Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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活動報告に書きましたが、今後イベントの話も書いていこうと思うのですが何を書けばいいのかぶっちゃけ迷っています。


一応予定で書きたいのはぐだぐだ本能寺、Zero、プリヤ、鬼ヶ島などです。

これはイベントキャラとか出したいので書きたいと思ってます。

例えば、アサシンのエミヤ、アイリママ、イリヤ、クロエを揃えてエミヤ一家を出したい気持ちなどあります。

ぐだぐだ本能寺はノッブと沖田さんが好きなのと、ちびノブが面白そうなので書きたいです。

そして、鬼ヶ島は頼光さんや金時なども出るので是非書きたいです。

後は今年は書けそうにありませんが、水着イベントの話やクリスマスは書きたいですね。

アルトリアの水着アーチャーやサンタのレティシアリリィも出したいので。


皆さんから見てFGOでこれは外せないイベントのストーリーを是非とも教えてください。

あと、どの章の間に入れるべきか教えていただければ幸いです。

現在の第2章が終了したらぐだぐだ本能寺を書く予定ですので、皆さんよろしくお願いします。




ナンバーズ26 変わり行く戦況

スパルタの王、レオニダスと激闘を繰り広げた遊馬たちはネロと共にローマを凱旋して大勢のローマ市民から歓声を受けた。

 

悪い気はしなかったが妙に疲れてしまい、休もうとした矢先だった。

 

ネロが雇った二人の客将が連合軍の大攻勢にあって足止めを受けていると連絡があった。

 

遊馬たちは皇の鍵の飛行船を使ってすぐに助けに向かうと大勢の敵兵が二人の男女……おそらくサーヴァントを囲んでいた。

 

一人は白い着物を着た女性でもう一人は屈強な肉体に鎧を着た武将の男性でアジア系のサーヴァントだった。

 

遊馬は敵兵の中に敵サーヴァントがいないので敵兵だけを追い払うためにナンバーズを呼び出す。

 

「現れよ、『No.61 ヴォルカザウルス』!」

 

ヴォルカザウルス……灼熱の恐竜を呼び出し、人から見ればぱっと見は恐ろしい化け物が登場して敵兵たちは恐れてその場から逃げ出した。

 

「君たちは……」

 

「俺たちはネロの仲間だ!援軍に来たぜ!こいつがいるから敵兵も逃げていくはずだ!」

 

「ありがとう。預かり物の兵たちを失わずに済んだようだ。私はアサシン、荊軻。君たちと同じくネロ・クラウディウスの客将をしている。それにしても話には聞いていたがまさか本当に魔物を呼び出すとは……」

 

荊軻。

 

中国始皇帝を暗殺を企むが、あと一歩のところで果たせなかった刺客である。

 

そしてもう一人は……。

 

「って、おおいっ!?あんた何処に行くんだ!?」

 

武将のサーヴァントは敵を追ったのか何処かへと走り去ってしまった。

 

「彼は呂布、まあそのうち戻って来るだろう」

 

呂布。

 

中国の三国志に名高く、最強の武将とも言われている。

 

「へぇ、あいつ呂布って……呂布!!?あの三国志の呂布ぅっ!!?」

 

日本では三国志の物語は人気があり、あまり内容を知らなくてもその名前は知っているぐらい有名なので遊馬は呂布が召喚されてることに驚愕した。

 

そして、遊馬とアストラルとマシュは荊軻に自分たちの目的を話すと意外にもすんなりと受け入れた。

 

「なるほど、君たちは異なる時代からの来訪者か。そちらの事情は概ね把握した。さりとて、こちらのやることは特に変わらない。群がる「皇帝」どもを屠るだけだ。私も、呂布も。既に、サーヴァントの「皇帝」を三体は殺している。君たちとは競争だな」

 

「競争だと……?」

 

「そうだ、競争だ。敵将たる「皇帝」の首の数。私たちと君たちのどちらがより多く手にするか。ああ、少し、楽しみができた」

 

荊軻は生前始皇帝を暗殺できなかったことから、この時代でサーヴァントとして現れた皇帝を殺すことを楽しんでいた。

 

