Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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これにてぐだぐだ本能寺は終わりです。
驚愕のキャラが登場しますのでお楽しみに!


ナンバーズ34 ぐだぐだ本能寺終結、第六天魔王を討て!

ノッブが典型的な悪役のセリフを吐き、マシュと沖田が驚いていたが遊馬とアストラルは落ち着いていた。

 

「ふはははは!む?おいお主ら、何故驚かんのじゃ?」

 

「分かっているんだよ。お前が『ノッブの半身』だってことに」

 

「えっ!?」

 

「ノッブの半身!?」

 

遊馬の衝撃的な言葉に全員が驚く。

 

「な、何のことだ!?わしは本物の織田信長じゃぞ!?」

 

「ふーん、これ見てもそんなことを言える?」

 

遊馬が指パッチンをすると二つの影が現れる。

 

「やっと本性を現しましたね」

 

「おのれ、わしの半身め!!許さんぞ!!」

 

それはジャンヌと目の前にいるノッブと瓜二つの一人のノッブだった。

 

「ジャンヌさん!?それに信長さん!?」

 

「これはどういうことですか!?」

 

「ば、馬鹿な!貴様は我が捕らえて動かないように縛って隠していたはずなのに!?」

 

「アストラル、説明よろしく!」

 

「貴様が昼食の時に現れた時から我々と一緒にいたノッブでは無いとすぐに分かった。それは貴様の体にナンバーズのエネルギーが流れていないからだ!」

 

「ナンバーズのエネルギーじゃと!?」

 

遊馬はデッキケースからマシュ達のフェイトナンバーズを見せ、アストラルは自身の体からナンバーズを取り出してその秘密を語る。

 

「遊馬が契約したサーヴァントにはマスターからの魔力の代わりに微弱だが私のナンバーズのエネルギーが流れ込んでいる。しかし、貴様にはナンバーズのエネルギーが流れていなかった。そこから考えられる結論は一つ、貴様がノッブが聖杯に落ちた時に二つに分かれた半身だということだ!」

 

「俺たちは敢えてあんたを泳がせていたんだよ。あんたの目的を知るためにな。そして、多分動けなくなったと思われるノッブをルーラーであるジャンヌに頼んで探してもらったんだよ」

 

「いやー、本当に助かったぞ。改めて感謝するぞ、ジャンヌ」

 

「いいえ、仲間なら当然です」

 

「じゃ、じゃが、わしの目的の聖杯はここにある!貴様らの思惑も無駄だったの!」

 

ノッブ……否、もう一人のノッブである信長の手には聖杯の核である茶釜があり、状況は信長が有利である。

 

「それは……どうかな!」

 

遊馬はデッキケースから一枚のカードを取り出すと手首のスナップをきかせて手裏剣のように投げて信長の足元に刺さる。

 

何をするのかと信長は思ったが、次の瞬間カードが輝いて中から黒炎が吹き荒れながら一つの影が現れる。

 

「なっ!?」

 

「はあっ!!」

 

凛とした声が響き、振り払った旗によって信長の手が弾かれ持っていた茶釜が宙を舞う。

 

そして、黒炎を振り払うと中からレティシアが現れ、宙に舞う茶釜をゲットしてそのまま遊馬の元に戻る。

 

「し、しまった!?」

 

「レティシア、ナイス!」

 

「不意打ち成功ね。私アサシンでもやっていけるかしら?」

 

レティシアは得意げな笑みを浮かべて遊馬に茶釜を渡し、ハイタッチをする。

 

アストラルは手を伸ばしてレティシアのフェイトナンバーズを回収し、遊馬のデッキケースにしまい、茶釜をマシュの盾の中にしまう。

 

フェイトナンバーズは契約したサーヴァントを粒子化させてカードの中に入れることができる。

 

その特性を利用して信長の足元に投げてからレティシアが不意打ちで飛び出して攻撃したのだ。

 

「おのれぇえええええっ!じゃが、まだじゃ!わしの体には聖杯に落ちた時に取り込んだ欠片の力が残っておる!!」

 

「聖杯の欠片だと!?」

 

