武藤双六。若い頃は凄腕のギャンブラーとして全世界のゲームに挑み、全てに打ち勝って来たと言う伝説のゲームマスターだったらしいな……」

 

「ああ。デュエルを教えてくれたのは爺さんで、デュエルの腕も中々だった。ゲーム屋を経営していて、カードコレクターの一面もあったから色々なカードを手に入れてデッキを組んでいたよ。お陰で色々なカードと触れ合うことが出来た」

 

遊戯は千年パズルに触れて外を見ながら懐かしそうに呟いた。

 

「……相棒と一晩中デッキを組んでいて、気が付いたら朝になることもよくあったな」

 

「遊戯さん……」

 

遊馬とアストラルは今の遊戯の気持ちを誰よりも理解していた。

 

ずっと一緒にいたいと思うほどの大切な相棒と離れ離れになり、二度と会えないその気持ちを。

 

「ああ、すまない。しんみりさせてしまったな。そうだ、二人に頼みがあるんだ」

 

「頼み?」

 

「ナンバーズのカードを見せてくれないか?希望皇ホープは39番だったな、他のナンバーズがどんなものなのかとても気になる」

 

「アストラル……」

 

「……分かった。遊戯さんになら見せても構わないだろう」

 

アストラルは手を翳すと100枚以上のナンバーズのカードが飛び出し、遊戯の周りに集まり、ナンバーズの数字の順番通りに並べられる。

 

これほどの大量のカテゴリのモンスターは遊戯の時代には存在しないので感心している。

 

「ナンバーズ……面白いカードだ。強力なモンスターもいれば、不思議な効果を持つモンスターもいる。こんな不思議なカードは初めて見た」

 

「喜んでもらえて良かったっす」

 

「そうだな」

 

「ナンバーズを見せてくれた礼をしなくてはな。喜んでもらえるかは分からないが、とっておきのカードを見せてやる」

 

遊戯は千年パズルを軽く触れて金色の光を手の中に収め、テーブルに翳すと3枚のカードが現れた。

 

そのカードが現れた瞬間、遊馬とアストラルは思わず立ち上がって身構えた。

 

思わず身構えるほどにそのカードから凄まじい力を放っていた。

 

「う、嘘だろ……!?」

 

「あの伝説のレアカードを目にする日が来ることになるとは……!」

 

そして何より……そのカードは遊馬とアストラルにとって想像を絶するレアカードなのだ。

 

「「三幻神!!!」」

 

伝説にして幻のレアカード……遊戯だけが持つ3枚の神のカード。

 

『オシリスの天空竜』

 

『オベリスクの巨神兵』

 

『ラーの翼神竜』

 

遊馬の時代では既に失われている伝説のカード……それが今目の前にあることに遊馬とアストラルは遊戯とデュエルした時と同じくらいの興奮や感動で体が震えていた。

 

遊戯が召喚されている時点で神のカードを持っている可能性は考えられたが、実際に目にするとその興奮や感動は桁違いだった。

 

「すげぇぜ、アストラル……三幻神だ。オシリス、オベリスク、ラー……伝説の神のカードだぜ……!」

 

「ああ……これほどの力を持つカードはドン・サウザンドやナッシュ達の切り札に匹敵する。これが、神のカードか……!」

 

「持って見てもいいぜ?」

 

まさかの遊戯からのご好意に遊馬とアストラルの頭は一瞬真っ白になるほどの衝撃だった。

 

神のカードを触れるなんてデュエリストにとって素晴らしいことだ。

 

「……ええっ!?」

 

「だ、だが、神のカードを遊馬が持っても大丈夫なのか!?」

 

「心配ない。神のカードには確かにデュエリストを選ぶが、二人なら問題ない。それに、前に爺さんに何度も見せてと、せがまれたからな」

 

「じゃ、じゃあ……失礼します……」

 

遊馬は恐る恐る三幻神に向かって手を伸ばした。

 

唾を飲み込み、ガクガクと手が震えながら三幻神のカードを手に取った。

 

三幻神から何らかの力の波動を指先に触れた瞬間から感じるかと思ったが、意外にも何も起こらずにただのカードとして遊馬の手に収まった。

 