しかし、その言葉が遊馬の逆鱗に触れることになる。

 

「ふざけるな!!」

 

遊馬は激怒して荊軻の胸ぐらを掴んだ。

 

「な、何を……!?」

 

突然の事態に荊軻は呆然とし、マシュたちは遊馬の豹変に驚いた。

 

唯一アストラルは驚かなかったが、それは遊馬の性格をこの場にいる誰よりも理解しているからだ。

 

「あんたが生前どんな人生を送ったか知らないけどよ、人を殺すことを競争とか言って楽しむのはやめろ!!」

 

遊馬は荊軻の皇帝を殺す競争をする考えを許せなかった。

 

「人を殺したことのないような子供が甘いね……」

 

荊軻は遊馬が人を殺したことのない子供で戦いはみんなモンスターやサーヴァント任せだと思ってそう言った。

 

しかし、遊馬は苦い戦いの記憶が頭の中に過ぎり、辛い表情を浮かべてそれを言葉にする。

 

「……武器で直接やったことは無いけど、人を殺したことはあるさ」

 

「何……!?」

 

「お前に分かるか……?大切な仲間達が俺たちを生かすために自ら犠牲となって戦い、消滅したり、死んでいく姿を遠くから見守ることしか出来ないその時の悲しみを……道を違えた仲間との最後の戦いで一緒に生きる道を探そうとしても消滅してしまったその時の悲しみを……」

 

バリアン七皇との戦いで多くの仲間が遊馬とアストラルを守るために戦い、消滅していった。

 

そして……仲間であり兄貴分だった神代凌牙……ナッシュとの戦いで遊馬は犠牲にならない未来を見つけるまで戦い続けると誓った。

 

しかし、その戦いでは遊馬の思いに反して結果的にナッシュを失ってしまった。

 

遊馬は戦いの辛さや虚しさ……そして、失う怖さをよく知っている。

 

「この戦いでは大勢の人の命が消えているんだ……それぞれの事情があるからあまりとやかく言うつもりはないし、俺たちにもやらなきゃならない事がある。戦いで死んだ人たちの死を背負えとは言わない……だけど、二度とそんなことを言うんじゃねえよ」

 

命の重さと大切さを深く知っている遊馬の言葉は荊軻の胸に深く突き刺さり、先ほどまでの考えを改めた。

 

「すまない……不謹慎だったね。先ほどの言葉は訂正するよ」

 

「ああ……俺も乱暴なことをして悪かったよ……」

 

遊馬は荊軻を離し、互いに謝罪をした。

 

その後遊馬は仲直りをした荊軻と戻って来た呂布と契約を交わした。

 

何かあった時の手数があった方がいいので二人と契約を交わし、二人のフェイトナンバーズを誕生させた。

 

新たな仲間が出来、遊馬達はネロと共に連合軍の首都へと進軍した。

 

 

一方……連合軍にも大きな動きが出ていた。

 

それは新たに召喚された二人のサーヴァント。

 

一人は赤い髪をした遊馬と歳の近い少年でもう一人はサーヴァントとしては不可解な点が多いスーツ姿の長い黒髪をした男性だった。

 

その二人は生まれた時代は異なるが妙な繋がりのあるサーヴァント同士だった。

 

そして、黒髪の男性のサーヴァントは奇しくもカルデアにいるアルトリアとエミヤにも繋がりのある存在だった……。

 

 

連合帝国に向けて進軍し、早速遊馬達は連合軍の兵士達と戦闘を繰り広げるが士気はとても高く、次々と襲い掛かってくる。

 

そして、妙なことに兵士達はサーヴァントではなく……遊馬を狙っていた。

 

連合軍側はローマ軍の戦いの要が遊馬だということに気づき、集中攻撃をし始めた。

 

「ちっ!数が多すぎる!!」

 

「敵は遊馬を狙いに来たか……サーヴァントたちよ、遊馬を頼む!」

 

「言われなくても、遊馬くんは必ず守ります!!」

 

シールダーとしてマシュは自らを鼓舞させて遊馬に近づく敵兵を倒して守っていき、他のサーヴァントたちも同様に遊馬を守っていく。

 