「貴様の手にある核ほどでは無いが、貴様らを葬るには充分じゃ!!いざ、三界神仏灰燼と帰せ!我が名は第六天魔王波旬、織田信長なり!!」

 

信長の体内にある聖杯の欠片の力を使い、フィールドを燃え盛るどこかの寺院へと変えた。

 

その寺院は遊馬に心当たりがあった。

 

「ここってまさか、織田信長終焉の地……京都の本能寺か!?」

 

本能寺とは織田信長が生前に家臣明智光秀の謀反によって襲撃された場所である。

 

燃え盛る本能寺の中で自害した織田信長の終焉の地とも言われている。

 

「さて、戦いの前に……おい小僧、わしの家臣となれ!共に天下を統一しようではないか!」

 

信長はノッブと同様に遊馬の力に目をつけるが、遊馬は二回目ともなれば冷めた目で拒否の反応を示す。

 

「それノッブに言われて二回目だけどそんなの興味ないんだけど」

 

「ならばお主の望む物をくれてやろう!金か?いや、金では駄目だな……よし!女か!美少女から熟女まで揃えてやろう!それでハーレムを築くーーぬぉおおおおおっ!??」

 

ズドォーン!!!

 

突如、炎が灯された瓦礫が飛んできて信長は全力で回避した。

 

「ちっ……外したか」

 

それは近くにあった燃えている建物を破壊してフルスイングで信長に投げたレティシアだった。

 

その恐ろしい光景にマシュ達はガクガクと震えていた。

 

「うぉおおおおおい!?そこの黒女!人が交渉している時に燃えている瓦礫を投げ飛ばすとは何事じゃ!?」

 

「うるさいわね!遊馬にあんたが与えるハーレムなんて必要無いわよ!これ以上戯言を言うなら……!!」

 

ゴゴゴゴゴォオオオオオッ!!

 

そしてレティシアは自分の背丈以上の燃えた瓦礫を持ち上げるのだった。

 

「おいいいいいっ!?どうしてそんなに大きな瓦礫を持ち上げられるのじゃ!?それに炎が熱くないのか!?」

 

「私の筋力はAよ!それに、地獄の業火に比べたらこんな炎はぬるま湯よ!!」

 

「貴様はバーサーカーか!?のぉおおおおおっ!??」

 

燃え盛る巨大な瓦礫を投げ飛ばし、信長は命辛々に全力回避をする。

 

本来ならサーヴァントは神秘が無ければダメージが与えられないのだが、レティシアが放った瓦礫は避けなきゃ危ないと信長は本能で察したのだ。

 

「レティシア落ち着けって。あんな交渉に乗るわけないだろ?」

 

「だ、だって……」

 

「心配するなって。言っただろ、俺は何があってもお前を絶対に裏切らないからさ」

 

「……分かったわよ」

 

遊馬の優しく頼れる言葉にレティシアは頰を赤く染めながら後ろに下がると、遊馬は改めて信長と対峙する。

 

「悪いけど俺にそんな交渉は無意味だ。俺の望みや願いはとっくの昔に叶ってるからな。まあ強いて言うなら……人類と世界の未来を救うって事だけど、そんなことはあんたには無理だからな」

 

「交渉は決裂だ、信長。私たちにはやるべきことがまだまだ残っている。その為にも、貴様を倒してノッブの中に戻ってもらうぞ!!」

 

「その通りじゃ!悪いノッブめ、とっととわしの中に戻ってもらうぞ!」

 

「ええ、これが最後の戦いです。こんなぐだぐだな戦いはとっとと終わらせましょう!」

 

遊馬とアストラル、そしてノッブと沖田の心が一つになったその時、デッキケースが勝手に開いて中から光り輝く二枚のカードが遊馬の手元に飛び出す。

 

「これは!?」

 

「こいつは……ノッブと沖田さんのフェイトナンバーズ!カードに真名とイラストと効果が!」

 

「わしの新しい力か!」

 

「遊馬君、今こそ力を集結する時です!」

 

