Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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ハサンの話に入ろうと思いましたが、その前に一悶着起きます。


ナンバーズ181 師弟の抱く想い

第六特異点……広大な砂漠で人知れず、誰も知らないところで『闇』が蠢いていた。

 

『遂に動き出したか……名もなきファラオよ』

 

『闇』は遊戯が行動を開始し始めたことを察知し、『闇』自らも動き出す。

 

『闇』は自分の力の一部を使い、7枚のカードを創り出した。

 

『名もなきファラオの記憶に残る敵の幻影よ……大いなる闇の復活の礎となれ!』

 

そして、7枚のカードの内の4枚を何処かに飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1枚目は体全身に不気味な千の眼を持つ怪物。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2枚目は五つの異なる力の首を持つ竜。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3枚目は死と再生を象徴する巨大な蛇。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4枚目は獅子と人間の顔を持つ神に仕えし獣の長。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4枚の闇のカードは各地に眠り、目覚める時を待っていた。

 

動き出した『闇』……その力は第六特異点に新たな波乱を生み出すのだった。

 

 

遊馬とアストラルと遊戯がデュエルの話で盛り上がっている頃、マシュ達女性陣はニトクリスの勧めで王宮の大浴場で体を清めていた。

 

ちなみにアルトリアは辞退してかっとび遊馬号の船内で治療中のモードレッドとガレスの見舞いに行き、ダ・ヴィンチちゃんは一応中身は男性なので同じく辞退してオーニソプター・ホープ号のメンテナンスをしている。

 

カルデアよりも大きく、そして豪華な大浴場に子供組の小鳥と桜、イリヤと美遊とクロエはテンションが上がっていた。

 

マシュと三蔵とレティシアはのんびりと入り、ニトクリスとマナは客人であるマシュ達をもてなす為に髪の手入れなどをする。

 

ちなみにルビーとサファイアも水浴びをしている。

 

そして、フォウはマシュにされるがままにモコモコの体を洗われている。

 

「うーん!暑い砂漠を歩いた後の水浴びはいつでも最高ねー!」

 

「三蔵さん、やっぱり天竺の旅は本のように大変でしたか?」

 

「本のはどうかは分からないけど、やっぱり色々大変だったわね。今度じっくり話してあげるわ」

 

「はい!楽しみにしています!」

 

三蔵と小鳥は既に姉妹のように仲良くなっており、今度西遊記のメインストーリーである天竺の旅の話をする約束をする。

 

「ぶー……」

 

「あら、サクラ。何をそんなに不貞腐れているの?可愛い顔が台無しよ」

 

一方、桜は水に浸かりながら何故か頬を膨らませて不貞腐れており、姉属性のあるニトクリスが優しく問いかける。

 

「だって……お兄ちゃんが遊戯さんにメロメロなんだもん……」

 

「お兄ちゃん……?ああ、もしかしてあのユウマという少年ですか?」

 

「うん……お兄ちゃん、遊戯さんに会ってからずっと話しかけていて……大昔にいた憧れの人なのは分かるけど、あまり私を放っておくと許さないんだから……!」

 

ゴゴゴ……!と桜の体から嫉妬の闇が溢れ出し、ニトクリスは苦笑いを浮かべた。

 

ニトクリス自身も心に宿る闇が深いと思っているが、桜も相当深いと察した。

 

すると、フォウの体を洗い終えたマシュがニトクリスにある質問をする。

 

「あの、ニトクリスさん……ニトクリスさんから見て遊戯さん……いえ、アテムさんはどんな方ですか?」

 

ニトクリスの視点から見たアテムの人物像だった。

 

「アテム?そうですね……一言で言うなら、私よりもファラオらしくないファラオですね」

 

「ファラオらしくない、ファラオ?」

 

ニトクリスは大きなため息をつき、呆れながら遊戯のことを語り出した。

 

アテム……遊戯は異世界とは言えエジプト王家の血筋を持つ正統なファラオである。

 

しかし、その考えや行動はとてもファラオとは思えないものばかりだった。

 

ファラオとしての自覚はあるが、どこかファラオとして抜けているところがある。

 

オジマンディアスに比べるとファラオ……王としての尊大なところは多少はあるが、基本的にそこまでわがままは言わず、素直なところがある。

 