すると……。

 

「◾️◾️◾️◾️ーーッ!!」

 

獣のような咆哮が轟き、現れたのは三只眼に全身を禍々しい刺青と黄金で彩った漆黒の巨人のサーヴァントだった。

 

「何だあの真っ黒黒助なでっけぇおっさんは!?」

 

「あれは……ウジャトの眼……?エジプト関係のサーヴァントか?」

 

その敵サーヴァントの刺青は古代エジプトで見られるホルスの眼とも言われる独特な形をした眼の紋章が刻まれていた。

 

アストラルは敵サーヴァント……恐らくバーサーカーがエジプト関係のサーヴァントだと推測する。

 

しかしその矢先にバーサーカーが再び咆哮を轟かせると動く死体や歩く骸骨と化した大量の兵が出現した。

 

それはレオニダスが使った同じ人海戦術系の宝具だった。

 

「今度はアンデッドの軍団か!」

 

「旦那様!再び私をフェイトナンバーズで!」

 

レオニダスの宝具を突破した清姫は遊馬に降りかかる敵を排除するために前に立つ。

 

「清姫、頼んだぜ!!」

 

「はい!!」

 

清姫をフェイトナンバーズのカードに入れ、遊馬はすぐさまフィールドを整えたエクシーズ召喚する。

 

「現れよ、『FNo.57 清廉白蛇 清姫』!!」

 

「滅びゆく屍たち……私の炎で燃やし尽くします!」

 

「清姫の効果!オーバーレイ・ユニットを二つ使い、相手フィールド全てのモンスターに白蛇カウンターを乗せ、白蛇カウンターが乗ったモンスターの攻撃力は1000ポイントダウン!更に清姫がフィールド上に存在する限り、お互いのスタンバイフェイズ時に白蛇カウンターが乗ったモンスターは更に攻撃力を500ポイントダウンさせる!」

 

清姫は扇子にオーバーレイ・ユニットを取り込ませて舞うように振るい、屍の兵全てに白蛇の姿を模した刻印を刻ませ、その力を奪った。

 

「更に、このカードの効果で攻撃力が0になったモンスターは破壊される!!」

 

「転身火生三昧!!!」

 

清姫の体から燃え上がる青白い炎で全ての屍の兵に炎を喰らわせて一気に焼き尽くした……はずだった。

 

「そ、そんな……!?私の炎が効かない!?」

 

清姫が放った炎で全ての屍の兵を焼き尽くせるはずが、何と全く焼けていなかった。

 

力が下がっていてまともに動けてはいないが、それでも少しずつ歩いていた。

 

するとクー・フーリンは屍の兵のあることに気づいて声を荒げた。

 

「おい!マスター、嬢ちゃん!あの屍軍団、どうやら不死の属性を持っているみたいだぞ!」

 

「不死の属性!?つまり破壊されないということか!?」

 

「それで私の炎が効かないのですね……」

 

「だが、清姫の効果であの大元のサーヴァントの攻撃力は十分に下がった。遊馬、ホープで一気に決めるぞ!!」

 

「おう!行くぜ、アストラル!俺のターン、ドロー!魔法カード『オノマト連携』を発動!手札を一枚墓地に送り、デッキから『ガガガマジシャン』と『ゴゴゴゴーレム』を手札に!更に魔法カード『二重召喚』!このターン、通常召喚を二回行える!ガガガマジシャンとゴゴゴゴーレムを通常召喚!!」

 

ガガガマジシャンとゴゴゴゴーレムが立ち並び、遊馬とアストラルは腕を上げて高々と叫ぶ。

 

「「レベル4のガガガマジシャンとゴゴゴゴーレムでオーバーレイ!二体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!現れよ、No.39!!」」

 

ガガガマジシャンとゴゴゴゴーレムが光となって地中で光の爆発が起きると空中に独特な形をした『39』の赤い数字が一瞬だけ描かれ、オーバーレイ・ユニットを纏いながら白い塔が姿を現わす。

 