「よし!行くぜ!ノッブ、沖田さん!フェイトナンバーズに!」

 

ノッブと沖田は光の粒子となってその力が解放されたフェイトナンバーズの中に入り、遊馬はデッキからカードをドローして手札にする。

 

「ならば力付くでお前らを倒すだけじゃ!来い、ちびノブ達よ!!」

 

「「「ノッブノブー!!」」」

 

「一斉攻撃じゃ!」

 

信長はちびノブを始めとする様々なナマモノたちを召喚し、一斉に進軍して攻撃して来た。

 

遊馬たちの邪魔をさせないためにマシュ、ジャンヌ、レティシアが前に出てちびノブ達と交戦する。

 

「遊馬君、私達で時間を稼ぎます!」

 

「その間に新しいフェイトナンバーズを!」

 

「とっととあいつを倒しちゃいなさい!」

 

「サンキュー、みんな!行くぜ、俺のターン、ドロー!魔法カード『予想GUY』!自分フィールドにモンスターがいない時、デッキからレベル4以下の通常モンスターを特殊召喚できる!さあ出番だぜ!来い、『ちびノブ』!」

 

『ノッブノブー!』

 

デッキから元気よくちびノブが出てきてシャキーン!と腕を斜め上に上げた本人はおそらくかっこいいと思っているポーズを決める。

 

「さらにタスケナイトを召喚!俺は戦士族レベル4のちびノブとタスケナイトでオーバーレイ!エクシーズ召喚!」

 

赤茶色の鎧に全身に身を包んだ戦士が降り立ち、ちびノブと共に光となって地面に吸い込まれて光の爆発が起きる。

 

「戦国の世にその名を轟かせし魔王よ!己が信念を突き進み、天下布武を目指せ!」

 

光から灼熱の炎が吹き荒れ、中から天下統一を目指し、邪魔する全てを正面から排除してきた魔王が現れる。

 

「現れよ!『FNo.63 第六天魔王 織田信長』!!」

 

大きな『63』の刻印が刻まれたマントを翻し、ノッブは意気揚々と笑い上げる。

 

「ふはははは!さあ行くぞ、わしの三千世界が火を噴くぞ!」

 

ノッブは火縄銃を取り出して攻撃を行おうとしたが……。

 

「いや、ノッブのフェイトナンバーズ……そんな派手な攻撃をする効果じゃ無いぞ」

 

「えっ!??」

 

「第六天魔王 織田信長がエクシーズ召喚に成功した時、エクシーズ素材を2つ取り除き、俺のライフを半分払って発動!」

 

ノッブの刀にオーバーレイ・ユニットを取り込み、遊馬のライフポイントを半分支払うことで強力な効果を発動する。

 

「デッキ・手札から『ノブ』もしくは『ノッブ』と名のついたモンスターを可能な限り自分フィールドに特殊召喚する事が出来る。来い!デッキに眠る2体のちびノブ!!」

 

『『ノブノッブー!』』

 

デッキからもう2体のちびノブが現れ、ノッブは驚いて目を皿のように丸くした。

 

「おいいいいいっ!?これがわしの効果なのか!??全然わしの持つ宝具やスキルと関係ないじゃ無いか!?」

 

「気にするな!デュエルモンスターズ的には強いんだぜ!」

 

「気にするわ!!」

 

「是非もないよな!」

 

「わしの台詞を取るなぁあああっ!」

 

「限定的だがこれは強力な効果だ」

 

デッキからモンスターを大量に召喚出来るのは強力な効果であり、今回はちびノブだけだがもしもデッキに他のノブモンスターを入れていたらあっという間にフィールドが埋まるだろう。

 

恐らく、ちびノブと言うナマモノが誕生してしまった所為でノッブのフェイトナンバーズがこんな効果になってしまったのだろう。

 

そして、このちびノブ2体で新たなもう一枚のフェイトナンバーズを呼ぶ。

 

「更にレベル4戦士族のちびノブ2体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!!」

 

『『ノッブノブー!』』

 

2体のちびノブが光となって地面に吸い込まれ、光の爆発が起きる。

 