しかし、改めて三幻神のカードを手に取って見ると言う夢のような出来事に遊馬は嬉しさで涙が出そうになる。

 

「最高に嬉しい瞬間だぜ、アストラル……!」

 

「同感だ……これが現実なのか疑いたくなるほどだよ」

 

「あ、そうだ!記念写真撮ろうぜ!」

 

遊馬はD・パッドを持ってカメラモードにして自撮りをする。

 

ダ・ヴィンチちゃんの改造で本来ならカメラなどに写らない霊体のアストラルも撮れるようになっており、遊馬とアストラルは肩を抱きながら一緒に三幻神のカードを持って自撮りをする。

 

数枚撮ってから写真を確認し、しっかりと撮れていることを確認する。

 

すると遊馬は図々しいと思いながら遊戯にお願いをする。

 

「あ、あの!最後に一つ、お願いがあります!遊戯さんと一緒に写真、良いですか!?」

 

「オレと?分かった、良いだろう」

 

遊戯はすぐに了承し、遊馬の隣に座った。

 

急いで遊馬はD・パッドのカメラ機能のタイマーをセットし、テーブルに立てかけてスイッチを入れる。

 

遊馬とアストラルは先程と同じように三幻神のカードを二人で持ち、互いに肩を抱く。

 

そして、遊戯は遊馬の肩に手を置き、ウィンクをしてピースをする。

 

「ハイ、チーズ!」

 

パシャ!

 

三人の記念写真を撮り、遊馬は写真を確認すると感無量と言った様子で目を閉じた。

 

「ああ……遊戯さん、ありがとうございます。この写真は家宝にします」

 

伝説のデュエリストとの一緒の写真が撮れて今の遊馬は本当に涙を流しかねないほどの喜びだった。

 

「ははっ、大袈裟だな」

 

「遊戯さん、本当にありがとうございます。あ、三幻神をお返しします!」

 

遊馬は三幻神を遊戯に返し、夢みたいなひと時に興奮が収まらないでいた。

 

すると遊戯はふと笑みを浮かべてデッキを手に取り、今の自分の気持ちを口にした。

 

「やっぱり、デュエルは楽しいよな……」

 

「遊戯さん?」

 

「新しいカードとの出会い、デッキの構築、そして……友とのデュエル。どれもオレの大切な記憶だ」

 

遊戯は遊馬とアストラルのデュエルに対する楽しい気持ちから友と一緒に過ごした記憶を思い出していた。

 

しかし、それと同時に悲しい事実を再確認する。

 

「だけど、デュエルは戦いの力でもある。辛い戦い、悲しい戦い、醜い戦い……オレはデュエルでそんな戦いを何度も経験した」

 

「……遊戯さん、俺も同じです。デュエルをすればみんな仲間、そう信じてデュエルをしています。だけど、デュエルで沢山の憎しみや悲しみを見てきました……」

 

「まるでカードの表と裏のように、デュエルには良き面と悪しき面がある……」

 

遊馬とアストラルもデュエルの事実を再確認する中、二人の信念を口にする。

 

「だけど、俺達は信じています。デュエルはみんなとの絆を繋げる大切なものだって……!」

 

「そして、デュエルには未来を切り開く力がある……!」

 

デュエルへの希望と未来を信じる遊馬とアストラルの想いに遊戯は安心したような笑みを浮かべた。

 

「強いな……二人共。これほどの強い心を持つ二人のデュエリストと一緒に戦えるなんて、とても心強いな」

 

「俺たちだって、遊戯さんが一緒に戦ってくれるんだ。百人力……いや、千人力だぜ!」

 

「遊戯さん……必ず勝つぞ、この戦いを……!」

 

「ああ……!」

 

遊馬とアストラル、そして遊戯の三人はマスターとサーヴァントの関係ではなく同じデュエリスト同士として強い絆を深めていく。

 

そして、夜が明け……遊馬とアストラルと遊戯の三人のデュエリストによる新たな伝説の戦いが始まる。

 

 

 




次回からハサン関係の話になります。
もうすぐ静謐ちゃんも出せますね。
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