「「我が戦いはここより始まる!白き翼に望みを託せ!!光の使者、『希望皇ホープ』!!!」」

 

『ホォオオオオオープ!!!』

 

白い塔から戦士の姿へと変形し、遊馬とアストラルののエースモンスター、希望皇ホープがエクシーズ召喚される。

 

「「行け、希望皇ホープで攻撃!!」」

 

希望皇ホープは左腰に携えられた剣の柄を持ち、勢いよく引き抜いて敵サーヴァントに向かって飛翔する。

 

「◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️ーーッ!!」

 

バーサーカーは二本の戦斧を両手に持ち、希望皇ホープを破壊するために高く飛び上がって戦斧を振り下ろした。

 

「「希望皇ホープの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、モンスターの攻撃を無効にする!!ムーン・バリア!!!」」

 

希望皇ホープはオーバーレイ・ユニットを胸の水晶の中に取り込むと左翼を半月のように展開させて自身の攻撃を無効にし、同時にバーサーカーの攻撃を無効にした。

 

「これは、まさか!」

 

マシュは希望皇ホープの使用した効果に遊馬とアストラルの狙いをすぐに察した。

 

それは、遊馬とアストラル……希望皇ホープの必殺技を放つためだ。

 

「「手札から速攻魔法!『ダブル・アップ・チャンス』を発動!!モンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスターの攻撃力を二倍にして、もう一度攻撃が出来る!!!」」

 

ダブル・アップ・チャンスは本来なら敵が攻撃を防いだ時に発動することが前提の魔法カードだが、自らの攻撃を無効に出来る希望皇ホープと相性は抜群で希望皇ホープは右腰に携えられたもう一つの剣を左手で抜いて構え、その力を二倍に高める。

 

「「希望皇ホープ!!ホープ剣・ダブル・スラッシュ!!!」」

 

双剣の刃が金色に輝き、 希望皇ホープはばつ印を描くように全力で振り下ろし、バーサーカーを戦斧ごと斬り裂いた。

 

「◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️ーーッ!!!」

 

バーサーカーは断末魔の絶叫を上げながら消滅し、同時に大量の屍の兵も消滅した。

 

バーサーカーと屍の兵が消滅したことで連合軍の兵士達も撤退し、ひとまず危機が去って遊馬は緊張の糸が解けてその場に座り込んだ。

 

「やべぇ、あのおっさん超怖かったぜ……絶対あいつバーサーカークラスだよな!?今まで出会ったバーサーカーで一番怖かったんだけど!!?」

 

「確かにそれは否定しない……しかし、無事に戦闘が終わって何よりだ」

 

アストラルはバーサーカーの消滅した後に残ったフェイトナンバーズを回収して遊馬に渡す。

 

「ユウマ!大変だぞ!」

 

「ネロ?どうしたんだ?」

 

大慌てをしてやって来たネロの口からとんでもない事が発覚した。

 

「今さっき兵から連絡があって連合が部隊を複数動かしていたようで、その際にブーディカが連合軍に囚われてしまった!」

 

「ブーディカが捕まった……?」

 

遊馬は目を見開き、体が震えると脳裏にある光景が浮かんだ。

 

それはかつて親友が敵に捕まり、連れ去られて死んだと思わされた最悪な光景だった。

 

あの戦いで遊馬は自分を見失い、大切なものを一度にたくさん失いかけた……その事が頭の中に過ぎり、恐怖で体が震えそうになった。

 

すると、遊馬の目の前に青白い光が広がり、気がつくとアストラルがそっと遊馬を抱きしめていた。

 

「遊馬、まずは冷静になるんだ」

 

「アストラル……」

 

そんな遊馬の恐怖を落ち着かせたのはアストラルだった。

 

実際には触れられないが、アストラルの優しさが遊馬の心を癒す。

 

「ブーディカは無事だ。彼女は強い人だからな……。遊馬、君が恐怖を抱くのは分かる。だが、まずは落ち着いて行動する事が大事だ。大切なもの、全てを守る……それが私たちの誓いだろ?」

 

「……サンキュー、アストラル。お陰で頭が冷えたぜ。みんな!ブーディカを助けるぞ!!」

 