「桜纏し剣士よ、再び立ち上がれ!悪を断ち切る天剣となれ!」

 

桜吹雪が美しく吹き荒れてその中から幕末の天才剣士が再臨する。

 

「現れよ!『FNo.39 桜花の天狼 沖田総司』!!」

 

失われた新選組の浅葱色の羽織を纏い、その手には沖田が最も愛した刀である菊一文字則宗が握られており、そして両腕両肩には希望皇ホープのプロテクターが沖田の動きを邪魔しない程度に装着されていた。

 

「力が湧いてくる……それに新選組の羽織と旗、それに菊一文字……ははっ、今の私は全盛期並に動けますよ!!」

 

今の沖田は幕末のまだ肺の病に苦しんでいない全盛期並に動けるほど力が沸き起こっていた。

 

「さあ、その力を見せてもらうぜ。沖田さん!」

 

「ええ!沖田さんにお任せください!」

 

「桜花の天狼 沖田総司の効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、このターン、このカードは相手に直接攻撃することができる!」

 

オーバーレイ・ユニットを菊一文字を刀に取り込ませると沖田の金色の瞳が輝きを増し、

 

「我が秘剣の煌めき、受けるが良い!縮地!!!」

 

沖田を中心に桜吹雪が吹き荒れ、桜吹雪が沖田の姿を覆い隠す。

 

「なっ!!?」

 

そして、桜吹雪と共に一瞬で信長の前に現れた。

 

「無明三段突き!!!」

 

沖田総司の代名詞とも言える実現不可能と言われた伝説の剣技、三段突き。

 

「くうっ!!?なめるなぁっ!!」」

 

信長は沖田の三段突きを知っていたので最初から全力で体を反らして回避する。

 

沖田の菊一文字は信長の頰と肩と脇腹を貫き、即死は免れたが体から大量の血が流れるが体に宿る聖杯の力で瞬時に再生し、宝具を発動して反撃する。

 

三千世界(さんだんうち)!!!」

 

信長の宝具である三千世界は三千丁の火縄銃を呼び出して一斉発射する。

 

沖田は無数の弾丸を切り裂き、縮地で移動しながら下がる。

 

「ちっ、流石にノッブの半身だけあって、記憶を持ってたから全力で私の三段突きを回避してきましたね」

 

「更に!沖田さんが相手に直接攻撃が成功した時、相手フィールドのモンスター1体を選択して破壊することが出来る!金でかノブ1体を破壊する!」

 

「切り捨て御免!」

 

「ノブー!?」

 

沖田はちびノブたちで一番強い金でかノブの背後に現れて切り捨て、遊馬の元に戻る。

 

「ちょっと待て!ズルイではないか!人斬りは宝具やスキルを最大限に生かした効果ではないか!」

 

「これも遊馬くんのエースナンバーズの希望皇ホープに選ばれたからですよ!ところでノッブのナンバーズは何ですかねー?」

 

「むむむ……確かにそうじゃな、おいマスター!わしに力を与えているナンバーズはどんな奴じゃ!」

 

「どんな奴って、ええっと……」

 

「まあ、その、あれだな……」

 

遊馬とアストラルはノッブの問いに答えることができずに目を反らしてしまう。

 

「おいっ!?何じゃその反応は!??No.63とは一体何なのじゃ!?」

 

ノッブに与えられた力である『63』のナンバーズの刻印。

 

その元となる『No.63』はと言うと……ぶっちゃけ戦う力のない、ある意味デュエルモンスターズの中でも特異な優しい力を持つモンスターである。

 

もしもノッブの力が全てあれば他のナンバーズに選ばれたかもしれないが、不幸にもノッブの力の大半が失った事とちびノブたちの影響で『No.63』に選ばれてしまったのかもしれない……。

 

「貴様ら……わしをコケにしよって……こうなったらわしも本気を出すしか無いようだな!!三界神仏灰燼と帰せ!第六天魔王波旬!!」

 

フィールドの炎が全て信長に集まり、軍服の衣装が焼けて裸になっていき、ノッブは驚いて声を震わせた。

 