たびたび王宮を抜け出しては街に出かけて民の生活の様子を見たり、たまに子供達とゲームをして遊んでいる。

 

自分よりも誰かの為に行動をしていた。

 

「民衆に好かれているのなら別に問題はないんじゃないかな……?」

 

「嫌われるよりは良いと思うけど」

 

「そうよねー。子供達の遊び相手になってくれるなんて良い王様じゃん」

 

「いけません!ファラオとはエジプトの王としてだけでなく、同時に神でもあるんですよ!本来ならば人々から畏れられ、崇められる存在であるべきなのです!!しかし……私とオジマンディアス王がいくら注意しても聞く耳を持たなくて……」

 

ニトクリスは姉代わりとして手のかかる弟のように遊戯の面倒を見ていた。

 

実はニトクリス自身もファラオに向いてない性格だと自覚しており、自分よりも優秀なファラオである遊戯を立派なファラオにしようと色々模索しているが全てうまくいっていない。

 

「マスターは幼少期から身分に拘らない変わった考え方を持ってましたからね。それに……マスターはファラオとしての記憶を殆ど失っていて、三千年後の現世の価値観を持ってますから」

 

マナは苦笑を浮かべて仕方ないとフォローする。

 

「現世の……価値観?」

 

「はい。昼間に話していたゾークを千年錐……千年パズルに魂と記憶を封印した三千年後、マスターと瓜二つの少年……もう一人のマスターが砕かれた千年パズルを完成させて、その時にマスターの魂がその少年の肉体に憑依して現世に復活したんですよ」

 

マナの話にみんなが度肝を抜かれた。

 

三千年の時を越えて容姿が同じ少年に憑依して現世に復活するなどあり得ないと思ったが、レティシアは似たような話を聞いたことがあった。

 

「あー……そう言えばルーラーが現代に行われた聖杯大戦でジャンヌ・ダルクそっくりなレティシアという少女に憑依したイレギュラーな形で召喚されたって言ってたわね。どの世界でも似たような事が起きるものなのね……」

 

レティシアはルーラーからの体験談を聞いて似たような話があるんだなと納得していた。

 

「そう言えば、マナさんは大昔から遊戯さんに仕えているんですよね?」

 

イリヤはマナが三千年前の人物で魔術師兼神官と言っていたことを思い出した。

 

「はい。あ、でも実際にマスターがファラオの時は魔術師兼神官として仕えてはいないので……幼馴染として一緒にいたのがほとんどですね」

 

「えっ!?遊戯さんと幼馴染!?」

 

「マスターとお師匠様、小さい頃から兄妹のようにずっと一緒だったんですよ」

 

マナが王族であった遊戯と幼馴染の関係と聞いてルビーはギラリと星を輝かせながら怪しい声を上げた。

 

「おや〜?何やらラブロマンスの香りがしますね〜。もしや、マナさんは遊戯さんの事を──」

 

「ちょっ、ルビー!?」

 

「私、マスターの事、好きですよ?」

 

「ええっ!?」

 

「おおっ!?」

 

「でも、ただ好きと言うか……兄として、ファラオとして、マスターとして……色々な想いを持っています。デュエルの時を含めて、マスターとお師匠様と一緒にいる時が幸せですから」

 

マナが遊戯に抱いているのは家族愛に近いものだった。

 

実際に臣下として忠誠を誓っているマハードとは違ってマナは遊戯に対して親愛を持って仕えている。

 

「そうじゃなきゃ、三千年の時を越えてお師匠様と一緒にマスターに仕えていませんから」

 

「そっか……なんだか分かるな、その気持ち……」

 

イリヤは義兄である衛宮士郎のことを男として好きであるが、兄妹関係の家族である距離感や居心地の良さの現状に満足しているのでマナの気持ちが理解できた。

 

「まあ、何にしても……アテムは変わった性格のファラオです。色々大変だと思いますが……あの子のことをよろしくお願いします。あ、この事はアテムには絶対に言わないでくださいね!」

 

ニトクリスは本当にアテムの事を心配しており、その優しさにマシュ達は微笑ましく思うのだった。

 

 