囚われたブーディカを助けるために早速行動を移そうとする遊馬達だった。

 

すると、突然デッキケースが輝くと二つの光が飛び出した。

 

「マスター!ブーディカ女王を救出しに向かいましょう!!」

 

現れたのは何とアルトリアだった。

 

「え!?アルトリア!?」

 

「なっ!?余そっくりの騎士だと!?」

 

ネロは自分と顔がそっくりなアルトリアの登場に驚愕した。

 

「むっ……あ、本当に私とそっくりですね……」

 

アルトリアもネロが自分と本当にそっくりで驚いたが、それよりも大切な事があるので急いで遊馬の元へ駆け寄る。

 

「マスター!ブーディカ女王をすぐに救出しましょう!!さあ、今すぐに!!!」

 

「落ち着け、アルトリア。マスターが困っているだろう」

 

アルトリアと一緒にカルデアから来たのはエミヤだった。

 

「エミヤまで!?」

 

いつもより俄然やる気なアルトリアにため息を吐くエミヤだった。

 

「さあ今すぐ行きましょう!マスター、飛行船をお願いします!」

 

アルトリアは遊馬の肩を掴んでブンブンと体を揺らして皇の鍵の飛行船を出すように急かした。

 

そんなアルトリアにエミヤはハリセンを取り出して頭を思いっきり叩いた。

 

「痛ぁっ!?何をするのですかシロウ!?」

 

「だから落ち着け!そんなことではブーディカ女王を救えないぞ!」

 

「ううっ……」

 

まるでお母さんに怒られた子供のようにアルトリアは涙目になっている。

 

「アルトリア、どうしてブーディカをそんなに心配するんだ?何か関係者なのか?」

 

「決まっています!ブーディカ女王は私にとっては偉大な王、簡単に言えば大先輩です!」

 

「だ、大先輩!?」

 

ブーディカは一世紀の古代ブリタニアの女王……そして、同じ国で後の時代にアルトリアはブリテンの騎士王・アーサー王として君臨していた。

 

ブーディカはブリテンで『勝利の女神』の伝説となっており、アルトリアは大先輩の女王として敬っているのだ。

 

「最初はブーディカ女王がいると聞いてすぐに会いたいと思いましたが、運命のいたずらか、因果かどうかは知りませんがそこにいるローマ皇帝と何故か同じ顔をしているので、下手に混乱させないように自重してしましたが……ブーディカ女王が囚われたと聞いて、我慢出来なくなって出てきました」

 

「私はアルトリアのブレーキ役としてオルガマリー所長から直々に命を受けて来たのだ……」

 

「エミヤ、お疲れさん……」

 

オルガマリー、と言うかカルデア内ではもはやアルトリアとエミヤは既に離れられないセットになってしまっているので今後アルトリアが戦場に出陣際にはもれなくエミヤも出陣することになることはほぼ確定となるのだった。

 

「さて、アルトリアよ。君が大先輩を助けたい気持ちは察するが、わざわざ敵の策に乗る必要も無かろう。ここは一つ、マスターの力で何とかできるだろう」

 

「え?俺?」

 

エミヤは打開策を見出しており、それは遊馬が握っていた。

 

「マスター、君はブーディカ女王と契約を結んでいたな?しかもフェイトナンバーズも開花しているとか」

 

「あ、ああ。相性がいいのかすぐに真名やテキストが出て来たぜ」

 

遊馬はデッキケースからブーディカとの絆と契約の証である『FNo.83 勝利と愛の女王 ブーディカ』を取り出した。

 

「よし。マスターとブーディカ女王との間に強い絆が結ばれているならば話は早い。今こそ令呪を使う時だ」

 

「令呪を?」

 

右手の甲に刻まれている皇の鍵と大きなXが重なった赤い刻印・令呪を見て遊馬は首を傾げる。

 

「令呪を使えば契約したサーヴァントをある程度距離が離れた場所からでも空間を超えて自分の元に呼び出す事ができる。そうすればブーディカ女王をリスクを犯す事なく助ける事ができる」

 