「あっ!ヤバっ!?」

 

「どうしたノッブ!」

 

「あれはわしの切り札とも言える宝具、第六天魔王波旬じゃ!神秘や神性を持つ者に対して絶対なる力を発揮する!」

 

「でもノッブと沖田さん、マシュたちには神秘や神聖は……」

 

「うがあっ!?」

 

「アストラル!?」

 

第六天魔王波旬の炎がアストラルに襲いかかり、その体が少しずつ焼けていく。

 

「やべえ!アストラルは精霊だ!皇の鍵の中に逃げろ!」

 

「くっ、すまない、遊馬……」

 

精霊であるアストラルはもろに第六天魔王波旬を受けてしまい、粒子化して皇の鍵の中に避難して、焼かれた傷を癒す。

 

「てめえ、よくもアストラルを!!」

 

「次は人斬りだ……わしの炎で焼き尽くしてやる!!」

 

信長は沖田を狙って炎を放とうとしたが遊馬は冷静に手札にあるカードを発動させる。

 

「そうはさせるか!手札から『虹クリボー』の効果発動!!」

 

『クリクリ〜!』

 

額が虹色に輝く丸い妖精のような姿をしたモンスターが飛び出し、信長の体に光の輪を出現させて攻撃を止めた。

 

「うぐっ!?う、動けない!??」

 

「虹クリボーは攻撃した相手の装備カードとなり、装備された相手は攻撃できなくなる!」

 

「邪魔をするな!わしには世界を支配すると言う目的がーー」

 

「そんなの織田信長じゃねえ!!」

 

「っ!?」

 

遊馬は毅然とした態度で信長を否定した。

 

「わしが、織田信長じゃないだと!?わしは正真正銘の織田信長だ!何を言う!??」

 

「俺の知っている織田信長は破天荒で人々から恐れられていたけど、天下布武……天下を統一して争いのない国を作ろうとしていた!だけど、今のあんたにはその思いが感じられない!聖杯で二つに分かれて、その力で心が暴走しているんだ!!」

 

直接ノッブから聞いた話ではないが遊馬が知っている歴史では織田信長は天下布武を目指していた。

 

だが、今の信長はノッブの元々の半分以上の力を持つと言っているが、聖杯の力で心が歪んで暴走しているのは明確だった。

 

「織田信長を憧れている全ての日本人のためにも、今ここであんたを止める!!」

 

同じ日本人として、日本人なら誰もが知る有名な英霊である織田信長の暴走を止める為にも遊馬はカードをドローする。

 

遊馬のその思いにノッブはパンパン!と拍手をする。

 

「その心意気見事なり!」

 

「ノッブ?」

 

「遊馬よ、そこまで言われたらわしもサーヴァントとして全力を尽くさねばならないな!さあ、指示を出すのだ、マスターよ!」

 

「ノッブ……」

 

「やれやれ。こうなったら私も頑張らなくちゃいけませんね!隊長の意地を見せる時です!!」

 

「沖田さん……」

 

ノッブと沖田は遊馬の思いに心打たれ、周りを火に囲まれながらも迷いを断ち切る目で信長を見つめる。

 

「勝つぞ……ノッブ!沖田さん!」

 

「当たり前じゃ!」

 

「遊馬君、サーヴァントとしてマスターのあなたの指示に任せます!」

 

「おう!まずはこの熱々のフィールドを冷ましてやるぜ!フィールド魔法、『希望郷 - オノマトピア -』を発動!!」

 

炎の世界を貫くように遊馬の周りに無数の円錐の建物が出現し、空に無数の星々が輝く幻想的な世界となった。

 

「わしの第六天魔王波旬を侵食したじゃと!??」

 

第六天魔王波旬は固有結界の一つである。

 

固有結界とは高度な魔術の一つで心象風景で現実世界を塗りつぶし、内部の世界そのものを変えてしまう結界である。

 

そこに遊馬の魂の故郷であるアストラル世界を模したフィールド魔法、オノマトピアを発動したことで第六天魔王波旬を半分侵食したのだった。

 