一方、王宮から離れた場所で一人砂漠の砂地に座りながら夜空を見上げる者がいた。

 

不安な表情を浮かべていると、誰かが近付く気配を感じて咄嗟に立ち上がって身構えた。

 

「マハード殿……」

 

「ベディヴィエール殿、休むのであれば王宮の寝室でお休みください」

 

砂漠に座っていたのはベディヴィエールで近づいて来たのはマハードだった。

 

「すみません、ちょっと眠れなくて……」

 

「……少し、話をしてもよろしいですか?」

 

「え?あ、はい、大丈夫です……」

 

マハードはベディヴィエールの隣に座り、単刀直入に話を切り出した。

 

「ベディヴィエール殿、あなたは何か大きな罪を背負っていますね?」

 

「──っ!?どうしてそれを!?」

 

「……分かりますよ。今のあなたは昔の私を思い出させますから」

 

「昔の、マハード殿を……?」

 

マハードは自分が過去に犯した罪を話し始めた。

 

「……私が生前、王国に隠された恐ろしき真実を知り、それを先代の王に告げました。しかし、先代の王はそのことを知らず、心に深い傷を負ってしまった。王は苦悩の末に病に倒れ、遂には病死してしまいました……私の所為で王を……マスターの父を死なせてしまったのです」

 

その恐ろしき真実は王が背負うべき『罪』とは言え、マハードは間接的に先代の王の命を奪ってしまった。

 

ベディヴィエールは銀の右手を見つめ、強く握りしめて静かに尋ねた。

 

「……一つ、聞かせてください。マハード殿の罪を、アテム王は何と……?」

 

「マスターは、ただ一言……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『マハード、これからもオレと共に戦ってくれ。オレの……最高の、最強の僕としてな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遊戯は罪に対して何も言わず、ただマハードに共にいてくれと命じた。

 

「このような私を……マスターは最強の僕として、共に在ることを認めてくれました……私はマスターに永遠の忠誠を誓い、全てを捧げる覚悟で戦います。今までも、これからも……」

 

遊戯はマハードを最強の僕として信頼し、マハードは未来永劫の忠誠を遊戯に誓って戦い続ける。

 

「素晴らしき王ですね……アテム王は……」

 

「はい……ベディヴィエール殿、一人で全てを背負おうとすれば破滅します。罪を償いたいのであれば、何かを成し遂げたいのであれば……信頼出来る者にまずは打ち明けるべきです」

 

マハードはベディヴィエールに自分と同じ過ちを繰り返して欲しくない気持ちからそう助言した。

 

「マハード殿……ありがとうございます。まだ、話す事は出来ませんが……必ず、皆さんにお話しします」

 

「そうですか。あまり、無理をしないでくださいね」

 

これ以上は踏み込んではいけないと判断し、マハードはベディヴィエールに一礼してその場を後にした。

 

残されたベディヴィエールは再び銀の腕を見つめ、自然と瞳から溢れた涙を握り締めながら己の『罪』と向き合う。

 

「私は……!」

 

しかし、ベディヴィエールにはまだその『罪』を誰かに打ち明けられるほど心を強く持っていなかった……。

 

 

翌朝、遊馬達は支度を整えてエジプトを出発する時が来た。

 

目的地は百貌のハサン達がいると思われる山の民が住む山岳地帯の村。

 

そこで百貌のハサンと合流して情報を集めつつ、次の行動を決めることになった。

 

遊馬達はエジプトで保護してもらった難民達に別れの挨拶をしていると、一組の親子が駆け寄ってきた。

 

それは聖抜の儀で選ばれた母親とその子供だった。

 

母親の名前はサリア、子供の名前はルシュド。

 

「あの、天使様……山の民のところに行くと聞きましたが……もし良ければ私達を連れて行っていただけませんか?」

 

「え?な、何で……?」

 

「実は……私は元々山の民の出身です。父に反対されながら聖地の家に嫁いだのです。山の民を抜けた身ですが、知り合いがいるはずです。ですから、天使様達が村に入れるよう私が話をします」

 

「お母さんが話せば、ドクロのおじちゃんもきっとすぐに分かってくれるよ!」

 

「ドクロのおじちゃん?」

 

「うん!お母さんの幼馴染でかっこいいおじちゃんなんだ!」

 