令呪のサーヴァントへの命令権やブーストなどに使う事しか知らなかった遊馬は意外な使用方法に驚きながらすぐに実行する。

 

「そうか!それなら早速行くぜ!」

 

遊馬は右手の人差し指と中指にブーディカのフェイトナンバーズを挟みながら天に向かって高く上げ、令呪の一画を輝かせる。

 

「令呪をもって命ずる!!」

 

目を閉じて心の中から溢れんばかりの思いを込め、強く、強く願った。

 

大切な仲間で忘れかけていた母の温もりを与えてくれたブーディカを遊馬は三画の令呪を全て使ってでも取り戻す気持ちで叫んだ。

 

「ブーディカ!敵に囚われし縛の鎖を解き放ち、空間を飛び越えて……俺の、俺たちの元に戻って来い!!!」

 

遊馬の強い願いに令呪の一画が消えると目の前に金色の光が現れて中から人影が見えた。

 

そして、光の中から出てきたのは唖然とした表情を浮かべたブーディカだった。

 

「……えっ?って、うわぁあああああっ!?」

 

ブーディカはバランスを崩してその場から思いっきり前屈みに転びそうになった。

 

「あっ、危ねえっ!!」

 

遊馬はとっさにブーディカの前に滑り込んで受け止めようとしたが、ブーディカはモデル体型と言わんばかりの高身長なので支えきれずにそのまま一緒に倒れこんでしまった。

 

「イタタタ……あれ?私は……」

 

「むぐっ、むぐぅっ!?」

 

「え?あ、ごめん!ユウマ、大丈夫!?」

 

ブーディカの豊満な胸の間に偶然にも遊馬の顔が埋まってしまい、息ができなくなったので急いで起き上がって遊馬を解放する。

 

ちなみに男であるエミヤとクー・フーリンは羨ましいと思ったが、そんなことを考えればこの場にいる女性陣の鋭い視線や痛い言葉をかけられ、下手をすればアルトリアの約束された勝利の剣が飛んでくることは必至なので一瞬でその考えを消し去った。

 

「お、おう……ブーディカ、怪我してないか?」

 

「私は大丈夫だよ。でも何でここに?私は捕まったはず……」

 

「マスターが令呪であなたをここへ呼び出したのですよ」

 

アルトリアが微笑みながら話しかけるとブーディカは目を見開いて驚いた。

 

「えっ!?ネ、ネロが二人いる!?まさか双子の姉妹!?」

 

アルトリアとネロがあまりにも顔が似ているので思わず双子だと勘違いしてしまう。

 

アルトリアは首を振って否定するとブーディカに敬意を込めながら名乗る。

 

「違います。私の名はアルトリア・ペンドラゴン。この時代から後の時代のブリテンの王……またの名を、騎士王・アーサー王と申します」

 

「アルトリア……ブリテンの王……?」

 

「はい、あなたの後輩の王ですよ」

 

ブーディカは自分と同じ国で生まれ、活躍した英霊かどうか察知することができ、アルトリアが後の時代の王と理解すると満面の笑みで抱き寄せた。

 

「ブ、ブーディカ女王!?」

 

「あぁ……こんなにも頼れる後輩が来てくれたなんて、嬉しくて涙が出て来そうだよ」

 

「ありがとうございます。私も尊敬する先輩のあなたと出会えてとても光栄です」

 

「ユウマもありがとう!私なんかの為に令呪を使って助けてくれて!」

 

ブーディカは遊馬を抱き寄せてアルトリアと一緒に抱きしめる。

 

抱きしめられて遊馬は恥ずかしかったが、逃げられないのは分かっているので大人しくブーディカに可愛がられることにした。

 

「大切な仲間を助ける為なら何でもやるぜ!」

 

「本当にありがとう……あなたがマスターで私は幸せよ……」

 

ブーディカは自分を大切に想ってくれる存在がいてくれることに心から感動し、涙を流した。

 

ブーディカを助けたところですぐに反撃のための作戦会議を開く。

 

「よし……囚われたブーディカは無事に助けた事だし、今度はこっちから攻める番だ!!」

 