そして、アストラル世界の力が溢れるオノマトピアが発動されたことにより、皇の鍵で傷を癒していたアストラルが復活する。

 

「アストラル!」

 

「心配かけたな。勝つぞ、遊馬!」

 

「おうっ!」

 

「アストラルさん……良かった……えっ?」

 

突如、マシュの持つ盾の中にしまった茶釜が光を帯びて飛び出した。

 

「せ、聖杯が……キャッ!?」

 

茶釜……聖杯は自ら意思を持つように流星のように飛んで遊馬の前で止まった。

 

聖杯は光の粒子を放つと遊馬の右手に注いだ。

 

「な、何だ!?」

 

「聖杯が……遊馬に力を?」

 

聖杯から遊馬の右手に力を注ぐと1枚のカードを創り出した。

 

それはモンスターエクシーズのカードで名前もイラストも効果もステータスも書かれてない白紙のカードだった。

 

「何でモンスターエクシーズが……?」

 

謎のモンスターエクシーズを握ったその時、遊馬の脳裏にイメージが浮かんだ。

 

それは褐色の肌に長い白髪、その瞳は金色に輝き、その身を黒と赤の衣装に身を包み、その手には黒い刀を持つ少女だった。

 

「今のイメージは……?」

 

遊馬は自分の手札を見るが今の手札ではモンスターエクシーズをエクシーズ召喚をすることが出来ない。

 

フィールドにはノッブと沖田の2体のフェイトナンバーズとフィールド魔法のオノマトピアと信長に装備した虹クリボー。

 

「……まさか」

 

遊馬はある一つの可能性を思いつき、その可能性にかけることにした。

 

遊馬はモンスターエクシーズを掲げて思いを込めながら叫ぶ。

 

「かっとビングだ!俺!俺はノッブと沖田さん、2体のフェイトナンバーズでオーバーレイ!!」

 

「「えっ!!??」」

 

ノッブと沖田は一瞬で首を後ろに向けるほど驚くと二人は光を纏って宙を舞う。

 

「何じゃこれはぁあああああっ!?」

 

「えぇえええええっ!?な、何ですか!?」

 

二人にはどうすることもできずにいると、遊馬の手の中にあるモンスターエクシーズに名前とイラストと効果とステータスが判明した。

 

一瞬でテキストを読破した遊馬は笑みを浮かべ、自分の直感は間違っていなかったと確信しながらそのカードをデュエルディスクに置く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今こそ現れよ、XFNo.(クロスフェイトナンバーズ)0 !!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空中に金色に輝く『0』の刻印が現れる。

 

「クロスフェイトナンバーズ!??」

 

ナンバーズでも、フューチャーナンバーズでも、フェイトナンバーズでもない新たなナンバーズが産声を上げる。

 

光となったノッブと沖田が地面に吸い込まれ、光の爆発が起きる。

 

「時を越えて出会いし天狼と魔王よ!二つの魂を一つに重ね、絶対なる運命を斬り裂く混沌の黒き刃となれ!クロスオーバー・エクシーズ召喚!!」

 

光の爆発が更に幾重にも発生し、二人のサーヴァントが一つに交わる奇跡のサーヴァントが誕生する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『運命の終焉者 魔神セイバー』!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光の中から現れたのは先程遊馬のイメージに出てきた少女で赤と黒の衣装に加え、マシュのフェイトナンバーズと似た未来皇ホープのプロテクターを装着していた。

 

ノッブと沖田が合体したことにこの場にいた誰もが驚愕した。

 

「ど、どういう事じゃ!??」

 

「信長さんと沖田さんが合体した……!?」

 

「えっ?えっ??な、何が起きているんですか!?」

 

「サーヴァント同士が合体するってどういうことよ!?」

 

サーヴァント……英霊は星の数ほど多く、様々な英霊が存在するがサーヴァント同士が一つに合体することなど前代未聞である。

 

魔神セイバーは漆黒の刀、煉獄剣を信長に向ける。

 

「我は……運命を終らせる者。貴様の運命をここで終らせる!」

 

「ふ、ふざけるな……わしが負けるはずがないのだ!!」

 