ルシュドはそのドクロのおじちゃんに懐いているらしく、サリアの提案も悪くはなかった。

 

遊馬達は話し合い、何かあればすぐにサリアとルシュドをエジプト領に戻すことを条件に二人を連れて行くことにした。

 

一方、小鳥とレティシアと桜はカルデアに帰還してもらい、イリヤと美遊とクロエは残ることになった。

 

イリヤはアーサー王であるはずの獅子王が何を望んでいるのかそれを聞きたく、美遊はアサシンのクラスカードから何かを感じ取っていてそれを確かめる為、クロエはそんな二人のお目付役。

 

そして、新たにカルデアの旅に同行するのは……。

 

「待たせたな、みんな」

 

「これからよろしくお願いします」

 

「よろしくお願いしまーす!」

 

遊戯とマハードとマナの3人である。

 

オジマンディアスから追放されたのは遊戯だが、当然遊戯の配下のマハードとマナも同行する。

 

全員が揃い、エジプト領の外に出てから上空に待機しているかっとび遊馬号を呼び戻して山の民の村へ向かう。

 

しかし、遊馬達の行く手を阻むように突然空に暗雲が広がり、砂漠からまるで間欠泉のように膨大な闇の力が噴き出した。

 

今まで体験したことのない状況に遊馬達は身構えると、闇の中から1枚のカードが現れた。

 

「カード……?」

 

「何だ、あのカードは……強い闇の力を感じる……!」

 

遊馬とアストラルは闇のカードから恐ろしいほどの闇の力を感じて思わず背筋が凍りつく。

 

そして、闇のカードから二つの光が飛び出して砂漠の砂の中に入り込んだ。

 

次の瞬間には砂が吹き飛んで中から巨大な影が現れた。

 

巨大な影が形を成していき、現れたのはエジプトのスフィンクスをモチーフにした2体のモンスターだった。

 

一体は頭が獅子で屈強な体を持つモンスターで、もう一体は頭が美しい女性の顔で体は翼を持った白いライオンのモンスター。

 

遊馬とアストラルは見たことないモンスターに驚いたが、遊戯はそのモンスターを知っていた。

 

「馬鹿な!あのモンスターは!?」

 

「遊戯さん、知ってるんですか!?」

 

「アンドロ・スフィンクスとスフィンクス・テーレイア。オレと相棒がかつて戦った破壊の王、アヌビスのモンスターだ……!」

 

アヌビス。

 

それは遊戯が現世で戦った邪悪なる闇の魂を持つ存在。

 

そして……世界を滅ぼそうとする冥界の王である。

 

倒したはずのアヌビスのモンスターが現れ、更には闇のカードから数えきれないほどの大量のモンスターが次々と出現する。

 

モンスター達から発している邪悪な力の波動に遊馬達は咄嗟に身構えるが、遊戯が静かに前に出て千年パズルを輝かせる。

 

「アヌビス……オレと海馬を罠にかけて、デュエルを穢し、相棒達を危険な目に合わせてくれたな。あの時の借りを全て返させてもらうぜ!マハード、マナ!」

 

「「はっ!」」

 

遊戯は宝具『伝説の決闘者』を発動させてマハードとマナをデッキに入れる。

 

デッキからカードを5枚引いて手札にし、背後にいる遊馬とアストラルに向けて言葉をかける。

 

「遊馬、アストラル……デュエルキングの戦いを見せてやる!」

 

デュエルではなく、デュエルモンスターズを使った遊戯の本気の戦いを見せる時が来た。

 

今の遊戯は遊馬と契約している事で魔力の心配はいらない。

 

遊戯のデュエリストとして、サーヴァントとしての全力全開の本気の力を発揮し、過去の幻影の敵と対峙する。

 

 

 




ゾークだけじゃバランスがちょっと取れてないなと思って急遽遊戯が戦う敵を用意しました。
まあかませになることは見えていますが(笑)

まずは映画『光のピラミッド』の敵を出します。
もう皆さんは今後どんなモンスターが出るかは分かりきっていると思いますが(笑)

次回は現代の豊富なカードと遊戯のデュエルタクティクスと最強のドローでどれだけ暴れるかの話になります。
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