遊馬の提案にみんなは頷き、どう連合軍に仕掛けるか意見を出し合う。

 

連合軍が今までとは異なる戦術を変えたことから新たな敵サーヴァントの仕業が高い。

 

真っ先に遊馬を狙うところからその敵サーヴァントはかなり頭が冴える、軍師のように頭脳明晰のは明白。

 

遊馬はアストラルからナンバーズを見せてもらいながら何かいい手がないか考える。

 

すると、一枚のナンバーズが目に留まり、目をパチクリとさせながら凝視する。

 

それは遊馬の仲間である一人の少女が使うデッキのカテゴリーのナンバーズだった。

 

何でこのナンバーズがあるのか不明だが、そのナンバーズを見て遊馬はナイスなアイデアを思いついた。

 

「アストラル!こいつを使ったらどうだ?」

 

「このナンバーズを……?なるほど、これを使えば……遊馬!」

 

アストラルは遊馬にそのナンバーズを渡し、遊馬はデッキからカードをドローする。

 

「おう!行くぜ!俺のターン、ドロー!来たぜ……『ガガガシスター』を召喚!ガガガシスターの効果!召喚に成功した時、デッキからガガガの名をついた魔法・罠を手札に加える。デッキから『ガガガウィンド』を手札に加え、発動!手札からガガガモンスターを特殊召喚してそのモンスターのレベルを4にする。手札からガガガマジシャンを特殊召喚!」

 

ガガガシスターが鍵の杖を振るうと遊馬のデッキに宿るガガガのサポートカードを遊馬の手札に加え、発動するとガガガマジシャンが現れる。

 

ガガガウィンドは特殊召喚したガガガモンスターをレベル4にする効果があるが、ガガガマジシャンは元々レベル4で自身の効果でレベルを変更できる。

 

「ガガガマジシャンの効果、ガガガマジシャンのレベルを8にする!」

 

ガガガマジシャンのレベルが4から変更できる最高レベルの8にし、ガガガシスターのもう一つの効果を発動する。

 

「そして、ガガガシスターのもう一つの効果!ガガガモンスター1体を選択し、そのモンスターとガガガシスターのレベルはエンドフェイズ時までそれぞれのレベルを合計したレベルになる!ガガガマジシャンはレベル8、ガガガシスターは2、2体のガガガモンスターのレベルは10となる!」

 

ガガガマジシャンとガガガシスターの効果を最大限に使用し、本来なら出しづらいランク10をエクシーズ召喚する。

 

「レベル10のガガガマジシャンとガガガシスターでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!!」

 

ガガガマジシャンとガガガシスターが光となって地面に吸い込まれ、光の爆発が起きる。

 

「現れよ!『No.81 超弩級砲塔列車(ちょうどきゅうほうとうれっしゃ)スペリオル・ドーラ』!!」

 

光の爆発と『81』の刻印と共に現れたのは四つの列車が連なり、その上に巨大な大砲を持つロボットが合体しているモンスターが現れた。

 

銀河眼の光子竜皇よりも大きなモンスター……というかとんでもない移動式の巨大マシンにマシュたちは口を大きく開けてあんぐりとして驚愕していた。

 

そして、列車という存在を知っているアルトリア、エミヤ、クー・フーリン、メドゥーサは汗を流しながら困惑していた。

 

「シ、シロウ……私が見た列車、いや電車で したっけ?あれとは比べ物にならないほど大きいのですが……」

 

「いや待て、あれはもはや列車と言えるものではない。列車とは人や物を運ぶためのものだ……決して大砲は積んではいないぞ!?」

 

「すげぇな、コレ。もはや未来の軍隊が使うような近代兵器じゃねえか……」

 

「これがモンスター……?私が言うのもなんですが……魔物や怪物の定義がおかしくなりそうですね」

 

デュエルモンスターズの主役とも言えるモンスター……魔物の定義が意味不明で思わず頭痛を覚えるのだった。

 

何故遊馬がこのナンバーズを召喚したのか、それは戦場でも使える『圧倒的な兵器』だからである。

 

遊馬はカルデアで歴史の勉強をしていくうちに人類の長い歴史は数え切れない戦争によって積み上がっていることを改めて学んだ。

 