「マスター。頼む」

 

魔神セイバーの鋭く静かな声が響き、遊馬は頷きながら効果を発動する。

 

「おうっ!魔神セイバーの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、種族を1つ宣言する!俺は戦士族を宣言!」

 

「このカードの攻撃力・守備力は宣言した種族のモンスターが相手フィールドに存在する限り、その種族の相手モンスターの攻撃力が一番高いモンスターの攻撃力+1000の数値になる!織田信長は紛れも無い戦士族!よって、魔神セイバーの攻撃力は貴様を凌駕する!」

 

信長の力を遥かに凌駕し、魔神セイバーの持つ煉獄刀が光を帯びる。

 

魔神セイバーに向けて信長は炎を放ち、津波のように襲わせるが、魔神セイバーには火傷一つ負っていなかった。

 

「な、何故わしの炎で焼かれない!?」

 

「魔神セイバーのさらなる効果!この効果を発動したターン、このカードは他のカード効果を受けない!!」

 

二人のサーヴァントが一つになったことで戦闘において魔神セイバーは必ず敵を倒すと言うほぼ無敵の効果を持つのだ。

 

「ば、馬鹿な!?」

 

「行けっ!魔神セイバー、運命を斬り裂け!!」

 

「必殺剣……無穹三段!!!」

 

三段突きを進化させた突きを出す毎に特大のレーザービームを放つ。

 

信長は炎を繰り出すがレーザービームの前では無力でそのまま光に飲み込まれた。

 

「お、おのれ……だがわしは貴様らに負けたわけではないぞ。わしの心の中にあるノッブに敗れたのじゃ、それに、わしはまた必ず現れる……そう……お前達が大地への感謝を忘れた時とかにな!」

 

信長は光に飲み込まれたままラスボスの最後みたいな台詞を言って消滅した。

 

魔神セイバーは合体が解除されて元のノッブと沖田に戻る。

 

信長のノッブの本来の力が光となって漂い、ノッブが手を伸ばすとそれが体の中に取り込まれて本来の力を完全に取り戻した。

 

更に取り込んでいた聖杯の欠片が残り、光の粒子となって茶釜の中に入った。

 

「これで終わったな」

 

特異点の元凶であった信長が消え、この世界の崩壊が始まり、遊馬達の姿が消えていく。

 

「うむ、わしの力もようやく完全に戻ったようじゃ。ふはははは!これで貴様らも本当の本当に用済み……」

 

「そういうのもういいですから」

 

「懲りないなぁ……」

 

「全くだ……」

 

ノッブの悪ノリに沖田がツッコミを入れ、遊馬とアストラルは苦笑を浮かべた。

 

沖田とノッブは最後の別れとあって遊馬達に感謝と挨拶をする。

 

「皆さん、今回はお世話になりました。今度は是非私たちの世界にも遊びに来てください。大戦真っ最中ですけど」

 

「うむ、本来交わることのない世界じゃったが、お前達は気に入ったのじゃ!」

 

「沖田さん、ノッブ。もしも俺が二人を召喚できたら、その時は共に戦ってくれるか?」

 

「もちろんです!可愛い部下のために一肌脱ぎましょう!」

 

「喜んで第六天魔王の力、存分にふるってやろう!」

 

「ありがとう!じゃあな!」

 

「はい!それではまたどこかで逢いましょう!」

 

「さらばじゃ!」

 

沖田とノッブは消滅し、再び異世界の聖杯戦争へ向かった。

 

遊馬達もカルデアへ戻るためにマシュ達をフェイトナンバーズに入れてデッキケースにしまい、アストラルは皇の鍵に入る。

 

そして、カルデアへレイシフトをしてこの世界と別れを告げた。

 

カルデアに戻ると体力バカな遊馬でも流石に限界が来てしまい、事後報告などは全て後回しにしてすぐに休むことにした。

 

マシュも同様に疲れてしまい、自室で同じように休むのだった。

 

ローマと日本、続けて二つの特異点を巡る戦いに疲れた遊馬とマシュは夢を見ることなく眠りにつくのだった。

 

そして、翌日にはフェイトナンバーズを元に戦力強化のためのサーヴァント召喚の儀式が始まる。

 

しかし……その召喚でカルデアに修羅場を引き起こす事となるのだった。

 

それはダ・ヴィンチちゃんがささっと作って用意した剣を立てかけるソードラックにかけてある燃える炎を模した剣……『原初の火』。

 

その剣の本来の所有者が現れた時……遊馬に再び女難が襲いかかるのだった。

 

 

 

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琥珀ちゃん「また合体したぁああああっ!??」

秋葉様「お前ネタキャラじゃなかったのかよぉ!??」

ライダー「FGOにも出ていないチートキャラを何出しているんですか作者ぁああああっ!!」

はい、出しちゃいました(笑)

魔神セイバーは沖田さんとノッブをネットで検索して調べている時に見つけて可愛いなと思いましたが、沖田さんとノッブが合体した存在と知り驚きました。

あれ?遊馬とアストラルが合体したんだからいけるんじゃね?と思って出しました。

ネタキャラなので多分FGO小説で魔神セイバーを出しているのはここぐらいだと思います。

それでは今回のフェイトナンバーズを紹介します。

FNo.63 第六天魔王 織田信長
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/闇属性/戦士族/攻2100/守1800
戦士族レベル4モンスター×2
このカードがエクシーズ召喚に成功した時、エクシーズ素材を2つ取り除き、ライフを半分払って発動出来る。
デッキ・手札から『ノブ』もしくは『ノッブ』と名のついたモンスターを可能な限り自分フィールドに特殊召喚する事が出来る。
この効果で特殊召喚されたモンスターはこのターンに効果を発動することが出来ず、攻撃することが出来ない。
この効果はデュエル中に1度しか発動することが出来ない。

三千世界や第六天魔王とは関係ないですが強いですね。
ぐだぐだ明治維新になればさらなるノブモンスターが来るのでノブデッキ環境来るか!?(笑)

FNo.39 桜花の天狼 沖田総司
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/戦士族/攻2000/守500
戦士族レベル4モンスター×2
1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除いて発動出来る。このターン、このカードは相手に直接攻撃することができる。
このカードが相手プレイヤーに直接攻撃が成功した時、相手フィールドのモンスター1体を選択して破壊することが出来る。
このカードがエクシーズ素材の無い状態で攻撃対象に選択された場合に発動する。このカードの攻撃力は0となり、攻撃が出来なくなる。

最初は呪いのナンバーズのアシッドゴーレムにしようかなと思いましたが、それは可哀想なのでデメリット効果で自壊するホープを選びました。

XFNo.0 運命の終焉者 魔神セイバー
エクシーズ・効果モンスター
ランク0/光属性/戦士族/攻?/守?
同じランクの「沖田総司」Xモンスター+「織田信長」Xモンスター1体ずつ
このカードは上記のモンスターを素材にしたエクシーズ召喚でしかエクストラデッキから特殊召喚することが出来ず、デュエル中に1度しか特殊召喚することが出来ない。
ルール上、このカードはランク1として扱う。
このカードがフィールド・墓地に存在する限り、このカードの属性は『闇』としても扱う。
1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除いて発動出来る。種族を1つ宣言し、このカードの攻撃力・守備力は宣言した種族のモンスターが相手フィールドに存在する限り、その種族の相手モンスターの攻撃力が一番高いモンスターの攻撃力+1000の数値になる。この効果は相手ターンでも発動出来る。この効果を発動したターン、このカードは他のカード効果を受けない。
このカードがフィールドから離れた場合に発動出来る。墓地から「沖田総司」Xモンスターと「織田信長」Xモンスターを1体ずつ特殊召喚する。

本来の設定がかなり曖昧なのでオリジナル感が出ましたが、絶対に敵を倒す的なイメージでこうなりました。
そこそこ強い感じに仕上がったと思います。

そして、次回はいよいよローマ組&ぐだぐだ組召喚です。
皆さんお楽しみの修羅場が待ち受けてます(笑)

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