そして、戦争の歴史を変えていったのは様々な要因がある。

 

例えば軍師による軍隊を動かすための戦術、アルトリアたちのような一騎当千の英雄たち、そして……最も効果的とも言えるのが戦況を一気に覆す事ができる強力な兵器である。

 

スペリオル・ドーラは偶然かどうか不明だが、遊馬の仲間の一人である少女、神月アンナが持つ『列車』モンスターと同じカテゴリーのモンスターである。

 

列車モンスターは高レベルのド派手な戦法が特徴でスペリオル・ドーラも例に漏れず強力なモンスターである。

 

そして、このモンスターは一応列車なので遊馬たちはスペリオル・ドーラに乗り込みと遊馬はメドゥーサにあることを頼んだ。

 

「あ、メドゥーサ。これ操縦してくれるか?」

 

「は!?私がですか!?」

 

「うん。メドゥーサはライダークラスだし、なんでも操縦できる金の紐があったろ?それで頼むぜ!」

 

「騎英の手綱ですか……?確かに乗り物にも対応してますが……いけますかね……?」

 

「大丈夫じゃね?これモンスターだし」

 

「だからユウマのモンスターの定義がおかしいですから……まあ一応やってみますが」

 

メドゥーサの宝具、騎英の手綱。

 

あらゆる乗り物を御する黄金の鞭と手綱で『高い騎乗スキル』と『強力な乗り物』があることで真価を発揮する。

 

また、乗ったものの全ての能力を1ランク向上させる効果も持つ。

 

メドゥーサ自身がライダークラスの為に騎乗スキルがA+、そしてスペリオル・ドーラ自身が巨大で屈強……条件が見事に合致しているのだ。

 

メドゥーサは黄金の鞭と手綱を取り出して運転席からスペリオル・ドーラ上部のロボットへジャンプして登る。

 

「さて、やってみますか……」

 

そして、半信半疑でロボットの首に手綱をかけて鞭を振るった。

 

次の瞬間。

 

ゴォオオオオオオオ!!!

 

スペリオル・ドーラの目がキラリと輝き、ボディ全体から轟音が鳴り響くと、列車を走らせるための線路が地面に現れ、メドゥーサの思い通りに動き始めた。

 

「わぁ……すごいですね……」

 

まさか本当に操作できるとは思いもよらなかったので感嘆の声が漏れだす。

 

遊馬はスペリオル・ドーラ内に何故かあった車掌マイクを手に取りノリノリでアナウンスをする。

 

「ローマ特別運行、超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ、これより発車致します!目的地は敵拠点砦!!」

 

「了解、マスター!」

 

メドゥーサは騎英の手綱の鞭を振るい、スペリオル・ドーラを発進させ、先程のお返しにと今度はこちらから連合軍に仕掛けるのだった。

 

 

 

.




荊軻姉さんとの会話は遊馬ならこういうだろうなと思って真っ向から競争を否定しました。
あくまでもこれは戦争、殺し合いなので……。
特に遊馬は目の前で仲間が消滅したり、カイトに関してはガチで死んだ光景を見て来たのでトラウマになってるはずなので。

今回はアルトリアが少しぶっちゃけた感じになりました。
アポカリファのモーくんの回想を見て、こうして変化したアルトリアを見ると士郎との出会いは大きかったなと思います。

ほとんど語られていないブーディカとアルトリアの関係はこんな感じかなと思って書きました。
王としては先輩後輩の関係で、ブーディカはイギリスのサーヴァントはみんな弟や妹のように思っているので。

ラストのスペリオル・ドーラは完全にネタに走っちゃいました(笑)
展開をどうしょうかなと思ってナンバーズを眺めていたら目に留まりました。
メドゥーサもまさかこんなものを運転するとは夢にも思わなかったでしょうね。

次回は彼らとのバトルです。
特に長髪の彼はアルトリア達と面識があるので書くのが楽しみです。

それから前書きにも書きましたが、もしよろしければ活動報告に特異点のイベントで重要なのをよろしくお願いします。
m(._.)m



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